特許第6774217号(P6774217)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774217
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20201012BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20201012BHJP
   H01R 13/73 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   H01R13/64
   H01R13/639 Z
   H01R13/73 C
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-95982(P2016-95982)
(22)【出願日】2016年5月12日
(65)【公開番号】特開2017-204399(P2017-204399A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2017年8月31日
【審判番号】不服2019-7702(P2019-7702/J1)
【審判請求日】2019年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】海老澤 順平
【合議体】
【審判長】 田村 嘉章
【審判官】 平田 信勝
【審判官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 実開平3−35674(JP,U)
【文献】 特開2000−348808(JP,A)
【文献】 実開平3−104973(JP,U)
【文献】 特開平8−287996(JP,A)
【文献】 特開2003−257562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/629
H01R 13/639
H01R 13/64
H01R 13/73
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1ハウジングを含み、コネクタ以外の機器又は装置のボディーに対しコネクタを固定するための固定用部材が装着可能な第1コネクタと、第2ハウジングを含み、前記第1コネクタと嵌合する第2コネクタとを備えるコネクタであって、
(b)前記第1ハウジングは、前記固定用部材を係止する変形可能な可撓性係止部材を含む固定用部材装着部を含み、
(c)前記第2ハウジングは、前記第1コネクタと第2コネクタとの嵌合が完了すると、前記可撓性係止部材の変形を阻止する停止部材を含み、
(d)前記可撓性係止部材は、基端が前記固定用部材装着部に一体的に接続され、前記第1コネクタが第2コネクタと嵌合する方向に向けて延在するカンチレバー状の板材であって、第1ハウジングの内方に向けて変位可能であり、自由端から前記基端寄りに離れた位置に前記固定用部材を係止する係止凸部を含み、
(e)前記固定用部材は、前記カンチレバー状の板材の基端から自由端に向う方向に、前記第1ハウジングに対して相対的に移動することによって、前記カンチレバー状の板材を第1ハウジングの内方に向けて変位させた後、前記係止凸部によって係止されて前記固定用部材装着部に装着され、
)前記第1コネクタと第2コネクタとの嵌合が完了すると、前記第2ハウジングの少なくとも一部が前記第1ハウジング内に進入し、前記停止部材が前記カンチレバー状の板材の前記係止凸部よりも前記自由端寄りの内側面に当接又は近接して、前記カンチレバー状の板材の第1ハウジングの内方に向けての変位を阻止することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記固定用部材は係止凹部を含み、前記可撓性係止部材の係止凸部は、前記固定用部材の第1コネクタへの装着が完了すると前記係止凹部を係止する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記固定用部材装着部は第1ハウジングの一側面に配設され、前記第1ハウジングは固定用部材装着部が配設されていない側面に配設されたロック凸部を更に含み、
前記停止部材は第2ハウジングの一側面に配設され、前記第2ハウジングは停止部材が配設されていない側面に配設されたロック凹部であって、前記第1コネクタと第2コネクタとの嵌合が完了すると前記ロック凸部と係合するロック凹部を更に含む請求項1又は2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等において使用される電線用のコネクタでは、金属板等から成る取付用ステーを介して、自動車のボディー等の構造部材に取付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図13は従来のコネクタを示す図である。
【0004】
図において、811は、絶縁性の樹脂材料から成る雄コネクタのハウジングである。そして、該ハウジング811は、複数の図示されない端子を収容する。また、前記ハウジング811の上面には、係止突起815が一体的に形成されている。
【0005】
一方、911は、絶縁性の樹脂材料から成る雌コネクタのハウジングである。そして、該ハウジング911は、雄コネクタのハウジング811が嵌入される収容室918を備える。また、前記ハウジング911の上面には、ステー差込部912が一体的に形成されている。該ステー差込部912には、ステー891の両側部が挿入される差込溝912aが形成されている。
【0006】
ここで、前記ステー891は、鋼等の金属から成る板材であって、先端近傍には係止穴895が形成されている。また、前記ステー891の図示されない基端は、自動車のボディー等の構造部材に固定されている。
【0007】
前記ステー差込部912には、カンチレバー状の可撓性操作板913が配設されている。そして、該可撓性操作板913の自由端近傍の上面には、前記係止穴895に係止される突起状のロック爪916が形成されている。また、前記可撓性操作板913の自由端近傍の下面には、前記係止突起815と係合する押圧突起915が形成されている。
【0008】
そして、雄コネクタのハウジング811を収容室918に挿入して雌コネクタのハウジング911と嵌合させると、係止突起815は押圧突起915と係合する。なお、係止突起815が押圧突起915を乗越える際には、可撓性操作板913の自由端近傍が上方に弾性的に変位する。
【0009】
続いて、ステー891の両側部を差込溝912aに挿入して、前記ステー891をステー差込部912に差込むと、可撓性操作板913の上面にステー891の下面が当接し、ロック爪916が係止穴895に係止される。これにより、可撓性操作板913の自由端近傍が上方に変位不能となるので、係止突起815と押圧突起915との係合解除が防止され、雄コネクタのハウジング811と雌コネクタのハウジング911との嵌合解除が防止される。また、押圧突起915が係止突起815に当接しているので、可撓性操作板913の自由端近傍は下方にも変位不能となり、ロック爪916と係止穴895との係止解除が防止され、ステー891のステー差込部912からの抜けが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開平01−130280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記従来のコネクタにおいては、ステー891をステー差込部912に差込む際、既に押圧突起915が係止突起815に当接し、可撓性操作板913の自由端近傍が下方に変位不能となってる。そのため、金属製のステー891の先端は、樹脂材料から成る可撓性操作板913のロック爪916を削りながらステー差込部912を進行することとなる。したがって、ステー891をステー差込部912に差込んでコネクタに装着する作業に必要とされる力、すなわち、装着力が大きくなってしまう。また、ステー891をコネクタに装着する度にロック爪916が削られるので、ロック爪916の寿命が短くなり、ステー891のコネクタへの装着作業を多数回繰返すことが不可能となる。
【0012】
ここでは、前記従来の問題点を解決して、固定用部材の装着力が小さく、かつ、固定用部材の抜けを確実に防止することができ、信頼性が高く、製造コストが低く、耐久性の高いコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのために、コネクタにおいては、第1ハウジングを含み、コネクタ以外の機器又は装置のボディーに対しコネクタを固定するための固定用部材が装着可能な第1コネクタと、第2ハウジングを含み、前記第1コネクタと嵌合する第2コネクタとを備えるコネクタであって、前記第1ハウジングは、前記固定用部材を係止する変形可能な可撓性係止部材を含む固定用部材装着部を含み、前記第2ハウジングは、前記第1コネクタと第2コネクタとの嵌合が完了すると、前記可撓性係止部材の変形を阻止する停止部材を含み、前記可撓性係止部材は、基端が前記固定用部材装着部に一体的に接続され、前記第1コネクタが第2コネクタと嵌合する方向に向けて延在するカンチレバー状の板材であって、第1ハウジングの内方に向けて変位可能であり、自由端から前記基端寄りに離れた位置に前記固定用部材を係止する係止凸部を含み、前記固定用部材は、前記カンチレバー状の板材の基端から自由端に向う方向に、前記第1ハウジングに対して相対的に移動することによって、前記カンチレバー状の板材を第1ハウジングの内方に向けて変位させた後、前記係止凸部によって係止されて前記固定用部材装着部に装着され、前記第1コネクタと第2コネクタとの嵌合が完了すると、前記第2ハウジングの少なくとも一部が前記第1ハウジング内に進入し、前記停止部材が前記カンチレバー状の板材の前記係止凸部よりも前記自由端寄りの内側面に当接又は近接して、前記カンチレバー状の板材の第1ハウジングの内方に向けての変位を阻止する。
【0014】
他のコネクタにおいては、さらに、前記固定用部材は係止凹部を含み、前記可撓性係止部材は、前記固定用部材の第1コネクタへの装着が完了すると前記係止凹部を係止する係止凸部を含む。
【0015】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記固定用部材装着部は第1ハウジングの一側面に配設され、前記第1ハウジングは固定用部材装着部が配設されていない側面に配設されたロック凸部を更に含み、前記停止部材は第2ハウジングの一側面に配設され、前記第2ハウジングは停止部材が配設されていない側面に配設されたロック凹部であって、前記第1コネクタと第2コネクタとの嵌合が完了すると前記ロック凸部と係合するロック凹部を更に含む。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、固定用部材の装着力が小さく、かつ、固定用部材の抜けを確実に防止することができ、信頼性が向上し、製造コストが低減され、耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施の形態における第1コネクタを示す斜視図であって、(a)は斜め上方から観た図、(b)は斜め下方から観た図である。
図2】第1の実施の形態における第2コネクタを示す斜視図であって、(a)は斜め上方から観た図、(b)は斜め下方から観た図である。
図3】第1の実施の形態における固定用部材を示す斜視図である。
図4】第1の実施の形態における第1コネクタに固定用部材を装着する動作を示す斜視図であって、(a)及び(b)は第1コネクタに固定用部材を装着する過程を示す図である。
図5】第1の実施の形態における第1コネクタに固定用部材を装着する途中を示す後面図である。
図6】第1の実施の形態における第1コネクタに固定用部材を装着する動作を示す断面図であって図5におけるAーA矢視断面を示す図である。
図7】第1の実施の形態における第1コネクタに第2コネクタが嵌合された状態を示す断面図であって図5におけるAーA矢視断面と同様の断面を示す図である。
図8】第2の実施の形態における第1コネクタに固定用部材を装着する動作を示す断面図であって図5におけるAーA矢視断面と同様の断面を示す図である。
図9】第2の実施の形態における第1コネクタに第2コネクタが嵌合された状態を示す断面図であって図5におけるAーA矢視断面と同様の断面を示す図である。
図10】第3の実施の形態における第1コネクタに固定用部材を装着する動作を示す斜視図である。
図11】第3の実施の形態における第1コネクタに固定用部材を装着する動作を示す断面図であって図5におけるAーA矢視断面と同様の断面を示す図である。
図12】第3の実施の形態における第1コネクタに第2コネクタが嵌合された状態を示す断面図であって図5におけるAーA矢視断面と同様の断面を示す図である。
図13】従来のコネクタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は第1の実施の形態における第1コネクタを示す斜視図、図2は第1の実施の形態における第2コネクタを示す斜視図、図3は第1の実施の形態における固定用部材を示す斜視図である。なお、図1及び2において、(a)は斜め上方から観た図、(b)は斜め下方から観た図である。
【0024】
図において、1は本実施の形態におけるコネクタが備える第1コネクタであり、複数の電線98を備えるケーブルの終端に接続されるものである。また、101は本実施の形態におけるコネクタが備える第2コネクタであり、複数の電線198を備えるケーブルの終端に接続されるものである。さらに、91は本実施の形態における固定用部材であり、鋼等の金属から成る帯状の板材であり、その基端が構造用部材に固定され、先端に形成された取付板部92が第1コネクタ1に装着されることにより、コネクタを構造用部材に安定的に取付けるものである。なお、本実施の形態において、前記固定用部材91は、一般にステーと称される細長い部材であるが、図においては、都合により、その基端の図示が省略されており、取付板部92及びその近傍のみが示されている。
【0025】
前記第1コネクタ1及び第2コネクタ101は、産業用電気機器、家庭用電気器具、空調機器、給湯器等いかなる種類の機器、装置等において使用されるものであってもよいが、ここでは、説明の都合上、自動車等の車両において使用されるケーブルの接続に使用されるものであって、固定用部材91を介して、車両のボディー等の構造用部材に安定的に取付けられるものであるとする。
【0026】
なお、本実施の形態において、第1コネクタ1、第2コネクタ101及び固定用部材91に含まれる各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、第1コネクタ1、第2コネクタ101及び固定用部材91に含まれる各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、第1コネクタ1、第2コネクタ101及び固定用部材91に含まれる各部の姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0027】
前記第1コネクタ1は、合成樹脂等の絶縁材によって一体的に形成され、前記第2コネクタ101と嵌合する第1ハウジング11と、該第1ハウジング11に装填された金属製の図示されない第1端子とを備える。
【0028】
前記第1ハウジング11は、電線98の配列方向、すなわち、第1コネクタ1の幅方向、及び、第2コネクタ101との嵌合方向、すなわち、第1コネクタ1の前後方向に延在する概略直方体の箱状の部材である。そして、前記第1ハウジング11は、該第1ハウジング11における前端寄りの部分を覆う覆部12と、該覆部12の上面に形成された固定用部材装着部17とを含んでいる。
【0029】
また、前記第1ハウジング11は、その後端11rに一端が開口して第1コネクタ1の前後方向に延在する複数の端子収容凹部13を含んでいる。各端子収容凹部13内には、電線98の前端に接続されて固定された図示されない第1端子が、収容されて保持されている。そして、各電線98は、端子収容凹部13の開口から、第1ハウジング11の後方に延出した状態となっている。図に示される例において、第1端子及び電線98は、合計4本が所定のピッチで、第1コネクタ1の幅方向に並んで1列に配列されているが、第1端子及び電線98の本数、ピッチ、列数等は任意に変更することができる。なお、前記第1ハウジング11の後端11rには、前記第1端子及び電線98が端子収容凹部13から抜出ることを防止するための第1リテーナ21が取付けられている。
【0030】
前記固定用部材装着部17は、第1ハウジング11の上面から上方に突出する部分であって、第1コネクタ1の幅方向及び前後方向に延在する概略直方体の箱状の部分である。そして、前記固定用部材装着部17の上面には、前記固定用部材91の取付板部92が挿入されて装着される凹部としての取付板差込部17aが形成されている。前記固定用部材91の取付板部92は、長方形状の外形を有する板材である。そして、前記取付板差込部17aは、取付板部92が後方から差込可能なように、上面及び後面が開放され、下面、前面及び左右両側面が閉止された平面視において長方形状の凹部となっている。
【0031】
ここで、前記取付板差込部17aの左右両側には、取付板部92の左右両側部が挿入される差込溝17bが形成されている。該差込溝17bの上面は、庇部17dによって画定される。また、前記取付板差込部17aの前面は、第1コネクタ1の幅方向に延在する前壁部17cによって画定される。さらに、前記取付板差込部17aの下面は、第1ハウジング11の上面に固定された固定用部材装着基部14によって画定される。これにより、前記取付板部92を、固定用部材装着部17の後方から相対的に前進させて、取付板差込部17aに差込むことができる。この際、取付板部92は、上面が庇部17dによって画定され、下面が固定用部材装着基部14によって画定された空間に差込まれるので、上下方向への変位が規制される。
【0032】
前記固定用部材装着基部14には、その後端近傍から第1コネクタ1の前方に向けて延在する開口部14aが形成されている。そして、該開口部14a内には、可撓性係止部材15が配設されている。該可撓性係止部材15は、その基端としての後端が固定用部材装着基部14の後端に一体的に接続され、第1コネクタ1の前方に向けて延在するカンチレバー状の板材であり、片持ちリーフスプリングとして機能し、その自由端としての前端15fが上下方向(第1コネクタ1の厚さ方向)に変位可能となっている。また、可撓性係止部材15の前端15fの近傍における上面には、上方へ突出する係止凸部16が形成されている。
【0033】
なお、前記取付板部92における前端92fの近傍には、係止凹部93が形成されている。本実施の形態において、該係止凹部93は、取付板部92を板厚方向に貫通する貫通孔であり、前記係止凸部16は、取付板差込部17aに差込まれた取付板部92の係止凹部93に進入して係止される。具体的には、前記係止凸部16は、第1コネクタ1の後方寄りに形成された傾斜面16aと、第1コネクタ1の前方寄りに形成された垂直面16bとを備え、該垂直面16bが、係止凹部93における前端92f寄りの壁面である係止面93aと係合することにより、前記係止凸部16は係止凹部93に係止される。
【0034】
前記覆部12の内側には、後述されるように嵌入凹部12bが形成されている。該嵌入凹部12bは、第1ハウジング11の前端でもある覆部12の前端12fに開口する空洞部であって、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合する際に、該第2コネクタ101の前方部分が進入して嵌入される部分である。なお、覆部12の下面を形成する底板における前端12fの近傍には、後述されるように上方に突出するロック凸部12aが形成されている。
【0035】
前記第2コネクタ101は、合成樹脂等の絶縁材によって一体的に形成され、前記第1コネクタ1と嵌合する第2ハウジング111と、該第2ハウジング111に装填された金属製の図示されない第2端子とを備える。
【0036】
前記第2ハウジング111は、電線198の配列方向、すなわち、第2コネクタ101の幅方向、及び、第1コネクタ1との嵌合方向、すなわち、第2コネクタ101の前後方向に延在する概略直方体の箱状の部材である。そして、前記第2ハウジング111は、該第2ハウジング111における後端111r寄りの部分を覆う覆部112と、前記第2ハウジング111の上面に形成された停止部材としての係止部材停止部117と、前記第2ハウジング111の下面に形成された嵌合ロック部115とを含んでいる。
【0037】
また、前記第2ハウジング111は、その前端111f及び後端111rに両端が開口して第2コネクタ101の前後方向に延在する複数の端子収容凹部113を含んでいる。各端子収容凹部113内には、電線198の前端に接続されて固定された図示されない第2端子が、収容されて保持されている。そして、各電線198は、端子収容凹部113の開口から、第2ハウジング111の後方に延出した状態となっている。図に示される例において、第2端子及び電線198は、合計4本が所定のピッチで、第2コネクタ101の幅方向に並んで1列に配列されているが、第2端子及び電線198の本数、ピッチ、列数等は任意に変更することができる。なお、前記第2ハウジング111の後端111rには、前記第2端子及び電線198が端子収容凹部113から抜出ることを防止するための第2リテーナ121が取付けられている。
【0038】
前記係止部材停止部117は、第2ハウジング111の上面から上方に突出する部分であって、第2コネクタ101の幅方向中央において、該第2コネクタ101の前後方向に延在する部分である。そして、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了した状態において、前記係止部材停止部117の上面は、第1コネクタ1の可撓性係止部材15の前端15fの近傍における下面に当接又は近接する。これにより、前記可撓性係止部材15の前端15fの下方向への変位が阻止される。
【0039】
前記嵌合ロック部115は、その基端としての前端が第2ハウジング111の前端111fの近傍における下面に一体的に接続され、第2コネクタ101の後方に向けて延在するカンチレバー状の部材であり、片持ち梁状のスプリングとして機能し、その自由端としての後端115rが上下方向(第2コネクタ101の厚さ方向)に変位可能となっている。なお、前記覆部112は、第2ハウジング111の後端111rの近傍における下面を覆う部材であって、第2ハウジング111の下面から離間して該下面の下方に位置する。そして、前記嵌合ロック部115の後端115rの近傍部分は、前記覆部112と第2ハウジング111の下面との間に位置し、嵌合ロック部115に外力が付与されていない状態では、前記覆部112の上面に当接又は近接している。これにより、前記嵌合ロック部115の後端115rの下方向への変位が阻止される。
【0040】
また、前記嵌合ロック部115には、ロック凹部116が形成され、該ロック凹部116における前端111f寄りの壁面はロック面116aとして機能する。そして、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了した状態において、第1コネクタ1のロック凸部12aがロック凹部116内に進入し、ロック面116aと係合する。これにより、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが互いにロックされる。
【0041】
次に、前記第1コネクタ1に固定用部材91を装着し、第2コネクタ101を嵌合する動作について説明する。
【0042】
図4は第1の実施の形態における第1コネクタに固定用部材を装着する動作を示す斜視図、図5は第1の実施の形態における第1コネクタに固定用部材を装着する途中を示す後面図、図6は第1の実施の形態における第1コネクタに固定用部材を装着する動作を示す断面図であって図5におけるAーA矢視断面を示す図、図7は第1の実施の形態における第1コネクタに第2コネクタが嵌合された状態を示す断面図であって図5におけるAーA矢視断面と同様の断面を示す図である。なお、図4において、(a)及び(b)は第1コネクタに固定用部材を装着する過程を示す図である。
【0043】
まず、オペレータは、手指等によって固定用部材91及び第1コネクタ1の姿勢を制御して、固定用部材91の取付板部92の前端92fが第1コネクタ1の固定用部材装着部17の前壁部17cに向合うように位置させるとともに、取付板部92が差込溝17bの上面と平行になるようにさせる。
【0044】
続いて、オペレータは、固定用部材91を第1コネクタ1の第1ハウジング11に対して相対的に移動させ、取付板部92を、固定用部材装着部17の後方から前進させて、図4(a)に示されるように、取付板差込部17aに差込む。この際、取付板部92の左右両側部は、差込溝17bに挿入される。したがって、取付板部92は、上方への変位が庇部17dによって規制され、下方への変位が固定用部材装着基部14によって規制された状態で、取付板差込部17aに差込まれる。
【0045】
そして、オペレータが取付板部92を固定用部材装着部17に対して更に前進させると、図4(b)及び6に示されるように、取付板部92の前端92f近傍の部分が可撓性係止部材15の上面に形成された係止凸部16の上に乗上げた状態となる。この場合、取付板部92は、庇部17dによって規制されているので、上方へ変位することがない。そのため、可撓性係止部材15は、取付板部92によって下方に押圧されて弾性的に変形し、図6に示されるように、係止凸部16を含む前端15fの近傍が第1ハウジング11の内方、すなわち、下方に変位する。
【0046】
このように、係止凸部16が弾性的に下方に変位し、かつ、該係止凸部16における第1コネクタ1の後方寄りの部分に傾斜面16aが形成されているので、取付板部92は、大きな抵抗を受けることなく、スムーズに係止凸部16の上に乗上げることができる。したがって、取付板部92を取付板差込部17aに差込む作業に必要とされる力である装着力が小さくて済み、また、合成樹脂等の絶縁材から成る係止凸部16が金属から成る取付板部92によって削られてしまうことがない。
【0047】
続いて、オペレータが取付板部92を固定用部材装着部17に対して更に前進させると、取付板部92の前端92fが固定用部材装着部17の前壁部17cに当接し、取付板部92が停止させられる。すると、取付板部92の係止凹部93が係止凸部16の上に位置するので、可撓性係止部材15は、そのばね性によって元の形状に復元し、係止凸部16が上方に変位して係止凹部93に進入して係止される。これにより、係止凸部16の垂直面16bが係止凹部93の係止面93aと対向し、係止凸部16が係止凹部93に係止された状態となるので、取付板部92の後退が不能となって、第1コネクタ1への固定用部材91の装着が完了する。また、オペレータは、可撓性係止部材15がそのばね性によって元の形状に復元することにより生じる振動乃至衝撃をクリック感として知覚し得るので、第1コネクタ1への固定用部材91の装着が完了したことを確実に認識することができる。
【0048】
次に、オペレータは、手指等によって第1コネクタ1及び第2コネクタ101の姿勢を制御して、第1コネクタ1の第1ハウジング11の覆部12の前端12fと、第2コネクタ101の第2ハウジング111の前端111fとが互いに向合うように位置させるとともに、第1ハウジング11の上面が第2ハウジング111の上面と平行になるようにさせる。
【0049】
続いて、オペレータは、第2コネクタ101の第2ハウジング111を第1コネクタ1の第1ハウジング11に対して相対的に移動させ、第2ハウジング111をその前端111fから覆部12の前端12fに開口する嵌入凹部12b内に進入させる。そして、オペレータが第2コネクタ101の第2ハウジング111を更に進行させると、嵌合ロック部115の下面が覆部12の底板に形成されたロック凸部12aの上面に乗上げた状態となるので、嵌合ロック部115は、上方に変位する。
【0050】
続いて、オペレータが第2コネクタ101の第2ハウジング111を更に進行させると、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了し、第1コネクタ1の第1端子と第2コネクタ101の第2端子とがそれぞれ接触し、第1端子に接続された電線98と第2端子に接続された電線198とがそれぞれ導通する。また、嵌合ロック部115のロック凹部116がロック凸部12aの上に位置するので、嵌合ロック部115は、そのばね性によって元の形状に復元し、ロック凹部116が下方に変位し、ロック凸部12aがロック凹部116内に進入してロック面116aと係合する。これにより、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが互いにロックされ、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合解除が防止される。
【0051】
また、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了すると、図7に示されるように、第2ハウジング111の係止部材停止部117の上面が、第1コネクタ1の可撓性係止部材15の前端15fの近傍における下面に当接又は近接した状態になる。これにより、前記可撓性係止部材15の前端15fの下方への変位が阻止されるので、取付板部92の後退が確実に不能となり、固定用部材91の装着解除が確実に防止される。
【0052】
なお、本実施の形態においては、ロック凸部12aが第1ハウジング11の下面側に形成され、かつ、ロック凹部116を含む嵌合ロック部115が第2ハウジング111の下面側に形成された例について説明したが、必要に応じて、ロック凸部12aがハウジング11の側面側に形成され、かつ、ロック凹部116を含む嵌合ロック部115が第2ハウジング111の側面側に形成されるようにすることもできる。すなわち、ロック凸部12a及びロック凹部116を含む嵌合ロック部115は、第1ハウジング11における固定用部材装着部17が形成されている側、及び、第2ハウジング111における係止部材停止部117が形成されている側と異なる側に形成されていればよい。
【0053】
このように、本実施の形態におけるコネクタは、第1ハウジング11を含み、固定用部材91が装着可能な第1コネクタ1と、第2ハウジング111を含み、第1コネクタ1と嵌合する第2コネクタ101とを備える。そして、第1ハウジング11は、固定用部材91を係止する変形可能な可撓性係止部材15を含む固定用部材装着部17を含み、第2ハウジング111は、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了すると、可撓性係止部材15の変形を阻止する係止部材停止部117を含む。
【0054】
これにより、小さな装着力で固定用部材91を装着することができ、かつ、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが嵌合すると固定用部材91の抜けが確実に防止される信頼性の高いコネクタを得ることができる。そして、簡素な構成であり、製造コストが低く、耐久性の高いコネクタを得ることができる。
【0055】
また、固定用部材91は係止凹部93を含み、可撓性係止部材15は、固定用部材91の第1コネクタ1への装着が完了すると係止凹部93を係止する係止凸部16を含む。これにより、小さな装着力でスムーズに固定用部材91を固定用部材装着部17に装着することができ、かつ、係止凸部16が損耗してしまうことがない。
【0056】
さらに、固定用部材装着部17は第1ハウジング11の一側面に配設され、第1ハウジング11は固定用部材装着部17が配設されていない側面に配設されたロック凸部12aを更に含み、係止部材停止部117は第2ハウジング111の一側面に配設され、第2ハウジング111は係止部材停止部117が配設されていない側面に配設されたロック凹部116であって、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了するとロック凸部12aと係合するロック凹部116を更に含む。このように、ロック凸部12aとロック凹部116とが係合することにより、第1コネクタ1と第2コネクタ101とがロックされるので、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が解除されてしまうことがない。また、可撓性係止部材15が固定用部材91を係止する動作が、ロック凸部12aとロック凹部116とが係合する動作の影響を受けることがなく、スムーズに行われる。
【0057】
さらに、固定用部材91は、第1コネクタ1が第2コネクタ101と嵌合する方向に、第1コネクタ1に対して相対的に移動することにより、固定用部材装着部17に装着される。したがって、第1コネクタ1に固定用部材91を装着する作業と、第1コネクタ1に第2コネクタ101を嵌合する作業とを同じように行うことができ、作業性が向上する。
【0058】
さらに、可撓性係止部材15は、第1コネクタ1が第2コネクタ101と嵌合する方向に向けて延在するカンチレバー状の板材であって、第1ハウジング11の内方に向けて変位可能であり、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了すると、第2ハウジング111の少なくとも一部が第1ハウジング11内に進入し、係止部材停止部117が可撓性係止部材15の第1ハウジング11の内方に向けての変位を阻止する。したがって、第1コネクタ1に固定用部材91を装着する際に、可撓性係止部材15はスムーズに変形することができる。また、周囲に空きスペースのない狭隘な場所で第1コネクタ1と第2コネクタ101とを嵌合させる場合であっても、周囲に存在する他の部材に可撓性係止部材15等が引掛ってしまうことがない。
【0059】
さらに、固定用部材91は、固定用部材装着部17に装着される平板状の取付板部92であって、先端に形成された取付板部92と、構造用部材に固定される基端とを含む。このように、簡素な構成の固定用部材91を用いて、第1コネクタ1を構造用部材に固定することができる。
【0060】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0061】
図8は第2の実施の形態における第1コネクタに固定用部材を装着する動作を示す断面図であって図5におけるAーA矢視断面と同様の断面を示す図、図9は第2の実施の形態における第1コネクタに第2コネクタが嵌合された状態を示す断面図であって図5におけるAーA矢視断面と同様の断面を示す図である。
【0062】
前記第1の実施の形態において、可撓性係止部材15は、その基端としての後端が固定用部材装着基部14の後端に一体的に接続され、第1コネクタ1の前方に向けて延在するカンチレバー状の板材であったのに対し、本実施の形態における可撓性係止部材15は、その基端としての前端が固定用部材装着部17の前壁部17cに一体的に接続され、第1コネクタ1の後方に向けて延在するカンチレバー状の板材である。なお、可撓性係止部材15の自由端の近傍における上面に、上方へ突出する係止凸部16が形成されている点は、前記第1の実施の形態における可撓性係止部材15と同様である。
【0063】
本実施の形態における第1コネクタ1、第2コネクタ101及び固定用部材91のその他の点の構成は、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。また、本実施の形態における第1コネクタ1に固定用部材91を装着し、第2コネクタ101を嵌合する動作も、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0064】
なお、本実施の形態においては、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了すると、図9に示されるように、第2ハウジング111の係止部材停止部117の上面が、第1コネクタ1の可撓性係止部材15の自由端ではなく、基端の近傍における下面に当接又は近接した状態になる。これにより、前記可撓性係止部材15の下方への変位が阻止されるので、取付板部92の後退が確実に不能となり、固定用部材91の装着解除が確実に防止される。
【0065】
また、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了しても、可撓性係止部材15の自由端及び係止凸部16は、ある程度下方への変位が可能となっているので、第1コネクタ1と第2コネクタ101とを嵌合した後に、固定用部材91を第1コネクタ1に装着することもできる。
【0066】
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0067】
図10は第3の実施の形態における第1コネクタに固定用部材を装着する動作を示す斜視図、図11は第3の実施の形態における第1コネクタに固定用部材を装着する動作を示す断面図であって図5におけるAーA矢視断面と同様の断面を示す図、図12は第3の実施の形態における第1コネクタに第2コネクタが嵌合された状態を示す断面図であって図5におけるAーA矢視断面と同様の断面を示す図である。
【0068】
前記第1及び第2の実施の形態においては、固定用部材91が一般にステーと称される細長い部材でその基端が構造用部材に固定されるものであったのに対し、本実施の形態における固定用部材91は、取付板部92の上面に接続された固定部としてのクリップ部95を備え、該クリップ部95が構造用部材に固定されるものである。前記クリップ部95は、金属板等のばね性を備える材料から成るリテーナ部95aと、フランジ部95bとを含み、車両のボディー等の板状の構造用部材に形成された貫通孔に一方からリテーナ部95aを押込んで通過させ、元の形状に復元したリテーナ部95aとフランジ部95bとによって前記板状の構造用部材を両側から挟込むことにより、該板状の構造用部材に固定されるようになっている。
【0069】
そして、取付板部92における前端92fの近傍に形成された係止凹部93は、前記第1及び第2の実施の形態においては、取付板部92を板厚方向に貫通する貫通孔であったが、本実施の形態においては、取付板部92の下面から上方へ陥没した陥入凹部となっている。なお、該陥入凹部の陥入深さは、可撓性係止部材15の上面から上方へ突出する係止凸部16の突出高さよりも大きく設定されていることが望ましい。
【0070】
また、前記取付板部92の下面における前端92fから所定距離範囲には、取付板部92の下面から上方へ陥没した先端陥入凹部92bを形成することが望ましい。これにより、前記取付板部92の下面における先端陥入凹部92bと係止凹部93との間に相対的に下方へ突出する凸部92cが形成され、該凸部92cの後方寄りの面が前記係止凹部93における係止面93aとなる。
【0071】
本実施の形態における第1コネクタ1、第2コネクタ101及び固定用部材91のその他の点の構成は、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0072】
本実施の形態において、第1コネクタ1に固定用部材91を装着する場合、オペレータは、手指等によって固定用部材91及び第1コネクタ1の姿勢を制御して、固定用部材91の取付板部92の前端92fが第1コネクタ1の固定用部材装着部17の前壁部17cに向合うように位置させるとともに、取付板部92が差込溝17bの上面と平行になるようにさせる。
【0073】
続いて、オペレータは、固定用部材91を第1コネクタ1の第1ハウジング11に対して相対的に移動させ、取付板部92を、固定用部材装着部17の後方から前進させて、図10(a)に示されるように、取付板差込部17aに差込む。この際、取付板部92の左右両側部は、差込溝17bに挿入される。したがって、取付板部92は、上方への変位が庇部17dによって規制され、下方への変位が固定用部材装着基部14によって規制された状態で、取付板差込部17aに差込まれる。
【0074】
そして、オペレータが取付板部92を固定用部材装着部17に対して更に前進させると、図10(b)及び11に示されるように、取付板部92の前端92f近傍の凸部92cが可撓性係止部材15の上面に形成された係止凸部16の上に乗上げた状態となる。この場合、取付板部92は、庇部17dによって規制されているので、上方へ変位することがない。そのため、可撓性係止部材15は、取付板部92によって下方に押圧されて弾性的に変形し、図11に示されるように、係止凸部16を含む前端15fの近傍が下方に変位する。
【0075】
続いて、オペレータが取付板部92を固定用部材装着部17に対して更に前進させると、図12に示されるように、取付板部92の前端92fが固定用部材装着部17の前壁部17cに当接し、取付板部92が停止させられる。すると、取付板部92の係止凹部93が係止凸部16の上に位置するので、可撓性係止部材15は、そのばね性によって元の形状に復元し、係止凸部16が上方に変位して係止凹部93に進入して係止される。これにより、係止凸部16の垂直面16bが係止凹部93の係止面93aと対向し、係止凸部16が係止凹部93に係止された状態となるので、取付板部92の後退が不能となって、第1コネクタ1への固定用部材91の装着が完了する。
【0076】
次に、オペレータは、手指等によって第2コネクタ101の第2ハウジング111を第1コネクタ1の第1ハウジング11に対して相対的に移動させ、第1コネクタ1に第2コネクタ101を嵌合する。なお、第1コネクタ1に第2コネクタ101を嵌合する動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0077】
そして、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了すると、図12に示されるように、第2ハウジング111の係止部材停止部117の上面が、第1コネクタ1の可撓性係止部材15の前端15fの近傍における下面に当接又は近接した状態になる。これにより、前記可撓性係止部材15の前端15fの下方への変位が阻止されるので、取付板部92の後退が確実に不能となり、固定用部材91の装着解除が確実に防止される。
【0078】
なお、前記クリップ部95は、固定用部材91が第1コネクタ1に装着される前に、構造用部材に固定されていてもよいし、固定用部材91が第1コネクタ1に装着された後に、構造用部材に固定されてもよいし、固定用部材91が第1コネクタ1に装着され、更に、第2コネクタ101が第1コネクタ1に嵌合された後に、構造用部材に固定されてもよい。
【0079】
このように、本実施の形態において、固定用部材91は、固定用部材装着部17に装着される平板状の取付板部92と、取付板部92の一面に接続され、構造用部材に固定されるクリップ部95とを含む。したがって、第1コネクタ1を構造用部材に容易に固定することができる。
【0080】
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本開示は、コネクタに適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 第1コネクタ
11 第1ハウジング
11r、111r、115r 後端
12、112 覆部
12a ロック凸部
12b 嵌入凹部
12f、15f、92f、111f 前端
13、113 端子収容凹部
14 固定用部材装着基部
14a 開口部
15 可撓性係止部材
16 係止凸部
16a 傾斜面
16b 垂直面
17 固定用部材装着部
17a 取付板差込部
17b、912a 差込溝
17c 前壁部
17d 庇部
21 第1リテーナ
91 固定用部材
92 取付板部
92b 先端陥入凹部
92c 凸部
93 係止凹部
93a 係止面
95 クリップ部
95a リテーナ部
95b フランジ部
98、198 電線
101 第2コネクタ
111 第2ハウジング
115 嵌合ロック部
116 ロック凹部
116a ロック面
117 係止部材停止部
121 第2リテーナ
811、911 ハウジング
815 係止突起
895 係止穴
891 ステー
912 ステー差込部
913 可撓性操作板
915 押圧突起
916 ロック爪
918 収容室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13