【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来例において、コンタクトプレートの第3の固定接点部との接触部は、第3の固定接点部と接触するまでの間、浮いた状態となって他の部材との接触が発生しないために、上記接触部の磨耗等が発生しないという利点を有するものの、反面、第2の固定接点部に対応する領域は常時第3の固定接点部、あるいはこれに続く走行部に圧接されているために、以下の問題がある。
【0006】
すなわち、第2の固定接点部に対する接点面は、ほぼ面当りして第2の固定接点部、あるいは走行部上を摺動するために、多くの摩耗粉が発生する。この摩耗粉は、コンタクトプレートの移動に際して該コンタクトプレートにより掃き出されるようにして第3の固定接点部への移動経路に供給され、供給量が多くなると、第2の固定接点部と第3の固定接点部との短絡が発生する。
【0007】
また、摩耗粉が第3の固定接点部上に移動すると、摺動してきたコンタクトプレートの接点面と固定接点部との間に挟まり、双方、あるいは一方の接点面を傷付けることとなり、例えば、低電流仕様に対応するために、接点面に防食性皮膜が形成されている場合には、被膜が剥離して接触不良の原因となる。
【0008】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、長期の使用による性能劣化が生じないロータリースイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば上記目的は、
中央部接点1、および固定接点部材2が固定されるターミナルベース3と、
前記中央部接点1に圧接するコンタクト突部4を一端に、他端に固定接点部材2とのコンタクト面5を備えて中央部接点1周りに回転操作され、導通回転位置において前記中央部接点1と固定接点部材2間を短絡させる可動接点部材6と、
前記ターミナルベース3に形成されて前記可動接点部材6のコンタクト面5の回転操作
時における回転方向に沿う辺縁隅角部7を支承する支承部8とを有し、
前記可動接点部材6は、回転操作に伴って前記辺縁隅角部7を摺接部として前記支承部8上を摺動してコンタクト面5が前記固定接点部材2に接触する導通回転位置に移動し、
前記固定接点部材2、および可動接点部材6の双方のコンタクト面5は、双方の接触開始から所定の接続操作角の間に他方に対する接触点が一端部から他端部に向けて移動する矩形形状に形成されるとともに、前記可動接点部材6は、接触終点側の辺縁隅角部7を前記支承部8との摺接部とするロータリースイッチ装置を提供することにより達成される。
【0010】
両端にコンタクト突部4とコンタクト面5とを有する可動接点部材6は、コンタクト突部4を中央部接点1上に圧接させた状態で中央部接点1を中心に回転操作され、固定接点部材2上に移動することにより固定接点部材2と中央部接点1間が短絡される。
【0011】
固定接点部材2への非接触状態において可動接点部材6の他端部は、コンタクト面5の
隅角部、正確には、固定接点部材2が回転操作された際に回転方向に沿う端縁の隅角部
(辺縁隅角部7)がターミナルベース3に形成された支承部8により支承されており、回転操作が加えられた際には、上記隅角部7
(以下、「辺縁隅角部」を単に「隅角部」と表記する。)が支承部8上を摺動して所定位置まで移動する。
【0012】
コンタクト面5の隅角部7を支承部8との摺動部として可動接点部材6を摺動させる本発明において、可動接点部材6と支承部8との接触面積が小さくなるために、磨耗粉の発生が抑えられ、磨耗粉の発生による不具合を効果的に防止することが可能になる。
【0013】
また、可動接点部材6のコンタクト面5にメッキ皮膜を形成している場合には、一旦少量の剥離粉が発生した後は、基材が露出するために、有害な磨耗の進行が効果的に防がれる。
【0014】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記支承部8は、前記固定接点部材2が属する平面に対して高い位置で前記可動接点部材6を支承し、支承状態において、前記可動接点部材6を固定接点部材2との接触解除方向に垂直回転した姿勢に保持するロータリースイッチ装置を構成することができる。
【0015】
支承部は、例えば、コンタクト面5の隅角部7に当接する斜面を側壁とする可動接点部材6の移動方向に長い突条として形成し、コンタクト面5との対峙部に凹溝を形成することによって、可動接点部材6をコンタクト面5が固定接点部材2に接触する回転姿勢を保持した状態で支承することも可能であるが、本発明のように、コンタクト面5の隅角部7との当接部を固定接点部材2との接触時の高さに比して高く設定し、固定接点部材2を固定接点部材2との接触時回転姿勢に対して持ち上げるようにすると、簡単な構造でコンタクト面5の非接触状態を保持することができる。
【0016】
また、本発明において、前記固定接点部材2、および可動接点部材6の双方のコンタクト面5は、双方の接触開始から所定の接続操作角の間に他方に対する接触点が一端部から他端部に向けて移動する矩形形状に形成されるとともに、前記可動接点部材6は、接触終点側の
辺縁隅角部7を前記支承部8との摺接部とする。
【0017】
本発明において、可動接点部材6の回転操作に伴って、先ず双方のコンタクト面5同士が一端部で接触し(接触開始点)、この後、接触部位は他端部側に移動して最終接触領域同士が接触する。この結果、高電流仕様で運用された場合であっても、接触開始時のアーク放電による接触面の劣化部位は接触開始点に限られ、最終接触領域での良好な接触が保証されるために、低電流、高電流双方の仕様での使用が可能になる。
【0018】
また、接触終点側の隅角部7を支承部8との摺接部とすると、アーク放電による溶融飛沫等による摺接部の損傷を防止することが可能になる。
【0019】
この場合、
前記固定接点部材2と可動接点部材6双方のコンタクト面5には防食用導電加工が施されるロータリースイッチ装置を構成すると、低電流仕様と高電流仕様への共用化が可能になる。
【0020】
すなわち、コンタクト面5に防食用導電加工を施すことにより、腐食が防止され、高接点圧での摺動によるクリーニング作用に頼ることなく接触面が清浄に保持される。
【0021】
この結果、低電流用として使用した場合にも、接触面腐食が発生することなく、絶縁性皮膜の発生による接触不良の発生が防がれる。
【0022】
また、両接点は可動接点部材6の回転とともに双方の接触点が一端部から他端部に移動するために、アーク放電による接解部膜損傷が発生しても、接続操作角においては、双方の接触面は清浄な表面状態が維持されるために接触不良が発生することはない。
【0023】
防食用導電加工面は、銅等の導電金属による基材の表面に銀メッキを施すことにより得ることができる。
【0024】
したがって本発明において、同一の構造を高電流用としても使用することも可能になるために、定格電流毎に複数種のロータリースイッチを設定する必要がなくなる。
【0025】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
同一の円形移動軌跡上を走行する複数の可動接点部材6を含むロータリースイッチ装置を構成した場合には、スペースを有効利用することができるために、装置の小型化が可能になる。