特許第6774219号(P6774219)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774219
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】ロータリースイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 19/02 20060101AFI20201012BHJP
   H01H 1/36 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   H01H19/02 C
   H01H1/36 Z
   H01H19/02 E
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-99039(P2016-99039)
(22)【出願日】2016年5月17日
(65)【公開番号】特開2017-208200(P2017-208200A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(74)【代理人】
【識別番号】100128864
【弁理士】
【氏名又は名称】川岡 秀男
(72)【発明者】
【氏名】岡田 高裕
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−103495(JP,A)
【文献】 実開平05−006562(JP,U)
【文献】 特開平11−086680(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3126688(JP,U)
【文献】 特開2015−210933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 19/00−21/88
H01H 15/00−15/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部接点、および固定接点部材が固定されるターミナルベースと、
前記中央部接点に圧接するコンタクト突部を一端に、他端に固定接点部材とのコンタクト面を備えて中央部接点周りに回転操作され、導通回転位置において前記中央部接点と固定接点部材間を短絡させる可動接点部材と、
前記ターミナルベースに形成されて前記可動接点部材のコンタクト面の回転操作時における回転方向に沿う辺縁隅角部を支承する支承部とを有し、
前記可動接点部材は、回転操作に伴って前記辺縁隅角部を摺接部として前記支承部上を摺動してコンタクト面が前記固定接点部材に接触する導通回転位置に移動し、
前記固定接点部材、および可動接点部材の双方のコンタクト面は、双方の接触開始から所定の接続操作角の間に他方に対する接触点が一端部から他端部に向けて移動する矩形形状に形成されるとともに、前記可動接点部材は、接触終点側の辺縁隅角部を前記支承部との摺接部とするロータリースイッチ装置。
【請求項2】
前記支承部は、前記固定接点部材が属する平面に対して高い位置で前記可動接点部材を支承し、支承状態において、前記可動接点部材を固定接点部材との接触解除方向に垂直回転した姿勢に保持する請求項1記載のロータリースイッチ装置。
【請求項3】
前記固定接点部材と可動接点部材双方のコンタクト面には防食用導電加工が施される請求項1記載のロータリースイッチ装置。
【請求項4】
同一の円形移動軌跡上を走行する複数の可動接点部材を含む請求項1から3のいずれかに記載のロータリースイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリースイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
可動接点部材を回転させて固定接点に接触させるロータリースイッチ装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において、絶縁材により形成されるターミナルベースの中心部には円形の第1の固定接点部が露出配置されるとともに、この第1の固定接点部を囲むように、第2、第3の固定接点部が配置される。
【0003】
可動接点部材(コンタクトプレート)は、ロータに保持されて第1の固定接点部周りに回転駆動され、第3の固定接点部に対して導通を取らない場合には、一端が第1の固定接点部に、他端がターミナルベースに形成された走行部、あるいは第2の固定接点部により支承される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-103495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来例において、コンタクトプレートの第3の固定接点部との接触部は、第3の固定接点部と接触するまでの間、浮いた状態となって他の部材との接触が発生しないために、上記接触部の磨耗等が発生しないという利点を有するものの、反面、第2の固定接点部に対応する領域は常時第3の固定接点部、あるいはこれに続く走行部に圧接されているために、以下の問題がある。
【0006】
すなわち、第2の固定接点部に対する接点面は、ほぼ面当りして第2の固定接点部、あるいは走行部上を摺動するために、多くの摩耗粉が発生する。この摩耗粉は、コンタクトプレートの移動に際して該コンタクトプレートにより掃き出されるようにして第3の固定接点部への移動経路に供給され、供給量が多くなると、第2の固定接点部と第3の固定接点部との短絡が発生する。
【0007】
また、摩耗粉が第3の固定接点部上に移動すると、摺動してきたコンタクトプレートの接点面と固定接点部との間に挟まり、双方、あるいは一方の接点面を傷付けることとなり、例えば、低電流仕様に対応するために、接点面に防食性皮膜が形成されている場合には、被膜が剥離して接触不良の原因となる。
【0008】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、長期の使用による性能劣化が生じないロータリースイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば上記目的は、
中央部接点1、および固定接点部材2が固定されるターミナルベース3と、
前記中央部接点1に圧接するコンタクト突部4を一端に、他端に固定接点部材2とのコンタクト面5を備えて中央部接点1周りに回転操作され、導通回転位置において前記中央部接点1と固定接点部材2間を短絡させる可動接点部材6と、
前記ターミナルベース3に形成されて前記可動接点部材6のコンタクト面5の回転操作
時における回転方向に沿う辺縁隅角部7を支承する支承部8とを有し、
前記可動接点部材6は、回転操作に伴って前記辺縁隅角部7を摺接部として前記支承部8上を摺動してコンタクト面5が前記固定接点部材2に接触する導通回転位置に移動し、
前記固定接点部材2、および可動接点部材6の双方のコンタクト面5は、双方の接触開始から所定の接続操作角の間に他方に対する接触点が一端部から他端部に向けて移動する矩形形状に形成されるとともに、前記可動接点部材6は、接触終点側の辺縁隅角部7を前記支承部8との摺接部とするロータリースイッチ装置を提供することにより達成される。
【0010】
両端にコンタクト突部4とコンタクト面5とを有する可動接点部材6は、コンタクト突部4を中央部接点1上に圧接させた状態で中央部接点1を中心に回転操作され、固定接点部材2上に移動することにより固定接点部材2と中央部接点1間が短絡される。
【0011】
固定接点部材2への非接触状態において可動接点部材6の他端部は、コンタクト面5の隅角部、正確には、固定接点部材2が回転操作された際に回転方向に沿う端縁の隅角部(辺縁隅角部7)がターミナルベース3に形成された支承部8により支承されており、回転操作が加えられた際には、上記隅角部7(以下、「辺縁隅角部」を単に「隅角部」と表記する。)が支承部8上を摺動して所定位置まで移動する。
【0012】
コンタクト面5の隅角部7を支承部8との摺動部として可動接点部材6を摺動させる本発明において、可動接点部材6と支承部8との接触面積が小さくなるために、磨耗粉の発生が抑えられ、磨耗粉の発生による不具合を効果的に防止することが可能になる。
【0013】
また、可動接点部材6のコンタクト面5にメッキ皮膜を形成している場合には、一旦少量の剥離粉が発生した後は、基材が露出するために、有害な磨耗の進行が効果的に防がれる。
【0014】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記支承部8は、前記固定接点部材2が属する平面に対して高い位置で前記可動接点部材6を支承し、支承状態において、前記可動接点部材6を固定接点部材2との接触解除方向に垂直回転した姿勢に保持するロータリースイッチ装置を構成することができる。
【0015】
支承部は、例えば、コンタクト面5の隅角部7に当接する斜面を側壁とする可動接点部材6の移動方向に長い突条として形成し、コンタクト面5との対峙部に凹溝を形成することによって、可動接点部材6をコンタクト面5が固定接点部材2に接触する回転姿勢を保持した状態で支承することも可能であるが、本発明のように、コンタクト面5の隅角部7との当接部を固定接点部材2との接触時の高さに比して高く設定し、固定接点部材2を固定接点部材2との接触時回転姿勢に対して持ち上げるようにすると、簡単な構造でコンタクト面5の非接触状態を保持することができる。
【0016】
また、本発明において、前記固定接点部材2、および可動接点部材6の双方のコンタクト面5は、双方の接触開始から所定の接続操作角の間に他方に対する接触点が一端部から他端部に向けて移動する矩形形状に形成されるとともに、前記可動接点部材6は、接触終点側の辺縁隅角部7を前記支承部8との摺接部とする。
【0017】
本発明において、可動接点部材6の回転操作に伴って、先ず双方のコンタクト面5同士が一端部で接触し(接触開始点)、この後、接触部位は他端部側に移動して最終接触領域同士が接触する。この結果、高電流仕様で運用された場合であっても、接触開始時のアーク放電による接触面の劣化部位は接触開始点に限られ、最終接触領域での良好な接触が保証されるために、低電流、高電流双方の仕様での使用が可能になる。
【0018】
また、接触終点側の隅角部7を支承部8との摺接部とすると、アーク放電による溶融飛沫等による摺接部の損傷を防止することが可能になる。
【0019】
この場合、
前記固定接点部材2と可動接点部材6双方のコンタクト面5には防食用導電加工が施されるロータリースイッチ装置を構成すると、低電流仕様と高電流仕様への共用化が可能になる。
【0020】
すなわち、コンタクト面5に防食用導電加工を施すことにより、腐食が防止され、高接点圧での摺動によるクリーニング作用に頼ることなく接触面が清浄に保持される。
【0021】
この結果、低電流用として使用した場合にも、接触面腐食が発生することなく、絶縁性皮膜の発生による接触不良の発生が防がれる。
【0022】
また、両接点は可動接点部材6の回転とともに双方の接触点が一端部から他端部に移動するために、アーク放電による接解部膜損傷が発生しても、接続操作角においては、双方の接触面は清浄な表面状態が維持されるために接触不良が発生することはない。
【0023】
防食用導電加工面は、銅等の導電金属による基材の表面に銀メッキを施すことにより得ることができる。
【0024】
したがって本発明において、同一の構造を高電流用としても使用することも可能になるために、定格電流毎に複数種のロータリースイッチを設定する必要がなくなる。
【0025】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
同一の円形移動軌跡上を走行する複数の可動接点部材6を含むロータリースイッチ装置を構成した場合には、スペースを有効利用することができるために、装置の小型化が可能になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれは、可動接点部材の支承部との摺動部を固定接点部材との接触部から分離 できるために、長期にわたって高い接続信頼性を保持することかできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明が適用されたステアリングロック装置を示す断面図である。
図2】イグニッションスイッチの分解斜視図である。
図3】固定接点の配置を示す図である。
図4】LOCK位置における可動接点部材の位置を示す図である。
図5】断面図で、(a)は図4の5A-5A線断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
図6】ON位置に至る接触初期の状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)の6B-6B線断面図である。
図7】ON位置における可動接点部材の位置を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)の7B-7B線断面図である。
図8】可動接点部材を示す図で、(a)は側面図、(b)は(a)の8B方向矢視図である。
図9】イグニッションスイッチの接点の導通状態を示すチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1以下にステアリングロック装置に使用されるイグニッションスイッチとして構成された本発明のロータリースイッチ装置を示す。本例のステアリングロック装置は、ハウジング9内に収容されるシリンダ錠10、シリンダ錠10のプラグ10aの終端に連結されるカム部材11を有し、図外のステアリングコラムに固定される。
【0029】
ハウジング9にはカム部材11の回転軸に所定角度で交差する方向に進退してステアリングコラム内に突出するロック位置と、ハウジング9内に収容されるアンロック位置との間を移動するロックピース12が装着される。ロックピース12は圧縮スプリング13によりロック位置方向に付勢されており、シリンダ錠10のプラグ10aをロック回転位置から回転操作すると、ステアリングシャフトに係止するロック位置から係止解除されるアンロック位置に移動し、ステアリングシャフトの操作が可能になる。
【0030】
また、上記ハウジング9には、プラグ10aの回転に伴って所定の端子間を導通させ、車両の電装系への給電状態を変更するイグニッションスイッチが連結される。プラグ10aの回転操作をイグニッションスイッチに伝達するために、ハウジング9には、上記カム部材11に噛合してカム部材11とともに回転する連結バー14が配置される。
【0031】
図2に示すように、イグニッションスイッチは、平面視円形のターミナルベース3を備えたスイッチケース15と、スイッチケース15に対して上記ターミナルベース3の中心周りに回転自在な回転可動部16と、スイッチケース15に連結されて回転可動部16を覆うスイッチカバー17とを有し、絶縁材料により形成されるターミナルベース3には中央部接点1と固定接点部材2とが回転可動部16との回転境界面に露出した状態で配置される。
【0032】
上記中央部接点1、および各固定接点部材2は、配線を経由してスイッチケース15内に引き出される。
【0033】
回転可動部16は絶縁材料により形成され、一端部に上記連結バー14との連結孔16aが形成される。この回転可動部16は、トーションスプリング18によりSTART位置からON位置に戻るときのみ付勢され、クリックスプリング19により付勢されるクリックボール20をスイッチカバー17内壁の溝にはめることにより適宜の接続操作角で節度回転する。
【0034】
さらに回転可動部16には、所定板厚を有する板状の可動接点部材6が板厚面をターミナルベース3に向けて収容される。可動接点部材6は、一端にV字突起形状のコンタクト突部4を、他端に平板状のコンタクト面5を有しており、コンタクト突部4の先端には後述する中央部接点1に圧接した際に接触状態を良好に保つためにアール面取りが形成される。可動接点部材6における平板状のコンタクト面5は、固定接点部材2と支承部8との間を行き来する際に、可動接点部材6がスムーズに支承部8に乗り上げるために、図8(b)に示すように、V字形状になるように形成される。
【0035】
このように可動接点部材6をV字形状とすることで、可動接点部材6が固定接点部材2に接触するタイミングを早くすることができる。
【0036】
以上のように形成される可動接点部材6は、後述する各固定接点部材2に対応して3枚使用される。
【0037】
各可動接点部材6は、図1に示すように、回転可動部16に形成された収容溝16b内に収容されて回転軸(RA)に沿う方向に移動自在であり、回転可動部16に収容されてコンタクト突部4、およびコンタクト面5の背面を押圧する圧縮スプリング21によりターミナルベース3の表面側に付勢される。
【0038】
本例によるイグニッションスイッチは、プラグ10aをLOCK、ON、START位置の順で回転操作した際に、+IGN1、+IGN2、およびSTARTの3個の出力端子に電源端子から入力された電源電圧を出力するように形成される。図9は各端子への給電動作を示すもので、プラグ10aのLOCK位置からON位置への移動によって+IGN2端子、+IGN1端子の順で給電される。この後、START位置まで回転させると、まず、+IGN2端子への給電が停止された後、給電状態が維持された+IGN1端子に加えてSTART端子への給電が開始される。
【0039】
上述したシーケンスは、電源端子に接続され、ターミナルベース3の中心部に配置される中央部接点1と、中央部接点1の周りに配置され、+IGN1端子、+IGN2端子、およびSTART端子に接続される固定接点部材2とを上述した可動接点部材6により短絡させることにより実現される。
【0040】
中央部接点1における可動接点部材6の摺動軌跡は、相互に重なると、重なった部位での摩耗機会が増加する。これを防止するために、図7(a)において鎖線で示すように、回転範囲が重なりあう+IGN1端子に断接する可動接点部材6と、+IGN2端子に断接する可動接点部材6は中央部接点1上で径の異なった円弧(AC1、AC2)に沿って移動する。
【0041】
上記固定接点部材2、および可動接点部材6の表面には、高い接点圧力によるセルフクリーニング作用を要することなく接触面での腐食発生を防止してコンタクト信頼性を高めるために、防食用導電加工としての銀メッキが施される。
【0042】
以上の3個の固定接点部材2は、図3に示すように、ターミナルベース3に形成される3個の支承部8の終端位置に各々配置される。各固定接点部材2は、支承部8に交差する矩形形状に形成されるとともに、支承部8は、ターミナルベース3の中心に対する2個の同心円上に配置されており、図5(b)に示すように、中央部接点1に対し、H8だけ高い突条として形成され、固定接点部材2は、図6(b)に示すように、表面が中央部接点1に対してH2だけ高く、かつ、支承部8の高さに比して低くなるように配置される。
【0043】
さらに、上記中央部接点1、固定接点部材2、および支承部8は、周囲が凹部22に囲まれた浮島状に形成され、固定接点部材2間、支承部8と固定接点部材2間での磨耗粉、アーク放電による溶融飛沫の凝固粉の伝搬が規制される。
【0044】
上記支承部8は、可動接点部材6が固定接点部材2上に接触しない非導通状態において、可動接点部材6のコンタクト突部4に対する反対端を支承し、可動接点部材6が回転操作される際の走行路として機能する。
【0045】
図5(b)に示すように、可動接点部材6の支承は、コンタクト面5のコンタクト突部4側の隅角部7を支承部8に載せて行われており、この状態で、コンタクト面5は浮き上がった状態となり、非導通時、および走行時における支承部8との接触が防がれる。
【0046】
この状態から可動接点部材6を図4において時計回りに回転操作すると、可動接点部材6は、支承部8との接触部を摺動部として支承部8上を走行した後、支承部8の終端に形成された傾斜面8aに乗り上げる。傾斜面8aは、漸次低背となるように形成されており、傾斜面8aに移動した可動接点部材6は、垂直回転角度(θ:図5(b)参照)を小さくしながら水平姿勢近傍まで垂直回転し、図6に示すように、固定接点部材2上にランディングする。
【0047】
この状態で可動接点部材6は固定接点部材2の長手方向一端部の端縁を折り曲げた屈曲部に接触しており、さらに可動接点部材6に対する回転操作を続けると、可動接点部材6との接触点は、長手方向反対端側で、幅方向には図6(b)、図7(b)における寸法(δ)が増える方向、すなわち、可動接点部材6の回転中心に接近する方向にやや寄った最終接触位置に移動する。
【0048】
一方、可動接点部材6のコンタクト面5の固定接点部材2との接触点は、図8に示すように、接触開始点6aから可動接点部材6の回転に伴って隅角部7側方向に最終接触点6bまで移動する。
【0049】
この結果、本例のイグニッションスイッチを高電流使用で使用し、接触開始点においてアーク放電が発生して表面状態が劣化した場合であっても、最終接触位置は、アーク放電位置(接触開始点)から離れて位置するために、接触不良を確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 中央部接点
2 固定接点部材
3 ターミナルベース
4 コンタクト突部
5 コンタクト面
6 可動接点部材
7 隅角部
8 支承部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9