(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
1.トナー外添剤
本発明のトナー外添剤は、ポリメチルシルセスキオキサン粒子で構成され、個数平均粒子径が0.001μm以上、0.10μm未満であるところに特徴がある。
上述の特許文献で使用されているシリコーン粒子は0.1μm以上の平均粒子径を有するものであり、これよりも小さな平均粒子径を有するシリコーン粒子をトナー外添剤として使用する技術はこれまで知られていない。また通常、粒子径が小さくなるほど表面積が増して分子間力が強くなるため、凝集が生じ易くなる。トナー外添剤としての効果を発揮するには、トナー外添剤がトナー粒子表面に均一に付着することが理想的であり、そのためにはトナー外添剤の凝集は好ましくない。したがって、凝集を抑制するためには粒子径が大きい方がよいと言うのが技術常識である。
しかしながら、驚くべきことに、ポリメチルシルセスキオキサン粒子から構成され、個数平均粒子径が0.001μm以上、0.10μm未満であるトナー外添剤は、粒子径が小さいほど凝集し、トナーの流動性を悪化させるとのこれまでの認識に反して、良好な流動性をトナー組成物に付与できることを本発明者らは見出し、本発明を完成した。
【0008】
ポリメチルシルセスキオキサン粒子の個数平均粒子径は0.005μm以上であるのが好ましく、より好ましくは0.007μm以上であり、0.080μm以下であるのが好ましく、より好ましくは0.050μm以下である。個数平均粒子径が大きすぎると、トナー外添剤として用いた場合に、トナー粒子に付着するポリメチルシルセスキオキサン粒子の粒子数が少なくなってトナー流動性の向上が不十分になる虞があり、一方、個数平均粒子径が小さすぎても、ポリメチルシルセスキオキサン粒子どうしの凝集が強くなってトナー粒子の表面に均一に付着させることが困難になりトナー流動性の向上が不十分になる虞がある。個数平均粒子径が上記範囲内であるポリメチルシルセスキオキサン粒子は、これまでトナー流動性の向上に使用されてきたシリカ粒子を超える流動性をトナーに付与することができる。個数平均粒子径が小さければ、同じ添加量でもトナー粒子に付着する粒子数が増え、トナー粒子表面をより均一に被覆できることが、トナー流動性向上の一つの理由であると考えている。また、上記個数平均粒子径を有するポリメチルシルセスキオキサン粒子はトナー帯電量への影響が小さく、トナー流動性のみを向上できるので、トナーの設計が容易になるという利点もある。ポリメチルシルセスキオキサン粒子の粒子径は、光散乱法により測定することができる。
【0009】
ポリメチルシルセスキオキサン粒子の粒子径の変動係数は50%以下であるのが好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下であり、小さいほど好ましいが、下限は、例えば2%、さらには3%であることも許容される。変動係数が上記範囲内であれば、ポリメチルシルセスキオキサン粒子が付着することにより、トナー粒子表面に満遍なく均一な高さの凸部が形成されるので、トナー粒子間での付着が防止され、トナーの流動性が良好になる。粒子径の変動係数は、下記式で表される値である。
粒子径の変動係数(%)=(粒子径の標準偏差/個数平均粒子径)×100
【0010】
ポリメチルシルセスキオキサン粒子は、アニオン性界面活性剤を含むものであるのが好ましい。アニオン性界面活性剤としては、後述するポリシルセスキオキサン粒子の製造方法で使用できるものが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、分子内にオキシアルキレン単位を含むものが好ましい。
【0011】
ポリメチルシルセスキオキサン粒子は、3官能性の有機ケイ素モノマーの加水分解縮合により製造でき、本発明でも従来公知のポリメチルシルセスキオキサン粒子の製造方法を採用することができる。なお、粒子径が均一で凝集物の少ないポリメチルシルセスキオキサン粒子を得る観点からは、式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」という場合がある)の加水分解物、水及びアニオン性界面活性剤(s1)を含む加水分解液(a)と、
CH
3Si(OR)
3・・・(1)
[式(1)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
水、塩基触媒及びアニオン性界面活性剤(s2)を含む析出液(b)とを混合する工程を含む方法により製造することが好ましい。
加水分解液(a)と析出液(b)のいずれにもアニオン性界面活性剤が含まれているため、加水分解液(a)と析出液(b)とを混合する際に反応液を均一に混合することが容易になり、前記化合物(1)の加水分解物の縮合反応が均一に進みやすくなる。その結果、ポリメチルシルセスキオキサン粒子を均一な粒子径で製造することができ、該ポリメチルシルセスキオキサン粒子の分散安定性も良好となる。
【0012】
加水分解液(a)には、化合物(1)の加水分解物、水およびアニオン性界面活性剤(s1)が含まれる。
上記式(1)において、Rは炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜3、より好ましくは炭素数1〜2)のアルキル基であり、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。Rとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
化合物(1)としては、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシランなどが挙げられる。
【0013】
化合物(1)の加水分解物とは、−ORの加水分解により形成された−OH(シラノール基)を含む化合物であり、CH
3Si(OR)
2(OH)、CH
3Si(OR)(OH)
2、CH
3Si(OH)
3等が挙げられ、CH
3Si(OH)
3を含むことが好ましい。また前記化合物(1)の加水分解物は、加水分解物に含まれる−OH(シラノール基)の一部が縮合してSi−O−Si結合を形成している化合物(以下、「部分縮合物」という場合がある。)を含んでいてもよい。加水分解物に含まれる−OH(シラノール基)の一部が縮合していても、加水分解液(a)及び析出液(b)にアニオン性界面活性剤が含まれているため、反応を均一に進めることができる。
【0014】
加水分解液(a)中、化合物(1)の加水分解物に含まれるケイ素原子のモル濃度は、0.1mmol/g以上であることが好ましく、より好ましくは1mmol/g以上、さらに好ましくは2mmol/g以上であり、10mmol/g以下であることが好ましく、より好ましくは7mmol/g以下、さらに好ましくは5mmol/g以下である。
【0015】
前記アニオン性界面活性剤(s1)としては、脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸油等のカルボン酸型アニオン性界面活性剤;ジアルキルスルホこはく酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホこはく酸塩、アルカンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩等のスルホン酸型アニオン性界面活性剤;アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、油脂硫酸エステル塩等の硫酸エステル型アニオン性界面活性剤;アルキルりん酸塩、アルキルりん酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルりん酸塩等のりん酸エステル型アニオン性界面活性剤;等が挙げられ、スルホン酸型アニオン性界面活性剤、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤が好ましく、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤がより好ましい。
【0016】
アニオン性界面活性剤(s1)としては、具体的には、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル硫酸ナトリウム(好ましくは、ポリオキシエチレン分岐デシルエーテル硫酸ナトリウム)、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル・モノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキル(C8)エーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(C8)エーテルリン酸エステル・モノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキル(C12,13)エーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(C10)エーテルリン酸エステル等のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホこはく酸二ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル(C12〜14)スルホこはく酸二ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルスルホこはく酸塩;ポリオキシエチレンスチレン化フェニエーテルリン酸エステル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルりん酸塩;オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリなどの脂肪酸油;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩;アルカンスルホン酸塩;ジアルキルスルホこはく酸塩;アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合物、等が挙げられる。
【0017】
また、前記アニオン性界面活性剤(s1)としては、分子内にオキシアルキレン単位(−R
1O−単位(R
1は、炭素数2〜3のアルキレン基を表し、好ましくはエチレン基を表す))を含むことが好ましい。ポリメチルシルセスキオキサン粒子の粒子径をよりいっそう均一にし易くなるとともに、得られるポリメチルシルセスキオキサン粒子をより真球状に近づけることが容易となる。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホこはく酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルりん酸塩等のオキシエチレン単位を含むアニオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩がより好ましく、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウムがさらに好ましい。
【0018】
アニオン性界面活性剤(s1)の含有量は、加水分解液(a)に用いられる化合物(1)100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、特に好ましくは5質量部以上、さらには10質量部以上であってもよく、50質量部以下であることが好ましく、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。
アニオン性界面活性剤の使用量を増やすとポリメチルシルセスキオキサン粒子の粒子径が均一になり易くなり、また、ポリメチルシルセスキオキサン粒子の凝集を抑制し易くなる。また、アニオン性界面活性剤の使用量が抑制されていると、反応液の発泡を低減し易くなり、粗大粒子の生成を抑制し易くなる。
【0019】
加水分解液(a)は、さらに酸触媒を含むことが好ましい。加水分解液(a)に酸触媒が含まれることで、化合物(1)及びその加水分解物の加水分解反応の制御が容易になる。加水分解液(a)に含まれる酸触媒としては、有機酸、無機酸のいずれも使用可能であり、好ましくはそれらの水溶液が用いられる。具体的には、有機酸としてはギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸などが例示され、無機酸としては塩酸、硫酸、硝酸、りん酸などが例示されるが、入手が容易で取り扱い性にも優れる点で有機酸が好ましく、酢酸が特に好ましい。
加水分解液(a)に酸触媒が含まれる場合、その含有量は、化合物(1)の加水分解物に含まれるケイ素原子100モルに対して、0.001モル以上であることが好ましく、より好ましくは0.01モル以上であり、0.5モル以下であることが好ましく、より好ましくは0.3モル以下、さらに好ましくは0.1モル以下である。
【0020】
加水分解液(a)のpHは、2.0以上であることが好ましく、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3.0以上であり、5.5以下であることが好ましく、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4.0以下である。
【0021】
加水分解液(a)に用いられる水と化合物(1)との仕込み比(水/化合物(1))は、モル基準で、2以上であることが好ましく、より好ましくは4以上、さらに好ましくは6以上であり、20以下であることが好ましく、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下である。
【0022】
前記加水分解液(a)には、アルコール(ROH)が含まれていてもよい。アルコールとしては、Rとして例示した基に−OHが結合した基が挙げられる。
アルコールの含有率は、加水分解液(a)100質量%中、10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは37質量%以下である。
【0023】
化合物(1)の加水分解物と、水と、必要に応じて用いられる酸触媒と、アニオン性界面活性剤(s1)と、必要に応じて含まれるアルコールの合計の含有率は、加水分解液(a)100質量%中、80質量%以上であることが好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である。
【0024】
前記加水分解液(a)は、化合物(1)と、水と、アニオン性界面活性剤(s1)と、必要に応じて用いる酸触媒を混合することにより製造することができる。酸触媒を用いて化合物(1)を加水分解することにより、加水分解反応が均一に進みやすくなる。
また、化合物(1)と、水と、必要に応じて用いる酸触媒とを混合して、予備加水分解液を調製する工程と、該予備加水分解液とアニオン性界面活性剤(s1)とを混合して加水分解液(a)を調製する工程とにより製造することが好ましい。予め予備加水分解液を調製し、この予備加水分解液とアニオン性界面活性剤(s1)とを混合することで、アニオン性界面活性剤(s1)による加水分解反応への影響が抑制され、得られるポリメチルシルセスキオキサン粒子の粒子径の制御が容易となる。
【0025】
前記予備加水分解液には、化合物(1)の加水分解物と、必要に応じて用いる酸触媒と、水とが含まれており、アルコール(ROH)が含まれていてもよい。
【0026】
前記予備加水分解液のpHは2.0以上であることが好ましく、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3.0以上であり、5.5以下であることが好ましく、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4.0以下である。
【0027】
化合物(1)と、水と、必要に応じて用いる酸触媒と、必要に応じて同時に混合するアニオン性界面活性剤(s1)とを混合する温度は、0℃以上であることが好ましく、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは15℃以上であり、80℃以下であることが好ましく、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下である。
また、化合物(1)と、水と、必要に応じて用いる酸触媒と、必要に応じて同時に混合するアニオン性界面活性剤(s1)とを混合する時間は、10分以上であることが好ましく、より好ましくは20分以上、さらに好ましくは30分以上であり、200分以下であることが好ましく、より好ましくは120分以下、さらに好ましくは90分以下である。
化合物(1)を加水分解すると、化合物(1)に含まれる−ORが順次−OHに変換され、生成した−OH同士が縮合してSi−O−Si結合が生じる。これらの加水分解・縮合反応は、並行して進行する場合があり、調製時の温度や時間を上記範囲に制御することで、加水分解液(a)と析出液(b)とを混合する際に、化合物(1)の加水分解・縮合反応の程度を適切な範囲に制御することが容易となる。
【0028】
析出液(b)は、水、塩基触媒及びアニオン性界面活性剤(s2)を含む。析出液(b)に塩基触媒を用いることで、縮合反応の速度を高めることができる。
【0029】
塩基触媒としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物(好ましくはアルカリ金属水酸化物);アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン等のアミン類;が挙げられる。中でも、生成するポリメチルシルセスキオキサン粒子の用途を制限するような不純物を低減することができ、粒子からの除去も容易な点から、アミン類が好ましく、アンモニアが特に好ましい。
【0030】
析出液(b)に含まれる塩基触媒の含有量は、加水分解液(a)中の化合物(1)の加水分解物に含まれるケイ素原子100モルに対して、0.01モル以上であることが好ましく、より好ましくは0.05モル以上であり、さらに好ましくは0.1モル以上、特に好ましくは1モル以上であってもよく、20モル以下であることが好ましく、より好ましくは15モル以下、さらに好ましくは10モル以下である。
【0031】
また、前記析出液(b)のpHは、8.0以上であることが好ましく、より好ましくは8.5以上、さらに好ましくは9.0以上であり、13.0以下であることが好ましく、より好ましくは12.5以下、さらに好ましくは12.0以下である。
【0032】
前記アニオン性界面活性剤(s2)としては、アニオン性界面活性剤(s1)と同一でも異なっていてもよく、アニオン性界面活性剤(s1)として例示したものと同様の化合物が挙げられる。なかでもスルホン酸型アニオン性界面活性剤、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤が好ましく、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤がより好ましい。
【0033】
また、前記アニオン性界面活性剤(s2)としては、分子内に−R
1O−単位(R
1は、炭素数2〜3のアルキレン基を表し、好ましくはエチレン基を表す)を含むことが好ましい。ポリメチルシルセスキオキサン粒子の粒子径をよりいっそう均一にし易くなる。
【0034】
アニオン性界面活性剤(s2)の含有率は、析出液(b)100質量%中、0.001質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上であり、特に好ましくは0.1質量%以上、さらには0.2質量%以上であってもよく、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
【0035】
前記析出液(b)には、ポリメチルシルセスキオキサンシード粒子(以下、単に「シード粒子」という場合がある)が含まれていてもよい。シード粒子が共存していることで、シード粒子に含まれる−OH基(シラノール基)と化合物(1)に含まれる−OH基(シラノール基)とが縮合して、シード粒子の周囲にポリメチルシルセスキオキサンが形成されるため、得られるポリメチルシルセスキオキサン粒子の粒子径の制御が容易となる。シード粒子としては、ポリメチルシルセスキオキサン粒子(化合物(1)の単独重合体)が好ましい。
【0036】
上記加水分解液(a)と、析出液(b)とを混合することにより、化合物(1)の加水分解物に含まれる−OH基(シラノール基)の縮合反応が進行してSi−O−Si結合が形成され、ポリメチルシルセスキオキサン粒子が生成する。加水分解液(a)と析出液(b)の両方にアニオン性界面活性剤が含まれているため、混合の当初から均一に混合することが容易となり、縮合反応が均等に進むためか、粒子径の均一なポリメチルシルセスキオキサン粒子を得ることが可能となる。得られたポリメチルシルセスキオキサン粒子は、反応液中で分散状態にあることが好ましい。
【0037】
加水分解液(a)と析出液(b)の混合方法としては特に限定されず、1)加水分解液(a)及び析出液(b)を調製したのち、加水分解液(a)を一括添加、連続滴下、或いはノズルなどを介して前記析出液(b)に送入する方法、2)加水分解液(a)及び析出液(b)を調製したのち、析出液(b)を一括添加、連続滴下、或いはノズルなどを介して加水分解液(a)に送入する方法など任意の方法を適用することができる。
【0038】
中でも、加水分解液(a)及び析出液(b)を調整したのち、加水分解液(a)を前記析出液(b)に連続滴下する方法が、粒子径を均一に制御し粒子同士の凝集を効率的に防止できる点で好ましい。
ここで加水分解液(a)を連続滴下する場合の滴下時間は10分〜300分が好ましく、より好ましくは30分〜200分である。また、加水分解液(a)の滴下速度は、0.5g/分以上であることが好ましく、より好ましくは1g/分以上、さらに好ましくは1.5g/分以上であり、10g/分以下であることが好ましく、より好ましくは7g/分以下、さらに好ましくは5g/分以下である。
【0039】
加水分解液(a)は、析出液(b)100質量部に対して5質量部以上であることが好ましく、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは12質量部以上であり、60質量部以下であることが好ましく、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは45質量部以下である。
【0040】
また、加水分解液(a)と析出液(b)を混合して得られる混合液(c)において、水と化合物(1)の加水分解物に含まれるケイ素原子のモル比(水/Si)は、20以上であることが好ましく、より好ましくは30以上、さらに好ましくは40以上であり、120以下であることが好ましく、より好ましくは100以下、さらに好ましくは90以下である。
【0041】
前記混合液(c)のpHは、8.0以上であることが好ましく、より好ましくは8.5以上、さらに好ましくは9.0以上であり、13.0以下であることが好ましく、より好ましくは12.5以下、さらに好ましくは12.0以下である。
【0042】
加水分解液(a)と析出液(b)とを混合することで、化合物(1)の加水分解物の脱水縮合が進行し、ポリメチルシルセスキオキサン粒子が析出する。析出時の反応温度は10℃以上であることが好ましく、より好ましくは15℃以上であり、40℃以下であることが好ましく、より好ましくは35℃以下である。
【0043】
さらに化合物(1)の加水分解物の脱水縮合を促進する観点から、加水分解液(a)を全量添加した後に熟成を行うことが好ましい。熟成温度は25℃以上であることが好ましく、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは45℃以上であり、70℃以下であることが好ましく、より好ましくは65℃以下である。
【0044】
上記製造方法では、ポリメチルシルセスキオキサン粒子は反応溶液中に分散した状態で得られるが、トナー外添剤として用いる場合は、反応溶液から回収したポリメチルシルセスキオキサン粒子の微粉体を用いることが好ましい。ポリメチルシルセスキオキサン粒子微粉体の回収方法は特に限定されず、例えば、ろ過、乾燥、必要に応じて解砕、分級等の処理を施すことにより、乾燥したポリメチルシルセスキオキサン粒子(微粉体)が得られる。
微粉体を得るための乾燥には、スプレードライヤー、円錐型リボン混合等の乾燥機が使用できる。乾燥後のポリメチルシルセスキオキサンは必要に応じて解砕や分級等の工程に供してもよい。
【0045】
2.トナー組成物
本発明のトナー組成物は、トナー粒子と上述のトナー外添剤とを含む。ポリメチルシルセスキオキサン粒子から構成され、特定の粒子径を有するトナー外添剤は、分散性が良好であるため、凝集しにくく、また凝集している場合であっても、容易にほぐすことができる。このため、トナー外添剤として使用すると、ポリメチルシルセスキオキサン粒子が重なりあうことなくトナー粒子に付着するため、トナー粒子表面を均一に被覆することができる。その結果、トナー組成物の流動性(トナーの流動性)が良好となる。
【0046】
トナー外添剤の含有量は、トナー粒子同士のブロッキングによる凝集を抑制する観点から、トナー粒子100質量部に対して5質量部以下であるのが好ましく、より好ましくは3質量部以下であり、さらに好ましくは2質量部以下である。定着性や転写性等の特性を維持しつつ、トナーの調製を容易にする観点から、トナー外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上とするのが好ましく、より好ましくは0.2質量部以上であり、さらに好ましくは0.5質量部以上である。
【0047】
トナー粒子としては、例えば、バインダー樹脂に着色剤や荷電制御剤を含有させたものが使用できる。バインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。着色剤としては、カーボンブラック、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、アゾ染料、ニグロシン染料、体質顔料等が挙げられる。これらの着色剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して好ましくは1質量部〜50質量部、より好ましくは1質量部〜40質量部である。荷電制御剤としては、ニグロシン染料、アジン染料、金属錯塩、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。荷電制御剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、好ましくは0質量部〜20質量部、より好ましくは0.1質量部〜10質量部である。なおトナー粒子には、上記着色剤や荷電制御剤以外にも、離型剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0048】
トナー粒子の個数平均粒子径は、1μm以上、25μm以下であることが好ましく、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、20μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下である。トナー粒子の個数平均粒子径は、コールター原理を利用した精密粒度分布測定装置により測定することができる。
【0049】
トナー粒子とトナー外添剤の平均粒子径の比率(トナー粒子/トナー外添剤)は、例えば、好ましくは10以上、より好ましくは50以上であり、20000以下であることが好ましく、より好ましくは1000以下、さらに好ましくは500以下、特に好ましくは200以下である。
【0050】
上記トナー組成物は、トナー粒子、トナー外添剤以外に環境安定性、帯電量安定化、転写効率の改善及び耐久性の向上を目的とする他の成分を含んでいてもよい。
【0051】
前記トナー組成物は、トナー粒子、トナー外添剤、及び必要により用いられる他の成分を混合することにより製造できる。上記トナー組成物構成成分の混合方法は特に限定されず、微粉体として得られたポリメチルシルセスキオキサン粒子とトナー粒子とを混合してもよく、上記反応溶液(ポリメチルシルセスキオキサン粒子分散体)とトナー粒子とを混合した後、混合物から溶媒を除去してもよいが、好ましくは微粉体であるポリメチルシルセスキオキサン粒子とトナー粒子とを混合する方法が用いられる。
【0052】
本発明のトナー組成物の流動性は、例えばパウダテスタ(登録商標)(PT−E型、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、目開き150μm、100μm、45μmの篩(平織金網、規格JIS Z8801−1)を強度4.0の条件で振動させながら、トナー組成物3g〜10gをこれらの篩で10秒間篩い分けした後、目開き150μmの篩上トナー組成物残量をA、目開き100μmの篩上のトナー組成物残量をB、目開き45μmの篩上のトナー組成物残量をCとしたときに、下記式で表される流動性指数(%)に基づいて評価することができる。
流動性指数(%)=〔(A+0.6×B+0.2×C)/測定試料重量〕×100
前記流動性指数(%)は、80%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、40%以下であることがさらに好ましく、特に好ましくは30%以下である。
上記トナー組成物は、特に、トナー(例えば静電荷現像用トナー)用途に好適である。
【実施例】
【0053】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
各種物性の測定および評価は、以下の方法で行った。
【0054】
〔ポリメチルシルセスキオキサン粒子の個数平均粒子径および変動係数(CV値)の測定〕
下記合成例で得られたポリメチルシルセスキオキサン粒子分散液をイオン交換水で希釈し、光散乱粒度分布測定機(Particle Sizing Systems社製「NicompMODEL380」)にて測定して、個数平均粒子径(μm)を求め、この値をポリメチルシルセスキオキサン粒子の平均粒子径とした。また上記装置により得られた個数平均粒子径と粒子径とを基に標準偏差を算出し、下式より変動係数(CV値:%)を求めた。
変動係数(CV値:%)=100×(標準偏差/個数平均粒子径)
【0055】
〔分散安定性評価〕
得られたポリメチルシルセスキオキサン粒子分散体の分散安定性は以下の手順に従って評価した。下記合成例で得られたポリメチルシルセスキオキサン粒子の分散液を300メッシュ(JISメッシュ、規格JISG3556:2002)の金網を用いて濾過を行った際の濾過性能を下記の基準にて評価した。濾過後の凝集物の有無は目視にて判定した。
○:濾過後にメッシュ上に凝集物が殆どない。
△:濾過後にメッシュ上に凝集物がある。
×:濾過中にメッシュに目詰まりが発生した。
【0056】
〔流動性評価〕
パウダテスタ(登録商標)(PT−E型、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、目開き150μm、100μm、45μmの篩(平織金網、規格JIS Z8801−1)を強度4.0の条件で10秒間振動させ、実施例及び比較例で得られたトナー組成物を篩い分けた後、それぞれの篩上のトナー組成物残量を測定し、以下に示す式を用いて算出した。流動性指数が小さいものほど、トナー組成物の流動性が良好であることを示す。
流動性指数(%)=〔(A+0.6×B+0.2×C)/測定試料重量〕×100
A:目開き150μmの篩上のトナー組成物残量(g)、B:目開き100μmの篩上のトナー組成物残量(g)、C:目開き45μmの篩上のトナー組成物残量(g)
【0057】
(合成例1)
攪拌機、温度計、滴下口および冷却機を備えたガラス製の反応釜に、脱イオン水100.5質量部および10%酢酸水溶液を0.21質量部加え、室温で攪拌しながらメチルトリメトキシシラン(以下、「MTMS」と称する)100.5質量部を滴下口より添加し、MTMSの加水分解を行った。MTMS滴下終了より50分後にアニオン性界面活性剤(s1)の水溶液としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(日本乳化剤社製、ニューコール(登録商標)1305−SN)の20%水溶液9.54質量部添加し加水分解液(a1)を得た。
【0058】
他方、上記反応釜とは異なる攪拌機、温度計、滴下口および冷却機を備えたガラス製の反応釜に、脱イオン水686.6質量部および25%アンモニア水3.18質量部を加え室温下で攪拌したのち、アニオン性界面活性剤(s2)の水溶液としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(日本乳化剤社製、ニューコール(登録商標)1305−SN)の20%水溶液10.32質量部を加えてさらに室温で均一になるように攪拌し析出液(b1)とした。
【0059】
次いで、前記析出液(b1)を室温にて攪拌しながら、この析出液(b1)に加水分解液(a1)を滴下口より60分間かけて滴下したところ、ポリメチルシルセスキオキサン粒子が析出し、さらに加水分解液(a1)を全量滴下した後、反応液を60℃に昇温して60℃で1時間熟成を行い、その後反応溶液を冷却して目開き300メッシュの篩で濾過することにより分散安定性評価を行うとともに、ポリメチルシルセスキオキサン粒子(1)が分散した分散液を得た。得られたポリメチルシルセスキオキサン粒子の個数平均粒子径は0.018μm、変動係数は22.6%であった。また、ポリメチルシルセスキオキサン粒子(1)分散液濾過後のメッシュ上に凝集物が殆どなかったので分散安定性を○と判定した。
【0060】
上記ポリメチルシルセスキオキサン粒子(1)の分散液を、四流体ノズルを備えたスプレードライヤー(機内入口温度150℃、出口温度70℃)にて噴霧乾燥して、ポリメチルシルセスキオキサン粒子(1)の乾燥粉体を得た。
【0061】
(合成例2)
合成例1において、加水分解液(a1)の調製に使用するアニオン性界面活性剤(s1)の水溶液をポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、ハイテノール(登録商標)NF−08)の20%水溶液9.54質量部に変更し(加水分解液(a2))、析出液(b1)の調製に使用するアニオン性界面活性剤(s2)の水溶液をポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、ハイテノール(登録商標)NF−08)の20%水溶液10.32質量部に変更し(析出液(b2))、さらに加水分解液(a2)調製時、メチルトリメトキシシランの滴下を行う前にアニオン性界面活性剤(s2)の水溶液を反応釜に添加したこと以外は合成例1と同様の手法により、ポリメチルシルセスキオキサン粒子(2)が分散した分散液を得た。得られたポリメチルシルセスキオキサン粒子(2)の個数平均粒子径は0.035μm、変動係数21.2%であった。また、ポリメチルシルセスキオキサン粒子(2)分散液濾過後のメッシュ上に凝集物が殆どなかったことから分散安定性を○と判定した。
合成例1と同様にして、ポリメチルシルセスキオキサン粒子(2)の分散液を噴霧乾燥して、ポリメチルシルセスキオキサン粒子(2)の乾燥粉体を得た。
【0062】
(実施例1)
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体からなるバインダー樹脂に、着色剤としてカーボンブラックを分散させた平均粒子径10μmのトナー粒子50質量部と、上記合成例1で得られたトナー外添剤としてのポリメチルシルセスキオキサン粒子(1)0.5質量部とを室温下において混合器(岩谷産業株式会社製、「Labo Milser LM−PLUS」)により周速65m/s(回転速度20,000rpm)で90秒間均一に混合して、トナー組成物(1)を得た。得られたトナー組成物(1)の流動性評価結果を表1に示す。また、得られたトナー組成物(1)は、目視で確認できる凝集物は無く、サラサラとした状態であった。
【0063】
(実施例2)
トナー外添剤をポリメチルシルセスキオキサン粒子(2)に変更したこと以外は実施例1と同様の手法によりトナー組成物(2)を得た。トナー組成物(2)の流動性評価結果を表1に示す。
【0064】
(比較例1)
トナー外添剤を市販のシリカ粒子(アエロジル(登録商標)RX200、EVONIK社製、平均粒子径0.012μm)に変更したこと以外は実施例1と同様の手法により比較トナー組成物(1)を得た。比較トナー組成物(1)の流動性評価結果を表1に示す。
【0065】
(比較例2)
トナー外添剤を市販のシリカ粒子(アエロジル(登録商標)OX50、EVONIK社製、平均粒子径0.040μm)に変更したこと以外は実施例1と同様の手法により比較トナー組成物(2)を得た。比較トナー組成物(2)の流動性評価結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
表1より、本発明のトナー外添剤を含む実施例1,2のトナー組成物は、シリカ粒子をトナー外添剤とした比較例1,2の比較トナー組成物に比べて流動性指数が低く、高い流動性を有していた。特に、実施例1,2と比較例1との比較から、ポリメチルシルセスキオキサン粒子から構成され、特定の平均粒子径を有する本発明のトナー外添剤は、トナー流動性の向上に汎用される平均粒子径が約10nmであるシリカ粒子よりも高い流動性をトナーに付与できることが分かる。
これらの結果より、本発明のトナー外添剤によれば、流動性の良好なトナー組成物を提供できることが分かる。