(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ロックボルトの引抜試験は、例えば、手動ポンプを操作しながら荷重計を読み上げる人と、荷重が読み上げられた時点におけるロックボルトの変位量を確認してメモをする人との少なくとも二人が必要となっていた。
【0007】
また、このような方法では、ロックボルトへの荷重が確認された時点と、変位量を確認した時点とが、時間的にずれてしまって、同時点の測定値として取り扱うことができず、試験結果が正確に得られない虞がある。
【0008】
また、ロックボルトの引抜試験だけでなく、例えば、グラウンドアンカーのリフトオフ試験のように、ポンプを操作しながら荷重計により試験対象物への荷重を確認し、その時点における試験対象物に関わる変位量を確認する必要のある試験でも同様な問題が発生する虞がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、試験対象物に付与した引張力を特定可能な情報と、引張力を付与した際の試験対象物の変位量とを容易且つ適切に取得することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る試験システムは、所定の試験対象物に対して引張力を付与するためのジャッキ装置と、ジャッキ装置に作動油を供給する油圧ポンプ装置とを備える試験システムであって、ジャッキ装置は、供給される作動油の圧力に応じて所定方向に移動して、試験対象物に引張力を付与可能なピストンロッドと、電力の供給を受けて、ピストンロッドの変位量を示す変位量情報を出力するストロークセンサと、を備え、油圧ポンプ装置は、作動油を貯溜する作動油タンクと、電力を供給可能なバッテリと、電力により動作して作動油タンクの作動油をジャッキ装置に供給可能な油圧ポンプと、バッテリの電力をストロークセンサに供給可能な電力供給部と、ストロークセンサからの変位量情報を入力する入力部と、油圧ポンプにより供給される作動油の圧力を示す圧力情報を検出する圧力センサと、ストロークセンサからの変位量情報に基づく変位量と、圧力情報に基づくジャッキ装置の引張力を特定可能な引張力情報とを対応付けて、記憶または外部に出力可能な処理部と、を備える。
【0011】
上記試験システムにおいて、処理部は、外部装置を通信可能に接続する接続部を有し、接続部に対して接続された外部装置に対して変位量及び引張力情報を出力可能であってもよい。
【0012】
また、上記試験システムにおいて、処理部は、変位量及び引張力情報を無線送信可能であってもよい。
【0013】
また、上記試験システムにおいて、ピストンロッドは、円筒形状であり、ストロークセンサは、ピストンロッドの外周に接触して配置され、ピストンロッドの所定方向の移動に伴って回転するローラを備え、ローラの回転に応じて変位量情報を出力するようにしてもよい。
【0014】
また、上記試験システムにおいて、ピストンロッドを所定方向に移動可能に収容するシリンダチューブを備え、ストロークセンサは、シリンダチューブのピストンロッドが伸縮する側の面に設けられていてもよい。
【0015】
また、上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る油圧ポンプ装置は、所定の試験対象物に対して引張力を付与するジャッキ装置に作動油を供給する油圧ポンプ装置であって、作動油を貯溜する作動油タンクと、電力を供給可能なバッテリと、電力により動作して作動油タンクの作動油をジャッキ装置に供給可能な油圧ポンプと、バッテリの電力を外部のストロークセンサに供給可能な電力供給部と、ストロークセンサからの変位量情報を入力する入力部と、油圧ポンプにより供給される作動油の圧力を示す圧力情報を検出する圧力センサと、ストロークセンサからの変位量情報に基づく変位量と、圧力情報に基づくジャッキ装置の引張力を特定可能な引張力情報とを対応付けて、記憶可能、または外部に出力可能な処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、試験対象物に付与した引張力を特定可能な情報と、引張力を付与した際の試験対象物の変位量とを容易且つ適切に取得することのできる技術を提供することにある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態に係る試験システムを説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る試験システムの全体構成図である。なお、
図1では、ジャッキ装置10と、試験対象物の一例であるロックボルトLとが固定されている状態を示している。
図2は、本発明の一実施形態に係る試験システムにおける一部の電気的な接続関係を示す図である。
【0020】
試験システム1は、ロックボルトLの引抜試験を行うためのシステムであり、ロックボルトLに引張力を付与するためのジャッキ装置10と、ジャッキ装置10に電力や作動油を供給する油圧ポンプ装置20と、ジャッキ装置10と油圧ポンプ装置20との間の作動油を流通させる耐圧ホース40とを有する。
【0021】
ジャッキ装置10は、中央に貫通孔Hが形成された中空のジャッキ装置であり、シリンダチューブ11と、ピストンロッド12と、球ヘッド13と、球座14と、スプリング15と、カプラ16と、ストロークセンサ17とを備える。
【0022】
シリンダチューブ11は、中空の円筒状部材であり、内周側壁と、外周側壁との間にピストンロッド12の一端側を所定方向に移動可能なように収容するとともに、供給される作動油を収容可能なシリンダSが形成されている。シリンダチューブ11は、1つの部材により構成されていても、複数の部材により構成されていてもよい。
【0023】
ピストンロッド12は、一方側(図面B方向側)の端部がシリンダチューブ11により構成されたシリンダSに収容され、シリンダS内に供給される作動油に応じて、シリンダチューブ11に対してAB方向に移動可能となっている。ピストンロッド12は、スプリング15により、シリンダSにおける作動油が満たされる空間(作動油室)を狭くする方向(シリンダチューブ11に対して図面B方向)に移動するように付勢されている。したがって、ピストンロッド12は、シリンダS内に供給される作動油の圧力がスプリング15の付勢力に屈する場合、例えば、後述するレリースバルブ28が開弁されて作動油が排出されている場合には、作動油室が狭くなるように移動する。なお、ピストンロッド12は、1つの部材により構成されていても、複数の部材により構成されていてもよい。
【0024】
球ヘッド13は、一端側(B方向側)にピストンロッド12の先端が固定され、他端側(A方向側)に球面状の面が形成されている。球座14は、ロックボルトLの取付面Gと接触する部分であり、取付面Gと反対側(B方向側)の面は、球ヘッド13の球面状の面と摺動可能な凹状の球面となっている。球ヘッド13及び球座14によると、球座14をジャッキ装置10の貫通孔Hの軸に対して所定角度の範囲内(例えば、±5度)で調整することができ、ロックボルトLの取付面Gに対する突出方向が垂直方向からずれていた場合であっても、ジャッキ装置10の貫通孔HをロックボルトLの突出方向に適切に調整でき、ロックボルトLに適切にジャッキ装置10を接続することができる。
【0025】
カプラ16は、シリンダSに連通する配管の先端に取り付けられ、耐圧ホース40の後述するカプラ41と着脱自在となっている。
【0026】
ストロークセンサ17は、油圧ポンプ装置20の後述するDC−DC変換器26から供給される電力により動作し、シリンダチューブ11に対するピストンロッド12の変位量を示す変位量情報を検出し、油圧ポンプ装置20に出力する。ここで、ジャッキ装置10とロックボルトLとを接続している場合においては、ピストンロッド12の変位量が、ロックボルトL(又はロックボルトL及びテンションバーT)の変位量(延び量)に相当する。ストロークセンサ17は、例えば、ピストンロッド12が所定量移動するごとに、変位量情報として1つのパルスを出力する。ストローククセンサ17は、シリンダチューブ11のピストンロッド12の延びる側(B方向側)の面に固定されている。ストロークセンサ17の詳細については後述する。
【0027】
ここで、ジャッキ装置10とロックボルトLとの接続について説明する。
【0028】
ロックボルトLの取付面Gからの突出長さがジャッキ装置10との接続に十分でない場合、すなわち、ジャッキ装置10の貫通孔Hに通した際に、ジャッキ装置10の他端側(B方向側)から突出する長さが十分にない場合には、ロックボルトLには、接続カプラCを介してテンションバーTが接続される。なお、突出長さが十分であれば、ロックボルトLにテンションバーTを接続しなくてもよい。
【0029】
以下、ロックボルトLにテンションバーTが接続されている場合を例に説明する。
【0030】
この状態で、ロックボルトL及びテンションバーTをジャッキ装置10の貫通孔Hに挿通する。次いで、当て板60に、ジャッキ装置10のB方向に突出しているテンションバーTを通す。更に、テンションバーTの先端側に固定用のナット61を螺合させ、ジャッキ装置10が取付面Gと、当て板60との間で固定されるまでナット61を締付ける。これによって、ロックボルトLとジャッキ装置10との接続が完了する。
【0031】
油圧ポンプ装置20は、例えば、5kg程度の携帯可能な装置であり、本体筐体21と、作動油タンク22と、バッテリ23と、油圧ポンプ24と、USBボード25と、DC−DC変換器26と、スイッチ27と、レリースバルブ28と、圧力センサ29と、コネクタ30と、ケーブル31と、カプラ32と、を備える。ここで、本実施形態では、電力供給部は、DC−DC変換器26、コネクタ30、及びケーブル31により構成される。本実施形態では、本体筐体21内に、作動油タンク22と、油圧ポンプ24と、USBボード25と、DC−DC変換器26と、スイッチ27と、が収容されている。
【0032】
作動油タンク22は、油圧ポンプ24により供給する作動油を貯溜する。なお、作動油タンク22には、図示しない給油口から作動油を注ぐことができるようになっている。
【0033】
バッテリ23は、例えば、リチウムイオン電池であり、各部に電力を供給する。本実施形態では、バッテリ23は、例えば、14V〜18Vの電圧の電流を供給可能である。バッテリ23は、本体筐体21に着脱可能となっている。
【0034】
油圧ポンプ24は、バッテリ23からの電力の供給を受けて、作動油タンク22に貯留された作動油を供給する。
【0035】
DC−DC変換器26は、バッテリ23から供給される電圧を、各部(ストロークセンサ17、圧力センサ29、USBボード25)の動作に適した電圧に変換して各部に供給する。本実施形態では、ストロークセンサ17及び圧力センサ29に対しては、12Vの電圧の電流を供給し、USBボード25に対しては、5Vの電圧の電流を供給する。
【0036】
スイッチ27は、バッテリ23から油圧ポンプ24の図示しないモータへの電力の供給の断接を行う。
【0037】
レリースバルブ28は、開弁することにより、油圧ポンプ24により供給されている作動油を作動油タンク22へ排出可能なバルブである。
【0038】
圧力センサ29は、DC−DC変換器26から供給される電力により動作し、油圧ポンプ24により供給されている作動油の圧力を示す圧力値(圧力情報)を測定して、USBボード25に出力する。
【0039】
ケーブル31は、例えば、5m程度の長さを有しており、DC−DC変換器26からストロークセンサ17に電力を供給するための配線と、ストロークセンサ17からUSBボード25に対して変位量情報を送信するための配線とを含む。
【0040】
コネクタ30は、ケーブル31の先端に設けられ、ストロークセンサ17の後述するコネクタ57に着脱可能となっている。
【0041】
カプラ32は、油圧ポンプ24から供給される作動油が流れる配管の先端に取り付けられ、耐圧ホース40の後述するカプラ41と着脱自在となっている。
【0042】
USBボード25は、公知のプロセッサ、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。USBボード25は、バッテリ23からDC−DC変換器26を介して供給される電力により動作する。本実施形態では、USBボード25は、USB(Universal Serial Bus)形式に従ったデータの送受信が可能な外部装置と接続可能な接続部の一例としてのUSBポート25Aを有する。USBボード25としては、例えば、テクノウェーブ株式会社製のマイコンボード(USBM3069−S)を用いることができる。
【0043】
USBボード25は、圧力情報処理部25Bと、入力部の一例としての変位情報処理部25Cと、処理部の一例としての出力処理部25Dとを一部の機能要素として有する。
【0044】
圧力情報処理部25Bは、圧力センサ29から圧力値を受け取り、出力処理部25Dに渡す。変位情報処理部25Cは、ケーブル31を介して、ストロークセンサ17から送信される変位量情報を受信し、ピストンロッド12の変位量を特定し、特定した変位量を出力処理部25Dに渡す。本実施形態では、変位情報処理部25Cは、ストロークセンサ17からのパルス信号中のパルスをカウントすることにより、変位量を特定する。
【0045】
出力処理部25Dは、圧力情報処理部25Bから受け取った圧力値(引張力情報の一例)と、その時点において、変位情報処理部25Cから受け取ったピストンロッド12の変位量とを対応付けて、USBポート25Aに接続された外部装置の一例であるUSB対応機器70に出力する。USB対応機器70としては、出力されたデータを記憶するUSBメモリ(USBフラッシュメモリドライブ)であってもよく、出力されたデータを受け取るPC(Personal Computer)であってもよい。例えば、USB対応機器70をPCとする場合においては、出力処理部25Dから出力される圧力値と、ピストンロッド12の変位量とから、リアルタイムにロックボルトLの変位量と荷重(引張力)とのグラフを表示させるようにしてもよい。なお、ロックボルトLに対する荷重は、使用しているジャッキ装置10における作動油の圧力値とジャッキ装置10の荷重との関係に基づいて、圧力値から特定することができる。
【0046】
耐圧ホース40は、油圧ポンプ装置20とジャッキ装置10との間の作動油を流通させるホースであり、油圧ポンプ装置20からジャッキ装置10に供給する作動油の最大の圧力に耐え得るようになっている。耐圧ホース40の両端には、カプラ41が接続されている。カプラ41は、ジャッキ装置10のカプラ16と、油圧ポンプ装置20のカプラ32とのいずれに対しても着脱可能となっている。
【0047】
次に、ジャッキ装置10のストロークセンサ17について詳細に説明する。
【0048】
図3は、本発明の一実施形態に係るジャッキ装置のストロークセンサ周りの図である。
【0049】
ストロークセンサ17は、シリンダチューブ11のA方向側(ピストンロッド12が伸びる側)の面に固定されるベース部50と、ベース部50にスプリング52を介して接続され、ピストンロッド12側に付勢されたセンサヘッド部51と、ピストンロッド12の外周に当接され、ピストンロッド12のAB方向の移動に従動して回転するローラ53と、ローラ53が一体回転可能に接続され、センサヘッド部51に軸受55を介して回転可能に支持されたローラ軸54と、電力の供給を受けて動作することにより、ローラ軸54の回転を検出して、ピストンロッド12の所定量の移動ごとに1つのパルスを出力するセンサ回路56と、油圧ポンプ装置20のコネクタ30を接続可能なコネクタ57と、を有する。
【0050】
次に、試験システム1による引張試験方法について説明する。
【0051】
引張試験を行う準備として、まず、試験の対象とするロックボルトLに対して接続カプラCを介してテンションバーTを接続し、ロックボルトL及びテンションバーTをジャッキ装置10に固定する。すなわち、ジャッキ装置10の貫通孔Hにロックボルト及びテンションバーTを挿通し、当て板60にジャッキ装置10の貫通孔Hから飛び出ているテンションバーTを通し、テンションバーTの先端側から固定用のナット61を締め付ける。
【0052】
次いで、耐圧ホース40の一方のカプラ41を、ジャッキ装置10のカプラ16と接続し、耐圧ホース40の他方のカプラ41を、油圧ポンプ装置20のカプラ32と接続する。これにより、油圧ポンプ装置20からジャッキ装置10への作動油の供給経路が完成する。
【0053】
また、油圧ポンプ装置20のコネクタ30をジャッキ装置10のストロークセンサ17のコネクタ57に接続する。これにより、油圧ポンプ装置20からの電力がストロークセンサ17に供給可能となり、ストロークセンサ17からのパルス信号が油圧ポンプ装置20に出力可能となる。
【0054】
また、油圧ポンプ装置20のUSBポート25AにUSB対応装置70(ここでは、例えば、USBメモリ)を接続する。
【0055】
これにより、引張試験の準備が完了する。なお、引張試験の準備における各手順は、上記した順番に限られず、同一の状態にすることができるのであれば、任意の順番でよい。
【0056】
このように準備が完了すると、油圧ポンプ装置20のスイッチ27をオンにすることにより、ロックボルトLの引張試験を行うことができる。
【0057】
油圧ポンプ装置20のスイッチ27がオンにされて、ロックボルトLの引張試験が開始されると、油圧ポンプ装置20の油圧ポンプ24が動作し、耐圧ホース40を介して、ジャッキ装置10への作動油の供給が開始される。
【0058】
ジャッキ装置10への作動油の供給が開始されると、油圧ポンプ24により供給される作動油の圧力が徐々に上昇することとなる。供給されている作動油の圧力は、圧力センサ29に測定されて、圧力値がUSBボード25に出力される。これと並行して、ジャッキ装置10では、耐圧ホース40を介して作動油が供給されると、シリンダSに作動油が供給されるようになり、ピストンロッド12がシリンダチューブ11に対してA方向に移動される。
【0059】
この際には、ストロークセンサ17には、油圧ポンプ装置20から電力が供給されているので、ピストンロッド12がシリンダチューブ11に対してA方向に移動すると、ストロークセンサ17のローラ53がピストンロッド12に従動して回転することとなる。この結果、ストロークセンサ17は、ピストンロッド12の移動量に応じたパルスを含むパルス信号を、ケーブル31を介して油圧ポンプ装置20のUSBボード25に出力することとなる。
【0060】
油圧ポンプ装置20のUSBボード25では、圧力情報処理部25Bは、圧力センサ29からの圧力値を受け取り、変位情報処理部25Cは、ストロークセンサ17からのパルス信号に基づいて変位量を特定し、出力処理部25Dは、圧力情報処理部25Bから受け取った圧力値と、その時点における特定した変位量とを、USBポート25Aに接続されたUSB対応装置70に出力する。これにより、USB対応装置70では、圧力値と変位量とを関連付けて記憶したり、利用したりすることができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態に係る試験システム1によると、油圧ポンプ装置20からジャッキ装置10に供給する作動油の圧力値を測定し、また、油圧ポンプ装置20からジャッキ装置10のストロークセンサ17に電力を供給するとともに、ストロークセンサ17により検出されたピストンロッド12の変位を示すパルス信号を油圧ポンプ装置20で受信するようにし、供給する作動油の圧力値と、パルス信号に基づくピストンロッド12の変位量とを対応付けて出力するようにしたので、ロックボルトLの引張試験に必要なデータを容易且つ適切に出力することができる。また、圧力値と、変位量とを別の人が読む必要がないため、引張試験に必要な人員の数を低減することができる。
【0062】
また、上記実施形態に係る試験システム1によると、ピストンロッド12の変位量を測定するストロークセンサ17を、シリンダチューブ11のピストンロッド12の延びる側に固定するようにしたので、ストロークセンサ17がシリンダチューブ11よりもB方向側に突出してしまうことがなく、外部からの接触を適切に低減することができ、ストロークセンサ17による測定又は測定精度に悪影響を与える状況を低減することができる。
【0063】
また、上記実施形態に係る試験システム1によると、ピストンロッド12の外周側、すなわち、ジャッキ装置10の内部側に向けたローラ53によりピストンロッド12の変位を測定するようにしたので、ストロークセンサ17がシリンダチューブ11の径方向外側に突出する量を低減することができるので、外部からの接触を適切に低減することができ、ストロークセンサ17の測定又は測定精度に悪影響を与える状況を低減することができる。
【0064】
なお、本発明は、上述の実施形態、実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0065】
例えば、上記実施形態では、ロックボルトLを試験対象物としていたが、本発明はこれに限られず、グラウンドアンカーを試験対象物としてもよく、要は、ジャッキ装置により試験対象物に付与した引張力を特定可能な情報と、試験対象物に関する変位量とが必要となる試験の対象となる物であればよい。
【0066】
また、上記実施形態では、USBボード25は、ジャッキ装置10の引張力情報として、圧力値を出力するようにしていたが、本発明はこれに限られず、ジャッキ装置10における作動油の圧力値と引張力との関係を予め把握しておき、USBボード25が、把握している関係に従って圧力値から引張力を特定し、特定した引張力を引張力情報として出力するようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、USBポート25Aを介して外部装置に圧力値及び変位量を出力するようにしていたが、本発明はこれに限られず、USBボード25に無線送信する機能を備え、無線通信可能な外部装置(PCやタブレット等)に無線送信するようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、USBポート25Aを介して外部装置に出力するようにしていたが、本発明はこれに限られず、USBボード25に記憶装置を備えるようにして、その記憶装置に圧力値及び引張力情報を記憶するようにし、USBポート25Aに接続された外部装置がその記憶装置から圧力値及び引張力情報を取り出せるようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、USBボード25は、バッテリ23から電力の供給を受けて動作するようにしていたが、本発明はこれに限られず、例えば、USBポート25Aを介して接続された外部装置から供給される電力(バスパワー)により動作するようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、USB形式のコネクタにより外部装置と接続可能にしていたが、本発明はこれに限られず、別のインターフェース形式のコネクタにより外部装置と接続するようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、ストロークセンサとして、ローラ53を備えた接触式のストロークセンサとしていたが、本発明はこれに限られず、別形式の接触式のストロークセンサとしてもよく、非接触式のストロークセンサとしてもよい。