特許第6774255号(P6774255)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6774255プロテクタ、ワイヤハーネス、及び、外装材保持機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774255
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】プロテクタ、ワイヤハーネス、及び、外装材保持機構
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20201012BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   H02G3/04 037
   H02G3/04 068
   B60R16/02 623U
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-155011(P2016-155011)
(22)【出願日】2016年8月5日
(65)【公開番号】特開2018-23261(P2018-23261A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2019年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】平沢 均
(72)【発明者】
【氏名】北野 佳昇
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−273279(JP,A)
【文献】 特開2015−023615(JP,A)
【文献】 特開2010−004715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に導電性の配索材が挿通される本体部と、
内部に前記配索材が挿通される外装材の端部を保持する外装材保持機構とを備え、
前記外装材保持機構は、
前記本体部の端部に設けられ、前記外装材の端部を保持する保持空間部が形成された保持部と、
前記保持部に設けられ、前記保持空間部に保持された前記外装材の軸方向と交差する幅方向に対して前記保持部より相対的に高い可撓性を有する可撓部と、
前記可撓部から前記幅方向に沿って前記保持空間部側に突出して形成され、前記軸方向、及び、前記幅方向と交差する積層方向に対して、少なくとも当該保持空間部の一部を、それぞれ前記外装材の端部を保持可能である一対の分割保持空間部に区分けする突起部とを備えることを特徴とする、
プロテクタ。
【請求項2】
前記可撓部、及び、前記突起部は、前記幅方向に対して、前記保持空間部を挟んで対向して一対で設けられる、
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記突起部は、前記幅方向に沿って前記可撓部側から前記保持空間部側に向かって先細りの形状に形成される、
請求項1又は請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記可撓部は、前記保持部から前記積層方向に沿って延在し当該保持部に片持ち状に支持され前記突起部が設けられる可撓アーム部を含む、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプロテクタ。
【請求項5】
前記保持部は、前記可撓アーム部が設けられる保持部ベース部と、前記積層方向に対して前記可撓アーム部の先端部側に位置し前記保持部ベース部と共に前記保持空間部を区画すると共に前記可撓アーム部の先端部と当接し、当該可撓アーム部の前記幅方向の前記保持空間部側とは反対側への倒れを規制する保持部カバー部とを含む、
請求項4に記載のプロテクタ。
【請求項6】
前記保持部、又は、前記突起部は、前記外装材の外表面に形成された凹凸部と噛み合う噛合部を有する、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のプロテクタ。
【請求項7】
導電性の配索材と、
内部に前記配索材が挿通される外装材と、
内部に導電性の前記配索材が挿通される本体部、及び、前記外装材の端部を保持する外装材保持機構を有するプロテクタとを備え、
前記外装材保持機構は、
前記本体部の端部に設けられ、前記外装材の端部を保持する保持空間部が形成された保持部と、
前記保持部に設けられ、前記保持空間部に保持された前記外装材の軸方向と交差する幅方向に対して前記保持部より相対的に高い可撓性を有する可撓部と、
前記可撓部から前記幅方向に沿って前記保持空間部側に突出して形成され、前記軸方向、及び、前記幅方向と交差する積層方向に対して、少なくとも当該保持空間部の一部を、それぞれ前記外装材の端部を保持可能である一対の分割保持空間部に区分けする突起部とを備えることを特徴とする、
ワイヤハーネス。
【請求項8】
筒状に形成された外装材を保持する保持空間部が形成された保持部と、
前記保持部に設けられ、前記保持空間部に保持された前記外装材の軸方向と交差する幅方向に対して前記保持部より相対的に高い可撓性を有する可撓部と、
前記可撓部から前記幅方向に沿って前記保持空間部側に突出して形成され、前記軸方向、及び、前記幅方向と交差する積層方向に対して、少なくとも当該保持空間部の一部を、それぞれ前記外装材を保持可能である一対の分割保持空間部に区分けする突起部とを備えることを特徴とする、
外装材保持機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテクタ、ワイヤハーネス、及び、外装材保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載されるワイヤハーネスのプロテクタの端部や車両内の設置位置等でコルゲートチューブ等の外装材を保持する技術として、例えば、特許文献1には、ワイヤハーネス用の保持具が開示されている。このワイヤハーネス用の保持具は、幹線の一部を複数の分割線に分割し、環状の凸部と凹部を長さ方向に交互に設けた樹脂成形品からなるコルゲートチューブで各分割線を外装しているワイヤハーネスに適用される。当該ワイヤハーネス用の保持具は、底壁と両側壁とを備えたコ字型の樹脂成形品からなる。そして、このワイヤハーネス用の保持具は、両側壁の内面に対向する円弧状凹部が上下複数段設けられ、各円弧状凹部の内面に各コルゲートチューブの凹部と嵌合するリブが突設されている。そして、このワイヤハーネス用の保持具は、両側壁に挟まれた空間に、複数のコルゲートチューブが上下に並列して挿入され、当該各コルゲートチューブが両側の円弧状凹部で挟持されると共に、両側の凹部にリブが挿入されて当該各コルゲートチューブを位置決め保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−273279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載のワイヤハーネス用の保持具は、例えば、外装材を積層させて保持する場合におけるより適正な外装材保持の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、外装材を適正に積層させて保持することができるプロテクタ、ワイヤハーネス、及び、外装材保持機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るプロテクタは、内部に導電性の配索材が挿通される本体部と、内部に前記配索材が挿通される外装材の端部を保持する外装材保持機構とを備え、前記外装材保持機構は、前記本体部の端部に設けられ、前記外装材の端部を保持する保持空間部が形成された保持部と、前記保持部に設けられ、前記保持空間部に保持された前記外装材の軸方向と交差する幅方向に対して前記保持部より相対的に高い可撓性を有する可撓部と、前記可撓部から前記幅方向に沿って前記保持空間部側に突出して形成され、前記軸方向、及び、前記幅方向と交差する積層方向に対して、少なくとも当該保持空間部の一部を、それぞれ前記外装材の端部を保持可能である一対の分割保持空間部に区分けする突起部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記プロテクタでは、前記可撓部、及び、前記突起部は、前記幅方向に対して、前記保持空間部を挟んで対向して一対で設けられるものとすることができる。
【0008】
また、上記プロテクタでは、前記突起部は、前記幅方向に沿って前記可撓部側から前記保持空間部側に向かって先細りの形状に形成されるものとすることができる。
【0009】
また、上記プロテクタでは、前記可撓部は、前記保持部から前記積層方向に沿って延在し当該保持部に片持ち状に支持され前記突起部が設けられる可撓アーム部を含むものとすることができる。
【0010】
また、上記プロテクタでは、前記保持部は、前記可撓アーム部が設けられる保持部ベース部と、前記積層方向に対して前記可撓アーム部の先端部側に位置し前記保持部ベース部と共に前記保持空間部を区画すると共に前記可撓アーム部の先端部と当接し、当該可撓アーム部の前記幅方向の前記保持空間部側とは反対側への倒れを規制する保持部カバー部とを含むものとすることができる。
【0011】
また、上記プロテクタでは、前記保持部、又は、前記突起部は、前記外装材の外表面に形成された凹凸部と噛み合う噛合部を有するものとすることができる。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、導電性の配索材と、内部に前記配索材が挿通される外装材と、内部に導電性の前記配索材が挿通される本体部、及び、前記外装材の端部を保持する外装材保持機構を有するプロテクタとを備え、前記外装材保持機構は、前記本体部の端部に設けられ、前記外装材の端部を保持する保持空間部が形成された保持部と、前記保持部に設けられ、前記保持空間部に保持された前記外装材の軸方向と交差する幅方向に対して前記保持部より相対的に高い可撓性を有する可撓部と、前記可撓部から前記幅方向に沿って前記保持空間部側に突出して形成され、前記軸方向、及び、前記幅方向と交差する積層方向に対して、少なくとも当該保持空間部の一部を、それぞれ前記外装材の端部を保持可能である一対の分割保持空間部に区分けする突起部とを備えることを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係る外装材保持機構は、筒状に形成された外装材を保持する保持空間部が形成された保持部と、前記保持部に設けられ、前記保持空間部に保持された前記外装材の軸方向と交差する幅方向に対して前記保持部より相対的に高い可撓性を有する可撓部と、前記可撓部から前記幅方向に沿って前記保持空間部側に突出して形成され、前記軸方向、及び、前記幅方向と交差する積層方向に対して、少なくとも当該保持空間部の一部を、それぞれ前記外装材を保持可能である一対の分割保持空間部に区分けする突起部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るプロテクタ、ワイヤハーネス、及び、外装材保持機構は、一対の分割保持空間部の一方側と他方側とで、可撓部に設けられた突起部を仕切り部として積層方向に沿って外装材を積層させて保持することができる。この結果、プロテクタ、ワイヤハーネス、及び、外装材保持機構は、外装材を適正に積層させて保持することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係るプロテクタが適用されるワイヤハーネスの概略構成を表す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るプロテクタが適用されるワイヤハーネスの概略構成を表す分解斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るプロテクタが適用されるワイヤハーネスの概略構成を表す正面図である。
図4図4は、実施形態に係るプロテクタが適用されるワイヤハーネスの概略構成を表す側面図である。
図5図5は、実施形態に係るプロテクタの軸方向に沿った断面図である。
図6図6は、実施形態に係るプロテクタのベース部の断面斜視図である。
図7図7は、実施形態に係るプロテクタの組み付けについて説明する断面斜視図である。
図8図8は、実施形態に係るプロテクタの組み付けについて説明する断面斜視図である。
図9図9は、実施形態に係るプロテクタの組み付けについて説明する断面斜視図である。
図10図10は、実施形態に係るプロテクタの組み付けについて説明する断面斜視図である。
図11図11は、実施形態に係るプロテクタの組み付けについて説明する断面斜視図である。
図12図12は、変形例に係るプロテクタのベース部の断面斜視図である。
図13図13は、参考例に係る保持機構について説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0017】
なお、以下で説明する各図において、当該各図をわかり易くするため、配索材を二点鎖線で省略して図示している。また、各図において、当該各図をわかり易くするため、プロテクタの外装材保持機構を含む部分を中心に概略的に図示している。また、図3は、プロテクタを軸方向に沿って視た正面図であり、図1中に示すA矢視図である。図4は、プロテクタを幅方向に沿って視た側面図であり、図1中に示すB矢視図である。
【0018】
[実施形態]
図1図2図3図4に示すプロテクタ1は、自動車等の車両に搭載され、ワイヤハーネスWHに組み込まれ、導電性の配索材Wに外装され当該配索材Wを保護するものである。ここで、ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の配索材Wを一度に各装置に接続するようにしたものである。ワイヤハーネスWHは、導電性の配索材Wと、内部に配索材Wが挿通される外装材としてのコルゲートチューブCと、コルゲートチューブCの端部を保持し配索材Wが挿通されて当該配索材Wを保護するプロテクタ1とを備える。ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、グロメット、固定具、コネクタ等を含んで構成されてもよい。配索材Wは、例えば、導電性の棒状部材の外側を絶縁性の被覆部によって覆った金属棒、複数の導電性の金属素線からなる導体部(芯線)の外側を絶縁性の被覆部によって覆った電線、当該電線を束ねた電線束等によって構成される。コルゲートチューブCは、絶縁性の樹脂材料によって可撓性を有する筒状(管状)、ここでは円筒状に形成される。コルゲートチューブCは、外表面に周方向に沿って円環状の凹凸部Caが形成され、当該凹凸部Caが延在方向(後述の軸方向X)に沿って複数設けられた蛇腹形状をなしている。コルゲートチューブCは、内部に配索材Wが挿通されることで当該配索材Wに外装され配索材Wの外周側を覆い保護するものである。また、コルゲートチューブCは、延在方向(後述する軸方向X)に沿って、内部に配索材Wを挿通させるためのスリットが形成されていてもよい。そして、本実施形態のワイヤハーネスWHは、プロテクタ1の端部に外装材保持機構としての保持機構100が適用されることで、当該プロテクタ1の端部において複数のコルゲートチューブCを適正に積層させて保持することできるものである。以下、各図を参照してプロテクタ1の各構成について詳細に説明する。
【0019】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「軸方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「積層方向Z」という。ここでは、軸方向Xと幅方向Yと積層方向Zとは、相互に略直交する。軸方向Xは、典型的には、当該プロテクタ1の端部に保持されるコルゲートチューブCの延在方向、プロテクタ1に対する配索材Wの挿通方向、プロテクタ1に挿通された配索材Wの延在方向等に相当する。また、積層方向Zは、典型的には、当該プロテクタ1の端部に保持されるコルゲートチューブCが積層される方向等に相当する。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、プロテクタ1の各部が組み付けられた状態での方向として説明する。
【0020】
具体的には、プロテクタ1は、図1図2図3図4図5図6に示すように、絶縁性の樹脂材料によって略筒形状に形成される。プロテクタ1は、内部に導電性の配索材Wが挿通され配索される本体部10と、コルゲートチューブCの端部を保持する保持機構100とを備える。保持機構100は、保持部110と、可撓部120と、突起部130とを備える。また、本実施形態の本体部10は、本体部ベース部11と、本体部カバー部12とを含んで構成される。同様に、保持部110は、保持部ベース部111と、保持部カバー部112とを含んで構成される。そして、本実施形態のプロテクタ1は、本体部10の本体部ベース部11と保持部110の保持部ベース部111とが一体で形成されることでベース部材20を構成し、本体部10の本体部カバー部12と保持部110の保持部カバー部112とが一体で形成されることでカバー部材30を構成する。
【0021】
ベース部材20は、略樋形状に形成される。カバー部材30は、略矩形板状に形成される。そして、ベース部材20とカバー部材30とは、相互に組み付けられることで、全体として軸方向Xの両端部が開口した略矩形筒状に形成される。ベース部材20とカバー部材30とは、当該ベース部材20と当該カバー部材30とに囲われた内部空間部(後述する挿通空間部40)に軸方向Xに沿って一方の開口から他方の開口まで配索材Wが挿通される。言い換えれば、ベース部材20とカバー部材30とは、配索材Wの周囲に外装され当該配索材Wを保護する。本実施形態のプロテクタ1は、ベース部材20、カバー部材30が軸方向Xに沿って直線状に形成され配索材Wが軸方向Xに沿って直線状に配索されるものであるがこれに限らず、ベース部材20、カバー部材30が屈曲して形成され当該配索材Wが屈曲されて配索されるものであってもよい。
【0022】
より詳細には、ベース部材20は、一対の側壁部20a、20bと、底部20cとを含んで構成され、これらが一体で略樋形状に形成される。ベース部材20は、一対の側壁部20a、20bと底部20cとが一体となって、積層方向Zに沿った断面形状が略コの字型の略樋形状に形成される。
【0023】
一対の側壁部20a、20bは、共に幅方向Yが板厚方向となる略矩形板状に形成され、幅方向Yに沿って間隔をあけて対向して位置する。一対の側壁部20a、20bは、軸方向X、及び、積層方向Zに沿って延在する。ここでは、側壁部20aと側壁部20bとは、軸方向X、及び、積層方向Zに沿った長さがほぼ同等となるように形成される。
【0024】
底部20cは、積層方向Zが板厚方向となる略矩形板状に形成され、幅方向Yに対して一対の側壁部20a、20bの間に位置し、両端部がそれぞれ各側壁部20a、20bと接続される。底部20cは、幅方向Y、及び、軸方向Xに沿って延在する。さらに言えば、底部20cは、幅方向Yに沿って一対の側壁部20a、20bの間に延在し、幅方向Yの一方の端部から側壁部20aが積層方向Zに沿って立設され、幅方向Yの他方の端部から側壁部20bが積層方向Zに沿って側壁部20aと同じ側に立設される。また、底部20cは、軸方向Xに沿って側壁部20a、20bの一方の端部から他方の端部まで延在する。
【0025】
カバー部材30は、一対の側壁部20a、20bの間の開口を閉塞可能な大きさの略矩形板状に形成される。本実施形態のカバー部材30は、ベース部材20とは別で形成されるものとして説明するがこれに限らず、例えば、側壁部20a等に対してヒンジ連結部等を介して回動可能に支持されるようにしてベース部材20と一体で形成されてもよい。カバー部材30は、一対の側壁部20a、20bの間の開口を閉塞させた状態(図1等参照)で軸方向X、及び、幅方向Yに沿って延在する。カバー部材30は、側壁部20a、20bにおいて積層方向Zの底部20c側とは反対側の端部に組み付けられ、一対の側壁部20a、20bの間の開口を閉塞させる。カバー部材30は、一対の側壁部20a、20bの間の開口を閉塞させる閉塞位置にて積層方向Zに沿って底部20cと間隔をあけて対向して位置する。カバー部材30は、当該閉塞位置にて、側壁部20a、20bに対して後述の係止機構50を介して係止されることでベース部材20に組み付けられ当該閉塞位置に保持される。
【0026】
プロテクタ1は、上述したベース部材20と上述したカバー部材30とが相互に組み付けられることで全体として軸方向Xの両端部が開口した略矩形筒状に形成される。そして、プロテクタ1は、ベース部材20の一対の側壁部20a、20b、底部20c、及び、カバー部材30によって囲われた内部空間部が挿通空間部40として機能する。言い換えれば、一対の側壁部20a、20bは、幅方向Yに対して挿通空間部40を挟んで対向する。同様に、底部20cとカバー部材30は、積層方向Zに対して挿通空間部40を挟んで対向する。挿通空間部40は、ベース部材20の一対の側壁部20a、20b、底部20c、及び、カバー部材30によって区画された空間部であり、軸方向Xの両側に開口する。さらに言えば、挿通空間部40は、コルゲートチューブCの端部、及び、当該コルゲートチューブCの端部から露出した配索材Wが位置する空間部である。プロテクタ1は、内部に形成される当該挿通空間部40内に、コルゲートチューブCの端部が配置されると共に、当該コルゲートチューブCから露出した配索材Wが軸方向Xに沿って挿通され配索される。プロテクタ1は、軸方向Xに沿って一方の開口から他方の開口まで配索材Wが挿通される。
【0027】
そして、本実施形態のプロテクタ1は、上述したようにベース部材20、カバー部材30の一部が本体部10を構成し、他の一部が保持機構100の保持部110を構成する。本体部10は、上述したように、プロテクタ1において、内部に導電性の配索材Wが挿通される部分である。一方、保持部110は、プロテクタ1において、内部にコルゲートチューブCの端部を保持する部分である。言い換えれば、プロテクタ1は、ベース部材20、カバー部材30において、内部にコルゲートチューブCの端部が保持される部分が保持部110を構成し、コルゲートチューブCの端部から露出した配索材Wが挿通される部分が本体部10を構成する。保持部110は、本体部10の軸方向Xの端部に設けられる。ここでは、保持部110は、本体部10の軸方向Xの一方側の端部に設けられるものとして図示しているが他方側の端部にも設けられていてもよい。本実施形態の保持部110は、プロテクタ1の軸方向Xの端部において、コルゲートチューブCを保持するための噛合部114(図2図3図5等参照)が形成された部分である。一方、本実施形態の本体部10は、プロテクタ1において、当該噛合部114が形成されていない部分である。
【0028】
より詳細には、ベース部材20は、軸方向Xの一方側の端部が保持部110の保持部ベース部111を構成し、残りの部分が本体部10の本体部ベース部11を構成する。本体部ベース部11、保持部ベース部111は、共に積層方向Zに沿った断面形状が略コの字型の略樋形状に形成される。同様に、カバー部材30は、軸方向Xの一方側の端部が保持部110の保持部カバー部112を構成し、残りの部分が本体部10の本体部カバー部12を構成する。本体部カバー部12、保持部カバー部112は、共に略矩形板状に形成される。そして、本体部10は、ベース部材20とカバー部材30とが後述の係止機構50を介して係止され相互に組み付けられた状態で、積層方向Zに対して本体部ベース部11と本体部カバー部12とが対向して位置する。同様に、保持部110は、ベース部材20とカバー部材30とが後述の係止機構50を介して係止され相互に組み付けられた状態で、積層方向Zに対して保持部ベース部111と保持部カバー部112とが対向して位置する。本体部10は、本体部ベース部11と本体部カバー部12とによって囲われた内部空間部が本体部挿通空間部13として機能する(図2図5等参照)。同様に、保持部110は、保持部ベース部111と保持部カバー部112とによって囲われた内部空間部が保持空間部113として機能する(図2図5等参照)。
【0029】
本体部挿通空間部13は、一対の側壁部20a、20b、底部20cにおいて本体部ベース部11を構成する部分、及び、カバー部材30において本体部カバー部12を構成する部分によって区画された空間部である。保持空間部113は、一対の側壁部20a、20b、底部20cにおいて保持部ベース部111を構成する部分、及び、カバー部材30において保持部カバー部112を構成する部分によって区画された空間部である。つまり、ベース部材20とカバー部材30とによって区画された挿通空間部40は、軸方向Xの一方側の端部が保持部110の内部に形成された保持空間部113を構成し、残りの部分が本体部10の内部に形成された本体部挿通空間部13を構成する(図2図5等参照)。本体部挿通空間部13は、コルゲートチューブCから露出した配索材Wが軸方向Xに沿って挿通され配索される空間部である。一方、保持空間部113は、コルゲートチューブCの端部を保持する空間部である。保持部110は、当該保持空間部113に面して形成される噛合部114を有する。一方、本体部10は、当該本体部挿通空間部13に面した部分には噛合部114が形成されていない。
【0030】
噛合部114は、コルゲートチューブCの外表面に形成された凹凸部Caと噛み合う部分である。噛合部114は、保持部110の保持部ベース部111に形成されるベース部側噛合部114aと、保持部110の保持部カバー部112に形成されるカバー部側噛合部114bとを含んで構成される(図2図3図5等参照)。
【0031】
ベース部側噛合部114aは、保持部ベース部111の内部側の壁面、すなわち、保持空間部113と面する内壁面に形成される。ベース部側噛合部114aは、保持部ベース部111の内壁面から保持空間部113側に突出してリブ状に形成される。ベース部側噛合部114aは、保持部ベース部111の内壁面に沿って延在して形成される。より詳細には、ベース部側噛合部114aは、側壁部20aの内壁面に積層方向Zに沿って形成される部分、底部20cの内壁面に幅方向Yに沿ってコルゲートチューブCの外周面の形状に合わせて湾曲して形成される部分、及び、側壁部20bの内壁面に積層方向Zに沿って形成される部分を含み、これらの部分が相互に連続して略U字型に延在して構成される。ベース部側噛合部114aは、保持部ベース部111の内壁面側の突出基端側から保持空間部113側の突出先端側に向かって先細りの形状に形成される。本実施形態のベース部側噛合部114aは、軸方向Xに沿って間隔をあけて3つ設けられる。
【0032】
カバー部側噛合部114bは、保持部カバー部112の内部側の壁面、すなわち、保持空間部113と面する内壁面に形成される。カバー部側噛合部114bは、保持部カバー部112の内壁面から保持空間部113側に突出してリブ状に形成される。カバー部側噛合部114bは、保持部カバー部112の内壁面に沿って延在して形成される。より詳細には、カバー部側噛合部114bは、保持部カバー部112の内壁面に幅方向Yに沿ってコルゲートチューブCの外周面の形状に合わせて湾曲して形成される部分を含んで構成される。カバー部側噛合部114bは、保持部カバー部112の内壁面側の突出基端側から保持空間部113側の突出先端側に向かって先細りの形状に形成される。本実施形態のカバー部側噛合部114bは、ベース部側噛合部114aと同様に、軸方向Xに沿って間隔をあけて3つ設けられる。各カバー部側噛合部114bと各ベース部側噛合部114aとは、それぞれ一対一で対応し、積層方向Zに対して相互に対向する位置に形成される。
【0033】
噛合部114は、各ベース部側噛合部114aと各カバー部側噛合部114bとがそれぞれコルゲートチューブCの外表面に形成された蛇腹状の凹凸部Caのうちの凹部に嵌合して噛み合う。これにより、噛合部114は、保持部110にコルゲートチューブCの端部を保持し、当該コルゲートチューブCの端部が軸方向Xに沿って当該保持部110から脱落することを規制する。
【0034】
ここで、本実施形態の保持部110は、上述したように、ベース部材20とカバー部材30とを相互に係止するための係止機構50を有する。係止機構50は、係止片111a、係止孔部111b、係止突出部112a、及び、係止爪部112bを含んで構成される(図2図4図6等参照)。係止機構50は、ベース部材20、カバー部材30の幅方向Yの両側にそれぞれ1つずつ、合計2組設けられる。係止片111a、係止孔部111bは、ベース部材20の保持部ベース部111に設けられる。各係止突出部112a、係止爪部112bは、カバー部材30の保持部カバー部112に設けられる。
【0035】
係止片111aは、保持部カバー部112に設けられた係止爪部112bが係止される部分である。係止片111aは、ベース部材20の保持部ベース部111を構成する一対の側壁部20a、20bにそれぞれ1つずつ、合計2つ設けられる。各係止片111aは、幅方向Yが板厚方向となる略矩形板状に形成される。各係止片111aは、それぞれ、各側壁部20a、20bの幅方向Yの外側(保持空間部113側とは反対側)に当該各側壁部20a、20bに対して幅方向Yに沿って間隔をあけて対向する位置関係で、支持部等を介して各側壁部20a、20bの外壁面に支持される。各係止片111aは、積層方向Zに対して、カバー部材30が設けられる側の端部、すなわち、底部20c側とは反対側の端部に設けられる。係止孔部111bは、カバー部材30の保持部カバー部112に設けられた係止突出部112aが挿入される部分である。係止孔部111bは、各係止片111a、及び、その支持部と各側壁部20a、20bとの間にそれぞれ形成される空間部である。各係止孔部111bは、積層方向Zの両側に開口している。
【0036】
係止突出部112aは、係止爪部112bが設けられ、係止孔部111bに挿入される部分である。係止突出部112aは、係止片111aに対応してそれぞれ1つずつ、合計2つ設けられる。各係止突出部112aは、幅方向Yが板厚方向となる略矩形板状に形成される。各係止突出部112aは、それぞれ、カバー部材30の保持部カバー部112の幅方向Yの端部からベース部材20の保持部ベース部111側に向けて突出するようにして形成される。各係止突出部112aは、それぞれ、積層方向Zに対して各係止孔部111bと対向する位置関係で、保持部カバー部112に形成される。係止爪部112bは、保持部ベース部111に設けられた係止片111aに係止される部分である。係止爪部112bは、各係止突出部112aにそれぞれ形成される。係止爪部112bは、それぞれ各係止突出部112aから幅方向Yの外側に突出して爪状に形成される。
【0037】
係止機構50は、各係止孔部111bに各係止突出部112aが挿入され、各係止爪部112bが各係止片111aの積層方向Zの底部20c側の端面に係止される(図1図4等参照)。これにより、係止機構50は、ベース部材20とカバー部材30とを係止し相互に組み付け、カバー部材30をベース部材20に対して閉塞位置で保持する。
【0038】
そして、本実施形態の保持部110は、さらに、可撓部120を設けるための可撓部設置孔部111cを有する(図1図2図4図6等参照)。可撓部設置孔部111cは、可撓部120が設けられる切り欠き部である。可撓部設置孔部111cは、積層方向Zに沿ったスリット状の切り欠き部である。ここでは、可撓部設置孔部111cは、ベース部材20の保持部ベース部111を構成する一対の側壁部20a、20bにそれぞれ1つずつ、合計2つ設けられる。各可撓部設置孔部111cは、各側壁部20a、20bにそれぞれ積層方向Zに沿って直線状に延在して形成される。各可撓部設置孔部111cは、幅方向Yに沿って各側壁部20a、20bを貫通する。各可撓部設置孔部111cは、各側壁部20a、20bにおいて、積層方向Zに沿って底部20cの近傍から当該底部20cとは反対側の端部まで延在する。各可撓部設置孔部111cは、底部20c側の端部が閉塞端部を構成し、当該底部20c側とは反対側の端部が開口端部を構成する。各可撓部設置孔部111cは、軸方向Xに対して上述の係止片111aとほぼ同等の位置に形成され、幅方向Yに対して互いに対向する。
【0039】
可撓部120は、保持部110の可撓部設置孔部111c内に設けられ、幅方向Yに対して保持部110より相対的に高い可撓性を有する部分として形成される(図1図2図4図6等参照)。可撓部120は、各可撓部設置孔部111cにそれぞれ1つずつ、合計2つ設けられる。本実施形態の各可撓部120は、可撓アーム部121を含んで構成される。可撓アーム部121は、保持部110から積層方向Zに沿って延在し当該保持部110に片持ち状に支持され突起部130が設けられる。可撓アーム部121は、ベース部材20の保持部ベース部111に設けられる。各可撓アーム部121は、各可撓部設置孔部111c内に積層方向Zに沿って棒状に延在して形成される。より詳細には、各可撓アーム部121は、各可撓部設置孔部111c内の底部20c側の端部を基端部として積層方向Zに沿って底部20c側とは反対側に向けて突出して形成され、当該基端部が底部20c近傍に片持ち状に支持される。各可撓アーム部121は、基端部が底部20c近傍に片持ち状に支持されることで、幅方向Yに対して保持部110より相対的に高い可撓性を有して形成され、幅方向Yに沿って弾性変形し易い構成とされる。各可撓アーム部121は、全体が幅方向Yの外側に撓んだ際に積層方向Zの底部20c側とは反対側の端部である先端部が係止機構50の各係止片111aと当接せず、かつ、係止機構50の各係止爪部112bが各係止片111aに係止された状態で当該先端部が各係止孔部111bに挿入された各係止突出部112aと当接する位置まで延在して形成される。そして、各可撓アーム部121は、それぞれ突起部130が設けられる。各可撓アーム部121は、積層方向Zの中腹部位に突起部130が設けられる。
【0040】
突起部130は、可撓部120から幅方向Yに沿って保持空間部113側に突出して形成される部分である(図2図3図6等参照)。さらに言えば、突起部130は、保持空間部113側に突出して形成されることで、積層方向Zに対して、少なくとも当該保持空間部113の一部を一対の分割保持空間部113A、113Bに区分け(領域分け)する部分である。ここでは、保持空間部113は、全体が一対の分割保持空間部113A、113Bに区分けされる。一対の分割保持空間部113A、113Bは、それぞれ保持空間部113を構成する空間部であり、それぞれコルゲートチューブCの端部を保持可能である。つまり、保持空間部113は、突起部130によって分割保持空間部113A、113Bに区画されることで、積層方向Zに沿って多段(ここでは2段)でコルゲートチューブCを積層させて保持する多段保持空間部を構成する。ここでは、分割保持空間部113Aは、積層方向Zに対して、突起部130より底部20c側に位置する空間部を構成する。一方、分割保持空間部113Bは、積層方向Zに対して、突起部130より底部20c側とは反対側、すなわち、保持部カバー部112側に位置する空間部を構成する。
【0041】
突起部130は、各可撓部120を構成する各可撓アーム部121にそれぞれ1つずつ、合計2つ設けられる。各突起部130は、可撓アーム部121と一体で形成される。各突起部130は、可撓アーム部121における積層方向Zの中腹部位に設けられる。各突起部130は、積層方向Zに沿って保持空間部113に積層されて保持されるコルゲートチューブCの外径に応じた位置に設けられる。さらに言えば、各突起部130は、当該各突起部130によって区分けされる各分割保持空間部113A、113Bが、それぞれ要求された外径のコルゲートチューブCを保持可能な大きさとなる位置に形成される。本実施形態の各可撓部120を構成する各可撓アーム部121、及び、各突起部130は、幅方向Yに対して、保持空間部113を挟んで対向して一対で設けられる。
【0042】
また、本実施形態の各突起部130は、幅方向Yに沿って可撓部120を構成する可撓アーム部121側の突出基端側から保持空間部113側の突出先端側に向かって先細りの形状に形成される。より詳細には、各突起部130は、軸方向Xに沿って視て(図3参照)、略等脚台形状に形成される。
【0043】
次に、図7図8図9図10図11を参照してプロテクタ1の組み付け時の動作について説明する。
【0044】
上記のように構成されるプロテクタ1は、ベース部材20とカバー部材30とが組み付けられておらず、ベース部材20内の挿通空間部40が開放された状態で、配索材W、コルゲートチューブCと相互に組み付けられる。プロテクタ1は、図7に例示するように、内部に配索材Wが挿通されたコルゲートチューブCの端部が積層方向Zに沿って保持空間部113に挿入される。この場合、コルゲートチューブCは、延在方向が軸方向Xに沿うような位置関係で保持空間部113に挿入される。そしてこの場合、まず、1段目のコルゲートチューブCは、保持空間部113のうちの分割保持空間部113Aまで押し込まれる。このとき、プロテクタ1は、1段目のコルゲートチューブCが積層方向Zに沿って押圧され各突起部130と当接した状態からさらに分割保持空間部113A側に押し込まれる。これにより、プロテクタ1は、図8に示すように、当該コルゲートチューブCの端部が各突起部130を介して可撓部120の可撓アーム部121を幅方向Yの外側に押し広げるように撓ませながら弾性変形させ、当該各突起部130が保持空間部113側から退避した状態となり、当該コルゲートチューブCの端部が当該各突起部130を乗り越えることとなる。この結果、プロテクタ1は、図9に示すように、当該1段目のコルゲートチューブCの端部が各突起部130を挟んで一方側の分割保持空間部113Aに収納され保持される。可撓部120の可撓アーム部121は、元の位置に弾性復帰し、各突起部130が保持空間部113側に突出した位置に復帰する。
【0045】
次に、プロテクタ1は、図9に例示するように、内部に配索材Wが挿通された別のコルゲートチューブCの端部が積層方向Zに沿って保持空間部113に挿入される。この場合も、コルゲートチューブCは、延在方向が軸方向Xに沿うような位置関係で保持空間部113に挿入される。そしてこの場合、2段目のコルゲートチューブCは、保持空間部113のうちの分割保持空間部113Bまで押し込まれる。このとき、プロテクタ1は、図10に示すように、当該2段目のコルゲートチューブCが各突起部130と当接し当該突起部130を乗り越えない位置で当該突起部130を挟んで他方側の分割保持空間部113Bに収納され保持される。
【0046】
そして、プロテクタ1は、図11に示すように、カバー部材30が各係止機構50を介してベース部材20に係止され相互に組み付けられ閉塞位置に保持される。この状態で、プロテクタ1は、コルゲートチューブCの端部が保持部110の保持空間部113(分割保持空間部113A、113B)内で、噛合部114(ベース部側噛合部114a、カバー部側噛合部114b)によって脱落することを規制された状態で、積層方向Zに沿って積層されて保持される。そして、プロテクタ1は、各コルゲートチューブCの端部から露出した配索材Wが本体部10の本体部挿通空間部13内に挿通され配索された状態となる。
【0047】
また、プロテクタ1は、図11に示す状態で、各係止機構50において、各係止孔部111bに各係止突出部112aが挿入され、各係止爪部112bが各係止片111aの積層方向Zの底部20c側の端面に係止された状態となっている。この状態で、カバー部材30の保持部カバー部112は、積層方向Zに対して可撓アーム部121の先端部側に位置し保持部ベース部111と共に保持空間部113を区画すると共に、各係止孔部111bに挿入された各係止突出部112aが可撓アーム部121の先端部と当接する。これにより、保持部カバー部112は、当該各係止突出部112aが可撓アーム部121の幅方向Yの外側(保持空間部113側とは反対側)への倒れを規制する。つまりこの場合、各係止突出部112aは、保持部ベース部111(ベース部材20)と保持部カバー部112(カバー部材30)とを係止する係止機構50を構成すると共に、可撓アーム部121の倒れを規制する倒れ規制部としても兼用される。
【0048】
以上で説明したプロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、可撓部120から保持空間部113側に突出して形成された突起部130によって保持部110内の保持空間部113が一対の分割保持空間部113A、113Bに区分けされて構成される。そして、プロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、各分割保持空間部113A、113Bに対してコルゲートチューブCが保持されることで、複数のコルゲートチューブCを保持空間部113に積層させて保持することができる。このとき、プロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、コルゲートチューブCが積層方向Zに沿って保持空間部113に挿入され、突起部130と当接し可撓部120を撓ませながら当該突起部130を乗り越えて当該突起部130を挟んで一方側の分割保持空間部113Aに収納され保持される。その後、プロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、さらに、他のコルゲートチューブCが積層方向Zに沿って保持空間部113に挿入され、突起部130と当接し当該突起部130を乗り越えない位置で当該突起部130を挟んで他方側の分割保持空間部113Bに収納され保持される。プロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、この状態で、一対の分割保持空間部113A、113Bの一方側と他方側とで、突起部130を仕切り部として積層方向Zに沿ってコルゲートチューブCを積層させて保持することができる。この場合、プロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、仕切り部として機能する突起部130が一対のコルゲートチューブCの間に介在し、相互の間で荷重受け部として機能することで、一方のコルゲートチューブCに他方のコルゲートチューブCの荷重が作用することを抑制し各コルゲートチューブCが潰れることを抑制することができる。これにより、プロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、各コルゲートチューブCの適正な外形を維持した状態で保持部110に積層させて保持することができ、安定した保持力を確保することができるので、外形の変形の影響を受けて各コルゲートチューブCが保持部110から脱落することを抑制することができる。この結果、プロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、コルゲートチューブCを適正に積層させて保持することができる。
【0049】
また、プロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、例えば、当該ワイヤハーネスWHが搭載される車両の仕様等に応じて、当該プロテクタ1に挿通される配索材W、及び、コルゲートチューブCが1本になった場合でも、一対の分割保持空間部113A、113Bのいずれか一方と各突起部130とによって単段でコルゲートチューブCを適正に保持することもできる。この結果、プロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、汎用性を向上させることもできる。
【0050】
さらに、以上で説明したプロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、可撓部120、及び、突起部130が幅方向Yに対して保持空間部113を挟んで対向して一対で設けられることから、各コルゲートチューブCが潰れることを、より確実に抑制することができ、より適正にコルゲートチューブCを保持することができる。
【0051】
さらに、以上で説明したプロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、突起部130が保持空間部113側に向かって先細りの形状に形成されることから、コルゲートチューブCを分割保持空間部113Aに押し込む際に突起部130を介して可撓部120を撓ませ易い構成とすることができる。またさらに、プロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、突起部130が保持空間部113側に向かって先細りの形状に形成されることから、当該突起部130を一対のコルゲートチューブCの間に介在して荷重を受け易い構成とすることができる。この結果、プロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、組み付け時の作業性を向上し生産効率を向上することができると共に、各コルゲートチューブCが潰れることをより確実に抑制することができ、より適正にコルゲートチューブCを保持することができる。
【0052】
さらに、以上で説明したプロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、可撓部120が保持部110に片持ち状に支持された可撓アーム部121を含んで構成されることで、可撓部120をより小さな力で撓み易い構成とすることができるので、組み付け時の作業性をさらに向上し生産効率をさらに向上することができる。
【0053】
さらに、以上で説明したプロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、保持部110が保持部ベース部111と保持部カバー部112とを含んで構成され、保持部カバー部112が保持部ベース部111に組み付けられた状態で、保持部カバー部112の係止突出部112aが可撓アーム部121の先端部と当接し幅方向Yの外側への倒れを規制することができる。この結果、プロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、可撓アーム部121に設けられた突起部130によって一対の分割保持空間部113A、113Bを区分けした状態を確実に維持することができ、より適正にコルゲートチューブCを保持することができる。
【0054】
さらに、以上で説明したプロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、保持部110に設けられた噛合部114によって、コルゲートチューブCが軸方向Xに沿って当該保持部110から脱落することを規制することができる。この結果、プロテクタ1、ワイヤハーネスWH、保持機構100は、より確実にコルゲートチューブCを保持することができる。
【0055】
なお、上述した本発明の実施形態に係るプロテクタ、ワイヤハーネス、及び、外装材保持機構は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0056】
以上で説明した保持機構100は、図12の変形例に示すように、各突起部130、及び、各可撓アーム部121が突起部側噛合部114cを有していてもよい。突起部側噛合部114cは、コルゲートチューブCの外表面に形成された凹凸部Caと噛み合う噛合部114を構成するものであり、ベース部側噛合部114a、カバー部側噛合部114bと同様に構成される。ここでは、突起部側噛合部114cは、各突起部130と各可撓アーム部121とに渡って延在して形成される。この場合、保持機構100は、各突起部130、各可撓アーム部121に突起部側噛合部114cが設けられることで、各コルゲートチューブCを保持部110に保持するための保持力をさらに向上することができるので、より確実にコルゲートチューブCを保持することができる。
【0057】
以上の説明では、ベース部材20とカバー部材30とは、相互に組み付けられることで、全体として略矩形筒状に形成されるものとしたがこれに限らず、例えば、全体として略円筒形状に形成されてもよい。
【0058】
以上の説明では、外装材は、凹凸部Caによって蛇腹形状をなすコルゲートチューブCであるものとして説明したがこれに限らず、凹凸部Caを有さない筒状の形状であってもよい。また、保持部110は、プロテクタ1において、噛合部114が形成された部分であり、本体部10は、プロテクタ1において、当該噛合部114が形成されていない部分であるものとして説明したがこれに限らない。本体部10は、一部に噛合部114が形成されていてもよいし、保持部110は、噛合部114を介さずに他の形式でコルゲートチューブC等の外装材を保持する構成であってもよい。
【0059】
以上の説明では、可撓部120は、片持ち状の可撓アーム部121を含んで構成されるものとして説明したがこれに限らない。可撓部120は、幅方向Yに対して保持部110より相対的に高い可撓性を有する部分として構成されていればよく、例えば、積層方向Zに沿って延在し両端が固定された部分として形成されてもよい。なお、図13の参考例に係る保持機構100Aのように、保持部110と可撓部120Aとを共通の構成として兼用することも可能である。この場合、保持部110は、可撓部設置孔部111cにかえて積層方向Zに沿ったスリット部111cAを有する。スリット部111cAは、ベース部材20を構成する一対の側壁部20a、20bにそれぞれ1つずつ、合計2つ設けられる。各スリット部111cAは、各側壁部20a、20bにそれぞれ積層方向Zに沿って直線状に延在して形成される。各スリット部111cAは、幅方向Yに沿って各側壁部20a、20bを貫通する。各スリット部111cAは、各側壁部20a、20bにおいて、積層方向Zに沿って底部20cの近傍から当該底部20cとは反対側の端部まで延在する。各スリット部111cAは、底部20c側の端部が閉塞端部を構成し、当該底部20c側とは反対側の端部が開口端部を構成する。そして、保持機構100Aは、一対の側壁部20a、20bにおいて、軸方向Xに対して各スリット部111cAより端部側の部分の全体が保持部110、及び、可撓部120Aとして兼用される。ここでは、保持部110としても兼用される可撓部120Aは、本体部10の端部に設けられ、コルゲートチューブCの端部を保持する保持空間部113が形成されると共に幅方向Yに対して本体部10の他の部分より相対的に高い可撓性を有する部分として形成される。そして、保持部110としても兼用される可撓部120Aは、一対の側壁部20a、20bにおいて、軸方向Xに対して各スリット部111cAより端部側の部分の全体が、積層方向Zに沿って延在し本体部10を構成する底部20cに片持ち状に支持され突起部130が設けられる可撓アーム部121Aを構成する。また、参考例に係る保持機構100Aは、側壁部20a、20bにおい一対の突起部130が設けられる部分が、一対の突起部130の間をコルゲートチューブCの端部が積層方向Zに沿って通過できる程度に可撓性を有する構成であれば、スリット部111cAが形成されていない構成であってもよい。これらの場合であっても、保持機構100Aは、コルゲートチューブCを適正に積層させて保持することができる。
【0060】
以上の説明では、可撓部120、及び、突起部130は、幅方向Yに対して、保持空間部113を挟んで対向して一対で設けられるものとして説明したがこれに限らない。また、各突起部130は、可撓アーム部121と一体で形成されるものとして説明したがこれに限らず、それぞれ別体で形成された後、相互に組み付けられてもよい。また、各突起部130は、軸方向Xに沿って視て(図3参照)、略等脚台形状に形成されるものとして説明したがこれに限らず、略二等辺三角形状、略正三角形状等に形成されてもよいし、他の形状であってもよい。
【0061】
以上の説明では、各係止突出部112aは、係止機構50を構成すると共に、可撓アーム部121の倒れを規制する倒れ規制部としても兼用されるものとして説明したがこれに限らない。保持部カバー部112は、各係止突出部112a以外の他の部分が可撓アーム部121の先端部に当接し倒れを規制する倒れ規制部として機能してもよいし、そもそも可撓アーム部121の倒れ規制部としての機能を備えていなくてもよい。
【0062】
以上の説明では、保持機構100は、積層方向Zに沿ってコルゲートチューブCを2段に積層させて保持するものとして説明したがこれに限らず、3段以上の多段に積層させて保持する構成であってもよい。この場合、保持機構100は、保持空間部113の一部を一対の分割保持空間部113A、113Bに区分けする突起部130が積層方向Zに沿って間隔をあけて複数設けられればよい。
【0063】
以上の説明では、外装材保持機構は、プロテクタ1の一部を構成する保持機構100であるものとして説明したがこれに限らずプロテクタ1等とは別に単独で構成されてもよい。この場合、外装材保持機構は、保持部がコルゲートチューブC等の外装材の端部以外の部分、例えば、中腹部分を保持するものであってもよい。またこの場合、外装材保持機構は、車両のボディ等に固定できるクランプや締結部等の固定部が当該保持部に設けられていてもよい。
【0064】
以上の説明では、第1方向である軸方向Xと第2方向である幅方向Yと第3方向である積層方向Zとは、相互に略直交するものとして説明したがこれに限らず、少なくとも相互に交差していればよい。
【符号の説明】
【0065】
1 プロテクタ
10 本体部
100 保持機構(外装材保持機構)
110 保持部
111 保持部ベース部
112 保持部カバー部
113 保持空間部
113A、113B 分割保持空間部
114 噛合部
120 可撓部
121 可撓アーム部
130 突起部
C コルゲートチューブ(外装材)
Ca 凹凸部
W 配索材
WH ワイヤハーネス
X 軸方向
Y 幅方向
Z 積層方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図13