特許第6774270号(P6774270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774270
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】水変色性インジケーター
(51)【国際特許分類】
   G01N 31/00 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   G01N31/00 B
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-166288(P2016-166288)
(22)【出願日】2016年8月26日
(65)【公開番号】特開2018-31751(P2018-31751A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2019年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中島 明雄
【審査官】 大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−140742(JP,A)
【文献】 実開昭60−009907(JP,U)
【文献】 特開2008−046005(JP,A)
【文献】 実開昭60−020509(JP,U)
【文献】 実開平03−058416(JP,U)
【文献】 特開平01−250843(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/081835(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 31/00 − 31/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、非吸液状態で不透明であり、吸液状態で透明化する多孔質層と、前記多孔質層上に水で可溶化する着色層を部分的に設けてなり、前記水で可溶化する着色層は、水溶性染料とバインダー樹脂を含む層であり、前記バインダー樹脂は水溶性樹脂及び非水溶性樹脂を含む水変色性インジケーター。
【請求項2】
支持体上に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、非吸液状態で不透明であり、吸液状態で透明化する多孔質層と、水で可溶化する着色層を並設してなる水変色性インジケーター。
【請求項3】
支持体上に、水で可溶化する着色層と、前記着色層上に低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、非吸液状態で不透明であり、吸液状態で透明化する多孔質層を設けてなり、前記水で可溶化する着色層は、水溶性染料とバインダー樹脂を含む層であり、前記バインダー樹脂は水溶性樹脂及び非水溶性樹脂を含む水変色性インジケーター。
【請求項4】
前記水で可溶化する着色層は、水溶性染料を含む層である請求項記載の水変色性インジケーター。
【請求項5】
前記水で可溶化する着色層は、水溶性染料とバインダー樹脂を含む層である請求項4記載の水変色性インジケーター。
【請求項6】
前記バインダー樹脂は水溶性樹脂及び非水溶性樹脂を含む請求項5記載の水変色性インジケーター。
【請求項7】
前記支持体が透水性を有する支持体である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の水変色性インジケーター。
【請求項8】
最上層に防水層を設けてなる請求項7記載の水変色性インジケーター。
【請求項9】
前記支持体上に非変色性着色層を設けてなる請求項1乃至8のいずれか一項に記載の水変色性インジケーター。
【請求項10】
最下層に粘着層を設けてなる請求項1乃至9のいずれか一項に記載の水変色性インジケーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水変色性インジケーターに関する。詳細には、水が付着することにより乾燥状態とは異なる様相を視認できる水変色性インジケーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、支持体の表面に低屈折率顔料を含有する多孔質層を形成し、水を多孔質層に吸液させて透明化させ、下地の色を現出させる変色性積層体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、透明性基材の裏面に粘着層を設け、透明性基材の表面に低屈折率顔料を含有する多孔質層と着色層を設けた変色性粘着ラベルが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
前記変色性積層体及び変色性粘着ラベルは、水の付着を検知するインジケーターとして用いることができるものの、水が付着した状態を確認できるのみであって、乾燥により元の状態に戻るため過去に水の付着があったかどうかを判別することはできなかった。
また、別の試みとして水をはじき難い用紙に、水溶性染料を含むインキを印刷した水濡れ感知印刷物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
前記水濡れ感知印刷物は、水が付着することにより水溶性染料が印刷部分から溶出して非印刷部分に滲みだすため、過去に水の付着があったかどうかを判別することができるものの、現時点で水が付着しているかどうかを判別する機能を有していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−198271号公報
【特許文献2】特開2007−322594号公報
【特許文献3】特開平10−2893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、過去に水の付着があったかどうかを判別することができると共に、現時点で水が付着しているかどうかを判別する機能を備えた水変色性インジケーターを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、支持体上に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、非吸液状態で不透明であり、吸液状態で透明化する多孔質層と、前記多孔質層上に水で可溶化する着色層を部分的に設けてなり、前記水で可溶化する着色層は、水溶性染料とバインダー樹脂を含む層であり、前記バインダー樹脂は水溶性樹脂及び非水溶性樹脂を含む水変色性インジケーター、或いは、支持体上に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、非吸液状態で不透明であり、吸液状態で透明化する多孔質層と、水で可溶化する着色層を並設してなる水変色性インジケーター、或いは、支持体上に、水で可溶化する着色層と、前記着色層上に低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、非吸液状態で不透明であり、吸液状態で透明化する多孔質層を設けてなり、前記水で可溶化する着色層は、水溶性染料とバインダー樹脂を含む層であり、前記バインダー樹脂は水溶性樹脂及び非水溶性樹脂を含む水変色性インジケーターを要件とする。
更には、支持体上に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、非吸液状態で不透明であり、吸液状態で透明化する多孔質層と、水で可溶化する着色層を並設してなる水変色性インジケーターにおいて、前記水で可溶化する着色層は、水溶性染料を含む層であること、前記水で可溶化する着色層は、水溶性染料とバインダー樹脂を含む層であること、前記バインダー樹脂は水溶性樹脂及び非水溶性樹脂を含むことを要件とする。
更には、前記支持体が透水性を有する支持体であること、最上層に防水層を設けてなること、前記支持体上に非変色性着色層を設けてなること、最下層に粘着層を設けてなること等を要件とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、過去に水の付着があったかどうかを判別することができると共に、現時点で水が付着しているかどうかを判別する機能を備えた利便性に富む水変色性インジケーターを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の水変色性インジケーターの一参考例の縦断面図である。
図2】本発明の水変色性インジケーターの実施例の縦断面図である。
図3】本発明の水変色性インジケーターの他の参考例の縦断面図である。
図4】本発明の水変色性インジケーターの他の参考例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、支持体上に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、非吸液状態で不透明であり、吸液状態で透明化する多孔質層と、前記多孔質層上に水で可溶化する着色層を部分的に設けてなる水変色性インジケーター、或いは、支持体上に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、非吸液状態で不透明であり、吸液状態で透明化する多孔質層と、水で可溶化する着色層を並設してなる水変色性インジケーター、或いは、支持体上に、水で可溶化する着色層と、前記着色層上に低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、非吸液状態で不透明であり、吸液状態で透明化する多孔質層を設けてなる水変色性インジケーターである。
そのうち、支持体上に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、非吸液状態で不透明であり、吸液状態で透明化する多孔質層と、前記多孔質層上に水で可溶化する着色層を部分的に設けてなる水変色性インジケーターについて説明する。
【0009】
前記支持体は特に限定されるものではなく、例えば、紙、合成紙、織物、編物、組物、不織布等の布帛、天然又は合成皮革、プラスチック、ガラス、陶磁器、金属、木材、石材等が用いられ、布帛、合成紙、プラスチックが好適に用いられる。又、形状としては平面形状であっても、立体形状であってもよい。
なお、前記支持体は、支持体自体が着色されたものであってもよいし、支持体上に非変色性着色層を設けたものであってもよい。
前記支持体を着色する着色剤、又は、非変色性着色層中に含まれる着色剤としては、一般染料や蛍光染料、着色顔料が挙げられ、そのうち、着色顔料としては、一般顔料、蛍光顔料、金属粉の他、雲母、アルミナ、ガラス等の芯物質を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料(パール顔料)を例示できる。
【0010】
前記多孔質層は、低屈折率顔料をバインダー樹脂と共に分散状態に固着させた層であり、乾燥状態と吸液状態で透明性が異なる層である。
前記低屈折率顔料の屈折率は1.4〜1.8の範囲にあり、水を吸液すると良好な透明性を示す。
前記低屈折率顔料としては、珪酸及びその塩、バライト粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク、アルミナ、アルミナホワイト、炭酸マグネシウム等が挙げられ、珪酸及びその塩が好適に用いられる。
なお、前記珪酸の塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸アルミニウムカリウム、珪酸アルミニウムナトリウム、珪酸アルミニウムカルシウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、珪酸カルシウムナトリウム、珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウムカリウム等が挙げられる。
又、前記低屈折率顔料は2種以上を併用することもできる。
前記低屈折率顔料の粒径は特に限定されるものではないが、0.03〜10.0μmのものが好適に用いられる。
なお、好適に用いられる低屈折率顔料としては珪酸が挙げられる。
前記珪酸は、乾式法により製造させる珪酸であってもよいが、湿式法により製造される珪酸(以下、湿式法珪酸と称する)が特に効果的であり、この点を説明すると、珪酸は非晶質の無定形珪酸として製造され、その製造方法により、四塩化ケイ素等のハロゲン化ケイ素の熱分解等の気相反応を用いる乾式法によるもの(以下、乾式法珪酸と称する)と、ケイ酸ナトリウム等の酸による分解等の液相反応を用いる湿式法によるものとに大別され、乾式法珪酸と湿式法珪酸とでは構造が異なり、前記乾式法珪酸は珪酸が密に結合した三次元構造を形成するのに対して、湿式法珪酸は、珪酸が縮合して長い分子配列を形成した、所謂、二次元構造部分を有している。
従って、前記乾式法珪酸と比較して分子構造が粗になるため、湿式法珪酸を多孔質層に適用した場合、乾式法珪酸を用いる系と比較して乾燥状態における光の乱反射性に優れ、よって、常態での隠蔽性が大きくなるものと推察される。
又、前記多孔質層においては、水を吸液させるものであるから、湿式法珪酸は乾式法珪酸に比べて粒子表面にシラノール基として存在する水酸基が多く、親水性の度合いが大であり、好適に用いられる。
なお、前記多孔質層の常態での隠蔽性と吸液状態での透明性を調整するために、湿式法珪酸と共に、他の汎用の低屈折率顔料を併用することもできる。
【0011】
前記多孔質層中の低屈折率顔料は、粒子径、比表面積、吸油量等の性状に左右されるが、常態での隠蔽性と吸液状態での透明性を共に満足するためには、塗布量が1〜30g/mであることが好ましく、より好ましくは、5〜20g/mである。1g/m未満では、常態で十分な隠蔽性を得ることが困難であり、又、30g/mを越えると吸液時に十分な透明性を得ることが困難である。
前記低屈折率顔料はバインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に分散され、支持体に塗布した後、揮発分を乾燥させて多孔質層を形成する。
前記バインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
前記低屈折率顔料とこれらのバインダー樹脂の混合比率は、低屈折率顔料の種類及び性状に左右されるが、好ましくは、低屈折率顔料1質量部に対してバインダー樹脂固形分0.5〜2質量部であり、より好ましくは、0.8〜1.5質量部である。低屈折率顔料1質量部に対してバインダー樹脂固形分が0.5質量部未満の場合には、前記多孔質像の実用的な皮膜強度を得ることが困難であり、2質量部を越える場合には、前記多孔質層内部への水の浸透性が悪くなる。
前記多孔質層は、一般的な塗膜と比較して着色剤に対するバインダー樹脂の混合比率が小さいため、十分な皮膜強度が得られ難い。そこで、耐擦過強度を高めるために、前記のバインダー樹脂のうち、ナイロン樹脂又はウレタン系樹脂を用いると効果的である。
前記ウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂等があり、2種以上を併用することもできる。又、前記樹脂が水に乳化分散したウレタン系エマルジョン樹脂や、イオン性を有するウレタン樹脂(ウレタンアイオノマー)自体のイオン基により乳化剤を必要とすることなく自己乳化して、水中に溶解乃至分散したコロイド分散型(アイオノマー型)ウレタン樹脂を用いることもできる。
なお、前記ウレタン系樹脂は水性ウレタン系樹脂又は油性ウレタン系樹脂のいずれを用いることもできるが、本発明においては水性ウレタン系樹脂、殊に、ウレタン系エマルジョン樹脂やコロイド分散型ウレタン系樹脂が好適に用いられる。
前記ウレタン系樹脂は単独で用いることもできるが、支持体の種類や皮膜に必要とされる性能に応じて、他のバインダー樹脂を併用することもできる。ウレタン系樹脂以外のバインダー樹脂を併用する場合、実用的な皮膜強度を得るためには、前記多孔質層のバインダー樹脂中にウレタン系樹脂を固形分質量比率で30%以上含有させることが好ましい。
前記バインダー樹脂において、架橋性のものは任意の架橋剤を添加して架橋させることにより、さらに皮膜強度を向上させることができる。
前記バインダー樹脂には、水との親和性に大小が存在するが、これらを組み合わせることにより、多孔質層中への浸透時間、浸透度合い、浸透後の乾燥の遅速を調整することができる。更には、適宜分散剤や界面活性剤を添加して前記調整をコントロールすることができる。
【0012】
前記多孔質層は、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等により支持体上に形成することができる。
前記多孔質層としては、円形、楕円形、正方形、長方形等の像であってもよいが、各種文字、記号、図形、模様の他、人、動物、植物、果実、食料品、乗物、建物、天体等の像でもよい。
【0013】
前記多孔質層上に設けられる水で可溶化する着色層は、水溶性染料と、必要によりバインダー樹脂とからなる着色層、又は、顔料と水溶性樹脂を含む着色層が挙げられる。
前記着色層は、水が付着することにより着色層中に含まれる水溶性染料が周囲に溶出したり、顔料が周囲に拡散するため、過去に水の付着があったかどうかを判別することができる。
前記水溶性染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を用いることができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
前記顔料としては、カーボンブラック、群青などの無機顔料や銅フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー等の有機顔料、各種蛍光染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料、金属光沢顔料等を例示できる。
【0014】
前記バインダー樹脂としては、水溶性樹脂、非水溶性樹脂のいずれを用いることもできるが、好ましくは、水溶性樹脂が用いられ、より好ましくは水溶性樹脂と非水溶性樹脂とを併用する。
前記水溶性樹脂を用いることにより、水付着時の溶出性や拡散性に優れ、前記水溶性樹脂と非水溶性樹脂とを併用することにより、水付着時の溶出性や拡散性に優れると共に高湿度化での着色層の初期状態の保存性にも優れる。
なお、前記水溶性樹脂と非水溶性樹脂とを併用する場合、着色層中に水溶性樹脂と非水溶性樹脂を95:5〜5:95の質量比率で用いることが好ましく、より好ましくは90:10〜10:90である。
前記水溶性樹脂としては、水に溶解するものであれば特に限定されるものではないが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、水溶性アクリル樹脂、水溶性ナイロン樹脂等の水溶性合成樹脂、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アラビアゴム、カゼイン、カゼインナトリウム、グアーガム、ゼラチン、デキストリン、澱粉、加工澱粉、還元水飴等の天然物由来の水溶性樹脂、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、等のセルロール及びセルロース誘導体及びその塩類、デキストラン、澱粉糖、プルラン、シクロアミロース等の多糖類等が挙げられる。
前記非水溶性樹脂としては、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂のエマルジョン等が挙げられる。
【0015】
前記着色層は、水溶性染料、顔料等の着色剤をビヒクル中に混合して、塗料や印刷インキ等の液状組成物を調製し、多孔質層と同様の手段により形成される。
塗料や印刷インキの溶剤としては、水、水と水溶性有機溶剤、溶剤のいずれを用いることもできる。
前記溶剤はベンゼン、トルエン、キシレンの芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタンの飽和炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンのケトン類、クロロホルム、トリクロロエタンのハロゲン化炭化水素類、ミネラルスピリット、石油エーテルの石油系溶剤が挙げられる。
なお、前記塗料や印刷インキには、必要に応じて増粘剤、分散剤、pH調整剤、防腐剤或いは防黴、酸化防止剤等を含有してもよい。
【0016】
前記着色層は、多孔質層上に部分的に設けられ、各種文字、記号、図形、模様の他、人、動物、植物、果実、食料品、乗物、建物、天体等の形状が挙げられる。なお、前記模様は水玉模様等のそれぞれ独立した非連続模様であってもよいし、格子模様等の部分的に連結した連続模様であってもよい。
前記多孔質層上の着色層を形成した部分と、着色層を形成していない部分の面積比は特に限定されるものではないが、1cmあたり0.1:99.9〜30:70、好ましくは1:99〜20:80であることにより、多孔質層上の全面に亘って適度に設けられて乾燥状態における水変色性インジケーターの質感を高めることができると共に、吸液状態における着色層の明瞭な像を視認することができる。
【0017】
前記着色層は、多孔質層上に部分的に設けられてなり、水が付着することにより着色剤が多孔質層に溶出したり、拡散して水の付着があったかどうかを判別することができる。
前記着色層として、水溶性染料を含む着色層は水が付着することにより水溶性染料が多孔質層に溶出し易く、変化性に富むため好適に用いられる。
【0018】
次いで、支持体上に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、非吸液状態で不透明であり、吸液状態で透明化する多孔質層と、水で可溶化する着色層を並設してなる水変色性インジケーターについて説明する。
支持体の材質、形状は前記と同様であり、支持体自体が着色されたものであってもよいし、支持体上に非変色性着色層を設けたものであってもよい。
多孔質層、水で可溶化する着色層は前記と同様であり、支持体上に多孔質層と、着色層は並設されてなる。
よって、水が付着することにより着色層中に含まれる水溶性染料が周囲に溶出したり、顔料が周囲に拡散するため、過去に水の付着があったかどうかを判別することができる。
前記多孔質層と着色層は、互いに接していなくてもよいが、密接して配置することにより、着色層の溶出した水溶性染料や拡散した顔料が多孔質層に付着するため、滲んだ着色層の保存安定性に優れる。
前記多孔質層は、水の吸液により透明化して下地の色を視認でき、乾燥により元の状態に戻るため、現時点で水が付着しているか否かを判別することができる。
【0019】
次いで、支持体上に、水で可溶化する着色層と、前記着色層上に低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、非吸液状態で不透明であり、吸液状態で透明化する多孔質層を設けてなる水変色性インジケーターについて説明する。
支持体の材質、形状は前記と同様であり、支持体自体が着色されたものであってもよいし、支持体上に非変色性着色層を設けたものであってもよい。
多孔質層、水で可溶化する着色層は前記と同様であり、支持体上に着色層、着色層上に多孔質層を設けてなる。
よって、水が付着することにより着色層中に含まれる水溶性染料が上層の多孔質層に溶出したり、顔料が上層の多孔質層に拡散し、多孔質層表面から着色層の色が視認されるため、過去に水の付着があったかどうかを判別することができる。
前記多孔質層は、水の吸液により透明化して下地の色を視認でき、乾燥により元の状態に戻るため、現時点で水が付着しているか否かを判別することができる。
【0020】
前記水変色性インジケーターは、透水性を有する支持体、例えば、布帛や透孔を有するフィルム、紙、合成紙等の材料により形成することにより、表面から付着した水のみならず、裏面から付着した水も検知することもできる。
なお、透水性を有する支持体を用いる系において、最上層に防水層を設けることにより、裏面から付着した水を検知するインジケーターを得ることができる。
前記防水層は、透明性を有する層であり、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、セロファンのフィルム、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、合成ゴムのワニスの中から選ばれる少なくとも一種類からなることが好ましい。
【0021】
前記水変色性インジケーターは、最下層に粘着層を設けることにより、対象物への接着性を容易なものとすることができる。
前記粘着層は、汎用のアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、ビニルエーテル共重合体、天然ゴム等を主体とする粘着剤により形成される。
また、前記粘着層には使用時の利便性を図るため剥離紙等の離型層を設けることもできる。
【0022】
前記水変色性イジケーターは、物品に貼着したり、所望の大きさ、形状に切断して物品に貼着する他、紙等により形成された巻芯表面に水変色性インジケーターを捲重してテープ形態として実用に供することもできる。
前記テープ形態とすることにより、持ち運びに優れ、離型層を設ける必要がないため省資源化を促進できると共に、対象物の長さに応じて適宜大きさに切断して貼着することができ、様々な形状、大きさの物品への適用性を満足させる。
【0023】
前記水変色性インジケーターを貼着する対象物としては、例えば、配管、パイプ、水槽等の水漏れ検知の他、使い捨ておむつが挙げられ、尿検知が可能である。
【実施例】
【0024】
以下に本発明の実施例を記載する。なお、実施例中の部は質量部を示す。
参考例1(図1参照)
支持体2として青色ポリエチレンテレフタレートフィルム表面に、湿式法微粒子シリカ〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕45部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を混合してなるスクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷し、60℃で30分間乾燥硬化させて多孔質層3を形成した。
次いで、前記多孔質層上に赤色水溶性染料としてフロキシン(C.I.45410)1.0部、ポリビニルピロリドン樹脂(商品名:ソカランK−17、BASF製)50.0部、水50.0部を含むスクリーン印刷用インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて直径2mmのドット柄を印刷し、50℃で30分間乾燥硬化させて着色層4を形成して水変色性インジケーター1を得た。
【0025】
前記水変色性インジケーターの裏面(支持体側)を配管に貼着して実用に供したところ、常態(非吸水状態)では多孔質層による白色と、着色層による赤色のドット柄が視認されるが、インジケーター表面から水が付着すると、着色層中に含まれる水溶性染料が周囲に溶出してドット柄は滲んだ状態になると共に、多孔質層が吸液により透明化して支持体による青色が視認される。
水が付着している状態のインジケーターは前記様相を示しているが、多孔質層が乾燥すると元の白色状態に戻り、着色層による滲んだ赤色のドット柄のみ視認され、過去に水が付着したことを判別することができた。
前記水変色性インジケーターに再び水が付着すると、多孔質層が吸液により透明化して支持体による青色が視認され、水が付着した状態を繰り返し視認することができた。
【0026】
実施例
支持体として青色の綿100%ブロード生地表面に、湿式法微粒子シリカ〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕45部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を混合してなるスクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。
次いで、前記多孔質層上に赤色水溶性染料としてフロキシン(C.I.45410)1.0部、ポリビニルピロリドン樹脂(商品名:ソカランK−17、BASF製)45.0部、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン11.1部〔商品名:モビニール966A、日本合成化学(株)製、固形分45%〕、水45.0部を含むスクリーン印刷用インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて直径2mmのドット柄を印刷し、100℃で5分間乾燥硬化させて着色層を形成して水変色性インジケーターを得た。
【0027】
前記水変色性インジケーターの裏面(支持体側)を配管の継ぎ手部分に結束バンドを用いて固着して実用に供したところ、常態(非吸水状態)では多孔質層による白色と、着色層による赤色のドット柄が視認されるが、インジケーター表面又は裏面から水が付着すると、着色層中に含まれる水溶性染料が周囲に溶出してドット柄は滲んだ状態になると共に、多孔質層が吸液により透明化して支持体による青色が視認される。
水が付着している状態のインジケーターは前記様相を示しているが、多孔質層が乾燥すると元の白色状態に戻り、着色層による滲んだ赤色のドット柄のみ視認され、過去に水が付着したことを判別することができた。
前記水変色性インジケーターに再び水が付着すると、多孔質層が吸液により透明化して支持体による青色が視認され、水が付着した状態を繰り返し視認することができた。
また、前記水変色性インジケーターを30℃、85%湿度の環境下で72時間放置しても、着色層は濡れる前のドット柄を保持することができ、初期状態の保存性にも優れたものであった。
【0028】
実施例
支持体として青色の綿100%ブロード生地表面に、湿式法微粒子シリカ〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕45部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を混合してなるスクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。
次いで、前記多孔質層上に赤色水溶性染料としてフロキシン(C.I.45410)1.0部、ポリビニルピロリドン樹脂(商品名:ソカランK−17、BASF製)35.0部、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン32.6部〔商品名:モビニール966A、日本合成化学(株)製、固形分45%〕、水35.0部を含むスクリーン印刷用インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて直径2mmのドット柄を印刷し、100℃で5分間乾燥硬化させて着色層を形成し、更に、前記多孔質及び着色層上に無色透明のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)をアクリル樹脂からなる水不溶性粘着剤を用いて全面に貼着して防水層を形成して水変色性インジケーターを得た。
【0029】
前記水変色性インジケーターの裏面(支持体側)を配管の継ぎ手部分に結束バンドを用いて固着して実用に供したところ、常態(非吸水状態)では多孔質層による白色と、着色層による赤色のドット柄が視認されるが、インジケーター裏面から水が付着すると、着色層中に含まれる水溶性染料が周囲に溶出してドット柄は滲んだ状態になると共に、多孔質層が吸液により透明化して支持体による青色が視認される。
水が付着している状態のインジケーターは前記様相を示しているが、多孔質層が乾燥すると元の白色状態に戻り、着色層による滲んだ赤色のドット柄のみ視認され、過去に水が付着したことを判別することができた。
前記水変色性インジケーターに再び裏面から水が付着すると、多孔質層が吸液により透明化して支持体による青色が視認され、水が付着した状態を繰り返し視認することができ、表面から付着した水は検知せず、裏面からの付着した水のみ検知するため、継手部分からの水漏れの有無を検知するインジケーターとして有用であった。
また、前記水変色性インジケーターを30℃、85%湿度の環境下で72時間放置しても、着色層は濡れる前のドット柄を保持することができ、初期状態の保存性にも優れたものであった。
【0030】
実施例
支持体として青色の綿100%ブロード生地表面に、湿式法微粒子シリカ〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕45部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を混合してなるスクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。
次いで、前記多孔質層上に赤色水溶性染料としてフロキシン(C.I.45410)1.0部、ポリビニルピロリドン樹脂(商品名:ソカランK−17、BASF製)25.0部、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン55.6部〔商品名:モビニール966A、日本合成化学(株)製、固形分45%〕、水25.0部を含むスクリーン印刷用インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて直径2mmのドット柄を印刷し、100℃で5分間乾燥硬化させて着色層を形成し、更に、前記多孔質及び着色層上に無色透明のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)をアクリル樹脂からなる水不溶性粘着剤を用いて全面に貼着して防水層を形成した。
次いで、前記支持体の裏面にドット形状のアクリル樹脂からなる水不溶性粘着層を設けて水変色性インジケーターを得た。
【0031】
前記水変色性インジケーターの粘着層側を配管の継ぎ手部分に貼着して実用に供したところ、常態(非吸水状態)では多孔質層による白色と、着色層による赤色のドット柄が視認されるが、インジケーター裏面から水が付着すると、着色層中に含まれる水溶性染料が周囲に溶出してドット柄は滲んだ状態になると共に、多孔質層が吸液により透明化して支持体による青色が視認される。
水が付着している状態のインジケーターは前記様相を示しているが、多孔質層が乾燥すると元の白色状態に戻り、着色層による滲んだ赤色のドット柄のみ視認され、過去に水が付着したことを判別することができた。
前記水変色性インジケーターに再び裏面から水が付着すると、多孔質層が吸液により透明化して支持体による青色が視認され、水が付着した状態を繰り返し視認することができ、
表面から付着した水は検知せず、裏面からの付着した水のみ検知するため、継手部分からの水漏れの有無を検知するインジケーターとして有用であった。
また、前記水変色性インジケーターを30℃、85%湿度の環境下で72時間放置しても、着色層は濡れる前のドット柄を保持することができ、初期状態の保存性にも優れたものであった。
【0032】
実施例図2参照)
支持体2として赤色ポリエチレンテレフタレートフィルム表面に、湿式法微粒子シリカ〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕45部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を混合してなるスクリーン印刷用インキと、青色水溶性染料としてブリリアントブルーFCF−L(C.I.42090)1.0部、ポリビニルアルコール樹脂〔商品名:ゴーセノールKL−03、日本合成化学(株)製〕30部、水70部を含むスクリーン印刷用インキを用いて、150メッシュのスクリーン版にて市松模様を印刷し、60℃で30分間乾燥硬化させて多孔質層3と着色層4を並設して水変色性インジケーター1を得た。
【0033】
前記水変色性インジケーターの裏面(支持体側)を配管に貼着して実用に供したところ、常態(非吸水状態)では多孔質層による白色と、着色層による青色の市松模様が視認されるが、インジケーター表面から水が付着すると、着色層中に含まれる水溶性染料が周囲に溶出して滲んだ状態になると共に、多孔質層が吸液により透明化して支持体による赤色が視認される。
水が付着している状態のインジケーターは前記様相を示しているが、多孔質層が乾燥すると元の白色状態に戻り、着色層による滲んだ青色の四角形のみ視認され、過去に水が付着したことを判別することができた。
前記水変色性インジケーターに再び水が付着すると、多孔質層が吸液により透明化して支持体による赤色が視認され、水が付着した状態を繰り返し視認することができた。
【0034】
実施例
支持体として赤色のT/C(65/35)ブロード生地表面に、湿式法微粒子シリカ〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕45部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を混合してなるスクリーン印刷用インキと、青色水溶性染料としてブリリアントブルーFCF−L(C.I.42090)1.0部、ポリビニルアルコール樹脂〔商品名:ゴーセノールKL−03、日本合成化学(株)製〕28.5部、ウレタン樹脂エマルジョン〔商品名:ハイドランHW920、固形分50%、DIC(株)製〕3部、水71.5部を含むスクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて市松模様を印刷し、110℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層と着色層を並設して水変色性インジケーターを得た。
【0035】
前記水変色性インジケーターの裏面(支持体側)を配管に貼着して実用に供したところ、常態(非吸水状態)では多孔質層による白色と、着色層による青色の市松模様が視認されるが、インジケーターの表面又は裏面から水が付着すると、着色層中に含まれる水溶性染料が周囲に溶出して滲んだ状態になると共に、多孔質層が吸液により透明化して支持体による赤色が視認される。
水が付着している状態のインジケーターは前記様相を示しているが、多孔質層が乾燥すると元の白色状態に戻り、着色層による滲んだ青色の四角形のみ視認され、過去に水が付着したことを判別することができた。
前記水変色性インジケーターに再び水が付着すると、多孔質層が吸液により透明化して支持体による赤色が視認され、水が付着した状態を繰り返し視認することができた。
また、前記水変色性インジケーターを30℃、85%湿度の環境下で72時間放置しても、濡れる前の市松模様を保持することができ、初期状態の保存性にも優れたものであった。
【0036】
実施例
支持体として赤色のT/C(65/35)ブロード生地表面に、湿式法微粒子シリカ〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕45部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を混合してなるスクリーン印刷用インキと、青色水溶性染料としてブリリアントブルーFCF−L(C.I.42090)1.0部、ポリビニルアルコール樹脂〔商品名:ゴーセノールKL−03、日本合成化学(株)製〕25.5部、ウレタン樹脂エマルジョン〔商品名:ハイドランHW920、固形分50%、DIC(株)製〕9部、水74.5部を含むスクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて市松模様を印刷し、110℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層と着色層を並設し、更に、前記多孔質及び着色層上に無色透明の軟質ポリ塩化ビニル製フィルム(厚さ0.2mm)をアクリル樹脂からなる水不溶性粘着剤を用いて全面に貼着して防水層を形成し、水変色性インジケーターを得た。
【0037】
前記水変色性インジケーターの裏面(支持体側)を配管の継ぎ手部分に貼着して実用に供したところ、常態(非吸水状態)では多孔質層による白色と、着色層による青色の市松模様が視認されるが、インジケーターの裏面から水が付着すると、着色層中に含まれる水溶性染料が周囲に溶出して滲んだ状態になると共に、多孔質層が吸液により透明化して支持体による赤色が視認される。
水が付着している状態のインジケーターは前記様相を示しているが、多孔質層が乾燥すると元の白色状態に戻り、着色層による滲んだ青色の四角形のみ視認され、過去に水が付着したことを判別することができた。
前記水変色性インジケーターに再び裏面から水が付着すると、多孔質層が吸液により透明化して支持体による赤色が視認され、水が付着した状態を繰り返し視認することができ、表面から付着した水は検知せず、裏面からの付着した水のみ検知するため、継手部分からの水漏れの有無を検知するインジケーターとして有用であった。
また、前記水変色性インジケーターを30℃、85%湿度の環境下で72時間放置しても、着色層は濡れる前の市松模様を保持することができ、初期状態の保存性にも優れたものであった。
【0038】
参考図3参照)
支持体2としてピンク色合成紙表面に、青色水溶性染料としてアシッドブルーPG(C.I.42655)0.5部、ヒドロキシプロピルセルロース樹脂〔商品名:HPC−L、日本曹達(株)製〕20.0部、水80.0部を含むスクリーン印刷用インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にてベタ印刷し、70℃で30分間乾燥硬化させて着色層4を形成し、更にその上層に湿式法微粒子シリカ〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、塩化ビニル・酢酸ビニル系変性樹脂〔商品名:ソルバインAL、日信化学工業(株)製〕10部、石油系芳香族炭化水素溶剤〔商品名:ソルベッソ100、エクソンモービル(株)製〕15部、シクロヘキサノン25部、界面活性剤0.5部を混合してなるスクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷し、60℃で30分間乾燥硬化させて多孔質層3を形成して水変色性インジケーター1を得た。
【0039】
前記水変色性インジケーターの裏面(支持体側)を配管に貼着して実用に供したところ、常態(非吸水状態)では多孔質層による白色が視認されるが、インジケーター表面から水が付着すると、多孔質層が吸液により透明化して支持体のピンク色と着色層の青色の混色である紫色が視認されると共に、着色層中に含まれる水溶性染料が上層の多孔質層に溶出する。
水が付着している状態のインジケーターは前記様相を示しているが、多孔質層が乾燥すると溶出した水溶性染料の青色のみ視認され、水が付着している状態と水付着後に乾燥した状態で異なる色調となり、現時点での水の付着状態を判別することができる。
前記水変色性インジケーターに再び水が付着すると、多孔質層が吸液により透明化して支持体と着色層の混色の紫色が視認され、水が付着した状態を繰り返し視認することができた。
【0040】
参考図4参照)
支持体2として白色のT/Cブロード生地表面に、ピンク色の印刷インキを用いて耐水性を有するドット柄の非変色性着色層5を設けた。
次いで、前記非変色性着色層上に青色水溶性染料としてアシッドブルーPG(C.I.42655)0.5部、ヒドロキシプロピルセルロース樹脂〔商品名:HPC−L、日本曹達(株)製〕20.0部、水80.0部を含むスクリーン印刷用インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にてベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて着色層4を形成し、更にその上層に湿式法微粒子シリカ〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、塩化ビニル・酢酸ビニル系変性樹脂〔商品名:ソルバインAL、日信化学工業(株)製〕10部、石油系芳香族炭化水素溶剤〔商品名:ソルベッソ100、エクソンモービル(株)製〕15部、シクロヘキサノン25部、界面活性剤0.5部を混合してなるスクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷し、100℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層3を形成して水変色性インジケーター1を得た。
【0041】
前記水変色性インジケーターの裏面(支持体側)を配管に貼着して実用に供したところ、常態(非吸水状態)では多孔質層による白色が視認されるが、インジケーター表面又は裏面から水が付着すると、多孔質層が吸液により透明化して非変色性着色層のピンク色と着色層の青色が混色となった紫色のドット柄と着色層の青色が視認されると共に、着色層中に含まれる水溶性染料が上層の多孔質層に溶出する。
水が付着している状態のインジケーターは前記様相を示しているが、多孔質層が乾燥すると溶出した水溶性染料の青色のみが視認され、水が付着する前と水が付着している状態及び水付着後に乾燥した状態でそれぞれ異なる様相となり、過去の付着状態と現時点での水の付着状態を判別することができた。
【0042】
実施例
支持体としてピンク色のT/Cブロード生地表面に、青色水溶性染料としてアシッドブルーPG(C.I.42655)1.0部、ポリビニルピロリドン樹脂(商品名:ソカランK−17、BASF製)25.0部、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン55.6部〔商品名:モビニール966A、固形分45%、日本合成化学(株)製〕、水25.0部を含むスクリーン印刷用インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にてドット柄を印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて着色層を形成し、更にその上層に湿式法微粒子シリカ〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、塩化ビニル・酢酸ビニル系変性樹脂〔商品名:ソルバインAL、日信化学工業(株)製〕10部、石油系芳香族炭化水素溶剤〔商品名:ソルベッソ100、エクソンモービル(株)製〕15部、シクロヘキサノン25部、界面活性剤0.5部を混合してなるスクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷し、100℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を形成して水変色性インジケーターを得た。
【0043】
前記水変色性インジケーターの裏面(支持体側)を配管に貼着して実用に供したところ、常態(非吸水状態)では多孔質層による白色が視認されるが、インジケーター表面又は裏面から水が付着すると、多孔質層が吸液により透明化して着色層から青色が溶出して下地のピンク色と混色となった紫色の滲んだドット柄が視認される。
水が付着している状態のインジケーターは前記様相を示しているが、多孔質層が乾燥する滲んだ青色のドット柄のみが視認され、水が付着している状態と水付着後に乾燥した状態で異なる状態となり、水が付着する前と水が付着している状態及び水付着後に乾燥した状態でそれぞれ異なる様相となり、過去の付着状態と現時点での水の付着状態を判別することができた。
また、前記水変色性インジケーターを30℃、85%湿度の環境下で72時間放置しても、着色層中の水溶性染料が多孔質層に移行することなく、初期状態の保存性にも優れたものであった。
【0044】
参考
支持体として青色ポリエチレンテレフタレートフィルム表面に、湿式法微粒子シリカ〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕45部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を混合してなるスクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷し、60℃で30分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。
次いで、前記多孔質層上に赤色水溶性染料としてフロキシン(C.I.45410)1.0部、水99.0部を含むインキを口径0.4mmのスプレーガンに充填し、型紙を用いてハート柄をスプレー塗装し、室温で60分間乾燥硬化させて着色層を形成して水変色性インジケーターを得た。
【0045】
前記水変色性インジケーターの裏面(支持体側)を配管に貼着して実用に供したところ、常態(非吸水状態)では多孔質層による白色と、着色層による赤色のハート柄が視認されるが、インジケーター表面から水が付着すると、着色層中に含まれる水溶性染料が周囲に溶出してハート柄は滲んだ状態になると共に、多孔質層が吸液により透明化して支持体による青色が視認される。
水が付着している状態のインジケーターは前記様相を示しているが、多孔質層が乾燥すると元の白色状態に戻り、着色層による滲んだ赤色のハート柄のみ視認され、過去に水が付着したことを判別することができた。
【0046】
参考
支持体として青色ポリエチレンテレフタレートフィルム表面に、湿式法微粒子シリカ〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕45部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を混合してなるスクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて全面ベタ印刷し、60℃で30分間乾燥硬化させて多孔質層を形成した。
次いで、前記多孔質層上に赤色水分散顔料〔商品名:TCルビンFR−H、大日精化工業(株)製〕5.0部、ポリビニルピロリドン樹脂(商品名:ソカランK−17、BASF製)50.0部、水50.0部を含むスクリーン印刷用インキを用いて、180メッシュのスクリーン版にて直径2mmのドット柄を印刷し、50℃で30分間乾燥硬化させて着色層を形成して水変色性インジケーターを得た。
【0047】
前記水変色性インジケーターの裏面(支持体側)を配管に貼着して実用に供したところ、常態(非吸水状態)では多孔質層による白色と、着色層による赤色のドット柄が視認されるが、インジケーター表面から水が付着すると、着色層中に含まれる顔料がポリビニルピロリドン樹脂の溶解とともに周囲に拡散してドット柄は滲んだ状態になると共に、多孔質層が吸液により透明化して支持体による青色が視認される。
水が付着している状態のインジケーターは前記様相を示しているが、多孔質層が乾燥すると元の白色状態に戻り、着色層による滲んだ赤色のドット柄のみ視認され、過去に水が付着したことを判別することができた。
【0048】
実施例
支持体として青色のT/C(65/35)ブロード生地表面に、湿式法微粒子シリカ〔商品名:ニップシールE−220、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕45部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を混合してなるスクリーン印刷用インキと、赤色水分散顔料〔商品名:TCルビンFR−H、大日精化工業(株)製〕5.0部、ポリビニルピロリドン樹脂(商品名:ソカランK−17、BASF製)45.0部、水50.0部、ウレタン樹脂エマルジョン〔商品名:ハイドランHW920、固形分50%、DIC(株)製〕10部、水55.0部を含むスクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて市松模様を印刷し、110℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層と着色層を並設して水変色性インジケーターを得た。
【0049】
前記水変色性インジケーターの裏面(支持体側)を配管に貼着して実用に供したところ、常態(非吸水状態)では多孔質層による白色と、着色層による赤色の市松模様が視認されるが、インジケーターの表面又は裏面から水が付着すると、着色層中に含まれる顔料が周囲に拡散して滲んだ状態になると共に、多孔質層が吸液により透明化して支持体による青色が視認される。
水が付着している状態のインジケーターは前記様相を示しているが、多孔質層が乾燥すると元の白色状態に戻り、着色層による滲んだ赤色の四角形のみ視認され、過去に水が付着したことを判別することができた。
前記水変色性インジケーターに再び水が付着すると、多孔質層が吸液により透明化して支持体による青色が視認され、水が付着した状態を繰り返し視認することができた。
また、前記水変色性インジケーターを30℃、85%湿度の環境下で72時間放置しても、着色層は濡れる前の市松模様を保持することができ、初期状態の保存性にも優れたものであった。
【符号の説明】
【0050】
1 水変色性インジケーター
2 支持体
3 多孔質層
4 着色層
5 非変色性着色層
図1
図2
図3
図4