特許第6774272号(P6774272)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774272
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】グラスラン及びグラスランの組付方法
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/76 20160101AFI20201012BHJP
   B60J 10/27 20160101ALI20201012BHJP
   B60J 10/21 20160101ALI20201012BHJP
【FI】
   B60J10/76
   B60J10/27
   B60J10/21
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-167354(P2016-167354)
(22)【出願日】2016年8月29日
(65)【公開番号】特開2018-34560(P2018-34560A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】森 康輔
【審査官】 鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−234521(JP,A)
【文献】 特開2013−071570(JP,A)
【文献】 特開2016−068573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/76
B60J 10/21
B60J 10/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアに設けられた枠体の車外側に沿って取付けられ、昇降するドアガラスを溝部に案内する、車外側側壁部と、車内側側壁部と、前記車外側側壁部と前記車内側側壁部を連結するグラスラン側側壁部からなる本体部と、
前記枠体から車外側に向けて突出したフランジに組付けられる、前記グラスラン側側壁部と、車体開口部周縁と対向するボディ側側壁部と、前記グラスラン側側壁部と前記ボディ側側壁部を連結する連結壁部からなる断面略コ字状の取付部を備えるグラスランであって、
前記グラスラン側側壁部と前記車内側側壁部の連結部上面側から、前記グラスラン側側壁部の上面を車内側に延ばした基準面に対して前記車内側側壁部側に向けて鋭角的に傾斜するとともに前記本体部の延びる長手方向に向かって所定距離延びるフランジ案内面の下部全体を支持する塊状の突条部材を、前記車内側側壁部の車内側面に設定してなり、
前記ドアをフロントドアとした場合、前記突条部材は、前記フロントドアの後部上方に位置するコーナー部だけにおいて、前記車内側側壁部に対して形成された型成形品であることを特徴とするグラスラン。
【請求項2】
車両のドアに設けられた枠体の車外側に沿って取付けられ、昇降するドアガラスを溝部に案内する、車外側側壁部と、車内側側壁部と、前記車外側側壁部と前記車内側側壁部を連結するグラスラン側側壁部からなる本体部と、
前記枠体から車外側に向けて突出したフランジに組付けられる、前記グラスラン側側壁部と、車体開口部周縁と対向するボディ側側壁部と、前記グラスラン側側壁部と前記ボディ側側壁部を連結する連結壁部からなる断面略コ字状の取付部を備えるグラスランであって、
前記グラスラン側側壁部と前記車内側側壁部の連結部上面側から、前記グラスラン側側壁部の上面を車内側に延ばした基準面に対して前記車内側側壁部側に向けて鋭角的に傾斜するとともに前記本体部の延びる長手方向に向かって所定距離延びるフランジ案内面の下部全体を支持する塊状の突条部材を、前記車内側側壁部の車内側面に設定してなり、
前記ドアをリヤドアとした場合、前記突条部材は、前記リヤドアの前部上方に位置するコーナー部だけにおいて、前記車内側側壁部に対して形成された型成形品であることを特徴とするグラスラン。
【請求項3】
請求項1に記載のグラスランの組付方法であって、
前記フロントドアに設けられた枠体のフランジに組付ける際には、前記フロントドアの後部上方に位置するコーナー部から組付けを開始することを特徴とするグラスランの組付方法。
【請求項4】
請求項2に記載のグラスランの組付方法であって、
前記リヤドアに設けられた枠体のフランジに組付ける際には、前記リヤドアの前部上方に位置するコーナー部から組付けを開始することを特徴とするグラスランの組付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアに設けられた枠体に沿って取付けられ、昇降するドアガラスを案内するグラスラン及びその組付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図6に示すように、車両のフロントドア200及びリヤドア300の枠体400には、グラスラン20,30が取付けられていて昇降するドアガラス10を案内するようになっている。グラスラン20,30は、フロントドドア200側では、ドアパネルの内部から上方に延びる前側縦辺部20A及び後側縦辺部20B、そして2本の縦辺部20A,20Bの上端を接続する横辺部20Cから構成され、リヤドア300側では、ドアパネルの内部から上方に延びる前側縦辺部30A及び後側縦辺部30B、そして2本の縦辺部30A,30Bの上端を接続する横辺部30Cから構成されている。縦辺部20A,20B,30A,30B及び横辺部20C,30Cは、押出成形により形成され、縦辺部20A,20B,30A,30Bと横辺部20C,30Cは、それぞれ型成形部X1,X2,Y1,Y2を介して接続されている。
【0003】
図8は、フロントドア200側に取付けられるグラスラン20を示したもので、枠体400の一部を車外側から覆って隠すヒドンタイプと呼ばれるものである。なお、リヤドア300側に取付けられるグラスラン30の構成はグラスラン20と同様であるので説明を省略する。
【0004】
グラスラン20は、内側に溝部Mを形成し、車外側側壁部22と車内側側壁部23とそれらを連結するグラスラン側側壁部24からなる本体部21と、本体部21の外方側に設けられ、枠体400から車外側に向けて突出するように形成されたフランジ(第一フランジ)410に組付けられるからなる前記グラスラン側側壁部24とボディ側側壁部26とそれらを連結する連結壁部27からなる断面略コ字状の取付部25と、車外側側壁部22の端部22aから車内側に向けて延びドアガラス10に摺接するアウタリップ部28と、車内側側壁部23の端部23aから車外側に向けて延びドアガラス10に摺接するインナリップ部29と、枠体400の車内側から内方に向けて突出するように形成されたフランジ(第二フランジ)420を車内側側壁部23との間で挟むように車内側側壁部23の端部23aから延びる装飾リップ部31を備えている。
【0005】
取付部25の内方にはフランジ410を挟持する複数の保持リップ部25a,25b,25cが設けられ、また、ボディ側側壁部26の外方には車体開口部周縁に弾接するボディシールリップ部32が設けられている。
そして、グラスラン側側壁部24の端部には、フランジ410にグラスラン20を組付ける際に、フランジ410に対する挿入性を改善するために小リップ部35が設けられている。すなわち、グラスラン20を組付ける際に、フランジ410が延びる車内外側方向に対して、グラスラン側側壁部24とボディ側側壁部26と連結壁部27で囲まれた取付部25内の溝37が延びる車内外側方向が外方側に多少位置ずれして、フランジ410の先端が小リップ部35に当接したとしても、フランジ410の先端に対して小リップ部35を内方側に滑らせてフランジ410を取付部25の溝37内に案内するようにしている。
【0006】
このような小リップ部35と同様のものが形成されたグラスランについては従来より知られている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2006−502048号公報
【特許文献2】米国特許第8434267号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、小リップ部35は剛性がなくそもそも可撓性を有するものあり、動きとしては不安定なので、型成形時に小リップ部35が金型を分割した部分に噛み込まれてしまい生産性が悪くなるといった問題があった。
また、フランジ410に対してグラスラン20を組付けする際、特に作業者が車内側に立って作業する場合、位置ずれによってフランジ410が小リップ部35に当接したときに小リップ部35が折れてしまって上手くガイドすることができないといった問題もあった。
【0009】
なお、特許文献1,2では、小リップ部35に相当する部分をフランジ用のガイドとして使用してグラスラン組付け時のフランジに対する位置ずれを防止するようにする点についての記載はない。
【0010】
そこで、本発明の目的とするところは、フランジに対する組付作業を安定して行うことのできるグラスラン及びグラスランの組付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明のグラスランは、車両のドア(200)に設けられた枠体(400)の車外側に沿って取付けられ、昇降するドアガラス(10)を溝部(M)に案内する、車外側側壁部(22)と、車内側側壁部(23)と、前記車外側側壁部(22)と前記車内側側壁部(23)を連結するグラスラン側側壁部(24)からなる本体部(21)と、
前記枠体(400)から車外側に向けて突出したフランジ(410)に組付けられる、前記グラスラン側側壁部(24)と、車体開口部周縁と対向するボディ側側壁部(26)と、前記グラスラン側側壁部(24)と前記ボディ側側壁部(26)を連結する連結壁部(27)からなる断面略コ字状の取付部(25)を備えるグラスラン(20)であって、
前記グラスラン側側壁部(24)と前記車内側側壁部(23)の連結部上面側から、前記グラスラン側側壁部(24)の上面を車内側に延ばした基準面(BB)に対して前記車内側側壁部(23)側に向けて鋭角的に傾斜するとともに前記本体部(21)の延びる長手方向に向かって所定距離(L)延びるフランジ案内面(51)の下部全体を支持する塊状の突条部材(50)を、前記車内側側壁部(23)の車内側面に設定してなり、
前記ドアをフロントドア(200)とした場合、前記突条部材(50)は、前記フロントドア(200)の後部上方に位置するコーナー部だけにおいて、前記車内側側壁部(23)に対して形成された型成形品であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のグラスランは、車両のドア(200)に設けられた枠体(400)の車外側に沿って取付けられ、昇降するドアガラス(10)を溝部(M)に案内する、車外側側壁部(22)と、車内側側壁部(23)と、前記車外側側壁部(22)と前記車内側側壁部(23)を連結するグラスラン側側壁部(24)からなる本体部(21)と、
前記枠体(400)から車外側に向けて突出したフランジ(410)に組付けられる、前記グラスラン側側壁部(24)と、車体開口部周縁と対向するボディ側側壁部(26)と、前記グラスラン側側壁部(24)と前記ボディ側側壁部(26)を連結する連結壁部(27)からなる断面略コ字状の取付部(25)を備えるグラスラン(20)であって、
前記グラスラン側側壁部(24)と前記車内側側壁部(23)の連結部上面側から、前記グラスラン側側壁部(24)の上面を車内側に延ばした基準面(BB)に対して前記車内側側壁部(23)側に向けて鋭角的に傾斜するとともに前記本体部(21)の延びる長手方向に向かって所定距離(L)延びるフランジ案内面(51)の下部全体を支持する塊状の突条部材(50)を、前記車内側側壁部(23)の車内側面に設定してなり、
前記ドアをリヤドア(300)とした場合、前記突条部材(50)は、前記リヤドア(300)の前部上方に位置するコーナー部だけにおいて、前記車内側側壁部(23)に対して形成された型成形品であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のグラスランの組付方法は、前記請求項1に記載のグラスランの組付方法であって、前記フロントドア(200)に設けられた枠体(400)のフランジ(410)に組付ける際には、前記フロントドア(200)の後部上方に位置するコーナー部から組付けを開始することを特徴とする。
【0016】
また、本発明のグラスランの組付方法は、前記請求項2に記載のグラスランの組付方法であって、前記リヤドア(300)に設けられた枠体(400)のフランジ(410)に組付ける際には、前記リヤドア(300)の前部上方に位置するコーナー部から組付けを開始することを特徴とする。
【0017】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フランジが延びる車内外側方向に対して、グラスラン側側壁部とボディ側側壁部と連結壁部で囲まれた取付部内の溝が延びる車内外側方向が、外方側に多少位置ずれしたときに、フランジの先端が当接する部位を、従来例で示したような、リップ状の小リップ部にするのではなく、これにかえて、フランジ案内面の下部全体を支持する塊状の突条部材、例えば略三角柱状のものにしてこれを車内側側壁部の車外側面に設定したので、突条部材は安定していて、フランジが当接したときに、突条部材が小リップ部のように折れてフランジを取付部内にガイドすることができないといった不具合がない。また、小リップ部に相当するものを押出成形部に設ける必要もなく、完全に廃止することができる為、型成形時に、金型を分割した部分に、噛み込まれるなどの問題は生じない。
【0019】
また、突条部材は、グラスランが延びる長手方向に本体部及び取付部と同様に全長にわたって設定するものではなく、所定距離だけ設定するものであるので、型成形品として、フロントドアでは、その後部上方に位置するコーナー部だけに設けることができ、また、リヤドアでは、その前部上方に位置するコーナー部だけに設けることができる。
このように、突条部材を部分的に設けるだけでフランジに対する位置ずれを修正して挿入性を高めることができるので、グラスランの組付け時にフランジの先端が作業者からは見えなくても容易に組付作業を行うことができる。また、突条部材は部分的であり、金型を使用して成形される、型成形部分の一部分であるので、特にコスト高になることもない。
【0020】
また、本発明のグラスランの組付方法によれば、フロントドアに設けられた枠体のフランジにグラスランを組付ける際には、突条部材が設けられたフロントドアの後部上方に位置するコーナー部から組付けを開始して、フランジに対するグラスランの位置ずれがあったとしても突条部材を利用して修正することができ、その他の部分、つまりフロントドアの後部上方以外の部分は単に押し込むだけで容易に組付けることができる。
同様に、リヤドアに設けられた枠体のフランジにグラスランを組付ける際には、突条部材が設けられたリヤドアの前部上方に位置するコーナー部から組付けを開始して、フランジに対するグラスランの位置ずれがあったとしても突条部材を利用して修正することができ、その他の部分、つまりリヤドアの前部上方以外の部分は単に押し込むだけで容易に組付けることができる。
【0021】
フランジの先端が取付部の溝にダイレクトに入り込むように狙いを定めてグラスランを組付けるのではなく、最初からフランジの先端を突条部材に沿わせるように位置決めしつつグラスランを組付けることができるので、組付け時にフランジの先端が見えない場合であっても作業を極めて簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係るグラスランの要部拡大断面図である。
図2図1に示すグラスランの要部斜視図である。
図3図1に示すグラスランの組付け直前の状態を示す要部拡大断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る他のグラスランの要部拡大断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る更に他のグラスランの要部拡大断面図である。
図6】自動車の外観側面図である。
図7】本発明の実施形態に係るグラスランのみの、外観側面図である。
図8】従来例に係るグラスランの要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1及び図2及び図7を参照して、本発明の実施形態に係るグラスランについて説明する。なお、従来例で示したもの(図8)と同一部分には同一符号を付した。
本発明の実施形態に係るグラスランは、図6で示したような、フロントドア200及びリヤドア300に枠体400が設けられた車両のその枠体400の車外側に沿って取付けられ、枠体400の一部を車外側から覆って隠すヒドンタイプのグラスラン20に関するものである。
図1は、フロントドア200側の後部上方に沿って取付けられたグラスラン20の型成形部X2の断面図を示したものであり、図7のA−A線拡大断面図に相当する。
【0024】
グラスラン20は、内側に溝部Mを形成し、昇降するドアガラス10を案内する本体部21と、枠体400から車外側に向けて突出したフランジ410に組付けられる取付部25を備えていて、両者は一体的に成形されている。図7図6のフロントドア200に取付けられるグラスラン20のみの外観側面図を示す。図7に示した6つの白黒二色の三角形においては、黒側が型成形部(X1またはX2)であり、白側が押出成形部(20Cまたは20Aまたは20Bである)
【0025】
本体部21は、車外側側壁部22とその車外側側壁部22よりも長い断面形状の車内側側壁部23とそれらを連結するグラスラン側側壁部24からなる断面略J字状である。
車外側側壁部22の端部22aには、車内側に向けて延びるアウタリップ部28が設けられドアガラス10の車外側面に摺接し、また車内側側壁部23の端部23aの車外側面及びその端部23aからグラスラン側側壁部24側に所定距離分、離れた位置の車外側面には、車外側に向けて延びるインナリップ部33,29が設けられドアガラス10の車内側面に摺接するようにしている。
また、車内側側壁部23の端部23aには、車内側に向けて折り返されるように延びる装飾リップ部31が設けられ、枠体400の車内側から内方(下方)に向けて突出するように形成されたフランジ(第二フランジ)420を車内側側壁部23との間で挟み込んで第二フランジ420の端部を覆っている。
【0026】
取付部25は、上述したグラスラン側側壁部24と、車体開口部周縁と対向するボディ側側壁部26と、グラスラン側側壁部24とボディ側側壁部26を連結する連結壁部27からなる断面略コ字状である。グラスラン側側壁部24は、本体部21と取付部25の両方を構成していて、グラスラン側側壁部24の内方側にドアガラス10が案内され、外方側の取付部25の溝37内にフランジ410が挿入される。
【0027】
また、グラスラン側側壁部24の内方とボディ側側壁部26の内方及び端部にはフランジ410を挟持する複数の保持リップ部25a,25b,25c,25d,25eが設けられている。
また、ボディ側側壁部26の外方には車体開口部周縁に弾接してボディとドア200間をシールするボディシールリップ部32が突設されている。
なお、取付部25に芯材を埋設するようにしてもよい。
【0028】
そして、本体部21の車内側側壁部23の車内側面には、本体部21の延びる長手方向に向かって所定距離L(図2参照)延びるフランジ案内面51の下部全体を支持する塊状の突条部材50が設定されている。フランジ案内面51は、グラスラン側側壁部24と車内側側壁部23の連結部上面側から、グラスラン側側壁部24の外面(上面)を車内側に延ばした基準面BBに対して車内側側壁部23側に向けて鋭角的な角度(θ)で傾斜している。
【0029】
ここでは、図2に示すように、突条部材50を略三角柱状にしてフランジ案内面51を、突条部材50を構成する3つの側面のうちの一つ目の側面としている。二つ目の側面は、取付面52として車内側側壁部23の車内側面に接するように一体成形され、三つ目の側面53は、車内側側壁部23の車内側面に対して略直角に立設するように延びている。フランジ案内面51は、平担な面としてもよく、また、車内側に向けて膨出するように湾曲させたものであってもよい。
また、突条部材50は、車内側側壁部23に対して一体的に型成形されていて、フロントドア200では、後部上方に位置するコーナー部だけに設けられている。
【0030】
これらグラスラン20の材質としては、EPDMゴムや,各種熱可塑性エラストマーであって、例えばオレフィン系熱可塑性エラストマー,スチレン系熱可塑性エラストマーなどがあげられるが、特に限定されるものではない。また製品としては、これら材質の内の一つによる単一構成であってもよいし、2種類以上を複合させた構成でもよい。また発泡させたものであってもよい。
本実施形態では特に取付部25の大部分を、熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE),ナイロン,PVC(塩ビ),PBT等のポリエステル樹脂)や熱可塑性エラストマー(TPE)を含む高剛性材で構成した。より具体的には、耐熱性に優れるポリプロピレン(PP)と、非晶性重合体(ゴム)と,充填材の三成分を主成分とする熱可塑性エラストマー(TPE)で構成した。非晶性重合体(ゴム)としては、オレフィン系ゴム,スチレン系ゴム等があげられるが、EPM(エチレンプロピレンゴム)が好ましい。また、充填材としては、タルクやガラス繊維などがあげられるが、タルクが好ましい。なお、ポリプロピレン(PP)のみを配合すると剛性が高くなりすぎてもろく割れやすく、さらに弾性不足になり、ポリプロピレン(PP)と非晶性重合体(ゴム)のみを配合すると剛性が低すぎ押出成形時の形状が安定しない場合があるので、充填材をさらに配合した上記三成分とすることが好ましい。
【0031】
そして、グラスラン20をフロントドア200に設けられた枠体400のフランジ410に組付ける際には、グラスラン20を、フランジ410をガイドする役割をするフランジ案内面51を有する塊状の突条部材50が設けられた位置となる、フロントドア200の後部上方に位置するコーナー部から組付けを開始する。
【0032】
このとき、図3に示すように、フランジ410が延びる車内外側方向に対して、取付部25内の溝37が延びる車内外側方向が外方側に多少位置ずれしたときには、フランジ410の先端にフランジ案内面51が当接する。このとき、フランジ案内面51は、基準面BBに対して車内側側壁部23側に向けて鋭角的な角度(θ)で傾斜しているので、フランジ410の先端に、フランジ案内面51が当接した後も、グラスラン20を車内側に押し込むと、フランジ案内面51に沿って滑るように取付部25内の溝37がフランジ410の略板厚中心側に導かれて位置ずれが修正される。
このようにして、フロントドア200の後部上方に位置するコーナー部の組付けが終わるとその他の部分はフランジ410に対してグラスラン20を単に押し込むだけで容易に組付けることができる。
なお、フランジ410の先端が取付部25の溝37にダイレクトに入り込むように狙いを定めてグラスラン20を組付けるのではなく、最初からフランジ410の先端を突条部材50に沿わせるように位置決めしつつグラスラン20を組付けるようにすると、組付け時にフランジ410の先端が組付作業者から見えない場合であっても組付作業を極めて円滑かつ簡単に行うことができる。
【0033】
このようなグラスラン20によれば、グラスラン20をフランジ410に組付ける際に位置ずれが生じたときにフランジ410の先端が当接して修正する部位を、車内側側壁部23の車内側面に安定して設定された塊状の突条部材50とするので、従来例で示したような小リップ部35のようにフランジ410の先端が当接して小リップ部35が折れるといったような不具合を防止することができる。
また、突条部材50はリップ状ではなく厚肉形状で非常に安定したものであるので、小リップ部35のように、グラスラン20を組付ける際に、特に、組付作業者が車内側に立って作業する場合、位置ずれによってフランジ410が小リップ部35に当接したときに小リップ部35が折れてしまってうまくガイドすることができないといった問題は生じない。また、従来は、グラスラン20の押出断面には小リップ部35を設定する必要があったが、その代わりに突条部材50を設定することで、型成形時に、金型を分割した部分に、小リップ部35が噛み込まれるなどといった問題は生じない。さらに、突条部材50は、グラスラン20の型成形部X2に部分的に設けられるものであるので特にコスト高になることもない。
【0034】
なお、本実施形態では、突条部材50を略三角柱状にしたが、これに限定されものではなく、フランジ410の先端に対するグラスラン20の位置ずれを修正することのできるフランジ案内面51の下部(底)全体を支持でき、突条部分50を車内側側壁部23に対して安定した状態で設定できる形状のものであればよい。
よって、例えば、図4に示すように、フランジ案内面51の端部から下方(内方)になだらかに傾斜して車内側側壁部23の車外側面まで下降するものであってもよい。
【0035】
なお、本実施形態では、主にフロントドア200に設けられた枠体400に組付けられるグラスラン20について説明したが、リヤドア300に設けられた枠体400においても同様に適用される。
リヤドア300の場合には、突条部材50は、リヤドア300の前部上方に位置するコーナー部だけにおいて、車内側側壁部23に対して設けられる。また、突条部材50は、本体部21と取付部25とともに一体的に型成形される。
【0036】
そして、リヤドア300に設けられた枠体400のフランジ410にグラスラン20を組付ける際には、グラスラン20に対して、フランジ410をガイドする役割をするフランジ案内面51を有する塊状の突条部材50が設けられた位置となる、リヤドア300の前部上方に位置するコーナー部から組付けを開始する。
【0037】
また、本発明の実施形態では、突条部材50を本体部21と取付部25に対して一体的に型成形したが、これにかえて、図5に示すように、押出成形されてなるグラスラン20の断面形状を、部分的に切欠した後に、金型にセットして、突条部材50を車内側側壁部23とともに一体的に型成形するようにしてもよい。
別体の突条部材50を型成形されたグラスラン20あるいは押出成形されたグラスラン20に接着剤を利用して固定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10 ドアガラス
20,30 グラスラン
20A,30A 前側縦辺部
20B,30B 後側縦辺部
20C,30C 横辺部
21 本体部
22 車外側側壁部
22a 車外側側壁部の端部
23 車内側側壁部
23a 車内側側壁部の端部
24 グラスラン側側壁部
25 取付部
25a,25b,25c,25d,25e 保持リップ部
26 ボディ側側壁部
27 連結壁部
28 アウタリップ部
29 インナリップ部
31 装飾リップ部
32 ボディシールリップ部
33 インナリップ部
35 小リップ部
37 溝
50 突条部材
51 フランジ案内面(一つ目の側面)
52 取付面(二つ目の側面)
53 三つ目の側面
200 フロントドア
300 リヤドア
400 枠体
410 第一フランジ(フランジ)
420 第二フランジ
BB 基準面
M 溝部
X1,X2,Y1,Y2 型成形部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8