(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基部の基端部及び先端部を通る直線が第1の中心線と規定され、前記基板保持部の基端部及び前記基板保持部に保持される前記基板の中心点を通る直線が第2の中心線と規定されたときに、前記基板垂線方向から見て、前記第1の中心線と前記第2の中心線とが交差している、
請求項1に記載の基板移載装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板搬送ハンドの基端部と先端部と繋ぐ直線を「ハンド軸」と規定すると、従来の基板搬送ハンドでは、ハンド軸に沿って基部と基板保持部とが直列的に配置されており、基板搬送ハンドはハンド軸を左右中心として概ね左右対称である。基板搬送ロボットは、基板搬送ハンドの基板保持部を基板キャリア内へ挿入するときには、基板キャリアの開口部と連通されるロードポートの開口部の手前で、ハンド軸と基板キャリア内への基板の挿入方向とが平行となるように、一旦基板搬送ハンドの姿勢を整えてから、基板保持部をロードポートの開口部へ向けて移動させる。
【0007】
一般に、特許文献1のように、基板移載装置の搬送室内は平面視矩形状を呈し、ロードポートの開口部の手前(搬送室内側)には、基板搬送ハンドをハンド軸と基板キャリア内への基板の挿入方向とが平行となる姿勢とするために十分な空間が形成されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ところで、本願の出願人らは、基板移載装置の更なる縮小を図って、従来は搬送室の空間の一部である筐体内の隅に、基板移載装置の少なくとも一つの構成要素を配置することを検討している。しかしながら、上記構成要素がロードポートの開口部の延長線上に位置する場合には、従来の基板搬送ハンドでは、ハンド軸と基板キャリア内への基板の挿入方向とが平行となる姿勢をとるために十分な空間を確保することが、筐体の拡張無しでは難しい。
【0009】
そこで、本発明の一態様に係る
基板移載装置は、基板を収容した基板キャリアと半導体のプロセス処理装置の間、又は、前記基板キャリア同士の間で、前記基板を移載する基板移載装置であって、
内部に搬送室が形成された筐体と、前記筐体の壁に設けられた複数のロードポートと、前記搬送室に設置されて、前記基板の移載作業を行う基板搬送ロボットとを、備え、
前記基板搬送ロボットは、基台と、基端部が前記基台に回転可能に連結されたロボットアームと、前記ロボットアームの先端部に連結された基板搬送ハンドとを有し、
前記基板搬送ハンドは、
前記ロボットアームと連結される基部と、前記基部と結合され、基板を保持する基板保持部とを
有し、
前記基板保持部に保持される前記基板を垂直に貫く方向である基板垂線方向から見て、前記基部と前記基板保持部との結合部又はその近傍において折れ曲がって、前記基部及び前記基板保持部が全体としてV字形状を呈
し、
前記複数のロードポートは前記筐体の壁に沿って所定方向に並んでロードポート列を成しており、前記ロボットアームの基端部が前記ロードポート列の前記所定方向の中央から前記所定方向の一方に偏ったところに位置することを特徴としている。なお、「V字形状」には、V字形状の角が丸められた、円弧形状やU字形状も含まれ得る。
【0010】
また、本発明の別の一態様に係る
基板移載装置は、基板を収容した基板キャリアと半導体のプロセス処理装置の間、又は、前記基板キャリア同士の間で、前記基板を移載する基板移載装置であって、
内部に搬送室が形成された筐体と、前記筐体の壁に設けられた複数のロードポートと、前記搬送室に設置されて、前記基板の移載作業を行う基板搬送ロボットとを、備え、
前記基板搬送ロボットは、基台と、基端部が前記基台に回転可能に連結されたロボットアームと、前記ロボットアームの先端部に連結された基板搬送ハンドとを有し、
前記基板搬送ハンドは、
前記ロボットアームの手先部に規定された関節軸線を中心として回転可能に前記ロボットアームと連結される基部と、前記基部と結合され、基板を保持する基板保持部とを
有し、
前記基板保持部に保持される前記基板を垂直に貫く方向である基板垂線方向から見て、前記基板の中心点よりも前記基部側において前記基板の周縁と前記基板保持部の周縁とが重なる点の中点が中間点と規定され、前記関節軸線上の点と前記中間点とを通る直線が第1の基準線と規定され、前記基板の中心点と前記中間点とを通る直線が第2の基準線と規定されたときに、前記第1の基準線と前記第2の基準線の成す角度が0°より大きく180°より小さ
く、
前記複数のロードポートは前記筐体の壁に沿って所定方向に並んでロードポート列を成しており、前記ロボットアームの基端部が前記ロードポート列の前記所定方向の中央から前記所定方向の一方に偏ったところに位置することを特徴としている。
【0011】
また、本発明の更に別の一態様に係る
基板移載装置は、基板を収容した基板キャリアと半導体のプロセス処理装置の間、又は、前記基板キャリア同士の間で、前記基板を移載する基板移載装置であって、
内部に搬送室が形成された筐体と、前記筐体の壁に設けられた複数のロードポートと、前記搬送室に設置されて、前記基板の移載作業を行う基板搬送ロボットとを、備え、
前記基板搬送ロボットは、基台と、基端部が前記基台に回転可能に連結されたロボットアームと、前記ロボットアームの先端部に連結された基板搬送ハンドとを有し、
前記基板搬送ハンドは、
前記ロボットアームの手先部に規定された関節軸線を中心として回転可能に前記ロボットアームと連結される基部と、前記基部と結合され、基板を保持する基板保持部とを
有し、
前記基板保持部に保持される前記基板を垂直に貫く方向である基板垂線方向から見て、前記基板の中心点よりも前記基部側において前記基板の周縁と前記基板保持部の周縁とが重なる点の中点が中間点と規定され、前記基板の中心点と前記中間点とを通る直線が基準線と規定されたときに、前記関節軸線が前記基準線からオフセットして
おり、
前記複数のロードポートは前記筐体の壁に沿って所定方向に並んでロードポート列を成しており、前記ロボットアームの基端部が前記ロードポート列の前記所定方向の中央から前記所定方向の一方に偏ったところに位置することを特徴としている。
【0012】
また、本発明の更に別の一態様に係る
基板移載装置は、基板を収容した基板キャリアと半導体のプロセス処理装置の間、又は、前記基板キャリア同士の間で、前記基板を移載する基板移載装置であって、
内部に搬送室が形成された筐体と、前記筐体の壁に設けられた複数のロードポートと、前記搬送室に設置されて、前記基板の移載作業を行う基板搬送ロボットとを、備え、
前記基板搬送ロボットは、基台と、基端部が前記基台に回転可能に連結されたロボットアームと、前記ロボットアームの先端部に連結された基板搬送ハンドとを有し、
前記基板搬送ハンドは、
前記ロボットアームの手先部に規定された関節軸線を中心として回転可能に前記ロボットアームと連結される基部と、前記基部と結合され、基板を保持する基板保持部とを
有し、
前記基板保持部に保持される前記基板を垂直に貫く方向である基板垂線方向から見て、前記基板の中心点よりも前記基部側において前記基板の周縁と前記基板保持部の周縁とが重なる点の中点が中間点と規定され、前記関節軸線上の点と前記中間点とを通る直線が基準線と規定されたときに、前記基板の中心点が前記基準線からオフセットして
おり、
前記複数のロードポートは前記筐体の壁に沿って所定方向に並んでロードポート列を成しており、前記ロボットアームの基端部が前記ロードポート列の前記所定方向の中央から前記所定方向の一方に偏ったところに位置することを特徴としている。
【0015】
上記の
基板移載装置では、従来の基板搬送ハンドを用いる場合と比較して、特に、ロボットアームの基端部から最も離れた基板キャリアから基板を受け渡しする際の、基板搬送ハンド及びロボットアームの通過範囲を狭めることができる。これにより、搬送室内において基板搬送ハンド及びロボットアームの通過範囲外(例えば、搬送室80の隅)に物体を配置することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、従来の基板搬送ハンドを用いる場合と比較して、搬送室における基板搬送ハンド及びロボットアームの通過範囲を狭めることができ、その通過範囲外に物体を配置することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
〔基板処理設備100の概略構成〕
先ず、
図1及び
図2を参照しながら、基板処理設備100の概略構成から説明する。この基板処理設備100には、本発明の一実施形態に係る基板搬送ハンド72を有する基板搬送ロボット7を備えた基板移載装置1が設けられている。
【0020】
基板処理設備100は、基板移載装置1と、プロセス処理装置2とを備えている。本実施形態に係る基板処理設備100において、基板移載装置1は、基板キャリア25とプロセス処理装置2との間で基板3を移載する、所謂、フロントエンドモジュールである。但し、基板移載装置1は、基板キャリア25と別の基板キャリア25との間で基板3を移載する、所謂、ソータであってもよい。基板移載装置1は、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格などの規定に適合するように設計されている。
【0021】
プロセス処理装置2は、熱処理、不純物導入処理、薄膜形成処理、リソグラフィー処理、洗浄処理及び平坦化処理の少なくとも1つ以上のプロセス処理を基板3に施す装置又は装置群である。但し、プロセス処理装置2が基板3に対して上述した処理以外の処理を行ってもよい。
【0022】
プロセス処理装置2は、基板3に処理を施す処理装置本体20と、処理装置本体20が収容された筐体21と、筐体21内に形成された処理室22の雰囲気気体を調整する調整装置(図示略)とを備えている。調整装置は、例えば、ファンフィルタユニット等によって実現されてよい。
【0023】
基板移載装置1は、プロセス処理装置2と隣接して配設されている。基板移載装置1は、基板キャリア25とプロセス処理装置2との間で基板3の受け渡しを担うインターフェース部として機能する。基板キャリア25は、多数の基板3を収容することのできる可搬式の容器である。
【0024】
基板キャリア25は、基板3が収容される容器本体60と、容器本体60に対して着脱可能又は開閉可能な容器側ドア61とを含んで構成される。容器本体60は、一方に開放する出入口を有する略箱形状を呈し、この出入口は容器側ドア61によって開閉可能に閉塞されている。容器本体60の内部には、多数の基板3を上下方向Zに等間隔に並べた状態で収容できるように、上下方向Zに並ぶ多数の棚が形成されている。
【0025】
〔基板移載装置1の構成〕
次に、基板移載装置1について詳細に説明する。基板移載装置1は、基板搬送ロボット7と、基板3の向きを整えるアライナ92と、調整装置93と、これらを収容する筐体8と、ロードポート91とを備えている。
【0026】
筐体8は、第1方向Xの寸法に対し第2方向Yの寸法が大きい長方体形状を呈している。ここで、「第1方向X」は或る水平方向であり、「第2方向Y」は第1方向Xと直交する水平方向とする。筐体8は、第1方向Xに間隔をあけて対峙する前壁81及び後壁82と、第2方向Yに間隔をあけて対峙する一対の側壁83、天井板84、及び、底板85などにより構成されており、これらによって筐体8の内部に搬送室80が形成されている。なお、この明細書において、搬送室80から見て前壁81が存在する第1方向Xの一方を「前」と表し、前に対し第1方向Xの反対側を「後」と表すこととする。
【0027】
搬送室80はクリーン度の高い閉じられた空間であって、搬送室80は所定の雰囲気気体で満たされている。調整装置93は、搬送室80のコンタミネーションコントロールを行う装置である。調整装置93によって、搬送室80の雰囲気中における浮遊微小粒子は所定の清浄度レベル以下に管理され、必要に応じて温度、湿度、圧力などの搬送室80の環境条件についても管理されている。
【0028】
後壁82には、後開口87が設けられている。後壁82は、プロセス処理装置2の処理室22と基板移載装置1の搬送室80とを第1方向Xに仕切っており、後開口87を通じて処理室22と搬送室80とが連通される。
【0029】
ロードポート91は、筐体8の前壁81に設けられている。本実施形態では、第2方向Yに並ぶ4つのロードポート91が前壁81に設けられている。ロードポート91は、基板移載装置1への基板キャリア25のドッキングとアンドッキング、基板キャリア25の支持、及び、基板キャリア25の開閉などの機能を有する。
【0030】
複数のロードポート91は、筐体8の前壁81に沿って第2方向Yに並んで、ロードポート列を成している。後述するロボットアーム71の基端部に規定された関節軸線A1は、ロードポート列の第2方向の中央C1から第2方向Yの一方に偏ったところに位置している。より具体的には、基板搬送ハンド72が
図1に示す態様の場合には、関節軸線A1は、ロードポート列の第2方向の中央C1から第2方向Yの一方(
図1における上方向)に偏ったところに位置している。基板搬送ハンド72が後述する
図7に示す形態の場合には、関節軸線A1を、ロードポート列の第2方向の中央C1から第2方向Yの他方(
図1における下方向)に偏ったところに位置させてもよい。このようにすることで、ハンド形態に起因する基板保持部5の第2方向Yへのオフセット量を、関節軸線A1の配置位置によってキャンセルすることができる。
【0031】
各ロードポート91は、開口枠95、支持台97、及び、オープナ98を備えている。開口枠95は筐体8の前壁81の一部分を構成しており、開口枠95によって規定されるロードポート91の開口部86は、筐体8の前側の開口部でもある。このロードポート91の開口部86を通じて、基板移載装置1とドッキングされた基板キャリア25と搬送室80とが連通される。
【0032】
支持台97は、ロードポート91の開口部86の直ぐ前方に配置されている。支持台97は、載置された基板キャリア25を支持する機能と、基板キャリア25を保持する機能とを有する。支持台97に載置及び保持された基板キャリア25は、容器本体60の出入口の全周囲が開口枠95と接触し、且つ、容器側ドア61がロードポート91の開口部86と第1方向Xに重複するように、位置決めされる。
【0033】
オープナ98は、ロードポート91の開口部86を開閉するオープナ側ドア96とその駆動機構とを備えている。オープナ98は、基板キャリア25の容器側ドア61及びオープナ側ドア96を一体的に搬送室80内へ移動させることによって、ロードポート91の開口部86を開放させる。
【0034】
図3は、基板搬送ロボット7の制御系統の構成を示すブロック図である。
図1〜3に示すように、基板搬送ロボット7は、ロボットアーム(以下、単に「アーム71」という)と、アーム71の手先部に連結された基板搬送ハンド(以下、単に「ハンド72」という)と、アーム71を支持する基台73と、基板搬送ロボット7の動作を司るコントローラ74とを備えている。本実施形態に係る基板搬送ロボット7は、水平多関節ロボットである。なお、基台73は、搬送室80において、第2方向Yの中央部に設置されている。
【0035】
アーム71は、基端部から先端部に向かって順次連結された複数のリンク75,76を備えている。なお、アーム71とハンド72において、基台73に対し近位端部を「基端部」と称し、基台73に対し遠位端部を「先端部」と称する。アーム71には、各リンク75,76の連結部に垂直な関節軸線A1〜A3が規定されている。リンク75,76内には、各リンク75,76を関節軸線A1〜A3回りに個別に各変位駆動する水平駆動ユニット77,78,79が設けられている。
【0036】
アーム71は、基台73に対して上下方向Zへ移動可能な昇降軸70を基端部に有している。この昇降軸70は、昇降駆動ユニット69によって基台73に対して上下方向Zへ伸縮駆動される。水平駆動ユニット77,78,79及び昇降駆動ユニット69の各々は、例えば、コントローラ74から与えられる信号に従って角変位するサーボモータと、サーボモータの動力をリンク体に伝達する動力伝達機構と、サーボモータの角変位を検出する位置検出器とを含んでいる(いずれも図示略)。
【0037】
上記構成のアーム71の先端部である手先部にはハンド72が連結されている。ハンド72は、水平駆動ユニット79によって、関節軸線A3を中心としてアーム71に対して相対的に回動変位させられる。ハンド72は、アーム71の手先部と連結された基部4と、基部4と結合された基板保持部5とを備えている。ハンド72の構成は後ほど詳述する。
【0038】
コントローラ74は、いわゆるコンピュータを含む演算制御装置であって、例えば、マイクロコントローラ、CPU、MPU、PLC、DSP、ASIC又はFPGA等の演算処理部と、ROM、RAM等の記憶部とを有している(いずれも図示せず)。記憶部には、演算処理部が実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。また、記憶部には、基板搬送ロボット7の動作を制御するための教示点データ、アーム71及びハンド72の形状・寸法に関するデータ、ハンド72に保持された基板3の形状・寸法に関するデータなどが格納されている。コントローラ74では、記憶部に記憶されたプログラム等のソフトウェアを演算処理部が読み出して実行することにより、基板搬送ロボット7の動作を制御するための処理が行われる。なお、コントローラ74は単一のコンピュータによる集中制御により各処理を実行してもよいし、複数のコンピュータの協働による分散制御により各処理を実行してもよい。
【0039】
コントローラ74は、位置検出器の各々で検出された回転位置と対応するハンド72のポーズ(位置及び姿勢)と記憶部に記憶された教示点データとに基づいて、所定の制御時間後の目標ポーズを演算する。そして、コントローラ74は、所定の制御時間後にハンド72が目標ポーズとなるようにサーボアンプへ制御指令を出力する。サーボアンプでは、制御指令に基づいて各サーボモータに対して駆動電力を供給する。これにより、ハンド72を所望のポーズへ動かすことができる。
【0040】
〔基板搬送ハンド72の構成〕
ここで、ハンド72の構成について、詳細に説明する。
図4は、基板搬送ハンド72を基板垂線方向から見た図である。なお、「基板垂線方向」とは、ハンド72の基板保持部5に保持された基板3の主面を垂直に貫く方向である。
【0041】
ハンド72の基部4には、基板垂線方向から見て、その基端部及び先端部を通る第1の中心線4Aが規定されている。第1の中心線4Aは、基板垂線方向と直交する直線である。第1の中心線4Aは、関節軸線A3と交わっている。また、基部4を基板垂線方向から見たときに、基部4は、先端部の一部分を除いて、第1の中心線4Aを中心として実質的に対称に形成されている。
【0042】
基部4は、中空のケーシング41により形成されている。基部4の基端部は、アーム71の手先部に対し関節軸線A3回りに回動可能に連結されている。基部4の先端部には、基板保持部5が結合される結合部42が設けられている。基板保持部5の基端部は、ケーシング41の先端部からその内部へ挿入され、結合部42に結合されている。基板保持部5は、結合部42に、例えば、図示されない締結具などにより固定されていてよい。
【0043】
ハンド72の基板保持部5は、先端側が二股に分かれたY字状に形成された薄板状部材であって、ブレードやフォークとも称されている。但し、基板保持部5の態様は本実施形態に限定されず、例えば、嵌合、吸着、挟持、又は他の態様で、基板3をハンド72に保持させることができるものであればよい。
【0044】
基板保持部5には、基板垂線方向から見て、基板保持部5の基端部と、基板保持部5に保持される基板3の中心点3aとを通る、第2の中心線5Aが規定されている。第2の中心線5Aは、基板垂線方向と直交する直線である。本実施形態に係る基板保持部5は、基板垂線方向から見たときに、第2の中心線5Aを中心として実質的に対称に形成されている。但し、第2の中心線5Aは、基板保持部5に保持された基板3の中心点3aを通っていればよく、基板保持部5が第2の中心線5Aを中心として対称であることに限定されない。
【0045】
基板保持部5の二股に分かれた各々の先端部分には、フロントガイド51が設けられている。また、基板保持部5の基端側には、一対のフロントガイド51に対向するように一対のリアガイド52が設けられている。一対のフロントガイド51と一対のリアガイド52とは、基板3を下方から支持する機能を有する。それ故、これらは、基板3の形状に応じて、当該基板3を適切に支持できるような位置及び形状に形成されている。
【0046】
ハンド72は、基板保持部5に載置された基板3を基板保持部5に保持させるための保持機構を更に有している。ここで、基板3の保持には、基板保持部5に載置された基板3を、嵌合、吸着、挟持、又は他の態様で基板保持部5から落脱しないようにすることが含まれる。本実施形態に係るハンド72には、挟持式の保持機構が備えられている。この保持機構は、一対のフロントガイド51と、プッシャー53及びその駆動機構54とにより、構成されている。
【0047】
プッシャー53は基板保持部5の基端側に設けられ、基部4の先端部に支持されている。プッシャー53の駆動機構54は、基部4を形成しているケーシング41の内部に設けられている。駆動機構54は、プッシャー53を第2の中心線5Aと平行に進退移動させる。駆動機構54は、例えば、エアシリンダなどのアクチュエータで構成されており、その動作はコントローラ74によって制御されている。
【0048】
基板保持部5の上面に基板3を載せると、基板3の周縁部が一対のフロントガイド51及び一対のリアガイド52によって下方から支持される。この状態で、プッシャー53が基板保持部5の先端側へ向けて進出すると、プッシャー53が基板3の側面を一対のフロントガイド51へ押し付ける。これにより、プッシャー53と一対のフロントガイド51によって基板3が把持され、ハンド72に基板が保持される。
【0049】
上記構成のハンド72は、基板垂線方向から見て、基部4と基板保持部5との結合部42又はその近傍において折れ曲がって、基部4及び基板保持部5が全体としてV字形状を呈している。上記の「V字形状」には、V字形状の角が丸められた、円弧形状やU字形状なども含まれ得る。なお、結合部42の近傍とは、結合部42に近接し且つハンド72のうち基部4の先端部から基部4の全長の30%までに含まれる範囲である。
【0050】
このようなハンド72では、基板垂線方向から見て、基部4の中心線である第1の中心線4Aと、基板保持部5の中心線である第2の中心線5Aとが交差している。なお、基板垂線方向から見て、第1の中心線4Aと第2の中心線5Aが成す角度は、90°より大きく180°より小さい範囲であってよい。第1の中心線4Aと第2の中心線5Aが成す角度が90°より小さいと、かえってハンド72が扱いにくいものとなる。また、第1の中心線4Aと第2の中心線5Aが成す角度、筐体8内においてロードポート91の開口部86の延長線上に設けられた物体88(
図1、参照)の形状に応じて定められてよい。
【0051】
また、上記のハンド72において、
図5では、基板垂線方向から見て、基板保持部5に保持される基板3の中心点3aよりも基部4側において基板3の周縁と基板保持部5の周縁とが重なる点3b,3bの中点が中間点C2と規定され、関節軸線A3上の点と中間点C2とを通る直線が第1の基準線4Bと規定され、基板3の中心点3aと中間点C2とを通る直線が第2の基準線5Bと規定されている。
【0052】
図5に示すように、上記ハンド72では、基板垂線方向から見て、第1の基準線4Bと前記第2の基準線5Bの成す角度が0°より大きく180°より小さい。また、上記ハンド72では、基板垂線方向から見て、基板3の中心点3aは、第1の基準線4Bからオフセット量D1だけオフセットしている。また、上記ハンド72では、基板垂線方向から見て、関節軸線A3は、第2の基準線5Bからオフセット量D2だけオフセットしている。
【0053】
〔基板移載装置1の動作〕
ここで、
図6A〜6Dを参照して、基板移載装置1の動作の一例について説明する。
図6A〜6Dは、基板移載装置1における基板搬送ロボット7の変容を説明する図である。
【0054】
図6A〜
図6Dに示す基板移載装置1では、搬送室80の隅に物体88が配置されている。この物体88は、基板移載装置1の構成要素のうちの少なくとも1つであってよい。物体88と、基板移載装置1の第2方向Yの端に設けられたロードポート91Eの開口部86との間には、第1方向Xの間隙Gが設けられている。間隙Gの第1方向Xの寸法は、基板3の直径より小さく、基板3の一部分が基板キャリア25内に挿入された状態で、この間隙Gへの基板3の進入が許容される。物体88は、搬送室80内において、ロードポート91Eの開口部86と同じレベルまで第2方向Yへ張り出しているが、物体88の、搬送室80に露出した第2方向Yを向いた面88aは、前から後へ向かって搬送室80の第2方向Yの中央へ向かう傾きを有している。
【0055】
図6Aに示す基板搬送ロボット7は、待機状態にあり、リンク75,76及びハンド72は上下方向Zに重なりあっている。以下では、この待機状態から、基板移載装置1の第2方向Yの端に設けられたロードポート91(91E)とドッキングされた基板キャリア25へ基板3を取りに行く、基板搬送ロボット7の動作について説明する。なお、特に明記しないが、基板搬送ロボット7の動作はコントローラ74によって制御されている。
【0056】
まず、基板搬送ロボット7は、
図6Aに示す態様から
図6Bに示す態様へ変容する。
図5に示す基板搬送ロボット7では、ハンド72の先端部側はロードポート91E側へ向き、ハンド72に規定された第2の中心線5Aとロードポート91Eの開口部86の開口方向(ここでは第2方向Y)とが平行であり、ハンド72の先端部がとロードポート91Eの開口部86から第1方向Xに離れたところに位置している。
【0057】
基板搬送ロボット7が
図6Aに示す待機状態から
図6Bに示す状態まで変容する過程では、ハンド72及びアーム71は、搬送室80内の可動領域内を動く。なお、搬送室80には、アーム71が移動可能な可動領域と、アーム71が進入できない排他領域とが規定されている。排他領域は、筐体8の前壁81から第1方向Xへ所定寸法の領域である。この排他領域は、容器側ドア61及びオープナ側ドア96の開閉操作のためにロードポート91(オープナ98)によって利用される。可動領域は、搬送室80から排他領域を除いた領域である。
【0058】
次に、基板搬送ロボット7は、
図6Bに示す態様から
図6Cに示す態様へ変容する。
図6Cに示す基板搬送ロボット7は、ハンド72の基板保持部5の先端部分が、基板キャリア25に進入している。このときのハンド72は、少なくとも一部分が排他領域にある。基板搬送ロボット7が
図6Bに示す状態から
図6Cに示す状態まで変容する過程では、ハンド72は、ハンド72に規定された第2の中心線5Aとロードポート91の開口部86の開口方向(ここでは第2方向Y)との平行を維持しつつ、物体88の傾いた面88aに沿ってハンド72を開口部86へ向けて移動する。
【0059】
図6Cに示す状態のハンド72では、基板保持部5の中心線と言える第2の中心線5Aが開口部86の開口方向と平行であり、基部4の中心線といえる第1の中心線4Aは開口部86の開口方向に対して傾いている。その結果、基部4の基端部は、基板保持部5よりも搬送室80の第2方向Yの中央側にある。そのため、物体88は、
図6Cに示す状態のハンド72と干渉しない範囲で、搬送室80の第2方向Yの中央側へ張り出すことができる。本実施形態では、物体88の搬送室80の第2方向Yの中央側へ向いた面88aを、前から後へ第2方向Yの中央へ向けて傾けることで、物体88を搬送室80の第2方向Yの中央側へより大きく張り出せるようにしている。言い換えれば、物体88の搬送室80の第2方向Yの中央側へ向いた面88aは、ハンド72の開口部86へのアクセスが許容されるように、前から後へ第2方向Yの中央へ向けて傾いている。
【0060】
続いて、基板搬送ロボット7は、
図6Cに示す態様から
図6Dに示す態様へ変容する。
図6Dに示す基板搬送ロボット7は、基板保持部5が基板キャリア25の奥まで進入している。このように、基板保持部5が基板キャリア25の奥まで進入した状態で、基板キャリア25から基板3の受け取り及び引き渡しが行われる。
【0061】
基板搬送ロボット7が、
図6Cに示す状態から
図6Dに示す状態まで変容する過程では、ハンド72は、第2の中心線5Aと開口部86の開口方向との平行を維持しつつ、前方へ移動する。なお、開口部86の開口方向は、基板キャリア25に対する基板3の挿脱方向と平行である。このように、基板保持部5が基板キャリア25に進入している間は、基板保持部5が基板キャリア25に対する基板3の挿脱方向と平行に動くので、基板3が基板キャリア25内で擦れたり振れたりすることなく、安定した基板3の挿脱が行われる。
【0062】
以上に説明したように、本実施形態の基板搬送ハンド72は、ロボットアーム71と連結される基部4と、基部4と結合され、基板3を保持する基板保持部5とを備えている。この基板搬送ハンド72は、基板保持部5に保持される基板3を垂直に貫く方向である基板垂線方向から見て、基部4と基板保持部5との結合部42又はその近傍において折れ曲がって、基部4及び基板保持部5が全体としてV字形状を呈していることを特徴としている。
【0063】
また、本実施形態に係る基板搬送ハンド72では、基板垂線方向から見て、基板3の中心点3aよりも基部4側において基板3の周縁と基板保持部5の周縁とが重なる点3b,3bの中点が中間点C2と規定され、関節軸線A3上の点と中間点C2とを通る直線が第1の基準線4Bと規定され、基板3の中心点3aと中間点C2とを通る直線が第2の基準線5Bと規定されたときに、第1の基準線4Bと第2の基準線5Bの成す角度が0°より大きく180°より小さい。
【0064】
また、本実施形態に係る基板搬送ハンド72では、基板垂線方向から見て、関節軸線A3が第2の基準線5Bからオフセットしており、基板3の中心点3aが第1の基準線4Bからオフセットしている。
【0065】
本実施形態の基板搬送ロボット7は、基台73と、基端部が基台73に回転可能に連結されたロボットアーム71と、ロボットアーム71の先端部に連結された上記の基板搬送ハンド72とを備えている。
【0066】
そして、本実施形態の基板移載装置1は、基板3を収容した基板キャリア25と半導体のプロセス処理装置2の間、又は、基板キャリア25同士の間で、基板3を移載するものであって、内部に搬送室80が形成された筐体8と、筐体8の壁に設けられた複数のロードポート91と、搬送室80に設置されて、基板3の移載作業を行う上記の基板搬送ロボット7とを備えている。
【0067】
上記の基板搬送ハンド72、基板搬送ロボット7、及び基板移載装置1では、基板垂線方向から見た基板搬送ハンド72がV字形状を呈している。したがって、基板保持部5の一部又は全部がロードポート91の開口部86を通じて基板キャリア25に挿入されている状態では、基部4が基板保持部5よりもロボットアーム71の基端部へ近づいている。これにより、従来の基板搬送ハンドにおいて、基板保持部の一部又は全部がロードポートの開口部を通じて基板キャリアに挿入されている状態で、基部が存在していたところ(即ち、ロードポート91の開口部86の搬送室80側への延長線上)に、物体88を配置することが可能となる。つまり、基板搬送ハンド72がV字状に折れ曲がっていることにより、従来の基板搬送ハンドを用いる場合と比較して、搬送室80内での基板搬送ハンド72及びアーム71の通過範囲、とりわけ、アーム71の基端部から最も離れたところに位置する基板キャリア25から基板3を受け渡しするときの、基板搬送ハンド72及びアーム71の通過範囲を狭めることができ、その通過範囲外に物体88を配置することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態に係る基板搬送ハンド72では、基部4の基端部及び先端部を通る第1の中心線4Aが規定され、基板保持部5の基端部及び基板保持部5に保持される基板3の中心点3aを通る第2の中心線5Aが規定されている。そして、第1の中心線4Aと第2の中心線5Aを、基板垂線方向から見ると、これらは交差している。なお、基板垂線方向から見た、第1の中心線4Aと第2の中心線5Aの成す角度は、90°より大きく180°より小さい範囲であって良い。
【0069】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明の精神を逸脱しない範囲で、上記実施形態の具体的な構造及び/又は機能の詳細を変更したものも本発明に含まれ得る。上記の基板搬送ハンド72、基板搬送ロボット7、及び基板移載装置1の構成は、例えば、以下のように変更することができる。
【0070】
図7は、変形例に係る基板搬送ハンドを基板垂線方向から見た図である。上記実施形態に係るハンド72では、第1の中心線4Aから見て第2の中心線5Aが反時計回りに90°から180°の間で回転している。但し、
図7に示すように、ハンド72は、第1の中心線4Aから見て第2の中心線5Aが時計回りに90°から180°の間で回転した態様であってもよい。