(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来装置のようなコネクタ装置では、通常、実際にコネクタと相手側コネクタとを嵌合させる際、作業者の手作業等によって両者の位置合わせを行うようになっている。
【0006】
一方、近年、コネクタ装置が適用される対象(例えば、上述した自動車)の製造効率を向上させる観点等から、相手側コネクタを単独では取り扱わず、相手側コネクタを他の複数の部材などと一体化させたモジュール体を事前に構成し、このモジュール体を取り扱う(即ち、相手側コネクタを含めた多種多様な部材をひとまとめに取り扱う)場合がある。後者の取り扱い(モジュール体)の際、場合によっては、相手側コネクタとは別の部材の位置合わせが優先され、相手側コネクタの位置合わせを前者の取り扱い(従来の相手側コネクタ単独)のようには行えない可能性がある。
【0007】
換言すると、コネクタと相手側コネクタの位置合わせを十分に行えないことに起因し、コネクタと相手側コネクタとの嵌合自体は可能であっても、嵌合時にコネクタ及び相手側コネクタの一方または双方に及ぼされる負荷(外力等)が従来装置のようなコネクタ装置よりも大きくなる可能性がある。このような負荷は、コネクタ装置の保全等の観点から、一般に、出来る限り小さいことが望ましい。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コネクタと相手側コネクタとの位置合わせを意図的に行えない場合であってもコネクタ及び相手側コネクタを容易に嵌合可能なコネクタ装置、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタ装置は、下記(1)〜(
3)を特徴としている。
(1)
第1コネクタと、前記第1コネクタを支持する支持体と、前記第1コネクタと嵌合可能な第2コネクタと、を備えた、コネクタ装置であって、
前記支持体は、
前記第1コネクタを嵌合方向に直交する任意の直交方向に移動可能に支持した状態にて、前記第1コネクタと共に前記嵌合方向に移動可能であり、
該コネクタ装置は、
前記支持体の移動に伴って前記第1コネクタの前記直交方向における位置を前記第2コネクタとの嵌合に適した位置に向けて案内可能な案内機構を有
し、
前記支持体が、
前記第1コネクタが取り付けられた第1フレームと、前記第1フレームとは別の第2フレームと、前記第1フレームと前記第2フレームとの相対位置を弾性的に変更可能であるように前記第1フレームと前記第2フレームとを繋ぐ弾性部材と、を有し、
前記第1コネクタは、
回動可能な一対のロックアームを有し、
前記一対のロックアームの一部が前記第1フレームの一部と当接することにより、前記第1フレームに対して相対移動不能に固定されるように構成される、
コネクタ装置であること。
(2)
上記(1)に記載のコネクタ装置において、
前記支持体が、
前記第1コネクタを前記嵌合方向に弾性的に移動可能に支持する、
コネクタ装置であること。
(
3)
上記(1)又は上記(2)に記載のコネクタ装置において、
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの一方が、
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの他方を収容可能な嵌合室を画成すると共に、前記嵌合室の開口端において、前記開口端に近付くほど前記嵌合室から離れるように傾斜したガイド面を有し、
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの他方が、
前記嵌合方向における先端部において、前記ガイド面と対面接触するように傾斜した被ガイド面を有し、
前記ガイド面及び前記被ガイド面が、前記案内機構を構成する、
コネクタ装置であること。
【0010】
上記(1)の構成のコネクタ装置によれば、第1コネクタを支持する支持体を第2コネクタに向けて嵌合方向に移動させたとき、第1コネクタが任意の直交方向に移動可能であるため、案内機構によって第1コネクタと第2コネクタとの位置合わせが自然に(作業者等が意図的に行わなくても自動的に)行われることになる。換言すると、第1コネクタの位置を意図的に操作しなくても、支持体を第2コネクタに向けて近付けるだけで第1コネクタと第2コネクタとの位置合わせが完了し、両者を容易かつ低負荷にて嵌合させることができる。
【0011】
よって、例えば、上述したモジュール体などに支持体(及び第1コネクタ)を接続し且つダッシュパネル等に第2コネクタを固定した場合において、第1コネクタとは別の部材の位置合わせを優先するようにモジュール体が取り扱われても、第1コネクタと第2コネクタとの位置合わせ及び嵌合に特段の支障は生じないことになる。
更に、上述したような支持体による第1コネクタの支持を実現できる。即ち、第1フレームと第2フレームとが弾性部材を挟んで相対移動可能であることから、第1フレームに取り付けられた第1コネクタが任意の直交方向および嵌合方向に移動可能となる。よって、コネクタと相手側コネクタとの位置合わせを意図的に行えない場合であってもコネクタ及び相手側コネクタを容易に嵌合可能となる。
【0012】
したがって、本構成のコネクタ装置は、コネクタと相手側コネクタとの位置合わせを意図的に行えない場合であってもコネクタ及び相手側コネクタを容易に嵌合可能である。
【0013】
上記(2)の構成のコネクタ装置によれば、第1コネクタと第2コネクタとの嵌合後に更に支持体が嵌合方向に移動した場合(いわゆるオーバーストロークが生じた場合)であっても、支持体と第1コネクタとが嵌合方向に弾性的に変位することにより、その更なる移動(オーバーストローク)を吸収できる。よって、このような支持体の移動(オーバーストローク)によってコネクタ及び相手側コネクタに生じる負荷を低減できる。
【0015】
上記(4)の構成のコネクタ装置によれば、嵌合時に第1コネクタと第2コネクタとが近付いたとき、ガイド面に沿って被ガイド面が滑るように移動することにより、第1コネクタと第2コネクタとの位置合わせがなされる。よって、上述した案内機構を実現できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コネクタと相手側コネクタとの位置合わせを意図的に行えない場合であってもコネクタ及び相手側コネクタを容易に嵌合可能なコネクタ装置、を提供できる。
【0017】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るコネクタ装置(以下「コネクタ装置1」という。)について説明する。
【0020】
<構成>
図1に示すように、本発明の実施形態に係るコネクタ装置1は、メスコネクタ10と、メスコネクタ10と嵌合可能なオスコネクタ20と、メスコネクタ10を支持する支持体30と、を備える。支持体30は、メスコネクタ10が組み付けられた第1フレーム40と、第1フレーム40とは別の第2フレーム50と、第1フレーム40と第2フレーム50とを繋ぐ弾性部材60と、を含む。
【0021】
以下、説明の便宜上、
図1(他の図も同様)に示すように、互いに直交するx軸、y軸及びz軸を定義する。特に、z軸正方向及びz軸負方向を、それぞれ、「上方向」及び「下方向」とも称呼する。なお、z軸方向は「嵌合方向」に対応する。
【0022】
図1及び
図2に示すように、メスコネクタ10及び弾性部材60が組み付けられた第1フレーム40を、第2フレーム50に組み付けることによって支持体30の組み付けが完了する。そして、組み付けが完了した支持体30の第2フレーム50をオスコネクタ20に近付けることにより、メスコネクタ10とオスコネクタ20との嵌合を行う。
【0023】
オスコネクタ20は、平板状の取付パネルPに固定されている。取付パネルPとして、例えば、自動車のダッシュパネル、そのダッシュパネルに取り付けられた制御ボックスの筐体、及び、回路基板などが想定され得る。一方、メスコネクタ10が取り付けられた支持体30(特に、第2フレーム50)は、メスコネクタ10以外の複数の部材が一体化されたモジュール体(図示省略)の一部であってもよく、そのようなモジュール体から独立した単独の部材であってもよい。モジュール体として、例えば、インストルメントパネル筐体およびドアトリム等が想定され得る。なお、このようなモジュール体が用いられる場合、支持体30は、第1フレーム40、第2フレーム50及び弾性部材60だけでなくモジュール体も含む概念であってもよい。
【0024】
以下、コネクタ装置1を構成する各部材の詳細について順に説明する。
【0025】
図1及び
図2に示すように、メスコネクタ10は、略直方体状の樹脂製のコネクタハウジング11を備える。コネクタハウジング11の内部には、
図5に示すように、上下方向に貫通する多数の端子挿入孔12が形成されている。各端子挿入孔12には、金属製のメス端子13が挿入・固定される。
【0026】
コネクタハウジング11の下端部(先端部)の四隅には、それぞれ、被ガイド面14が形成されている。各被ガイド面14は、下端に近付くほどx軸方向においてコネクタハウジング11の中心に近付くように傾斜した傾斜面と、下端に近付くほどy軸方向においてコネクタハウジング11の中心に近付くように傾斜した傾斜面と、を含んでいる。後述するように、被ガイド面14は、オスコネクタ20に形成されたガイド面24と対面接触するようになっている。
【0027】
次いで、
図1及び
図2に示すように、オスコネクタ20は、略直方体状の樹脂製のコネクタハウジング21を備える。コネクタハウジング21の内部には、メスコネクタ10のコネクタハウジング11を収容するための空間である嵌合室22が画成されている。嵌合室22には、上下方向に延びる多数の金属製のオス端子23が固定配置されている(後述する
図6〜
図8を参照)。
【0028】
なお、
図1及び
図2に示すように、上下方向に延びるオス端子23の下端部は、屈曲してy軸正方向に向けて取付パネルPの表面に沿うように延びている。オス端子23の下端部の先端部は、下方に屈曲してz軸負方向に向けて取付パネルPを貫通している。なお、本例では、取付パネルPは自動車のダッシュパネル等に取り付けられた制御ボックスの筐体であり、取付パネルPを貫通したオス端子23の下端部は、筐体内の電子回路等に接続されている。
【0029】
コネクタハウジング21の上端部(先端部)におけるy軸方向(
図1の前後方向)に延びる一対の縁部には、それぞれ、上方に突出する凸部の上端面にガイド面24が形成されている。各ガイド面24は、上端に近付くほどx軸方向においてコネクタハウジング21の中心から遠ざかるように傾斜した傾斜面である。換言すると、各ガイド面24は、嵌合室22の開口端において、開口端に近付くほど嵌合室22から離れるように傾斜している。
【0030】
更に、コネクタハウジング21の上端部(先端部)におけるx軸方向(
図1の左右方向)に延びる一対の縁部のx軸方向中央部には、それぞれ、上方に突出する凸部の上端面にガイド面25が形成されている。各ガイド面25は、上端に近付くほどy軸方向においてコネクタハウジング21の中心から遠ざかるように傾斜した傾斜面である。換言すると、各ガイド面25は、嵌合室22の開口端において、開口端に近付くほど嵌合室22から離れるように傾斜している。
【0031】
次いで、第1フレーム40、第2フレーム50及び弾性部材60を備える支持体30について説明する。
図1に示すように、樹脂製の第1フレーム40は、略矩形の平板状の形状を有する。第1フレーム40の中央部には、取付口41(貫通孔)が形成されている。この取付口41を利用し、メスコネクタ10のコネクタハウジング11が下方に突出するように、メスコネクタ10が第1フレーム40に組み付けられる。
【0032】
第1フレーム40の4辺の縁部には、それぞれ、x−y平面方向外側に一部が突出するように矩形状の窓枠部42が設けられている。各窓枠部42は、矩形状の窓部(貫通孔)43の周囲を囲っている。各窓枠部42及び窓部43には、弾性部材60がそれぞれ組み付けられる(詳細は後述される)。
【0033】
次いで、弾性部材60について説明する。4つの窓枠部42及び窓部43にそれぞれ組み付けられる4つの弾性部材60は全て同じ形状を有する。以下、
図3及び
図4を参照しながら、第1フレーム40のx軸正方向縁部に位置する弾性部材60について説明する。弾性部材60は、弾性を有していれば樹脂製であっても金属製であってもよい。なお、
図3では、理解を容易にするため、第1フレーム40の記載を省略している。
【0034】
図3(a)に示すように、弾性部材60は、y軸方向に延びる矩形平板状の上端部61を有する。上端部61の四隅からは、それぞれ、細長板状の板状延在部62が下方に向けて延びている。各板状延在部62は、x軸方向外側に膨らむように屈曲している。
【0035】
x軸正方向側に位置する2本の板状延在部62の下端部(先端部)、及び、x軸負方向側に位置する2本の板状延在部62の下端部(先端部)は、それぞれ、y軸方向に延びる連結部63によって連結されている。各連結部63のx軸方向外側面には、y軸方向に延びる突条64が設けられている。後述するように、突条64は、弾性部材60を第1フレーム40に取り付ける際に使用される。
【0036】
x軸正方向側に位置する2本の板状延在部62の間、及び、x軸負方向側に位置する2本の板状延在部62の間にはそれぞれ、上端部61と連結部63とに両端が連結された板状係合部65が設けられている。各板状係合部65は、x軸方向内側に窪むように屈曲している。
【0037】
一対の板状係合部65の上側部分である一対の垂下部66は、上端部61から上下方向に沿って互いに略平行に下方に延びている。一対の垂下部66の下端部の対向面(x軸方向内側面)には、それぞれ、係止突起67が設けられている。後述するように、係止突起67は、第2フレーム50を弾性部材60に組み付けるために使用される。
【0038】
図1及び
図4(b)に示すように、4つの弾性部材60はそれぞれ、第1フレーム40の4辺のうち対応する辺の延在方向と上端部61の延在方向とが一致するように、対応する窓部43に下方から上方に挿入されることにより、第1フレーム40に組み付けられる。この組み付けが完了した状態では、
図4(b)に示すように、弾性部材60の一対の突条64が、第1フレーム40の窓枠部42に係止されている。弾性部材60は、窓枠部42に対して相対移動不能に固定(接着および溶着など)されてもよく、窓枠部42に対してy軸方向に相対移動可能に固定(窓枠部42の内周面に弾性部材60の弾性力によって押圧されて保持)されてもよい。
【0039】
次いで、第2フレーム50について説明する。
図1に示すように、樹脂製の第2フレーム50は、矩形の平板状の形状を有する。第2フレーム50の中央部には、メスコネクタ10のコネクタハウジング11を挿入するための矩形状の挿入孔(貫通孔)51が形成されている。
【0040】
第2フレーム50における挿入口51の4辺の周囲には、各辺に沿って、上方に起立する柱部52がそれぞれ設けられている。
図3(a)に示すように、各柱部52は、挿入孔51の対応する辺に平行に上方に起立する平板部53と、平板部53の両側縁部に接続されると共に挿入孔51の対応する辺に垂直に上方に起立する一対の側板部55と、から構成される。これにより、平板部53及び一対の側板部55は、上方から視てH字状の形状を有することになる。
【0041】
一対の側板部55の上端部は、平板部53の上端部より上方に突出している。各平板部53の中央部には、係合孔54(貫通孔)が形成されている。後述するように、係合孔54は、第2フレーム50を弾性部材60に組み付けるために使用される。
【0042】
メスコネクタ10及び弾性部材60が組み付けられた第1フレーム40は、
図1及び
図2に示すように、第2フレーム50に上方から組み付けられる。この組み付けの際、メスコネクタ10のコネクタハウジング11が挿入口51に挿入されると共に、
図3〜
図5に示すように、第2フレーム50の各柱部52が第1フレーム40の対応する窓部43を介して対応する弾性部材60の内部空間に挿入される。
【0043】
図2に示すように、この組み付けが完了した状態では、メスコネクタ10のコネクタハウジング11の下端部は、第2フレーム50の下方に突出している。更に、特に
図3(b)及び
図4に示すように、各柱部52の平板部53が、対応する弾性部材60の一対の垂下部66の間の空間に挿入され、平板部53に形成された係合孔54に一対の係止突起67が挿入・係合されている。
【0044】
この係合孔54と係止突起67との係合により、第2フレーム50と各弾性部材60とが連結される。このとき、各柱部52の一対の側板部55の上端部が対応する弾性部材60の上端部61を挟むように保持している。
【0045】
このように、第1フレーム40を第2フレーム50に組み付けることにより、支持体30の組み付けが完了する。支持体30の組み付けが完了した状態では、第1フレーム40と第2フレーム50との相対位置を弾性的に変更可能であるように、4つの弾性部材60が、第1フレーム40と第2フレーム50とを繋ぐことになる。
【0046】
この結果、第2フレーム50は、第1フレーム40に固定されたメスコネクタ10を、z軸方向(嵌合方向)に直交する任意の方向(x−y平面方向に沿う任意の方向)に弾性的に相対移動可能であり、且つ、z軸方向(嵌合方向)に弾性的に相対移動可能であるように支持している。更に、第2フレーム50は、メスコネクタ10と共にz軸方向(嵌合方向)に移動可能である。
【0047】
なお、本例では、このように組み付けが完了した支持体30における第2フレーム50は、第2フレーム50の四隅に設けられたボルト穴56(
図1及び
図5を参照)等を利用して、上述した複数の部材が一体化されたモジュール体(図示省略)に接続・固定される。
【0048】
図2に示すように支持体30の組み付けが完了した後、メスコネクタ10とオスコネクタ20とを嵌合させるべく、
図6及び
図7に示すように、第2フレーム50(具体的には、第2フレーム50が接続されたモジュール体の全体)を下方に移動してメスコネクタ10をオスコネクタ20(取付パネルP)に近付ける。
【0049】
このとき、モジュール体に一体化された他の部材の位置合わせを優先することにより、オスコネクタ20に対するメスコネクタ10の位置合わせを十分に行えない場合がある。この場合、x−y平面方向において、オスコネクタ20に対してメスコネクタ10の位置ずれが生じ得る。
【0050】
例えば、x軸方向において、オスコネクタ20に対してメスコネクタ10の位置ずれが生じている場合、メスコネクタ10のコネクタハウジング11の被ガイド面14と、オスコネクタ20のコネクタハウジング21のガイド面24とが対面接触し得る。このとき、上述したように、弾性部材60の作用により、メスコネクタ10が、第2フレーム50(モジュール体)に対してx軸方向に相対移動する。
【0051】
この相対移動により、第2フレーム50(モジュール体)の下降に伴い、メスコネクタ10の被ガイド面14がオスコネクタ20のガイド面24に沿って滑るように移動する。更に、弾性部材60の撓みを伴いつつ、メスコネクタ10のx軸方向の位置が、オスコネクタ20との嵌合に適した位置に向けて案内される。その結果、メスコネクタ10とオスコネクタ20との位置合わせがなされ、
図8に示すように、メスコネクタ10とオスコネクタ20とが適切に嵌合される。
【0052】
これに対し、例えば、y軸方向において、オスコネクタ20に対してメスコネクタ10の位置ずれが生じている場合、メスコネクタ10のコネクタハウジング11の下端面におけるx軸方向に延びる縁部(角部)と、オスコネクタ20のコネクタハウジング21のガイド面25とが接触し得る。このとき、弾性部材60の作用により、メスコネクタ10が、第2フレーム50(モジュール体)に対してy軸方向に相対移動する。
【0053】
この相対移動により、第2フレーム50(モジュール体)の下降に伴い、メスコネクタ10の前記縁部(角部)がオスコネクタ20のガイド面25に沿って滑るように移動することにより、弾性部材60の撓みを伴いながら、メスコネクタ10のy軸方向の位置が、オスコネクタ20との嵌合に適した位置に向けて案内される。その結果、メスコネクタ10とオスコネクタ20との位置合わせがなされ、
図8に示すように、メスコネクタ10とオスコネクタ20とが適切に嵌合される。
【0054】
メスコネクタ10の被ガイド面14及びオスコネクタ20のガイド面24,25は、本発明における「案内機構」に相当する。
図8に示すように、メスコネクタ10とオスコネクタ20とが嵌合完了した状態では、メスコネクタ10内のメス端子13(
図5を参照)と、オスコネクタ20内のオス端子23とが接続され、メスコネクタ10とオスコネクタ20とが電気的に接続される。
【0055】
更に、メスコネクタ10とオスコネクタ20との嵌合完了後、種々の理由によって第2フレーム50(モジュール体)が更に下降してしまった場合(いわゆるオーバーストロークが生じた場合)であっても、第2フレーム50がメスコネクタ10をz軸方向(嵌合方向)に弾性的に支持しているため、その更なる下降が弾性部材60の撓みによって吸収される。よって、オーバーストロークによってメスコネクタ10及びオスコネクタ20に生じる負荷を低減できる。
【0056】
以下、
図6及び
図7を参照しながら、メスコネクタ10のコネクタハウジング11の、第1フレーム40の取付口41に対する取付構造について簡単に述べる。
図6及び
図7に示すように、コネクタハウジング11には、一対のロックアーム15が支軸16を中心に回動可能に設けられている。
【0057】
一対のロックアーム15が
図6及び
図7に示す初期位置にある場合、詳細な説明は省略するが、一対のロックアーム15の一部が第1フレーム40の一部と当接することにより、コネクタハウジング11が第1フレーム40に対して相対移動不能に固定されている。即ち、オスコネクタ20に対するメスコネクタ10の嵌合前、コネクタハウジング11が第1フレーム40に対して相対移動不能に固定されている。
【0058】
そして、オスコネクタ20に対するメスコネクタ10の嵌合が進行すると、一対のロックアーム15に設けられた一対の突部17が、オスコネクタ20のコネクタハウジング21の内壁面に形成された段部26(
図1を参照)に押圧される。これにより、一対のロックアーム15が初期位置から所定角度だけ回動する。
【0059】
その結果、コネクタハウジング11の第1フレーム40に対するx軸方向の固定が一時的に解除され、コネクタハウジング11が、第1フレーム40に対して(x軸方向にのみ)相対移動可能となる。このため、嵌合開始時にx軸方向についてオスコネクタ20に対してメスコネクタ10の位置ずれが生じていた場合、コネクタハウジング11が第1フレーム40に対して摺動するように移動し、上述の「案内機構」の案内により生じていたx軸方向の弾性部材60の撓みが解除される。
【0060】
その後、オスコネクタ20に対するメスコネクタ10の嵌合が完了する段階にて、一対のロックアーム15が更に回動し、詳細な説明は省略するが、一対のロックアーム15の他の一部が第1フレーム40の一部と当接することにより、コネクタハウジング11が第1フレーム40に対して再び相対移動不能に固定される。即ち、オスコネクタ20に対するメスコネクタ10の嵌合後、コネクタハウジング11が第1フレーム40に対して再び相対移動不能に固定される。
【0061】
このように、コネクタハウジング11の一対のロックアーム15は、コネクタハウジング11の第1フレーム40に対する固定をコネクタ同士の嵌合途中で一時的に解除可能な取付構造を構成している。
【0062】
以上、本発明の実施形態に係るコネクタ装置1によれば、メスコネクタ10を支持する支持体30(具体的には、第2フレーム50)をオスコネクタ20に向けてz軸方向(嵌合方向)に移動させたとき、メスコネクタ10が任意のx−y平面方向に移動可能であるため、「案内機構」によってメスコネクタ10とオスコネクタ20との位置合わせがなされる。よって、メスコネクタ10を意図的・直接的に操作しなくても、支持体30(第2フレーム50)をオスコネクタ20に向けて近付けるだけで、メスコネクタ10とオスコネクタ20とを嵌合させることができる。
【0063】
よって、支持体30(第2フレーム50)を上述したモジュール体などに接続した場合、他の部材の位置合わせを優先するようにモジュール体が取り扱われても、メスコネクタ10とオスコネクタ20とを容易に嵌合させられる。したがって、本発明の実施形態に係るコネクタ装置1は、メスコネクタ10とオスコネクタ20との位置合わせを意図的に行えない場合であってもメスコネクタ10及びオスコネクタ20を容易に嵌合可能である。
【0064】
更に、メスコネクタ10とオスコネクタ20との嵌合完了後、支持体30(第2フレーム50)が嵌合方向に更に移動してしまった場合(いわゆるオーバーストロークが生じた場合)であっても、支持体30(第2フレーム50)がメスコネクタ10を嵌合方向に弾性的に支持しているため、その更なる移動を支持体30(第2フレーム50)が吸収できる。よって、オーバーストロークによるメスコネクタ10及びオスコネクタ20の破損等を抑制できる。
【0065】
更に、嵌合時にメスコネクタ10とオスコネクタ20とのの間の位置ずれが生じていても、オスコネクタ20のガイド面24に沿ってメスコネクタ10の被ガイド面14が滑るように移動することにより、メスコネクタ10とオスコネクタ20との位置合わせが行われる。よって、簡易な構成によって上述した案内機構を実現できる。
【0066】
<他の態様>
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0067】
例えば、上記実施形態では、本発明の「第1コネクタ」及び「第2コネクタ」が、それぞれ、メスコネクタ10及びオスコネクタ20に対応している。しかし、逆に、本発明の「第1コネクタ」及び「第2コネクタ」が、それぞれ、オスコネクタ(オス端子を収容するコネクタ)及びメスコネクタ(メス端子を収容するコネクタ)に対応していてもよい。
【0068】
更に、上記実施形態では、特定の構造を有する弾性部材60(例えば、
図2及び
図3を参照)が用いられている。しかし、弾性部材は、必ずしも上述した特定の構造を有する必要はなく、上述した機能を有する限り、単純な構造の板バネでもよく、スプリング状のバネでもよい。
【0069】
更に、上記実施形態では、メスコネクタ10のコネクタハウジング11と第1フレーム40とが別々の部材として構成されている。しかし、メスコネクタ10のコネクタハウジング11と第1フレーム40とが一体の部材であるように構成されていてもよい。
【0070】
更に、上記実施形態では、第1フレーム40と弾性部材60とが別々の部材として構成されている。しかし、第1フレーム40と弾性部材60とが一体の部材であるように構成されていてもよい。また、第1フレーム40、第2フレーム50及び弾性部材60が一体の部材であるように構成されていてもよい。加えて、上記実施形態では、弾性部材60が第1フレーム40に接着固定されているが、弾性部材60が第1フレーム40に移動可能に保持(嵌め合い)されていてもよい。
【0071】
更に、上記実施形態では、第2フレーム50は、メスコネクタ10を、z軸方向(嵌合方向)に直交する任意の方向(x−y平面方向に沿う任意の方向)に弾性的に相対移動可能であり且つz軸方向(嵌合方向)に弾性的に相対移動可能に支持している。しかし、第2フレーム50が、メスコネクタ10を、z軸方向(嵌合方向)に直交する任意の方向(x−y平面方向に沿う任意の方向)に弾性的に相対移動可能であり、一方、z軸方向(嵌合方向)に相対移動不能に支持していてもよい。
【0072】
更に、上記実施形態では、メスコネクタ10の被ガイド面14、及び、オスコネクタ20のガイド面24,25によって、本発明の「案内機構」が構成されている。しかし、例えば、オスコネクタ20が固定されている取付パネルPから延びる専用のガイド棒などを利用して本発明の「案内機構」が構成されていてもよい。
【0073】
ここで、上述した本発明に係るコネクタ装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下(1)〜(4)に簡潔に纏めて列記する。
(1)
第1コネクタ(10)と、前記第1コネクタを支持する支持体(40〜60の全体。即ち、30)と、前記第1コネクタと嵌合可能な第2コネクタ(20)と、を備えた、コネクタ装置(1)であって、
前記支持体(30)は、
前記第1コネクタ(10)を嵌合方向に直交する任意の直交方向(
図1の前後左右方向)に移動可能に支持した状態にて、前記第1コネクタ(10)と共に前記嵌合方向に移動可能であり、
該コネクタ装置(1)は、
前記支持体(30,40)の移動に伴って前記第1コネクタ(10)の前記直交方向における位置を前記第2コネクタ(20)との嵌合に適した位置に向けて案内可能な案内機構(14,24)を有する、
コネクタ装置。
(2)
上記(1)に記載のコネクタ装置において、
前記支持体(30)が、
前記第1コネクタ(10)を前記嵌合方向(
図1の上下方向)に弾性的に移動可能に支持する、
コネクタ装置。
(3)
上記(1)又は上記(2)に記載のコネクタ装置において、
前記支持体(30)が、
前記第1コネクタ(10)が取り付けられた第1フレーム(40)と、前記第1フレームとは別の第2フレーム(50)と、前記第1フレームと前記第2フレームとの相対位置(
図1の前後左右上下の変位)を弾性的に変更可能であるように前記第1フレームと前記第2フレームとを繋ぐ弾性部材(60)と、を有する、
コネクタ装置。
(4)
上記(1)〜上記(3)の何れか一つに記載のコネクタ装置において、
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの一方(20)が、
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの他方(10)を収容可能な嵌合室(22)を画成すると共に、前記嵌合室の開口端において、前記開口端に近付くほど前記嵌合室から離れるように傾斜したガイド面(24)を有し、
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの他方(10)が、
前記嵌合方向における先端部において、前記ガイド面(24)と対面接触するように傾斜した被ガイド面(14)を有し、
前記ガイド面(24)及び前記被ガイド面(14)が、前記案内機構を構成する、
コネクタ装置。