特許第6774289号(P6774289)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774289
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   A63F7/02 312Z
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-197453(P2016-197453)
(22)【出願日】2016年10月5日
(65)【公開番号】特開2018-57602(P2018-57602A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 大樹
(72)【発明者】
【氏名】門田 智明
【審査官】 篠崎 正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−233389(JP,A)
【文献】 特開2006−141793(JP,A)
【文献】 特開2006−320487(JP,A)
【文献】 特開2004−033561(JP,A)
【文献】 特開平10−263149(JP,A)
【文献】 特開2010−240103(JP,A)
【文献】 特開2016−159080(JP,A)
【文献】 特開2009−183331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤と、
前記遊技盤の正面に離隔して対向する透過板と、
前記透過板と前記遊技盤の正面との前後間に形成され、遊技球が流下する遊技領域と、
前記遊技領域に設けられ、前記遊技盤および前記透過板のいずれか一方の側が他方の側よりも鉛直方向の上方に位置し、かつ、水平方向の一端側が他端側よりも鉛直方向の下方に位置する傾斜面を底部とする遊技球傾斜通路と、
前記傾斜面の前記他方の側の端部から鉛直方向の下方へ向かって延びる取り付け面と、
を備え
前記遊技盤の正面に前記取り付け面が取り付けられて前記傾斜面が前記遊技盤に固定され、
前記遊技球傾斜通路は、鉛直方向の下方に向かうにしたがって、前後間の距離が小さくなることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤と透過板との間に遊技領域が形成される遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の遊技機においては、遊技盤と、遊技盤の正面に離隔して対向配置されたガラスやアクリル等からなる透過板との間に、遊技球が流下する遊技領域が形成されている。遊技盤には、釘や風車等の構造物が多数設けられており、これらの構造物に衝突することで、遊技球が遊技領域を不規則に落下することとなる。
【0003】
近年では、遊技機の幅方向の中央に液晶表示器が配設され、この液晶表示器の左右に遊技領域が形成される遊技機が一般的となっている。通常、遊技機においては、遊技球が左側から発射されることから、液晶表示器の右側に形成される所謂右打ち領域に進入する遊技球の強度は強くなる。遊技球の強度が強くなると、遊技球が思わぬ方向に散乱する可能性が高くなり、球詰まりが発生しやすくなる。そこで、例えば、特許文献1、2に示されるように、遊技領域を落下する遊技球を減速させて整流する種々の構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−304837号公報
【特許文献2】特開2012−223309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
遊技機には、上記の液晶表示器の他に、可動体を備えた役物装置等、さまざまな演出用の装置が設けられている。近年では、演出効果や意匠性を向上させるべく、演出用の装置が大きくなる傾向にあり、多くの制約を受けた中で遊技領域を形成しなければならない。そこで、遊技球の球詰まりを防ぐための新たな構造の開発が希求されている。
【0006】
本発明は、遊技球の球詰まりを防ぐことができる遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、遊技盤と、前記遊技盤の正面に離隔して対向する透過板と、前記透過板と前記遊技盤の正面との前後間に形成され、遊技球が流下する遊技領域と、前記遊技領域に設けられ、前記遊技盤および前記透過板のいずれか一方の側が他方の側よりも鉛直方向の上方に位置し、かつ、水平方向の一端側が他端側よりも鉛直方向の下方に位置する傾斜面を底部とする遊技球傾斜通路と、前記傾斜面の前記他方の側の端部から鉛直方向の下方へ向かって延びる取り付け面と、を備え、前記遊技盤の正面に前記取り付け面が取り付けられて前記傾斜面が前記遊技盤に固定され、前記遊技球傾斜通路は、鉛直方向の下方に向かうにしたがって、前後間の距離が小さくなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、遊技球の球詰まりを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】扉が開放された状態を示す遊技機の斜視図である。
図2】遊技盤の正面図である。
図3】遊技盤の右側部分を拡大した拡大図である。
図4図3から一部の構造物を取り除いた状態を示す図である。
図5】通路構成部材を説明する図である。
図6】(a)は、通路構成部材の正面図であり、(b)は、通路構成部材の背面図である。
図7】(a)は、図6(a)のVII(a)線の断面図であり、(b)は、図6(a)のVII(b)線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態の遊技機1の斜視図であり、扉が開放された状態を示している。図示のように、遊技機1は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠2と、この外枠2にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた中枠4と、この中枠4に、ヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた前枠6と、を備えている。
【0014】
前枠6には、ガラス製または樹脂製の透過性を有する透過板8が保持されている。また、中枠4は、外枠2と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されており、この囲繞空間に遊技盤10が保持されている。そして、これら中枠4および前枠6を外枠2に対して閉じると、遊技盤10と透過板8とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、遊技機1の正面側から、透過板8を介して遊技盤10が視認可能となる。なお、前枠6の下部には、遊技者が回転操作可能な不図示の操作ハンドルが設けられている。
【0015】
図2は、遊技盤10の正面図である。上記したように、中枠4および前枠6が外枠2に対して閉じられた状態では、遊技盤10の正面10aに離隔して透過板8が対向する。このとき、透過板8と遊技盤10の正面10aとの前後間に、遊技球が流下する遊技領域12が形成される。遊技盤10には、レール14a、14bが固定されている。レール14aは、遊技盤10の下端から左上方に向けて延在するとともに、遊技盤10の鉛直方向の略中央から右上方に向けて延在する。このレール14aは、遊技盤10の下部から上部まで、図示のように湾曲して延在しており、遊技領域12を囲繞形成する。また、レール14bは、遊技盤10の左側であって、レール14aよりも遊技領域12の内側に設けられている。
【0016】
遊技者が操作ハンドルを回転させて発射操作を行うと、操作ハンドルの回転角度に応じた強度で、不図示の発射機構によって遊技球が発射される。このようにして発射された遊技球は、遊技盤10に設けられたレール14a、14b間を上昇して遊技領域12に導かれる。遊技盤10には、多数の釘や風車が設けられており、遊技領域12に導かれた遊技球は、釘や風車に衝突して、不規則な方向に流下、転動することとなる。
【0017】
また、遊技盤10には、厚み方向(遊技機1の前後方向)に貫通する貫通孔16が形成されている。遊技盤10の背面には、演出用の画像が表示される不図示の液晶表示器が設けられる。遊技者は、貫通孔16を介して、液晶表示器に表示される画像を視認可能となる。なお、遊技盤10の正面10aには、遊技領域12を流下、転動する遊技球が貫通孔16に脱落しないように、貫通孔16の全周に亘って透過板8側に起立する壁部が設けられている。
【0018】
なお、遊技盤10には、遊技球が入球可能な入賞口18が複数設けられており、入賞口18に遊技球が入球すると、それぞれ所定の賞球が遊技者に払い出される。このとき、賞球数は1個以上であれば何個でもよく、また、入賞口18ごとに払い出す賞球数を異ならせてもよいし、同じ賞球数に設定してもよい。また、詳しい説明は省略するが、入賞口18の種別によっては、遊技球の入球に起因して、遊技者に所定の遊技利益を付与するか否かの抽選が行われる。なお、遊技盤10の最下部には、いずれの入賞口18にも入球しなかった遊技球を、遊技領域12から遊技盤10の背面側に排出する排出口20が設けられている。
【0019】
ここで、遊技領域12は、発射機構の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にする第1遊技領域12aおよび第2遊技領域12bを備えている。第1遊技領域12aは、遊技機1に正対した遊技者から見て貫通孔16の左側に位置し、第2遊技領域12bは、貫通孔16の右側に位置している。レール14a、14bが貫通孔16の左側にあることから、発射機構によって所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は第1遊技領域12aに進入し、所定の強度以上の発射強度で発射された遊技球は第2遊技領域12bに進入することとなる。
【0020】
このように、第2遊技領域12bに進入する遊技球の強度は、第1遊技領域12aに進入する遊技球の強度よりも強くなる。遊技球の強度が強くなると、遊技球が思わぬ方向に散乱する可能性が高くなり、球詰まりが発生しやすくなる。遊技機1には、上記の液晶表示器の他に、可動体を備えた役物装置等、さまざまな演出用の装置が設けられており、第2遊技領域12bのスペースが限られている。本実施形態では、限られたスペースの中で球詰まりを防ぐべく、遊技球が流下、転動する通路を次のように構成している。
【0021】
図3は、遊技盤10の右側部分を拡大した拡大図であり、図4は、図3から一部の構造物を取り除いた状態を示す図である。図3および図4に示すように、遊技盤10の正面10aには、樹脂等で構成される構造物が多数取り付けられており、これら構造物によって遊技球が流下、転動する第2遊技領域12bが形成されている。なお、第2遊技領域12bの上方には、遊技球が高速、高強度に進入するため、釘が設けられておらず、樹脂製の構造物のみが設けられている。
【0022】
図3に示すように、遊技盤10の上方には、第1遊技領域12aと第2遊技領域12bとを繋ぐ連絡通路22が形成されている。この連絡通路22は、レール14aと壁部22aとの間に形成されており、連絡通路22の出口端、すなわち、連絡通路22の第2遊技領域12b側の端部には、緩衝部材24が設けられている。また、第2遊技領域12bには、緩衝部材24に対して遊技機1の幅方向に離隔して対向する衝突面26が設けられており、緩衝部材24と衝突面26との間に、遊技球を鉛直方向に落下させる緩衝通路28が形成されている。
【0023】
連絡通路22から第2遊技領域12bに進入した遊技球は、衝突面26に衝突して緩衝部材24側に跳ね返る。緩衝部材24は、僅かに揺動するように遊技盤10に取り付けられており、衝突面26から緩衝部材24に向けて跳ね返った遊技球は、その衝撃が緩衝部材24によって吸収される。このように、第2遊技領域12bに進入した遊技球は、まず、緩衝部材24によって衝撃が吸収されて、緩衝通路28を落下する。
【0024】
緩衝通路28の直下には湾曲面30が設けられている。この湾曲面30は、緩衝通路28を落下する遊技球を、遊技機1の幅方向の中央側、すなわち、緩衝通路28よりも左側に向けて落下させるものである。湾曲面30よりも下方かつ左側には、転動面32が設けられており、緩衝通路28を落下した遊技球は、湾曲面30に衝突して転動面32に向けて落下する。転動面32は、水平方向の一端32a側が他端32b側よりも鉛直方向の上方に位置する。つまり、転動面32は、一端32aから他端32bまで、鉛直方向の位置が連続的に低くなるように傾斜している。したがって、転動面32上に落下した遊技球は、転動面32を一端32a側から他端32b側に向けて転動することとなる。
【0025】
このように、第2遊技領域12bに進入した遊技球は、衝突面26→緩衝部材24→湾曲面30→転動面32の順に、構造物への衝突を繰り返しながら、鉛直方向の上方から下方へと流下していく。このとき、遊技球は、遊技機1の幅方向に移動しながら第2遊技領域12bを落下することから、鉛直方向に直線状に落下する場合に比べて移動距離が長くなり、減速効果がもたらされる。
【0026】
そして、遊技盤10には、図4に示すように、転動面32よりも鉛直方向の下方に、構造物としての通路構成部材50が取り付けられている。この通路構成部材50について、図5を用いて説明する。
【0027】
図5は、通路構成部材50を説明する図であり、図5(a)には、通路構成部材50の正面側の斜視図を示し、図5(b)には、通路構成部材50の背面側の斜視図を示している。なお、図5において、矢印F方向は、遊技盤10に通路構成部材50が取り付けられた状態における遊技機1の正面側を示し、矢印B方向は、遊技盤10に通路構成部材50が取り付けられた状態における遊技機1の背面側を示している。また、図6(a)は、通路構成部材50の正面図であり、図6(b)は、通路構成部材50の背面図である。通路構成部材50は、例えば樹脂で成型される。通路構成部材50は、取り付け面52を備えており、この取り付け面52に設けられた嵌合部52aが、遊技盤10に設けられた被嵌合部に嵌合して位置決めならびに取り付けがなされる。
【0028】
また、通路構成部材50は、取り付け面52が遊技盤10に取り付けられた状態において、遊技盤10の正面10aに対向する対向面54を備えている。通路構成部材50が遊技盤10に取り付けられた状態では、対向面54が取り付け面52よりも鉛直方向の上方に位置する。また、対向面54は、取り付け面52よりも遊技機1の正面側に位置しており、遊技盤10の正面10aと対向面54との間に、遊技球の直径以上の間隙が形成される。
【0029】
そして、通路構成部材50は、取り付け面52と対向面54とを接続する傾斜面56を備えている。この傾斜面56は、対向面54側が取り付け面52側よりも鉛直方向の上方に位置しており、対向面54側から取り付け面52側に向けて、鉛直方向の高さ位置が連続的に低くなるように傾斜している。すなわち、通路構成部材50が遊技盤10に取り付けられた状態では、傾斜面56は、透過板8側が遊技盤10側よりも鉛直方向の上方に位置しており、透過板8側から遊技盤10側に向けて、鉛直方向の高さ位置が連続的に低くなるように傾斜していると言える。さらに、この傾斜面56は、水平方向の一端56a側が他端56b側よりも鉛直方向の下方に位置しており、通路構成部材50が遊技盤10に取り付けられた状態では、他端56b側から一端56a側に向けて、鉛直方向の高さ位置が連続的に低くなるように傾斜している。
【0030】
上記の構成からなる通路構成部材50が遊技盤10に取り付けられた状態では、図3および図4に示すように、傾斜面56が鉛直方向の上方に臨んでいる。より詳細には、傾斜面56は、上記の転動面32よりも下方であって、かつ、遊技機1の幅方向右側に位置し、転動面32の他端32bから落下する遊技球が傾斜面56に衝突するように設けられている。
【0031】
また、遊技盤10の正面10aには、遊技球通路60が設けられている。この遊技球通路60は、通路構成部材50の左側に隣接して設けられており、鉛直方向に沿って延在している。すなわち、遊技球通路60は、傾斜面56の一端56aから鉛直方向の下方に遊技球を流下させる。遊技球通路60の直上には、遊技球通路60に面する天面部62が設けられている。この天面部62は、遊技球通路60を形成する左側の壁面60aと曲面を介して連続している。また、天面部62の右側の一部は、傾斜面56の一端56a側の一部に鉛直方向に対向している。
【0032】
上記の構成により、転動面32の他端32bから下方に落下した遊技球は、傾斜面56に衝突する。傾斜面56は、他端56bから一端56aに向かって鉛直方向の高さ位置が徐々に低くなるため、傾斜面56上に落下した遊技球は、一端56a側に導かれ、一端56aから遊技球通路60に進入する。このように、遊技球通路60に進入した遊技球は、自重によりさらに下方へと落下することになる。
【0033】
ここで、本実施形態では、天面部62よりも鉛直方向の上方に、水平方向の一端32a側が他端32b側よりも鉛直方向の上方に位置する転動面32が設けられている。第2遊技領域12bに進入した遊技球は、緩衝通路28や衝突面26等で減速しているものの、転動面32上を転動する過程で再度加速するおそれがある。また、スペースの制約上の問題により、傾斜面56と天面部62との離隔距離が、大凡、遊技球の直径の2〜3倍程度と、比較的小さくなっている。
【0034】
そのため、転動面32から傾斜面56上に落下した遊技球が、傾斜面56から天面部62に向けて大きく跳ね返り、傾斜面56と天面部62との間で、遊技球が散乱するといった現象が生じるおそれがある。このような状況で、さらに傾斜面56上に遊技球が導かれると、複数の遊技球が傾斜面56と天面部62との間に多量に散乱し、球詰まりが生じてしまう。本実施形態では、傾斜面56により、上記の球詰まりの発生が抑制される。
【0035】
図7(a)は、図6(a)のVII(a)線の断面図であり、図7(b)は、図6(a)のVII(b)線の断面図である。上記したように、傾斜面56は、透過板8(対向面54)側が遊技盤10側よりも鉛直方向の上方に位置しており、透過板8側から遊技盤10側に向かうにしたがって、鉛直方向の高さ位置が徐々に低くなるように傾斜している。特に、本実施形態では、傾斜面56と正面10aとが交わる角度αは、天面部62と平行な仮想線Aが正面10aと交わる角度βよりも鋭角である。
【0036】
遊技盤10の正面10aと傾斜面56との間には、遊技球傾斜通路が形成される。つまり、傾斜面56を底部とする遊技球傾斜通路が形成される。この遊技球傾斜通路は、鉛直方向の下方に向かうにしたがって前後間の距離が小さくなる。そして、遊技球傾斜通路の下方は、前後間の距離が遊技球の直径以下となる。その結果、傾斜面56上に落下した遊技球は、傾斜面56から正面10aに向けて跳ね返され、傾斜面56と正面10aとに繰り返し衝突し、遊技球傾斜通路に落ち込みながら一端56aに到達する。つまり、遊技球は、傾斜面56の傾斜により、跳ね返る高さが抑制され、傾斜面56と天面部62との間における遊技球の散乱が抑制される。これにより、球詰まりの発生が抑制されることとなる。
【0037】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0038】
上記実施形態では、通路構成部材50に傾斜面56が設けられる場合について説明したが、傾斜面56は、例えば、透過板8および遊技盤10のいずれか一方または双方と一体形成してもよい。また、上記実施形態では、傾斜面56は、透過板8側が遊技盤10側よりも鉛直方向の上方に位置しており、透過板8側から遊技盤10側に向かうにしたがって、鉛直方向の高さ位置が徐々に低くなるように傾斜している。しかしながら、例えば、傾斜面56は、遊技盤10側が透過板8側よりも鉛直方向の上方に位置しており、遊技盤10側から透過板8側に向かうにしたがって、鉛直方向の高さ位置が徐々に低くなるように傾斜してもよい。この場合には、傾斜面56上に落下した遊技球は、傾斜面56と透過板8との間で衝突を繰り返すことになる。いずれにしても、遊技盤10と、遊技盤10の正面10aに離隔して対向する透過板8と、透過板8と遊技盤10の正面10aとの間に形成され、遊技球が流下する遊技領域12と、遊技領域12に設けられ、遊技盤10および透過板8のいずれか一方の側が他方の側よりも鉛直方向の上方に位置し、かつ、水平方向の一端56a側が他端56b側よりも鉛直方向の下方に位置する傾斜面56と、を備えればよい。
【0039】
また、上記実施形態では、第2遊技領域12bに傾斜面56が設けられる場合について説明したが、傾斜面56は遊技領域12のいずれに設けられてもよい。
【0040】
さらには、上記実施形態では、転動面32、遊技球通路60および天面部62を設けることとしたが、これらは必須の構成ではない。いずれにしても、遊技盤10または透過板8に対して鋭角に交わる傾斜面56を備えていれば、遊技盤10または透過板8と傾斜面56との間で遊技球の衝撃を吸収することができるため、傾斜面56の周辺の通路構成は特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0041】
1 遊技機
8 透過板
10 遊技盤
10a 正面
12 遊技領域
32 転動面
32a 一端
32b 他端
56 傾斜面
56a 一端
56b 他端
60 遊技球通路
62 天面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7