【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0034】
実施例1〜9および比較例1〜5
水中油型マスカラ:
表1に示す処方および以下の製法で水中油型マスカラを調製した。これらのマスカラを睫毛に塗布し、カール効果、化粧膜の均一性、ロングラッシュ効果、にじみのなさ、睫毛が自然に伸びたような化粧効果について以下の方法で評価した。この評価結果も表1に示した。
【0035】
【表1】
※1:TOWAX−1F6(東亜化成社製)
※2:WHITE BEES WAX(三木化学社製)
※3:高融点キャンデリラワックスFR100(日本ナチュラルプロダクツ製)
※4:SNOW WHITE SPECIAL(融点30〜55℃)(SONNEBORN社製)
※5:エルデュウ PS−306(融点50〜60℃)(味の素社製)
※6:コスモール168ARNV(融点40〜50℃)(日清オイリオグループ社製)
※7:KLEAROL WHITE MINERAL OIL(SONNEBORN社製)
※8:YODOSOL 810F(アクゾノーベル社製)
※9:P.Pファイバー5.6D−2MM(コスメテリアルズ社製)
※10:レーヨンファイバー7D−2MM(中部パイル社製)
【0036】
<製法>
A.成分(1)〜(12)を90℃に加熱し溶解する。
B.成分(13)〜(20)を均一に混合し、80℃に加熱する。
C.BにAを加え80℃で乳化する。
D.Cを40℃に冷却、脱泡し、容器に充填して製品とする。
【0037】
<評価方法>
10名の化粧品専門の官能検査パネルにより、各試料を下記a〜eについて、絶対評価にて7段階に評価し、各試料のパネル全員の評価の平均値から4段階判定基準により判定した。なお、dについては、試料を睫毛に塗布し、パネルに通常の生活をしてもらい、6時間後のにじみのなさについて評価した。
【0038】
(評価項目)
a.カール効果
b.化粧膜の均一性
c.ロングラッシュ効果
d.にじみのなさ
e.睫毛が自然に伸びたような化粧効果
【0039】
(評価基準)
(1)絶対評価基準
(評点):(内容)
6 : 非常に良い
5 : 良い
4 : やや良い
3 : 普通
2 : やや悪い
1 : 悪い
0 : 非常に悪い
【0040】
(2)4段階判定基準
5点を超える :非常に良好:◎
3点を超えて5点以下:良好 :○
2点を超えて3点以下:やや不良 :△
2点以下 :不良 :×
【0041】
表1の結果から明らかなように、本発明品である実施例1〜9のマスカラは、比較例1〜5のマスカラに比較し、ダマにならない化粧膜の均一性、睫毛が上向きにカールし、睫毛を長く見せ、目元を際立たせるといった化粧効果、及びにじまない化粧効果の持続性、睫毛が自然に伸びたような化粧効果のすべての面で、はるかに優れた特性を有していることが分かった。また、本発明品の中でも、特にa/bの質量比が7の場合や、c/bの質量比が3の場合、評価項目全てにおいて非常に良好という結果を示していた。これは、カルナウバロウと繊維に対し、ワセリンを適量含有することにより、高いカール効果をそのままに、マスカラを滑らかに伸ばすことができ、塗布した際に睫毛が自然に長く伸び、さらに綺麗な化粧膜を形成することができたためである。
【0042】
一方、カルナウバロウを含有せず、ミツロウやキャンデリラロウを含有する比較例1、2では、睫毛が上向きにカールし、睫毛を長く見せ、目元を際立たせるといった化粧効果及びダマにならない化粧膜の均一性の点で、満足のいくものが得られなかった。また、ワセリンではなく、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル・フィトステリル・ベヘニル)を含有する比較例3や、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸・ステアリン酸・ロジン酸)ジペンタエリスリチルを含有する比較例4では、睫毛が上向きにカールし、睫毛を長く見せ、目元を際立たせるといった化粧効果の点で、満足のいくものが得られなかった。流動パラフィンを含有する比較例5では、睫毛が上向きにカールし、睫毛を長く見せ、目元を際立たせるといった化粧効果、にじみのなさ、睫毛が自然に伸びた化粧効果の点で、満足のいくものが得られなかった。
【0043】
より詳細には、比較例1、2は含有するワックスはカルナウバロウではないため、カルナウバロウ程、化粧料のベースの硬さが出ず、カール効果が得られず、睫毛が自然に伸びたような化粧効果も得られなかった。比較例2のカール効果について、ミツロウと比べ、キャンデリラロウは融点も高く、比較例1よりもベースが硬くなるため、やや不良という評価になった。また、比較例3、4はエステルワックスとエステルペースト油の組合せで、ワックスの結晶生成阻害による可塑効果がワセリンよりも大きく、結晶生成が阻害されることで、ベースの硬さが出ずカール効果が得られなかった。また、比較例5は液状の流動パラフィンの含有によりにじんでしまい、睫毛が自然に伸びたような化粧効果は得られず、ワックスの結晶生成阻害による可塑効果はエステルペースト油よりも弱いため、カール効果はやや不良という評価になった。
【0044】
実施例10
水中油型マスカラ:
以下の組成の水中油型マスカラを調製した。
【0045】
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 1.5
(2)ポリソルベート80 1.3
(3)ポリステアリン酸スクロース 1.5
(4)ステアリン酸グリセリル 1
(5)セテアリルアルコール 0.5
(6)カルナウバロウ(融点:80〜86℃)※1 6.5
(7)ポリエチレン(融点:83〜95℃) 3
(8)ミツロウ(融点:60〜67℃)※2 0.5
(9)ワセリン(融点:30〜55℃)※5 1
(10)アクリル酸アルキル共重合体エマルション※9 40
(11)トリエタノールアミン 1.3
(12)ポリプロピレン繊維※10 3
(13)黒酸化鉄 7
(14)1,3−ブチレングリコール 5.6
(15)精製水 残量
(16)フェノキシエタノール 0.8
【0046】
(製法)
A.成分(1)〜(9)を100℃に加熱し、溶解する。
B.成分(10)〜(16)を均一に混合し、80℃に加熱する。
C.BにAを加え80℃で乳化する。
D.Cを40℃に冷却、脱泡し、容器に充填して製品とする。
【0047】
以上のようにして得られた水中油型マスカラは、カルナウバロウに加えて、融点の低いミツロウを少量加えることで、睫毛に対する櫛通りが良くなり、マスカラを伸ばしやすくなった。また、融点が高く、炭化水素ワックスのポリエチレンを併用することで、ワセリンによる可塑効果を得やすくなり、均一性の高い化粧膜が得られた。なお、この水中油型マスカラは実施例1〜9のものよりも、上記点でより優れたものであった。
【0048】
実施例11
水中油型マスカラ:
以下の組成の水中油型マスカラを調製した。
【0049】
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 1.5
(2)ポリソルベート80 1.3
(3)ポリステアリン酸スクロース 1.5
(4)ステアリン酸グリセリル 1
(5)セテアリルアルコール 0.5
(6)カルナウバロウ(融点:80〜86℃)※1 6.5
(7)ポリエチレン(融点:83〜95℃) 3
(8)ミツロウ(融点:60〜67℃)※2 0.5
(9)ワセリン(融点:30〜55℃)※5 1
(10)アクリル酸アルキル共重合体エマルション※9 40
(11)トリエタノールアミン 1.3
(12)ポリプロピレン繊維※10 3
(13)レーヨン繊維※11 1
(14)黒酸化鉄 7
(15)1,3−ブチレングリコール 5.6
(16)精製水 残量
(17)フェノキシエタノール 0.8
【0050】
(製法)
A.成分(1)〜(9)を100℃に加熱し、溶解する。
B.成分(10)〜(17)を均一に混合し、80℃に加熱する。
C.BにAを加え80℃で乳化する。
D.Cを40℃に冷却、脱泡し、容器に充填して製品とする。
【0051】
以上のようにして得られた水中油型マスカラは、カルナウバロウに加えて、融点の低いミツロウを少量加えることで、睫毛に対する櫛通りが良くなり、マスカラを伸ばしやすくなった。また、ポリプロピレン繊維に加え、レーヨン繊維を併用したため、マスカラが睫毛へより絡みやすくなり、その結果、睫毛への付着性が良くなった。なお、この水中油型マスカラは実施例1〜10のものよりも、上記点でより優れたものであった。
【0052】
実施例12
水中油型マスカラ:
以下の組成の水中油型マスカラを調製した。
【0053】
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 1.5
(2)ポリソルベート80 1.3
(3)ポリステアリン酸スクロース 1.5
(4)ステアリン酸グリセリル 1
(5)セテアリルアルコール 0.5
(6)カルナウバロウ(融点:80〜86℃)※1 6.5
(7)ポリエチレン(融点:83〜95℃) 3
(8)ミツロウ(融点:60〜67℃)※2 0.5
(9)ワセリン(融点:30〜55℃)※5 2
(10)アクリル酸アルキル共重合体エマルション※9 40
(11)トリエタノールアミン 1.3
(12)ポリプロピレン繊維※10 6
(13)レーヨン繊維 2
(14)ナイロン繊維 2
(15)黒酸化鉄 7
(16)1,3−ブチレングリコール 5.6
(17)精製水 残量
(18)フェノキシエタノール 0.8
【0054】
(製法)
A.成分(1)〜(9)を100℃に加熱し、溶解する。
B.成分(10)〜(18)を均一に混合し、80℃に加熱する。
C.BにAを加え80℃で乳化する。
D.Cを40℃に冷却、脱泡し、容器に充填して製品とする。
【0055】
以上のようにして得られた水中油型マスカラはカール効果、ロングラッシュ効果、化粧膜の均一性、睫毛が自然に伸びたような化粧効果に優れた水中油型睫毛用化粧料であった。
【0056】
実施例13
水中油型睫毛用美容液:
以下の組成の水中油型睫毛美容液を調製した。
【0057】
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 1.5
(2)ポリソルベート80 1.3
(3)ポリステアリン酸スクロース 1.5
(4)ステアリン酸グリセリル 1
(5)セテアリルアルコール 0.5
(6)カルナウバロウ(融点:80〜86℃)※1 6.5
(7)ポリエチレン(融点:83〜95℃) 3
(8)ミツロウ(融点:60〜67℃)※2 0.5
(9)ワセリン(融点:30〜55℃)※5 1
(10)アクリル酸アルキル共重合体エマルション※9 40
(11)トリエタノールアミン 1.3
(12)ポリプロピレン繊維※10 3
(13)レーヨン繊維※11 1
(14)パンテノール 0.1
(15)アルギニン 0.1
(16)桑白皮エキス 0.1
(17)1,3−ブチレングリコール 5.6
(18)精製水 残量
(19)フェノキシエタノール 0.8
【0058】
(製法)
A.成分(1)〜(9)を100℃に加熱し、溶解する。
B.成分(10)〜(19)を均一に混合し、80℃に加熱する。
C.BにAを加え80℃で乳化する。
D.Cを40℃に冷却、脱泡し、容器に充填して製品とする。
【0059】
以上のようにして得られた水中油型睫毛用美容液は、カール効果、ロングラッシュ効果、化粧膜の均一性、睫毛が自然に伸びたような化粧効果に優れた水中油型睫毛用化粧料であった。