特許第6774294号(P6774294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社岡村製作所の特許一覧

<>
  • 特許6774294-什器の支持構造体及び什器 図000002
  • 特許6774294-什器の支持構造体及び什器 図000003
  • 特許6774294-什器の支持構造体及び什器 図000004
  • 特許6774294-什器の支持構造体及び什器 図000005
  • 特許6774294-什器の支持構造体及び什器 図000006
  • 特許6774294-什器の支持構造体及び什器 図000007
  • 特許6774294-什器の支持構造体及び什器 図000008
  • 特許6774294-什器の支持構造体及び什器 図000009
  • 特許6774294-什器の支持構造体及び什器 図000010
  • 特許6774294-什器の支持構造体及び什器 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774294
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】什器の支持構造体及び什器
(51)【国際特許分類】
   A47B 91/06 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   A47B91/06
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-202656(P2016-202656)
(22)【出願日】2016年10月14日
(65)【公開番号】特開2018-61762(P2018-61762A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2019年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】小田 洋一郎
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−085503(JP,U)
【文献】 特開平04−208107(JP,A)
【文献】 特開平05−068618(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00275959(EP,A2)
【文献】 特開2009−153732(JP,A)
【文献】 特開2015−157079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 91/00−91/06
B60B 33/00
A47B 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に設置される支持脚と、
後部キャスターユニットと、
前記支持脚に設けられ、前記床面上を走行移動可能なキャスターと、
前記支持脚に設けられ、水平方向に延びる支持軸と、
該支持軸に回動自在に設けられ、接地面が前記床面から離間した離間位置から、前記接地面が前記床面に接地する接地位置まで回動する接地部材と、を備え、
前記接地部材が前記床面に接地した状態で、
前記接地部材の前記床面に接地する前記接地面における前記離間位置から前記接地位置に向かう回動方向の後方の端部から前記支持軸の軸心までの距離は、前記接地部材の前記接地面における前記回動方向の前方の端部から前記支持軸の前記軸心までの距離よりも長く、
前記接地部材の下端部には、前記後部キャスターユニットに接続された連係ケーブルの下端部に設けられた下端タイコが係止されていることを特徴とする什器の支持構造体。
【請求項2】
前記接地部材には、前記接地面の前記回動方向の後方の端部には前記接地面と交差する交差面が設けられ、
前記接地面と前記交差面とは鋭角をなすように、前記接地面の前記回動方向の後方の端部で交差していることを特徴とする請求項1に記載の什器の支持構造体。
【請求項3】
床面上に設置される支持脚と、
前記支持脚に設けられ、前記床面上を走行移動可能なキャスターと、
前記支持脚に設けられ、水平方向に延びる支持軸と、
該支持軸に回動自在に設けられ、接地面が前記床面から離間した離間位置から、前記接地面が前記床面に接地する接地位置まで回動する接地部材と、を備え、
前記接地部材が前記床面に接地した状態で、
前記接地部材の前記床面に接地する前記接地面における前記離間位置から前記接地位置に向かう回動方向の後方の端部から前記支持軸の軸心までの距離は、前記接地部材の前記接地面における前記回動方向の前方の端部から前記支持軸の前記軸心までの距離よりも長く、
前記接地部材には、前記接地面の前記回動方向の後方の端部には前記接地面と交差する交差面が設けられ、
前記接地面と前記交差面とは鋭角をなすように、前記接地面の前記回動方向の後方の端部で交差し、
前記接地部材が前記床面に接地した状態から、前記接地部材は前記回動方向の前方へさらに回動可能とされていることを特徴とする什器の支持構造体。
【請求項4】
前記接地部材の前記接地面は、平面状に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の什器の支持構造体。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載の什器の支持構造体と、
前記支持脚に支持され、対象物を支持可能な上面を有する支持部材と、を備えることを特徴とする什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器の支持構造体及び什器に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや、公共施設、教育施設、商業施設、病院等の各種施設において、会議や打合せをはじめとする様々な用途で、いわゆるデスク装置等の天板付什器が広く用いられている。このような天板付什器として、使用している状態においては什器の移動を拘束し、什器の配置を変更したいときには拘束を解除してキャスターによる移動を許容する移動拘束機構が設けられたものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のテーブルでは、床面上に設けられるベースと、ベースから立設された脚柱と、脚柱に回動可能に支持された天板と、を備え、ベースは利用者がテーブルに対向する前後方向に延び、前後方向の両側に設けられたキャスターと、前後方向の一方側に設けられた揺動体と、を備えたものが提案されている。揺動体は、天板および天板に設けられた操作レバーとレリーズワイヤで連結され、天板の回動やレバー操作により、揺動体が水平方向を向く軸部材を中心に回動して、揺動体の下端部に設けられたストッパが床面に接地する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5192801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に記載されたテーブル等の什器では、ストッパの床面に対する接地面と床面との間に生じる摩擦力により、水平方向の移動が規制されるため、摩擦力が不十分な場合には什器が床面上を移動してしまう可能性がある。また、ストッパが床面に接地した位置から揺動体が軸部材を中心にさらに回転すると、接地面が床面から離れてしまい、移動を拘束できない可能性がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、什器の床面に沿う移動しないように制動力を高めることができる什器の支持構造体及び什器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る什器の支持構造体は、床面上に設置される支持脚と、後部キャスターユニットと、前記支持脚に設けられ、前記床面上を走行移動可能なキャスターと、前記支持脚に設けられ、水平方向に延びる支持軸と、該支持軸に回動自在に設けられ、接地面が前記床面から離間した離間位置から、前記接地面が前記床面に接地する接地位置まで回動する接地部材と、を備え、前記接地部材が前記床面に接地した状態で、前記接地部材の前記床面に接地する前記接地面における前記離間位置から前記接地位置に向かう回動方向の後方の端部から前記支持軸の軸心までの距離は、前記接地部材の前記接地面における前記回動方向の前方の端部から前記支持軸の前記軸心までの距離よりも長く、前記接地部材の下端部には、前記後部キャスターユニットに接続された連係ケーブルの下端部に設けられた下端タイコが係止されていることを特徴とする。
また、本発明に係る什器の支持構造体は、床面上に設置される支持脚と、前記支持脚に設けられ、前記床面上を走行移動可能なキャスターと、前記支持脚に設けられ、水平方向に延びる支持軸と、該支持軸に回動自在に設けられ、接地面が前記床面から離間した離間位置から、前記接地面が前記床面に接地する接地位置まで回動する接地部材と、を備え、前記接地部材が前記床面に接地した状態で、前記接地部材の前記床面に接地する前記接地面における前記離間位置から前記接地位置に向かう回動方向の後方の端部から前記支持軸の軸心までの距離は、前記接地部材の前記接地面における前記回動方向の前方の端部から前記支持軸の前記軸心までの距離よりも長く、前記接地部材には、前記接地面の前記回動方向の後方の端部には前記接地面と交差する交差面が設けられ、前記接地面と前記交差面とは鋭角をなすように、前記接地面の前記回動方向の後方の端部で交差し、前記接地部材が前記床面に接地した状態から、前記接地部材は前記回動方向の前方へさらに回動可能とされていることを特徴とする。
【0008】
このように構成された什器の支持構造体では、接地面の回動方向の後方の端部から支持軸の軸心までの距離は、接地面の回動方向の前方の端部から支持軸の軸心までの距離よりも長い。このため、什器の支持構造体に力が加わり、接地部材が床面に接地した状態から、接地部材が支持軸を中心に回動方向の前方にさらに回動してしまった場合には、回動方向の後方の端部が床面を押し付けるようになるため、什器の支持構造体が床面に沿って移動しないように制動力を高めることができる。
【0009】
また、本発明に係る什器の支持構造体は、前記接地部材には、前記接地面の前記回動方向の後方の端部には前記接地面と交差する交差面が設けられ、前記接地面と前記交差面とは鋭角をなすように、前記後端部で交差していることが好ましい。
【0010】
このように構成された什器の支持構造体では、接地面の回動方向の後方の端部には、接地面と鋭角をなして交差する交差面が設けられている。よって、接地部材が床面に接地した状態から、接地部材が支持軸を中心に回動方向の前方にさらに回動してしまった場合には、鋭角に形成された回動方向の後方の端部が床面に対して鋭角の先端で突き当たるようになるため、什器の支持構造体が床面に沿って移動しないように制動力を一層高めることができる。
【0011】
また、本発明に係る什器の支持構造体では、前記接地部材の前記接地面は、平面状に形成されていてもよい。
【0012】
このように構成された什器の支持構造体では、接地部材の接地面は平面状に形成されているため、床面との接地面積が大きく確保でき、床面との摩擦力を高めることができる。
【0013】
また、本発明に係る什器は、上記のいずれか一に記載の什器の支持構造体と、前記支持脚に支持され、対象物を支持可能な上面を有する支持部材と、を備えることを特徴とする。
【0014】
このように構成された什器では、対象物を支持可能な上面を有する支持部材を支持する支持脚の床面に沿う移動をしないように制動力を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係る什器の支持構造体及び什器によれば、什器の床面に沿う移動しないように制動力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る什器(デスク装置)の使用状態を示す側断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る什器(デスク装置)の不使用状態を示す側断面図である。
図3図1のA部拡大図である。
図4図1のB部拡大図である。
図5図2のC部拡大図である。
図6図2のD部拡大図である。
図7】本発明の一実施形態に係る什器の駆動機構の構成を示す斜視図である。
図8図7から支持体を取り除いた分解斜視図である。
図9】本発明の一実施形態に係る什器の連係機構の構成を示す斜視図である。
図10】本発明の一実施形態に係る什器の支持脚の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る什器の実施形態を説明する。しかし、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る什器(デスク装置)の使用状態を示す側断面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る什器の不使用状態を示す側断面図である。
なお、以下の説明において、デスク装置が設置される床面側を「下方」、その反対方向を「上方」、利用者がデスク装置に対向する側を「前方」、その反対側を「後方」、水平面内で前方と後方とを結ぶ方向に対して直交する方向を「幅方向」と適宜称する。
【0019】
図1および図2に示すように、デスク装置(什器)100は、床面F上に設置され、上下方向に延びる二本一対の支持脚(什器の支持構造体)1と、物品が載置可能な上面3aを有し、支持脚1の上端部に支持された例えば平面視矩形状の天板(支持部材)3と、を備えている。なお、テーブル什器は、デスク装置100の背面側(後側)において天板3の下方に位置し、支持脚1の間の空間を閉塞する幕板(不図示)を備えていてもよい。
【0020】
支持脚1は、天板3の幅方向両端部にそれぞれ設けられている。
なお、本発明においては、支持脚1を二本一対に限定するものではなく、天板3のサイズや形状によっては、一本のみ、あるいは三本以上の支持脚1を備える構成とすることもできる。
【0021】
各支持脚1は、床面F上に設置されるベース部10と、ベース部10から上方に延び、天板3を下方から安定して支持可能な中空柱状の支柱部20とを備えている。本実施形態において、支柱部20は、ベース部10の後端部から斜め前方に向けて延出するよう立設されている。
また、一対の支持脚1の支柱部20どうしは、天板3の幅方向に延びる連結杆(不図示)により連結されていてもよい。
【0022】
各支持脚1の支柱部20の上端部には、板状のサポートプレート21が設けられている。サポートプレート21には、天板3の幅方向に延びるシャフト22の両端部が、サポートプレート21に対して回動可能に支持されている。
【0023】
天板3の下面には、幅方向両側に、前後方向に延びる支持ブラケット31がそれぞれ固定されている。支持ブラケット31には、サポートプレート21が装着されている。これにより、天板3は、支持ブラケット31とともに、シャフト22回りに回動可能とされている。
【0024】
支持ブラケット31において、天板3の幅方向外方を向く側面には、ロックレバー(不図示)が設けられている。ロックレバーは、支持ブラケット31に回転自在に支持された回転軸(不図示)を中心に回動可能に設けられている。回転軸には、板状のロックプレート(不図示)が一体に設けられている。このロックプレートには、その外周部の所定位置に係合凹部(不図示)が形成されている。
サポートプレート21には、シャフト22を中心とした同心円上において周方向に間隔を空けた2カ所にロックピン(不図示)が設けられている。
ロックレバーのロックプレートは、係合凹部にいずれか一方のロックピンを係合させることで、天板3を、上面3aが水平面内に位置する使用状態(図1図2において実線で示す位置)と、前端部3f側が上方に跳ね上げられた不使用状態(図2において二点鎖線で示す位置)とにそれぞれロックすることができる。
【0025】
ベース部10は、支柱部20の下端に一体に設けられた上フレーム11と、上フレーム11の下方に配置された下フレーム12と、上フレーム11および下フレーム12を覆うカバー13と、を備えている。ベース部10の上面(カバー13の上面)10aは、後端部に対して前端部側が漸次低くなるよう、傾斜して形成されている。
【0026】
図3は、図1のA部拡大図である。図4は、図1のB部拡大図である。図5は、図2のC部拡大図である。図6は、図2のD部拡大図である。
図3および図5に示すように、上フレーム11には、上下方向に貫通孔11hが設けられている。貫通孔11hには、後述するガイドスリーブ91が係止されるスリーブ保持部19が配置されている。
【0027】
上フレーム11の下面には、後部キャスターユニット4が設けられている。
図7は、デスク装置100の駆動機構の構成を示す斜視図である。図8は、図7から支持体を取り除いた分解斜視図である。
図7および図8に示すように、後部キャスターユニット4は、スイング部材40と、支持体50と、一対の第一連係部材61と、第二連係部材66と、を有している。
【0028】
スイング部材40は、天板3の幅方向に間隔を空けて対向配置された一対の側板41と、側板41の下端部どうしを連結する底板42と、を有している。底板42には、後部キャスター43が設けられている。
【0029】
スイング部材40の前端部は、両端部が支持脚1のカバー13(図1参照)等に固定された第一支持軸S1回りに回動自在とされている。第一支持軸S1は水平方向(天板3の幅方向)に沿って延び、後部キャスター43よりも前方に設けられている。これにより、側板41は、第一支持軸S1回りに鉛直面内で揺動自在となっている。
【0030】
スイング部材40の後端部において、一対の側板41には、天板3の前後方向に連続するガイド溝41hがそれぞれ形成されている。
【0031】
図7に示すように、スイング部材40の側板41間には、支持体50が配置されている。支持体50は、ベース部10の上フレーム11(図3参照)等に固定されている。
【0032】
支持体50は、基部51と、基部51の上面51aに設けられた取付穴51hと、基部36の上面51aから下面まで貫通する挿通空間50sと、基部51の後端部に設けられた係止溝53と、を有している。
【0033】
支持体50の取付穴51hには、後述するガイドスリーブ91が係止されるスリーブ保持部19が配置されている。挿通空間50sには、第一連係部材61の上側が配置されている。
【0034】
各第一連係部材61は、両端部が支持体50に固定された第二支持軸S2回りに回動自在とされている。図3に示すように、第二支持軸S2は水平方向(天板3の幅方向)に沿って延び、後部キャスター43の軸心X1よりも前方において第一連係部材61の上端部に設けられている。第二支持軸S2は、第一支持軸S1よりも上方に配置されている。これにより、第一連係部材61は、第二支持軸S2回りに鉛直面内で揺動自在となっている。
【0035】
一対の第一連係部材61の間には、第二連係部材66が配置されている。第二連係部材66の下端部には、天板3の幅方向両側に突出するスライド軸Tが一体に形成されている。スライド軸Tは、第一連係部材61の下端部に形成された挿通孔61sに摺動自在に挿通され、スイング部材40のガイド溝41hに挿通されている。これにより、第一連係部材61が第二支持軸S2回りに揺動したときに、第一連係部材61に挿通されたスライド軸Tはスイング部材40に形成されたガイド溝41hに沿ってスライド移動する。
【0036】
図3および図5に示すように、ガイド溝41hは、第一連係部材61の第二支持軸S2の鉛直下方となる位置を含む領域に形成されている。すなわち、ガイド溝41hは、第一連係部材61の第二支持軸S2の鉛直下方となる位置が、ガイド溝41hの前方の端部41fと後方の端部41bとの間に位置するよう形成されている。ここで、第二支持軸S2の鉛直下方となる位置は、ガイド溝41hの前方の端部41fと後方の端部41bとの中心に対し前方にオフセットしている。これにより、ガイド溝41hの前方の端部41fは、第二支持軸S2の鉛直下方となる位置よりも僅かに前方に位置するよう形成されている。
本実施形態では、スイング部材40と、ガイド溝41hと、第一連係部材61とが、駆動機構101を構成している。
【0037】
図4および図6に示すように、下フレーム12には、前部キャスター(キャスター、什器の支持構造体)79及び前部ストッパーユニット7が設けられている。
前部ストッパーユニット7は、前部カバー体70と、前部ストッパー(接地部材、什器の支持構造体)72と、を有している。
【0038】
図9は、デスク装置100の連係機構の構成を示す斜視図である。
図9に示すように、前部カバー体70には、下方から凹む空間部71が形成されている。空間部71に前部ストッパー72が配置されている。
【0039】
前部ストッパー72の上端部には、天板3の幅方向両側に突出する第三支持軸(支持軸、什器の支持構造体)S3が一体に形成されている。第三支持軸S3は、前部カバー体70に形成されたガイド孔70sに摺動自在に挿通され、両端部が支持脚1のカバー13(図4参照)等に固定されている。
【0040】
前部ストッパー72には、床面Fに接地可能な接地面73が形成されている。接地面73は、平面状に形成されている。
【0041】
図4図6および図9に示すように、接地面73の前端部(回動方向の後方の端部)73fには、第一傾斜面(交差面)74が設けられている。接地面73の後端部(回動方向の前方の端部)73bには、第二傾斜面75が設けられている。第一傾斜面74と接地面73とは、鋭角をなすように交差して設けられている。
【0042】
第三支持軸S3の軸心X3から接地面73の前端部73fまでの距離T1は、軸心X3から接地面73の後端部73bまでの距離T2よりも長い。これにより、前部ストッパー72が図6に示す不使用状態から図4に示す使用状態に回動して、さらに回動する向きに力が加わると、接地面73の前端部73fが床面Fを押し付けて、食い込むようになる。
【0043】
図1に示すように、カバー13は、上フレーム11、後部キャスターユニット4、後部キャスター43、下フレーム12、前部ストッパーユニット7及び前部キャスター79を覆っている。
【0044】
図10は、デスク装置100の支持脚1の構成を示す斜視図である。
カバー13は、これらの上方を覆う上カバー部14と、上カバー部14における天板3の幅方向両端部から下方に延びる側カバー部15と、上カバー部14および側カバー部15の後端部に設けられた後カバー部16と、を有している。上カバー部14の前端部および側カバー部15の前端部は、前部ストッパーユニット7の前部カバー体70に連結されている。
【0045】
図3および図10に示すように、後カバー部16は、後部キャスター43の後方に配置される後壁部17と、後壁部17における天板3の幅方向の両端から前方に延び、前部ストッパーユニット7の側方に配置される側壁部18と、を有している。
【0046】
上記のような後部キャスターユニット4および前部ストッパーユニット7を操作する操作部として、主ケーブル8と、連係ケーブル9と、ケーブル操作部材35と、を備えている。
【0047】
図1に示すように、主ケーブル8は、天板3の下面等に係止されている。主ケーブル8は、支持脚1の支柱部20の内部に設けられた筒状のガイドスリーブ91に挿通されている。図3に示すように、ガイドスリーブ91の下端部は、上フレーム11に形成されたスリーブ保持部19に突き当たることより、下方への移動が規制された状態で保持されている。スリーブ保持部19には、ガイドスリーブ91の下端部から下方に導出される主ケーブル8を挿通させる挿通孔19hが形成されている。挿通孔19hに挿通された主ケーブル8は、支持体50に形成された湾曲面に沿って湾曲している。主ケーブル8の下端部に設けられた下端タイコ83が、第二連係部材66の前端部に係止されている。
【0048】
連係ケーブル9の一端部に設けられた後端タイコ93が、第二連係部材66の後端部に係止されている。連係ケーブル9は、支持体50の上面に形成された湾曲面に沿って湾曲している。支持体50にはスリーブ保持部56が設けられ、スリーブ保持部56には連係ケーブル9を挿通させる挿通孔56hが形成されている。挿通孔56hに挿通された連係ケーブル9は、スリーブ保持部56に保持された筒状のガイドスリーブ96に挿通されている。ガイドスリーブ96の後端部はスリーブ保持部56に突き当たることにより、ガイドスリーブ96の後方への移動が規制された状態で保持されている。
【0049】
図4に示すように、ガイドスリーブ96は前方に延びている。ガイドスリーブ96の前端部は、前部ストッパーユニット7の前部カバー体70に形成されたスリーブ保持部76に突き当たることより、前方への移動が規制された状態で保持されている。スリーブ保持部76には、ガイドスリーブ96の前端部から前方に導出される連係ケーブル9を挿通させる挿通孔76hが形成されている。挿通孔76hに挿通された連係ケーブル9は、前部カバー体70に形成された傾斜面77に沿って前方に向かうにしたがって次第に下方に傾斜している。さらに、連係ケーブル9は、傾斜面77の前端から下方に延び、連係ケーブル9の下端部に設けられた下端タイコ97が、前部ストッパー72の下端部に係止されている。
【0050】
図1に示すように、ケーブル操作部材35は、天板3の前端部3fの下面に設けられている。
ケーブル操作部材35は、天板3の下面に直交する軸回りに回動自在に支持された基部36と、基部36から外周側に延出するレバー部37と、を一体に備えている。基部36には、主ケーブル8の上端部が係止されている。
本実施形態では、第二連係部材66と、連係ケーブル9と、第三支持軸S3とが、連係機構102を構成している。
【0051】
次に、天板3が使用状態から不使用状態に変更される際における後部キャスターユニット4および前部ストッパーユニット7の動作について説明する。
図1図3および図4に示すように、天板3の上面3aが水平面内に位置する使用状態においては、後カバー部16の下端部および前部ストッパー72の接地面73が床面Fに接地している。また、後部キャスター43は床面Fから上方に離間して(浮いて)いるとともに、前部キャスター79は床面Fに接地している。これにより、デスク装置100の自重が、二本一対の支持脚1にそれぞれ設けられた後カバー部16および前部ストッパー72に作用し、デスク装置100の床面F上での水平移動を拘束する。
【0052】
この使用状態では、主ケーブル8は下方に押し下げられた状態であり、第二連係部材66に設けられたスライド軸Tは、スイング部材40に設けられたガイド溝41hの後方の端部41bに突き当たっている。
【0053】
デスク装置100を移動させるためには、まずロックレバーのロックを解除し、天板3の前端部3fを上方に引き上げる。すると、天板3がシャフト22回りに回動する。図5に示すように、これによって、天板3の下面に設けられた主ケーブル8が天板3とともに上方に移動する。主ケーブル8が上方に向かって引き上げられると、主ケーブル8の下端タイコ83が係止された第二連係部材66が、前方に引っ張られる。第二連係部材66に設けられたスライド軸Tがスイング部材40のガイド溝41h沿って前方の端部41f側に移動する。スライド軸Tが挿通された第一連係部材61は、第二支持軸S2を中心に回動する。第一連係部材61は下端位置を下方に下げるように回動するため、スイング部材40は後端部が下方に押し下げられるように揺動する。これにより、スイング部材40に設けられた後部キャスター43が床面Fに接地する。後カバー部16は、後部キャスター43に対して相対的に床面Fから上方に変位する。
【0054】
第二連係部材66が前方に移動するにともない、第二連係部材66に連結された連係ケーブル9は後方に引っ張られて、図6に示すように、前部ストッパー72は第三支持軸S3を中心に接地面73を上方且つ前方に向ける方向に回動する。そして、前部ストッパー72の接地面73は床面Fから上方に離間する。
これにより、前部キャスター79および後部キャスター43のみが床面Fに接地し、デスク装置100は拘束が解除されて床面F上で走行移動自在となる。
【0055】
また、上記のように前部キャスター79および後部キャスター43を床面Fに接地するには、天板3の上面3aを水平としたまま、ケーブル操作部材35のレバー部37を操作し、ケーブル操作部材35を回動させることもできる。すると、ケーブル操作部材35の基部36に係止された主ケーブル8が前方に引っ張られ、支柱部20内の主ケーブル8が上方に向かって引き上げられる。上記と同様に、前部キャスター79および後部キャスター43を床面Fに接地する
このようにしても、前部キャスター79および後部キャスター43のみが床面Fに接地し、デスク装置100は拘束が解除されて床面F上で走行移動自在となる。
【0056】
このように構成されたデスク装置100では、接地面73の前端部73fから第三支持軸S3の軸心X3までの距離T1は、接地面73の後端部73bから第三支持軸S3の軸心X3までの距離T2よりも長い。このため、デスク装置100に力が加わり、前部ストッパー72が床面Fに接地した状態から、前部ストッパー72が第三支持軸S3を中心に回動方向の前方にさらに回動してしまった場合には、前端部73fが床面Fを押し付けるようになるため、デスク装置100が床面Fに沿って移動しないように制動力を高めることができる。
【0057】
また、接地面73の前端部73fには、接地面73と鋭角をなして交差する第一傾斜面74が設けられている。よって、前部ストッパー72が床面Fに接地した状態から、前部ストッパー72が第三支持軸S3を中心に回動方向の前方にさらに回動してしまった場合には、鋭角に形成された前端部73fが床面に対して鋭角の先端で突き当たるようになるため、デスク装置100が床面Fに沿って移動しないように制動力を一層高めることができる。特に、床面Fがカーペットや絨緞等の繊維質材料で形成されている場合には、前端部73Fは床面Fに突き刺さりやすい。
【0058】
また、前部ストッパー72の接地面73は平面状に形成されているため、床面Fとの接地面積が大きく確保でき、床面Fとの摩擦力を高めることができる。
【0059】
(その他の実施形態)
なお、本発明の什器は、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、デスク装置100を例に挙げたが、天板3を備えていなくてもよい。
また、上記実施形態では、対象物を支持可能な上面を有し、支持脚に支持される支持部材として天板3を例に挙げたが、着座者を支持可能な椅子やソファー等の什器の座であってもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…支持脚(什器の支持構造体)
3…天板(支持部材)
4…後部キャスターユニット
7…前部ストッパーユニット
8…主ケーブル
9…連係ケーブル
10…ベース部
11…上フレーム
12…下フレーム
13…カバー
14…上カバー部
15…側カバー部
16…後カバー部
17…後壁部
18…側壁部
20…支柱部
21…サポートプレート
22…シャフト
31…支持ブラケット
35…ケーブル操作部材
36…基部
37…レバー部
40…スイング部材
41…側板
41h…ガイド溝
42…底板
43…後部キャスター
50…支持体
51…基部
51h…取付穴
50s…挿通空間
52…係止突起
53…係止溝
56…スリーブ保持部
61…第一連係部材
66…第二連係部材
67…ケーブル係止部
70…前部カバー体
70s…ガイド孔
71…空間部
72…前部ストッパー(接地部材、什器の支持構造体)
73…接地面
73b…後端部(回動方向の前方の端部)
73f…前端部(回動方向の後方の端部)
74…第一傾斜面(交差面)
79…前部キャスター(キャスター、什器の支持構造体)
81…ガイドスリーブ
82…スリーブ保持部
83…下端タイコ
91…ガイドスリーブ
92…スリーブ保持部
93…後端タイコ
100…デスク装置(什器)
101…駆動機構
102…連係機構
F…床面
S1…第一支持軸
S2…第二支持軸
S3…第三支持軸(支持軸、什器の支持構造体)
T…スライド軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10