(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774300
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】支持装置
(51)【国際特許分類】
A47B 57/42 20060101AFI20201012BHJP
A47F 5/00 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
A47B57/42 G
A47B57/42 B
A47F5/00 C
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-206021(P2016-206021)
(22)【出願日】2016年10月20日
(65)【公開番号】特開2018-64805(P2018-64805A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000107572
【氏名又は名称】スガツネ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 聖宏
【審査官】
七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−029441(JP,U)
【文献】
特開平08−294421(JP,A)
【文献】
実開平06−000204(JP,U)
【文献】
米国特許第04171789(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 57/40−57/42
A47B 96/06
A47F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(ア)掛孔と差込孔を有する支持体と、
(イ)支持対象を支持する主部と、この主部から支持体に向かって突出し上記掛孔に掛けられるフック部とを有する掛け部材と、
(ウ)上記掛け部材の上記主部に回動可能に支持されるとともに、上記支持体に向かって突出する差込凸部を有する脱落防止部材と、
を備え、
上記脱落防止部材の回動に伴い、上記差込凸部が上記差込孔に差し込まれることにより、上記掛け部材の持ち上がりが防止され、上記差込凸部が上記差込孔から離脱することにより、上記掛け部材の持ち上がりが許容される支持装置において、
上記脱落防止部材には第1係合突起が形成され、上記掛け部材には、上記第1係合突起の回動軌跡上に第2係合突起が形成されており、上記脱落防止部材への回動力付与により上記第1係合突起が上記第2係合突起を乗り越え可能であり、上記第1係合突起が上記第2係合突起の上記支持体側で係止されることにより、上記脱落防止部材の回動が禁じられ、上記差込凸部の上記差込孔への差し込み状態が維持されることを特徴とする支持装置。
【請求項2】
上記支持体および掛け部材が金属製で、上記脱落防止部材が樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載の支持装置。
【請求項3】
上記差込孔が、上記フック部が掛けられる掛孔の下方に配置され、
上記脱落防止部材が、上記主部の下部に回動可能に支持されて上記主部から下方に突出しており、
上記脱落防止部材は上記主部の下端に対向する肩部を有し、この肩部の上面に上記第1係合突起が形成されており、
上記主部の下端に上記第2係合突起が下方に突出して形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の支持装置。
【請求項4】
上記支持体に上記掛孔が上下方向に間隔をおいて複数形成されており、これら複数の掛孔に上記フック部が選択可能に掛けられ、上記フック部が掛けられる掛孔の下方に位置する掛孔が上記差込孔として提供されることを特徴とする請求項3に記載の支持装置。
【請求項5】
上記掛孔は左右に対をなして形成され、この対をなす掛孔が上下方向に間隔をおいて形成され、
上記主部は、上記支持対象を載せる上板部と、この上板部の左右両側から垂直に突出する一対の側板部を有し、これら一対の側板部から上記フック部がそれぞれ突出しており、さらにこれら一対の側板部の下端に上記第2係合突起がそれぞれ形成されており、
上記脱落防止部材は、上記一対の側板部の下部間に挿入されて回動可能に支持された取付部と、この取付部から下方に突出する操作部とを有し、この操作部に左右一対の上記差込凸部が形成され、この操作部の左右両側に上記一対の側板部の下端に対向する一対の上記肩部が形成され、これら一対の肩部に上記第1係合突起がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項4に記載の支持装置。
【請求項6】
上記支持対象が棚板であり、上記支持体は上下方向に延びる支柱からなり、上記掛け部材が棚受ブラケットからなり、この棚受ブラケットの主部が細長く形成されて上記棚板の一部を載せることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚板等を支持する支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
棚板(支持対象)を高さ調節可能に支持するための一般的な支持装置は、上下に間隔をおいて形成された縦スリット形状の複数の掛孔を有する支持体と、下向きのフック部を有する棚受ブラケット(掛け部材)とを備えている。このフック部を所望の高さに位置する掛孔に掛けることにより、棚受ブラケットが支持体に取り付けられる。具体的には、棚受ブラケットを支持体に向けて移動させて、フック部を掛孔に挿入する。次に、棚受ブラケットを下げて、フック部を掛孔の下端に引っ掛ける。この棚受ブラケットに棚板が載置される。
【0003】
上記フック部と上記掛孔の上端との間には間隙が形成されているため、棚受ブラケットは意図しない外力や地震の際の振動により上方に持ち上げられることがある。この時、フック部が掛孔から外れて棚受ブラケットが支持体から脱落する可能性がある。
【0004】
そこで、上記棚板ブラケットの持ち上がりを防止し、ひいては棚板ブラケットの支持体からの脱落を防止するために、脱落防止部材を用いた支持装置が種々提案されている。この脱落防止部材は棚板ブラケットに回動可能に支持されるとともに支持体に向かって突出する差込凸部を有している。棚受ブラケットが支持体に取り付けられた状態において、脱落防止部材の差込凸部を掛孔に差し込むことにより、棚受ブラケットの持ち上がりを防止している。
【0005】
脱落防止部材の差込凸部が掛孔に差し込まれた状態を維持するために、脱落防止部材の回動を規制する必要がある。
特許文献1の脱落防止部材は、ねじを介して棚受ブラケットに回動可能に支持されており、このねじを締め付けることにより脱落防止部材の回動が禁じられ、差込凸部が掛孔に差し込まれた状態が維持される。棚受けブラケットを外す際には、ねじを緩めて脱落防止部材を支持体から離れる方向に回動させることにより、差込凸部を掛孔から抜き、その状態で棚受ブラケットを持ち上げて支持体から外す。
【0006】
特許文献2では、脱落防止部材はコイルバネの力で回動付勢されており、この付勢力で差込凸部の掛孔への差し込み状態が維持されている。棚受けブラケットを外す際には、コイルバネの力に抗して脱落防止部材を回動させて、差込凸部を掛孔から抜く。
【0007】
特許文献3は、簡単に分解できる陳列棚のフレーム構造を開示しており、支柱(支持体)に下部連結棒(支持対象)を支持するために、上記と同様の掛け部材と脱落防止部材が用いられている。詳述すると、支柱には、掛け部材のフック部が掛けられる掛孔が形成されるとともに、その下方に、脱落防止部材の差込凸部が差し込まれる差込孔が形成されている。脱落防止部材の差込凸部が差込孔に差し込まれた状態は、差込凸部の円弧形状をなす上縁が掛孔の上端と摩擦係合することにより維持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭61−25842号公報
【特許文献2】国際公開WO2016/129669号公報
【特許文献3】実開平6−204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の支持装置では、脱落防止部材の差込凸部が支持体の掛孔に差し込まれた状態を維持するために、ねじを締め付け、差込状態を解除するためにねじを緩めるため、作業が煩雑である。
特許文献2の支持装置では、脱落防止部材の差込凸部の掛孔への差込状態を維持するためにコイルバネを用いるので、部品点数が増えるとともに構造が複雑となる。
特許文献3の支持装置では、差込凸部と差込孔の摩擦係合により差込状態を維持するため、その維持が不確実である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記問題点を解決するために、本発明は、(ア)掛孔と差込孔を有する支持体と、(イ)支持対象を支持する主部と、この主部から支持体に向かって突出し上記掛孔に掛けられるフック部とを有する掛け部材と、(ウ)上記掛け部材の上記主部に回動可能に支持されるとともに、上記支持体に向かって突出する差込凸部を有する脱落防止部材と、を備え、上記脱落防止部材の回動に伴い、上記差込凸部が上記差込孔に差し込まれることにより、上記掛け部材の持ち上がりが防止され、上記差込凸部が上記差込孔から離脱することにより、上記掛け部材の持ち上がりが許容される支持装置において、
上記脱落防止部材には第1係合突起が形成され、上記掛け部材には、上記第1係合突起の回動軌跡上に第2係合突起が形成されており、上記脱落防止部材への回動力付与により上記第1係合突起が上記第2係合突起を乗り越え可能であり、上記第1係合突起が上記第2係合突起の上記支持体側で係止されることにより、上記脱落防止部材の回動が禁じられ、上記差込凸部の上記差込孔への差し込み状態が維持されることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、第1、第2係合突起の係合により、脱落防止部材の差込凸部が支持体の差込孔へ差し込まれた状態を維持するので、部品点数を増やすことなく、簡単な作業で差込凸部の差込孔への差込と差込解除を行なうことができ、しかもこの差込状態を確実に維持することができ、ひいては掛け部材の支持体への装着状態を確実に維持することができる。
【0012】
好ましくは、上記支持体および掛け部材が金属製で、上記脱落防止部材が樹脂製である。
この構成によれば、脱落防止部材への回動力付与により第1係合突起が円滑に第2係合突起を乗り越えることができる。
【0013】
好ましくは、上記差込孔が、上記フック部が掛けられる掛孔の下方に配置され、上記脱落防止部材が、上記主部の下部に回動可能に支持されて上記主部から下方に突出しており、上記脱落防止部材は上記主部の下端に対向する肩部を有し、この肩部の上面に上記第1係合突起が形成されており、上記主部の下端に上記第2係合突起が下方に突出して形成されている。
この構成によれば、第1、第2係合突起を形成するための構成を簡略化することができる。
【0014】
好ましくは、上記支持体に上記掛孔が上下方向に間隔をおいて複数形成されており、これら複数の掛孔に上記フック部が選択可能に掛けられ、上記フック部が掛けられる掛孔の下方に位置する掛孔が上記差込孔として提供される。
【0015】
好ましくは、上記掛孔は左右に対をなして形成され、この対をなす掛孔が上下方向に間隔をおいて形成され、上記主部は、上記支持対象を載せる上板部と、この上板部の左右両側から垂直に突出する一対の側板部を有し、これら一対の側板部から上記フック部がそれぞれ突出しており、さらにこれら一対の側板部の下端に上記第2係合突起がそれぞれ形成されており、上記脱落防止部材は、上記一対の側板部の下部間に挿入されて回動可能に支持された取付部と、この取付部から下方に突出する操作部とを有し、この操作部に左右一対の上記差込凸部が形成され、この操作部の左右両側に上記一対の側板部の下端に対向する一対の上記肩部が形成され、これら一対の肩部に上記第1係合突起がそれぞれ形成されている。
この構成によれば、左右一対のフック部により掛け部材を支持体に安定して装着でき、左右一対の差込凸部により脱落防止部材を支持体に安定して差し込むことができ、しかも、左右一対の第1係合凸部と左右一対の第2係合凸部により、脱落防止部材の差込状態を安定して維持することができる。
【0016】
好ましくは、上記支持対象が棚板であり、上記支持体は上下方向に延びる支柱からなり、上記掛け部材が棚受ブラケットからなり、この棚受ブラケットの主部が細長く形成されて上記棚板の一部を載せる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、部品点数を増やすことなく、簡単な作業で脱落防止部材の差込凸部を差込孔へ差し込んだり、差込解除を行なうことができ、しかもこの差込状態を確実に維持することができ、ひいては掛け部材の支持体への装着状態を確実に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態をなす棚板支持用の一対の支持装置を、非ロック状態で示す斜視図である。
【
図2】同支持装置をロック状態で示す斜視図である。
【
図3】(A)は同支持装置の棚受ブラケットと脱落防止部材を示す側面図であり、(B)は背面図である。
【
図4】(A)はロック状態の同支持装置の要部を表側から見た拡大斜視図、(B)は裏側から見た拡大斜視図である。
【
図5】(A)は同支持装置の要部を非ロック状態で示す側面図であり、(B)は同支持装置の要部をロック状態で示す側面図である。
【
図6】(A)は
図5(A)の円内部分をさらに拡大して示す側面図であり、(B)は
図5(B)の円内部分をさらに拡大して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1、
図2に示すように、左右一対の支持装置1は、棚板S(支持対象)を建物の壁、家具等の壁板、パネル等(以下、総称して壁と言う)に高さ調節可能に設置するためのものである。各支持装置1は、支柱10(支持体)と、支柱10に着脱可能に取り付けられた棚受ブラケット20(掛け部材)と、棚受ブラケット20に回動可能に支持された脱落防止部材30とを備えている。
【0020】
上記支柱10は金属からなり、基部11と一対の脚部12を有して横断面コ字形をなしている。支柱10は、一対の脚部12を壁に当て、壁と離間対向する基部11に形成された固定孔13から壁に向かって木ネジ(図示しない)をねじ込むことにより、壁に固定されている。
支柱10の基部11には、左右一対の掛孔15が、上下方向に等間隔をおいて多数形成されている。掛孔15は縦に延びるスリット形状をなしている。
【0021】
図3に示すように、棚受ブラケット20は1枚の金属板を所定形状に打ち抜き、折り曲げることにより構成され、その主部20Aは、細長い上板部21と、この上板部21の左右両側縁から上板部21と直角をなして下方に延びる一対の側板部22とを有している。
【0022】
棚受ブラケット20の側板部22は、支柱10側で幅広(上下方向の寸法が大)をなし先端に向かって徐々に幅が狭くなっている。この側板部22の支柱10側の縁は、後述の作用をなす当接縁23として提供される。この当接縁23は上下方向に一直線をなして延びている。
本実施形態では、上板部21と当接縁23のなす角度は90°より若干大きく、これにより後述のように棚受ブラケット20を支柱10に装着した状態で、上板部21は支柱10に向かって下るように緩やかに傾斜している。
【0023】
上記一対の側板部22には、当接縁23から支柱10に向かって突出する複数例えば3つの板形状のフック部24が、上下に等間隔をおいて形成されている。フック部24は側板部22と一体をなしその延長平面上に配置されている。
左右一対のフック部24の間隔は、支柱10の左右一対の掛孔15の間隔と等しい。フック部24の上下方向の間隔は上記支柱10の掛孔15の上下方向の間隔と等しい。
【0024】
フック部24は下向きの鉤形状をなし、頭部24aと、この頭部24aと側板部22を連ねる首部24bとを有している、頭部24aは首部24bから下方に突出しており、この頭部24aと当接縁23との間に係合溝25が形成されている。
頭部24aの縦寸法(上下方向の寸法)は支柱10の掛孔15の縦寸法より若干小さい。首部24bの縦寸法は掛孔15の縦寸法より小さい。
【0025】
図3に示すように、上記脱落防止部材30は、上記棚受ブラケット20の主部20Aにおいて支柱10の近傍部の下部に、回動可能に支持されている。脱落防止部材30はPP等の樹脂の射出成形品からなり、操作部31と、この操作部31から上方に突出する一対の取付片部32(取付部)と、操作部31から支柱10に向かって突出する一対の縦長の差込凸部33とを有している。
【0026】
上記脱落防止部材30の一対の取付片部32は、上記一対の側板部22間に挿入され、これら側板部22に軸34を介して支持されている。この軸34は、支柱10と直交して左右方向に水平に延びている。これにより脱落防止部材30は、差込凸部33が支柱10に対して接近、離間するように回動可能である。
脱落防止部材30の一対の差込凸部33は上記支柱10の一対の掛孔15に差込可能であり、これら掛孔15より若干小さい断面積を有している。
【0027】
上記脱落防止部材30の操作部31は棚受ブラケット20の一対の側板部22から下方に突出しており、これら一対の側板部22の下端とそれぞれ離間対向する左右一対の肩部31aを有している。
【0028】
操作部31はさらに、肩部31aと連なる指掛け鍔部31bを有している。この指掛け鍔部31bは
図3(B)に示すようにU字形をなし、操作部31の左右側縁と下縁に沿って形成されている。
【0029】
図3、
図5、
図6に示すように、操作部31の左右の肩部31aの上面には、第1係合突起39が形成されており、左右の側板部22の下端には第2係合突起29が形成されている。第1係合突起39と第2係合突起29は、支柱10側と支柱10の反対側がなだらかな傾斜をなすように丸められている。
【0030】
上記第2係合突起29は上記第1係合突起39の回動軌跡上にあり、第1係合突起39の回動を妨げる。ただし、脱落防止部材30に所定以上の回動力を加えて回動させることにより、第1係合突起39は脱落防止部材30の弾性変形等を伴って第2係合突起29を乗り越えることができる。
【0031】
上記構成をなす支持装置1の作用を説明する。棚板Sを所望の高さに設置する場合、この所望高さに棚受ブラケット20の上板部21が位置するように、棚受ブラケット20を一対の支柱10に取り付ける。詳述すると、棚受ブラケット20を支柱10に向かって移動させ、3対のフック部24を支柱10の3対の掛孔15に通す。その後で、棚受ブラケット20を下方に移動させることにより、棚受ブラケット20のフック部24の首部24bが掛孔15の下端に当たり、当接縁23が支柱10の基部11の表側の面に当たり、係合溝25に掛孔15の下端部が入り込む。このようにしてフック部24が掛孔15に掛けられ、棚受ブラケット20が支柱10に取り付けられる。
【0032】
上記棚受ブラケット20の支柱10への取り付け工程において、脱落防止部材30は
図1、
図5(A)、
図6(A)に示すように支柱10から離れた後退位置にある。この脱落防止部材30の後退位置は上記第1係合突起39が第2係合突起29において支柱10とは反対側に当たることにより維持される。
【0033】
上記棚受ブラケット20の支柱10への取付状態において、フック部24の首部24bと支柱10の掛孔15の上端との間には間隙が形成されており、棚受ブラケット20の持ち上がりを許容している。棚受ブラケット20が持ち上がるとフック部24が掛孔15から抜け、棚受ブラケット20が支柱10から脱落する可能性がある。この状態を、棚受ブラケット20の非ロック状態と称す。
【0034】
上記棚受ブラケット20の支柱10への取り付け後に、脱落防止部材30の操作部31を支柱10に向かって押し込む。すると、脱落防止部材30が支柱10に向かって回動し、一対の差込凸部33が、一対の掛孔15に差し込まれる。これら一対の掛孔15は、上記フック部24と係合関係にある最も下の掛孔15の直ぐ下に位置しており、特許請求の範囲の差込孔としての役割を担う。
【0035】
上記差込凸部33が掛孔15に差し込まれた状態で棚受ブラケット20に持ち上がり方向の力が作用しても、差込凸部33の上縁が掛孔15の上端に係合するため、棚受ブラケット20の持ち上がりが制限される。そのため、フック部24が掛孔15から離脱することがなく、棚受ブラケット20の支柱10からの脱落が防止される。以下、この状態を棚受ブラケット20のロック状態と称す。
【0036】
上記脱落防止部材30を支柱10に向かって押し込む際、第1係合突起39が第1係合突起29を乗り越え、第1係合突起29の支柱10側に達する。そのため、脱落防止部材30は、支柱10から離れる方向に回動するのを禁じられ、差込凸部33が掛孔15に係合した状態を維持され、ひいては棚受ブラケット20のロック状態が維持される。
【0037】
上記のようにして一対の支柱10に取り付けられた一対の棚受ブラケット20には、棚板Sが載せられる。この棚板Sは棚受ブラケット20の上板部21に固定してもよい。なお、棚板Sを予め固定した一対の棚受ブラケット20を、一対の支柱10に取り付けるようにしてもよい。
【0038】
棚受ブラケット20を支柱10から取り外す場合には、脱落防止部材30の操作部31の指掛け用鍔部31bに指を掛け、手前に引く。これにより脱落防止部材30は支柱10から離れるように回動し、差込凸部33が掛孔15から抜ける。この回動の過程で、第1係合突起39が第2係合突起29を乗り越えて第2係合突起29の支柱10とは反対側に達する。次に、棚受ブラケット20を持ち上げて支柱10から離れる方向に移動させることにより、フック部24が掛孔15から抜ける。
【0039】
本発明は、前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変をなすことができる。
上記実施形態では、掛け部材の主部が上板部と一対の側板部により構成されているが、1枚の側板部だけで構成されていてもよい。この場合、側板部の上縁に支持対象が載せられる。フック部は1つずつ上下に間隔をおいて形成され、掛孔も1つずつ上下に間隔をおいて形成される。また、脱落防止部材の差込凸部も1つである。
【0040】
上記実施形態では、上下に間隔をおいて配置された掛孔の1つが脱落防止部材の差込凸部のための差込孔を兼用したが、差込孔は掛孔とは別に形成してもよい。支持対象の高さ調節が不要である場合には、掛孔は1つまたは左右一対だけでもよい。
【0041】
共通の孔に、掛け部材のフック部が掛けられるとともに脱落防止部材の差込凸部が差し込まれるようにしてもよい。この孔は、掛孔と差込孔の両方の役割を担う。
【0042】
支持体としては、上記実施形態のように壁に固定される支柱の他、スタンドアローンの支柱であってもよく、キャビネット、壁、パネルであってもよい。
上記実施形態では掛け部材の主部は支持対象を載せているが、主部と支持対象を固定してもよいし、一体化してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、棚板の支持装置等に適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
S 棚板(支持対象)
1 支持装置
10 支柱(支持体)
15 掛孔、差込孔
20 棚受ブラケット(掛け部材)
20A 主部
21 上板部
22 側板部
24 フック部
29 第2係合突起
30 脱落防止部材
31 取付片部(取付部)
31a 肩部
32 操作部
33 差込凸部
39 第1係合突起