(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の振動腕部と、前記一対の振動腕部の基端同士を接続する基部と、前記基部に連結され且つ前記一対の振動腕部の幅方向の外方に配置された一対の支持腕部と、を備えた圧電振動片であって、
前記振動腕部の長手方向と平行かつ前記一対の振動腕部の幅方向と直交する断面視で、前記一対の振動腕部の第1叉部と、前記支持腕部と前記基部との第2叉部との少なくとも一方には、前記振動腕部の先端側に突出する突出部が形成され、
前記断面視で、前記突出部と反対側の部分には、段部が形成され、
前記断面視で、前記段部は、
前記基部の厚み方向の内側ほど前記突出部の側に位置するように前記基部の一面に対して傾斜する第1傾斜部と、
前記基部の厚み方向の内側ほど前記突出部と反対側に位置するように前記基部の他面に対して傾斜する第2傾斜部と、
前記第1傾斜部と前記第2傾斜部とを連結する連結部と、
を備え、
前記断面視で、前記第1傾斜部と前記連結部との交点を第1変曲点とし、前記第2傾斜部と前記連結部との交点を第2変曲点としたとき、
前記第1変曲点及び前記第2変曲点は、前記基部の厚み方向で前記突出部と重なることを特徴とする圧電振動片。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、圧電振動子の一例として、セラミックパッケージタイプの表面実装型振動子を挙げて説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0019】
以下の説明においては、XYZ座標系を設定し、このXYZ座標系を参照しつつ各部材の位置関係を説明する。この際、圧電振動片の主面と垂直な方向(すなわち、圧電振動片の厚み方向)を「Z軸方向」、振動腕部の長手方向(すなわち、圧電振動片の長手方向)を「Y軸方向」、Y軸方向及びZ軸方向と直交する方向(すなわち、圧電振動片の幅方向)を「X軸方向」とする。
【0020】
[圧電振動子]
図1に示すように、圧電振動子1は、内部に気密封止されたキャビティC(
図2参照)を有するパッケージ2と、キャビティC内に収容された圧電振動片3(
図2参照)と、を備えている。
【0021】
図2に示すように、圧電振動子1は、平面視で直方形状をなしている。本実施形態では、圧電振動子1の長手方向、幅方向及び厚み方向は、圧電振動片3の長手方向(Y軸方向)、幅方向(X軸方向)及び厚み方向(Z軸方向)と一致している。
【0022】
[パッケージ]
図3に示すように、パッケージ2は、パッケージ本体5と、パッケージ本体5に接合されるとともに、パッケージ本体5との間にキャビティCを形成する封口板6と、を備えている。
パッケージ本体5は、プレート状の第1ベース基板10と、第1ベース基板10に接合された枠状の第2ベース基板11と、第2ベース基板11に接合された枠状の第3ベース基板12と、第3ベース基板12に接合された枠状のシールリング13と、を備えている。
【0023】
図4に示すように、第1ベース基板10、第2ベース基板11及び第3ベース基板12の四隅には、平面視で1/4円弧状の切欠部15が形成されている。切欠部15は、第1ベース基板10、第2ベース基板11及び第3ベース基板12の厚み方向の全体に亘って形成されている。例えば、第1ベース基板10、第2ベース基板11及び第3ベース基板12は、ウエハ状のセラミック基板を3枚重ねて接合した後、各セラミック基板を貫通する複数のスルーホールを行列状に形成し、その後、各スルーホールを基準としながら各セラミック基板を格子状に切断することで作製される。切欠部15は、スルーホールが4分割されることで形成される。
【0024】
例えば、セラミックス基板の形成材料としては、アルミナ製のHTCC(High Temperature Co−Fired Ceramic)、ガラスセラミックス製のLTCC(Low Temperature Co−Fired Ceramic)等が挙げられる。
【0025】
図3に示すように、第1ベース基板10の外形は、パッケージ本体5の最外形と実質的に同じである。第1ベース基板10の上面10a(+Z軸方向側の面)は、キャビティCの底部を区画している。
【0026】
図4に示すように、第2ベース基板11の外形は、第1ベース基板10の外形と実質的に同じである。第2ベース基板11は、厚み方向に開口する枠状をなしている。第2ベース基板11の内周面11aは、平面視で四隅が丸みを帯びた形状をなしている。第2ベース基板11の内周面11aは、キャビティC(
図3参照)の側部の一部(下部)を区画している。
【0027】
図3に示すように、第2ベース基板11は、第1ベース基板10の上面10aに配置されている。第2ベース基板11は、第1ベース基板10と一体化されている。例えば、第2ベース基板11は、第1ベース基板10に焼結などで結合されている。
【0028】
図4に示すように、第2ベース基板11には、幅方向の内方に突出する実装部14A,14Bが設けられている。実装部14A,14Bは、第2ベース基板11の長手方向の中央に位置している。
【0029】
第3ベース基板12の外形は、第2ベース基板11の外形と実質的に同じである。第3ベース基板12は、厚み方向に開口する枠状をなしている。第3ベース基板12の内周面12aは、キャビティC(
図3参照)の側部の一部(上下中央部)を区画している。
【0030】
図3に示すように、第3ベース基板12は、第2ベース基板11の上面に配置されている。第3ベース基板12は、第2ベース基板11と一体化されている。例えば、第3ベース基板12は、第2ベース基板11に焼結などで結合されている。
【0031】
図4に示すように、シールリング13は、導電性を有する。シールリング13の外形は、第3ベース基板12の外形よりも小さい。シールリング13は、厚み方向に開口する枠状をなしている。シールリング13の内周面13aは、キャビティC(
図3参照)の側部の一部(上部)を区画している。
【0032】
図3に示すように、シールリング13は、第3ベース基板12の上面に接合されている。例えば、シールリング13は、銀ロウ等のロウ材又は半田材等による焼付けによって、第3ベース基板12に接合されている。なお、シールリング13は、第3ベース基板12の上面に形成された金属接合層に溶着等によって接合されていてもよい。例えば、金属接合層の形成方法は、電解メッキ、無電解メッキ、蒸着及びスパッタリング等が挙げられる。
【0033】
例えば、シールリング13の形成材料としては、ニッケル基合金等が挙げられる。具体的に、シールリング13の形成材料は、コバール、エリンバー、インバー、42−アロイ等から選択すれば良い。特に、シールリング13の形成材料は、第1ベース基板10及び第2ベース基板11の形成材料の熱膨張係数に近い材料を選択することが好ましい。例えば、第1ベース基板10及び第2ベース基板11の形成材料を熱膨張係数6.8×10
−6/℃のアルミナとした場合には、シールリング13の形成材料は、熱膨張係数5.2×10
−6/℃のコバール、又は熱膨張係数4.5〜6.5×10
−6/℃の42−アロイとすることが好ましい。
【0034】
封口板6は、導電性を有する。封口板6の外形は、シールリング13の外形と実質的に同じである。封口板6の下面6a(−Z軸方向側の面)は、キャビティCの上部を区画している。
【0035】
封口板6は、シールリング13の上端に接合されている。例えば、封口板6の接合方法としては、ローラ電極を接触させることによるシーム溶接、レーザー溶接、超音波溶接等が挙げられる。なお、封口板6とシールリング13とをより確実に接合する観点からは、互いになじみの良いニッケル及び金等の接合層を、封口板6の下面6aの外周部(すなわち、シールリング13との接合面)と、シールリング13の上端(すなわち、封口板6との接合面)とのそれぞれに形成することが好ましい。
【0036】
キャビティCは、第1ベース基板10の上面10a、第2ベース基板11の内周面11a、第3ベース基板12の内周面12a、シールリング13の内周面13a及び封口板6の下面6aによって区画されている。すなわち、圧電振動子1の内部は、第1ベース基板10の上面、第2ベース基板11の内周面11a、第3ベース基板12の内周面12a、シールリング13の内周面13a及び封口板6の下面6aによって気密に封止されている。
【0037】
図4に示すように、第2ベース基板11の実装部14A,14Bの上面には、圧電振動片3との接続電極である一対の電極パッド20A,20Bがそれぞれ形成されている。一方、第1ベース基板10の下面には、長手方向に離反した一対の外部電極21A,21Bが形成されている。例えば、電極パッド20A,20B及び外部電極21A,21Bは、蒸着、スパッタリング等で形成された単一金属による単層膜、又は異なる金属が積層された積層膜である。電極パッド20A,20B及び外部電極21A,21Bは、不図示の配線を介して互いにそれぞれ導通している。
【0038】
[圧電振動片]
図5に示すように、圧電振動片3は、圧電板30と、圧電板30に形成された不図示の電極と、を備えている。
【0039】
圧電板30は、圧電材料で形成されている。本実施形態において、圧電板30は、水晶で形成されている。なお、圧電板30は、タンタル酸リチウム及びニオブ酸リチウム等の圧電材料で形成されていてもよい。
【0040】
圧電板30は、一対の振動腕部31,32(第1振動腕部31及び第2振動腕部32)と、一対の振動腕部31,32の基端同士を接続する基部35と、基部35に連結され且つ一対の振動腕部31,32の幅方向の外方に配置された一対の支持腕部33,34(第1支持腕部33及び第2支持腕部34)と、を備えている。Z軸方向から見て、圧電板30は、Y軸方向に沿う中心軸Oを対称軸として、エッチング残りを除き、実質的に線対称形状をなしている。
【0041】
[振動腕部]
振動腕部31,32は、Y軸方向に長手を有する。振動腕部31,32は、基部35から+Y軸方向に向けて延出している。振動腕部31,32は、X軸方向に並んで平行に配置されている。振動腕部31,32は、基部35を固定端とし、先端を自由端として振動する。振動腕部31,32は、基部35の側に位置する本体部31A,32Aと、振動腕部31,32の先端側に位置する錘部31B,32Bと、を備えている。
【0042】
本体部31A,32Aには、溝部37が形成されている。溝部37は、本体部31A,32Aの両主面(厚み方向の両面)において、厚み方向内側に凹んでいる。溝部37は、本体部31A,32Aの長手方向に亘って延在している。
【0043】
なお、本体部31A,32Aには、所定の駆動電圧が印加されたときに、振動腕部31,32を幅方向に振動させる不図示の励振電極が設けられている。
【0044】
Z軸方向から見て、錘部31B,32Bは、Y軸方向に長手を有する長方形形状をなしている。振動腕部31,32の厚み方向から見て、錘部31B,32Bの幅は、振動腕部31,32の長手方向で一定である。
【0045】
X軸方向において、錘部31B,32Bの幅は、本体部31A,32Aの幅よりも広い。これにより、振動腕部31,32の先端の質量を増加させるとともに、振動時の慣性モーメントを増大させることができる。そのため、錘部31B,32Bを有しない圧電振動片と比較して、振動腕部31,32を短縮することができる。
【0046】
図示はしないが、錘部31B,32Bには、励振電極と一体に形成された重り金属膜が形成されている。重り金属膜は、振動腕部31,32の先端の質量を増加させる。重り金属膜は、振動腕部31,32を短縮したときに、共振周波数の上昇を抑制する。
【0047】
[支持腕部]
Z軸方向から見て、支持腕部33,34は、L字状をなしている。支持腕部33,34は、基部35及び振動腕部31,32(本体部31A,32A)の幅方向の外方に配置されている。具体的に、支持腕部33,34は、基部35における幅方向の両側面から幅方向の外方に向けて突出した後、+Y軸方向に向けて突出し、Y軸方向に沿って振動腕部31,32と平行に延在している。
【0048】
支持腕部33,34には、圧電振動片3をパッケージ本体5(
図2参照)に実装する際のマウント部33a,34aがそれぞれ設けられている。マウント部33a,34aは、支持腕部33,34の先端寄りに配置されている。
【0049】
図5(
図2)では便宜上、マウント部33a,34aの領域を仮想線(二点鎖線)で区画している。図示はしないが、マウント部33a,34aには、2系統のマウント電極がそれぞれ設けられている。2系統のマウント電極は、2系統の引き回し電極によって2系統の励振電極にそれぞれ導通している。
【0050】
[エッチング残り]
圧電振動片3の外周面には、水晶のエッチング異方性により、エッチング残りが形成されている。
図5(
図2)では便宜上、一対の振動腕部31,32の叉部40(第1叉部)に形成されたエッチング残り40E、及び支持腕部33,34と基部35との叉部41,42(第2叉部)に形成されたエッチング残り41E,42Eを誇張して図示している。Z軸方向から見て、エッチング残り40E,41E,42Eの外形は、−X軸方向側ほど+Y軸方向側に位置するように傾斜している。
【0051】
振動腕部31,32の長手方向と平行かつ一対の振動腕部31,32の幅方向と直交する断面視(以下、単に「断面視」ということがある。)で、第1叉部40及び第2叉部41,42には、振動腕部31,32の先端側に突出する突出部45(
図6参照)が形成されている。以下、第2叉部41(具体的には、第1支持腕部33と基部35との叉部)の断面視について説明する。なお、第1叉部40及び第2叉部42の断面視については、第2叉部41の断面視と同様の形状を有するため、その説明を省略する。
【0052】
<突出部(第2突出部)>
図6は、第2叉部41の断面視を示す図である。
図6に示すように、第2叉部41の断面視で、突出部45(第2突出部)は、+Y軸方向側に頂角を有する三角形状をなしている。突出部45は、第2叉部41の厚み方向(基部35の厚み方向)の内側ほど+Y軸方向側に位置するように第2叉部41の厚み方向の一面に対して傾斜する傾斜面45aを有している。突出部45は、斜辺として実質的に同じ長さの傾斜面45aを有する二等辺三角形状をなしている。
【0053】
突出部45は、第2叉部41の+Y軸方向側の面に配置されている。第2叉部41の厚み方向(Z軸方向)の中央に配置されている。第2叉部41の断面視で、突出部45は、第2叉部41の厚み方向の中心線J1を対称軸として線対称形状をなしている。
【0054】
<段部>
第2叉部41の断面視で、突出部45と反対側の部分(すなわち、第2叉部41の−Y軸方向側の部分)には、段部46(第2段部)が形成されている。第2叉部41の断面視において、段部46の側の傾斜に段差をつけることで、突出部45と反対側の部分のバランスを取ることができるため、断面全体のバランスを取ることができる。第2叉部41の断面視で、段部46は、第2叉部41の厚み方向の内側ほど突出部45の側に位置するように第2叉部41の一面41aに対して傾斜する第1傾斜部46aと、第2叉部41の厚み方向の内側ほど突出部45と反対側に位置するように第2叉部41の他面41bに対して傾斜する第2傾斜部46bと、第1傾斜部46aと第2傾斜部46bとを連結する連結部46cと、を備えている。
【0055】
具体的に、第1傾斜部46aは、第2叉部41の一面41aの−Y軸方向端から−Z軸方向側ほど+Y軸方向側に位置するように傾斜する直線状をなしている。第1傾斜部46aの−Z軸方向端は、中心軸J1よりも+Z軸方向側に位置している。
【0056】
第2傾斜部46bは、第2叉部41の他面41bの−Y軸方向端から+Z軸方向側ほど−Y軸方向側に位置するように傾斜する直線状をなしている。第2傾斜部46bの+Z軸方向端は、中心軸J1よりも−Z軸方向側に位置している。なお、Y軸方向において、第2叉部41の他面41bの−Y軸方向端は、第2叉部41の一面41aの−Y軸方向端と実質的に同じ位置に配置されている。
【0057】
連結部46cは、第1傾斜部46aの−Z軸方向端と第2傾斜部46bの+Z軸方向端とを連結している。連結部46cは、第1傾斜部46aの−Z軸方向端から−Z軸方向側ほど−Y軸方向側に位置するように傾斜する直線状をなして延びて第2傾斜部46aの+Z軸方向端に至っている。
【0058】
第2叉部41の断面視で、第2叉部41の他面41bの−Y軸方向端と第2叉部41の一面41aの−Y軸方向端とを通る仮想線をJ2とする。第2叉部41の断面視で、段部46の外形は、中心軸J1と仮想線J2の交点Pcを中心として、回転対称(2回対称)の形状をなしている。
【0059】
第2叉部41の断面視で、第1傾斜部46aと連結部46cとの交点を第1変曲点P1とし、第2傾斜部46bと連結部46cとの交点を第2変曲点P2とする。第1変曲点P1及び第2変曲点P2は、第2叉部41の厚み方向で突出部45と重なっている。具体的に、第1変曲点P1は、Z軸方向において、突出部45の傾斜面45aの+Z軸方向端Q1と中心軸J1との間に位置している。一方、第2変曲点P2は、突出部の傾斜面45aの−Z軸方向端Q2と中心軸J1との間に位置している。
【0060】
[圧電振動片の接続状態]
図2に示すように、圧電振動片3は、気密封止されたパッケージ2のキャビティC内に収容されている。支持腕部33,34は、実装部14A,14Bに設けられた2つの電極パッド20A,20Bにそれぞれ導電性接着剤を介して電気的及び機械的に接合されている。振動腕部31,32は、基部35を介して支持されている。図示はしないが、2系統のマウント電極は、それぞれ電極パッド20A,20Bに電気的に接続されている。
【0061】
なお、支持腕部33,34と電極パッド20A,20Bとを接合する導電性接合材としては、金属バンプを用いてもよい。金属バンプは、接合初期の段階では流動性を有し、かつ、接合後期の段階では固化して接合強度を発現する性質を有する。上記の導電性接着剤も、金属バンプと共通の性質を有する。
【0062】
図示はしないが、外部電極21A,21B(
図3参照)に所定の電圧が印加されると、本体部31A,32Aにそれぞれ形成された2系統の励振電極に電流が流れ、2系統の励振電極間に電界が発生する。例えば、振動腕部31,32は、2系統の励振電極間に発生する電界による逆圧電効果によって、互いに近接又は離反する方向(X軸方向)に所定の共振周波数で振動する。例えば、振動腕部31,32の振動は、時刻源、制御信号のタイミング源、又はリファレンス信号源等に用いることができる。
【0063】
[圧電振動片の製造方法]
次に、本実施形態の圧電振動片3の製造方法の一例について説明する。
先ず、ウエハを準備する。例えば、水晶のランバート原石をスライスして一定の厚みのウエハとする。
次に、フォトリソグラフィ技術によってウエハの厚み方向の両面に、圧電板30(
図5参照)及びフレーム部(不図示)の外形形状に対応する形状のマスク(以下「外形マスク」という。)を形成する。次に、ウエハをウェットエッチング加工する。これにより、外形マスクにマスクされていない領域を選択的に除去して、圧電板30(
図5参照)及びフレーム部(不図示)の外形形状を形成する(外形形成工程)。
【0064】
図7は、外形形成工程において、ウエハ50の厚み方向の両面に形成する外形マスク51,52の配置の一例を示す、
図6に相当する断面図である。すなわち、
図7は、ウエハ50のうち、第2叉部41(
図6参照)の形成前の部分を示す断面図である。なお、
図7では便宜上、ウエハ50の断面ハッチを省略している。
【0065】
図7に示すように、Y軸方向において、ウエハ50の一面50aに形成する外形マスク51(以下「第1マスク51」という。)の+Y軸方向端は、ウエハ50の他面50bに形成する外形マスク(以下「第2マスク52」という。)の+Y軸方向端と実質的に同じ位置とする。一方、Y軸方向において、第1マスク51の−Y軸方向端は、第2マスク52の−Y軸方向端よりも+Y軸方向側の位置とする。
【0066】
図7の断面視で、第1マスク51の−Y軸方向端と第2マスク52の−Y軸方向端とのY軸方向のずれをL、ウエハ50の厚みをt、カット角をKとする。ここで、カット角Kは、ウエハ50から圧電板30を切り出すときの結晶軸に対する角度を意味する。ずれL、ウエハ50の厚み、カット角Kは、
0<L<2×t×tanK
を満たしている。
【0067】
仮に、L=0の場合、既存設計と同じとなる。一方、L≧2×t×tanKの場合、第2叉部の断面形状が第2叉部の厚み方向でアンバランスな形状となる可能性がある。これに対し、本実施形態によれば、0<L<2×t×tanKを満たすことで、第2叉部41(
図6参照)の断面形状を、第2叉部41の厚み方向でバランスの良い形状とすることができる。
【0068】
例えば、ウェットエッチング加工は、外形マスク51,52が形成されたウエハ50を薬液に浸漬して行う。これにより、ウェットエッチング加工を、ウエハ50の両面50a,50bから同時に進行させることができる。
【0069】
図7の断面視で、Y軸方向において、第1マスク51の+Y軸方向端は、第2マスク52の+Y軸方向端と実質的に同じ位置である。そのため、
図6に示すように、エッチング後の断面(第2叉部41の+Y軸方向側の部分、突出部45)は、中心線J1を対称軸として線対称形状となる。
【0070】
一方、
図7の断面視で、Y軸方向において、第1マスク51の−Y軸方向端は、第2マスク52の−Y軸方向端よりも+Y軸方向側の位置である。ここで、ウエハ50は、水晶のエッチング異方性により、−Y軸方向側においては、−Z軸方向側の方が+Z軸方向側よりもエッチングされやすい性質を有している。
【0071】
本実施形態では、エッチングがされやすい側の第2マスク52を、エッチングがされにくい側の第1マスク51よりも−Y軸方向側に延出させている。これにより、ウエハ50の−Y軸方向側において、+Z軸方向側の部分と−Z軸方向側の部分とのエッチング速度がバランスよくなるよう調整している。
【0072】
ウエハ50の−Y軸方向側において、+Z軸方向側の部分は、カット角Kをなす仮想線Vに沿うように傾斜する第1傾斜部46a(
図6参照)となる。一方、ウエハ50の−Y軸方向側において、−Z軸方向側の部分は、カット角Kをなす仮想線Vに沿うように傾斜する第2傾斜部46b(
図6参照)となる。
図6に示すように、ウェットエッチング加工は、連結部46c(すなわち、段部46の変曲点P1,P2)を残した状態で終了する。
【0073】
これにより、エッチング後の断面(第2叉部41の−Y軸方向側の部分)は、交点Pcを中心とした2回対称の形状をなす段部46となる。なお、エッチング時間を調整することにより、第1変曲点P1を、Z軸方向において、突出部45の傾斜面45aの+Z軸方向端Q1と中心軸J1との間に位置させる。一方、第2変曲点P2を、突出部の傾斜面45aの−Z軸方向端Q2と中心軸J1との間に位置させる。
【0074】
そして、外形形成工程の後、電極形成工程、重り金属膜形成工程、周波数調整工程、個片化工程を順に行う。これにより、ウエハ50から圧電振動片3を製造することができる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態に係る圧電振動片3及び圧電振動子1は、一対の振動腕部31,32と、一対の振動腕部31,32の基端同士を接続する基部35と、を備え、振動腕部31,32の長手方向と平行かつ一対の振動腕部31,32の幅方向と直交する断面視で、一対の振動腕部31,32の叉部40には、振動腕部31,32の先端側に突出する突出部45が形成され、前記断面視で、突出部45と反対側の部分には、段部46が形成され、前記断面視で、段部46は、基部35の厚み方向の内側ほど突出部45の側に位置するように基部35の一面に対して傾斜する第1傾斜部46aと、基部35の厚み方向の内側ほど突出部45と反対側に位置するように基部35の他面に対して傾斜する第2傾斜部46bと、第1傾斜部46aと第2傾斜部46bとを連結する連結部46cと、を備えている。
【0076】
本実施形態によれば、前記断面視で、突出部45と反対側の部分には段部46が形成されていることで、一対の振動腕部31,32の叉部40の断面形状を、圧電振動片3の厚み方向でバランスの良い形状とすることができる。したがって、振動漏れの発生及び耐衝撃性の低下を抑制することができる。
ところで、水晶等の圧電材料からなるウエハ50をウェットエッチング加工すると、前記断面視で突出部45と反対側の部分に、エッチング残りとして、圧電材料の自然結晶面からなる異形部が形成される場合がある。異形部の表面は、ウエハ50の主面50a,5bに対して傾斜した面となる。したがって、本実施形態によれば、圧電材料の性質(エッチング異方性)を利用して第1傾斜部46a及び第2傾斜部46b(すなわち、段部46の傾斜)を形成することができるため、製造効率を向上する上で好適である。
【0077】
また、本実施形態では、前記断面視で、第1傾斜部46aと連結部46cとの交点を第1変曲点P1とし、第2傾斜部46bと連結部46cとの交点を第2変曲点P2としたとき、第1変曲点P1及び第2変曲点P2は、基部35の厚み方向で突出部45と重なっている。
【0078】
本実施形態によれば、前記断面視で、第1変曲点P1及び第2変曲点P2が基部35の厚み方向で突出部45とずれている場合と比較して、一対の振動腕部31,32の叉部40の断面形状を、圧電振動片3の厚み方向でより一層バランスの良い形状とすることができる。したがって、振動漏れの発生及び耐衝撃性の低下をより確実に抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態では、基部35に連結され且つ一対の振動腕部31,32の幅方向の外方に配置された一対の支持腕部33,34を更に備え、前記断面視で、支持腕部33,34と基部35との第2叉部41,42には、振動腕部31,32の先端側に突出する第2突出部45が形成され、前記断面視で、第2突出部45と反対側の部分には、第2段部46が形成されている。
【0080】
本実施形態によれば、前記断面視で、第2突出部45と反対側の部分には第2段部46が形成されていることで、第2叉部41,42の断面形状を、圧電振動片3の厚み方向でバランスの良い形状とすることができる。したがって、サイドアーム型の圧電振動片3において、振動漏れの発生及び耐衝撃性の低下を抑制することができる。特に、サイドアーム型の圧電振動片3は、支持腕部33,34を備えていない振動片よりも叉部40,41,42の箇所が多いため、振動漏れの発生及び耐衝撃性の低下を抑制する上で好適である。
【0081】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態において、圧電振動片3は、支持腕部33,34が振動腕部31,32の外側に配置された、いわゆるサイドアーム型の振動片であった。しかしながらこれに限定されず、圧電振動片は、例えば1つの支持腕部が一対の振動腕部の間に配置された、いわゆるセンターアーム型の振動片であってもよいし、支持腕部を備えていない振動片であってもよい。また、振動腕部には、溝部が形成されていなくてもよい。
【0082】
また、上記実施形態において、前記断面視で、第1叉部40及び第2叉部41,42のそれぞれに突出部45が形成されていた。しかしながらこれに限らず、前記断面視で、第1叉部40又は第2叉部41,42の何れかに突出部45が形成されていてもよい。すなわち、前記断面視で、第1叉部40及び第2叉部41,42の少なくとも一方に突出部45が形成されていればよい。
【0083】
また、上記実施形態において、前記断面視で、第1変曲点P1及び第2変曲点P2は、基部35の厚み方向で突出部45と重なっていた。しかしながらこれに限定されず、前記断面視で、第1変曲点P1及び第2変曲点P2が基部35の厚み方向で突出部45とずれていてもよい。
【0084】
また、上記実施形態において、第2叉部41の断面視で、Y軸方向において、第2叉部41の他面41bの−Y軸方向端は、第2叉部41の一面41aの−Y軸方向端と実質的に同じ位置に配置されていた(
図6参照)。しかしながらこれに限定されず、Y軸方向において、第2叉部41の他面41bの−Y軸方向端は、第2叉部41の一面41aの−Y軸方向端に対しずれていてもよい。
また、上記実施形態において、第2叉部41の断面視で、連結部46cは、−Z軸方向側ほど−Y軸方向側に位置するように傾斜する直線状をなしていた(
図6参照)。しかしながらこれに限定されず、第2叉部の断面視で、連結部は、中心軸J1に沿う直線状をなしていてもよい。
以下の変形例において、上記実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、
図8〜
図12において、符号145,245,345,445,545は突出部、146c,246c,346c,446c,546cは連結部をそれぞれ示す。
【0085】
[第1変形例]
例えば、
図8に示すように、第2叉部141の断面視で、Y軸方向において、第2叉部141の他面141bの−Y軸方向端は、第2叉部141の一面141aの−Y軸方向端よりも−Y軸方向側に位置していてもよい。本変形例では、仮想線J2は、−Z軸方向側ほど−Y軸方向側に位置するように傾斜している。例えば、本変形例では、外形形成工程において、第1マスク51の−Y軸方向端と第2マスク52の−Y軸方向端とのY軸方向のずれL(
図7参照)を、上記実施形態の寸法よりも大きくすることにより、段部146の外形とすることができる。
【0086】
[第2変形例]
例えば、
図9に示すように、第2叉部241の断面視で、Y軸方向において、第2叉部241の他面241bの−Y軸方向端は、第2叉部241の一面241aの−Y軸方向端よりも+Y軸方向側に位置していてもよい。本変形例では、仮想線J2は、−Z軸方向側ほど+Y軸方向側に位置するように傾斜している。例えば、本変形例では、外形形成工程において、第1マスク51の−Y軸方向端と第2マスク52の−Y軸方向端とのY軸方向のずれL(
図7参照)を、上記実施形態の寸法よりも小さくすることにより、段部246の外形とすることができる。
【0087】
[第3変形例]
例えば、
図10に示すように、第2叉部341の断面視で、連結部346cは、中心軸J1と重なる直線状をなしていてもよい。例えば、本変形例では、外形形成工程において、ウェットエッチング加工を、+Z軸方向側のエッチングと−Z軸方向側のエッチングとが貫通した時点で終了することにより、段部346の外形とすることができる。
【0088】
[第4変形例]
例えば、
図11に示すように、第2叉部441の断面視で、連結部446cの長さを、第3変形例に係る連結部346cの長さよりも長くしてもよい。例えば、本変形例では、外形形成工程において、第1マスク51の−Y軸方向端と第2マスク52の−Y軸方向端とのY軸方向のずれL(
図7参照)を、上記実施形態の寸法よりも大きくするとともに、ウェットエッチング加工を、+Z軸方向側のエッチングと−Z軸方向側のエッチングとが貫通した時点で終了することにより、段部446の外形とすることができる。
【0089】
[第5変形例]
例えば、
図12に示すように、第2叉部541の断面視で、連結部546cの長さを、第3変形例に係る連結部346cの長さよりも短くしてもよい。例えば、本変形例では、外形形成工程において、第1マスク51の−Y軸方向端と第2マスク52の−Y軸方向端とのY軸方向のずれL(
図7参照)を、第2変形例の寸法と同じとする。例えば、本変形例では、外形形成工程において、第1マスク51の−Y軸方向端と第2マスク52の−Y軸方向端とのY軸方向のずれL(
図7参照)を、上記実施形態の寸法よりも小さくするとともに、ウェットエッチング加工を、+Z軸方向側のエッチングと−Z軸方向側のエッチングとが貫通した時点で終了することにより、段部546の外形とすることができる。
【0090】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。