特許第6774332号(P6774332)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774332
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】伸張可能な椎間インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   A61F2/44
【請求項の数】18
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-501768(P2016-501768)
(86)(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公表番号】特表2016-512109(P2016-512109A)
(43)【公表日】2016年4月25日
(86)【国際出願番号】US2014025159
(87)【国際公開番号】WO2014151172
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年1月26日
(31)【優先権主張番号】13/836,005
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ダベンポート,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】グレラム,チャド
(72)【発明者】
【氏名】シブソン,ダンカン
【審査官】 白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0253201(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0023994(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0271422(US,A1)
【文献】 米国特許第6102950(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0041471(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の椎体と係合するよう構成され、骨係合側と反対の側に少なくとも一つの傾斜付表面を有する第1のエンドプレートと、
第2の椎体と係合するよう構成され、骨係合側と反対の側に少なくとも一つの傾斜付表面を有する第2のエンドプレートと、
第1のヒンジ部分と、
前記第1及び第2のエンドプレートと結合されるフレームであって、前記フレームと関連して長手軸に対して前記第1及び第2のエンドプレートを互いに対して移動させることが可能な、フレームと、
前記フレームに回転可能に結合されるアクチュエータねじと、
前記アクチュエータねじに結合されるキャリッジであって、前記アクチュエータねじの回転により前記フレームと前記第1及び第2のエンドプレートに対して移動される、キャリッジと、を備え、
前記第1のエンドプレートと、前記第2のエンドプレートとは、前記第1のヒンジ部分によって回転可能に接続され、
前記第1のエンドプレートは、
前記第1のヒンジ部分に対して回転可能に結合された第1のエンドプレート遠位部と、
前記第1のエンドプレート遠位部よりも前記第1のヒンジ部分とは反対の側にあり、かつ、前記第1のエンドプレート遠位部に対して回転可能に結合された第1のエンドプレート近位部とを備え、
前記第2のエンドプレートは、
前記第1のヒンジ部分に対して回転可能に結合された第2のエンドプレート遠位部と、
前記第2のエンドプレート遠位部よりも前記第1のヒンジ部分とは反対の側にあり、かつ、前記第2のエンドプレート遠位部に対して回転可能に結合された第2のエンドプレート近位部とを備え、
前記第1のエンドプレート近位部は、前記第1のエンドプレートの傾斜付表面を有し、 前記第2のエンドプレート近位部は、前記第2のエンドプレートの傾斜付表面を有し、
前記キャリッジは、前記第1及び第2のエンドプレートの前記少なくとも一つの傾斜付表面の少なくとも一つとそれぞれ合わすことが可能な複数の傾斜を有し、
前記キャリッジが前記アクチュエータねじの回転によって移動されると、
前記第1のエンドプレートの傾斜付表面と前記第2のエンドプレートの傾斜付表面とが、それぞれ前記キャリッジの前記複数の傾斜の少なくとも一つに沿って平行移動することにより、前記第1のエンドプレート近位部と前記第2のエンドプレート近位部とが、前記長手軸を横切る軸方向に平行移動し、かつ、前記第1のエンドプレート遠位部と前記第2のエンドプレート遠位部とが、前記第1のヒンジ部分に対して回転し、
前記フレームと関連して前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとを互いに対して移動させる、インプラント。
【請求項2】
前記第1及び第2のエンドプレートは、前記第1及び第2のエンドプレートの上部分から下部分まで延在する貫通孔と共に構成される、請求項1記載のインプラント。
【請求項3】
前記キャリッジと本体とは、前記第1及び第2のエンドプレートの前記貫通孔に対応する貫通孔と共に構成される、請求項2記載のインプラント。
【請求項4】
前記第1及び第2のエンドプレートの第1の部分は、前記インプラントの近位側に配置され、アパーチャを含み、グラフト材料は前記アパーチャを通って前記貫通孔に通され得る、請求項2記載のインプラント。
【請求項5】
前記アクチュエータねじが前記インプラント内で保持されるよう、保持クリップによって、前記アクチュエータねじが前記フレームに固定される、請求項1記載のインプラント。
【請求項6】
前記第1及び第2のエンドプレートの少なくとも一方は前記第1及び第2の椎体と係合するよう構成される一つ以上の突出部を含む、請求項1記載のインプラント。
【請求項7】
前記アクチュエータねじの意図しない回転に対する可能性を減少するよう前記アクチュエータねじに押しつけられるよう構成されるポリマー製材料を更に有する、請求項1記載のインプラント。
【請求項8】
前記アクチュエータねじが第1の方向に回転されると、前記長手軸を横切る前記インプラントの高さが増加され、
前記アクチュエータねじが第2の方向に回転されると、前記長手軸を横切る前記インプラントの高さが低下される、請求項1記載のインプラント。
【請求項9】
前記フレームは前記インプラントの近位端部から前記インプラントの遠位端部まで延在し、
前記アクチュエータねじは前記フレームに接続され、前記キャリッジの遠位側に沿って前記キャリッジに螺合される、請求項1記載のインプラント。
【請求項10】
前記フレームを通り前記キャリッジまで延在し、前記フレーム又は前記キャリッジの一方で受容されて前記長手軸に沿ったキャリッジの整列を維持するよう構成される、少なくとも一つのポストを更に有する、請求項1記載のインプラント。
【請求項11】
前記第1及び第2のエンドプレートの少なくとも一方の近位部において形成される第1の通路、及び、前記キャリッジの近位側において形成される第2の通路を更に有し、前記第1及び第2の通路は、前記インプラントが隣接する椎体間に移植された際に前記キャリッジの空領域に治療用材料を導入するよう整列される、請求項1記載のインプラント。
【請求項12】
前記フレームは、ダブテールによる接続で前記第1及び第2のエンドプレートに接続される、請求項1記載のインプラント。
【請求項13】
前記ダブテールは、前記第1及び第2のエンドプレートが一緒に移動されて低下された高さのインプラントを形成する場合、前記インプラントの略高さにわたって延在する、請求項12記載のインプラント。
【請求項14】
前記第1及び第2のエンドプレートの少なくとも一つと接続して位置決めされる少なくとも一つのX線不透過性マーカーを更に有し、前記X線不透過性マーカーに接続されたエンドプレートの移動の程度は前記X線不透過性マーカーと、前記X線不透過性マーカーに接続されたエンドプレートと一緒に移動しない前記インプラントのX線不透過性素子の相対的な位置合わせにより撮像を用いて決定され得る、請求項1記載のインプラント。
【請求項15】
前記キャリッジの前記複数の傾斜の少なくとも一つの端部は、前記第1及び第2のエンドプレートの少なくとも一つにおける溝内で平行移動する、請求項1記載のインプラント。
【請求項16】
第1の椎体と係合するよう構成され、骨係合側と反対の側に少なくとも一つの傾斜付表面を有する第1のエンドプレートと、
第2の椎体と係合するよう構成され、骨係合側と反対の側に少なくとも一つの傾斜付表面を有する第2のエンドプレートと、
第1のヒンジ部分と、
前記第1及び第2のエンドプレートと結合されるフレームであって、前記フレームと関連して長手軸に対して前記第1及び第2のエンドプレートを互いに対して相対的に移動させることが可能なフレームと、
前記フレームに回転可能に結合されるアクチュエータねじと、
前記アクチュエータねじに結合されるキャリッジであって、前記アクチュエータねじの回転により前記フレームと前記第1及び第2のエンドプレートに対して移動される、キャリッジと、を備え、
前記第1のエンドプレートと、前記第2のエンドプレートとは、前記第1のヒンジ部分によって回転可能に接続され、
前記第1のエンドプレートは、
前記第1のヒンジ部分に対して回転可能に結合された第1のエンドプレート遠位部と、
前記第1のエンドプレート遠位部よりも前記第1のヒンジ部分とは反対の側にあり、かつ、前記第1のエンドプレート遠位部に対して回転可能に結合された第1のエンドプレート近位部とを備え、
前記第2のエンドプレートは、
前記第1のヒンジ部分に対して回転可能に結合された第2のエンドプレート遠位部と、
前記第2のエンドプレート遠位部よりも前記第1のヒンジ部分とは反対の側にあり、かつ、前記第2のエンドプレート遠位部に対して回転可能に結合された第2のエンドプレート近位部とを備え、
前記第1のエンドプレート近位部は、前記第1のエンドプレートの傾斜付表面を有し、
前記第2のエンドプレート近位部は、前記第2のエンドプレートの傾斜付表面を有し、 前記キャリッジは、前記第1及び第2のエンドプレートの前記少なくとも一つの傾斜付表面の少なくとも一つとそれぞれ合わすことが可能な複数の傾斜を有し、
前記キャリッジが前記アクチュエータねじの回転によって移動されると、
前記第1のエンドプレートの傾斜付表面と前記第2のエンドプレートの傾斜付表面とが、それぞれ前記キャリッジの前記複数の傾斜の少なくとも一つに沿って平行移動することにより、前記第1のエンドプレート近位部と前記第2のエンドプレート近位部とが、前記長手軸を横切る軸方向に平行移動し、かつ、前記第1のエンドプレート遠位部と前記第2のエンドプレート遠位部とが、前記第1のヒンジ部分に対して回転し、
前記フレームと関連して前記第1のエンドプレートと前記第2のエンドプレートとを互いに対して移動させ、
前記フレームは前記第1のエンドプレート、前記第2のエンドプレート、及び、前記キャリッジを取り囲む、インプラント。
【請求項17】
前記第1及び第2のエンドプレートはPEEKよりなり、前記フレームはチタンよりなる、請求項16記載のインプラント。
【請求項18】
貫通孔は、前記第1のエンドプレート、前記キャリッジ、前記フレーム、及び、前記第2のエンドプレートに延在する、請求項16記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椎間インプラントを挿入することで脊椎の隣接する椎骨を安定させることに関わり、特に、高さが調節可能な椎間インプラントに関わる。
【背景技術】
【0002】
骨や骨構造は、サポートや構造を提供するその能力に影響を与え得る様々な弱さの影響を受けやすい。骨構造における弱さは、変性疾患、腫瘍、骨折、及び、脱臼を含む多数の潜在的な原因を有する。医学や工学における発展は、これらの弱さを軽減する或いは治療する複数の装置及び技術を医師達に提供してきた。
【0003】
ある場合では、その弱さに取り組むために、脊柱は追加的なサポートを必要とする。サポートを提供する一つの技術は、隣接する椎骨間にスペーサを挿入することである。
【発明の概要】
【0004】
本開示によると、関節の骨を治療上離間するインプラントであって、インプラントは遠位端部と近位端部との間で延在する長手軸を定め、インプラントは関節の第1の骨と係合するよう構成される第1のエンドプレートであって、エンドプレートを通る開口部が設けられ、骨係合側と反対の側に少なくとも一つの傾斜付表面を有する第1のエンドプレートと、関節の第2の骨と係合するよう構成される第2のエンドプレートであって、エンドプレートを通る開口部が設けられ、骨係合側と反対の側に少なくとも一つの傾斜付表面を有する第2のエンドプレートと、第1及び第2のエンドプレートと摺動可能に接続されるフレームであって、フレームと摺動的に接続された状態で長手軸に対して角度をつけて第1及び第2のエンドプレートを互いに対して移動させる、フレームと、フレームに回転可能に結合されるアクチュエータねじと、キャリッジであって、(a)第1及び第2のエンドプレートにおける開口部と整列される空領域を形成し、それにより長手軸に対して近位キャリッジ側と遠位キャリッジ側を定め、(b)アクチュエータねじに螺合され、アクチュエータねじの回転によりフレームと第1及び第2のエンドプレートに対して移動され、アクチュエータねじが近位キャリッジ側と遠位キャリッジ側との間を交差せず、(c)第1及び第2のエンドプレートの少なくとも一つの傾斜付表面の少なくとも一つとそれぞれ勘合される複数の傾斜を有する、キャリッジとを有し、キャリッジがアクチュエータねじの回転によって移動されると、第1のエンドプレートの少なくとも一つの傾斜付表面の少なくとも一つと、第2のエンドプレートの少なくとも一つの傾斜付表面の少なくとも一つはそれぞれキャリッジの複数の傾斜の少なくとも一つに沿って摺動し、フレームと摺動的に接続された状態でエンドプレートを互いに対して移動させる、インプラントが提供される。
【0005】
様々な実施形態では、第1及び第2のエンドプレートは、長手軸を実質的に横切る軸に沿ってだけ互いに対して移動するようフレームによって制約され、第1及び第2のエンドプレートの少なくとも一方は関節の骨にインプラントを固定するために留め具が通される少なくとも一つのアパーチャを含み、インプラントは、第1及び第2のエンドプレートの少なくとも一方を通過して体内組織に通される留め具が後退することを防止するよう構成されるブロッキング機構を更に含み、ブロッキング機構は未ブロッキング位置とブロッキング機構の一部分が留め具の一部分と重なり合うブロッキング位置との間のチャネル内に摺動可能に保持されるブロッキング部材を含み、第1及び第2のエンドプレートの少なくとも一方はインプラントが関節の骨の間に位置決めされた際に関節の骨と係合するよう構成される一つ以上の突出部を含み、第1及び第2のエンドプレートの少なくとも一方は異種材料の二つの相互接続された部分よりなり、異種材料の一つは金属製であり関節の骨にインプラントを装着するために留め具が通される少なくとも一つのアパーチャを含み、一つの異種材料はポリマーであり、別の異種材料は金属であり、インプラントはアクチュエータねじの意図しない回転の可能性を減少するためにアクチュエータねじに押しつけられるよう構成されるポリマー製材料を更に含む。
【0006】
更なる実施形態では、アクチュエータねじが第1の方向に回転されると、長手軸を横切るインプラントの高さが増加され、アクチュエータねじが第2の方向に回転されると、長手軸を横切る前記インプラントの高さが低下され、アクチュエータねじはキャリッジの近位側に沿ってキャリッジに螺合され、フレームはインプラントの近位端部からインプラントの遠位端部まで延在し、アクチュエータねじはフレームに接続され、キャリッジの遠位側に沿ってキャリッジに螺合され、フレームはインプラントの近位端部内に配置され、フレームはインプラントの近位端部からインプラントの遠位端部の方に延在し、インプラントは、フレームを通ってキャリッジまで延在し、フレーム又はキャリッジの一方で摺動可能に受容されて長手軸に沿ったキャリッジの整列を維持するよう構成される、少なくとも一つのポストを更に有する。
【0007】
更なる実施形態では、第1及び第2のエンドプレートの少なくとも一方の近位端部において形成される第1の通路、及び、キャリッジの近位側において形成される第2の通路を更に有し、前記第1及び2番の通路は、インプラントが関節の隣接する骨の間に移植された際にキャリッジの空領域に治療用物質を導入するよう整列され、フレームは、ダブテール接続で第1及び第2のエンドプレートに接続され、インプラントは、第1及び第2のエンドプレートの少なくとも一つと関連して位置決めされる少なくとも一つのX線不透過性マーカーを更に有し、接続されたエンドプレートの移動の程度はX線不透過性マーカーと、接続されたエンドプレートと一緒に移動しないインプラントのX線不透過性素子の相対的な位置合わせにより撮像を用いて決定され、キャリッジの複数の傾斜の少なくとも一つの端部は、第1及び第2のエンドプレートの少なくとも一つにおける溝内で平行移動する。
【0008】
別の実施形態では、フレームはアクチュエータねじ軸受、第1の方向に軸受から離れるよう延在する第1のタブ、及び、上タブと反対の方向に軸受から離れるよう延在する第2のタブを含み、第1及び第2のタブはエッジを形成し、第1及び第2のエンドプレートは、第1及び第2のタブのエッジをそれぞれ摺動可能に受容するようサイズが決められ寸法が決められる溝を含む。
【0009】
本開示の別の実施形態によると、関節の骨を治療上離間するインプラントであって、インプラントは遠位端部と近位端部との間で延在する長手軸を定め、インプラントは関節の第1の骨と係合するよう構成される第1のエンドプレートであって、長手軸を横切るエンドプレートを通る開口部が設けられ、骨係合側と反対の側に少なくとも一つの傾斜付表面を有する第1のエンドプレートと、関節の第2の骨と係合するよう構成される第2のエンドプレートであって、長手軸を横切るエンドプレートを通る開口部が設けられ、骨係合側と反対の側に少なくとも一つの傾斜付表面を有する第2のエンドプレートと、
第1及び第2のエンドプレートと摺動可能に接続されるフレームであって、フレームと摺動的に接続された状態で長手軸を略横切る角度で第1及び第2のエンドプレートを互いに対して移動させる、フレームと、フレームに回転可能に結合されるアクチュエータねじと、キャリッジであって、(a)第1及び第2のエンドプレートにおける開口部と整列される空領域を形成し、それにより長手軸に対して近位キャリッジ側と遠位キャリッジ側を定め、(b)アクチュエータねじに螺合され、アクチュエータねじの回転によりフレームと第1及び第2のエンドプレートに対して移動され、アクチュエータねじが近位キャリッジ側と遠位キャリッジ側との間を交差せず、(c)第1及び第2のエンドプレートの少なくとも一つの傾斜付表面の少なくとも一つとそれぞれ勘合される複数の傾斜を有し、キャリッジがアクチュエータねじの回転によって移動されると、第1のエンドプレートの少なくとも一つの傾斜付表面の少なくとも一つと、第2のエンドプレートの少なくとも一つの傾斜付表面の少なくとも一つがそれぞれキャリッジの複数の傾斜の少なくとも一つに沿って摺動し、フレームと摺動的に接続された状態でエンドプレートを互いに対して移動させ、(d)第1又は第2のエンドプレートの少なくとも一方における少なくとも一つの近位通路と連通してキャリッジの近位側に少なくとも一つの通路が形成され、インプラントが関節の骨の間に移植された際に連通する通路がキャリッジの空領域に治療用物質を導入するよう構成される、キャリッジとを備えるインプラントが提供される。
【0010】
本開示によると、関節の骨を治療上離間する方法は、遠位端部及び近位端部の間で延在する長手軸を定めるインプラントを関節の骨の間に挿入する段階を有し、インプラントは、関節の第1の骨と係合するよう構成される第1のエンドプレートであって、エンドプレートを通る開口部が設けられ、骨係合側と反対の側に少なくとも一つの傾斜付表面を有する第1のエンドプレートと、関節の第2の骨と係合するよう構成される第2のエンドプレートであって、エンドプレートを通る開口部が設けられ、骨係合側と反対の側に少なくとも一つの傾斜付表面を有する第2のエンドプレートと、第1及び第2のエンドプレートと摺動可能に接続されるフレームであって、フレームと摺動的に接続された状態で長手軸に対して角度をつけて第1及び第2のエンドプレートを互いに対して移動させる、フレームと、フレームに回転可能に結合されるアクチュエータねじと、キャリッジであって、(a)第1及び第2のエンドプレートにおける開口部と整列される空領域を形成し、それにより長手軸に対して近位キャリッジ側と遠位キャリッジ側を定め、(b)アクチュエータねじに螺合され、アクチュエータねじの回転によりフレームと第1及び第2のエンドプレートに対して移動され、アクチュエータねじが近位キャリッジ側と遠位キャリッジ側との間を交差せず、(c)第1及び第2のエンドプレートの少なくとも一つの傾斜付表面の少なくとも一つとそれぞれ勘合される複数の傾斜を有する、キャリッジとを有し、キャリッジがアクチュエータねじの回転によって移動されると、第1のエンドプレートの少なくとも一つの傾斜付表面の少なくとも一つと、第2のエンドプレートの少なくとも一つの傾斜付表面の少なくとも一つはそれぞれキャリッジの複数の傾斜の少なくとも一つに沿って摺動し、フレームと摺動的に接続された状態でエンドプレートを互いに対して移動させ、インプラントが挿入された後にアクチュエータねじが回転されると、関節の骨を離間するよう第1及び第2のエンドプレートが相対的に更に離れるよう移動される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明のより完全な理解、及び、それに伴う利点及び特徴は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を参照することでより容易に理解されるであろう。図中、
図1図1は、三本の搭載された骨ねじと共に、開示するインプラントを示す。
図2図2は、圧縮された又は低下された高さ構造における、図1のインプラントを示す。
図3図3は、伸張された又は増加された高さ構造における、図1のインプラントを示す。
図4図4は、図1のインプラントのキャリッジ及びフレームを示す。
図5図5は、図1のインプラントのエンドプレートを示す。
図6A図6Aは、図2のインプラントの矢状断面図を示す。
図6B図6Bは、図3のインプラントの矢状断面図を示す。
図7A図7Aは、図2のインプラントの横断面図を示す。
図7B図7Bは、図3のインプラントの横断面図を示す。
図8図8は、図1のインプラントの分解図を示す。
図9図9は、低下された高さ構造における、本開示によるインプラントの態様の概略図を示す。
図10図10は、伸張された高さ構造における、図9のインプラントを示す。
図11図11は、隣接する椎骨間に移植された図1のインプラントを示す。
図12A図12Aは、低下された高さ構造における代替的なブロッキング構造を有する、図1のインプラントの正面図を示す。
図12B図12Bは、伸張された高さ構造における図12Aのインプラントを示す。
図13図13は、骨ねじがインプラントに挿入された状態の、図12Bのインプラントを示す。
図14図14は、本開示のトライアルを挿入することを示し、該トライアルは、開示するトライアルツールを用いて椎間板腔に開示するトライアルを挿入することを示す。
図15図15は、椎間板腔に開示するインプラントを挿入する開示する移植及び作動ツールを示す。
図16図16は、ツールがインプラントを伸張した状態の、図14のインプラント及びツールを示す。
図17図17は、図15のインプラント及びツール、及び、骨ねじを挿入する骨用ねじ回しを示す。
図18図18は、椎骨間に固定される図13のインプラントを示す。
図19図19は、近接して駆動されるキャリッジを含む、開示するインプラントを示す。
図20図20は、図19のインプラントのキャリッジを示す。
図21図21は、図19のインプラントの下エンドプレートを示す。
図22図22は、図19のインプラントの分解図を示す。
図23図23は、図19のインプラントの低下された高さ構造を示す。
図24図24は、図23のインプラントの伸張された高さ構造を示す。
図25図25は、図23のインプラントの断面図を示す。
図26図26は、図24のインプラントの断面図を示す。
図27図27は、骨ねじがインプラントに挿入された、図23のインプラントを示す。
図28図28は、骨ねじがインプラントに挿入された、図24のインプラントを示す。
図29図29は、図27のインプラントの正面図を示す。
図30図30は、図28のインプラントの正面図を示す。
図31図31は、骨ねじが挿入されていない、図19のインプラントの斜視図を示す。
図32図32は、骨ねじが挿入されていない、図30のインプラントの正面図を示す。
図33図33は、低下された高さ構造における、本開示による代替的なインプラントの側面図を示す。
図34図34は、伸張された高さ構造における、図33のインプラントを示す。
図35図35は、図33のインプラントの分解図を示す。
図36図36は、図33のインプラントのダブテール接続の拡大断面図を示す。
図37図37は、骨グラフト材料用の通路を例示する、図33のインプラントの正面図を示す。
図38図38は、インプラントが低下された高さ構造にあるとして、X線マーカーを示す、本開示のインプラントのX線撮像のシミュレーションを示す。
図39図39は、インプラントが伸張された高さ構造にあるとして、図38のインプラントを示す。
図40図40は、本開示のインプラントと関連して使用される、本開示の骨ファネルを示す。
図41図41は、低下された高さ構造における、ヒンジエンドプレートを含む、本開示の代替的なインプラントを示す。
図42図42は、伸張された構造における、図41のインプラントを示す。
図43図43は、フレーム部分が除去された、図41のインプラントを示す。
図44図44は、細長いアクチュエータねじを有する、本開示の代替的なインプラントの断面図を透視で示す。
図45図45は、短くされたアクチュエータねじを有する、図44のインプラントを示す。
図46-53】図46乃至図53は、本発明によるインプラントの別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な実施形態は、必要に応じて本願に記載するが、開示する実施形態が単なる例であり、以下に説明するシステムや方法が様々な形態で具体化され得ることは理解されるであろう。したがって、本願に開示する特定の構造的且つ機能的詳細は、制限的であると解釈されてはならず、単に特許請求の範囲の基礎として、又、実質的に全ての適当に詳細にわたる構造及び機能に本要旨を様々に使用することを当業者に教授するための代表的な基礎として解釈されるべきである。更に、本願で使用される用語や表現は、制限的となることを意図せず、むしろ、概念の理解できる説明を提供することを意図している。
【0013】
本願で使用される単数形の用語は、一つ、或いは、一つ以上として定義される。本願で使用される「複数」といった用語は、二つ以上として定義される。本願で使用される「別の」といった用語は少なくとも第2又はそれ以降として定義される。本願で使用される「含む」及び「有する」といった用語は、備える(即ち、オープン言語)として定義される。
【0014】
開示するインプラントは、伸張の範囲内で連続的な伸張及び後退を可能にする。本願のインプラントのある実施形態の脊柱前弯は、特定の患者の生体構造に合うよう特別に計画され得る。追加的には、本開示のインプラントは、所望の高さへの椎体の延展を可能にするが、患者に対して治療上示されるように、折り畳まれて再び位置決めされてもよい。
【0015】
図1乃至図3を参照するに、インプラント又はインプラント100は、例えば、椎骨10、12(図11に示す)のような関節の隣接する骨の間に位置決めされると、有効であり、隣接する椎骨によって形成される関節を安定化させる。インプラント100は、図2に示すように、折り畳みまれた状態又は高さを有し、又、図3に示すように、伸張された状態又は高さを有する。本開示のインプラント100は、折り畳み時の高さで椎間板腔に挿入され、軸方向に(上側/下側)に伸張されて椎間板腔における高さの損失を回復してもよい。インプラントは、延展を提供すると共に、最適な高さの回復を実現する。折り畳まされた状態で挿入された場合、インプラント100は、挿入時に関節腔における組織への衝撃を低減させ、最低限に視覚的にブロックしている又は妨害しているプロフィールを形成する。
【0016】
インプラント100は、二つの離間可能なエンドプレート110、112を有する。エンドプレート110、112の表面114には、移植後にインプタント100の移動の可能性を低減するために体内組織を貫通することができる歯又は他の突出物116が設けられている。インプラント100は、更に、一つ以上の骨ねじ300によって固定され、骨ねじは、インプラント100内の骨ねじソケット118内を通過して、患者の体内組織に入れられる。図1乃至図3に例示する実施形態では、三本の骨ねじ用の三つのソケット118が設けられ、骨ねじ300はブロッキング留め具120によってインプラント100と関連して更に保持される。骨ねじ300は多軸ねじでもよく、ソケット118はそれに応じて形状化されるため、骨ねじ300はインプラント100に対して最適な角度で体内組織に挿入されてもよく、最適な手段が得られるかある体内組織が回避され得る。
【0017】
エンドプレート110、112は、エンドプレート110及び112の相対的な関係を変えるよう動作可能なアクチュエータ150に移動可能に接続することができる。アクチュエータ150は、アクチュエータねじ154を回転可能に支持するフレーム152と、移動可能なキャリッジ156を含む。アクチュエータねじ154がフレーム152内で回転されると、アクチュエータねじ154上のねじ山158(図8)とキャリッジ156内の対となるねじ山160との間の協働によって駆動されて、キャリッジ156は、フレーム152内で摺動される。図1乃至図3の実施形態において、エンドプレート110及び112は、ポリマー製の部分122、122Aと、金属製の部分124、124Aを含む二つの接続部分において形成される。これらの部分は、ねじ162によって示されるように実施形態において接合されるが、ダブテール接続又は接着剤を含み二つの接続部分122、124又は122A、124Aを組み合わせる他の方法が使用されてもよく、可能性として互いと組み合わせて或いはエンドプレートコネクタねじ162と一緒に使用されてもよい。金属製の部分124、124Aは、比較的大きい応力下にあるインプラント100の部分、例えば、インプラント100を体内に固定するために留め具が通される部分に対してより大きな強度を与えることができる。部分122、122A、124、124Aは、ポリマー製又は金属製と説明されているが、他の材料が使用されてもよく、該部分が異種材料によるものでもよいことは理解されるであろう。
【0018】
図2を参照するに、インプラント100が圧縮された状態にあり、図3に示す伸張状態に対して高さが低いことが分かるであろう。装置100が機能することは、図9及び図10を参照することで最もよく理解されるであろう。図9及び図10は、それぞれ図2及び図3と関係しているが、理解を容易にするためにある素子が排除されているか誇張されている簡略化された図を示す。エンドプレート110及び112には、キャリッジ156上に配置される傾斜168、168A及び170、170Aを摺動可能に受容するようサイズが決められる傾斜付チャネル164、164A及びオープン傾斜166、166Aが設けられる。二つの勘合するチャネル及び傾斜が各エンドプレート110、112に対して例示されているが一つの、或いは、二つ以上の組のチャネル及び/又は傾斜が設けられてもよいことは理解されるであろう。更に、チャネル164、164Aが代わりに傾斜として形成されてもよい。しかしながら、チャネルは、対向する傾斜面を有して高さを低減させるよう動作することができるため、例えば、体内組織からの圧力がエンドプレート110、112を折り畳むには不十分な場合には、伸張とは反対の方向へのアクチュエータねじ154の回転が、エンドプレート110、112を一緒に駆動させる。追加的には、少なくとも一つのチャネルが、キャリッジ156とエンドプレート110、112との間の接続のメンテナンスを助長するよう動作することができる。
【0019】
キャリッジ156は、本実施形態では、キャリッジ156と係合され、フレーム152に形成された対応するチャネル176を通過することができる二本の支持ねじ174である横方向係合手段によってフレーム152によって支持される。アクチュエータねじ154の遠位端部172は、キャリッジ156に対して追加的なサポートを提供する。アクチュエータねじ154は、フレーム152内を通過し、フレーム152内で回転可能に支持される止めねじ178によって支持される。
【0020】
アクチュエータアクセスポート180は、例えば、六角ドライバ等(図示せず)のツールの通路がアクチュエータねじ154の近位端部182と係合することを可能にする。アクチュエータねじ154が回されると、遠位端部172はスラスト座金184及びフレーム152の端部分に対して突き当たる。アクチュエータねじ154として、キャリッジ156はねじ山158及び160の相互作用によってアクチュエータねじに沿って駆動される。キャリッジ156が移動すると、エンドプレート110、112は、傾斜168、168A及び170、170Aに沿って移動するよう促され、比較的離間するよう移動してインプラント100の高さを増大させる。エンドプレート110、112は、フレーム152の端部分186に対して衝合することでキャリッジ156と一緒に移動することが防止される。所与の方向付けでは、エンドプレート110及び112の一方は立っている患者における方向付けに対して上エンドプレートである。しかしながら、幾つかの実施形態では、インプラント100は、反対の方向付けのいずれか一方において移植可能であり、したがって、上及び下の指定は理解を簡単にするためだけに提供されている。エンドプレート110、112の一方だけが互いに対して移動可能であることが理解されるべきである。例えば、一実施形態では、傾斜168A、170Aが設けられず、エンドプレート112がフレーム152に取り付けられてもよい。
【0021】
図11は、隣接する椎骨10、12間に移植された開示のインプラント100を示す。フレーム152は、身体に最初に挿入される遠位又は先端部152A、及び身体を最後に通過する近位又は後端部152Bを定め、遠位端部及び近位端部はその間を延在する長手軸を定めている。インプラント100は、身体に挿入され、最小侵襲方法を用いて、例えば、小さい切開を用いて、椎骨間に位置決めされ得、インプラント100は、体内組織を通る経路を維持するカニューレ又は他の構造内を通されてもよい。インプラント100は、前部、前外側、側部、又は、後側部を含む全てのアプローチ法を用いて脊柱に挿入されてもよい。椎間板線維輪の一部分及び髄核は、インプラント100が挿入される空間を形成するために除去される。インプラント100が圧縮された又は低下された高さ構造にあるとき、ダブテールガイド200、202は、装置100の挿入又は除去中に上下のエンドプレートの相対的な方向付けのメンテナンスを助長するよう提供される。ダブテールガイド200、202は、伸張中及びインプラント100が伸張されている場合にエンドプレート110、112を更に安定させる。ダブテールガイド200、202は、例えば、傾斜168、168Aの端部と舌及び溝の構造、又は、他の摺動する勘合構造の形態を有し得る。
【0022】
図2に示すように、インプラント100は、低高さプロフィールを有して挿入されるため、挿入中に体内組織の延展の程度が低下される。更に、経路を移植部位に向かって開くためにインプラント100が使用される程度には、最終高さプロフィールを有するインプラントの挿入に対して隣接する組織への外傷が減少される。一旦インプラント100が隣接する椎骨間に位置決めされると、アクチュエータねじはツールによって回転される。ツールは、全体的に身体内に位置決めされてもよく、又は、身体の内部から身体の外部まで延在されてもよい。例えば、ツールは、一端部に駆動先端を有し反対端部に取手を有し、身体に延在する軸を各端部間に有してもよい。
【0023】
一旦アクチュエータねじ154が回転されてエンドプレート110、112が所望の量だけ離間されると、ツールが取り除かれる。この時点では、アクチュエータねじ154は、例えば、機械的ブロック又は接着剤を用いて定位置に固定され、アクチュエータねじ154の意図しない回転が防止される。キャリッジ156がアクチュエータねじ154の回転によって摺動可能に移動されると、少なくとも一つのエンドプレート110、112のチャネル164、164Aの傾斜166、166A又は傾斜付表面は、キャリッジ156の少なくとも一つの傾斜168、168A、170、又は、170Aに対して摺動され、フレームの長手軸を横断する軸に沿ってエンドプレートを移動させてインプラントの高さを増大させる。アクチュエータねじ154が反対方向に回転されると、フレームの長手軸を横断する軸に沿った移動がインプラントの高さを低下させる。
【0024】
ポリマー製挿入物又は例えば、PEEK等のポリマー製四角ナットは、アクチュエータねじ154のねじ山158又は他の部分と係合可能に設けられ、負荷下、特に、周期的負荷下での高さ損失を防止するよう追加的な摩擦を提供する。同様にして、一旦骨ねじ300が挿入されると、ブロッキング素子120は、骨ねじ頭部302の端部上を延在するよう回転され、ねじ300が後退して出ることを防止している。同様の機械的ブロック(図示せず)がアクチュエータねじ154に対して設けられてもよい。
【0025】
図1乃至図3図5乃至図8を参照するに、多軸ねじ頭部302に対するソケット118が上下のエンドプレート110、112の一方の内部に全体的に形成されてもよく、又は、エンドプレート110及び112それぞれの内部に部分的に形成されてもよく、それにより、インプラント100が最終高さまで伸張された場合、ソケット118の内部の割合がねじ頭部302を保持するのに合っている又は略合っている。例えば、図8において、金属製部分124は、ソケット118の上部分190を形成し、対となる金属製部分124Aは、ソケット118の下部分192を形成する。図中に例示される実施形態では、三つのソケット118が設けられ、これら全ては上下部分を有する。しかしながら、より多くの或いはより少ない数のソケット118が設けられてもよく、一つ以上のソケットが上又は下のエンドプレートに全体的に形成されてもよい。
【0026】
ある実施形態では、本開示のインプラント100は、ねじ山付アクチュエータねじ154を用いて身体に対して平行移動するアクチュエータを提供する。キャリア152上の傾斜168、168A及び170、170Aは、エンドプレート110、112上のチャネル164、164A及び/又は傾斜166と勘合される。キャリッジ156の線形な平行移動により、エンドプレート110、112は身体に対しS/I軸に沿ってインプラント100を伸張させる。インプラントを折り畳む場合にエンドプレート110、112を捕捉するダブテールガイドが設けられてもよい。
【0027】
組立ねじ162は、異種材料、例えば、PEEKよりなるエンドプレート、及び、ポリマー製部分122、122Aを金属チタン製部分124、124Aに留める。ダブテール及び圧入設計は、異種のエンドプレート部分を接続するために使用され得る。PEEKブッシング又は座金184は、インプラント100の伸張中の摩擦を最小化するためにねじ山付アクチュエータねじ154とフレーム152との間で使用される。支持ねじ174及びチャネル176は、協働して側部又は横の安定化装置を形成し、止めねじ178はキャリッジ156の突出部又は先端端部を支持する。追加的には、キャリッジ156及びフレーム152における協働するスロット及び突出部(図示せず)が、更なる相対的な案内及び安定性のために提供され得る。
【0028】
一実施形態では、三本の骨ねじ300が隣接する椎体への固定を提供するために使用され、その内の二本のねじ300はインプラント100を通過して一方の椎骨に入り、残りの一本のねじ300はインプラント100を通過してもう一方の椎骨に入るが、他の組み合わせが使用されてもよい。骨ねじ300は、所望の角度での挿入が容易となるよう球形の又はさもなければ湾曲した頭部を有してもよく、或いは、特に、ねじ300のネック部分の直径に依存して、固定の方向付けでソケット118と勘合されるよう設けられてもよい。カム式ブロッキング留め具120は、挿入された後に骨ねじ300が後退して出てこないよう骨ねじ300をブロックするために使用され得る。
【0029】
本開示のインプラントにより、特定のインプラント100の設計の所定の寸法に応じて変位の範囲にわたる連続的な伸張及び後退を可能にする。これにより、椎体を所望の高さに延展させ、更に、患者にとって治療上有利な場合には再位置決めのためにインプラント100を折り畳む能力が提供される。エンドプレート110、112は、脊椎脊柱前弯に対して提供されるよう互いに対して収束する平面又は表面を形成するよう形状が決められ、開口部が設けられてもよく、該開口部を通じ、骨が成長し得るそれぞれの開口部間にグラフトチャンバ204が形成され、その内部に骨グラフト材料が配置され得る。インプラント100は、延展させるか関節の骨を強制的に離すために使用されてもよく、又は、例えば、開創器等の他の手段による骨の離間を維持するために使用されてもよい。
【0030】
インプラント100は、患者に対して、及び、装置が移植される期間にわたって十分な強さ、柔軟性、弾力性、及び、耐久性を有する、当業者に公知の全ての生体適合性のある材料を用いて加工されてもよい。例として、例えば、チタンやクロム合金等の金属、例えば、PEEK又は高分子量ポリエチレン(HMWPE)を含むポリマー、及び、セラミックスが挙げられるが、これらに制限されない。他のプラスチックや金属を含む多数の他の生体適合性のある材料が使用されてもよく、自己移植、同種移植、及び、異種移植材料を含む生体組織又は保存組織を用いる加工が使用されてもよい。
【0031】
インプラントの一部分又は全ては、放射線不透過性又は放射線透過性である、又は、このような特性を有する材料をインプラントに追加又は組み込んで移植中及び移植後の装置の撮像を改善し得る。
【0032】
例えば、エンドプレート110、112の金属製部分124、124Aは、例えば、ASTMF1537(及びISO5832−12)において特定されているように、チタン、又は、コバルトクロムモリブデン合金Co−Cr−Moから製造されてもよい。例えば、ASTMF1580、F1978、F1147及びC−633(及びISO5832−2)において特定されるように、平滑な表面に工業用純チタンが平滑な表面に噴霧されてもよい。ポリマー製部分122、122Aは、例えば、ASTMF648(及びISO5834−2)において特定されるように超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から製造されてもよい。一実施形態では、PEEK−OPTIMA(英国のInvibio Ltd Corpの商標)がインプラント100の一つ以上の構成要素に対して使用されてもよい。例えば、ポリマー製部分122、122Aは、放射線透過性のPEEK−OPTIMAより形成され得、それにより、骨の内方成長が観察され得る。好適な柔軟性、耐久性、及び生体適合性を有する他のポリマー製材料が使用されてもよい。
【0033】
本発明によると、患者の生体構造に最もよく合うように様々なサイズのインプラントが提供される。一致する又は異なるサイズの構成要素は、患者の治療上のニーズに最もよく適合するよう医療施術者によって移植手順中に組み立てられてもよく、該組立体は挿入ツールを用いて挿入される。本発明のインプラントには、全体的に角度の形状が与えられ、例えば、エンドプレート110、112の角度のある勘合配置が与えられ、例えば、頸部適用について0°から6°の自然な脊椎脊柱前弯又は矯正脊椎脊柱前弯のために提供されるが、かなり違う値が他の関節については有利となる。脊柱前弯角は、相対的に同一平面上にない表面を有するようプレート110、112の一方又は両方を形状化することによって形成されてもよい。例えば、頸椎において使用するための伸張されたインプラントの高さは、典型的には7mm乃至12mmの範囲にあるが、最低でも5mm、最高でも16mmを含みより高くても低くてもよく、サイズは患者及び本発明のインプラントが移植されるべき関節に依存する。インプラント100は、脊椎のどのレベルにも移植されることができ、手、手首、肘、肩、腰、膝、足首、又は、足の関節を含む身体の他の関節に移植されてもよい。
【0034】
本発明によると、弱くなった関節又は関節部分に安定性を提供するために単一のインプラント100が使用されてもよい。代替的には、二つ、三つ以上のインプラント100が単一の関節レベル又は多数の関節で使用されてもよい。更に、インプラント100は、他の安定化手段と組み合わされてもよい。
【0035】
追加的には、インプラント100は、例えば、十分な骨の内方成長が行われた後等、治療上有利な時間間隔中に身体で生物分解する材料を用いて加工されてもよい。更に、インプラント100には、平滑な又は丸みがつけられた外部表面が有利には設けられ、それにより、近隣組織に対する有害な機械的効果の可能性が減少される。
【0036】
本発明の全ての表面又は構成要素は、骨成長、治癒、抗菌性、又は、薬物の材料を含む治療剤でコーティングされてもよく、又は、含浸されてもよく、これらの材料は当業者に公知の方法を用いて治療速度で放出されてもよい。
【0037】
開示する装置により、隣接する椎骨は、屈曲/伸長、横曲げ、及び、軸回転中に支持される。一実施形態では、インプラント100は、変性円板疾患、一時的又は再発性椎間板ヘルニア、脊髄の狭窄、又は、腰仙椎における脊椎症(LI−SI)の骨格的には成長した患者を治療する際に脊髄関節形成術について示される。変性円板疾患は、脚(神経根)の痛みを伴っても伴わなくても患者の履歴及び放射線学的検査によって確認された椎間板の変性を伴う椎間板起因の背痛として有利には定義される。例えば、関連するレベルでグレード1までの脊椎すべり症の患者は、有利には治療される。手術位置のインプラント100は前部、前外側、後側部、及び/又は、側部のアプローチ法を通じて実施される。
【0038】
典型的な実施形態では、インプラント100は、挿入前に12乃至18mmといった未圧縮の高さを有し、4、8、12、又は、16度の脊柱前弯角を有して23×32mm、26×38mm、及び、26×42mmの断面で有利には提供される。これらは代表的なサイズであるが、実質的により小さい又はより大きいサイズが治療上有益となり得る。一実施形態では、本開示によるインプラント100は、MISアプローチ(減少された切開サイズ、体内組織を通る切れ目がより少なくより短い)を用いて挿入されるようサイズが決められる。
【0039】
インプラント100は、例えば、ロッド及び板を含む他の公知の又は後に展開される形態の安定化又は固定と組み合わせて有利に使用され得る。
【0040】
図13乃至図18をここで参照するに、インプラント100は、折り畳まれ時の高さで椎間板腔に挿入され、その後、板腔高さに回復される。インプラント100は、延展を提供すると共に、最適な矢状バランスを実現する。説明した通り、インプラント100が挿入される方法及びアプローチ法は多数ある。図14乃至図18は、開示する一つの可能な方法及びアプローチ法を例示する。一連の番号が付けられたステップを説明するが、手順に関連する多数の他のステップも存在し、説明するステップが開示のインプラント100の展開における有用なステップを強調することは理解されるであろう。
【0041】
ステップ1:アプローチ−例えば、最小侵襲方法により外科用メスや開創器等の外科的器具を用いて脊椎の所望の部位へのアプローチが実施される。
【0042】
ステップ2:準備−例えば、骨鉗子や他の好適な器具(図示せず)を用いる等、椎間板を露出し椎間板材料を除去するために板準備器具が使用され、椎間板腔14が形成される。
【0043】
ステップ3:トライアル−図14から明らかとなるように、インプラントの設置面積、高さ、及び、くさび角度に対するトライアルが実施され、どのサイズ又はタイプのインプラント100が使用されるべきかが示される。伸張可能トライアル、静的トライアル、又は、それらの組み合わせが使用されてもよい。図14では、トライアル的インプラント320は、トライアル的挿入ツール400を用いてトライアル的に嵌められる。
【0044】
ステップ4:挿入−グラフト材料又は他の治療上有益な材料は、インプラント100が折り畳まれている時又は部分的に伸張されている時に該選択されたインプラント100のグラフトチャンバ204に重点される。図15から明らかとなるように、インプラント100は挿入ツール410を用いて椎間板腔14に挿入される。図1から分かるように、フレーム152の反対側又は一方のエンドプレート124又は124Aにツール係合形成部206が設けられる。ツールアーム412は、ツール係合形成部206と固定式且つ解放式に係合され、アクチュエータねじ154と伸張ドライバ414を整列させる。
【0045】
ステップ5:伸張−図16では、伸張ドライバ414を用いてアクチュエータねじ154を回すことで、本願に記載するように、インプラント100が伸張される。伸張後、骨ファネル440(図40)を用いて中央グラフトチャンバ204に追加的な骨グラフト材料がグラフト入口208を通じて充填され得る。プッシュロッド(図示せず)は、ファネル440を介してグラフト材料を駆動するために使用され得る。
【0046】
ステップ6:穴準備−骨ねじパイロット穴は、例えば、千枚通し、ドリル、又は、タップを用いて準備された一つ以上の隣接する椎骨に形成され得る。各ねじ300の挿入前に、多数のパイロット穴が最初に準備され得、又は、パイロット穴が一つずつ準備され得る。本願のどのステップ中にも、隣接する組織への損傷を回避するよう撮像が行われ得る。
【0047】
ステップ7:ねじ挿入−図17において、骨ねじ300が骨用ねじ回し416を用いて挿入される。骨用ねじ回し416のアクセスを容易にするために、伸張ドライバ414が挿入ツール410から引き抜かれてもよい。骨ねじ300が挿入された後、骨ねじは後退して出てこないようブロッキング素子120を用いてブロッキングされる。椎体の遅れは、骨ねじがロックされる前又は後に実施され得る。最終的な配置を確認するために蛍光透視法又は他の撮像が使用され得る。撮像は、実施された仕事を確認するためにどのステップでも行われ得る。更に、骨ねじの穴準備及び骨ねじ300の挿入は、伸張中のインプラントの固定を促進するために、インプラント100の伸張前に行われ得る。図18では、伸張されたインプラント100は骨ねじ300によって固定されている状態椎骨間に見られる。前述の方法は、インプラント100を用いたカスタマイズされた適合を提供し、患者の生体構造への混乱を最小化している。
【0048】
図19乃至図32を参照するに、開示する代替的なインプラント100Bは、図1のインプラント100のアクチュエータねじ154に対してより短いアクチュエータねじ154Bを有する。アクチュエータねじ154Bは、キャリッジ156Bの近位端部と係合し、グラフト入口208Bを通過しない。小型のアクチュエータフレーム212は、ねじ軸受210、及び、上下タブ214、216を含む。エンドプレート110B及び112B内のエンドプレートスロット218、220は、上下タブ214、216を摺動可能に受容する。このようにして、アクチュエータねじ154Bは、エンドプレート110B及び112Bに対して長手軸に沿って回転可能に固定され、図19に示す長手軸は遠位端部(「D」)と近位端部(「P」)との間で延在する。エンドプレート110B、112Bは、カラータブ214、216上で摺動し、相互に離間してインプラント100Bの伸張された構成を形成する。アクチュエータねじ154Bは、小型のアクチュエータフレーム212内に回転可能に保持され得、キャリッジ156Bは、アクチュエータねじ154Bの軸方向の変位を伴わずに、アクチュエータねじ154Bと螺合されるよう押し込まれるか引っ込まれる。これは、例えば、小型のアクチュエータフレーム212又は軸受210と、アクチュエータねじ154B又はアクチュエータねじ154Bの端部分を部分的に覆うブロッキング素子(図示せず)と間でクリップ又は他の協働係合によって実現され得る。ある実施形態では、タブ214及び216は、エンドプレートスロット218、220とダブテール接続を形成する。
【0049】
インプラント100が、本開示の様々な特徴を例示する実施形態を示すために、例えば、100B、100C、100D、100E等、添え字で識別されてもよいことは理解されるであろう。全ての可能な特徴の順列を例示し説明する非実際性を考慮して、論理的であれば、様々なインプラントの特徴がインプラント間で置き換えられてもよいことは理解されるであろう。そのため、全てのインプラントは、特定の実施形態によって例示される特徴を特に参照しない限り、インプラント100とまとめて呼ばれてもよい。
【0050】
アクチュエータねじ1546Bは、ねじ山160Bでキャリッジ156Bと螺合され、それにより、ねじ154Bが回転されるとキャリッジ156Bが小型のアクチュエータフレーム212に向かって又は離れるように移動する。キャリッジ156Bは、インプラント100について説明した通り、対応するエンドプレートの傾斜164、164A、166、166Aと係合する傾斜168、168A、及び、170、170Aを有する。アクチュエータねじ154Bが回転されると、キャリッジ156はエンドプレート110B、112Bに対して平行移動する。その結果、キャリッジの傾斜168、168A及び170、170Aはエンドプレートの傾斜164、164A、166、166Aに対して摺動し、エンドプレート110B、112Bを相互に離間させる。ある実施形態では、キャリッジ156Bは、ねじ山160Bがポリマー製であり、アクチュエータねじ154Bとねじ山160Bとの間で締まりばめが形成される。それにより、十分な摩擦が生成されてアクチュエータねじ154Bの意図しない回転に抵抗し、インプラント100Bの高さが結果として変化される。
【0051】
フレーム152は、エンドプレート110B、112Bに沿って延在するフレーム支持エッジ224に摺動可能に突き当たり、キャリッジ支持ねじ174によってキャリッジ156Bに摺動可能に接続される。このようにして、キャリッジ156Bは横方向に支持され、回転運動を行わないよう抑制されるが、キャリッジ支持チャネル176及びアクチュエータねじ154Bによって画成される路に沿って長手軸方向に移動し得る。追加的には、エンドプレート110B、112Bにおけるチャネル又はダブテールガイド200、202はキャリッジ傾斜168、168A、170、170A勘合端部分200A、202Aを受容し、エンドプレート110B,112Bを更に案内し安定化する。
【0052】
図19乃至図32は、本願の他の様々な代替的な素子のように、本願の他のインプラントの実施形態と組み合わされ得る代替的なブロッキング素子120Bを更に例示する。素子120Bは、ブロック溝228内に摺動ブロック226を形成し、ブロック226及びブロック溝228は、ダブテール又は他の摺動する勘合係合を形成し、ブロック226はブロック溝228によって画成される路に沿った移動に制約される。一旦骨ねじ頭部302が骨ねじソケット118内に完全に位置されると、ブロック226は、骨ねじ頭部302上の位置までブロック溝228との係合から部分的に解放されるよう摺動され、それにより、骨ねじ300が体内組織との係合から解放される動きがブロックされる。図示する実施形態では、二つのブロッキング素子120Bが例示され、二つの端部分(図示せず)を有するツールが各ブロック226の隣りに挿入され得、ツールはブロッキング位置に両方のブロックを移動させるよう回転される。したがって、ブロック226は、同じ又は近傍の軸について旋回する略同心状の弧を一緒に形成する。
【0053】
インプラント100Bは、エンドプレート110B、112B内の開口部によって形成されるグラフトチャンバ204及びキャリッジ156Bへの、一つ以上の骨ねじソケット118を通るグラフト材料又は他の治療用物質(材料)の挿入を容易にするよう構成される。該材料が挿入された後、本願に別に例示し説明するように、骨ねじ300は、ソケット118に挿入され、体内組織に留められる。骨ファネル440(図40)は、材料をグラフトチャンバ204に促すために使用されてもよい。代替的には、一旦インプラント100Bが伸張されると、小型のアクチュエータフレーム212について取られた断面を示す図30及び図32に最もよく示されるように、材料がエンドプレート110B、112B及び上下タブ214、216の離間によって形成されるエンドプレートの隙間230に挿入されてもよい。
【0054】
全ての実施形態において、開示するエンドプレートが、例えば、図19乃至図32に示すように、単一の材料より、又は、例えば、図1乃至図6に示すように、多数の材料より形成されてもよいことは理解されるであろう。したがって、エンドプレート110B、112Bは、多数の材料より形成され得、例えば、近接の骨ねじ係合部分がチタンで形成され、遠位の骨係合部分がUHMWPEで形成されてもよい。更に、エンドプレート110B、112Bには、体内組織と確実に係合し、インプラント100Bの望ましくない移動の可能性を減少するために歯又は他の突出部が設けられてもよい。
【0055】
図33乃至図40を参照するに、スペーサインプラント100Cは、上下のエンドプレート110C、112Cとダブテール係合を形成するフレーム152Cを含む。このようにして、エンドプレート110C、112Cはインプラント100Cの伸張の範囲にわたって更に安定化される。図36からも分かるように、エンドプレート部分124Cの断面図は、エンドプレート部分124Cのフレーム支持チャネル232がフレーム152Cのフレーム延長ガイド234を摺動可能に保持するよう形状化されていることを示す(図44及び図45においても明らかである)。逆の構成が作成されてもよいことは理解されるであろう。このとき、チャネルはフレーム152Cに形成され、延長部はエンドプレート部分124Cから形成される。同様のチャネル及び延長部は、図示されるように、フレーム152Cの対向する側に形成され、フレーム支持チャネル232も下エンドプレート部分124Cに形成される。別の実施形態では、フレーム152Cは、フレーム支持チャネル232及び延長ガイド234のダブテール係合領域の全て又は一部に沿って延長領域238を形成することができる。例えば、フレーム152Cは、エンドプレート110Cの外面の近傍からエンドプレート112Cの外面の近傍まで延在するよう上方及び下方の方向に延在し得、又は、それよりも短い距離にわたって延在してもよい。チャネル232及び延長ガイド234は、A−P又はインプラント100Cの長手軸を横切るとして例示される。代替的な実施形態では、チャネル232及びガイド234は、長手軸に対して横切らない角度で配置される。
【0056】
図35及び図37を参照するに、キャリッジ156Cは、グラフトチャンバ入口236を含み、インプラント100Cが体内に移植された後にインプラント100Cの近位端部の外部からグラフトチャンバ204へのアクセスを提供している。キャリッジ156Cは、グラフト又は他の治療用物質の通路を認めるよう具体的に形成された二つの入口236を含むが、一つ又は三つ以上の入口236が設けられてもよい。例示する実施形態では、グラフトチャンバ入口236はキャリッジ傾斜170の一部分内に形成されるが、キャリッジ156Cの他の部分が同様にして形状化される又は開口されてもよい。骨ファネル440は、一つ以上のグラフトチャンバ入口236を通って物質を方向付けるために使用されてもよい。
【0057】
図35から分かるように、アクチュエータねじ154Cは、アクチュエータねじ154Cの円滑な回転を促すように設けられるアクチュエータねじ軸受184C及び横方向ねじ軸受240を含む。アクチュエータねじ154C内の軸受チャネル242は、キャリッジ156Cのねじガイド246内で横方向ねじ軸受240の方向付けを維持するために設けられ得る。ある実施形態では、アクチュエータねじ154Cの意図しない回転を防止するために横方向ねじ軸受240とねじガイド246との間に締まりばめが形成される。その可動域の少なくとも一部分にわたってキャリッジを更に安定化させるために、安定化ポスト、ねじ、又は、ピン248がねじ山、接着剤、又は、締まりばめによって、例えば、フレームピンボア250内でフレーム152Cに接続されて、及び、キャリッジ156C内のピンボア252内で摺動式に係合可能に設けられ得る。代替的には、ピン248は、キャリッジ156Cに加えられてもよく、フレームピンボア152C内で摺動し得る。一実施例では、
図35及び図38及び図39から分かるように、一つ以上のX線マーカー254はインプラント100C内、例えば、インプラント100Cの放射線透過性部分内、又は、本願の様々な実施形態の全ての他の放射線透過性部分内に位置決めされる。例えば、X線マーカーは、ポリマー製エンドプレート部分122、122A内に位置決めされ、その伸張された又は収縮された位置が撮像を用いて確実に確認される。図39から分かるように、X線マーカー254A、254Bは、インプラント100Cが完全に伸張された場合にだけ、本実施形態ではX線不透過性のキャリッジ傾斜168、168Aの端部と整列されるよう方向付けられる。伸張の程度を示すためには、一つ以上のX線不透過性のマーカー254が、フレーム152、キャリッジ156、又は、エンドプレート110、112と一緒に移動せず、且つ、X線不透過性であり又はX線不透過性マーカー254と同様に構成されたインプラント100の全ての他の部分に対して位置決めされ得る。
【0058】
図40は、本発明のインプラント100、100B、100C、100D、100E(本願ではまとめて100と称する)と使用可能な骨ファネル440を例示する。出力アパーチャは、例えば、グラフトチャンバ204等のインプラント100内の空領域への開口部に近接して配置される。骨グラフト材料及び他の治療薬は、例えば、骨成長因子、抗菌剤を含み内部に収集され、又は、他の治療が広げられた入力チャンバ444に配置され、例えば、ロッド(図示せず)等のドライバを用いてパイプ446に押し下げられる。パイプ接続部448が設けられ得、そのサイズはグラフトチャンバ入口236に対応するよう決められてもよい。駆動された骨グラフト材料はインプラント100の内部に通され、少なくとも一つの椎骨の体内組織と接触することで意図する治療上の恩恵が得られる。
【0059】
一実施形態では、キャリッジ傾斜168、168A、170、170Aは、異なる傾斜角度及び/又はサイズを有してもよく、エンドプレート傾斜166、166Aは対応するプロフィール及びサイズを有する。例えば、傾斜168、168Aが傾斜170、170Aよりも短い場合、伸張はインプラント100の近位側に沿ってより大きい割合で生ずる。このようにして、脊椎の角度的方向付け、例えば、脊椎脊柱前弯が矯正されてもよい。同様にして、傾斜170、170Aは傾斜168、168Aよりも短くてもよい。代替的には、傾斜168、168Aの一方の側は、傾斜168、168Aの他方の側よりも短くてもよく、対応する差が傾斜170、170Aに沿っても生ずる。このようにして、脊椎の横方向の方向付け、例えば、脊柱側弯症が矯正されてもよい。
【0060】
図41乃至図43は、本開示の代替的なインプラント100Dを示し、ここでは、エンドプレート110D、112Dの近位端部が旋回され、矢印「A」で示されるような軸方向の平行移動と、矢印「B」で示されるような旋回の両方を提供する。軸方向の平行移動は、インプラント100Cについて説明したように、フレーム延長ガイド234及びフレーム支持チャネル232と一緒にフレーム152Cを用いて維持される。しかしながら、エンドプレートピボット256は、エンドプレート部分122Dと124D,及び、エンドプレート部分122D’と124D’の間に形成される。図43は、フレーム152Cが除去されたインプラント100Dを示し、エンドプレート部分122D及び122D’間に形成されるエンドプレートヒンジ258を例示する。このようにして接続された状態で、エンドプレート部分122D及び122D’は、エンドプレートヒンジ258、並びに、エンドプレートピボット256について旋回する。したがって、インプラント部分122D及び122D’の遠位端部におけるインプラント100Dの高さは一定に保たれ、インプラント部分122D及び122D’の近位端部はエンドプレート部分124D及び124D’と軸方向に平行移動してインプラント100Dの高さを増加させる。
【0061】
インプラント100Dは、折り畳まれた時の高さで椎間板腔に挿入され、脊椎脊柱前弯に伸張されて、椎間板腔において矢状バランスと高さが回復される。インプラント100Dは、延展を提供すると共に最適な矢状バランスを実現する。更に、インプラント100Dは、折り畳まれた時の高さでの挿入中に体内組織への衝撃を低下させ、患者の生体構造や治療上のニーズに最も合うように支持するエンドプレートの脊柱前弯角を連続的に調節する能力を医療施術者に与える。
【0062】
エンドプレートピボット256は、エンドプレート部分122D及び124D、及び、エンドプレート部分122D’及び124D’の勘合円形部分として形成される。一方のエンドプレート部分が延長部を形成し、他方のエンドプレート部分が受容部となるが、該構成が逆にされてもよいことは理解されるであろう。
【0063】
エンドプレートヒンジ258はエンドプレート部分122D及び122D’の間を延在する柔軟なコネクタ260として形成される。一実施形態では、エンドプレート部分122D及び122D’は、ポリマー又は他の柔軟な材料から単一の部分として成形され、それにより生体ヒンジが形成される。更なる実施形態では、ヒンジは、バレル又はフラグヒンジ、又は、エンドプレートピボット256にスタイルが類似しているヒンジを含む、全ての公知の手段によってエンドプレート部分122D及び122D’の間に形成される。代替的な実施形態では、エンドプレートヒンジ258はフレーム152Cと関連して形成される。
【0064】
エンドプレート部分の軸方向及び旋回の動きの両方を提供することにより、インプラント100Dは代替的な支持構造、特に、凸状の適合を有する支持構造の形成が可能となる。これは、例えば、脊椎脊柱前弯を含む特定の脊髄の問題を直すのに有用である。
【0065】
本開示の代替的なインプラント100Eの断面図である図44及び図45を参照するに、アクチュエータねじ154Eが、例示するように、例えば、C−クリップ262を用いてフレーム152Eに回転可能に接続されることが分かるであろう。フレーム152Eにアクチュエータねじを回転式に固定する代替的な方法は、例えば、フレーム152Eに対して自由にスピンするがアクチュエータねじ154Eに固定されている親止めねじ178(例えば、図6図6A参照)を含み得る。代替的な方法は、フレーム152E及びねじ154Eに勘合部分(図示せず)を形成することを含む。
【0066】
更に、本願でインプラント100Cについて説明したように、安定化ピン248、フレームピンボア250、及び、キャリッジ152Cにおけるピンボアの使用を通じてキャリッジ156Cに対して更なる安定性が提供される。
【0067】
更なる実施形態では、アクチュエータねじ154E’はアクチュエータねじ154Eよりも短かく、それにより、グラフトチャンバ204の障害が減少される。ツールがねじガイド246を通され、グラフトチャンバ204を通され、アクチュエータねじの近位端部182と係合される。グラフト材料は、追加的に、ねじガイド246を通され、グラフトチャンバ204内に配置される。骨ファネル140は、ねじガイド246中に材料を通すために使用され、パイプ接続部はねじガイド246の寸法に最も適合するよう適応されるか置き換えられ得る。
【0068】
図46乃至図53は、本発明による更に別の実施形態を示す。具体的には、隣接する椎体間に位置決めするための椎間インプラント300が例示される。
【0069】
インプラント300の目的は、折り畳まれた時の高さで椎間板腔に挿入され、続いて、椎間板腔において高さの損失を回復するよう軸方向に伸張されることである。インプラント300は、延展を提供すると共に、最適な高さの回復を実現する。本発明は、挿入時の過剰な衝撃、視覚的障害や過剰延展を含む、現在直面している問題を傾斜付挿入部を用いて解決する。
【0070】
図53を参照するに、インプラントの特徴の分解図が示される。インプラント300は、主に、第1のエンドプレート302、第2のエンドプレート304、本体306、アクチュエータ308、及び、アクチュエータねじ310を有する。アクチュエータ308は、ねじ山付アクチュエータねじ310を用いて本体306に対して平行移動するよう構成される。しかしながら、ラチェットシステム等の全ての他のタイプのアクチュエータ機構が使用されてもよい。アクチェエータ308は、グラフト材料のためにより大きい単一の軸方向開口部を有してもよく、又は、追加的な強さのためにウェビングを有してもよい。アクチュエータねじ310は、保持クリップ312、止めねじ、又は、他の同様の機械的装置を用いて本体に留められる。アクチュエータ308は、第1及び第2のエンドプレート302、304上の傾斜付特徴と勘合する傾斜付表面314によっても構成される。
【0071】
動作中、アクチュエータ308が線形に平行移動されると、アクチュエータ308は、図49乃至図52に示されるように、エンドプレートを軸方向に移動させてインプラントを伸張させる。アクチュエータ308は、インプラント300を折り畳む際に第1及び第2のエンドプレート302、304をアクチュエータ308が捕捉することを可能にするダブテール特徴を有する。ブッシング316は、伸張中に摩擦を最小化するようねじ山付止めねじ310と本体306との間で使用される。安定化ねじ318又はピンは、本体306中の特定のスロット内を摺動され、アクチュエータ308内に螺合されることで組立体を捕捉し追加的な安定性を与えるために使用される。追加的な挿入部又は四角ナットが、周期的負荷下で高さの損失を防止するよう止めねじのねじ山に対して追加的な摩擦を提供するために使用され得る。インプラントの前面上のボア320は、伸張後にグラフトチャンバに追加的なグラフト材料を充填するために使用される。ホルダのような器具がこれらの特徴に取り付けられるよう、又は、インプラントの別の部分に取り付けられるよう構成されてもよいことに注意する。
【0072】
第1及び第2のエンドプレートは、図46に示すように上面全体、又は、図47に示すようにその一部分を覆うよう構成される。第1及び第2のエンドプレートは、術後のケージ移動を防止するようリッジ又は歯を有してもよい。X線不透過性マーカー322は、蛍光透視視覚化を補助するためにも使用され得る。組立体には、追加的なグラフト材料を充填するために使用され得る中央グラフトチャンバへのアクセスを提供するポートが設けられてもよい。
【0073】
本装置の利点は、特定のインプラントの範囲にわたって連続的な伸張及び延展を可能にする点である。これは、椎体を所望の高さに延展させ、望ましい場合には、再位置決めのために装置を折り畳む能力を提供する。本インプラントは、エンドプレートを収束させる能力を有し、骨グラフト配置のために脊柱前弯及びスルーウィンドウに切り込みを設ける。
【0074】
本願で引用する全ての参照は、全体的に参照として本願で明確に組み込んでいる。本発明には多数の異なる特徴があり、これらの特徴が一緒に使用されるか別々に使用されることが考えられる。これに反対することが記載されない限り、添付の図面の全てが原寸に比例していないことに注意する。そのため、本発明は、特徴の任意の特定の組み合わせ、又は、本発明の特定の適用に制限されるべきではない。更に、本発明と関連する当業者には、本発明の精神及び範囲内で変化及び変更が考えられるであろうことは理解されるであろう。したがって、本発明の範囲及び精神内にある本願記載の開示から、該技術に精通している者によって簡単に実現される全ての便宜的変更態様が、本発明の更なる実施形態として含まれるべきである。
図1
図2-3】
図4
図5
図6A-6B】
図7A-7B】
図8
図9-10】
図11-12B】
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23-24】
図25-26】
図27-30】
図31-32】
図33-35】
図36
図37-39】
図40
図41-43】
図44
図45
図46
図47
図48
図49-52】
図53