特許第6774336号(P6774336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774336
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】転動装置及び転動装置を備える家具
(51)【国際特許分類】
   B60B 33/06 20060101AFI20201012BHJP
   A47B 91/06 20060101ALI20201012BHJP
   F16C 19/14 20060101ALI20201012BHJP
   F16C 23/08 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   B60B33/06 Z
   A47B91/06
   F16C19/14
   F16C23/08
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-549783(P2016-549783)
(86)(22)【出願日】2015年2月6日
(65)【公表番号】特表2017-513750(P2017-513750A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(86)【国際出願番号】IB2015050907
(87)【国際公開番号】WO2015118492
(87)【国際公開日】20150813
【審査請求日】2017年10月16日
【審判番号】不服2019-5921(P2019-5921/J1)
【審判請求日】2019年5月8日
(31)【優先権主張番号】20140145
(32)【優先日】2014年2月6日
(33)【優先権主張国】NO
(31)【優先権主張番号】20140520
(32)【優先日】2014年4月28日
(33)【優先権主張国】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】516231257
【氏名又は名称】ウィール.ミー アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】リーバッケン,ロルフ
【合議体】
【審判長】 島田 信一
【審判官】 一ノ瀬 覚
【審判官】 出口 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−312201(JP,A)
【文献】 実開昭60−24685(JP,U)
【文献】 特開昭61−139501(JP,A)
【文献】 実開昭57−184804(JP,U)
【文献】 実開昭61−181544(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 33/06
A47B 91/06
F16C 19/14
F16C 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機構を表面に沿って移動可能にするために前記機構に一体化して使用される転動装置であって、一端に開口を有するシリンダを持つハウジングと、ピストンとを備え、
前記ピストンは、前記シリンダ内で往復移動可能に配置され、それにより、前記ピストンは、前記シリンダ内の上側位置と前記シリンダ内の下側位置との間で移動することができ、
前記ピストンは転動要素を備え、
前記転動要素は、前記シリンダ開口に向く前記ピストンの第1の端部に配置され、前記機構が移動されるときに表面上を転動し、
該転動装置は、前記シリンダ内で前記上側位置と前記下側位置との間で前記ピストンを移動させるアクチュエータシステムを前記ハウジング内に備え、
前記アクチュエータシステムは前記ハウジング内に設けられた電気モータを有すると共に、
前記アクチュエータシステムを制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、該制御装置に対する無線信号を受信するアンテナを備えることを特徴とする転動装置。
【請求項2】
前記アクチュエータシステムは、液体用のリザーバを備え、前記電気モータは、流体チャネルを通る流体接続部を通して、前記リザーバから前記シリンダ内のシリンダ容積に液体を圧送するポンプを駆動することを特徴とする、請求項1に記載の転動装置。
【請求項3】
前記流体チャネルは、前記シリンダ容積から前記リザーバに戻る液体の流れを許可するために開口することができる弁装置を備えることを特徴とする、請求項2に記載の転動装置。
【請求項4】
前記アクチュエータシステムは、前記ピストンに締結されるボールねじと、前記ボールねじを囲みかつ該ボールねじと係合状態にあるボールナットとを備え、
前記電気モータが、前記シリンダ内で前記ピストンの上側位置と前記ピストンの下側位置との間で前記ピストンを移動させるため前記ボールねじを回転させることを特徴とする、請求項1に記載の転動装置。
【請求項5】
前記ピストンは、該ピストンの前記第1の端部内の開口から該ピストンに入るよう延在するキャビティを有するように構成され、前記転動要素は前記キャビティ内に少なくとも部分的に配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の転動装置。
【請求項6】
前記ピストンは、前記キャビティ内に配置され、第1の球状軸受表面を有するように構成される軸受プレートを更に備え、
前記第1の球状軸受表面は、前記軸受プレートが回転可能に支持されるように前記キャビティ内に形成された対応する第2の球状軸受表面に当接して着座することを特徴とする、請求項5に記載の転動装置。
【請求項7】
前記軸受プレートは端部を有する突出部を備え、前記軸受プレートの前記第1の球状軸受表面は前記突出部の前記端部上に配置され、前記キャビティは、前記第2の球状軸受表面が配置される凹所を備えることを特徴とする、請求項6に記載の転動装置。
【請求項8】
前記キャビティにおいて、前記軸受プレートと前記転動要素との間及び前記軸受プレートと前記キャビティとの間のエリア内に複数の軸受ボールが配置されることを特徴とする、請求項6又は7に記載の転動装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記電気モータを制御するためのエレクトロニクスを有するプリント回路基板を備えることを特徴とする、請求項1〜8の何れか一項に記載の転動装置。
【請求項10】
前記転動装置は、更に前記ピストンの移動を開始させる開始装置を有することを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の転動装置。
【請求項11】
前記開始装置は、タッチ感応型センサ、又はスイッチを備えることを特徴とする、請求項10に記載の転動装置
【請求項12】
家具において、該家具の重量を支え、表面上に立つ少なくとも1つの支持要素を備える家具であって、前記支持要素は、前記表面に沿って該家具を移動させるために請求項1〜11のいずれか1項に記載の少なくとも1つの転動装置を備えることを特徴とする、家具。
【請求項13】
転動装置を備え、家具を表面に沿って移動可能にするために前記家具に前記転動装置を一体化された家具であって、
前記転動装置は、一端に開口を有するシリンダを持つハウジングと、ピストンとを備え、
前記ピストンは、前記シリンダ内で往復移動可能に配置され、それにより、前記ピストンは、前記シリンダ内の上側位置と前記シリンダ内の下側位置との間で移動することができ、
前記ピストンは転動要素を備え、
前記転動要素は、前記シリンダ開口に向く前記ピストンの第1の端部に配置され、前記家具が移動されるときに前記表面上を転動し、
前記転動装置は、前記シリンダ内で前記上側位置と前記下側位置との間で前記ピストンを移動させる電気モータを含むアクチュエータシステムを前記ハウジング内に備えると共に、
前記アクチュエータシステムを制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、該制御装置に対する無線信号を受信するアンテナを備える、家具。
【請求項14】
前記制御装置に信号を送信して、前記制御装置を介して前記アクチュエータシステムの動作を開始させる開始装置を更に有する、請求項13に記載の家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、床を横切って移動される家具、壁等の機構(device)に一体的に組み込まれ、表面に沿って転動する転動装置(rolling device)に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの事例において、例えば、家具の下及び背後を清掃する目的でアクセスするため、家具を移動させることが必要である。家具を移動させることを容易にするため、家具は、様々なタイプのホイールを備えてもよい。また、規則的に移動し、したがって、移動を容易にしかつ可能にするホイールを備え得る他のタイプの機構が存在する。これらの機構は、例えば、内装床プランレイアウトを変更するため移動可能である軽量パーティション壁であってもよい。同様の構造要素を移動させることが望ましい場合がある多くの他の場合が、同様に考えられる。
【0003】
本出願人は、特許文献1に記載されている転動装置を過去に開発した。特許文献1に記載されている転動装置は、例えば、家具の脚内に配置される円柱スリーブ装置、及び、円柱スリーブ装置内に移動可能に配置されるピストンを備える。ボール状又は球状ホイールは、ピストン内に配置される。ピストンは、ばねを備えるクリックシステムの助けを借りて、上側位置と下側位置との間で移動可能である。ピストンが下側位置にあるとき、家具は、その家具が立っている床を横切って転動することができ、一方、ピストンが上側位置にあるとき、ホイールは、円柱スリーブ装置の内部にあり、したがって、転動装置がその中に配置される家具の脚は床の上に立つ。そのため、家具は、家具に多少の力が加えられても、床を横切って不慮に転動することなく、所望の位置に設置される。
【0004】
特許文献1に記載されている転動装置に関する問題は、家具がクリックシステムを備えるように設計され、クリックシステムが、2つの位置の間でピストンが移動することを可能にするため、家具が持上げられることを必要とすることである。これは、家具が、多くの人々が持上げられるものに比べて重量が重い場合、及び/又は、家具が、その家具を持上げられるように手で把持することを難しくする扱いにくい形状を有する場合、又は、家具を持上げることが難しい又は不可能である方法で家具が位置決めされる場合に問題となる。
【0005】
特許文献1の転動装置に関する別の問題は、球状ホイールが、球状ホイールがその中に配置されるロック用部分内で或る程度の移動の自由を有するため、球状ホイールがロック用部分内に押込まれる可能性があることである。さらに、球状ホイールはゴム材料で作られる可能性があり、そのことは、ホイールが荷重を受ける(loaded)と或る程度形状を変える可能性があることを意味する。その結果、球状ホイールは、或る場合には、軸受ボールのうちの1つ又は複数を押付ける場合があり、それにより、表面を横切って家具を転動させることが難しくなるか又は不可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ノルウェー国特許第316760号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、家具、移動可能な壁等の機構に一体化され、機構を表面に沿って移動させることが可能な転動装置であって、当該転動装置を組み込んだ様々な機構を持上げ、身体的条件及び能力によらず誰でも使用することができる転動装置を提供することが本発明の目的である。
【0008】
また、転動装置を一体化した機構を、所望の時に、表面に沿って容易に移動可能であり、また、所望の時に、特定の場所に安定して立設させることが本発明の目的である。
【0009】
さらに、球状ホイールの転動特性を改善する解決策を見出すことが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの目的は、独立請求項1に記載の転動装置、独立請求項16に記載の家具、及び請求項17に記載の転動装置の使用によって達成される。転動装置の更なる実施形態は従属請求項1〜15に記載される。
【0011】
したがって、表面に沿って移動する機構用の転動装置が提供される。転動装置は、一端に開口を有するシリンダと、ピストンとを備え、ピストンは、シリンダ内で往復移動可能に配置され、それにより、ピストンは、シリンダ内の上側位置とシリンダ内の下側位置との間で移動することができる。ピストンは転動要素を備え、転動要素は、シリンダ開口に向くピストンの第1の端部に配置され、機構が移動されるときに表面上を転動する。転動装置は、シリンダ内で上側位置と下側位置との間でピストンを移動させるアクチュエータシステムを更に備える。その上側位置において、ピストンは、好ましくは、シリンダ内に非常に深く後退するため、転動装置は、シリンダ内にあり、表面上を転動することができない。その下側位置において、ピストンは、シリンダ開口に向かって非常に遠くに押し出されるため、転動装置の少なくとも大部分は、シリンダ開口の外側にあり、転動装置は表面上を転動することができる。
【0012】
転動要素は、好ましくは、ボール状又は球状であるが、同様に、他の形状を有してもよい。例えば、転動要素はホイールとして構成されてもよい。
【0013】
転動要素は、ホイールである場合、ピストンの第1の端部に取付けることができ、それにより、水平回転軸を中心に回転することができる。ピストンは、更に2部分ピストンとすることができ、上側ピストン部分及び下側ピストン部分は互いに回転可能に結合され、それにより、下側ピストン部分は垂直軸を中心に転動することができる。そのため、ピストン及びホイールは、シリンダ内に後退することができる。代替的に、ホイールは、ブラケット部分内に軸支されてもよく、それにより、ホイールが水平軸を中心に転動することができ、一方、ブラケット部分は、ピストンの第1の端部に回転可能に締結され、それにより、ブラケット部分、したがって同様に、ホイールが、垂直軸を中心に転動することができる。ピストンがシリンダを出入りするように移動すると、ホイールは、往復移動でピストン移動に追従することになる。ブラケット部分は、ピストンがシリンダに入るよう後退する際、シリンダに入らないか又はシリンダに部分的に入るようにしか移動しない別個の部分であってよい。ブラケット部分及びホイールがシリンダに入るように後退しない最後に述べた解決策は、例えばベッド等の機構であって、機構の周りに延在するスカートを有する機構上で使用することができる。機構は、ピストンが上側位置にあるときはスカートによって立ち、一方、ピストンが下側位置に移動すると、機構は、ホイール上に立つことになり、したがって、その機構が立っている表面を横切って移動することができる。
【0014】
アクチュエータシステムは、異なる方法で構成することができる。本発明の一実施形態において、アクチュエータシステムは、加圧ガスを貯蔵するためのガスタンクと、ガスタンクとシリンダ内のシリンダ容積との間及びシリンダ容積から転動装置の外部への流体接続部と、ガスタンクからシリンダ容積への及び/又はシリンダ容積から転動装置の外部へのガスの流れを制御する少なくとも1つの弁装置とを備えることができる。アクチュエータシステムは、ガスタンクからシリンダ容積へのガスの流れを制御する入口弁装置と、シリンダ容積から転動装置の外部へのガスの流れを制御する出口弁装置とを更に備えることができる。入口弁装置は、好ましくは、ソレノイド及び弁ロッドを備え、弁ロッドは、ソレノイドに接続され、ガスタンクからシリンダ容積へのガスの流れを許可及び遮断する弁メンブレンに当接して着座する。転動装置は、ピストンに取付けられるロッド及びアームを更に備えてもよく、アームは、ピストンがシリンダ内で下側位置に達すると、弁ロッドが弁メンブレンに押付けられるように、ロッド及び入口弁装置の弁ロッドに接続され、それにより、弁メンブレンは、ガスタンクからシリンダ容積へのガスの流れを遮断する。出口弁装置は、ソレノイド及び弁ロッドを備えることができ、弁ロッドは、ソレノイドに接続され、シリンダ容積から転動装置の外部へのガスの流れを調節する弁メンブレンに当接して着座する。例えば、ガスタンクは、ガスタンクがシリンダの延長部である点で転動装置の一体化部分であることが好ましいが、ガスタンクと転動装置内のシリンダとの間でガスが流れ得るように転動装置に流体接続される別個のユニットとすることができる。
【0015】
アクチュエータシステムは、代替的に、液体用のリザーバ及び電気モータを備えることができ、電気モータは、流体チャネルを通る流体接続部を通してリザーバからシリンダ内のシリンダ容積に液体を圧送するポンプを駆動する。本発明の一実施形態において、流体チャネルは、シリンダ容積からリザーバに戻る液体の流れを許可することができる弁装置を備えることができる。
【0016】
代替的に、アクチュエータシステムは、ピストンに締結される歯車と、歯車を囲み歯車と係合状態にあるボールナットと、シリンダ内でピストンの上側位置と下側位置との間でピストンを移動させるためボールナットを回転させる電気モータとを備えることができる。ピストン内の対応するねじ山に係合するねじ山を端部に備えるシャフトを電気モータが駆動する点で、電気モータがピストンを直接駆動することを可能にすることも考えられる。電気モータがシャフトを回転させると、ピストンは、シャフトの回転方向に応じて上又は下にねじ込まれる。
【0017】
電気モータを動作させるための電力は、転動装置内に配置された電池によって提供することができる。電池容量は、転動装置がその間に使用される予測年数にわたり1年当たりの上昇/下降動作の予想回数に対する電力を電池が送出することができるように選択される。電池は、任意選択で、必要であるときに交換することができるように転動装置内で交換可能に配置することができる。
【0018】
電気モータに電力を提供するため1つ又は複数の充電式電池を、また、1つ又は複数の充電式電池に充電するため転動装置の外側表面内に又はその上に配置される1つ又は複数の太陽電池を使用することも可能である。そのため、昼光が使用されて、1つ又は複数の電池を充電し、それにより、電池をチェックし、電池を交換する必要性を回避し、したがって、表面を横切って機構を移動することが所望されるときに電池が切れていることがわかることを防止することができる。例えば、誘導電力による等、無線充電システムによって充電される充電式電池を使用することが同様に可能である。
【0019】
代替法は、同様に、転動装置を主電源に接続することができるように、電気モータに接続される電力ケーブルを転動装置に設けることである。幾つかの家具及び他の機構は、既に最初から、主電源に通常接続される他の目的のための電力供給部を装備している。例えば、1つ又は複数の電気モータによって異なる位置にセットされる可能性があるベッドが存在する。こうした家具及び機構の場合、転動装置は、もちろん、同じ電力供給部を使用し、家具又は機構内の内部で同じ電力供給部に接続することができる。
【0020】
代替的に、アクチュエータシステムは、2方向ネオジムつり上げ磁石を搭載されている電磁ソレノイドを備えることができる。電磁ソレノイドは、転動装置内に配置された電池等の電力源に又は主電源に接続される。さらに、転動要素又はピストンは、磁気を帯びているか、又は、強磁性材料、すなわち、磁界中にあると磁化される材料で完全に又は部分的に作られる。転動要素又はピストンは、転動要素又はピストン内に一体化される磁気要素を備えることもできる。
【0021】
2方向ネオジムつり上げ磁石が搭載されているこの種の電磁ソレノイド、及び、磁気若しくは磁化可能転動要素、又は任意選択で、転動要素が搭載される磁気若しくは磁化可能ピストンは、特許文献1に記載されており、転動要素を外に押すばね要素及びクリックシステムを備える転動装置に関連して特に有用である。電磁ソレノイドに電力が供給されると、ソレノイドに取付けられた磁石は、アクティブ化し、球状ホイール内に着座する磁石を引寄せることになり、その結果、転動装置がつり上げられ、ホイールを転動モードにセットする。磁石が電力供給を遮断することによって非アクティブ化されると、つり上げ力は、有効でなくなり、球状ホイールは、その結果、全ての方向に移動することができる。球状ホイールをロックするため、磁石は、再びアクティブ化され、ホイールは、その後、移動することができないようにロックモードで所定の場所にクリックバックされることになる。
【0022】
転動装置が、添付図に詳細に示すように、上側位置と下側位置との間でシリンダを出入りするように移動するピストン内に配置される転動要素を備えるとき、磁気転動要素を使用することができるか、又は、磁石をピストン内に配置することができる。電磁ソレノイドは、好ましくは転動装置のハウジング内で、シリンダの上側に配置される。転動要素がシリンダ内で上側位置にある、すなわち、転動要素がシリンダに入るよう後退したとき、電磁ソレノイドは、ソレノイドと磁気転動要素との間に反発力をもたらす極性が与えられるように電力を供給されるか、又は、ピストン内の磁石は、シリンダ内で外に押されることになり、ついには、転動要素は、転動装置が表面を横切って転動することができる下側位置になる。転動装置がその中に配置される機構の重量は、通常、電力がオフされるときにピストン及び転動要素がシリンダに再び押込まれることを保証する。代替的に、転動要素又はピストンと電磁ソレノイドとの間に誘引力が生じ、また、ピストン及び転動要素がシリンダに入るように後退するように、電磁ソレノイドに電力を印加することができる。
【0023】
電磁石を動作させるための電力は、転動装置内に配置される電池によって、又は、電磁ソレノイドに接続される電力ケーブルによって提供され、それにより、転動装置が主電源に接続されることを可能にすることができる。電池容量は、好ましくは、転動装置が使用される予測年数にわたり1年当たりの上昇/下降動作の予想回数についての電力を電池が供給することができるように選択される。電池は、任意選択で、必要であるときに交換することができるように転動装置内に交換可能に配置することができる。
【0024】
転動装置を中に配置した家具又は機構、例えば、上述した1つ又は複数の電気モータによって異なる位置に調整することができるベッドが、主電源に接続される他の目的のための電力供給部を既に装備している場合、転動装置は、もちろん、同じ電力供給部を使用し、家具及び機構内の内部で同じ電力供給部に接続することができる。
【0025】
転動装置は、アクチュエータシステムを制御するための制御装置を更に備えることが好ましく、制御装置は、制御装置に対する無線信号送信のためのアンテナを備える。これは、信号を無線で送信するために使用することができるブルートゥース(登録商標)又は他の適した技術であってよい。転動装置のアクチュエータシステムは、マニュアルで、例えば、スタートスイッチ及びストップスイッチによって制御することができることも考えられる。スタート及びストップスイッチ(複数の場合もある)はマニュアルボタンであってよい。代替的に、例えば、感圧センサ等のセンサを使用することができ、感圧センサは、センサがタッチを記録すると、転動装置がその一部をなす家具又は機構を上昇又は下降させるプロセスを開始する。通常、家具又は機構は、多数の転動装置を備えることになる。例えば、ベッドは、通常、各脚内に1つの転動装置を備えることになり、全ての単一の脚上でボタンを押下し又はセンサにタッチする必要性をなくすために、転動装置は、例えば、上述したブルートゥース(登録商標)によって無線で通信するように適合することができる。その場合、好ましくはブルートゥース(登録商標)によって無線で他の転動装置と通信する1つのボタン/スイッチ又は1つのセンサが好ましくは使用され、それにより、転動装置のうちの1つの転動装置が、センサが設けられているか若しくはボタン/スイッチが設けられているかに応じて、センサにタッチすることによって又はボタン/スイッチを押下することによってアクティブ化されると、信号が、他の転動装置に送信され、それにより、転動要素を有する転動装置のピストンが、同時に、それぞれのシリンダから押出される又はそれぞれのシリンダに引込まれる。
【0026】
ピストンは、好ましくは、ピストンの第1の端部の開口からピストンの内側に延在するキャビティを有するように構成され、転動要素はこのキャビティ内に少なくとも部分的に配置される。転動要素は、換言すれば、ピストン内の所定の場所に支持されるが、転動装置がその中に配置される家具又は機構を移動するとき、転動装置が表面に沿って転動することを可能にするため、転動要素の一部は、ピストン開口の外側に必ず位置しなければならない。
【0027】
ピストンは、キャビティ内に配置され、球状軸受表面を有するように構成される軸受プレートを更に備えてもよく、球状軸受表面は、軸受プレートが回転可能に支持されるようにキャビティ内で対応する球状軸受表面に当接して着座する。軸受プレートは、好ましくは、端部を有する突出部を備え、軸受プレートの球状軸受表面は突出部の端部上に配置される。同様に、キャビティは、好ましくは、キャビティの球状軸受表面が配置される凹所を備える。キャビティにおいて、軸受プレートと転動要素との間及び軸受プレートとキャビティとの間のエリア内に複数の軸受ボールが好ましくは配置される。
【0028】
家具の重量を支え、表面上に立つ少なくとも1つの支持要素を備える家具が、同様に提供される。支持要素は、表面を横切って家具を移動させるために上述した少なくとも1つの転動装置を備える。
【0029】
表面に沿って転動移動し、移動を終えると安定位置を取るための、家具、可動壁、機械、トロリー、クレート、コンテナ等における上述した1つ又は複数の転動装置の使用が、同様に提供される。
【0030】
本発明の幾つかの非制限的な実施形態が以下で述べられる。
【0031】
同じ参照数字が全ての図において使用されて、転動装置の異なる実施形態において同じ技術的特徴を示すことが、最初に述べられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明による転動装置を通る断面図であり、ピストンは上側位置にある。
図2図1に示す転動装置を通る断面図であるが、ピストンは下側位置にある。
図3】本発明による転動装置を示す図であり、ピストンは、転動装置内に貯蔵される流体によって移動される。
図4】本発明による転動装置を示す図であり、ピストンは、機械的解決策によって移動される。
図5】本発明による転動装置を示す図であり、ピストンは、外部源から供給される流体によって移動される。
図6】家具の一部を示す図であり、転動装置は家具の一部に一体化され、ピストンは、転動要素が表面上を転動することができる下側位置にある。
図7】開始装置を備える転動装置を示す図である。
図8】一体化された転動装置を有する家具の一部を示す図であり、家具の一部は開始装置を備える。
図9】本発明による転動装置を示す図であり、ピストンは電磁システムによって移動される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1及び図2は、転動装置10の第1の実施形態を示し、したがって、両図を参照して説明される。
【0034】
転動装置10は、一端に開口14と、他端に底38とを有するハウジング11を備える。ハウジング11は、シリンダ13の下側部分を形成するシリンダ底23と、ハウジング11を通してシリンダ13の底からハウジングの底38まで延在するステムを構成している。
【0035】
シリンダ13内に、ピストン15が配置され、ピストン15は、ピストンが好ましくはシリンダ底23に当接して着座することになる上側位置と、ピストン15が1つ又は複数の停止縁(stop edge)39に当接して着座する下側位置との間で移動することができる。図1は、上側位置にあるピストン15を示し、一方、図2は、下側位置にあるピストンを示す。
【0036】
ピストン15の上側で、ピストン15とシリンダ底23との間に、シリンダ容積22が形成され、シリンダ容積22は、ピストンが図1に示す上側位置にあるときにほぼゼロであるサイズを有し、ピストンが図2に示す下側位置にあるときに最大サイズである。ピストン15の外側には、好ましくは、シール24が配置され、シール24は、ピストンとシリンダ13との間をシールして、シリンダ容積22内にある加圧流体が漏出することを防止する。
【0037】
ピストン15は、好ましくは、中空空間又はキャビティ43を有するように構成される。キャビティ43内に、軸受プレート17が配置される。軸受プレート17は、好ましくは軸受プレートの突出部49上に第1の球状軸受表面18を有するように構成される。ピストン15内の凹所内に、第2の球状軸受表面19が構成され、当該第2の球状軸受表面19に対して第1の球状軸受表面18が当接して着座している。そのため、軸受プレート15は、全ての方向にわずかに移動することが可能である。
【0038】
ピストン15は、転動要素20をピストン内の所定の場所に支持する1つ又は複数の支持部材16を更に備える。支持部材16は、好ましくは、転動要素20と1つ又は複数の支持部材16との間に、或る程度の隙間が存在するように構成される。これは、転動要素20を所定の場所に入るよう摺動させることをより容易にし、また同様に、転動要素20と支持部材(複数の場合もある)16との間の摩擦が少なく、それにより、転動要素がより容易に転動することを意味する。
【0039】
軸受プレート17と転動要素20との間、及び、軸受プレートとピストン15の残りの部分との間のエリアには、転動要素がその上に着座する多数の軸受ボール21が配置される。
【0040】
転動要素20は、好ましくは、荷重を受けると形状をわずかに変えることが可能であるゴム材料で作られ、このことは、転動要素が、側部にわずかに変位され、軸受ボール21を押付ける可能性があることを意味する。これが起こると、転動要素が転動しないリスクが生じる。これを回避するため、軸受プレート17及びピストン15は、対応する第1の球状軸受表面18及び第2の球状軸受表面19を有するように構成され、それにより、軸受プレート17は、軸受ボールが転動要素20によって押付けられると、或る程度押し戻す(yield)ことができるように構成されている。
【0041】
説明の最初の部分で述べたように、ピストンの第1の端部で支持されるか又はブラケット部分によってピストンの第1の端部に締結されるホイール状又は球状転動要素を使用することも可能であり、それにより、ホイールは水平軸を中心に転動し、それにより、ホイールが表面上を転動することを可能にすることができ、好ましくは、ホイールはまた垂直軸を中心に転動し、それにより、ホイールが旋回し、機構が表面を横切って所望の方向に転動されることを可能にすることができる。
【0042】
下側端部において、ハウジング11は、フット部分25を有するように更に構成され、フット部分25は、好ましくは、保護リング26を備え、ピストン15及び転動要素20がシリンダ13内の上側位置にあるときに表面に対する掻き傷及び他の損傷を防止する。保護リング26は、例えば、ゴム又はプラスチック材料で作ることができる。代替的に、フェルトパッド等をフット部分25の下に設けることができる。
【0043】
転動装置10は、上側位置と下側位置との間でシリンダ13内のピストン15を移動させるアクチュエータシステムを更に備える。図1及び図2に示す実施形態において、アクチュエータシステムは、好ましくは転動装置10内に一体化されるガスタンク28を備える。ガスタンクは、例えば、図1及び図2に示すように、シリンダ底23とハウジング底38との間でハウジング11内に配置することができる。
【0044】
アクチュエータシステムは、ピストンロッド40を更に備え、ピストンロッド40は、一端においてピストン15に固定され、ハウジング11内のステム12及び底38を通って延在し、その後、底38から突出する。他端において、ピストンロッド40は、横断要素41を有するように構成される。ガスタンク28からピストンロッド40までガスチャネル44が延び、一方、ピストンロッド40とステム12との間には、ガスチャネル44がガスの貫通流のために開口しているときにガスがガスタンク28からシリンダ容積22までガスが流れることができることを意味する隙間が存在する。ピストンロッド40から底部38のちょうど上に、ガスチャネル46と連通する別のガスチャネル45が延びる。ガスチャネル46は、転動装置10の外側と連通し、それにより、ガスチャネル45がガスの貫通流のために開口しているときに、ガスは、シリンダ容積22から、ピストンロッド40とステム12との間の隙間を介して、ガスチャネル45及び46を通って外に流れることができる。こうして、シリンダ容積22のガスを空にすることができる。
【0045】
ガスタンク28からシリンダ容積22へのガスの流れを制御するため、転動装置10は、弁ロッド32を備える入口弁装置30を備え、弁ロッド32は、一端でソレノイド31に接続され、中央部分に肩部33を有するように構成される。弁ロッド32の他端は、弁メンブレン34に当接して着座し、弁メンブレン34は、ガスチャネル44を覆って存在し、ガスタンク28からのガスの貫通流を遮断及び許可する。アーム42は、一端でピストンロッド40に摺動可能に接続され、他端で弁ロッド32に摺動可能に接続される。シリンダ容積22から転動装置10の外部へのガスの流れを制御するため、転動装置10は、弁ロッド36を備える出口弁装置29を備え、弁ロッド36は、一端でソレノイド35に接続される。弁ロッド36の他端は、弁メンブレン37に当接して着座し、弁メンブレン37は、ガスチャネル45を覆って存在し、シリンダ容積22からのガスの貫通流を遮断及び許可する。
【0046】
ピストンロッド40の周りの隙間においてガスが漏出することを防止するため、シール43が、ガスチャネル44及び45のすぐ上に設けられる。
【0047】
転動装置11は、制御装置47を更に備え、制御装置47は、特に、アンテナと、ソレノイド31及び35の制御用のエレクトロニクスを有するPCB(すなわちプリント回路基板)とを備える。電池48は、制御装置47並びに弁装置29及び30の動作のために必要である電力を提供する。転動装置10は、好ましくは、転動装置の寿命全体にわたって持続する電池を備えるが、そうする必要性が存在するときに電池を交換することができるように転動装置を構成することももちろん可能である。
【0048】
制御装置のアンテナは、例えば、ブルートゥース(登録商標)技術を使用することによって、リモートコントロールからの信号を受信するように適合される。アンテナが信号を受信すると、アンテナは、受信される信号に応じて、ソレノイド31又は35の一方をトリガーする信号を送出する。例えば、感圧センサ等のセンサ又はボタン若しくはスイッチを使用して、シリンダ13内で上側位置と下側位置との間でのピストン15の移動をアクティブ化することも可能である。これは、図7及び図8に示され、以下でより詳細に述べられる。
【0049】
使用時、図1及び図2に示す転動装置10は、以下の方法で働く。ピストン15が上側位置にあるとき、転動要素20は、シリンダ13の内部にあり、転動装置10を中に配置した機構は表面上に立設している。転動要素20を有するピストンをシリンダ13から出すための信号をアンテナが受信すると、制御装置は、弁ロッド32を上方にかつソレノイド31に入るように、引込む電流パルスをソレノイド31に確実に受信させる。ガスタンクからのガス圧は、その後、弁メンブレン34を上方に持上げ、ガスチャネル44を通り、ピストンロッド40とステム12との間の隙間を通って下方に、そしてシリンダ容積22に入るようなガスの流れを許可する。弁メンブレンの全エリアが、今やガス圧を受け、それにより、力が、ソレノイド31からのばね圧を超える。ピストン15は、その後、シリンダ13から出るように移動し、ついには、ピストン15は、弁ロッド32上の肩部33に当接して下に押されるアーム42を、ピストンロッド40上の横断要素41が把持する所望の位置に達する。弁ロッド32は弁メンブレン34に当接して下に押され、弁メンブレン34はガスチャネル44内の開口に向かって押される。そのため、ガスチャネル44は、ガスの更なる貫通流に対して遮断される。停止縁39は、ピストンが制御されずにシリンダ13から出て来ることを防止する。
【0050】
転動要素20を有するピストンをシリンダ13内に移動させる信号をアンテナが受信する場合、制御装置47は、弁ロッド36を上方にかつソレノイド31に入るよう引込む電流パルスをソレノイド35に確実に受信させる。シリンダ容積22からのガス圧は、その後、弁メンブレン37を上方に持上げ、シリンダ容積22から、ピストンロッド40とステム12との間の隙間を通り、更に出てガスチャネル45及びガスチャネル46に入るようなガスの貫通流を許可する。
【0051】
図3図5において、3つの他のアクチュエータシステムが示され、これらのアクチュエータシステムは、図1及び図2に示す転動装置10の実施形態のように、転動要素20がシリンダ13の内部にあるシリンダ13内の上側位置と、転動要素20がシリンダ13から部分的に突出し、それにより、転動装置10を中に配置した機構が、立設している表面を横切って転動することができる、シリンダ13内の下側位置との間でピストン15を移動するために使用することができる。
【0052】
図3は、ハウジング11の内部に配置される電気モータ50を備えるアクチュエータシステムを示す。電気モータ50は、ポンプ52を駆動するシャフト51に接続される。転動装置11は、同様に、液体用のリザーバ61と、リザーバ61をポンプに、その後、シリンダ容積22に接続する液体チャネル53とを備える。ピストン15がシリンダ13から出るように移動すると、電気モータは、制御装置(図3には示さず)からの信号を受けると始動してポンプ51を駆動し、ポンプ51は、液体をリザーバ61からシリンダ容積22に圧送する。こうして、ピストン15はシリンダ13から出るように移動する。ピストンがシリンダ内に戻ると、液体は、液体チャネル53を通して戻すことができる。転動装置10がその中に配置される機構の重量は、ピストンをシリンダに入るよう押し、また、液体をシリンダ容積から出てリザーバ61に戻るよう押す。
【0053】
図4において、ハウジング11内に配置される電気モータ50を備える別のアクチュエータシステムが示される。シャフト51は、電気モータ50及び歯車54に接続される。歯車54は、ボールナット55と係合状態にある。ボールナット55は、ピストン15に締結されるボールねじ56を囲む。電気モータ50がシャフト51を回転させると、歯車54は、ボールナット55を回転させることになり、ボールナット55は、したがって、シャフト51の回転方向に応じて、シリンダ13から出るか又はシリンダ13に入るようボールねじ56及びピストン15を回す。
【0054】
上記の図3及び図4に関連して述べられる電気モータ50は、電池(図示せず)によって動作することができる。電池は、転動装置の耐用年数中、予想される移動回数に対応して、シリンダ13を出入りするピストン15の或る特定の回数の移動についての電力を供給することができる容量にすることができる。電池は、同様に、転動装置内に交換可能に配置することができる。電池は、電池が取外され、元通り転動装置内に置かれる前に充電される点で、又は、転動装置が、電池を充電するため、外部電力供給部、例えば主電源若しくは発電機に接続される点で充電式とすることができる。説明の最初の部分で述べたように、電池は、代替的に充電式であり、転動装置の外側表面内に又はその上に配置される太陽電池を使用して、又は、誘導電流等の無線充電システムを使用することによって充電されてもよい。
【0055】
代替的に、転動装置は、電力ケーブルによって主電源に接続することができるように電力供給部を備えることができる。家具又は機構が複数の転動装置を備える場合、全ての転動装置は、好ましくは、転動装置を動作させるため、主電源から電力を供給するための電力供給部に接続されることになる。特に、転動装置を中に配置した家具又は機構、例えば、ベッドベースの形態を変更するため電気モータを使用するベッド、又は、照明を備える家具若しくは機構が、別の目的で電力供給部を備える場合、主電源からの電力を受電する家具又は機構内の同じ電力供給部によって転動装置が動作されることも可能にすることが好都合である場合がある。
【0056】
図3及び図4の電気モータ50は、好ましくは、制御装置(図示せず)によって制御される。制御装置が、リモートコントロール又は開始装置62(図7及び図8参照)から無線で、又は任意選択で、開始装置62(図7及び図8参照)からの信号ケーブルによって信号を受信すると、電気モータは、転動要素20が表面と接触状態になる位置にピストン15を押すことになり、それにより、転動装置10と、転動装置10を中に配置した家具又は機構が表面上を転動することができるか、又は、転動要素20がシリンダ13内に引込まれる位置にピストン15を押すことになり、それにより、フット部分25が表面と接触状態になる。
【0057】
図5は、図1及び図2の実施形態に関連して述べたのと同じ方法でシリンダ13内に配置されるピストン15を有する転動装置10を示す。流体チャネル62は、ハウジングを通してハウジングの外側まで配置される。図1及び図2に示すように、転動装置内に一体化されたガスタンクを有する代わりに、流体チャネル57が示され、流体チャネル57は、例えば、流体チャネル62の出口に接続されるホースであり、それにより、ホース57の端からシリンダ容積22まで連続流体チャネルを形成してもよい。そのため、流体チャネル57は、外部ガスタンクに接続することができ、これは、ガスタンクの交換を簡略化する。通常、ガスタンクは、予想される年数の間、シリンダ13を出入りするピストン15を所与の回数移動させることによって転動装置を機能させるのに十分なガスで充填されることになる。しかし、転動装置10がその中に配置される家具又は機構が、非常にしばしば移動される場合が考えられ、したがって、図5に示す実施形態等において、容易に交換することができるガスコンテナを使用することが有利である場合がある。
【0058】
図6において、典型的な家具部品、例えば、転動装置10を搭載したベッド、テーブル、ソファ等の脚が示される。家具部品は、転動装置10の外側寸法に適合されるキャビティ58と、家具部品を家具に締結するための締結装置とを有するように構成される。転動装置10は、キャビティ58に導入され、その後、保持要素27が、転動装置10がキャビティ58から外に落ちることを防止する。
【0059】
図6は、シリンダ13内でその下側位置にあるピストン15を示し、転動要素20は転動装置から突出し、表面上に存在し、表面を横切って転動することができる。家具部品60が締結される家具は、今や表面を横切って転動することができる。ピストン15がシリンダ13内でその上側位置に移動すると、転動要素20は、フット部分25のちょうど上になり、フット部分25が、したがって表面上に立つ。家具部品60が締結される家具は、したがって、表面上に安定して立つことになる。
【0060】
図7及び図8は、家具又は機構が表面を横切って転動されるときにシリンダから出るピストン15の移動、又は、家具又は機構が所望の位置まで転動されたときにシリンダに入るピストン15の移動を開始するためのリモートコントロールを使用することに対する代替法を示し、家具又は機構が、安定した位置を有するべきである、すなわち、所望の位置から転動して外れる可能性を有するべきでないことが所望される。ピストン15がシリンダ13内に移動すると、転動要素は、同様に、シリンダ内に上方に引込まれることになり、フット部分25は、最終的に、表面上に安定して立つことになる。
【0061】
図7は、上述した転動装置10を示し、ハウジング11は、転動装置がフット部分25によって立設しているときにピストン13内での上側位置から下側位置へのピストン15の移動を開始するための、又は、転動装置が転動要素20によって立設しているときにシリンダ13内での下側位置から上側位置へのピストン15の移動を開始するための開始装置62を備える。開始装置62は、好ましくは、センサ、例えば、人がセンサにタッチすることを記録する感圧センサを備える。開始装置62は、好ましくは、無線で、例えばブルートゥース(登録商標)技術の使用を通して、又は任意選択で、開始装置62及び制御装置47を接続するケーブル(図示せず)を通して制御装置47と通信する。人が開始装置62内のタッチ感応型センサ(touch-sensitive sensor:タッチセンサ)にタッチすると、信号が制御装置47に送出されることになり、ピストン13は、シリンダ13内の上側位置から、転動要素20が表面と接触状態になる下側位置に移動し、それにより、転動装置10を中に配置した家具又は機構が表面を横切って転動することができることになるか、又は、シリンダ13内の下側位置から、転動要素20がその全体をシリンダ13内に引込まれ、フット部分25が表面と接触状態になる上側位置に移動することになる。
【0062】
センサの代わりに、開始装置62が、所望の場合、スイッチ又はボタンを備えることができることが同様に述べられるべきである。開始装置62は、無線で、又は、センサが使用されるときと同じ方法で信号ケーブルによって制御装置47と通信する。人がスイッチを押下することによって、転動要素20が、表面と接触状態になり表面を横切って転動することができるか、又は、フット部分25が表面と接所状態になるようにシリンダの内部に引込まれる位置になるようシリンダ内でのピストンの移動を開始させる。
【0063】
図8は、図6に示す家具部品60内のキャビティ58内に配置される転動装置10を示す。転動装置10が図6及び図8に示すように家具部品内に一体化して配置されると、家具部品60は、上記の図7に関連して説明したのと同じ方法で機能する開始装置62を外側に備える。開始装置62は、好ましくは、上記で説明した、センサ又は任意選択でスイッチ若しくはボタンを備え、開始装置62は、好ましくは、無線で、又は任意選択で、開始装置62及び制御装置47を接続する信号ケーブル(図示せず)を通して制御装置47と通信する。感圧センサがタッチされると、又は任意選択で、スイッチ若しくはボタンが押下されると、制御装置47は、ピストンが上側位置にあるか又は下側位置にあるかに応じて、シリンダ13内で、上側位置から下側位置への又は下側位置から上側位置へのピストン15の移動を作動することになる。
【0064】
家具又は機構が、通常のように、複数の転動装置10を備える場合、好ましくは、1つだけの転動装置が、又は任意選択で、転動装置が図6及び図8に示すように家具部品内に一体化されて配置される場合、1つの家具部品が、開始装置62を備える。1つの開始装置62は、その後、好ましくは直接に、又は任意選択で、開始装置62がその中に配置される転動装置内の制御装置47を介して、全ての転動装置62内の制御装置47と通信する。開始装置62がその中に配置される転動装置10内の制御装置47に、家具又は機構が備える全ての他の転動装置10を制御させることが同様に可能である。したがって、開始装置の感圧センサがタッチされるか、又は任意選択で、スイッチが押下されると、全ての転動装置10内のピストン15は、シリンダ13内で上側位置から下側位置に又はシリンダ13内で下側位置から上側位置に同時に移動することになる。
【0065】
図9は、電磁ソレノイド65を備えるアクチュエータシステムを有する転動装置10を示し、電磁ソレノイド65は、好ましくは、シリンダ13の上側でハウジング11内に配置される。ソレノイド65は、好ましくは、電磁ソレノイド65が加えることができる磁気力を増加させるためネオジム磁石66を備える。電磁ソレノイド65は、スイッチを有する電池70に電気的に接続され、スイッチは、電磁ソレノイドに対する電力をターンオン及びターンオフすることができる。これは、制御装置47によって制御され、制御装置47は、好ましくは、上述したのと同じ方法でリモートコントロール又はセンサから信号を受信する。代替的に、電磁ソレノイド65は、電気ケーブルによって主電源に接続される。ピストン15内には、図9に示すように磁石67が配置される。電流がソレノイド65を通して送出され、ピストンが上側位置にあるとき、ソレノイド66は、磁界を生じることになり、磁界は、磁石67に対する反発力をもたらすことになり、それにより、ピストン及び転動要素20は、転動装置10が表面を横切って転動することができる下側位置になるよう移動する。電磁ソレノイドに対する電力がオフになると、反発性磁界が消えることになり、転動要素20を有するピストンは、転動装置10は家具又は機構の重量によって上側位置に押込まれることになる。代替的に、ソレノイド65を通る電流の方向は、ピストン及び転動要素がシリンダ13内の上側位置内に後退するよう、ピストン15内の磁石67を誘引する磁界が形成されるように転換することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9