(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態のリール固定装置について、図面を参照して説明する。以下の説明において、「前」側は、釣竿の竿先側を言い、「後」側は、釣竿の竿元側を言う。なお、各実施形態において、同一の部分には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
【0023】
(第1実施形態)
[リール固定装置の概要]
図1に示すように、リール固定装置10は、魚釣用リールとしての魚釣用スピニングリールRを取り付けるためのものである。リール固定装置10には、釣竿取付脚R1が固定される。本実施形態のリール固定装置10は、釣り人の手指で握持されるグリップを兼ねている。釣竿取付脚R1は、リール本体R2から上方へ延在する脚部R3の上端に一体に設けられ、前後方向に延在している。
リール固定装置10は、リールシート本体(以下、本体と称する)11と、当付面16,17と、前挟持部20および後挟持部30と、を備えている。
【0024】
[本体]
本体11は、
図2,
図3各図に示すように、前後方向に貫通する貫通孔15が形成された筒状の部品である。貫通孔15内に釣竿を構成する竿杆1が挿通されて、本体11が竿杆1に外嵌されている。本体11は、竿杆1に接着剤等で一体的に固定されている。本体11は、竿杆1に沿って前後方向に長く形成されている。
【0025】
本体11は、前部12と、後部13と、これらの中間部となる中央部14と、を備えている。前部12および後部13は、下方向を向く面が平面とされた略断面D字形状を呈しており、握持し易い形状とされている。中央部14は、前部12および後部13に比べて小径とされている。これにより本体11は、中央部14がくびれた形状となっている。中央部14の外周面において下方向を向く面には凹部14aが形成されている。凹部14aには、穴部15aが形成されている。穴部15aには、竿杆1の一部1aが露出している。なお、穴部15aは、必ずしも設けなくてもよい。
【0026】
なお、本体11は、例えば、ABS樹脂、ナイロン、ポリカーボネート等の合成樹脂材や繊維強化樹脂材、金属材で形成されている。金属材で形成した場合には、釣竿取付脚R1の挟持性および耐久性が向上する。
また、竿杆1は、例えば、炭素繊維やガラス繊維等を含む強化繊維に、エポキシ樹脂等の合成樹脂を含浸した繊維強化樹脂材で構成されており、管状体あるいは中実体として構成されている。竿杆1は、1本で構成されていてもよいし、複数の竿杆を継合する構成であってもよい。
【0027】
[当付面]
当付面16および当付面17は、
図3(c)に示すように、本体11の軸O1と平行に形成されている。当付面16および当付面17は、同一平面とされている。
当付面16は、本体11の前部12の下面に形成される平らな面である。当付面16には、釣竿取付脚R1の前脚R11が当て付けられる。
当付面17は、本体11の後部13の下面に形成される平らな面である。当付面17には、釣竿取付脚R1の後脚R12が当て付けられる。
【0028】
[前挟持部]
前挟持部20は、当付面16とで前脚R11を挟持する役割をなす(
図1参照)。前挟持部20は、
図2,
図3(a)に示すように、当付面16の一部から下方に突出し、さらに左右方向(側方方向)に延びる帯状(舌片状)のものである。詳細には、前挟持部20は、下方から視た場合、当付面16の左縁部16aから当付面16の右縁部16bに向かって延びている。
【0029】
前挟持部20は、
図4(a)、
図5(a)に示すように、軸方向から視て、弧状を呈している。よって、前挟持部20と当付面16との間には、前脚R11を挟持するための挟持空間部23が形成されている。
また、前挟持部20が弧状であることから、前挟持部20の前端部20aも当付面16と連続しておらず、前挟持部20の前端部20aと当付面16との間には、前部開口部が形成されている。同様に、前挟持部20の後端部20bは、当付面16と連続しておらず、前挟持部20の後端部20bと当付面16との間には後部開口部が形成されている。
よって、挟持空間部23は、前部開口部と後部開口部とを介して前後方向に開放している。
【0030】
前挟持部20の左端部は、当付面16の左縁部16aに連続している。一方で、前挟持部20の右側部21は、当付面16の右縁部16bに連続していていない。このため、前挟持部20は、片持ち構造となっており、前挟持部20の右側部21と当付面16との間が側部開口部S1となっている。
【0031】
側部開口部S1は、本体11の右側方に向けて開口している。つまり、側部開口部S1は、当付面16の法線方向から視て、当付面16上における本体11の軸O1に直交する右側方に開口している。
よって、釣竿取付脚R1の取り付け時には、側部開口部S1から前脚R11の側部R111(
図6(a)参照)を進入させて、前挟持部20と当付面16とで、前脚R11を挟持することができる。このように側部開口部S1は、前挟持部20の挟持空間部23に対して前脚R11を着脱する際の着脱口として機能する。
また、前挟持部20と当付面16とで、前脚R11が挟持されると、前挟持部20の左端部を支点として、前挟持部20は、当付面16から離間するように弾性変形する。つまり、前挟持部20は、弾性をもって前脚R11を挟持する。
【0032】
また、釣竿取付脚R1の前後方向の長さによっては、前脚R11が挟持空間部23に収まりきらない場合がある。この場合には、前挟持部20の前部開口部を通じて前脚R11を前方に突出させることができる。
なお、後部開口部は、前脚R11の基部側(脚部R3に近い側)が延在するための空間となる。
さらに、釣竿取付脚R1の取り外し時には、側部開口部S1から前脚R11を退出させる。この場合、前挟持部20は、左端部を支点として当付面16に近接し、元の形状に弾性復帰する。
【0033】
側部開口部S1の上下方向の間隔は、前脚R11の上下方向の厚み寸法よりも小さい寸法に設定されている。したがって、挟持空間部23に前脚R11が挟持されると、側部開口部S1の上下方向の間隔が前脚R11の上下方向の厚み寸法よりも小さい寸法に閉じることとなる。したがって、挟持空間部23から前脚R11が抜け難くなっている。
【0034】
前挟持部20の軸方向の断面は、
図3(c)に示すように、前脚R11の軸方向の外形状に対応している。つまり、前挟持部20の軸方向の断面は、前脚R11の軸方向の外形状に倣って前端部20aから後端部20bに向けて挟持空間部23が漸次大きくなるように形成されている。言い換えると、前挟持部20の内面は、前側から後側に向けて下方に位置しており、下り傾斜面となっている。このため、前挟持部20の内面と当付面16との距離は、後方に向かうにつれて次第に大きくなり、前脚R11の軸方向の外形状に沿ったものとなっている。このため、密着性が高まり、ガタツキ難くなっている。
【0035】
また、前挟持部20の径方向の断面は、
図5(a)(c)に示すように、前脚R11の径方向の外形状に対応している。つまり、前挟持部20の径方向の断面は、前脚R11の径方向の外形状に倣って内面が湾曲凹状に形成されている。言い換えると、前挟持部20の内面は、左右方向の中央部から左右両側に向けて上方に位置しており、湾曲した傾斜面となっている。このため、前挟持部20の内面と当付面16との距離は、中央部から左右両側に向かうにつれて次第に小さくなり、前脚R11の径方向の外形状に沿ったものとなっている。このため、密着性が高まり、ガタツキ難くなっている。
【0036】
[後挟持部]
後挟持部30は、当付面17とで後脚R12を挟持する役割をなす(
図1参照)。後挟持部30は、
図3(a)に示すように、下方から視た場合(当付面16,17の法線方向から視た場合)、本体11の軸O1上の基準点Pを対称点として前後に点対称な構成である。
後挟持部30は、前挟持部20と同様に、当付面17の一部から下方に突出し、さらに左右方向(側方方向)に延びる帯状(舌片状)のものである。詳細には、後挟持部30は、下方から視た場合、当付面17の右縁部17bから当付面17の左縁部17aに向かって延びている。
【0037】
後挟持部30は、
図4(b)、
図5(b)に示すように、後脚R12を挟持するための挟持空間部33を備えている。また、後挟持部30の前端部30aと当付面17との間には、前部開口部が形成されている。後挟持部30の後端部30bと当付面17との間には、後部開口部が形成されている。これにより、挟持空間部33が前部開口部と後部開口部とを介して前後方向に開放している。
【0038】
また、後挟持部30は、片持ち構造であり、後挟持部30の左側部31と当付面17との間が本体11の左側方に向けて開口する側部開口部S2となっている。つまり、側部開口部S2は、当付面17の法線方向から視て、当付面17上における本体11の軸O1に直交する左側方に開口している。
よって、釣竿取付脚R1の取り付け時には、側部開口部S2から後脚R12の側部R121(
図6(a)参照)を進入させて、後挟持部30と当付面17とで、後脚R12を挟持することができる。側部開口部S2は、後挟持部30の挟持空間部33に対して後脚R12を着脱する際の着脱口として機能する。
また、後挟持部30は、後脚R12が挟持されると、後挟持部30の左端部を支点として、当付面17から離間するように弾性変形する。つまり、後挟持部30は、弾性をもって後脚R12を挟持する。
【0039】
また、挟持空間部33に後脚R12が収まりきらない場合には、後挟持部30の後部開口部を通じて後脚R12を後方に突出させることができる。後挟持部30においても、前部開口部は、後脚R12の基部側(脚部R3に近い側)が延在するための空間部となる。
さらに、側部開口部S2から後脚R12を退出させると、後挟持部30は、右端部を支点として当付面17に近接し、元の形状に弾性復帰する。
【0040】
側部開口部S2の上下方向の間隔も前挟持部20の側部開口部S1と同様に、後脚R12の上下方向の厚み寸法よりも小さい寸法に設定されている。したがって、挟持空間部33から後脚R12が抜け難くなっている。
【0041】
また、後挟持部30の軸方向の断面は、
図3(c)に示すように、後脚R12の軸方向の外形状に対応し、後端部30bから前端部30aに向けて挟持空間部33が漸次大きくなるように形成されている。後挟持部30の内面と当付面17との距離は、前方に向かうにつれて次第に大きくなり、後脚R12の軸方向の外形状に沿ったものとなっている。このため、密着性が高まり、ガタツキ難くなっている。
【0042】
一方、後挟持部30の径方向の断面は、
図5(b)(d)に示すように、後脚R12の径方向の外形状に対応し、内面が湾曲凹状に形成されている。後挟持部30の内面と当付面17との距離は、中央部から左右両側に向かうにつれて一定の曲率で次第に小さくなり、後脚R12の径方向の外形状に沿ったものとなっている。このため、密着性が高まり、ガタツキ難くなっている。
【0043】
[リール固定装置への取り付け]
次に、リール固定装置10への釣竿取付脚R1の取り付けについて、
図6(a)(b)を参照して説明する。
初めに、一方の手でリール固定装置10(竿杆1)を持ち、他方の手で魚釣用スピニングリールRを持って、リール固定装置10の下面側に魚釣用スピニングリールRの釣竿取付脚R1を近付る。そして、
図6(a)に示すように、本体11の軸O1に対して釣竿取付脚R1の軸O2を傾斜させて、前挟持部20の側部開口部S1の右側方に前脚R11を配置するとともに、後挟持部30の側部開口部S2の左側方に後脚R12を配置する。
【0044】
その後、釣竿取付脚R1の脚部R3の軸を中心として、
図6(a)中矢印方向に魚釣用スピニングリールRを回動させ、側部開口部S1を通じて前脚R11の側部R111を側方から挟持空間部23に進入させる。また、側部開口部S2を通じて後脚R12の側部R121を側方から挟持空間部33に進入させる。
【0045】
これにより、前脚R11が当付面16と前挟持部20とで挟持されるとともに、後脚R12が当付面17と後挟持部30とで挟持され、リール固定装置10へ釣竿取付脚R1が固定される。
【0046】
前脚R11が前挟持部20に挟持されることで、側部開口部S1の上下方向の間隔が前脚R11の上下方向の厚み寸法よりも小さい寸法に閉じる。また、後脚R12が後挟持部30に挟持されることで、側部開口部S2の上下方向の間隔が後脚R12の上下方向の厚み寸法よりも小さい寸法に閉じる。したがって、前脚R11および後脚R12は、抜け難い状態で挟持される。
【0047】
また、前挟持部20および後挟持部30は、それぞれ弾性をもって前脚R11,後脚R12を挟持するので、釣竿取付脚R1の前後方向、左右方向の位置ずれを好適に防止することができる。
また、実釣時には、リール固定装置10を握持する手指で釣竿取付脚R1を握持できるので、釣竿取付脚R1の前後方向、左右方向の位置ずれを好適に防止することができる。
【0048】
[リール固定装置からの取り外し]
取り外し時にも、一方の手でリール固定装置10(竿杆1)を持ち、他方の手で魚釣用スピニングリールRを持つ。
そして、釣竿取付脚R1の脚部R3の軸を中心として取り付け時と逆方向に魚釣用スピニングリールRを回動させ、側部開口部S1から前脚R11を退出させる。また、側部開口部S2から後脚R12を退出させる。
これにより、リール固定装置10から釣竿取付脚R1が取り外される。
【0049】
以上説明した本実施形態のリール固定装置10では、側部開口部S1を通じて前脚R11の側部R111を側方から挟持空間部23に進入させることで、前脚R11を前挟持部20に挟持することができる。また、側部開口部S2を通じて後脚R12の側部R121を側方から挟持空間部33に進入させることで、後脚R12を後挟持部30に挟持することができる。この取り付け操作は、リール固定装置10に対して相対的に魚釣用スピニングリールRを回動するだけ(動かすだけ)の操作で足りる。これにより、魚釣用スピニングリールRを持つ手指およびリール固定装置10(竿杆1)を持つ手指をいちいち持ち替えることなく行うことができる。したがって、従来のような煩雑な取り付け操作を必要とせずに、釣竿取付脚R1をリール固定装置10に簡単に固定することができる。
【0050】
また、取り付け時と逆方向に側部開口部S1を通じて前脚R11を挟持空間部23から退出させるとともに、側部開口部S2を通じて後脚R12を挟持空間部33から退出させることで、釣竿取付脚R1を取り外すことができる。この取り外し操作も、リール固定装置10に対して相対的に魚釣用スピニングリールRを回動するだけ(動かすだけ)の操作で足りるので、魚釣用スピニングリールRを持つ手指およびリール固定装置10(竿杆1)を持つ手指をいちいち持ち替えることなく行うことができる。したがって、従来のような煩雑な操作を必要とせずに、釣竿取付脚R1をリール固定装置10から簡単に取り外すことができる。
また、従来のような移動フードを設ける必要がないので、部品点数を削減してコストの低減を図ることができる。
【0051】
また、前挟持部20および後挟持部30は、片持ち構造であり、帯状(舌片状)に形成されているので、前挟持部20および後挟持部30の強度を確保しつつ弾性変形し易く構成することができる。
【0052】
また、前挟持部20および後挟持部30は、軸方向の断面形状が釣竿取付脚R1の端部の形状に対応する形状であり、また、径方向の断面形状が釣竿取付脚R1の端部の形状に対応する形状である。したがって、挟持性が高まり、リール固定装置10から釣竿取付脚R1が外れ難くなる。これにより、魚釣操作性が高まる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、
図7〜
図10を参照して第2実施形態のリール固定装置10Aについて説明する。本実施形態のリール固定装置10Aが前記第1実施形態と異なるところは、竿杆1の軸方向に離間配置された2つの本体11Aで構成されている点にある。
【0054】
[本体]
図7,
図8に示すように、2つの本体11Aは、前後方向に貫通する貫通孔15Aがそれぞれ形成された筒状の部品である。各貫通孔15A内に竿杆1が挿通されて、各本体11Aが竿杆1に外嵌されている。
2つの本体11Aは、釣竿取付脚R1が固定される距離を隔てて竿杆1の軸方向に配置され、竿杆1に接着剤等で一体的に固定されている。本実施形態では、2つの本体11Aを同様の構造としてある。よって、以下では、前側の本体11Aを例にとって説明する。
【0055】
本体11Aは、
図10各図に示すように、下方向を向く面が平面とされた略断面D字形状を呈している。なお、本体11Aは、例えば、ABS樹脂、ナイロン、ポリカーボネート等の合成樹脂材や繊維強化樹脂材、金属材で形成されている。金属材で形成した場合には、釣竿取付脚R1の挟持性および耐久性が向上する。
【0056】
[当付面]
当付面19は、
図9(a)に示すように、本体11Aの軸O11と平行に形成されている。当付面19は、本体11Aの下面に形成される平らな面である。当付面19には、釣竿取付脚R1の前脚R11が当て付けられる。
一方、後側の本体11Aの当付面19には、釣竿取付脚R1の後脚R12が当て付けられる。
【0057】
[挟持部]
挟持部25は、当付面19とで前脚R11を挟持する役割をなす(
図7参照)。挟持部25は、
図9各図、
図10各図に示すように、当付面19の一部から下方に突出し、さらに左右方向(側方方向)に延びる帯状(舌片状)のものである。詳細には、挟持部25は、下方から視た場合、当付面19の左縁部19aから当付面19の右縁部19bに向かって延びている。
【0058】
挟持部25は、
図10各図に示すように、軸方向から視て、弧状を呈している。よって、挟持部25と当付面19との間には、前脚R11を挟持するための挟持空間部23Aが形成されている。
また、挟持部25が弧状であることから、挟持部25の前端部25bも当付面19と連続しておらず、挟持部25の前端部25bと当付面19との間には、前部開口部が形成されている。同様に、挟持部25の後端部25cは、当付面19と連続しておらず、挟持部25の後端部25cと当付面19との間には後部開口部が形成されている。よって、挟持空間部23Aは、前部開口部と後部開口部とを介して前後方向に開放している。後端部25cは、
図9(a)に示すように、側面視で上側から下側に向けて前方へ位置して傾斜している。なお、後端部25cの傾斜は、本体11Aの後部に形成された傾斜部18aに連続している。傾斜部18aにより固定部18は肉抜きされている。
【0059】
挟持部25の左端部は、当付面19の左縁部19aに連続している。一方で、挟持部25の右側部25aは、当付面19の右縁部19bに連続していていない。このため、挟持部25は、片持ち構造となっており、挟持部25の右側部25aと当付面19との間が側部開口部S11となっている。
【0060】
側部開口部S11は、本体11Aの右側方に向けて開口している。つまり、側部開口部S11は、当付面19の法線方向から視て、当付面19上における本体11Aの軸O11に直交する右側方に開口している。
よって、釣竿取付脚R1の取り付け時には、側部開口部S11から前脚R11の側部を進入させて、挟持部25と当付面19とで、前脚R11を挟持することができる。このように側部開口部S11は、挟持部25の挟持空間部23Aに対して前脚R11を着脱する際の着脱口として機能する。
また、挟持部25と当付面19とで、前脚R11が挟持されると、挟持部25の左端部を支点として、挟持部25は、当付面19から離間するように弾性変形する。つまり、挟持部25は、弾性をもって前脚R11を挟持する。
【0061】
また、
図7に示すように、前脚R11は、挟持部25の前部開口部を通じてを前方に突出する状態に挟持されるが、釣竿取付脚R1の前後方向の長さによっては、挟持空間部23A内に収まる状態で挟持することができる。
なお、後部開口部は、前脚R11の基部側(脚部R3に近い側)が延在するための空間となる。
さらに、釣竿取付脚R1の取り外し時には、側部開口部S11から前脚R11を退出させる。この場合、挟持部25は、左端部を支点として当付面19に近接し、元の形状に弾性復帰する。
【0062】
なお、後側の本体11Aでは、
図8に示すように、側部開口部S11が本体11Aの左側方に向けて開口している。つまり、後側の本体11Aにおいて、側部開口部S11は、当付面19の法線方向から視て、当付面19上における本体11Aの軸O11に直交する左側方に開口している。
よって、釣竿取付脚R1の取り付け時には、側部開口部S11から後脚R12の側部を進入させて、挟持部25と当付面19とで、後脚R12を挟持することができる。後側の本体11Aにおいても側部開口部S11は、挟持部25の挟持空間部23Aに対して前脚R11を着脱する際の着脱口として機能する。
また、挟持部25と当付面19とで、後脚R12が挟持されると、挟持部25の右端部を支点として、挟持部25は、当付面19から離間するように弾性変形する。つまり、挟持部25は、弾性をもって後脚R12を挟持する。
【0063】
本実施形態においても、側部開口部S11の上下方向の間隔は、前脚R11の上下方向の厚み寸法よりも小さい寸法に設定されている。したがって、挟持空間部23Aに前脚R11が挟持されると、側部開口部S11の上下方向の間隔が前脚R11の上下方向の厚み寸法よりも小さい寸法に閉じることとなる。したがって、挟持空間部23Aから前脚R11が抜け難くなっている。また、後側の本体11Aについても同様であり、側部開口部S11の上下方向の間隔は、後脚R12の上下方向の厚み寸法よりも小さい寸法に設定されている。
【0064】
挟持部25の軸方向の断面は、図示はしないが、前脚R11の軸方向の外形状に対応している。つまり、挟持部25の軸方向の断面は、前脚R11の軸方向の外形状に倣って前端部25bから後端部25cに向けて挟持空間部23が漸次大きくなるように形成されている。言い換えると、挟持部25の内面は、前側から後側に向けて下方に位置しており、下り傾斜面となっている。このため、挟持部25の内面と当付面19との距離は、後方に向かうにつれて次第に大きくなり、前脚R11の軸方向の外形状に沿ったものとなっている。このため、密着性が高まり、ガタツキ難くなっている。
【0065】
また、挟持部25の径方向の断面は、
図10(c)に示すように、前脚R11(不図示)の径方向の外形状に対応している。つまり、挟持部25の径方向の断面は、前脚R11の径方向の外形状に倣って内面が湾曲凹状に形成されている。言い換えると、挟持部25の内面は、左右方向の中央部から左右両側に向けて上方に位置しており、湾曲した傾斜面となっている。このため、挟持部25の内面と当付面19との距離は、中央部から左右両側に向かうにつれて次第に小さくなり、前脚R11の径方向の外形状に沿ったものとなっている。このため、密着性が高まり、ガタツキ難くなっている。
なお、後側の本体11Aの挟持部25も同様の構成であり、後脚R12の軸方向の外形状および径方向の外形状に沿ったものとなっている。このため、密着性が高まり、ガタツキ難くなっている。
【0066】
リール固定装置10Aは、
図8に示すように、挟持部25の後端部25c同士が前後に対向する位置関係で本体11A,11Aが竿杆1に固定される。つまり、後側の本体11Aは、前側の本体11Aを水平方向に180度回転させた状態で竿杆1に固定される。
【0067】
以上説明した本実施形態のリール固定装置10Aでは、前記した第1実施形態と同様の作用効果が得られる。さらに、本実施形態のリール固定装置10Aでは、本体11Aが一体に設けられているものに比べて軽量化を図ることができる。また、一対の本体11Aの間隔を調整して竿杆1に固定することで、釣竿取付脚R1の軸方向の大きさに対応したリール固定装置10Aを容易に作成することができる。
【0068】
図11〜
図14に変形例のリール固定装置を示す。
図11に示す第1変形例のリール固定装置10Bは、第1実施形態のリール固定装置10の変形例である。
図11(a)に示すように、本変形例のリール固定装置10Bは、当付面16,17にリブ16B,17Bが設けられている。
【0069】
リブ16B,17Bは、リール固定装置10Bの軸方向に延在し、当付面16,17の下方へ向けて膨出している。リブ16B,17Bは、
図11(b)(c)に示すように、釣竿取付脚R1の湾曲した上面R15に対応して断面湾曲状に形成されている(
図11(b)(c)ではリブ16Bのみ図示、以下同じ)。リブ16B,17Bは、
図11(c)に示すように、前挟持部20および後挟持部30内に挟持された釣竿取付脚R1の上面R15に当接する。
【0070】
以上のような第1変形例のリール固定装置10Bでは、リブ16B,17Bによって釣竿取付脚R1をより好適に挟持することができる。したがって、リール固定装置10Bから釣竿取付脚R1が外れ難くなる。したがって、魚釣り操作性が高まる。
【0071】
また、リブ16B,17Bは、断面湾曲状に膨出している。これにより、釣竿取付脚R1の着脱時に前脚R11および後脚R12がリブ16B,17Bを乗り越え易い。したがって、着脱時の操作容易性を確保しながら、釣竿取付脚R1に対する挟持力を向上させることができる。
【0072】
図12(a)に示す第2変形例のリール固定装置10Cは、第1実施形態のリール固定装置10の変形例であり、本体11Cの後部13に固定フード40を備えている。
固定フード40は、釣竿取付脚R1の後脚R12(
図13参照)を保持する保持空間部41を備えている。後脚R12は、固定フード40の前面に形成された開口部42を通じて保持空間部41に挿入される。
【0073】
一方、
図12(b)に示す第3変形例のリール固定装置10Dは、第2変形例のリール固定装置10Cとは逆に、本体11Dの前部12に固定フード40Aを備えている。
固定フード40Aは、釣竿取付脚R1の前脚R11(不図示)を保持する保持空間部41Aを備えている。前脚R11は、固定フード40Aの後面に形成された開口部42Aを通じて保持空間部41Aに挿入される。
【0074】
次に、第2変形例のリール固定装置10Cにおける釣竿取付脚R1の取り付けについて、
図13(a)(b)を参照して説明する。
初めに、一方の手でリール固定装置10C(竿杆1)を把持し、他方の手で魚釣用スピニングリールRを持ち、リール固定装置10Cの下面側に魚釣用スピニングリールRの釣竿取付脚R1を近付ける。
【0075】
そして、
図13(a)に示すように、本体11Cの後部13の固定フード40に釣竿取付脚R1の後脚R12を挿し込む。その後、後脚R12を支点として、魚釣用スピニングリールRを前挟持部20に向けて図中矢印方向に回動させ、側部開口部S1を通じて前脚R11を側方から前挟持部20の挟持空間部」23に進入させる(
図13(b)参照)。これにより、前脚R11が当付面16と前挟持部20とで挟持される。
以上の操作により、リール固定装置10Cに釣竿取付脚R1を固定することができる。
【0076】
第2変形例および第3変形例のリール固定装置10C,10Dでは、固定フード40,40Aに釣竿取付脚R1の一端を保持しながら、魚釣用スピニングリールRを回動させることができるので、回動操作が安定し、釣竿取付脚R1をより簡単に固定することができる。
【0077】
また、固定フード40,40Aから釣竿取付脚R1の一端が抜け難いので、魚釣り操作性が向上する。
【0078】
図14に示す第4変形例のリール固定装置10Eは、第1実施形態のリール固定装置10の変形例であり、樹脂製の本体11Eに一体的に設けられた前挟持部20および後挟持部30に金属製の芯材50が備わる。
【0079】
芯材50は、板状を呈しており、前挟持部20および後挟持部30にインサート成形されている。芯材50の端部51は、前部12内および後部13内に延在して埋設されている。これにより、芯材50の支持強度が高められている。なお、前挟持部20および後挟持部30は、芯材50を備えつつ弾性を保持しており、釣竿取付脚R1に対する挟持性を好適に維持している。
【0080】
このような第4変形例のリール固定装置10Eでは、前挟持部20および後挟持部30の強度向上を図ることができ、耐久性が向上する。したがって、長期的に安定した釣竿取付脚R1の挟持を実現することができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態で説明した例に限定されない。
例えば、第1実施形態における側部開口部S1,S2、第2実施形態における側部開口部S11,S11は、相反する側に設けたものを示したが、これに限られることはなく、同じ側に開口するように設けてもよい。
【0082】
また、第1実施形態では、挟持部を前挟持部20と後挟持部30との2つの挟持部で示したが、3つ以上で構成してもよい。例えば、前挟持部20および後挟持部30を2つづつ配置してもよい。この場合には、釣竿取付脚R1における脚部R3の近傍部分を積極的に挟持するように構成してもよい。
同様に、第2実施形態においても、本体11Aを3つ以上用意して、各挟持部25で釣竿取付脚R1を挟持するように構成してもよい。
【0083】
また、第1実施形態では、前挟持部20と後挟持部30との軸方向の長さ(挟持空間部23,33の大きさ)を同じ大きさに設定したが、これに限られることはなく、前後で異ならせても差し支えない。このことは、第2実施形態についても同様である。
【0084】
また、第1実施形態における前挟持部20の前部開口部および後挟持部30の後部開口部は閉じられている構成であってもよい。同様に、第2実施形態における前側の挟持部25の前部開口部および後側の後部開口部は、閉じられている構成であってもよい。
【0085】
また、第1実施形態における前挟持部20および後挟持部30、第2実施形態における挟持部25は、帯状(舌片状)のものを示したが、これに限られることはなく、線状(棒状、複数の棒状)であってもよい。
【0086】
また、第1実施形態における前挟持部20および後挟持部30、第2実施形態における挟持部25は、径方向の断面形状が弧状のものを示したが、これに限られることはなく、本体11,11Aの側方から着脱できるものであれば、略L字形状や凹状であってもよい。
【0087】
また、三方に開口部を形成する構成としたが、これに限られることはなく、前挟持部20の前端部20aや後挟持部30の後端部30b、挟持部25の前端部25bは、閉じられている構成であってもよい。
【0088】
また、第1実施形態において、側部開口部S1における当付面16の右縁部16bや、側部開口部S2における当付面17の左縁部17aに、部分的にあるいは全体的に突部(隆起部)を設けてもよい。このように構成することによって、釣竿取付脚R1の取り付け後に突部の前脚R11の側部や後脚R12の側部が突部に引っ掛かる状態となり、リール固定装置10から釣竿取付脚R1が外れ難くなる。
また、同様に、第2実施形態において、前側の側部開口部S11における当付面19の右縁部19bや、後側の側部開口部S11における当付面19の左縁部19aに対して、部分的にあるいは全体的に突部(隆起部)を設けてもよい。
【0089】
さらに、第1,第2実施形態において、当付面16,17,19は、いずれも平らな面としたが、これに限られることはなく、側部開口部S1,S2,S11から釣竿取付脚R1の進入方向に向けて上り傾斜状の緩い斜面としてもよい。このように構成することによって、進入方向に向けて挟持空間部23,33,23Aの高さ方向のスペースが拡がることとなる。したがって、釣竿取付脚R1の取り付けをスムーズに行うことができる。また、挟持空間部23,33,23Aは、側部開口部S1,S2,S11に向けてが窄まる状態となるので、取り付け後にリール固定装置10から釣竿取付脚R1が外れ難くなる。
なお、上り傾斜状の緩い斜面は、当付面16,17,19の全体に形成するものに限られることはなく、釣竿取付脚R1の進入方向に向けて当付面16,17,19の中央部付近に至る領域に形成してもよい。
また、上り傾斜状の緩い斜面は、前記突部に連続するように形成してもよいし、当付面16,17,19の一部に設けてもよい。
【0090】
また、前記実施形態や変形例では、魚釣用スピニングリールRの釣竿取付脚R1が取り付けられるものを示したが、これに限られることはなく、両軸受け型の魚釣用リールの釣竿取付脚が取り付けられるリール固定装置に対しても好適に適用することができる。