(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、RCC方式のスイッチング電源装置は、特許文献1〜3等に記載されている。
【0003】
図8は、従来のRCC方式のスイッチング電源装置を示す概略の回路図である。
このスイッチング電源装置は、起動抵抗を使用した装置であり、直流の入力電圧Vinが供給される正極側入力端子1a及び負極側入力端子1bと、直流の出力電圧Voutを出力する正極側出力端子2a及び負極側出力端子2bと、を有している。入力端子1a,1bと出力端子2a,2bとの間には、入力側と出力側とを絶縁するトランス(変圧器)3が設けられている。トランス3は、1次側の主巻線3a、1次側の補助巻線である制御巻線3b、及び2次巻線3cを有し、その主巻線3a及び制御巻線3bと2次巻線3cとが、逆極性に配置されている。
【0004】
主巻線3aの巻き終わり側は、入力端子1aに接続されている。主巻線3aの巻き始め側は、スイッチング素子(例えば、Nチャネル型MOSFET)4を介して、入力端子1bに接続されている。MOSFET4のゲート及びソースには、制御回路5を介して制御巻線3bが接続されている。制御回路5は、制御巻線3bに発生した電圧に基づいて、MOSFET4の発振を制御する回路であり、ツェナーダイオード5a、分圧抵抗5b、バイアス抵抗5c、及び直流遮断用コンデンサ5dにより構成されている。分圧抵抗5bと入力端子1aとの間には、起動抵抗6が接続されている。2次巻線3cには、整流用ダイオード7及び平滑用コンデンサ8を介して、出力端子2a,2bが接続されている。出力端子2a,2b間には、負荷9が接続される。
【0005】
このようなRCC方式のスイッチング電源装置では、直流の入力電圧Vinが入力端子1a,1bに供給されると、起動抵抗6及び分圧抵抗5bに起動電流が流れ、ツェナーダイオード5aにより、MOSFET4のゲートに一定電圧が印加される。すると、MOSFET4がオンし、入力端子1a、主巻線3a、MOSFET4のドレイン・ソース、及び、入力端子1bの経路で、入力電流が流れ、トランス3にエネルギーが蓄えられる。2次巻線3cに誘起される電圧は、ダイオード7に阻止されるため、出力端子2a,2bから出力電圧Voutが出力されない。
【0006】
制御巻線3bに誘起される電圧により、コンデンサ5d及びバイアス抵抗5cを介して、MOSFET4のゲート電圧が低レベル(以下「Lレベル」という。)になり、そのMOSFET4がオフする。MOSFET4がオフすると、トランス3の2次巻線3cに逆起電力が発生し、これがダイオード7及びコンデンサ8で整流及び平滑され、出力端子2a,2bから直流の出力電圧Voutが出力される。このような制御巻線3bに発生する電圧により、制御回路5を介してMOSFET4がオン/オフし、発振が継続する。
【0007】
特許文献1〜3のスイッチング電源装置では、図示しないが、出力電圧Voutが安定した後に、切り離し回路により、起動抵抗6を制御回路5から切り離すようにしている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0019】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1におけるスイッチング電源装置を示す回路図である。
【0020】
このスイッチング電源装置は、従来のような起動抵抗を使用しないRCC方式のスイッチング電源装置であり、直流の入力電圧Vinが供給される正極側入力端子11a及び負極側入力端子11bと、直流の出力電圧Voutを出力する正極側出力端子12a及び負極側出力端子12bを有している。入力端子11a,11bと出力端子12a,12bとの間には、入力側と出力側とを絶縁するトランス13が設けられている。トランス13は、1次側の主巻線13a、1次側の補助巻線である制御巻線13b、及び2次巻線13cを有し、その主巻線13a及び制御巻線13bと2次巻線13cとが、逆極性に配置されている。主巻線13aの巻き終わり側は、入力端子11aに接続されている。主巻線13aの巻き始め側は、スイッチング素子(例えば、Nチャネル型MOSFET)14のドレイン・ソースを介して、入力端子11bに接続されている。
【0021】
正極側入力端子11aと負極性入力端子11bとの間には、定電流回路15及び切り離し回路16が接続されている。切り離し回路16内の接続点Nには、ダイオード17のアノード・カソードを介して、制御回路21が接続されている。制御回路21は、MOSFET14のゲート及びソースと制御巻線13bとの間に接続されている。定電流回路15は、入力電圧Vinに基づき、MOSFET14の発振を開始するための一定電流Iを供給する回路である。制御回路21は、一定電流Iと制御巻線13bに発生した電圧とに基づいて
生成された駆動電圧により駆動されて、MOSFET14の発振を制御する回路である。更に、切り離し回路16は、MOSFET14の発振開始時に、定電流回路15を制御回路21に接続し、MOSFET14の発振開始後に、制御巻線13bに発生する電圧に基づいて定電流回路15を制御回路21から切り離す回路である。
【0022】
ここで、定電流回路15は、入力端子11aに供給される入力電圧Vinに基づいて一定電流Iを生成し、この一定電流Iを、切り離し回路16を介して制御回路21へ供給する回路であり、2つの抵抗15a,15dと、一定電流Iを流すトランジスタ(例えば、Nチャネル型MOSFET)15bと、トランジスタ(例えば、NPN型バイポーラトランジスタ)15cと、により構成されている。トランジスタ15cは、一定電流Iを流すMOSFET15bに対して電流制御量をフィードバックする機能を有している。抵抗15aの一端は、入力端子11aに接続され、その抵抗15aの他端が、MOSFET15bのゲート及びトランジスタ15cのコレクタに接続されている。MOSFET15bは、ドレインが入力端子11aに接続され、ソースが、トランジスタ15cのベース及び抵抗15dの一端に接続されている。トランジスタ15cのエミッタは、抵抗15dの他端に接続されている。
【0023】
切り離し回路16は、2つの抵抗16a,16f、2つのトランジスタ(例えば、Nチャネル型MOSFET)16b,16d、ツェナーダイオード16c、及びコンデンサ16eにより構成されている。抵抗16aは、一端が入力端子11aに接続され、他端が、MOSFET16bのゲート、ツェナーダイオード16cのカソード、及びMOSFET16のドレインに接続されている。MOSFET16bは、ドレインが定電流回路15内の抵抗15dの他端及びトランジスタ15cのエミッタに接続され、ソースが接続点Nを介してツェナーダイオード16cのアノードに接続されている。MOSFET16dのゲートとソースとの間には、コンデンサ16eと抵抗16fが並列に接続されている。
【0024】
MOSFET16dのゲートには、ダイオ−ド18のカソード・アノードを介して、制御巻線13bの巻き終わり側が接続されている。更に、制御巻線13bの巻き終わり側には、制御回路21が接続されると共に、ダイオード19のアノード・カソード及び分圧抵抗20を介して、その制御回路21が接続されている。
【0025】
制御回路21は、定電圧回路(例えば、ツェナーダイオード)21a、分圧抵抗21b、バイアス抵抗21c、及び直流遮断用コンデンサ21dにより構成されている。バイアス抵抗21c及びコンデンサ21dは、MOSFET14のゲートと制御巻線13bの巻き終わり側との間に、直列に接続されている。MOSFET14のゲートとソースとの間には、ツェナーダイオード21aのカソード・アノードが接続され、更に、そのツェナーダイオード21aのカソード・アノードに、分圧抵抗21bが並列に接続されている。
【0026】
2次巻線13cの巻き始め側と巻き終わり側との間には、整流平滑回路(例えば、整流用ダイオード22のアノード・カソード及び平滑用コンデンサ23)が接続されている。コンデンサ23の両電極には、出力端子12a,12bが接続されている。出力端子12a,12b間には、負荷24が接続される。
【0027】
(実施例1の動作)
直流の入力電圧Vinが入力端子11a,11bに供給されると、切り離し回路16内において、抵抗16aを介してMOSFET16bのゲートが高レベル(以下「Hレベル」という。)になり、そのMOSFET16bがオンする。MOSFET16bがオンすると、定電流回路15内において、抵抗15aを介して、MOSFET15bのゲートがHレベルとなって電流Iが流れる。電流Iが抵抗15dに流れることにより、この抵抗15dの電位差でトランジスタ15cのベース電流が流れ、MOSFET15bのゲート電圧が電流Iに応じて制御される。これにより、抵抗15d、切り離し回路16内のMOSFET16b、接続点N、ダイオード17、制御回路21内のツェナーダイオード21a、及び入力端子11bの経路で、一定電流Iが流れる。一定電流Iの値は、トランジスタ15cのベース・エミッタ間電圧Vbeと抵抗15dの値Rで決まる(I=Vbe/R)。
【0028】
制御回路21内のツェナーダイオード21aに一定電流Iが流れると、そのツェナーダイオード21aのカソード及びMOSFET14のゲートに一定の駆動電圧が発生し、そのMOSFET14がオンする。MOSFET14がオンすると、入力端子11a、主巻線13a、MOSFET14のドレイン・ソース、及び入力端子11bの経路で、入力電流が流れ、トランス13にエネルギーが蓄えられる。2次巻線13cに誘起される電圧は、ダイオード22に阻止されるため、出力端子12a,12bから出力電圧Voutが出力されない。
【0029】
その後、制御巻線13bに誘起される電圧により、コンデンサ21d及びバイアス抵抗21cを介して、MOSFET14のゲート電圧がLレベルになり、そのMOSFET14がオフする。MOSFET14がオフすると、トランス13の2次巻線13cに逆起電力が発生し、これがダイオード22及びコンデンサ23で整流及び平滑され、出力端子12a,12bから直流の出力電圧Voutが出力される。このような制御巻線13bに発生する電圧により、制御回路21を介してMOSFET14がオン/オフし、発振が開始されてスイッチング電源装置が起動する。
【0030】
スイッチング電源装置が起動すると、制御巻線13bに発生する電圧により、ダイオード18を介して、切り離し回路16内のMOSFET16dがオンする。MOSFET16dがオンすると、このMOSFET16dのドレイン側のMOSFET16bのゲート電圧がLレベルになり、このMOSFET16bがオフする。これにより、定電流回路15が制御回路21から切り離されて動作を停止する。
【0031】
本実施例1では、スイッチング電源装置の起動直後に定電流回路15の切り離しを行うが、もし、出力電圧Voutが不安定で、制御巻線13bからの電圧供給がなくなった場合、ダイオード18を介して、切り離し回路16内のMOSFET16dがオフする。MOSFET16dがオフすると、このMOSFET16dのドレイン側の電圧(即ち、MOSFET16bのゲート電圧)がHレベルになってMOSFET16bがオンし、再度、定電流回路15が制御回路21に接続され、起動が再開される。
【0032】
(実施例1の効果)
本実施例1のスイッチング電源装置によれば、次の(a)、(b)のような効果がある。
【0033】
(a) 起動後に、切り離し回路16により、定電流回路15を切り離してその定電流回路15の動作を停止し、制御巻線13bからの電圧供給によってMOSFET14をオン/オフ動作させるため、起動後の定電流回路15の消費電力を低減できる。特に、本実施例1では、起動直後に定電流回路15の切り離しを行うため、消費電力が少なくなる。仮に出力電圧Voutが不安定で、制御巻線13bからの電圧供給がなくなった場合、再度、切り離し回路16によって定電流回路15が接続されるため、起動失敗になる恐れはない。
【0034】
(b) 制御回路21の駆動電圧は、ツェナーダイオード21aと制御巻線13bとにより設定できるため、入力電圧範囲が制御回路21の最低入力電圧以上であれば、その入力電圧に左右されず動作させることができる。又、半導体素子を用いて定電流回路15が構成されているので、入力電圧Vinの変化にかかわらず、電流値が一定になるため、高電圧入力時の消費電力の削減が可能であり、更に、任意の電流を必要とする制御回路21においても、その定数を変更することにより、対応することができる。
【実施例2】
【0035】
(実施例2の構成)
図2は、本発明の実施例2におけるRCC方式のスイッチング電源装置を示す回路図であり、実施例1を示す
図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0036】
本実施例2のスイッチング電源装置は、出力電圧フィードバック機能を有し、実施例1の定電流回路15及び制御回路21に代えて、これらとは構成の異なる定電流回路15A及び制御回路21Aが設けられ、更に、平滑用コンデンサ23の出力側に、新たに出力電圧検出回路25が追加されている。
【0037】
本実施例2の定電流回路15Aは、トランジスタ(例えば、NチャンネルJFET)15e及び電流検出抵抗15fにより構成されている。JFET15eは、ドレインが入力端子11aに接続され、ソースが電流検出抵抗15fの一端に接続され、ゲートが電流検出抵抗15fの他端に接続されている。電流検出抵抗15fの他端は、切り離し回路16内のMOSFET16bのドレインに接続されている。この定電流回路15Aでは、電流検出抵抗15fの電圧降下によってJFET15eのゲート電圧が制御され、一定電流Iを流す構成になっている。
【0038】
出力電圧検出回路25は、直流の出力電圧Voutの生成を検出してこの検出結果としての出力電圧検出結果S25fを出力する回路であり、2つの分圧抵抗25a,25b、2つの抵抗25c,25g、コンデンサ25d、ホトカプラを構成する発光ダイオード25f、及び設定電流を流すためのシャントレギュレータ半導体集積回路(以下「シャントレギュレータIC」という。)25hにより構成されている。
【0039】
2つの分圧抵抗25a,25bは、正極側出力端子12a及び負極側出力端子12b間に直列に接続されている。2つの分圧抵抗25a,25bの接続点N1には、抵抗25c、コンデンサ25d、及び接続点N2が直列に接続されている。抵抗25c及びコンデンサ25dの直列回路には、抵抗25eが並列に接続されている。出力端子12aと接続点N2との間には、設定電流が流れることにより発光してこの発光信号からなる出力電圧検出結果S25fを出力する発光ダイオード25fと、抵抗25gと、が直列に接続されている。更に、接続点N2と出力端子12bとの間には、シャントレギュレータIC25hが接続されている。シャントレギュレータIC25hの制御端子は、接続点N1に接続されている。
【0040】
制御回路21Aは、実施例1の制御回路21に対して、新たに、出力定電圧制御手段としての出力定電圧制御回路26が付加されている。出力定電圧制御回路26は、分圧抵抗21bと制御巻線13bとの間に設けられ、出力電圧検出回路25から出力される出力電圧検出結果S25fに基づいてMOSFET14を制御し、出力電圧Voutを一定にする回路である。この出力定電圧制御回路26は、ダイオード26a、2つの抵抗26b,26e、ホトカプラを構成するホトトランジスタ(例えば、NPN型ホトトランジスタ)26c、及びトランジスタ(例えば、NPN型バイポーラトランジスタ)26dにより構成されている。
【0041】
ダイオード26a、抵抗26b、及び、出力電圧検出結果S25fの受光によりオンするホトトランジスタ26cは、制御巻線13bの巻き終わり側に直列に接続されている。ホトトランジスタ26cの出力側(エミッタ側)には、トランジスタ26dのベースが接続されている。トランジスタ26dのコレクタは、MOSFET14のゲート側に接続され、このトランジスタ26dのエミッタが、抵抗26eを介して入力端子11bに接続されている。
その他の構成は、実施例1と同様である。
【0042】
(実施例2の動作)
直流の入力電圧Vinが入力端子11a,11bに供給されると、実施例1と同様に、切り離し回路16内のMOSFET16bがオンする。MOSFET16bがオンすると、定電流回路15A内において、電流検出抵抗15fによってJFET15eのゲート電圧がHレベルになり、そのJFET15eがオンする。JFET15eがオンすると、実施例1と同様に、切り離し回路16内のMOSFET16b、接続点N、ダイオード17、制御回路21A内のツェナーダイオード21a、及び入力端子11bの経路で、一定電流Iが流れる。
【0043】
制御回路21A内のツェナーダイオード21aに一定電流Iが流れると、そのツェナーダイオード21aのカソード及びMOSFET14のゲートに一定の駆動電圧が発生し、そのMOSFET14がオンする。MOSFET14がオンすると、実施例1と同様に、入力端子11a、主巻線13a、MOSFET14のドレイン・ソース、及び入力端子11bの経路で、入力電流が流れ、トランス13にエネルギーが蓄えられる。2次巻線13cに誘起される電圧は、ダイオード22に阻止されるため、出力端子12a,12bから出力電圧Voutが出力されない。
【0044】
その後、実施例1と同様に、制御巻線13bに誘起される電圧により、コンデンサ21d及びバイアス抵抗21cを介して、MOSFET14のゲート電圧がLレベルになり、そのMOSFET14がオフする。MOSFET14がオフすると、トランス13の2次巻線13cに逆起電力が発生し、これがダイオード22及びコンデンサ23で整流及び平滑され、出力端子12a,12bから直流の出力電圧Voutが出力される。このような制御巻線13bに発生する電圧により、制御回路21Aを介してMOSFET14がオン/オフし、発振が開始されてスイッチング電源装置が起動する。
【0045】
スイッチング電源装置が起動すると、実施例1と同様に、制御巻線13bに発生する電圧により、ダイオード18を介して、切り離し回路16内のMOSFET16dがオンし、MOSFET16bがオフする。これにより、定電流回路15Aが制御回路21Aから切り離されて動作を停止する。
【0046】
特に、本実施例2では、出力電圧検出回路25及び出力定電圧制御回路26が追加されている。そのため、スイッチング電源装置が起動し、出力端子12a,12bから出力電圧Voutが出力されると、出力電圧検出回路25内のシャントレギュレータIC25hがオンする。シャントレギュレータIC25hがオンすると、発光ダイオード25fに設定電流が流れ、この発光ダイオード25fが発光して出力電圧検出結果S25fが出力される。出力された出力電圧検出結果S25fにより、出力定電圧制御回路26内のホトトランジスタ26cがオンする。
【0047】
ホトトランジスタ26cがオンすると、ダイオード26a、抵抗26b、及びホトトランジスタ26cの経路で、トランジスタ26dのベースに電流が流れ、そのトランジスタ26dがオンする。トランジスタ26dがオンすると、MOSFET14のゲート電圧が低下してこのMOSFET14がオフする。これにより、出力電圧VoutによってMOSFET14が制御され、出力電圧Voutが定電圧となる。
【0048】
実施例1と同様に、もし、出力電圧Voutが不安定で、制御巻線13bからの電圧供給がなくなった場合、ダイオード18を介して、切り離し回路16内のMOSFET16dがオフする。これにより、MOSFET16bがオンし、再度、定電流回路15Aが制御回路21Aに接続され、起動が再開される。
【0049】
(実施例2の効果)
本実施例2のスイッチング電源装置によれば、実施例1と同様に、起動抵抗を使用せずに定電流回路15Aにより起動し、起動後は、自らの発振動作で生成された制御巻線13bの電圧によって制御回路21Aを動作させ、同時に、切り離し回路16によって定電流回路15Aを切り離し、その定電流回路15Aの動作を停止している。そのため、実施例1と同様に、広範囲の入力電圧を許容しつつ、高電圧入力時の定電流回路15Aの消費電力を削減することができる等の効果がある。
【0050】
更に、本実施例2では、定電流回路15Aの構成が、実施例1の定電流回路15の構成に比べて簡素化されているので、回路構成の簡素化によって低コスト化も可能になる。その上、本実施例2では、出力電圧検出回路25及び出力定電圧制御回路26が追加されているので、出力電圧Voutが負荷24にかかわらず定電圧化される。
【実施例3】
【0051】
(実施例3の構成)
図3は、本発明の実施例3におけるRCC方式のスイッチング電源装置を示す回路図であり、実施例2を示す
図2中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0052】
本実施例3では、実施例2の定電流回路15Aに代えて、実施例1の定電流回路15が設けられている。その他の構成は、実施例2と同様である。
【0053】
(実施例3の動作・効果)
本実施例3のスイッチング電源装置によれば、実施例2と略同様の動作を行い、実施例2及び実施例1と同様の効果を奏することができる。
【実施例4】
【0054】
(実施例4の構成)
図4は、本発明の実施例4におけるRCC方式のスイッチング電源装置を示す回路図であり、実施例2を示す
図2中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0055】
本実施例4のスイッチング電源装置では、実施例2の制御回路21Aに代えて、これとは構成の異なる制御回路21Bが設けられている。本実施例4の制御回路21Bは、ICとしての制御IC30を用いて構成されている。制御IC30は、例えば、
図2中の抵抗21b,21c,26b,26e、コンデンサ21d、ダイオード26a及びトランジスタ26dに相当する回路で構成されている。
【0056】
制御IC30は、電源端子+V、入力端子IN、出力端子OUT及び接地端子GNDを有し、その電源端子+Vと入力端子INとの間に、ホトトランジスタ26cが接続されている。電源端子+Vは、抵抗20及びダイオード17間の接続点に接続され、接地端子GNDは、入力端子11bに接続され、出力端子OUTは、MOSFET14のゲート側に接続されている。その他の構成は、実施例2と同様である。
【0057】
(実施例4の動作)
本実施例4では、実施例2と同様に、スイッチング装置が起動し、出力端子12a,12bから出力電圧Voutが出力されると、出力電圧検出回路25内の発光ダイオード25fが発光して出力電圧検出結果S25fが出力される。出力された出力電圧検出結果S25fにより、制御回路21B内のホトトランジスタ26cがオンし、実施例2と同様に、出力電圧Voutに応じたホトトランジスタ26cの動きで、制御IC30がMOSFET14を制御する。これにより、出力電圧Voutが定電圧化される。
その他の動作は、実施例2と同様である。
【0058】
(実施例4の効果)
本実施例4のスイッチング電源装置によれば、実施例2と同様の効果がある。更に、制御回路21Bが制御IC30を用いて構成されているので、製造が簡単になって低コスト化が可能になる。
【実施例5】
【0059】
(実施例5の構成)
図5は、本発明の実施例5におけるRCC方式のスイッチング電源装置を示す回路図であり、実施例4を示す
図4中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0060】
本実施例5のスイッチング電源装置では、実施例4の定電流回路15Aに代えて、これとは構成の異なる定電流回路15Cが設けられている。本実施例5の定電流回路15Cは、2つの抵抗15g,15j、ツェナーダイオード15h、及びトランジスタ(例えば、NPN型バイポーラトランジスタ)15iにより構成されている。
【0061】
抵抗15g及びツェナーダイオード15hのカソード・アノードは、入力端子11aと切り離し回路16内のMOSFET16bのドレインとの間に、直列に接続されている。トランジスタ15iのコレクタ・エミッタ、及び抵抗15jは、入力端子11aとMOSFET16bのドレインとの間に、直列に接続されている。更に、トランジスタ15iのベースは、抵抗15g及びツェナーダイオード15h間の接続点に接続されている。
その他の構成は、実施例4と同様である。
【0062】
(実施例5の動作・効果)
本実施例5の定電流回路15Cでは、抵抗15g及びツェナーダイオード15h間の接続点の電圧(即ち、トランジスタ15iのベース電圧)が一定になるため、入力電圧Vinや負荷24の変動等に対して、そのトランジスタ15iのコレクタ・エミッタ間を流れる一定電流Iが、安定化する。
その他の動作及び効果は、実施例4と同様である。
【実施例6】
【0063】
(実施例6の構成)
図6は、本発明の実施例6におけるRCC方式のスイッチング電源装置を示す回路図であり、実施例5を示す
図5中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0064】
本実施例6のスイッチング電源装置では、実施例5の定電流回路15Cに代えて、これとは構成の異なる定電流回路15Dが設けられている。本実施例6の定電流回路15Dは、実施例1の
図1中の定電流回路15と略同様の構成であり、その定電流回路15中のMOSFET15bに代えて、他のトランジスタ(例えば、NPN型バイポーラトランジスタ)15kが設けられている。
その他の構成は、実施例5と同様である。
【0065】
(実施例6の動作・効果)
本実施例6の定電流回路15Dは、実施例1の定電流回路15と略同様の動作を行う。スイッチング電源装置の全体の動作及び効果は、実施例5及び実施例1と同様である。
【実施例7】
【0066】
(実施例7の構成)
図7は、本発明の実施例7におけるRCC方式のスイッチング電源装置を示す回路図であり、実施例6を示す
図6中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0067】
本実施例7のスイッチング電源装置では、実施例6の定電流回路15D及び切り離し回路16に代えて、これらとは構成の異なる定電流回路15及び切り離し回路16Eが設けられている。本実施例7の定電流回路15は、実施例1と同様の回路である。切り離し回路16Eは、リレー16g及び平滑用コンデンサ16hにより構成されている。
【0068】
リレー16gは、定電流回路15を制御回路21Bから切り離すための常閉接点16g1と、制御巻線13bに発生する電圧により励磁されてその接点16g1をオフするコイル16g2と、により構成されている。コイル16g2には、平滑用コンデンサ16hが並列に接続されている。制御巻線13bの出力電流は交流であるため、ダイオード18で整流を行う。平滑用コンデンサ16hは、その整流された脈流を平滑化するためのものである。
その他の構成は、実施例6と同様である。
【0069】
(実施例7の動作・効果)
本実施例7の切り離し回路16Eでは、スイッチング電源装置が起動すると、制御巻線13bに発生する電圧により、ダイオード18を介して、切り離し回路16E内のコイル16g2が励磁され、接点16g1がオフする。これにより、定電流回路15が制御回路21Bから切り離されて動作を停止する。その他のスイッチング電源装置の全体の動作は、実施例6及び実施例1と同様である。
【0070】
本実施例7では、切り離し回路16Eがリレー16gで構成されているので、制御巻線13bに発生する電流が大きい場合、定電流回路15を制御回路21Bから確実に切り離すことができる。その他の効果は、実施例6及び実施例1と同様である。
【0071】
(変形例)
本発明は、上記実施例1〜7に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(i)、(ii)のようなものがある。
【0072】
(i) 定電流回路15,15A,15C,15D、切り離し回路16,16E、制御回路21,21A,21B、整流平滑回路(22,23)、出力電圧検出回路25、及び出力定電圧制御回路26等は、図示以外の他の構成に変更しても良い。
(ii) MOSFET14は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等の他のトランジスタに変更しても良い。