(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のガラス製品及びその製造方法では、ガラス基材が曲面である場合に、加飾シートを用いる方法にあっては、加飾シートをガラス基材に貼付する際に、金属蒸着層がガラス基材の曲面に追随せずにクラックを起こす可能性がある。ガラス基材に直接金属蒸着を行う方法にあっては、ガラス基材に蒸着される金属や酸化物などによって、ガラス強度が劣化するおそれがある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、立体的な金属意匠を有する加飾ガラスパネル及び生産性を向上させた加飾ガラスパネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、一方面の少なくとも一部が曲面であるガラス基材と、ガラス基材の一方面の上に形成された、上面に凹凸パターンを有する凹凸パターン層と、凹凸パターン層の上面に形成された金属蒸着層とを備えた、加飾ガラスパネルである。
【0007】
このように構成すると、ガラス基材の曲面に凹凸パターン層を介して金属蒸着層が形成されるため、曲面に金属蒸着層が確実に固着した、立体的な金属意匠を有する加飾ガラスパネルとなる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明の構成において、ガラス基材と凹凸パターン層との間に形成された基体シートを更に備えた、加飾ガラスパネルである。
【0009】
このように構成すると、基体シートによる加飾が可能となるため、金属蒸着層と相まって、より意匠性の高い加飾ガラスパネルとなる。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明の構成において、金属蒸着層は、屈折率の異なる層が複数積層される、加飾ガラスパネル。
【0011】
このように構成すると、屈折率の異なる層の間で光が反射され、光の干渉が起こり、虹模様の光沢感を感じることができる。
【0012】
第4の発明は、第3の発明の構成において、金属蒸着層は、積層方向に隣り合う層の屈折率が異なる、加飾ガラスパネル。
【0013】
このように構成すると、すべての層の間で光が反射され、より多くの光の干渉が起こり、より意匠性の高い虹模様の光沢感を感じることができる。
【0014】
第5の発明は、一方面の少なくとも一部が曲面であるガラス基材を準備する工程と、基体シートの上に、下面に凹凸パターンを有する凹凸パターン層が形成された加飾シートを準備する工程と、ガラス基材の一方面と加飾シートの凹凸パターン層が対向するように、ガラス基材と加飾シートを固着させる工程と、加飾シートの基体シートを剥離して、ガラス基材に凹凸パターン層を転写させる工程と、凹凸パターン層の上面に金属蒸着層を形成する工程とを備えた、加飾ガラスパネルの製造方法である。
【0015】
このように構成すると、ガラス基材の曲面に転写により形成された凹凸パターン層に、金属蒸着層が形成されるため、ガラス基材の曲面に、所定の凹凸パターンを有する金属意匠を、金属クラックを防止しながら確実に形成することができる。
【0016】
第6の発明は、一方面の少なくとも一部が曲面であるガラス基材を準備する工程と、基体シートの上に、上面に凹凸パターンを有する凹凸パターン層が形成された加飾シートを準備する工程と、ガラス基材の一方面と加飾シートの基体シートが対向するように、ガラス基材と加飾シートを固着させる工程と、凹凸パターン層の上面に金属蒸着層を形成する工程とを備えた、加飾ガラスパネルの製造方法である。
【0017】
このように構成すると、ガラス基材の曲面にラミネートにより形成された凹凸パターン層に、金属蒸着層が形成されるため、ガラス基材の曲面に、所定の凹凸パターンを有する金属意匠を、金属クラックを防止しながら確実に形成することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、曲面に金属蒸着層が形成された加飾ガラスパネルを効率的に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。
【0021】
図1(a)から(d)を参照して、この発明の第1実施形態による加飾ガラスパネル10は、平面視形状が、四隅をR形状とした矩形形状であり、平板形状の平面部と、平面部の周縁から全周にわたってR形状に折れ曲がりながら同一の高さで底面側に立ち上がる立上がり部とを備えている。
【0022】
加飾ガラスパネル10は、ガラス基材15と、ガラス基材15の上に形成された接着層11と、接着層11の上に形成された凹凸パターン層12と、凹凸パターン層12の上に形成された金属蒸着層13とを備えている。ガラス基材15は、ガラス基材15の裏面の一部である、平面部30から立上がり部31にかけて折れ曲がっている部分が曲面32となっている。凹凸パターン層12は、その上面である金属蒸着層13側の面に、凹部40及び凸部41によって形成される凹凸パターンを有している。加飾ガラスパネル10は、例えば、携帯端末の筐体に適用される。
【0023】
ガラス基材15としては、例えば、強化ガラス、サファイアガラス、ジルコニアガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラスを用いることができる。又、ガラス基材15の厚みは、100μm〜1000μmが好ましい。厚みが100μm以上であれば、ガラス基材15が十分な強度を有し、厚みが1000μm以下であれば、加飾ガラスパネル10の持ち運びがしやすい重量となる。
【0024】
凹凸パターン層12は、立体的な意匠を表現する層である。材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル/ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、メラミン系樹脂を用いることができる。凹凸パターン層12の全体の厚みは、1μm〜50μmが好ましい。凹凸パターン層12の厚みが、1μm以上であれば、凹凸パターンを形成するために十分な厚みとなる。一方、凹凸パターン層12の厚みが、50μm以下であれば、凹凸パターン層12上に形成される金属蒸着層13をガラス基材15の表面側から視認しやすくなる。又、凹部40の最下面から凸部41の最上面までの高さによって表される凹凸パターンの高さは、0.1μm〜20μmの範囲内で、凹凸パターン層12の厚みを超えない高さを選択すればよい。凹凸パターンの高さが、0.1μm以上であれば、金属蒸着層13との組み合わせで加飾ガラスパネル10の金属意匠を立体的に表現できる。一方、凹凸パターンの高さが20μm以下であれば、クラックなどの蒸着欠陥の発生を抑制できる。又、凹凸パターン層12は、例えば、加飾シート50を用いた転写法によって、ガラス基材15の上に形成できる。
【0025】
図2から
図4を参照して、凹凸パターン層12に形成される凹凸パターンの形状の例を示す。凹凸パターンは、例えば、複数のライン状の凹凸パターンや、平面視形状が多角形形状、円形形状、楕円形形状の凹部40又は凸部41が平面上に配列した凹凸パターンが挙げられる。
図2を参照して、ライン状の凹凸パターンとして、複数のライン状の凹部40及び凸部41が互いに平行に周期的な配列をし、断面形状が波形状である凹凸パターンとしてもよい。例えば、
図2(a)を参照して、凹部40と凸部41が同じ高さや同じ幅を有する凹凸パターンとしてもよく、
図2(b)を参照して、凹部40と凸部41が異なる高さや異なる幅を有する凹凸パターンとしてもよい。又、
図3を参照して、凹部40の平面視形状が正六角形形状である凹部40をハニカム構造に配置してもよく、
図4を参照して、平面視形状が円形形状の凹部40を隙間無く千鳥状に配置してもよい。凹部40又は凸部41の平面視形状は、正六角形形状や円形形状に限られず、三角形形状や四角形形状などの多角形形状や楕円形形状としてもよい。このように、平面視形状が多角形形状、円形形状、楕円形形状の凹部40又は凸部41によって形成される凹凸パターンにおいて、凹部40または凸部41が平面上に密に周期的な配列をした凹凸パターンとしてもよい。
【0026】
金属蒸着層13は、金属意匠を表現する層である。材料としては、例えば、アルミニウム、スズなどの金属や二酸化ケイ素、酸化チタン、二酸化ジルコニウムなどの酸化物を用いることができる。これらの材料は、一種を単独で用いても良く、二種以上重ね合わせた複数の層により金属蒸着層を形成してもよい。二種以上重ね合わせて複数の層を形成する場合には、屈折率の異なる層が複数積層されていることが好ましい。さらに、積層方向に隣り合う層の屈折率が異なるように積層させることがより好ましい。つまり、屈折率がAの層とBの層を用いる場合には、ABやBA、ABAのように積層させるとよい。また、屈折率がAの層とBの層をそれぞれ2層ずつ用いる場合には、ABABのように積層方向に隣り合う層の屈折率が異なるように積層させるとより好ましい。ABABの順に積層させた場合、AB間、BA間、AB間の全ての層の間で光が屈折及び反射するため、より多くの光によって、光の干渉が起こる。したがって、金属蒸着層13を見た場合に、より意匠性の高い虹模様の光沢感を感じることができる。また、屈折率がAの層とBの層に加えてCの層を用いる場合には、ABCABCのように順番に積層されていてもよく、ABCBAのように、順番に積層されていなくてもよい。実際の例を挙げると、金属蒸着層13として、屈折率が異なる酸化チタンと二酸化ケイ素を用い、酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化チタンの順に5層積層させる。このように構成すると、隣り合う層の屈折率が異なるため、全ての層間で光が反射され、反射された光同士で光の干渉が起こる。したがって、金属蒸着層13を見た場合に、虹模様の光沢感を感じることができ、意匠性が向上する。
【0027】
又、複数の層の内、1つ以上の層の厚みを変えることで、意匠性を変化させることができる。例えば、凹凸パターン層12に最も近い層の厚みがd1nmの場合と、d2nmの場合では、金属蒸着層13の同じ位置を同じ角度から見ても、d1nmの場合とd2nmの場合では見える色が異なるため意匠性を変化させることができる。
【0028】
金属蒸着層13の全体の厚みは、10nm〜2μmが好ましい。厚みが10nm以上であれば、金属意匠として、十分な金属光沢が得られる。一方、厚みが2μm以下であれば、クラックなどの蒸着欠陥の発生を抑制できる。金属蒸着層13の形成方法としては、例えば、真空蒸着層法、スパッタリング法、イオンプレーティング法により凹凸パターン層12上に形成できる。
【0029】
接着層11は、ガラス基材15と凹凸パターン層12との接着性を向上させる機能を有する層である。材料としては、ガラス基材15に密着可能であればよく、例えば、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂を用いることができる。特に、接着層11がポリエステル樹脂の場合には、ガラス基材15と凹凸パターン層12とをより強固に接着できる。又、接着層11の厚みは、0.1μm〜5μmが好ましい。接着層11の厚みが0.1μm以上であれば、ガラス基材15と凹凸パターン層12を接着させるために、十分な接着性を有する。一方、接着層11の厚みが5μm以下であれば、ガラス基材15の表面側からの視認性を良好に保ちながら、ガラス基材15と凹凸パターン層12とを接着できる。又、接着層11は、加飾シート50を用いた転写法によって、ガラス基材15上に形成できる。
【0030】
図5(a)を参照して、この発明の第1実施形態に用いられる加飾シート50は、基体シート21の上に、離型層20と、離型層20の上に形成された凹凸パターン層12と、凹凸パターン層12の上に形成された接着層11とを備えている。凹凸パターン層12は、下面である離型層20側の面に凹凸パターンを有している。
【0031】
基体シート21の材料としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ポリカーボネート、ポリプロピレン(PP)、オレフィンなどの樹脂シート、グラシン紙、コート紙、セロハンなどのセルロース系シートが使用される。又、基体シート21の厚みは、12μm〜100μmが好ましい。基体シート21の厚みが12μm以上であれば、ハンドリング性に優れた厚みを有し、厚みが100μm以下であれば、適度な剛性となるため良好なハンドリング性を有する。
【0032】
離型層20は、加飾シート50を用いて、ガラス基材15への接着層11及び凹凸パターン層12の転写を行う際に、基体シート21からの凹凸パターン層12の剥離性を向上させるための層であり、転写後も基体シート21上に残る。材料としては、たとえば、メラミン系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂が使用される。又、離型層20の厚みは、0.1μm〜20μmが好ましい。離型層20の厚みが0.1μm以上であれば、基体シート上に、容易にコーティングを行うことができる。一方、離型層20の厚みが20μm以下であれば、加飾シート50をガラス基材15に貼付する際に、離型層20のクラックの発生を抑制できる。離型層20の基体シート21上への形成方法は、従来と同様の方法によって行うことができる。従来の層形成の方法の例には、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコーティング法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0033】
凹凸パターン層12は、離型層20の形成と同様に、従来の層形成方法によって、離型層20上に形成される。
【0034】
接着層11は、離型層20の形成と同様に、従来の層形成方法によって、凹凸パターン層12上に形成される。
【0035】
次に、
図5(a)で示した加飾シート50を用いて製造される加飾ガラスパネル10の製造方法について説明する。
【0036】
まず、ガラス板を切削、研磨やプレス成形などによって、中央が平面部を有し、平面部の周縁から全周にわたって底面側に折れ曲がりながら立ち上がる立上がり部を有するガラス基材15を準備する。この折れ曲がっている部分が曲面となっている。次に、加飾シート50を準備する。まず、基体シート21上に、離型層20として、コーティング法を用いて、メラミン樹脂を0.5μmの厚さで塗布する。次に、凹凸パターンを有する凹凸パターン層12を形成するために、凹凸パターン層12とは反対の凹凸パターンを離型層20上に形成する。ここで、凹凸パターン層12とは反対の凹凸パターンとは、凹凸パターン層12の凹部40及び凸部41がそれぞれ凸部及び凹部に対応することを意味する。まず、凹凸パターン層12と同じ凹凸パターンを有する金型を、凹凸パターンのある面を離型層20側にして、離型層20上に積層させる。次に、金型を離型層20とは反対側から加圧することで、離型層20上に、凹凸パターン層12とは反対の凹凸パターンを形成する。次に、凹凸パターン層12として、コーティング法を用いて、凹凸パターンを有する離型層20上に、ポリエステル樹脂を15μmの厚さで塗布し、離型層20の凹凸パターンにポリエステル樹脂を積層させることで、凹凸パターン層12の下面である離型層20側の面に凹凸パターンを形成する。次に、凹凸パターン層12上に、接着層11として、コーティング法を用いて、ポリエステル樹脂を0.3μmの厚さで塗布することで、加飾シート50の形成を行う。次に、ガラス基材15に対して、加飾シート50を用いて、凹凸パターン層12の転写を行う。
図5(b)を参照して、ガラス基材15の裏面と加飾シート50の凹凸パターン層12が対向するように、接着層11側の面をガラス基材15の裏面に重ねる。次に、シリコンラバーなどの耐熱ゴム状弾性体を用いて、温度80〜260℃程度、圧力50〜2000Pa程度の条件に設定した耐熱ゴム状弾性体を介して、加飾シート50の基体シート21側から熱と圧力とを加えることで、ガラス基材15に加飾シート50を接着させる。次に、接着させた加飾シート50を室温まで冷却する。次に、
図5(c)を参照して、離型層20と凹凸パターン層12の間で剥離することで、ガラス基材15上に凹凸パターン層12が転写される。次に、凹凸パターン層12上への金属蒸着層13の形成を行う。
図5(d)を参照して、真空蒸着法により、凹凸パターン層12上に、膜厚40nmの酸化チタン、170nmの二酸化ケイ素、40nmの酸化チタン、170nmの二酸化ケイ素、40nmの酸化チタンの5層を順番に蒸着80することで、金属蒸着層13を形成し、
図1に示す加飾ガラスパネル10の製造を行う。
【0037】
以上から、上記のように製造される加飾ガラスパネル10は、ガラス基材15の曲面32に転写により形成された凹凸パターン層12を介して金属蒸着層13が形成されるため、金属クラックを防止しながら、ガラス基材15の曲面32に金属蒸着層13が確実に固着した、立体的な金属意匠を有する加飾ガラスパネル10となる。
【0038】
次に、この発明の第2実施形態について、図を参照しながら先の実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0039】
この発明の第2実施形態による加飾ガラスパネル10は、
図1(a)・(b)で示した第1実施形態と同様の平面視形状を有する。又、
図6(a)・(b)を参照して、裏面の一部が曲面のガラス基材15に接着層11と凹凸パターン層12が形成されており、凹凸パターン層12を介して金属蒸着層13が形成されている点では、第1実施形態と同様である。一方、ガラス基材15が平面部を有さない点及び、接着層11と凹凸パターン層12の間に、基体シート21が含まれている点が異なっている。ガラス基材15の形状は、表面、裏面の全面が中央部分を最も高くして表面側に膨らむ緩やかな曲面32となっている。
【0040】
ガラス基材15としては、この発明の第1実施形態と同様の材料を用いることができる。
【0041】
凹凸パターン層12は、立体的な意匠を表現する層である。材料としては、この発明の第1実施形態と同様の材料を用いることができる。又、凹凸パターン層12は、例えば、加飾シート50を用いたラミネート法によって、ガラス基材15上に形成できる。
【0042】
金属蒸着層13は、金属意匠を表現する層である。材料としては、この発明の第1実施形態と同様の材料を用いることができる。金属蒸着層13の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法により凹凸パターン層12上に形成できる。
【0043】
基体シート21は、ガラス基材15への加飾を行う層である。材料としては、この発明の第1実施形態と同様の材料を用いることができ、加飾ガラスパネル10に着色したい場合には、所定の色を有する基体シート21を用いることができる。又、基体シート21は、例えば、加飾シート50を用いたラミネート法によって、ガラス基材15上に形成できる。
【0044】
接着層11は、ガラス基材15と基体シート21との接着性を向上させる機能を有する層である。材料としては、この発明の第1実施形態と同様の材料を用いることができる。又、接着層11は、加飾シート50を用いたラミネート法によって、ガラス基材15上に形成できる。
【0045】
図7(a)を参照して、この発明の第2実施形態に用いられる加飾シート50は、基体シート21の一方の面に凹凸パターン層12、もう一方の面に接着層11が形成されている。又、凹凸パターン層12は、基体シート21と反対側の面に凹凸パターンを有している。
【0046】
凹凸パターン層12、接着層11は、従来の層形成方法によって、基体シート21上に形成される。
【0047】
次に、
図7(a)で示した加飾シート50を用いて、製造される加飾ガラスパネル10の製造方法について説明する。
【0048】
まず、ガラス板を切削、研磨やプレス成形などによって、表面、裏面の全面が中央部を最も高くして表面側に膨らむ緩やかな曲面形状を有するガラス基材15を準備する。次に、加飾シート50を準備する。まず、基体シート21上に、凹凸パターン層12として、コーティング法を用いて、ポリエステル樹脂を15μmの厚さで塗布する。次に、凹凸パターン層12とは反対の凹凸パターンを有する金型を、凹凸パターンのある面を凹凸パターン層12側にして積層させる。次に、金型を離型層20とは反対側から加圧することで、凹凸パターン層12の基体シート21とは反対側の面に凹凸パターンを形成する。次に、基体シート21の凹凸パターン層12が形成されていない、もう一方の面上に、接着層11として、コーティング法を用いて、ポリエステル樹脂を0.3μmの厚さで塗布することで加飾シート50が形成される。次に、ガラス基材15に対して、加飾シート50をラミネートし、ガラス基材15上に凹凸パターン層12の形成を行う。
図7(b)を参照して、ガラス基材15の裏面と加飾シート50の基体シート21が対向するように接着層11側の面をガラス基材15の裏面に重ねる。次に、シリコンラバーなどの耐熱ゴム状弾性体を用いて、温度80〜260℃程度、圧力50〜2000Pa程度の条件に設定した耐熱ゴム状弾性体を介して、加飾シート50の基体シート21側から熱と圧力とを加えることで、ガラス基材15に加飾シート50を接着させる。次に、金属蒸着層13の形成を行う。
図7(c)を参照して、真空蒸着法により、凹凸パターン層12上に、膜厚40nmの酸化チタン、170nmの二酸化ケイ素、40nmの酸化チタン、170nmの二酸化ケイ素、40nmの酸化チタンの5層を順番に蒸着80することで、金属蒸着層13を形成し、
図3に示す加飾ガラスパネル10の製造を行う。
【0049】
以上から、上記のように製造される加飾ガラスパネル10は、ガラス基材15の曲面32にラミネートにより形成された凹凸パターン層12を介して金属蒸着層13が形成されるため、金属クラックを防止しながら、ガラス基材15の曲面32に金属蒸着層13が確実に固着した、立体的な金属意匠を有する加飾ガラスパネル10となる。
【0050】
尚、この発明の上記の各実施形態では、加飾シート50に接着層11を設けたが、ガラス基材15と凹凸パターン層12又は、基体シート21が、良好に接着する場合には、接着層11を設けずに、ガラス基材15上に直接凹凸パターン層12又は、基体シート21を設けても良い。
【0051】
又、この発明の上記の各実施形態では、基体シート21の全面に凹凸パターン層12が形成されているが、ガラス基材15の金属蒸着層13が形成される部分に対応する位置に形成されていれば、全面に形成されている必要はない。
【0052】
更に、この発明の上記の各実施形態では、凹凸パターン層12に凹凸パターンを形成するために、凹凸パターンを有する金型を用いたが、凹凸パターンを形成することができれば、ケミカルエッチングやサンドブラスト加工などの方法を用いても良い。
【0053】
更に、この発明の上記の各実施形態では、金属蒸着層13を酸化チタンと二酸化ケイ素を用いて、5層構成で形成したが、ガラス基材15に蒸着意匠が形成されれば、金属蒸着層13は5層構成ではない複数の層又は、単独の層により構成しても良い。
【0054】
更に、この発明の第1実施形態では、加飾シート50に離型層20を設けたが、基体シート21と凹凸パターン層12が、良好に剥離する場合には、離型層20を設けずに、基体シート21上に直接凹凸パターン層12を設けても良い。
【0055】
更に、この発明の第1実施形態では、ガラス基材15の一部が曲面32となっているが、ガラス基材15の裏面全面が曲面であっても良い。又、ガラス基材15の表面は、平面であっても曲面であっても良い。
【0056】
更に、この発明の第2実施形態では、ガラス基材15の表面、裏面の全面が中央部を最も高くして表側に膨らむ緩やかな曲面32となっているが、ガラス基材15の裏面の一部のみが曲面であっても良い。又、ガラス基材15の表面は平面であっても曲面であっても良い。