(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中央管理装置が、フェンフルラミンまたは薬学的に許容されるその塩に関する、服用量、量、数、レジメン、濃度、および患者による所期使用期間についての処方関連情報を認可するようにプログラムされており;さらに、
該中央管理装置が、該患者のための後続の検査をコーディネートする、
請求項1に記載のシステム。
前記中央管理装置が、患者ごとの検査結果のデータフォーマットを規定するようにプログラムされており、該データフォーマットは各患者の検査データフィールドと整合するものであり;さらに、該中央管理装置が、ある期間にわたる各患者の検査結果を記録して各患者の傾向を示すプロットを生成するようにプログラムされている、請求項1に記載のシステム。
前記中央管理装置が、将来の検査結果を予測し、所定のモデルを参照することによって患者の検査データを分類するようにプログラムされている、請求項2に記載のシステム。
電子装置からの出力が、患者のためにスケジューリングされた医療検査の変更および該患者のための薬物処方の変更の少なくとも一つを決定するために前記中央管理装置によって使用され;さらに、
前記データ記憶設備が、認可された医療専門家のデータベースを含み、該中央管理装置が、てんかんの分野における医療専門家の評判を示す一つまたは複数のデータフィールドが入力されると、一人または複数の医療専門家の認可を出力する、
請求項1に記載のシステム。
【背景技術】
【0001】
緒言
てんかんは、反復性の発作への感受性を特徴とする脳の状態である。出産外傷、周産期感染、無酸素症、感染症、毒素の摂取、脳の腫瘍、遺伝性障害または変性性疾患、頭部損傷または外傷、代謝障害、脳血管性偶発症状およびアルコール禁断症状を含むが、これらに限定されるわけではない数多くのてんかんの原因がある。
【0002】
特性決定されているてんかんの亜型が数多くある。例えば、Meritt's Neurology(12th Edition)(非特許文献1)を参照すること。当業者は、てんかんの様々な亜型が、様々な刺激によって誘発され、様々な生物学的経路によって制御され、様々な原因(遺伝的または環境的)を有することを認識するであろう。当業者はまた、てんかんの亜型がその重症度において異なることを認識するであろう。
【0003】
てんかんの重症亜型の一例がドラベ症候群である。ドラベ症候群は、乳児期に始まる珍しい破局型の難治性てんかんである。まず、患者は持続性の発作を経験する。二年目に、別のタイプの発作も起こり始め、これは一般に、おそらくは度重なる脳低酸素のせいで、発達の低下と同時に起こる。これが、言語および運動能力の不十分な発達を招く。
【0004】
ドラベ症候群の子供は、1日に複数回の発作を経験することが多い。てんかん発作は、ドラベ症候群の患者に死をもたらす可能性がはるかに高い。ドラベ症候群と診断された患者の約10〜15%が幼少期、特に2歳〜4歳の間に死亡する。加えて、患者には、整形外科的発達問題、成長障害および慢性感染症を含む数多くの関連症状のリスクがある。
【0005】
特に心配なことに、ドラベ症候群の子供は、てんかん重積状態のエピソードを特に受けやすい。この重度かつ難治性の症状は、一般には入院を伴う速やかな医療介入を要する医学的緊急事態として分類される。てんかん重積状態は致命的になる可能性がある。これはまた、脳低酸素症と関連して、おそらくは脳組織の損傷を招く可能性がある。ドラベ症候群の子供の頻繁な入院は、患者にとってだけでなく、家族および治療者にとっても明らかに苦痛である。
【0006】
ドラベ症候群に加えて、ドラベ症候群に匹敵しうる、てんかん重積状態のエピソードを特徴とするてんかんの重症亜型が他にも数多くある。
【0007】
患者が診断および治療されるシステムには国または地域ごとの違いはあるが、概して、症状を示す患者は、まず、地元の開業医(または、重度および急性の症状の場合には、地元の病院またはクリニック)によって診察される。次いで、一般には診断が下され(おそらくは専門医への照会ののち)、治療する開業医によって処方箋が記される。次いで、その処方箋が薬局に持ち込まれ、そこで処方された薬物が提供される。慢性的な症状の場合、反復処方が開業医(常に専門医とは限らない)によって提供され、薬局によって同様に処理される。
【0008】
そのようなシステムは多くの一般的な症状の治療には十分であり、効果的に機能するが、なおも、潜在的に問題となる数多くの状況が生じる可能性があり、それが、患者が薬物を受け取るときの遅れおよび/または誤った薬物の提供を生じさせる。
【0009】
例えば、患者は、治療の開始時に誤診される可能性がある。または、正しく診断された場合でさえ、患者カルテへのその診断の書き写しにおける誤りまたは開業医による処方箋の不正確な、または読みにくい記入が起こる可能性がある。加えて、薬局において欠品が生じる可能性があり、それは、患者が別の薬局まで移動しなければならないか、または、薬局の在庫が補充されたのち、後日その薬局に再来訪しなければならないことを意味する。
【0010】
てんかん患者、特に重度のてんかんの患者の場合、任意のそのような遅れまたは誤りが悲惨な結果をもたらすおそれがある。したがって、てんかん患者が確実かつ効果的に治療されることを保証するためのシステムが必要である。本発明者らは、今日まで、てんかん治療のためのそのようなシステムが開発されていないと考える。しかし、他の症状の治療管理用システムの例は開発されている。例えば、Xyrem Success Program for Patientsを参照することができる。ザイレム(ナトリウムオキシベート)はナルコレプシーの治療に使用される。この薬は、気晴らし的に、または「デート・レイプ(date-rape)」ドラッグとして使用されてきたものであり、したがって、Xyrem Success Programの一つの狙いは、ザイレムの不適切な入手を防ぐことである。このシステムの詳細は、www.xyrem.com/patient-success-program(非特許文献2)で見ることができる。また、このシステムの様々な局面が米国特許第7668730号(特許文献1)、第7765106号(特許文献2)、第7765107号(特許文献3)、第779717号(特許文献4)、第7895059号(特許文献5)、第8263650号(特許文献6)、第8457988号(特許文献7)、第8589182号(特許文献8)および第8731963号(特許文献9)に開示されている。
【0011】
Thalidomidプログラムの主要工程を概説するフローチャートが
図1に提供されている。そのプログラムに伴ういくつかの問題が、てんかん患者への薬の処方における使用にとってそれを不適当なものにしている。
【0012】
第一に、当該プログラムは、問題の症状の治療および診断の経験にかかわらず、登録されてさえいれば全ての医師に開放される。これは、それほど急を要さない症状の場合には問題となる可能性はないが、このような手法は、てんかん、特にてんかんの重症亜型の治療には不適切であることがわかっている。
【0013】
第二に、当該システムは、薬剤師と医師との間のファックスに大いに依存する。これは、例えば、ファックスが誤った番号に送られる場合、ファックスが読みにくい場合、医師または薬剤師によって送られるファックスに何らかの遅れがある場合などで問題になる。
【0014】
加えて、患者が問題の症状を有すると診断されてから薬が出されるまでの間に数多くの時間浪費的な工程が実施されなければならない。
【0015】
患者の治療を管理するためのシステムのさらなる例がThalidomid REMSプログラムである。サリドミド(サリドマイド)は、新たに診断された多発性骨髄腫および中〜重度のらい性結節性紅斑の治療に使用される。このシステムの詳細は、http://www.thalomidrems.com/(非特許文献3)で見ることができる。また、このシステムの様々な局面が米国特許第6045501号(特許文献10)、第6315720号(特許文献11)、第6561976号(特許文献12)、第6561977号(特許文献13)、第6755784号(特許文献14)、第6869399号(特許文献15)、第6908432号(特許文献16)、第7141018号(特許文献17)、第7874984号(特許文献18)、第7959566号(特許文献19)、第8204763号(特許文献20)、第8315886号(特許文献21)、第8589188号(特許文献22)および第8626531号(特許文献23)に開示されている。
【0016】
このプログラムの主要工程を概説するフローチャートが
図2に提供されている。このプログラムのいくつかの局面が、てんかん患者への薬の処方における使用にとってそれを不適当なものにしている。第一に、当該プログラムは、問題の症状の治療および診断の経験にかかわらず、登録されてさえいれば全ての医師に開放される。加えて、任意の薬局が登録して承認を受け、ひいてはサリドミドを処方することができる。異なる薬局が異なるやり方でデータを記憶し、扱うことができるため、これは問題となる可能性がある。したがって、これらのシステムは、規制当局によって問題の症状にとって適切であると見いだされているが、てんかん患者の治療を管理する場合には、てんかんおよび関連する治療に伴う固有の問題のせいで、必ずしも適切ではないことが本発明者らによって見いだされた。
【発明の概要】
【0019】
概要
本開示の局面は、てんかんの治療または予防における薬物の供給を管理するシステムを含む。当該システムは、データ記憶装置と、データ記憶装置に対してデータを読み書きするための一つまたは複数のプロセッサとを有する中央管理装置を含むことができ、データ記憶装置は患者記録のデータベースを含み、各患者記録は薬物認可フィールドを含み、中央管理装置は、患者の遺伝子検査結果に依存して、患者への抗てんかん薬の初回処方の認可を出力し、抗てんかん薬の一つまたは複数の後続の処方の認可の前に、患者のための一つまたは複数の後続の検査をスケジューリングする。
【0020】
本開示のシステムおよび方法は、てんかん(例えば、てんかんの重症亜型および/もしくは難治性てんかん(例えばドラベ症候群))の治療、ならびに/または関連する副作用を有する薬剤の管理において、特に有利であることができる。中央管理装置は、指定された薬物または有効成分に関する、服用量;量;数;レジメン;濃度;および/または患者による所期使用期間のいずれかまたは任意の組み合わせを含む初回処方またはさらなる処方を認可することができる。中央管理装置は、患者の遺伝子検査結果が存在しない、不完全である、かつ/または互換性のないデータフォーマットである場合、認可の出力を阻止することができる。中央管理装置は、患者のための遺伝子検査および/または患者のための一つまたは複数の後続の検査を指示および/またはコーディネートすることができる。特定の検査の実施についてのこの中央管理は特に有利であり、中央管理装置が、検査のタイプ;検査条件/基準および/または検査結果のフォーマットのいずれかまたは任意の組み合わせを指図することを許すことができる。さらにまたはあるいは、中央管理装置は、検査を実施する一つまたは複数の当事者を管理/認可することができる。
【0021】
処方認可だけでなく、患者の適性を判定するために実施される検査についても集中管理する、この集中管理は、先行技術に反するものだが、その副作用が患者の健康に重大な影響を及ぼし得る薬物の供給管理には特に有利であると判定されている。そのような集中管理は、一つまたは複数のてんかん症状の誤診の事例を減らすかまたは防ぐこともできる。このことは、長期間にわたって一つまたは複数の臓器を生理学的に劣化させる可能性がある薬物の場合、非常に重要であることがわかった。
【0022】
中央管理装置が検査結果のデータフォーマットを規定する例において、当該データフォーマットは、患者検査データフィールドおよび/または患者記録データベースのフォーマットと整合することができる。このことは、患者への薬物供給を、これまで得られなかった程度まで自動化および/または管理することを可能にし得る。
【0023】
一例において、中央管理装置および/またはデータ記憶装置は、患者のための薬物処方の認可のための一つまたは複数の検査データ最低水準を含むことができる。中央管理装置またはデータ記憶装置は、薬物の処方および/または処方の服用量/レジメンを認可するかどうかを決定するための一つまたは複数のコンピュータモデルまたはアルゴリズムを含むことができる。中央管理装置は、ある期間にわたる一人または複数の患者の検査結果を記録して、一つまたは複数の検査データフィールド中にプロットまたは傾向を生成することができる。中央管理装置は、将来の検査結果または一つまたは複数の薬物使用シナリオを予測することができ、かつ/または一つまたは複数の所定のモデルの参照によって患者検査データを分類することができる。
【0024】
このような管理方法は、例えば、既存の処方が患者には無効または潜在的に有害であると判定される場合、それを調節または中止することができるよう、可能性のある患者の治療転帰の判定を許す際に非常に有利である。さらにまたはあるいは、このような方法は、管理システム自体が使用とともに改善され得るよう、薬物に対する患者のパターンまたは応答を管理システムが学習することが可能であり得る。このような特徴は、治療プログラムの継続的な開発、処方認可プロセスを許す際および/または中央データベースが知識ベースとして働くことができるよう、有利である。
【0025】
上記利点を考慮して、システム、方法、および/または中央データベースは、一つまたは複数の薬の理解を改善するため、および/または関連する治療プログラムを管理するためのリサーチツールとして役立ち得る。さらには、本明細書に記載されている種類の情報を、アクセス制限される中央データベースに集積することによって、関連のあるデータが、規制当局、例えば米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)、欧州医薬品庁(European Medicines Agency)、医薬品医療製品規制庁(Medicines and Healthcare products Regulatory Agency)または類似の組織を含む必要な当局にエキスポートされることが可能となる。
【0026】
管理装置は、例えば規制団体および/または研究パートナーもしくは他の組織への、治療プログラムの統計、傾向または転帰の報告を許すことができる。したがって、例えば規定のフォーマットでのそのような記録の集中維持管理は、本発明の実施における重要な特徴であり得る。
【0027】
本開示の様々な例にしたがって、後続の検査は遺伝子検査とは異なってもよい。後続の検査は、生理学的検査および/または遺伝子検査を含むことができる。
【0028】
中央管理装置は、例えば、患者検査結果を受け取った時点で、または処方認可を出力するとすぐ、もしくは患者への/患者による認可処方の配送/受取りを確認するとすぐ、患者のための一つまたは複数の後続の検査を(例えば自動的に)スケジューリングすることができる。中央管理装置は、後続の検査が実施される指定の日時および/または期間をスケジューリングすることができる。後続の検査のタイミングは一般に、認可処方が使用される期間内である。
【0029】
中央管理装置は、患者による薬物の使用が認可される初回または後続の期間を出力することができ、例えば、その期間を過ぎると、患者のための後続の使用期間を認可することができる前に、患者の後続の検査結果が受け取られる必要がある。一例において、例えば患者または医師からの反復処方要求のタイミングは、中央管理装置によって決定された期間に照らしてチェックされ、有利には、患者コンプライアンスのモニタリングを可能にし得る。
【0030】
中央管理装置は、後続の検査結果に依存して、薬物の反復処方を認可することができる。中央管理装置は、後続の検査が求められるまで、患者検査結果に基づいて処方および/または認可期間を変更することができる。
【0031】
一例において、患者に関する遺伝子検査結果が利用可能な場合のみ、データベース上で患者記録が作成され得る。データベースへの患者の入力は、所定のフォーマットまたは患者のための検査データフィールドの最小限の選択が中央管理装置によって受け取られない限り、中央管理装置によって阻止され得る。処方を認可する任意の可能性がある前に患者を審査するこの能力は、例えば人的ミスによって個々の患者が未認可の処方を誤って発行されることがないことを保証するためのフェールセーフとして有利である。これは、中央管理装置が初回および/または後続の患者検査を管理する能力と組み合わされると、患者診断および薬供給を管理するための特に厳重なシステムを提供する。
【0032】
管理センターは、処方認可を発行したり、および/または対応する薬物を自らまたは提携の供給業者を介して供給したりすることができる。患者による薬物の受取りの確認は、例えば受取りの日時を含め、管理センターに提供されることができる。確認は、出される処方の指定された薬物または有効成分に関する、服用量;量;数;レジメン;濃度;および/または患者による所期使用期間のいずれかまたは任意の組み合わせを示すデータを含むことができる。したがって、出される薬物は中央管理装置によって検証され得る。
【0033】
中央管理装置は、患者への処方の配送を開始することができる。データベースは、患者ごとに一つまたは複数の配送先住所フィールドを含むことができる。配送は、患者に対して直接的に実施されることができ、かつ/または、処方医を関与させることができない。したがって、中央管理装置は集中型薬局として機能することができる。さらにまたはあるいは、中央管理装置は中央処方認可管理装置を提供することができ、この中央処方認可管理装置が、関連する薬局に対し、処方を末端の患者に提供するかどうかを指示する。本発明にしたがって、関連する各薬局は、処方の供給を許す前に、中央管理装置による承認を必要とすることができる。
【0034】
患者のその後の医療検査は、患者の臨床状態の変化の検査を含んでもよいし含まなくてもよい。後続の医療検査は、一つまたは複数の特定の臓器の構造および/または機能の評価を含んでもよい。後続の検査は、例えば音波検査法、心エコー検査法または他の好都合な技術による、一つまたは複数の特定の臓器の画像診断を含むことができる。一つまたは複数の特定の臓器は、心臓を含んでもよいし含まなくてもよい。検査結果は、臓器の一つまたは複数の画像、例えば心エコー図を含んでもよいし含まなくてもよい。一つまたは複数の画像を含む検査結果は中央管理装置に送信されることができる。さらにまたはあるいは、要約データまたは加工/誘導された付属データが送信されることもできる。
【0035】
システムは、患者の健康状態をモニタリングするための、一つまたは複数のポータブルまたはウェアラブルな電子装置を含むことができる。当該電子装置は、患者の健康状態の一つまたは複数の指標、例えば血圧、心エコー図、心電図(ECG)、心拍数、血中酸素、体温、肺機能のいずれかまたは任意の組み合わせを計測するための一つまたは複数のセンサを含むことができる。当該電子装置は、後続の検査の焦点である臓器であることができる一つまたは複数の臓器の機能を示す読み取り値を取得することができる。
【0036】
当該電子装置は、センサデータまたはセンサデータのサブセットもしくは処理されたセットまたは結果を中央管理装置に送信する、または中央管理装置による受取りのために送信するように構成されることができる。センサ結果は、特定のセンサデータエントリまたは結果だけが管理装置によって中央データ記憶装置(例えば患者データベース)に記録されるように、例えば電子装置または中央管理装置によって処理されることができる。したがって、連続的、継続的、または断続的な患者モニタリングを使用することができ、主要な指標だけが中央データ記憶装置に記録されることができるようにセンサデータを処理することができる。例えば、一つまたは複数のアルゴリズムを使用して、センサデータを処理し、治療プログラムに応答する患者の健康状態における正常もしくは異常または悪化の指標を出力することができる。
【0037】
電子装置からの結果は、患者のためにスケジューリングされた医療検査の変更および/または処方の認可の変更もしくは薬物処方の変更を決定/出力するために中央管理装置によって使用されることができる。
【0038】
中央データ記憶装置は、認可された治療者、例えば医療専門家のデータベースを含むことができる。治療および/または処方のための患者の認可は、患者のエントリが、認可された治療者のデータベース内に含まれている医師にリンクされることを要求することができる。これは、薬物を処方することができる医師の管理を許すことができる。この先例のないレベルの管理を使用して、主導的な専門家または事前審査を受けた専門家だけが薬を処方する認可を受けることを保証することができる。本開示の第二の局面においては、第一の局面のシステムに対応する、薬物、例えば一つまたは複数の薬の供給を管理する方法が提供される。当該方法またはシステムは、患者治療プログラムを作動するための方法/システムを含むことができる。本開示の第三の局面においては、第一または第二の局面にしたがって中央管理装置として機能するための一つまたは複数のプロセッサの制御のための機械可読命令を含むデータキャリアが提供される。
【0039】
実施可能ならば、本開示の任意の一つの局面に関して定義された必須の、または好ましい特徴のいずれかが任意のさらなる局面に適用されることができる。したがって、本発明の態様は、先に定義された特徴の様々な代替形態を含むことができる。
[本発明1001]
以下を含む、てんかんの症状を治療するための薬物の供給を管理するためのシステム:
患者記録のデータベースを含むデータ記憶設備であって、各患者記録が薬物認可フィールドを有する、データ記憶設備;ならびに
通信ネットワークに接続された一つまたは複数のプロセッサを有し、該ネットワークを介するデータの送受信を管理し、かつ該データ記憶設備に対してデータを読み書きするために該データ記憶設備に接続されている、中央管理装置であって、特定の患者の遺伝子検査結果に依存して該患者への抗てんかん薬の初回処方の認可を該ネットワークを介して出力するようにプログラムされており、さらに、該薬物認可フィールドへの抗てんかん薬の処方の入力を許す前に該患者のための後続の検査をスケジューリングするようにプログラムされている、中央管理装置。
[本発明1002]
前記システムが、中に抗てんかん薬が貯蔵されている薬貯蔵施設をさらに含み、
該システムの前記中央管理装置が、該薬貯蔵施設内の薬在庫をモニタリングするようにプログラムされており、さらに、前記薬物認可フィールドへの入力を履行するために該薬貯蔵施設からの薬物の発送を管理するようにプログラムされている、本発明1001のシステム。
[本発明1003]
前記中央管理装置が、指定された薬物または有効成分に関する、服用量、量、数、レジメン、濃度、および患者による所期使用期間からなる群より選択される処方関連情報を認可するようにプログラムされており;さらに、
該中央管理装置が、該患者のための遺伝子検査および該患者のための後続の検査を指示および/またはコーディネートする、
本発明1001または1002のいずれかのシステム。
[本発明1004]
前記中央管理装置が、患者ごとの検査結果のデータフォーマットを規定するようにプログラムされており、該データフォーマットは各患者の検査データフィールドと整合するものであり;さらに、該中央管理装置が、ある期間にわたる各患者の検査結果を記録して各患者の傾向を示すプロットを生成するようにプログラムされている、本発明1001、1002または1003のいずれかのシステム。
[本発明1005]
前記中央管理装置が、将来の検査結果を予測し、所定のモデルを参照することによって患者の検査データを分類するようにプログラムされている、本発明1001〜1004のいずれかのシステム。
[本発明1006]
前記後続の検査が、生理学的検査および心エコー検査からなる群より選択される、本発明1001〜1005のいずれかのシステム。
[本発明1007]
前記中央管理装置が、患者による前記薬物の使用が認可される期間を出力するようにプログラムされており、ここで、該期間を過ぎると該患者のためのさらなる薬物を認可する前に該患者の後続の検査結果が受け取られる必要があり;さらに、該中央管理装置が、後続の検査結果に依存して、さらなる処方、該処方の変更、および該処方の中止の提案の出力を認可するようにプログラムされている、本発明1001〜1006のいずれかのシステム。
[本発明1008]
前記中央管理装置が、
患者モニタリング装置をモニタリングし;
患者の治療に関するデータを収集し;
収集された該データを分析し;
治療に対する患者応答を判定し;かつ
発作の発生およびタイプを判定する
ようにプログラムされている、本発明1001〜1007のいずれかのシステム。
[本発明1009]
前記患者データベースが患者の配送先住所の詳細を含み、
前記中央管理装置が、
前記薬物のための集中型薬局として働き、かつ
該配送先住所での該薬物の受取りを確認する
ようにプログラムされている、
本発明1001〜1008のいずれかのシステム。
[本発明1010]
前記システムが、患者の健康状態をモニタリングするための、該患者によって携行または装用されるポータブル電子装置をさらに含み、
該電子装置が、血圧、心電図(ECG)、心拍数、血中酸素、体温および肺機能からなる群より選択される情報を計測するためのセンサを含み、
該電子装置が、前記中央管理装置と互換性のあるフォーマットでセンサ読み取り値を提供するように構成されている、
本発明1001〜1009のいずれかのシステム。
[本発明1011]
前記電子装置からの出力が、患者のためにスケジューリングされた医療検査の変更および該患者のための薬物処方の変更の少なくとも一つを決定するために前記中央管理装置によって使用され;さらに、
中央データ記憶装置が、認可された医療専門家のデータベースを含み、該中央管理装置が、てんかんの分野における医療専門家の評判を示す一つまたは複数のデータフィールドが入力されると、一人または複数の医療専門家の認可を出力する、
本発明1001〜1010のいずれかのシステム。
[本発明1012]
ドラベ症候群の症状の治療における薬剤の供給を管理するための、本発明1001〜1011のいずれかのシステム。
[本発明1013]
以下の工程を含む、てんかんの治療または予防における薬物の供給を管理する方法:
患者記録のデータベースを含む中央データ記憶設備を維持管理する工程であって、各患者記録が薬物認可フィールドを含む、工程;
患者遺伝子検査の結果に応じてのみ、患者への抗てんかん薬の初回処方の認可を、通信ネットワークおよび該データ記憶設備に接続された中央管理装置から該通信ネットワークを介して出力する工程;および
抗てんかん薬の一つまたは複数の後続の処方の認可の前に、該患者のための一つまたは複数の後続の検査を該中央管理装置によってスケジューリングする工程。
[本発明1014]
薬貯蔵施設内の薬在庫を前記中央管理装置によってモニタリングする工程、および処方を履行するために薬物の発送を管理する工程
をさらに含む、本発明1013の薬物の供給を管理する方法。
[本発明1015]
以下により抗てんかん薬の中央管理装置として機能するよう一つまたは複数のプロセッサを制御するための命令を記憶する非一時的な機械可読記憶媒体を含む、データキャリア:
各患者記録が薬物認可フィールドを含む、患者記録のデータベースを含む中央データ記憶設備に対するデータの読み書きを制御すること;
該患者データベースに記録されている患者の遺伝子検査の結果に応じてのみ、該患者への抗てんかん薬の初回処方の認可を該中央管理装置から通信ネットワークを介して出力すること;
抗てんかん薬の一つまたは複数の後続の処方の認可の前に、該患者のための一つまたは複数の後続の検査を自動的にスケジューリングすること;ならびに
該中央管理装置により薬貯蔵施設内の薬在庫のモニタリングを管理すること、および該処方を履行するために薬物の発送を管理すること。
【発明を実施するための形態】
【0042】
詳細な説明
上記概要のように、治療プログラムおよび対応する処方の発行を集中管理するためのシステムおよび方法が提供される。先行技術の治療プログラムは一般に、治療プログラムリスク管理を重視する。対照的に、本明細書に記載されている開示の態様は、i)診断の確認、ii)コンプライアンスの検証、iii)副作用プロフィールのモニタリングおよび/または効能の欠如の特定、のそれぞれを包含することができる、より包括的な患者治療プログラムを促進することを目的とする。先行技術のシステムは、てんかん、特に特定の重度の形態のてんかんの治療には不適当である。本明細書に記載され、特許請求されるシステムはまた、その治療が症状の重症度、診断、コンプライアンス、副作用および効能に関して同じまたは類似の心配を伴う、他の症状を病む患者の治療を管理する場合の使用にも適切である。本開示は、患者の平均余命にマイナスの影響を及ぼすことが知られている一つまたは複数の薬を含む治療プログラムを提供する。本システムおよび方法は、処方される薬が長期間、例えば数ヶ月または数年かけて患者の健康状態に対して累積的な有害作用を及ぼす治療プログラムに適している。そのような状況において、薬の慎重な処方および供給を使用して、薬の効能と患者の健康状態の他の局面に対するマイナス影響との間のバランスを制御することができる。
【0043】
本システムおよび方法は、先行技術によって提供されるよりも大きな制御を必要とする副作用を有する、以下に記すような薬のいくつかと一緒に使用するために開発された。そのような場合、特定の患者検査にしたがう初回処方および/または継続中の反復処方の管理が患者転帰を有意に改善できることがわかった。
【0044】
てんかんには膨大な数の亜型がある。すべての形態のてんかんが患者自身ならびにその家族、治療者および友人を苦しめるが、てんかんのいくつかの亜型は他のものより重度である。「重度」という言及は、例えば、難治性である、および/またはてんかん重積状態のエピソードを特徴とするてんかんの亜型に対して用いられる。そのようなてんかんの亜型は、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、ウエスト症候群、ドゥーズ症候群および/または他のタイプの難治性てんかんを含むが、これらに限定されるわけではない。
【0045】
本明細書に記載され、特許請求されるシステムは、てんかん治療に有用である任意の好都合な薬(単独で提供されるのか、製剤として提供されるのか、または他の生物活性薬を含む組成物として提供されるのかは問わない)を使用するてんかん患者の治療を管理する場合の使用に適切である。いくつかの局面において、薬は、受容体アゴニスト、アンタゴニストまたはアロステリック調節因子である。特定の局面において、薬は、一つまたは複数の5-HT受容体サブタイプおよび/またはそのサブユニットで活性である。いくつかの局面において、薬は、神経伝達物質または神経ペプチドの合成、貯蔵、放出、分解、再取り込みおよび/または活性に影響する。別の局面において、薬はイオンチャネルブロッカである。特定の局面において、薬は、てんかん患者の脳における興奮性神経伝達と抑制性神経伝達とのバランスを変化させる薬である。いくつかの局面において、薬は、一つまたは複数の遺伝子突然変異を有するてんかん患者に効果的であることが知られる薬である。特定の局面において、薬は、てんかんを治療するために一般に使用される薬には応答しないてんかん患者に効果的であることが示されている薬である。
【0046】
いくつかの局面において、システムは、有効量のそれらの化合物または組成物が患者に投与されたとき、患者の脳内の一つまたは複数の5-HT受容体の活性に直接的または間接的のいずれかで影響する薬、医薬製剤、または医薬組成物を使用するてんかん患者の治療を管理する場合の使用に適切である。いくつかの態様において、一つまたは複数の5-HT受容体は、とりわけ、5-HT
1、5-HT
1A、5-HT
1B、5-HT
1C、5-HT
1D、5-HT
1E、5-HT
1F、5-HT
2、5-HT
2A、5-HT
2B、5-HT
2C、5-HT
3、5-HT
4、5-HT
5、5-HT
5A、5-HT
5B、5-HT
6および5-HT
7の一つまたは複数から選択される。特定の態様において、薬は、受容体アゴニスト、アンタゴニスト、またはアロステリック調節因子である。
【0047】
したがって、本発明の一つの局面にしたがって、前記受容体の一つ、いくつか、またはすべての活性に影響する薬、医薬製剤、または医薬組成物を使用するてんかん患者の治療を管理する場合の使用に適切なシステムが提供される。
【0048】
いくつかの局面において、本明細書に開示され、特許請求されるシステムは、てんかんの一つもしくは複数の症状を誘発すること、またはそれらの重症度、頻度、もしくは持続時間に影響することに関与する一つまたは複数の神経伝達物質または神経ペプチドの合成、貯蔵、放出、分解、再取り込み、および/または活性に影響を及ぼすのに有効な薬、医薬製剤、または医薬組成物を使用するてんかん患者の治療を管理する場合の使用に適切である。本発明のこの局面の特定の態様において、神経伝達物質は、とりわけ、ドーパミン、セロトニン、γアミノ酪酸(GABA)の一つまたは複数であることができる。一つの例示的な態様において、神経伝達物質はセロトニンである。
【0049】
本発明の別の局面において、システムは、イオンチャネルブロッカとして働く薬を用いる治療を管理する場合の使用に適切である。一つの態様において、薬はナトリウムチャネルブロッカである。
【0050】
いくつかの局面において、本明細書に開示され、特許請求されるシステムは、一つまたは複数の遺伝子突然変異を有する患者におけるてんかんの症状を予防または治療するのに有効な薬、医薬製剤、または医薬組成物を使用するてんかん患者の治療を管理する場合の使用に適切である。そのような突然変異は、発作を含むがこれに限定されるわけではない、てんかん症状の発症、頻度、重症度、または持続時間における関与が示されている突然変異を含むことができるが、それらに限定されるわけではない。そのような突然変異の例は、SCN1A(例えば、例えば電圧領域またはポア領域S4〜S6における、部分または全欠失突然変異、短縮型突然変異、および/またはミスセンス突然変異)、SCN1B(例えば、ナトリウムチャネルβ1サブユニットをコードする領域)、SCN2A、SCN3A、SCN9A、GABRG2(例えば、γ2サブユニットをコードする領域)、GABRD(例えば、δサブユニットをコードする領域)および/またはPCDH19遺伝子の突然変異を含むが、これらに限定されるわけではない。したがって、本発明のさらなる局面にしたがって、上記遺伝子の一つ、いくつか、またはすべてに突然変異を示すてんかん患者の治療を管理する場合の使用に適切なシステムが提供される。
【0051】
いくつかの局面において、開示され、特許請求されるシステムは、若年患者の治療を管理する場合の使用に適切である。特定の態様において、患者は、18歳未満、例えば15歳未満、10歳未満、5歳未満、2歳未満、18ヶ月未満、1歳未満、6ヶ月未満、または1ヶ月〜6ヶ月である。特定の態様において、患者は、18歳以下、例えば15歳以下、10歳以下、5歳以下、2歳以下、18ヶ月以下、1歳以下、6ヶ月以下、または1ヶ月〜6ヶ月である。
【0052】
特定の局面において、服用頻度および量は個々の患者の必要性にしたがって変化する。服用は、1日二回、1日一回、2日に一回、週四回、週三回、週五回、週六回、週一回、2週に一回または1月に一回であることができる。服用量は、年齢、体重、ならびに症状の重症度、頻度、および/または性質を含むが、これらに限定されるわけではない、患者パラメータにしたがって変化する。特定の態様において、服用は、約0.8mg/kg/日、約0.7mg/kg/日、約0.6mg/kg/日、約0.5mg/kg/日、約0.45mg/kg/日、約0.4mg/kg/日、約0.35mg/kg/日、約0.3mg/kg/日、約0.25mg/kg/日未満、または約0.2mg/kg/日〜約0.1mg/kg/日、約0.05mg/kg/日もしくは約0.01mg/kg/日の量が用いられる。特定の態様において、関心対象の薬の服用は、0.8mg/kg/日以下、例えば0.7mg/kg/日以下、0.6mg/kg/日以下、0.5mg/kg/日以下、0.45mg/kg/日以下、0.4mg/kg/日以下、0.35mg/kg/日以下、0.3mg/kg/日以下、0.25mg/kg/日以下、0.2mg/kg/日以下、0.1mg/kg/日以下、0.05mg/kg/日以下、または0.01mg/kg/日以下の量で実施される。
【0053】
さらなる局面において、経口的に、筋肉内もしくは静脈内注射によって、または任意の他の好都合な手段によって、前記服用量が投与される。
【0054】
本開示のシステムが有用である治療に使用される薬は、単独で投与されてもよいし、またはその薬が、とりわけ分散剤、保存剤、緩衝剤、色素、または着香料を含んでもよい不活性成分と組み合わされている医薬製剤として投与されてもよい。薬はまた、てんかんに対して活性であるかまたは他の生物学的活性を有することもできる他の物質と共に投与されてもよい。
【0055】
任意の好都合な薬が本システムおよび方法における用途を見いだすことができる。特定の態様において、システムは、以下の薬:カンナビジオール、カルバマゼピン、クレミゾール、クロバザム、フェンフルラミン、ミダゾラム、スチリペントール、トピラメート、およびバルプロエートの一つまたは複数を用いる治療を管理する場合に有用である。特定の態様において、薬は、これらの化合物の化学誘導体または代謝生成物であることができる。特定の態様において、薬は、いくつかの場合に薬の特異性、活性、半減期、代謝、または生物活性の他の面に影響することができる抗体または抗体誘導ペプチドにコンジュゲートしている。
【0056】
いくつかの例において、薬はカンナビノイド類である。いくつかの場合、カンナビノイド類は、大麻類似物、例えば9-テトラヒドロカンナビノールである。関心対象のカンナビノイド類は、4,5-ジヒドロ-2-メチル-4(4-モルホリニルメチル)-1-(1-ナフタレニル-カルボニル)-6H-ピロロ[3,2,1-i,j]キノリン-6-オン[R(+)WIN55,212]カンナビジオール、その誘導体、その代謝生成物、またはそのコンジュゲートを含むが、これらに限定されるわけではない。いくつかの例において、薬は、カルバマゼピン、その誘導体、その代謝生成物、またはそのコンジュゲートである。いくつかの例において、薬は、クレミゾール、その誘導体、その代謝生成物、またはそのコンジュゲートである。いくつかの例において、薬は、クロバザム、その誘導体、その代謝生成物、またはそのコンジュゲートである。いくつかの例において、薬は、ミダゾラム、その誘導体、その代謝生成物、またはそのコンジュゲートである。いくつかの例において、薬は、スチリペントール、その誘導体、その代謝生成物、またはそのコンジュゲートである。いくつかの例において、薬は、トピラメート、その誘導体、その代謝生成物、またはそのコンジュゲートである。いくつかの例において、薬は、バルプロエート、その誘導体、その代謝生成物、またはそのコンジュゲートである。
【0057】
いくつかの例において、薬は、フェンフルラミン活性薬剤、例えばフェンフルラミン、その誘導体、その代謝生成物、またはそのコンジュゲートである。特定の局面において、薬はフェンフルラミンの化学誘導体である。特定の例において、薬はフェンフルラミン抗体コンジュゲートである。いくつかの態様において、フェンフルラミン活性薬剤は、フェンフルラミンまたは薬学的に許容されるその塩である。特定の態様において、フェンフルラミン活性薬剤は、フェンフルラミンの類似物または薬学的に許容されるその塩である。関心対象のフェンフルラミン類似物は、例えばCYP2D6のような代謝酵素の作用を介するN−脱アルキル化に耐性である類似化合物を含むが、これらに限定されるわけではない。いくつかの場合、フェンフルラミン類似物は、所望の標的活性を保持しながらも減少したCYP2D6親和性を分子に付与する構造を有する。特定の例において、フェンフルラミン類似物は、CYP2D6による代謝に対する耐性を付与する構造を有する。本システムおよび方法において用途を見いだすフェンフルラミン組成物および製剤は、WO2014/177676に記載されているものを含む。
【0058】
開示内容が参照により全体として本明細書に組み入れられるWO2014/177676に記載されている方法を含むが、それらに限定されるわけではない、てんかんを治療する任意の好都合な方法を、本方法およびシステム(例えば、本明細書に記載されているような)の一つまたは複数の局面と共に実施し得る。
【0059】
本方法の局面は、有効量のフェンフルラミン活性薬剤(例えばフェンフルラミン)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与する工程を含む、患者におけるてんかんを治療および/または予防する工程を含む。特定の態様において、方法は、有効量のフェンフルラミン活性薬剤(例えばフェンフルラミン)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与する工程を含む、てんかんと診断された患者における発作を予防および/または改善する工程を含む。特定の例において、フェンフルラミン活性薬剤はフェンフルラミンである。特定の例において、フェンフルラミン活性薬剤はフェンフルラミン誘導体である。特定の例において、フェンフルラミン活性薬剤はフェンフルラミン代謝生成物である。特定の例において、フェンフルラミン活性薬剤はフェンフルラミンコンジュゲートである。特定の例において、患者はドラベ症候群の患者である。
【0060】
本方法の局面は、有効量のフェンフルラミン活性薬剤(例えばフェンフルラミン)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与する工程を含む、患者におけるドラベ症候群を治療および/または予防する工程を含む。特定の態様において、方法は、有効量のフェンフルラミン活性薬剤(例えばフェンフルラミン)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与する工程を含む、ドラベ症候群と診断された患者における発作を予防および/または改善する工程を含む。特定の例において、フェンフルラミン活性薬剤はフェンフルラミンである。特定の例において、フェンフルラミン活性薬剤はフェンフルラミン誘導体である。特定の例において、フェンフルラミン活性薬剤はフェンフルラミン代謝生成物である。特定の例において、フェンフルラミン活性薬剤はフェンフルラミンコンジュゲートである。方法のいくつかの態様において、患者は、SCN1A、SCN1B、SCN2A、SCN3A、SCN9A、GABRG2、GABRDおよびPCDH19からなる群より選択される遺伝子の一つ、いくつか、またはすべてに突然変異を示し、方法は、有効量のフェンフルラミン活性薬剤(例えばフェンフルラミン)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与する工程を含む。
【0061】
本開示の局面は、有効量のフェンフルラミン活性薬剤(例えばフェンフルラミン)または薬学的に許容されるその塩を患者に投与することにより、患者の脳の中の一つまたは複数の5-HT受容体を刺激する方法を含み、一つまたは複数の5-HT受容体は、5-HT1、5-HT1A、5-HT1s、5-HT1c、5-HT1D、5-HT1E、5-HT1F、5-HT2、5-HT2A、5-HT2s、5-HT2c、5-HT3、5-HT4、5-HTs、5-HTsA、5-HTss、5-HT6および5-HT7のうちの一つまたは複数からなる群より選択される。方法の特定の態様において、患者は、ドラベ症候群と診断された患者である。
【0062】
本明細書に記載されている方法の特定の態様において、有効量は約0.5mg/kg/日未満〜約0.01mg/kg/日である。特定の態様において、有効量は、経口、注射、経皮、吸入、経鼻、直腸、膣、または非経口送達のための一つまたは複数の剤形で投与される。特定の態様において、一つまたは複数の剤形は液体製剤である。方法の特定の例において、フェンフルラミン活性薬剤は単独療法として用いられる。特定の場合において、有効量のフェンフルラミン活性薬剤(例えばフェンフルラミン)または薬学的に許容されるその塩は、一つまたは複数の併用治療剤と同時に投与される。特定の態様において、一つまたは複数の併用治療剤は、カルバマゼピン、エトスクシミド、フォスフェニトイン、ラモトリギン、レベチラセタム、フェノバルビトール、プロガビド、トピラメート、スチリペントール、バルプロ酸、バルプロエート、ベラパミル、およびベンゾジアゼピン類(例えばクロバザム、クロナゼパム、ジアゼパム、ロフラゼパ酸エチル、ロラゼパム、およびミダゾラム)または薬学的に許容されるそれらの塩からなる群より選択される。特定の態様において、患者は18歳以下である。
【0063】
特定の態様において、集中管理は、団体、いくつかの場合には薬開発および/または供給団体によって提供される。管理手段は、いくつかの場合、団体の管理下、コンピュータシステムネットワーク上で作動するソフトウェアまたはファームウェアの形態にある機械可読コードによって提供される。しかし、特定の管理手段は、少なくとも部分的に、管理ソフトウェアとともに手動の介入によって実現されることができ、したがって、当業者によって理解されるように、手動で開始される管理工程および/または自動で開始される管理工程の様々な組み合わせが構想される。
【0064】
まず
図3を参照すると、中央管理システム10、患者の治療を担う医療施設12および患者の住居14を含む、本発明のシステム例の概観が提供されている。以下に記載する発明の例は適当な装置間のデータ通信に依存し、そのようなものとして、本発明の特定の例においては、建物または住居ではなく患者および/または治療提供者と対応する電子装置、例えばポータブル通信装置を介して必要なデータ通信を実施することが可能である。そのようなものとして、本発明の一般的な態様は異なる建物12および14を含むが、それらは、本発明の定義に必須ではない。
【0065】
中央管理システム10は、薬物貯蔵施設16、概してアクセス制限されている安全な貯蔵施設を含み、中央管理施設が、本発明にしたがって処方される一つのタイプまたは限られた数の薬のための中央薬局として働くことを可能にし得る。中央管理システムの動作のためのコンピュータシステムは、施設16と同じ場所に位置することもできるし、または離れたところに、ただし必要ならば、例えばローカルまたはワイドエリアネットワークを介してそれと通信する状態で位置することもできる。
【0066】
中央管理システム10を支えるコンピュータシステムは、いくつかの場合にはインターネット、例えばTCI/IP通信を介して、または中央管理システム10が患者および/または関連する医療専門家と通信することができる他の適当なワイドエリアネットワークを介して中央コンピュータシステムとの間のデータ通信の送受信を制御するための一つまたは複数のサーバ18を含む。
【0067】
中央コンピュータシステムはさらに、患者データベース22が維持管理されている一つまたは複数の不揮発性データ記憶装置を含むデータ記憶装置20を含む。この例において、データ記憶装置20はさらに、医療専門家(例えば医師)のデータベース24および/または薬貯蔵施設16に関する薬在庫データベース26を含む。データ記憶装置20全体は、一つの場所に位置することもできるし、または必要ならば複数の場所に分散し、例えば異なるデータベースまたはその部分が異なる場所/建物にて維持管理されることができる。
【0068】
サーバ18およびデータ記憶装置20は、ローカルエリアネットワーク28の一部として提供されることができる。中央管理ネットワーク28は、オペレータが中央管理システムと対話することを可能にするために、一つまたは複数のさらなる電子装置30、例えばPCを含むことができる。そのような電子装置は、一つまたは複数の適当なインタフェースを介して、例えば、データ記憶装置から受取り人へ、プリンタへ、または他の従来の出力装置へのデータの送信を命令することにより、データ入力、データ編集、データ閲覧/検索、および/またはデータ出力のいずれかまたは任意の組み合わせを可能にする。一つまたは複数のオペレータ電子装置は、いくつかの場合、スクリーンまたは他の従来の表示装置を含む。複数のサーバ18および/またはオペレータ装置30が、共通のデータ記憶装置20へのアクセスに対応できる。
【0069】
医療施設12は、いくつかの場合、てんかんの治療のために一人または複数の医師が関係をもつ病院、手術センター、クリニック、又は同様のものを含む。適当な医師は、関連する症状または治療分野における知識を有する専門家およびいくつかの場合、主導的な専門家を含むことができる。
【0070】
本開示にしたがって一つまたは複数の医療検査を実施するための機器32が医療施設12に提供されるか、または中央コンピュータシステムの制御下でそれに提供可能であることができる。医療施設および/または専門医と対応する通信装置34が、本発明のためにサーバ18との遠隔データ通信を可能にする。
【0071】
システムはさらに、患者がサーバ18または通信装置34との連絡を送受信することができる一つまたは複数の患者電子通信装置36、例えばPC、ラップトップ、携帯電話、タブレットコンピュータ、または類似装置を含む。患者装置は特に、患者と中央管理システムとの間の薬配送連絡を通信するために使用される。特定の例において、処方の配送および/または受取りに関して患者装置36に割り当てられる機能は、処方の配送/患者による受取りを確認するために、医療施設装置34または地元の薬局に割り当てられることができる。
【0072】
いくつかの例において、システムはまた、患者の健康状態を示す一つまたは複数の生理学的パラメータを計測するための一つまたは複数のセンサを含む患者モニタリング装置38を含む。特定の例において、モニタは、心機能を計測するための一つまたは複数のセンサ、例えば心拍数および/または血圧センサを含む。患者モニタリング装置は、いくつかの場合、患者通信装置36および/または直にサーバ18もしくは医療施設装置34に読み取り値を出力することができる、例えば電源を有するポータブルおよび/またはウェアラブルな電子装置を含む。例えば、リストストラップ装置、または携帯電話もしくは同様のものと一体化しているかもしくは通信する装置を、従来の健康モニタリング技術と同様なやり方で、この目的に使用することができる。しかし、患者モニタリング装置38は、いくつかの場合、必要なフォーマットおよび/または必要なタイミング/間隔のデータが提供されることを保証するために、直接または間接的のいずれかで、サーバ18との自動通信のために構成されている。
【0073】
患者モニタリング装置38はまた、所定のフォーマットで、例えば所定の期間で、または所定の数の変数もしくは読み取り値にしたがって、測定値を得るおよび/またはコンパイルするように予めプログラムされていてもよい。特定の場合、患者モニタリング装置は、例えば、読み取り値の一貫性を保証するため、および/または所定のデータフォーマットがサーバ18に認識可能であることを保証するために、当該所定のパラメータが満たされたときのみ、感知されたデータを送信することができる。さらにまたはあるいは、患者モニタリング装置によって送信されるデータは、データが関連する患者記録を示すために、一つまたは複数の識別子を、パケットヘッダデータ、メタデータ、IPアドレスまたは同様のものとして含むことができる。このことは、患者モニタリング装置から関連する読み取り値または対応/誘導データを受けるとすぐ、中央管理システムにおける患者データベース22の自動更新を可能にすることができる。
【0074】
上記システムを使用するてんかん治療プログラムの運用方法の例は、以下、
図4〜6を参照しながら説明される。
【0075】
治療プログラムシステムの運用の主要な要件は、患者を患者データベースに入れる要求または薬を患者に処方する要求が認可されることができる前に、まず、
図4に示すように、患者への薬の処方を提案する医師が識別可能であり、中央コンピュータシステム上で事前承認されていなければならないことである。患者を治療プログラムに照会するための医師の承認には、医師に関するいくつかのチェック項目が満たされることが必要である。
【0076】
そのようなチェック項目は、患者治療の関連分野における以下の基準:医師の資格;実務年数;専門家としての評判;発表文献および/または確認された照会患者の数;のうちの一つまたは複数を含むことができる。特定の態様において、承認基準は、任意の有資格医または専門家に開放されるのではなく、その分野の主導的な専門家だけが承認可能であるような高い最低水準を保証することを意図したものである。
【0077】
特定の態様において、治療プログラム下の処方医は、さらにまたはあるいは、中央管理システムによって処方が認可されることができる前に、承認を必要とすることができる。上記承認基準のいずれかまたは任意の組み合わせを、治療プログラム下で処方医を承認するためのプロセスに適用することができる。処方医は、一人または所定の数の承認済の医師/照会者から照会を受けるとすぐに承認されてもよい。
【0078】
医師データベース24は、承認された医師および関連する承認基準の詳細を、例えば、医師ごとに記録された承認基準に関する複数のフィールドとして含む。また、データベース24中の医師エントリごとに承認状態フィールドが提供されることもできる。データベース24は承認決定待ち医師の詳細を含むことができ、それにより、特定の承認フィールドは、承認が認可されるには不完全または不十分である。
【0079】
医師データベースは、いくつかの場合、医師ごとの一意の識別子ならびに医師の氏名、連絡先の詳細、および関連する医療施設または雇用者を含む。データベース24において医師ごとに承認ランキングを確立し、別のフィールドに提供することができる。
【0080】
ひとたび承認されると、医師は、患者氏名、住所の詳細、および任意の他の適当な連絡先の詳細を含む特定の必須データフィールドを含む関連する要求をサーバ18に送信することにより、患者を治療プログラムに照会することができる。要求は、患者に関する診断または重症度指標もしくは対応する検査結果を含むことができる。患者照会要求は、
図5に示すように、サーバ18によって受け取られるとすぐに処理される。患者詳細は、サーバによって受け取られるとすぐ、患者データベース22に記録される。各患者記録は、医師データベース24中の関連するエントリに対応する識別子を使用して照会医を示すフィールドを含む。事前に承認された医師に関して対応する識別子が登録されてはじめて、患者は、プログラム下での薬物の認可に関して評価されることができる。
【0081】
患者適性評価プロセスは、いくつかの場合には遺伝子検査を含む患者検診の結果の分析を含む。遺伝子検査は、中央管理システム10の管理下、すなわち問題の薬の供給を管理する製薬会社によってスケジューリングされ、実施される。このようなやり方の患者適性スクリーニングプロセスの管理は、特定のコンプライアンス規格に準じた検査を実施できること、および/または患者が承認されると作動するソフトウェアによって審査可能な所定のフォーマットで検査結果データを提供できることを保証し、提案される遺伝子検査スケジュールは、中央管理システムによって出力され、患者、医師、および/または検査オペレータに送信される。検査オペレータは、所定の条件にしたがって検査を実施するために、製薬会社によって審査され、承認された製薬会社および/または組織の一人または複数の被雇用者を含むことができる。ひとたび被検査者によって合意されたならば、遺伝子検査がスケジューリングされ、日時が記録され、それにより中央管理システムは検査データの受取りを待つ。
【0082】
遺伝子検査結果が患者承認基準をパスしない場合、治療プログラムへの不適性を示す連絡が、対応する医師および/または患者に送られる。特定の例においては、成立/不成立患者照会要求の記録を医師ごとに維持管理することができる。特定の例において、遺伝子検査は、特定の遺伝子突然変異を有する患者が問題の症状を有する場合のみ、重要である。いくつかの場合、薬の副作用を考慮して、そのような患者は、絶対に必要でない限り、治療を受けるべきではない。
【0083】
遺伝子検査に加えて、治療プログラム運用者の管理下、一つまたは複数の生理学的検査を実施して、治療プログラム薬物の一つまたは複数の公知の副作用に対する患者の感受性を測定することができる。そのような検査は、一つまたは複数の患者臓器の画像診断および/またはその機能の検査を含むことができる。一つまたは複数のてんかん重症亜型のための治療プログラムにおいては、特定の薬物が心臓の劣化をもたらす可能性があり、したがって、そのような場合、心エコー検査または他の心臓血管検査を実施することができる。
【0084】
遺伝子および/または生理学的検査結果が承認基準を満たすならば、検査結果を記録し、患者記録を治療プログラムに関して承認状態に更新することができる。薬の潜在的な副作用を含む治療プログラムに関する情報が、ウェブサイト、データキャリア、文書、または他の従来の手段を含む適当な媒体により、患者に提供される。特定の場合、患者または保護者は、治療プログラム薬物に伴うリスクを再考し、理解し、受諾したことを確認することを求められる。患者受諾は、
図6によって示すように、プログラムの処方供給および患者モニタリング段階に入る前に、中央コンピュータシステムによってデータベース22中の患者記録に記録されることができる。
【0085】
特定の例において、患者のための初回処方は、データベースに記録された患者データ、例えば年齢、性別、身長/体重、病歴、および/または検査結果にしたがって中央管理システム10によって決定される。中央コンピュータシステム、例えばPC30またはサーバ18が、処方のための一つまたは複数の容器40に貼り付けられる、患者および処方データを含む処方ラベルを出力する。いくつかの場合、システムはまた、処方の配送先住所を含む配送文書またはラベルを出力する。任意のそのような文書/ラベルは、出荷前に処方に貼り付けるために貯蔵施設でプリントされることができる。
【0086】
特定の例において、初回患者処方は、中央管理システムによって出力される詳細にしたがって包装され、ラベルを貼られ、薬貯蔵施設16から発送される。処方発送の日時は患者記録に記録されることができ、受取り確認フィールドが患者データベース22中に提供される。患者または医療施設12による処方受取りの肯定的確認がサーバ18に提供され、患者データベース22に記録されることができる。そのような確認は、いくつかの場合、受取り人がサーバ18によって管理されるオンライウェブサイトまたはポータルにログインすることを要求する処方受取りフォームがオンラインで入力されることにより、提供されることができる。さらにまたはあるいは、各処方は、受取りの確認が受取り人からサーバ18への一意の識別子の返信によってのみ検証されるような一意の識別子を含むことができる。こうして、受取り人および処方の肯定的確認を受け入れることができる。特定の例において、配送業者が携行するポータブル通信装置が、上記のやり方で処方受取りの肯定的検証のためのインタフェースを提供することができる。
【0087】
処方の受取り日時は、関連する処方期間または長さとともに患者記録に記録されることができる。次いで、システムは、初回処方の中止日の前またはその日と一致する、反復処方が認可されるためのデッドラインを出力することができる。従来の反復処方とは違い、治療プログラム下の反復処方またはさらなる処方は、患者に関する満足なさらなる医学的評価結果が患者データベース22に記録されない限り、中央管理システムによって認可されない。そのような結果は、中央管理システムによって患者に支給される患者モニタリング装置を使用する継続的な患者モニタリングおよび/または中央管理システムの管理/命令下で実施されるさらなる検診によって得ることができる。
【0088】
評価結果がサーバ18に連絡され、処理されて、薬物の効能および/または患者が経験する副作用の重症度が判定される。そのようなデータは、反復処方量の増減;服用の中止、代替薬物への変更および/または治療プログラムの中止を決定するために使用される。そのようなデータは、さらにまたはあるいは、さらなる処方の適当な期間または患者のためのさらなる検診までの適当な間隔を決定するために使用される。
【0089】
ひとたび処方の受取り日時を受け取ったならば、管理システムは、反復処方の承認に備えて検診をスケジューリングすることができる。検診は、初回処方の終了前の適当な期間に基づいて、管理システムによってスケジューリングされることができる。初回検診と同様に、各さらなる検診は、中央管理システムによって指示され、中央管理システムの管理下で実施される。提案される検診の日時および場所を示す連絡が関連する当事者/装置、例えば医師および/または患者装置34、36に送信されることができ、対応する確認または再スケジューリング応答が検診を確認または再手配する。
【0090】
いくつかの場合、さらなる検診は、初回検診とは異なり、一つまたは複数の患者臓器、例えば心臓または心臓血管機能の検査を含む。したがって、検査に使用される機器32は、画像診断/音波検査機器、例えば心臓の構造および機能を評価するための心エコー検査機器を含むことができる。結果は、例えば機器32またはPC34で、中央管理システムによって規定された所定のフォーマットにしたがって照合される。結果は、心臓の一つまたは複数のデジタル画像およびそれに伴う計測値、例えば心臓の一つまたは複数の内部構造の寸法および/または心臓を通過する流量を含む。
【0091】
検査結果が人間のオペレータ、例えば医師、看護師、診療看護師、または他の訓練を受けた医療従事者によって読まれる、および/または解釈される場合、EKG、ECG、心エコー図、または他の検査結果のような検査結果は、中央または地域の読取りセンターに送られて、専門の訓練もしくはさらなる訓練または意義深い経験を有する専門家、例えば医師、専門医、特別に訓練された技術者、または地域の専門医によって読まれることができる。集中施設の使用は、改善された評価の一貫性、品質および信頼性の利点を提供する。
【0092】
結果は、検診の実際の日時とともに患者データベース22に記憶されるためにサーバ18に送信される。結果は、中央コンピュータシステム上のソフトウェアによって指図される一つまたは複数のアルゴリズムまたはルーチンによって手動および/または自動で評価されることができる。結果の所定のフォーマットは、プログラム下で治療中の患者の健康状態の変化を評価するために、以前の検査結果との比較を可能にする。アルゴリズムは、フェンフルラミンのような薬物の継続中の処方に関する患者の適性を判定するための一つまたは複数の簡単な最低水準を含むことができる。特定の場合、アルゴリズムは、さらにまたはあるいは、結果における勾配、傾向、または他のデータ特徴を決定するために、ある期間にわたる検診データを処理/プロット化することができる。したがって、アルゴリズムは、薬に対する患者応答または治療プログラムの他の局面の一つまたは複数のパターンを識別し、例えば患者の健康に対する継続的なリスクの点で治療プログラムに対する患者応答を分類する、および/またはプログラムの経過中の患者の健康状態を予測することができる。
【0093】
治療プログラムに対する患者応答の評価のそのような手段は、特定の患者のための処方に変更を加える際に有利である。さらに、治療プログラムは、患者転帰に応じて、治療プログラムの継続的な研究および開発の手段を可能にする。これは、各反復処方段階で患者転帰の最良予測を使用することができる、制御されたやり方で促進される。規定されたデータフォーマットはまた、患者間のデータを比較し、利用可能なすべての変数に対して統計的評価を実施して、異なる患者および治療要因の影響の理解を連続的に更新し、改善することができるという点で、非常に望ましい。そのようなものとして、治療プログラムの集中管理はフィードバックおよび学習を表し、それにより、治療プログラムに対する患者応答のアルゴリズムまたはモデルを改善することができる。
【0094】
患者モニタリング装置38が支給される態様において、さらなる検診に加えて、またはそれに代えて、装置は、いくつかの場合、患者の健康状態の一つまたは複数の指標の継続的なモニタリングを可能にするために、患者によって装用または日常的/反復的に使用もしくは携行される。心臓血管系に対するフェンフルラミンまたは他の抗てんかん薬の上記影響を考慮して、患者モニタリング装置は心臓血管機能をモニタリングすることができる。本発明の具体的な態様に依存して、患者モニタリング装置は、患者の発作をモニタリングし、治療者による確認のためにアラームまたは他の警告信号を出力するために使用されることもできる。そのような態様において、治療者は、記録された各発作の詳細を、中央管理システムへの送信のために、例えば、患者カルテ、PC、または他のコンピューティング装置に手作業で入力することができる。したがって、患者モニタリング装置は、自らは中央管理システムと通信しない独立型装置であることができる。患者モニタリング装置と地元のコンピューティング/通信装置または中央管理システムそのものとの間の様々なレベルの通信を本発明の他の態様において実現することができる。
【0095】
いくつかの態様において、患者モニタリング装置は、治療の過程で患者が経験する発作の回数、規則性、持続時間、および/または重症度を判定するために使用されることができる。特定の態様において、患者モニタリング装置は、センサの読み取り値に基づいて発作のタイプを判定するための一つまたは複数のアルゴリズムを含むことができる。
【0096】
特定の例において、患者モニタリング装置は、患者への/患者による薬物の正しい投与をチェック/管理するために使用されることができる。患者モニタリング装置は、患者が薬物を飲む時間の入力のためのクロック/タイマーおよびユーザーインタフェースを含むことができる。装置は、以前の記録された服用からの所定のルーチンまたは経過時間にしたがって、薬を飲む時間が近づいている、または薬を飲む時間が過ぎていることを示すための一つまたは複数のアラームまたは他の警告手段を含むことができる。
【0097】
任意のそのような態様において、患者モニタリング装置の感知/記録された結果は、患者記録に照らした評価および記憶のために、中央管理システムに送信されることができる。装置の結果は、装置そのものによって、または中央管理システムによって、治療プログラム下の治療に対する患者の健康状態または応答を示すデータ特徴および/または傾向へと処理されることができる。
【0098】
てんかんをモニタリングする際のポータブルなウェアラブル装置の使用は、てんかん発作を容易に感知/診断することができ、対応する警告信号をリアルタイムで中央管理システム、患者の医師および/または別の治療提供者のいずれかまたは任意の組み合わせに送ることができるという点で、特に有利であり得る。より損傷性の、または長引く発作の場合、この警告信号は、適時な治療が患者に提供されることを保証する際に非常に重要であり得る。
【0099】
いくつかの例において、患者モニタリング装置は、コンプライアンスをモニタリングするために好都合に使用されることができる。また、装置の任意の誤動作または異常動作が患者、治療者、または中央管理システムに連絡されることができるよう、患者モニタリング装置そのものの動作状態をモニタリングすることもできる。装置誤動作の場合、中央管理システムは、反復処方の前に患者の検診をスケジューリングすることができる。上記のやり方で、患者モニタリング装置は、患者のより包括的な継続的評価を提供するために、検診と合わせて使用されることもできるし、または再検診が求められる頻度を減らすために使用されることもできる。
【0100】
患者検査および/またはモニタリングの上記プロセスは反復処方サイクルごとに繰り返されることができる。したがって、時間とともに患者記録ごとに使用履歴が構築されて、中央管理システムが、以前に経験されたことがある重大な患者リスクを避けるだけでなく、各患者の個々の必要性にとって、またはより広い患者群にとって好結果の処方レジメンを反復することを可能にする。
【0101】
処方における各変更は、患者および/または治療者/医師への情報の送信を伴うことができる。初期情報と同じく、新たな処方が認可される前に受取りまたは承認の確認が必要とされることができる。特定の場合、各項目が識別子を有する治療関連文書のさらなるデータベースが維持管理されることができ、患者/医師に送信されるとすぐ、および/または承認が受け取られるとすぐ、その識別子が患者データベースに記録されることができる。
【0102】
患者記録および治療プログラム管理の中央管理と組み合わせて、中央管理システムは、集中型薬局のやり方の薬在庫のモニタリングを可能にする。治療プログラムに使用される一つまたは複数の薬の現在の在庫が薬在庫データベース中に維持管理される。処方が中央管理システムによって認可され、発送されるたび、薬在庫データベースは、処方の数/量、発送日、および管理システムによって出力される処方識別子を含む処方の詳細で更新されることができる。
【0103】
薬在庫データベースは、処方の安全な配送ののちすぐに受け取られる受取り確認の連絡で更新される。したがって、在庫データベースは、薬貯蔵施設に現在保持されているすべての在庫品および輸送中のすべての処方を考慮に入れる。さらに、薬在庫データベースは、該データベースに問い合わせを行って有効な処方の概要データを決定することができるように、処方期間の記録を含むことができる。これは、作業者が患者の機密個人データまたは医療データにアクセスする必要なく在庫品管理のために在庫レポートなどにアクセスすることができるような、患者データベースへのアクセス制限を保証するために有用であり得る。したがって、在庫データベース26は、患者データベース2によって出力される非機密データで更新されることができ、これらのデータベースは異なるアクセス制限を有することができる。在庫データベースの更新は、例えば、従来の技術、例えば上記システムにしたがって発送もしくは配送の異なる段階で、および/またはデータ通信を受けたのちすぐにスキャン/問い合わせすることができる視覚的/プリントコードまたは近距離場通信チップを使用して、少なくとも部分的に自動化されることができる。
【0104】
任意の態様において、任意の一つの装置によって送信されるデータは、暗号化されるか、またはデータのセキュリティを保証するための従来の手段を使用して他のやり方で保護されることができる。
【0105】
したがって、上記患者治療プログラムおよび対応する管理システムは、これまで先行技術では提案されていないやり方で、i)診断の確認、ii)コンプライアンスの検証、iii)副作用プロフィールのモニタリングおよび効能不十分さの特定、のそれぞれを包含することができる。さらに、患者の遺伝子検査および/または検診は、治療プログラム管理システムそのものによって、すなわち、製薬会社によって支給され、コーディネートされ、管理され、それにより、検査結果すべてを治療プログラムレジストリ中に正確に取り込み、十分に利用して患者の治療を改善することができる。
【0106】
上記治療プログラムの包括的性質は、ドラベ症候群のような重度の形態のてんかんの直接効果的な治療においてだけでなく、てんかん学者にとってリサーチツールとして機能することができるレジストリのより長期的な提供においても有利である、有意な量の患者およびプログラムデータをコーディネートする。これは、様々な領域または国の主要なオピニオンリーダーおよび専門家が情報を収集し、継続的な治療改善において潜在的に共同研究することを可能にする。したがって、そのような非標準化情報が記録されるシステムの開発および維持管理における難題が解決されているが、そのようなシステムの実現は、対応する治療プログラムの開発における大きな可能性を開くことができるとわかった。
【0107】
さらに、中央管理システムにおける多くのプロセスの自動化は薬供給効率を改善することができ、それにより、例えば、処方医の関与を要することなく、薬の再調剤が中央薬局によって患者に提供される。
【0108】
態様
本開示の局面は、てんかんの治療または予防における薬物の供給を管理するためのシステムを含む。いくつかの態様において、当該システムは、各患者記録が薬物認可フィールドを有する患者記録のデータベースを含むデータ記憶設備;および通信ネットワークに接続された一つまたは複数のプロセッサを有し、ネットワークを介するデータの送受信を管理し、データ記憶設備に対してデータを読み書きするためにデータ記憶設備に接続されている、中央管理装置;を含み、中央管理装置は、患者の遺伝子検査結果に依存して、患者への抗てんかん薬の初回処方の認可をネットワークを介して出力し、抗てんかん薬の一つまたは複数の後続の処方の認可の前に、患者のための一つまたは複数の後続の検査をスケジューリングする。
【0109】
特定の態様において、当該システムはさらに、中に少なくとも一つの抗てんかん薬が貯蔵されている薬貯蔵施設を含む。特定の態様において、当該システムはさらに、中に少なくとも一つの抗てんかん薬が貯蔵されている薬貯蔵施設を含み、中央管理装置は、薬貯蔵施設内の薬在庫をモニタリングし、初回処方および後続の処方を履行するために薬貯蔵施設からの薬物の発送を管理する。特定の態様において、当該システムは、難治性てんかんの治療における薬剤の供給を管理するためのシステムである。特定の態様において、中央管理装置は、指定された薬物または有効成分に関する、服用量;量;数;レジメン;濃度;および患者による所期使用期間の少なくとも一つを含む初回処方またはさらなる処方を認可する。特定の態様において、中央管理装置は、患者のための遺伝子検査および患者のための一つまたは複数の後続の検査を指示および/またはコーディネートする。特定の態様において、中央管理装置は検査結果のデータフォーマットを規定するが、当該データフォーマットは、患者検査データフィールドおよび/または患者記録のデータベースのフォーマットと整合するものである。
【0110】
特定の態様において、中央管理装置は、ある期間にわたる一人または複数の患者の検査結果を記録して、一つまたは複数の検査データフィールにおいてプロットまたは傾向を生成する。特定の態様において、中央管理装置は、将来の検査結果を予測する、および/または、一つまたは複数の所定のモデルの参照によって患者検査データを分類する。特定の態様において、一つまたは複数の後続の検査は、一つまたは複数の患者臓器に関する生理学的検査を含む。特定の態様において、後続の検査は心エコー検査を含む。特定の態様において、中央管理装置は、患者による薬物の使用が認可される初回または後続の期間を出力し、その期間を過ぎると、患者のための後続の使用期間が認可される前に、患者の後続の検査結果が受け取られる必要がある。特定の態様において、中央管理装置は、後続の検査結果に依存して、反復処方、処方の変更、および処方中止の提案の出力の少なくとも一つを認可する。特定の態様において、中央管理装置は、患者モニタリング装置をモニタリングしてデータを収集し、データを分析して治療に対する応答を判定し、発作の発生および発作のタイプを判定する。特定の態様において、中央管理装置は薬物のための集中型薬局として働き、患者データベースは患者の配送先住所の詳細を含み、中央管理装置は配送先住所での薬物の受取りの確認をモニタリングする。
【0111】
特定の態様において、当該システムはさらに、患者の健康状態をモニタリングするための、患者によって携行または装用されるポータブル電子装置を含み、当該電子装置は、血圧、心電図(ECG)、心拍数、血中酸素、体温、および肺機能の少なくとも一つを計測するための一つまたは複数のセンサを含む。特定の態様において、当該電子装置は、中央管理装置によって自動的に処理可能なフォーマットでセンサ読み取り値を提供するように構成されている。特定の態様においては、当該電子装置からの出力が、患者のためにスケジューリングされた医療検査の変更および患者のための薬物処方の変更の少なくとも一つを決定するために中央管理装置によって使用される。特定の態様において、中央データ記憶装置は、認可された医療専門家のデータベースを含み、中央管理装置は、てんかんの分野における医療専門家の評判を示す一つまたは複数のデータフィールドが入力されると、一人または複数の医療専門家の認可を出力する。特定の態様において、システムは、ドラベ症候群の治療における薬剤の供給を管理するためのシステムである。
【0112】
本開示の局面は、てんかんの治療または予防における薬物の供給を管理する方法を含む。いくつかの態様において、当該方法は、各患者記録が薬物認可フィールドを含む患者記録のデータベースを含む中央データ記憶設備を維持管理する工程と;患者遺伝子検査の結果に応じてのみ、患者への抗てんかん薬の初回処方の認可を、通信ネットワークおよびデータ記憶設備に接続された中央管理装置から通信ネットワークを介して出力する工程と;抗てんかん薬の一つまたは複数の後続の処方の認可の前に、患者のための一つまたは複数の後続の検査を中央管理装置によってスケジューリングする工程とを含む。特定の態様において、当該方法はさらに、中央管理装置によって薬貯蔵施設内の薬在庫をモニタリングする工程、および処方を履行するために薬物の発送を管理する工程を含む。
【0113】
本開示の局面は、各患者記録が薬物認可フィールドを含む患者記録のデータベースを含む中央データ記憶設備に対するデータの読み書きを制御すること;患者データベースに記録されている患者の遺伝子検査の結果に応じてのみ、患者への抗てんかん薬の初回処方の認可を中央管理装置から通信ネットワークを介して出力すること;抗てんかん薬の一つまたは複数の後続の処方の認可の前に、患者のための一つまたは複数の後続の検査を自動的にスケジューリングすることにより、抗てんかん薬の中央管理装置として機能するための一つまたは複数のプロセッサの制御のための命令を記憶する非一時的な機械可読記憶媒体を含む、データキャリアを含む。特定の態様において、データキャリアはさらに、薬貯蔵施設内の薬在庫を中央管理装置によってモニタリングすること、および処方を履行するために薬物の発送を管理することを含む。