(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
非接触式ディスペンサーを使用し、23℃の粘度が20mPa・s〜500Pa・sである光硬化性樹脂組成物(A)を、1nL(ナノリットル)以上の液滴として吐出し塗布することを特徴とする光硬化型3次元立体造形物の製造方法。
光硬化性樹脂(I)が、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート系樹脂、シリコーン(メタ)アクリレート系樹脂、(メタ)アクリル(メタ)アクリレート系樹脂からなる群より選択される1または2種以上である請求項2〜4のいずれかに記載の光硬化型3次元立体造形物の製造方法。
光硬化性樹脂組成物(A)が、光硬化性樹脂(I)100重量部に対し、光開始剤(II)を0.01〜20重量部含む請求項1〜6のいずれかに記載の光硬化型3次元立体造形物の製造方法。
光硬化性樹脂組成物(A)が、光硬化性樹脂(I)100重量部に対し、希釈モノマー(III)を0.1〜200重量部含む請求項1〜7のいずれかに記載の光硬化型3次元立体造形物の製造方法。
光硬化性樹脂組成物(A)を硬化させる光が350nm以上の波長にピーク照度を有する光である請求項1〜9のいずれかに記載の光硬化型3次元立体造形物の製造方法。
非接触式ディスペンサーから吐出する光硬化性樹脂組成物(A)の液滴が1nL〜1000nLである請求項1〜11のいずれかに記載の光硬化型3次元立体造形物の製造方法。
非接触式ディスペンサーと、このディスペンサーから吐出される光硬化性樹脂組成物(A)を受けるステージと、前記ディスペンサー及びステージの少なくとも一方を移動させる駆動部とを備えた装置において、前記駆動部によってディスペンサーとステージの相対位置を変化させつつ、光硬化性樹脂組成物(A)の吐出と硬化とを繰り返すことにより硬化物を積層して3次元形状を造形する請求項1〜12のいずれかに記載の光硬化型3次元立体造形物の製造方法。
光硬化性樹脂組成物(A)を、非接触式ディスペンサーを用いて5回以上塗り重ねることにより3次元形状を造形する請求項1〜13のいずれかに記載の光硬化型3次元立体造形物の製造方法。
得られる光硬化型3次元立体造形物の少なくとも一部分のガラス転移温度(Tg)が25℃以下であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の光硬化型3次元立体造形物の製造方法。
請求項1〜15のいずれかに記載の製造方法により光硬化性樹脂組成物(A)の塗布膜の形成と、該塗布膜の硬化とを繰り返して所望の形状に成形することを特徴とする衝撃吸収材の製造方法。
請求項1〜15のいずれかに記載の製造方法により光硬化性樹脂組成物(A)の塗布膜の形成と、該塗布膜の硬化とを繰り返して所望の形状に成形することを特徴とする防振材の製造方法。
請求項1〜15のいずれかに記載の製造方法により光硬化性樹脂組成物(A)の塗布膜の形成と、該塗布膜の硬化とを繰り返して所望の形状に成形することを特徴とする制振材の製造方法。
請求項1〜15のいずれかに記載の製造方法により光硬化性樹脂組成物(A)の塗布膜の形成と、該塗布膜の硬化とを繰り返して所望の形状に成形することを特徴とするシール材の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に、本発明を実施するための形態につき詳述する。
【0039】
本発明は、非接触式ディスペンサーを使用し、23℃の粘度が20mPa・s〜500Pa・sである光硬化性樹脂組成物(A)を、1nL(ナノリットル)以上の液滴として吐出し塗布することを特徴とする光硬化型3次元立体造形物の製造方法である。より詳細には、非接触式ディスペンサーを使用し、23℃の粘度が20mPa・s〜500Pa・sである光硬化性樹脂組成物(A)を、1nL(ナノリットル)以上の液滴として吐出して塗布膜を形成し、該塗布膜を硬化して3次元形状を造形する。
【0040】
本発明では、非接触式ディスペンサーを用いて光硬化性樹脂組成物(A)を所望の形状に塗布し、光を照射して所望の形状を有する硬化塗膜を形成する。その後、さらにその上に光硬化性樹脂組成物(A)を塗り重ね、光照射を実施し硬化塗膜を積層する。このように塗布+光硬化+塗布+光硬化・・・を繰り返すことにより所望の3次元立体造形物を形成する。
【0041】
まずは、光硬化型3次元立体造形物を構成する光硬化性樹脂組成物を説明する。
【0042】
<光硬化性樹脂組成物(A)>
本発明に使用される光硬化性樹脂組成物(A)は、特に限定されず一般的な光硬化性樹脂組成物を使用できるが、吐出スピードを落とすことなく一度に吐出できる量を確保するために、光硬化性樹脂組成物(A)は23℃の粘度が20mPa・s〜500Pa・sの範囲内にあることが必要である。より好ましくは、50mPa・s〜300Pa・sであり、さらに好ましくは、500mPa・s〜100Pa・sである。光硬化性樹脂組成物(A)の粘度は、回転式粘度計を用いて、0.5〜100rpmの範囲内で測定することができる。
【0043】
液体光硬化性樹脂組成物(A)の粘度(23℃)が20mPa・sより小さい場合は、吐出する液滴が小さなものになり、結果として造形速度が劣るだけでなく、吐出時の周囲への飛び散りが多くなったり、造形物へ付着した液滴が光硬化する前に垂れてしまったりするといった不具合が生じ易くなることがある。また、液体光硬化性樹脂組成物(A)の粘度が高すぎる場合には、吐出速度を上げ難いため結果として造形速度が遅くなったり、光硬化性樹脂組成物(A)を吐出するためのエネルギーが多大に必要になる等の課題がある。さらに硬化性樹脂組成物(A)の粘度が上記範囲内であれば、造形ステージ上でも塗布体に変形が生じ難い。従って、光硬化性樹脂組成物(A)液体の23℃の粘度は20mPa・s〜500Pa・sの範囲内でより適正な粘度であることが好ましい。
【0044】
光硬化性樹脂組成物(A)は、ディスペンサーの吐出口においても上記粘度を有していることが好ましい。ディスペンサーの吐出口においてより適正な粘度とするために、吐出口、ノズル部分、及び液だめ部分を、室温以上120℃以下の範囲内で加熱してもよい。
【0045】
本発明に使用される光硬化性樹脂組成物(A)は、好ましくは光硬化性樹脂(I)および光開始剤(II)を含む。
【0046】
<光硬化性樹脂(I)>
光硬化性樹脂組成物(A)に含まれる光硬化性樹脂(I)は、分子中に光架橋性基を有しており、光を照射することにより反応が開始され、硬化物が得られるものであれば、特に限定されず一般的なものが用いられる。このような光架橋性基としては、例えば、光カチオンまたは光アニオン重合に用いられるエポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基、加水分解性シリル基等、または光ラジカル重合に用いられる(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリルエーテル基等の重合性の炭素−炭素二重結合基などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。中でも光に対する反応性の高さ、汎用性の点から、光架橋性基は一般式(1):
−OC(O)C(R
1)=CH
2 (1)
(式(1)中、R
1は水素原子又は炭素数1〜20の有機基を示す)で表わされる光架橋性基であることが好ましい。入手しやすく、また光反応性に富むことからR
1は水素原子又はCH
3基であることが好ましい。
【0047】
光硬化性樹脂(I)は、光架橋性基を一分子中に平均して0.8〜2.9個有することが好ましい。一分子中に含まれる光架橋性基が0.8個未満では、得られる硬化物の強度が弱く、十分な強度の造形物が得られないことがあり、また造形後に徐々に変形するといった不具合が生じる場合がある。一分子中に含まれる光架橋性基が2.9個より多い場合には得られる硬化物の歪が大きくなりやすく、設計どおりの造形物が得られないといった課題が生じることがある。より造形物の歪が少なく、形状保持性が良好である点から、一分子中に含まれる光架橋性基数は、より好ましくは、0.9〜2.5個の範囲であり、さらに得られる造形物の機械的強度を高め易いことから1.1〜1.9個の範囲がより好ましい。
【0048】
さらに、光硬化性樹脂(I)が、一分子当たり少なくとも平均0.8個の光架橋性基を分子鎖末端に有することが、より柔軟で伸びに優れ、機械的強度が高められた造形物が得られやすいため好ましい。
【0049】
本発明で用いられる光硬化性樹脂(I)は、主鎖末端及び/又は側鎖に光架橋性基を有するポリマーまたはオリゴマーであればよい。例えば一般的な市販品としては、ポリエーテル系重合体の分子鎖末端または側鎖に(メタ)アクリレート基を含有するポリエーテル(メタ)アクリレート系樹脂、共役ジエン系重合体又はその水素添加物の分子鎖末端又は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する共役ジエン(メタ)アクリレート系樹脂、ポリウレタン系重合体の分子鎖末端又は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、エポキシ樹脂の分子鎖末端又は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル重合体の分子鎖末端又は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル(メタ)アクリレート系樹脂、シリコーン系重合体の分子鎖末端又は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するシリコーン(メタ)アクリレート系樹脂、(メタ)アクリル系重合体の分子鎖末端又は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレート系樹脂、ビニル系重合体の分子鎖末端又は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルビニル系樹脂などが挙げられる。その他にエポキシ基やオキセタン基を有するエポキシ樹脂、反応性シリル基含有のシリコーン樹脂やポリエーテル樹脂、分子鎖末端にビニルエーテル基を有するポリエステル系樹脂やポリエーテル系樹脂等が挙げられるが、光硬化性樹脂(I)はこれらに限定されるわけではない。
【0050】
これらの中でも、造形速度が速く、得られる造形物の硬度の調節が容易で、伸び、耐久性が優れることから、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート系樹脂、シリコーン(メタ)アクリレート系樹脂、(メタ)アクリル(メタ)アクリレート系樹脂から選択される1または2種以上の光硬化性樹脂が好ましい。さらに得られる硬化物が柔軟性、衝撃緩衝性能に優れることから光架橋性基を分子末端に有する(メタ)アクリル系重合体が好ましく、光反応性に富み簡便に光硬化反応を行えることから(メタ)アクリロイル基を分子鎖末端に有する(メタ)アクリル系重合体がより好ましい。
【0051】
(メタ)アクリロイル基を分子鎖末端に有する(メタ)アクリル系重合体の製造方法としては種々の方法が挙げられるが、モノマーの汎用性、制御の容易性等の点からラジカル重合法が好ましく、ラジカル重合の中でも制御ラジカル重合がより好ましい。この制御ラジカル重合法は「連鎖移動剤法」と「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。得られる(メタ)アクリル系重合体の分子量、分子量分布の制御が容易であり、得られる硬化物が柔軟性や伸びに優れる点からリビングラジカル重合により得られるリビング重合体がさらに好ましく、原料の入手性、重合体末端への官能基導入の容易さから原子移動ラジカル重合が特に好ましい。上記ラジカル重合、制御ラジカル重合、連鎖移動剤法、リビングラジカル重合法、原子移動ラジカル重合は公知の重合法ではあるが、これら各重合法については、たとえば、特開2005−232419号公報や、特開2006−291073号公報などの記載を参照でき、一例としては、(株)カネカ製カネカXMAPが良く知られている。
【0052】
造形速度を維持するためには光硬化性樹脂組成物(A)が20mPa・s以上の粘度を有することが必要となることから、光硬化性樹脂(I)の分子量は1,000以上であるのが好ましく、光硬化性樹脂組成物の吐出量の調整が容易で迅速であることから、光硬化性樹脂(I)は分子量1,000〜100,000であるのが好ましく、造形物の機械的強度に優れる点から3,000〜50,000がさらに好ましい。
【0053】
光硬化性樹脂(I)の分子量が1,000より小さい場合には、得られる光硬化性樹脂組成物の粘度が低すぎて、吐出装置からの液漏れや、造形物上で液垂れを起こしたり、また相対的に光架橋性基の濃度が高くなるため造形物に歪みが生じたりするといった不具合が生じる場合がある。
【0054】
光硬化性樹脂(I)の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)で表される。本発明でのGPC測定は、主として移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて行い、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
【0055】
光硬化性樹脂(I)の分子量分布(重量平均分子量[Mw]/数平均分子量[Mn])は、好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.7以下であり、さらに好ましくは1.6以下であり、よりさらに好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。分子量分布が大きすぎると、硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり取り扱いが困難になるだけでなく、感温特性のコントロールが困難になる傾向にあり、吐出時の糸引きや液だまりの原因となる。さらに得られる立体造形物の機械物性のコントロールが困難になる傾向にある。
【0056】
光硬化性樹脂(I)は、単独で用いてもよいし、複数の樹脂を混合して用いてもよい。複数の樹脂を混合して用いる場合は、各々の樹脂が有する光架橋性基の数が、平均して0.9〜2.9個になるようにすればよい。複数の樹脂を混合した場合の平均した光架橋性基数は、特表2014−531489号公報段落[0028]に定義されているAFB値(「ブレンドの平均官能性」)と同様にして算出される。すなわち、光硬化性樹脂(I)としてX種類の樹脂を使用する場合であれば、平均した光架橋性基数=(樹脂1の光架橋性基数)×(混合物中の樹脂1のwt%)+(樹脂2の光架橋性基数)×(樹脂2のwt%)+・・・+(樹脂Xの光架橋性基数)×(樹脂Xのwt%)として計算される。
【0057】
<光開始剤(II)>
本発明に使用される光硬化性樹脂組成物(A)は光開始剤(II)を含むのが好ましい。光開始剤(II)としては、特に限定はないが、光に対する反応性が高い点から、光ラジカル開始剤が好ましく用いられる。光ラジカル開始剤としては、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名IRGACURE651、BASFジャパン製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名IRGACURE184、BASFジャパン製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名DAROCUR1173、BASFジャパン製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名IRGACURE2959、BASFジャパン製)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名IRGACURE907、BASFジャパン製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名IRGACURE369、BASFジャパン製)、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリンー4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(商品名IRGACURE379、BASFジャパン製)、ジベンゾイル、ビス(η
5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(商品名IRGACURE784、BASFジャパン製)等が挙げられる。
これらのうち、α−ヒドロキシケトン化合物(例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等)、フェニルケトン誘導体(例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン等)が好ましい。
【0058】
さらに、硬化物表面での酸素阻害による重合不良を抑制できる開始剤種も光開始剤(II)として好ましく用いることができ、斯かる開始剤種としては、例えば分子内に光分解性の基を2個以上有する光ラジカル開始剤、分子内に芳香環を3つ以上有する水素引き抜き型光ラジカル開始剤が挙げられる。
分子内に光分解性の基を2個以上有する光ラジカル開始剤としては、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2-ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル-プロパン−1−オン(商品名IRGACURE127、BASFジャパン製)、1−〔4−(4−ベンゾイキシルフェニルサルファニル)フェニル〕−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン(商品名ESURE1001M)、メチルベンゾイルフォ−メート(商品名SPEEDCURE MBF LAMBSON製)O−エトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名SPEEDCURE PDO LAMBSON製)、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン(商品名ESCURE KIP150 LAMBERTI製)、分子内に芳香環を3つ以上有する水素引き抜き型光ラジカル開始剤としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](商品名IRGACURE OXE−01、BASFジャパン製)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(0−アセチルオキシム)(商品名IRGACURE OXE−02、BASFジャパン製)、商品名IRGACURE OXE−03(構造式不明、BASFジャパン製)、商品名IRGACURE OXE−04(構造式不明、BASFジャパン製)、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’,4’’−(ヘキサメチルトリアミノ)トリフェニルメタン等が挙げられる。また、深部硬化性改善を特徴とする、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(商品名IRGACURE TPO、BASFジャパン製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名IRGACURE819、BASFジャパン製)、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系光ラジカル開始剤も光開始剤(II)として好ましく使用することができる。
【0059】
光開始剤(II)としては、光硬化性樹脂組成物(A)の硬化性と貯蔵安定性のバランスの点で、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名IRGACURE184、BASFジャパン製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名DAROCUR1173、BASFジャパン製)、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン(商品名IRGACURE127、BASFジャパン製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名IRGACURE369、BASFジャパン製)、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリンー4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(商品名IRGACURE379、BASFジャパン製)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(商品名IRGACURE TPO、BASFジャパン製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名IRGACURE819、BASFジャパン製)、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](商品名IRGACURE OXE−1、BASFジャパン製)がより好ましい。
【0060】
これらの光開始剤(II)は、単独、又は2種以上混合して用いても、他の化合物と組み合わせて用いてもよい。
【0061】
光開始剤(II)と他の化合物との組み合わせとしては、具体的には、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ジエタノールメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート等のアミンと光開始剤(II)との組み合わせ、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィンオキサイド、リン酸トリフェニル、亜リン酸トリフェニル、ジフェニル(p−ビニルフェニル)ホスフィン等のリン系化合物類と光開始剤(II)との組み合わせ、さらにこれにジフェニルヨードニウムクロリド等のヨードニウム塩を組み合わせたもの、メチレンブルー等の色素及びアミンと光開始剤(II)とを組み合わせたもの等が挙げられる。
【0062】
なお、光開始剤(II)として前記光ラジカル開始剤を使用する場合、必要により、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、パラターシャリーブチルカテコール等の重合禁止剤類を添加することもできる。
【0063】
光開始剤(II)の添加量は特に制限はないが、硬化性と貯蔵安定性の点から、光硬化性樹脂(I)100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、さらに造形物の表面硬化性が良好であることから0.5〜6重量部がさらに好ましい。
【0064】
光硬化性樹脂(I)の光架橋性基が、エポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基、加水分解性シリル基の場合には、光カチオン発生剤または光アニオン発生剤を用いることが好ましい。光カチオン発生剤としては、光硬化性樹脂組成物(A)を硬化させる際の照射光中の適当な波長の光を吸収することによりカチオンまたは酸を発生できる化合物であれば適宜利用することができ、例えば有機スルホニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系などが挙げられる。これら化合物の対イオンとしては、アンチモネート、フォスフェート、ボレートなどを挙げることができる。
【0065】
光アニオン発生剤としては、光カチオン発生剤と同様に、照射光中の適当な波長の光を吸収することによりアニオンを発生できる化合物であれば適宜利用することができる。光アニオン発生剤は、酸による腐食の懸念がないことから光カチオン発生剤より好ましい。光アニオン発生剤としては、例えば、カルバマート類、アシルオキシム類、アンモニウム塩等が挙げられ、具体的に入手可能な市販品としては、和光純薬製のWPBGシリーズ等が挙げられる。
【0066】
これらの光カチオン発生剤または光アニオン発生剤を用いる場合には、光硬化速度を向上させるために、塩基性物質または酸性物質を使用することもできる。
【0067】
光カチオン発生剤または光アニオン発生剤の添加量には特に制限はないが、硬化性と貯蔵安定性の点から、光硬化性樹脂(I)100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、さらに造形物の硬化性が良好であることから0.5〜5重量部がより好ましい。
【0068】
<希釈モノマー(III)>
本発明の光硬化性樹脂組成物(A)では、粘度調整による吐出性の向上、造形物の物性の改良等を目的として、光重合性の基を有する希釈モノマー(III)を併用することもできる。
【0069】
具体的には、特開2015−71719号公報段落[0103]〜[0113]記載の各種反応性希釈剤が挙げられるが、これらの中でも、造形物の機械的強度の改良に優れ、臭気が少ないことから作業環境適性に優れ、光硬化性樹脂組成物の粘度調整にも適している点から、アクリル酸イソノニル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸イソステアリル、アクリル酸2−デシルテトラデカニルアクリレート、(メタ)アクリル酸イソボルニル、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、アクリロイルモルホリン、γ−(アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレートが好ましく用いられる。これらの希釈モノマー(III)は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
希釈モノマー(III)の添加量は特に制限はないが、低粘度効果に優れ、硬化性が良好である点から、光硬化性樹脂(I)100重量部に対して、0.1〜200重量部が好ましく、さらに造形物の機械的強度に優れる点から5〜50重量部がより好ましい。
【0070】
<充填剤>
光硬化性樹脂組成物(A)には、光硬化を妨げない範囲で充填剤を添加することができる。具体的には、特開2006−291073号公報段落[0134]〜[0151]記載の各種充填剤や微小中空粒子が挙げられる。これらの中でも、軽量性の付与や造形物の強靭化の点から、ポリアクリル樹脂,ポリアクリロニトリル−塩化ビニリデン樹脂,フェノール樹脂,ポリスチレン樹脂等のビーズ類やその中空微粒子、ガラスバルーン等の無機系中空微粒子、ヒュームドシリカや湿式法シリカが好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0071】
<可塑剤>
光硬化性樹脂組成物(A)には可塑剤を添加することができる。可塑剤の添加により、光硬化性樹脂組成物(A)の粘度や得られる造形物の引張り強度、伸びなどの機械特性を調整できたり、また造形物の透明性を改善できたりする。
【0072】
可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状の調節等の目的により適宜決定すればよい。具体的な可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチル等の脂肪族エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;ピロメリット酸エステル類;ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレン等のジエン系共重合体類;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル等の炭化水素系油;プロセスオイル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールとこれらポリエーテルポリオールの水酸基をエステル基、エーテル基等に変換した誘導体等のポリエーテル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤類;東亞合成製ARUFONシリーズのようなアクリル系可塑剤を始めとするビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体類等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0073】
<溶剤>
光硬化性樹脂組成物(A)には、必要に応じて溶剤を配合することができる。
【0074】
配合できる溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素系溶剤が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
【0075】
<チクソ性付与剤(垂れ防止剤)>
光硬化性樹脂組成物(A)には、必要に応じて液の粘性を調整するためにチクソ性付与剤(垂れ防止剤)を添加してもよい。
【0076】
チクソ性付与剤としては特に限定されないが、たとえば、水添ヒマシ油誘導体類、長鎖アルキル基を有する金属石鹸類、長鎖アルキル基を有するエステル化合物、シリカ等の無機充填剤、アミドワックス等が挙げられる。これらチクソ性付与剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0077】
<酸化防止剤>
光硬化性樹脂組成物(A)には、必要に応じて酸化防止剤(老化防止剤)を使用することができる。酸化防止剤の使用により造形物の耐熱性を高めることができる。酸化防止剤としては、一般的なヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、アミノエタノール系酸化防止剤等の一次酸化防止剤、およびイオウ系酸化剤やリン系酸化剤等の二次酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤としては、特開2007−308692号公報段落[0232]〜[0235]や国際公開第2005/116134号公報段落[0089]〜[0093]に記載されているものを用いることができる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0078】
<その他の添加剤>
光硬化性樹脂組成物(A)には、光硬化性樹脂組成物又は得られる造形物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加剤の例としては、たとえば、相溶化剤、表面改良剤、硬化性調整剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、消泡剤、発泡剤、防蟻剤、防かび剤、紫外線吸収剤、光安定剤、粘着付与樹脂、接着性付与剤、着色剤などが挙げられる。本明細書にあげた添加剤の具体例以外の具体例は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号、特開2001−72854号等の各公報に記載されている。
【0079】
本発明の3次元立体造形物の製造方法では、得られる立体造形物への機能性付与の観点から、異なる2種類以上の光硬化性樹脂組成物(A)を用いてもよい。このような場合は、非接触塗布機(非接触式ディスペンサー)も各々の液に対応して用いる必要がある。異なる2種類以上の光硬化性樹脂組成物(A)を用いることで、一つの立体造形物中に、異なる物性や特性を有する部位をもつ造形物を得ることが可能になる。このような造形物は、従来各々の部品を別々に加工成形して製造し、その後組み合わせたり、貼りあわせたりする等して製造しており、こうした方法では非常に多くの手間や時間を要する。しかしながら、本発明の方法で2種類以上の光硬化性樹脂組成物(A)を用いることにより、部位ごとに異なる物性や特性を有する造形物を一度の手間で製造することが可能になり、また、異なる物性を持つ部位が完全に埋め込まれている造形物の作製可能になる等、本発明によれば、従来の方法では得られない造形物の製造が可能になる。
【0080】
<非接触式ディスペンサー>
本発明で使用する非接触式ディスペンサーは、着液点(液滴の着弾点)より離れた位置から高精度に液滴を飛ばすことが可能な塗布機であればよく、その中でもジェット式ディスペンサー、空圧式ディスペンサーのいずれかが好適に用いられる。
【0081】
従来、粘度が20mPa・s〜500Pa・sである高粘度樹脂組成物を塗布できるディスペンサーは、世によく知られており、通常のエアパルス式ディスペンサーやスクリューディスペンサー、ギアポンプ式ディスペンサー、モーノディスペンサー、メカニカルディスペンサー、加圧式ディスペンサー等がある。
【0082】
しかしながら、これらの一般的なディスペンサーは、線状もしくは面状に液体を塗布するためのものであるため、線状・面状の吐出では描画できる形状に制限があり、3次元立体造形物のような複雑な形状を形成させることは不可能である。
【0083】
3次元立体造形物を形成させるためには、すでに知られているインクジェット式ディスペンサーのように点状に液滴を吐出することが必要であるが、インクジェット式ディスペンサーでは吐出できる液の粘度の上限は20mPa・sが限界であり、吐出される液滴量も100pL(ピコリットル)が限界である。このように、インクジェット式ディスペンサーでは吐出される液滴が非常に微細であるために一回の吐出で形成される膜厚が非常に薄く、造形物とするためには積層回数を多大に繰り返す必要があり、時間とコストがかかるという問題点を有していることが知られている。
【0084】
このような課題を解消するために、高粘度液体を点状に塗布できるニードル式ディスペンサーと呼ばれるものがある(特許文献6、7)が、前述したように、3Dプリンタとして用いるには不適である。
【0085】
一方、本発明で使用する非接触式ディスペンサーは、着液点より離れた位置から高精度に液滴を飛ばすことができる塗布機であり、上述した通常のディスペンサーのように液滴が、着液面と吐出口とに同時に接している瞬間がない。非接触式ディスペンサーでは、液滴は吐出口を離れた後に着液面に着液する。そのためにディスペンサー自体の上下動が不要であることから、3次元立体造形物のように凹凸が非常に大きなものに対しても精確に安定して光硬化性樹脂組成物を塗布、積層することができる上に、不要な上下動が省略されるため塗布時間も短縮される。
【0086】
このような非接触式ディスペンサーとしては、例えばジェット式ディスペンサー、空圧式ディスペンサーのいずれかが好適に用いられる。
【0087】
ジェット式ディスペンサーは、液体状の材料を滴状にして高速に連続して吐出する装置であり、吐出口を有した液室内において、プランジャーを吐出口に向けて急速に前進させた後に急激に停止させることで、吐出口から液体状材料を液滴の状態で吐出するものである。これらのプランジャー部の駆動方式としては、エアー圧力やばね力、ピエゾ素子の変位によりプランジャーやロッド部の往復運動を利用するメカニカル式やピエゾジェット式が挙げられる。このプランジャー部分の往復運動を利用することにより、インクジェット式ディスペンサーでは得られない高容量の液滴を吐出することが可能となる。この機構は、インクジェット式ディスペンサーの一つである加熱部の急速加熱によるバブル発生のバブルを利用したバブルジェット方式や、ピエゾ素子の駆動力をそのまま液滴の噴出に利用するピエゾ方式とはまったく異なる吐出機構のものである。
【0088】
空圧式ディスペンサーは、コンプレッサーやボンベからの圧力を有するガスにより液体を保持する保持容器内の圧力を高め、維持しながら、電磁弁を短時間解放する方式により液体状材料を液滴の状態で吐出するものである。
【0089】
非接触式ディスペンサーに備えられている吐出口の内径は、光硬化性樹脂組成物(A)の粘度と、一度に吐出される液滴量に応じて適宜決定することができる。
【0090】
このような非接触式ディスペンサーとしては、武蔵エンジニアリング社製エアロジェットやサイバージェット、サイバージェット2、岩下エンジニアリング社製NEO−JET、サンエイテック社製高精度ジェットディスペンサー、ノードソン社製ディスペンスジェットシリーズ(ピコプラス(PICO Pμlse))、エスエスアイジャパン社製ピエゾジェットディスペンサー(ストリ−ムジェットバルブ)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
非接触式ディスペンサーから、一度に吐出される光硬化性樹脂組成物(A)の液滴は1nL(ナノリットル)以上である。好ましくは、1nL以上、より好ましくは2nL以上、さらに好ましくは5nL以上であり、好ましくは1000nL以下であり、より好ましくは200nL以下であり、さらに好ましくは140nL以下である。液滴が1nLより小さい場合には、積層される膜厚が十分ではないため、積層回数を増加させる必要があり、時間、エネルギーを要することになる。一方、液滴が1000nLを超えると、積層回数は減少させることができるが、造形物の細部の精度に劣る。
【0092】
非接触式ディスペンサーは、3次元的に駆動できるロボットに設置されていることが好ましい。そして、3次元的に駆動できるロボットに設置された非接触式ディスペンサーにより、光硬化性樹脂組成物(A)を3次元的に塗布する事が好ましい。3次元的に駆動できるロボットとは、例えば、X方向、Y方向、及びZ方向の3軸方向に可動部を有するロボットであり、通常の塗布ロボットが使用できるX方向、Y方向の駆動により、平面方向の任意の位置への液滴の吐出が可能となり、積層回数を重ねて造形物がZ軸方向(平面に垂直な方向)に厚みを増すにつれて、必要に応じてZ方向への駆動が可能となる。したがって、好ましい態様である非接触式ディスペンサーと、このディスペンサーから吐出される光硬化性樹脂組成物(A)を受けるステージ(造形ステージ)と、前記ディスペンサー及びステージの少なくとも一方を移動させる駆動部とを備えた装置(ロボット)によれば、予め作成された造形される立体物の3次元形状のスライスデータに基づき、前記駆動部によってディスペンサーとステージの相対位置を変化させつつ、光硬化性樹脂組成物(A)の吐出と硬化とを繰り返すことにより硬化物を積層することで3次元形状を造形することができる。上記非接触式ディスペンサー、ステージ及びロボットは筐体内に設置されていてもよい。
【0093】
3次元状の立体造形物とするためには造形物が十分な厚みを有することが必要であり、そのために非接触式ディスペンサーを用いた塗布回数が5回以上であることが好ましい。より詳細には、非接触式ディスペンサーを用いて光硬化性樹脂組成物(A)の塗布膜の形成し、該塗布膜を硬化する工程(塗布回数)は5回以上であることが好ましい。4回以下では、薄膜状の硬化物は得られるが、3次元立体造形物と呼べるような立体造形物は得られ難い場合がある。塗布回数の上限は、製造したい立体造形物の大きさに依存するために一律には決定できないが、時間がより短くできることから塗布回数が少ない方が好ましいことは言うまでもない。
【0094】
本発明の製造方法では、非接触式ディスペンサーを用いて光硬化性樹脂組成物(A)を塗布した後に、光を照射して硬化膜を形成する。光照射は1回(スライスデータ1層)の塗布ごとに行ってもよいが、1回の塗布ごとではなく、光硬化性樹脂組成物(A)を複数回塗り重ねた後に、光照射を行ってもよい。このような光照射には、通常の光硬化反応に用いられる光源であれば使用可能であり、例えば、太陽光線、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、蛍光灯、白熱電球、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、タングステンランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、ジルコニウムランプ、UV−LED等が挙げられる。これらの中でも、取り扱いのし易さや経済性の点から、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、無電極放電ランプ、UV−LEDが光源として好適である。また、作業者への安全性や低エネルギーであることから、350nm以上の波長にピーク照度を有する光(350nm以上にピーク波長を有する光)であることがより好ましい。
【0095】
一般的に光硬化性樹脂は、酸素阻害により表面硬化阻害を生じやすいことが知られており、これを回避するために、窒素ガスや炭酸ガスのような不活性ガスを用いて照射雰囲気中の酸素濃度を低減してもよい。このような場合には、光硬化性樹脂の反応率を向上させるために、照射雰囲気の酸素濃度は5000ppm以下が好ましく、より好ましくは500ppm以下である。
【0096】
本発明の製造方法で使用できる造形装置としては、立体造形物を造形するステージ、造形ステージに対して光硬化性樹脂(A)を吐出し、造形ステージ上に光硬化性樹脂(A)の塗布体を形成する非接触式ディスペンサー、造形ステージ上に形成された光硬化性樹脂組成物(A)の塗布体に光を照射するための光源を有するものであればよい。造形装置は、2個以上の非接触式ディスペンサーを有していてもよく、2個以上の非接触式ディスペンサーは3次元的に駆動できるロボットに設置されているのが好ましい。これら以外にも、造形装置は、インクジェット光造形法に用いられる光造形装置と同様の構成を有することができる。また本発明の製造方法は、3次元立体造形物を連続的に製造する生産ラインに適用することもできる。
【0097】
<立体造形物の物性について>
本発明法により製造される3次元立体造形物は、使用する光硬化性樹脂組成物(A)の硬化塗膜の積層体となるため、3次元立体造形物の物性は、光硬化性樹脂組成物(A)の硬化物物性に大きく依存する。光硬化性樹脂組成物(A)の粘度が20mPa・s〜500Pa・s内にあるものであれば、その硬化物の物性は様々であり、柔軟性があり弾性を有するゴム状のものから、コーティングに用いられるような高硬度の樹脂状のものまで様々な物性の3次元立体造形物が得られる。また、2種以上の光硬化性樹脂組成物(A)を用いることにより、2種以上のゴム状硬化物の複合体や、樹脂状硬化物とゴム状硬化物の複合体等、従来の製造方法では製造が困難であったものを得ることもできる。これらの中でも、得られる3次元立体造形物の一部分にガラス転移温度(Tg)が25℃以下であるゴム状硬化物が用いられていることが好ましい。3次元立体造形物の一部分のガラス転移温度(Tg)が25℃以下であることにより、3次元立体造形物は衝撃吸収性や柔軟性に優れるものとなる。
【0098】
<用途>
上記3次元立体造形物は、その設計自由度の高さや、製造スピードに優れる点から、従来の3Dプリンタ等で使用されている試作品や医療用・介護用のカスタマイズ品、ホビー用途以外の様々な用途へ使用可能である。
【0099】
例えば、シール材・コーティング材・接着剤・粘着剤・成形体・封止材・成形部品・発泡体・レジスト材・現場成形ガスケット・衝撃吸収材・衝撃緩衝材・圧力分散材・制振材・防振材・吸音材・防音材・断熱材・感触改善部材として、スポーツ用途、玩具・遊具用途、文房具用途、医療・介護用途、履物用途、寝具・寝装品用途、家具用途、衣料用途、各種雑貨用途、輸送用途、OA機器、家電製品、オーディオ機器、携帯機器、産業用機械・機器、精密機器電気電子機器、電気電子部品、各種工業用途、建材用途等が挙げられる。特にこれらの中でも、得られる造形物の優れた衝撃吸収性や柔軟性が活かされる用途としては、シール材・衝撃吸収材・防振材・制振材などに有用である。
【0100】
また、各種用途に用いる場合に、ショックアブソーバー、インシュレーター、ブッシュ、各種マウント、フィルム、シート、テープ、シール、チップ、成形部材としての利用も可能である。
【0101】
スポーツ用途としては、球技場、競技場のフェンス等に設置する衝撃緩衝材、体操競技や運動用の着地マット、床運動用マット、ジムのストレッチ用マット、キッズマット、ボルダリング用マット(クラッシュパッド)、ビート板、高飛び用のクッション材、ウエットスーツ、ゴルフクラブ・バット・テニスラケットなどのグリップや心材、グラブやミットの心材、スポーツシューズの上敷き、中敷き、中底、靴底、スキーブーツ・スノーボードブーツのライナー、トゥ・シューズ、バレエシューズ、ゴルフクラブヘッド、スポーツ用プロテクター類(例えば、ラグビーやボクシング等の格闘技で使用するヘッドギア、野球やフットボールのヘルメット、野球・サッカー・格闘技等のひじあて、レガース(シンガード)等)、ラケット、ボール、ライダー用スーツ、グローブ(サッカーのキーパーグローブ、ゴルフ、スキー、ライダー用)、ライフルジャケット(例えば肩パット)等の成形体用途、シール材用途、封止剤用途、衝撃吸収用途、衝撃緩衝用途、圧力分散用途、制振用途、防振用途、吸音用途、防音用途、人体との接触部の感触改善用途などに有用である。
【0102】
玩具・遊具用途としては、シール、ハンドエクササイザー、ヒーリンググッズ、キーホルダー、ぬいぐるみ、動くぬいぐるみ、マネキンボデイー、ボール、マッサージボール等のクッション材や詰め物、ゲームのコントローラーやマット、携帯電話やスマートフォン等のデコレート用品やその他装飾品用の作製材料、動物模型、怪獣や人形、フィギュア等の成形体用途、シール材用途、封止剤用途、衝撃吸収用途、衝撃緩衝用途、圧力分散用途、制振用途、防振用途、吸音用途、防音用途、人体との接触部の感触改善部用途などに有用である。
【0103】
医療・介護用途としては、人工皮膚、人工骨、人工軟骨、人工臓器、人工角膜、人工水晶体、人工硝子体、人工筋肉、人工血管、人工関節、人体模型、水着や豊胸用の胸パットや挿入用材料、その他生体適合材料としての利用や、薬液染み出しパッド、止血パッド、気液分離フィルター(留置針フィルター)、貼布剤、医療用液体吸収用具、マスク、圧迫パッド、手術用ディスポ製品、医療用チューブ・キャップ・バッグ・ガスケット・、ホース、医療用のベッド・治療台・椅子、心電図測定用電極材、低周波治療器用電極パッド、センサーパッド、床ずれ予防マットレス、体位変換クッション、車椅子用クッション、車椅子の座面、シャワー椅子等の介護用品、入浴介護用枕、テーピング、ギブス用ライナー、ソフトコンタクトレンズ用材料、義手・義足そのものや義足や義手の人体への接続用緩衝材(ライナー等)、又は義足や義手の関接部分構成材、入れ歯台、その他歯科用品、衝撃吸収パッド、ヒッププロテクター、肘・膝用プロテクター、術後の身体形状補助材、湿布材、創傷被覆材、細胞培養シート、治療実習用の成体モデル等にも利用できるものである。その他、人体に接触させ使用される物品として、例えば、魚の目もしくはたこの痛み緩衝材、サポーター、パンプスなどのずれ防止材、またはひじもしくはかかとなどの乾燥防止パッド、外反母趾や巻き爪等による痛みを緩和するためのフットケア用衝撃吸収用途などに有用である。その他に、経皮吸収製剤や貼付用の粘着剤、医薬・医療用シール材、医療用粘着剤、医療用ゴム栓、印象材、歯科充填材、シリンジガスケット、および減圧血管用ゴム栓、人工透析装置用のOリング又は平形ガスケット、医薬品・医療器具の包装材料、キャップ、キャップライナー、真空採血管のキャップ、カテーテルのシール材や接着剤、体内埋め込み型医療機器や添付形センサー類のシール材や接着剤等に利用可能である。
【0104】
履物用途としては、紳士靴、婦人靴、子供用靴、高齢者用靴、スポーツシューズ、安全靴等に使用が可能であり、それぞれの靴の表皮材、裏打ち、中敷(インナーソール)、靴底(アウトソール、ミッドソール、ヒール)、靴擦れ防止パッド、各種靴パッド、インナーブーツ、スリッパ、スリッパ芯、サンダル、サンダル中敷等の衝撃吸収用途、履き心地改善用途、美容・痩身用途として有用である。
【0105】
寝具・寝装品用途としては、枕、掛け布団、敷布団、ベッド、理容用・美容用ベッド、マットレス、ベッドマット、ベッドパッド、クッション、ベビーベッド、ベビー用首まくら等の床ずれ防止用途や体圧分散用途や寝心地改善用途、衝撃吸収用途等が挙げられる。
【0106】
家具用途としては、椅子、座イス、座布団、ソファー、ソファークッション・シートクッション、腰当クッション等の各種クッション、カーペット・マット類、コタツ敷・掛け布団、便座マットの体圧分散用途や座り心地改善用途、衝撃吸収用途、感触改善用途等が挙げられる。机、タンス、衣装ケース、本棚、階段、ドア、扉、ふすま、障子、引き戸の取手や持手、手すり、戸当たり部等の感触改善部用途、衝撃吸収用途、防音用途、成形体用途等が挙げられる。
【0107】
衣料用途としては、肩・ブラジャー等のパッド材や、防寒材、ヘルメット、防弾チョッキ等の衝撃吸収用途や断熱用途、成形体用途等が挙げられる。
【0108】
各種雑貨用途としては、バスピロー等の風呂用品、マッサージ用パフ、マウスパッド、パソコン用アームレストやリストレスト、滑り止めクッション、文具(ペングリップ、浸透印材)、デスク用小まくら、耳栓、綿棒、ホットパック用シート、コールドパック用シート、湿布、めがねパッド、水中眼鏡用パッド、顔面プロテクター、腕時計パッド、ヘッドホーンイヤーパット、イヤホン、保温カップ、飲料缶、氷枕カバー、折りたたみまくら、筆記具、鞄(例えばランドセルの肩掛け部、手提げ部等)、日用雑貨・大工用品のグリップ、カーペット用部材、人工芝用部材等の敷物用部材、肘当て、膝当て、手袋、魚つり用等の疑似餌、鞍による馬の背中の鞍ずれ防止材等の成形体用途、シール材用途、衝撃吸収用途、緩衝用途、防振用途、制振用途、吸音用途、消音用途、人体との接触部の感触改善部用途として利用が可能である。
【0109】
輸送用途としては、自動車・オートバイ・自転車・電動自転車・三輪車・ベビーカー・建築機械・鉄道車両・船舶・航空機等の座席、チャイルドシート、ヘッドレスト、アームレスト、フットレスト、ヘッドライナー、サドル、ライダークッション、ヘルメット、カスタムカー用のベッドマット、キャンピングカー用クッション、天井材、ドアトリム、フロアクッションインストルメントパネル、ダッシュボード、ドアパネル、インナーパネル、シフトノブ、ハンドル、グリップ、ピラー、コンソールボックス、エアバックカバー、パーキングブレーキカバー、クォータートリム、内張り、センターピラーガーニッシュ、サンバイザー等の内装材、車載型道路ナビゲーションシステムの記録再生装置や各種センサー類、制御機器等の車載電子機器、ハーネス・ダストカバー・ホース・エンジン・バッテリー・オイルパン・フロントカバー・ロッカーカバー等のエンジン周り、タイヤ、バンパー、フロア、アンダーフロア、ドア、ルーフ、パネル、ホイルハウス、トランスミッション、ウェザーストリップ、各種補機カバー、ウインドーパッキン、ルーフモール、ドア下モール、シートバック、トランクルーム、荷台等の車体周りの成形体用途、シール材用途、制振用途、防振用途、衝撃吸収用途、吸音用途、防音用途、緩衝用途、人体との接触部の感触改善用途等が挙げられる。また、キャリーバッグ・台車・コンテナ・フレキシブルコンテナー・パレット等人荷運搬用具の防振用途、制振用途、衝撃吸収用途、振動吸収用途も挙げられる。運搬するものとしては、美術品、精密機器、果物、野菜、鮮魚、卵、陶器・磁器、再生細胞等の医療品類が挙げられ、これらの直接梱包用、間接梱包用あるいは梱包したものを搬送する用途に使用できる。また、輸送用、運搬用、搬送用にショックアブソーバー、インシュレーター、ブッシュ、各種マウント、フィルムシート、テープ、シール、チップ、成形部材としての利用も可能である。防振ゴムとして、自動車用防振ゴム、鉄道車両用防振ゴム、航空機用防振ゴム、防舷材等に使用できる。
【0110】
更に、自動車分野ではボディ部品として、気密保持のためのシール材、ガラスの振動防止材、車体部位の防振材、特にウインドシールガスケット、ドアガラス用ガスケットに使用することができる。シャーシ部品として、防振、防音用のエンジンおよびサスペンジョンゴム、特にエンジンマウントラバーに使用することができる。エンジン部品としては、冷却用、燃料供給用、排気制御用などのホース類、エンジンカバーやオイルパン用のガスケット、エンジンオイル用シール材などに使用することができる。また、排ガス清浄装置部品、ブレーキ部品にも使用できる。タイヤ部品としては、ビード部位、サイドウォール部位、ショルダー部位、トレッド部位のほか、インナーライナー用の樹脂や空気圧センサー・パンクセンサーのシール材として利用可能である。また、各種電子部品・制御部品のシール材、封止材、ガスケット、コーティング材、モールド部材、接着剤、粘着剤として利用可能である。また、銅製・アルミ製ワイヤーハーネスの被覆材やコネクタ部のシール材としても利用可能である。その他、ランプ、バッテリー、ウィンドウォッシャー液ユニットやエアコンディショナーユニット、クーラントユニット、ブレーキオイルユニット、電装部品、各種内外装品、オイルフィルター等のシール材、接着剤、粘着剤、ガスケット、Oリングやパッキン、ベルト等の成形部品、イグナイタHICもしくは自動車用ハイブリッドICのポッティング材等としても利用可能である。
【0111】
各種機器用途としては、OA機器(ディスプレイ・パソコン・電話機・コピー機・プリンタ・複写機・ゲーム機・テレビ・ブルーレイレコーダーやHDDレコーダー等の各種レコーダー類・DVDプレイヤーやブルーレイプレイヤー等の各種プレイヤー類・プロジェクタ・デジタルカメラ・ホームビデオ・アンテナ・スピーカー・電子辞書・ICレコーダー・FAX・電話機・ステッピングモーター・磁気ディスク・ハードディスク等)の成形体用途、シール材用途、封止剤用途、防振用途、制振用途、衝撃吸収用途、衝撃緩衝用途、吸音用途、防音用途、人体との接触部の感触改善部用途や接着剤、粘着剤、パッキン、Oリング、ベルトとして有用である。
【0112】
家電製品(冷蔵庫・洗濯機・洗濯乾燥機・布団乾燥機・掃除機・空気清浄機・浄水器・電動歯ブラシ・照明器具・エアコン・エアコン室外機・除湿機・加湿器・ファンヒーター・扇風機・換気扇・ドライヤー・マッサージャー・送風機・ミシン・食器洗浄機・食器乾燥機・ドアホン・炊飯器・電子レンジ・オーブンレンジ・IHクッキングヒーター・ホットプレート・各種充電器・アイロン等)の防振用途、制振用途、衝撃吸収用途、衝撃緩衝用途、吸音用途、防音用途、取手や持手、扉・ドア・手すり等人体との接触部の感触改善部用途やシール材、接着剤、粘着剤、パッキン、Oリング、ベルトとして有用である。
【0113】
オーディオ機器(スピーカー・ターンテーブル・光ピックアップ装置や光記録再生装置・磁気ピックアップ装置や磁気記録再生装置・インシュレーター・スペーサー等)の防振用途、制振用途、衝撃吸収用途、衝撃緩衝用途として有用である。
【0114】
ノート型パソコン、携帯型ハードディスク、携帯電話、スマートフォン、携帯型音楽情報機器、携帯ゲーム機等の携帯機器の防振用途、制振用途、衝撃緩衝用途、人体との接触部の感触改善用途として有用である。
【0115】
電気・電子用途では、例えば、LED材料、各種電池周辺材料、センサー類、半導体周辺材料、回路基板周辺材料、液晶等のディスプレイ周辺材料、照明材料、光通信・光回路周辺材料、光記録周辺材料、磁気記録材料等に利用可能である。
【0116】
LED材料としては、LED素子のモールド材、封止材、封止フィルム、ダイボンド材、コーティング材、シール材、接着剤、粘着剤、レンズ用材料としての使用や、LED電球、LED表示灯、LED表示板、LED表示機等のシール材、接着剤、粘着剤、コーティング材等に利用可能である。
【0117】
電池周辺材料としては、リチウムイオン電池、ナトリウム・硫黄電池、ナトリウム溶融塩電池、有機ラジカル電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、レドックスフロー電池、リチウム硫黄電池、空気電池、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、燃料電池、太陽電池、色素増感型太陽電池等のシール材、裏面封止材、各素子のモールド材、接着剤、粘着剤、封止材、封止フィルム、コーティング材、ポッティング材、充填材、セパレーター、触媒固定用皮膜、保護フィルム、電極の結着剤、冷媒油用シール材、ホース材等に利用可能である。
【0118】
センサー類としては、力・荷重・衝撃・圧力・回転・振動・接触・流量・日射・光・におい・時間・温度・湿度・風速・距離・位置・慣性・傾斜・速度・加速度・角速度・硬度・歪・音・磁気・電流・電圧・電力・電子・放射線・赤外線・X線・紫外線・液量・重量・ガス量・イオン量・金属量・色彩等各種センサーの封止材、封止フィルム、振動吸収材、振動抑制材、レンズ用材料、接着剤、粘着剤、コーティング剤、フィルム等として利用可能である。
【0119】
回路基板周辺材料としては、IC、LSI、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ、コンデンサ、抵抗体、コイル等の各種素子が搭載されたリジッドまたはフレキシブル配線基板やMEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)のシール材、コーティング材、コンフォーマルコーティング材、ポッティング材、上記各素子のモールド材、アンダーフィル材、ダイボンド材、ダイボンディングフィルム、接着剤、粘着剤、封止材、封止フィルムとして利用可能である。
【0120】
ディスプレイ周辺材料としては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、LED表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、電子ペーパー、フレキシブルディスプレイ、3Dホログラム、有機薄膜トランジスタディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ等の各素子のモールド材、各種フィルター、保護フィルム、反射防止フィルム、視野角補正フィルム、偏光子保護フィルム、光学補正フィルムなどのフィルム類、シール材、接着剤、粘着剤、封止材、封止フィルム、基板や部材のコーティング材、ポッティング材、充填材、視認性改良材、レンズ用材料、導光板、プリズムシート、偏光板、位相差板、液晶ダム材として利用可能である。
【0121】
照明材料としては、照明用LED、照明用有機EL、照明用無機ELのシール材・コーティング材・接着剤・封止材・成形部品として利用可能である。
【0122】
光通信・光回路周辺材料としては、有機フォトリフラクティブ素子、光ファイバー、光スイッチ、レンズ、光導波路、発光素子、フォトダイオード、光増幅素子、光電子集積回路、光コネクタ、光カプラ、光演算素子、光電変換装置、レーザー素子等の各素子のモールド材、シール材、接着剤、粘着剤、封止材、封止フィルム、コーティング材、ポッティング材、充填材、保護膜、レンズ用材料、導光板、プリズムシート、偏光板、フェルールとして利用可能である。
【0123】
光記録材料としては、VD(ビデオディスク)、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、BD、BD−ROM、BD−R、BD−RE、MO、MD、PD(相変化ディスク)、ホログラム、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ等の保護フィルム、シール材、接着剤、粘着剤、封止材、封止フィルム、コーティング材、防振材、制振材として利用可能である。
【0124】
磁気記録材料としては、ハードディスク、磁気テープ、クレジットカード等の磁気カードの防振材、制振材、シール材、接着剤、粘着剤、封止材、コーティング材、カバーガスケット、カード材料として利用可能である。
【0125】
情報電気機器として、携帯電話、メディアプレーヤー、タブレット端末、スマートフォン、携帯ゲーム機、コンピュータ、プリンタ、スキャナ、プロジェクタ、インクジェットタンク等のシール材、封止材、接着剤、粘着剤、パッキン、Oリング、ベルト、防振材、制振材防音材などに利用可能である。
【0126】
その他に、タッチパネルの防汚膜、潤滑膜、ICチップのモールド材、ペルチェ素子のモールド材、電解コンデンサの封口体、ケーブルジョイントポッティング材、IGBT(車両推進制御装置)のポッティング材、半導体ウェハ加工用ダイシングテープ、ダイボンド剤、ダイボンドフィルム、アンダーフィル、異方導電性接着剤、異方導電性フィルム、導電性接着剤、導電性ペースト、熱伝導性接着剤、熱伝導性ペースト、仮止め用フィルム、固定用フィルム、封止用フィルム等に利用可能である。
【0127】
その他の産業機械、電気・電子機器やその部品として、MEMSと呼ばれる微小電気機械素子や各種センサー類、制御機器や電池、電池周辺部材、LED材料、半導体周辺材料、回路基板周辺材料、液晶等のディスプレイ周辺材料、照明材料、光通信・光回路周辺材料、光記録周辺材料、磁気記録材料、電子顕微鏡やその他理工学機器、各種測定装置、自動販売機、TVカメラ、レジスタ、キャビネット、ロボットの皮膚シュータ、エレベータ、エスカレータ、動く歩道、コンベア、リフト、トラクタ、ブルドーザ、発電機、コンプレッサー、コンテナ、ホッパ、選果機用コンベアー、現金自動取引装置(ATM)、両替機、計数機、自動販売機、キャッシュディスペンサー(CD)、リチウム電池等二次電池、ICトレーや搬送コンベア等の半導体製造装置、制振鋼板、削岩機、切削機、チェーンソー、ハンドミキサー、草刈り機等の激しいモーター振動のある機械等の防振用途、制振用途、衝撃緩衝用途、衝撃吸収用途、人体との接触部の感触改善用途として有用である。
【0128】
家電分野では、パッキン、Oリング、ベルトなどに使用できる。具体的には、照明器具用の飾り類、防水パッキン類、防振ゴム類、防虫パッキン類、クリーナ用の防振・吸音と空気シール材、電気温水器用の防滴カバー、防水パッキン、ヒーター部パッキン、電極部パッキン、安全弁ダイアフラム、酒かん器用のホース類、防水パッキン、電磁弁、スチームオーブンレンジ及びジャー炊飯器用の防水パッキン、給水タンクパッキン、吸水バルブ、水受けパッキン、接続ホース、ベルト、保温ヒーター部パッキン、蒸気吹き出し口シールなど燃焼機器用のオイルパッキン、Oリング、ドレインパッキン、加圧チューブ、送風チューブ、送・吸気パッキン、防振ゴム、給油口パッキン、油量計パッキン、送油管、ダイアフラム弁、送気管など、音響機器用のスピーカーガスケット、スピーカーエッジ、ターンテーブルシート、ベルト、プーリー等が挙げられる。
【0129】
建材用途として防音パネル、防音ガラス、一般ガラス、天井材、内壁材、外壁材、床材、配管用材、水道部材、フェンス等の建材、空気膜構造屋根材、構造用ガスケット(ジッパーガスケット)、免震ゴム、防振ゴム、シート、防水シート、不定形ガスケット、定形ガスケット、防水材、シール材、パッキング、グロメット、包装輸送資材、住宅用制振シート、制振ダンパー材、橋梁用制振材、防音材、セッティングブロック、摺動材、合わせガラスおよび複層ガラスのガラスシール材、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材、シャッタ、カーテンレール、カーテンウォール、免振アイソレーター、地盤改良材等の防振用途、制振用途、衝撃緩衝用途、衝撃吸収用途、可聴域しきい値近傍の低周波音及び高周波音に対応する等の防音用制振用途として有用である。
【0130】
海洋・土木分野では、構造用材料として、ゴム伸縮継手、支承、止水板、防水シート、ラバーダム、弾性舗装、防振パット、防護体等、工事副材料としてゴム型枠、ゴムパッカー、ゴムスカート、スポンジマット、モルタルホース、モルタルストレーナ等、工事補助材料としてゴムシート類、エアホース等、安全対策商品としてゴムブイ、消波材等、環境保全商品としてオイルフェンス、シルトフェンス、防汚材、マリンホース、ドレッジングホース、オイルスキマー等に使用できる。その他、板ゴム、マット、フォーム板等にも使用できる。
【0131】
また防振・制振・防音・免震材料が特に求められる用途として、ステッピングモーター、磁気ディスク、ハードディスク、自動販売機、スピーカフレーム、BSアンテナ、VTRカバー用制振材等の電気・電子機器用途;ルーフ、フロア、シャッタ、カーテンレール、床、配管ダクト、デッキプレート、カーテンウォール、階段、ドア、免振アイソレーター、構造材用制振材等の建築用途;粘弾性ダンパー、耐震マット等の建築用途;エンジンルーム、計測ルーム用制振材等の船舶用途;エンジン(オイルパン、フロントカバー、ロッカーカバー)、車体(ダッシュ、フロア、ドア、ルーフ、パネル、ホイルハウス)、トランスミッション、パーキングブレーキカバー、シートバック用制振材等の自動車用途;TVカメラ、複写機、電算機、プリンタ、レジスタ、キャビネット用制振材等のカメラ・事務機器用途;シュータ、エレベータ、エスカレータ、コンベア、トラクタ、ブルドーザ、発電機、コンプレッサー、コンテナ、ホッパ、防音ボックス、草刈り機のモータカバー用制振材等の産業機械関係用途;鉄道車両ルーフ、側板、ドア、アンダーフロア、各種補機カバー、橋梁用制振材等の鉄道用途;半導体用途の精密除振装置用制振材;可聴域しきい値近傍の低周波音及び高周波音に対応する等の防音用制振材として利用可能である。
【0132】
その他に、本発明の硬化物は、成形体として、パッキン、Oリング、ベルト、チューブ、ホース、弁、シート等に利用可能である。
【0133】
配線コネクタ用反応性ホットメルト剤、反応性ホットメルト接着剤、OCA(光学用透明接着剤)、弾性接着剤、コンタクト接着剤、嫌気性接着剤、タイル用接着剤、紫外線硬化性接着剤、電子線硬化性接着剤、タッチパネルやタッチセンサー用接着剤等の各種接着剤として利用可能である。
【0134】
ブチル系粘着剤の改質や、マスキングテープ、パイプ防食テープ、建築止水テープ、電気用自己融着テープ、再剥離用粘着剤、電線用融着テープ等の各種粘着剤として利用可能である。
【0135】
電線・ケーブル・光ファイバー類の被覆材またはその補修材、結線部の絶縁シール材、ガス管、水道管等の管内ライニング材、無機フィラー、有機フィラーのコーティング材、エポキシ型内成形用離型材等の各種コーティング用途に利用可能である。
【0136】
熱伝導シート、放熱シート、電磁波吸収シート、導電性シート、防水シート、自動車用保護シート、パネル用衝撃吸収シート等の各種シートとして利用可能である。
【0137】
衝撃吸収ゲル、ベッド、靴等の衝撃吸収材、合わせガラスの中間層膜、弾性塗料、水性エマルジョン等の塗料、プリプレグ、OA機器用や搬送用の各種ローラ、キャップライナー、撥インク剤、インキ、各種冷媒用シール材、工業用缶・食品用缶のシール材・ガスケット、発泡ガスケット、塗料、粉体塗料、発泡体、缶蓋等のシール材、フィルム、ガスケット、マリンデッキコーキング、注型材料、各種成形材料、人工大理石として利用可能である。
【0138】
ドライフィルムレジスト用途、電着レジスト用途等のレジスト用途にも利用可能である。しかしながら、本発明に係る3次元立体造形物の用途が上記例示の用途に限定されないことは明白である。
【0139】
上記例示の用途の内、例えば、各種材料、機器等の防振材、制振材、又はシール材は、上述した本発明の製造方法により光硬化性樹脂組成物(A)の塗布と塗布膜の硬化とを繰り返して所望の形状に成形することで製造できる。また、上記製造方法により得られた3次元立体構造物を切削、研磨、打ち抜き等の加工をさらに施すことにより所望の形状に成形してもよい。
【0140】
本発明に係る3次元立体造形物は、必要に応じて、単体で用いてもよいし、他の部材と複合して用いてもよい。光硬化性樹脂組成物(A)を、所望の型を用い、当該型内において積層、硬化し、その型ごと用いてもよい。
【0141】
また、得られた3次元立体造形物をフィルムやゴム、プラスチック、金属、木材、布、セラミックス、ガラス等と貼り合わせたり、嵌め込んだり、挟み込んだりして複合成形体を得てもよい。
【0142】
本願は、2015年7月29日に出願された日本国特許出願第2015−149905号に基づく優先権の利益を主張するものである。2015年7月29日に出願された日本国特許出願第2015−149905号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
【実施例】
【0143】
以下に、本発明の具体的な実施例を説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。下記実施例、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
【0144】
「数平均分子量(Mn)」および「分子量分布(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804、K−802.5;昭和電工(株)製)を、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
【0145】
また重合体1分子当たりに導入された官能基数は、
1H−NMRによる濃度分析、及びGPCにより求まる数平均分子量を基に算出した。ただしNMRはBruker社製ASX−400を使用し、溶媒として重クロロホルムを用いて23℃にて測定した。
【0146】
(合成例1)アクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[P1]の合成例
公知の方法に従い、臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、ジエチル−2,5−ジブロモアジペートを開始剤、アクリル酸n−ブチルをモノマーとし、(アクリル酸n−ブチル)/(ジエチル−2,5−ジブロモアジペート)比を160(重量比、以下同様)にして重合し、末端臭素基ポリアクリル酸n−ブチルを得た。
【0147】
この重合体をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させ、アクリル酸カリウムを加え、窒素雰囲気下、70℃で加熱攪拌した。この混合液中のN,N−ジメチルアセトアミドを減圧留去したのち、残渣に酢酸ブチルを加えて、不溶分を濾過により除去した。濾液の酢酸ブチルを減圧留去して、両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[P1]を得た。
重合体[P1]の数平均分子量は23,000、分子量分布は1.1、重合体1分子当たりに導入された平均のアクリロイル基の数を
1H−NMR分析により求めたところ約1.9個であった。
【0148】
(合成例2)アクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[P2]の合成例
開始剤としてα−ブロモ酪酸エチルを用い、モノマー/開始剤比を80としたこと以外は、合成例1と同様にして片末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)重合体[P2]を得た。
重合体[P2]の数平均分子量は12,000、分子量分布は1.1、重合体1分子当たりに導入された平均のアクリロイル基の数を
1H−NMR分析により求めたところ約0.9個であった。
(合成例3)アクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)/(アクリル酸エチル)/(アクリル酸メトキシエチル)共重合体[P3]の合成例
モノマーとして、アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/アクリル酸メトキシエチルを73部/25部/2部用い、モノマー/開始剤比を240としたこと以外は、合成例1と同様にして両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)/(アクリル酸エチル)/(アクリル酸メトキシエチル)共重合体[P3]を得た。
【0149】
共重合体[P3]の数平均分子量は約35,000、分子量分布は1.3、重合体1分子当たりに導入された平均のアクリロイル基の数を
1H−NMR分析により求めたところ約2.0個であった。
【0150】
<物性評価方法>
光硬化性樹脂組成物およびその硬化物の各物性評価は、以下の方法、条件に従って実施した。
【0151】
(粘度)
JIS K 7117−2:1999 円すい−平板システムに準拠し、東機産業製E型粘度計を使用し、光硬化性樹脂組成物を所定の測定温度(23℃及び/又は60℃)に調節した後、同温度で測定した。
【0152】
(引張物性)
JIS K 6251:2010に準拠し、下記実験例で製造した厚み2mm立体造形物をダンベル3号型に準じて打抜いたものを用意し、これを測定に使用した。引張速度は500mm/分とし、切断時引張応力(引張強さと表記)、切断時伸び(伸びと表記)を求めた。
【0153】
(圧縮永久ひずみ)
JIS K 6262:2013に準じて圧縮永久ひずみ試験測定用大型試験片を使用し、所定条件下での圧縮永久ひずみ試験を行なった。
【0154】
(硬度)
JIS K 6253:2012に準拠し、2mm厚みの試験片を3枚重ねてタイプAデュロメータを用いて測定した。また2mm厚みの試験片を3枚重ねてタイプEデュロメータを用いて測定した。
【0155】
(動的粘弾性)
下記実施例で得られた立体構造物から調製した試験片(厚み2mm、幅5mm、長さ10mm)を使用して、アイティー計測制御株式会社製動的粘弾性測定装置DVA−200にて、周波数5Hz、歪み0.05%、剪断モードで測定し、損失正接(tanδ)のピークを示す温度をガラス転移温度(Tg)とした。
【0156】
(配合例1)
合成例1で得られた重合体[P1]100部に、酸化防止剤としてノクラック(登録商標、以下同様)CD(大内新興製)を2部、希釈モノマーとしてISTA(大阪有機化学工業製、イソステアリルアクリレート)36部、ビスコート#295(大阪有機化学工業製、トリメチロールプロパントリアクリレート)2部、光ラジカル開始剤としてIRGACURE379(BASFジャパン製、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン)5部、添加剤として4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成製)1部を加え、十分に溶解・混合後、脱泡して、光硬化性樹脂組成物[A1]を得た。
【0157】
得られた光硬化性樹脂組成物[A1]の粘度は、11.1Pa・s(23℃)、1.1Pa・s(60℃)であった。
【0158】
光硬化性樹脂[A1]の塗膜に、紫外線照射装置としてフュージョン・ジャパン社製LH−6(バルブ:H−bulb)を用いてピーク照度:400mW/cm
2、積算光量5000mJ/cm
2で紫外線を照射し、厚さ2mmのゴム状成形体を作製した。このゴム状成形体から試験片を調製して動的粘弾性を測定しガラス転移温度(Tg)を求めたところ、−25℃であった。
【0159】
(実施例1)
配合例1で得られた光硬化性樹脂組成物[A1]を用い、非接触式ディスペンサーとして武蔵エンジニアリング社製非接触ジェットディスペンサー AERO JET(エアロジェット)を用いて、塗布ロボットとして武蔵エンジニアリング社製卓上型ロボットSHOTMASTER DSを使用して、ノズル口温度60℃にて液滴を1滴塗布した。吐出後に紫外線照射装置としてHOYA製EXECURE−H−1VCを用いて365nmUV−LED光で硬化させた。
【0160】
吐出された液滴は、直径約0.78mmφ、厚み約100μmで塗布された。塗布量は40nL〜60nLであった。
【0161】
同様にして、ロボットを移動させながら光硬化性樹脂組成物[A1]を液滴状に連続して吐出し、14mm×79mmの長方形状に塗布した。塗布に要した時間は40秒であった。塗布後に紫外線照射装置としてHOYA製EXECURE−H−1VCを用いて365nmUV−LED光で硬化させた。厚み約100μmの平滑な塗布膜が形成された。
【0162】
同様の工程を5回繰り返し、14mm×79mm×厚み0.5mmの立体造形物を得た。このとき要した時間は250秒であった。
【0163】
(配合例2)
合成例1で得られた重合体[P1]30部および合成例2で得られた重合体[P2]70部に、酸化防止剤としてIRGANOX1010(BASFジャパン製)を1部、希釈モノマーとしてLA(共栄社化学製、ラウリルアクリレート)20部、ビスコート#295(大阪有機化学工業製、トリメチロールプロパントリアクリレート)1部、光ラジカル開始剤としてIRGACURE OXE−01(BASFジャパン製、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]2.5部を加え、十分に溶解・混合後、脱泡して、光硬化性樹脂組成物[A2]を得た。得られた光硬化性樹脂組成物[A2]の粘度は、5.0Pa・s(23℃)であった。
【0164】
(実施例2)
配合例2で得られた光硬化性樹脂組成物[A2]を用い、実施例1と同様の装置に、紫外線照射装置としてシーシーエス社製UV−LED照射機(HLDL−100U6、照射面7cm角、波長365nm)を設置し、塗布、UV-LED光源による照射を連続して実施できるようにした装置を用いた。ノズル口温度60℃にて液滴を1滴吐出したところ、塗布量は60nL〜80nLであった。
【0165】
ロボットを移動させながら光硬化性樹脂組成物[A2]を液滴状に連続して吐出して、25mm×70mmのエリアに塗布し、この塗膜に、上記UV−LED照射機(波長365nm)を使用して紫外線を約200mW/cm
2で5秒間照射し、厚み約200μmの平滑な塗布硬化膜を得た。
同様の工程を10回繰り返し、25mm×70mm×厚み2mmの立体造形物を得た。このとき要した時間は14分であった。
【0166】
得られた立体造形物から所定形状の試験片を切り出して引張物性を測定したところ、引張強さ0.08MPa、伸び170%であった。硬度はタイプAデュロメーターで0以下、タイプEデュロメーターで12であった。
【0167】
同様に、光硬化性樹脂組成物[A2]を円形状に吐出して円盤状の塗布硬化膜を得、この工程を62回繰り返して硬化膜を積層し、直径29mm、厚さ12.5mmの圧縮永久ひずみ試験用サンプルを得た。このとき要した時間は27分であった。このサンプルを用いて、150℃72時間25%圧縮での圧縮永久ひずみ試験を実施したところ、22%であった。
【0168】
(配合例3)
合成例3で得られた重合体[P3]100部に、酸化防止剤としてIRGANOX1010(BASFジャパン製)を1部、希釈モノマーとしてACMO(KJケミカルズ製、アクリロイルモルホリン)を50重量部、ライトアクリレート130A(共栄社化学製、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート)10部、ビスコート#295(大阪有機化学工業製、トリメチロールプロパントリアクリレート)1部、光ラジカル開始剤としてIRGACURE OXE−01(BASFジャパン製、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]2.5部、着色剤として和光純薬製RDW−R13を0.01部加え、十分に溶解・混合後、脱泡して、光硬化性樹脂組成物[A3]を得た。得られた光硬化性樹脂組成物[A3]の粘度は、7.8Pa・s(23℃)であった。
【0169】
(実施例3)
配合例3で得られた光硬化性樹脂組成物[A3]を用い、実施例2と同様の装置を用い、ノズル口温度60℃にて液滴を吐出した。吐出された液滴(1滴)は、塗布量80nL〜100nLであった。
【0170】
ロボットを移動させながら光硬化性樹脂組成物[A3]を液滴状に連続して吐出して、25mm×70mmのエリアに塗布し、この塗膜に、実施例2と同じUV−LED照射機(波長365nm)を使用して紫外線を約200mW/cm
2で5秒間照射して、厚み約200μmの平滑な塗布硬化膜を得た。
同様の操作を10回繰り返し、25mm×70mm×厚み2mmの立体造形物を得た。このとき要した時間は10分であった。
【0171】
得られた立体造形物から所定形状の試験片を切り出して引張物性を測定したところ、引張強さ7.97MPa、伸び170%であった。硬度は60(タイプAデュロメーター)であった。
【0172】
同様に、光硬化性樹脂組成物[A3]を円形状に吐出して円盤状の塗布硬化膜を得、この工程を62回繰り返して硬化膜を積層し、直径29mm、厚さ12.5mmの圧縮永久ひずみ試験用サンプルを得た。このとき要した時間は18分であった。このサンプルを用いて、150℃72時間25%圧縮での圧縮永久ひずみ試験を実施したところ、22%であった。
【0173】
(実施例4)
配合例2で得られた光硬化性樹脂組成物[A2]および配合例3で得られた光硬化性樹脂組成物[A3]を用い、装置としては、実施例1と同様の塗布ロボットに、非接触式ディスペンサーとしてジェットディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製非接触ジェットディスペンサー AERO JET)を2台装備し、紫外線照射装置としてシーシーエス社製UV−LED照射機(HLDL−100U6、照射面7cm角、波長365nm)を設置し、光硬化性樹脂組成物の塗布と、塗布膜への紫外光の照射を連続して実施できるようにしたものを用いた。
【0174】
まず、温度60℃に設定したノズル口から光硬化性樹脂組成物[A3]を液滴状に連続して吐出して、25mm×70mmのエリアに塗布し、紫外光の照射により塗布膜を硬化させた後、この光硬化性樹脂組成物[A3]の硬化塗布膜上に、別の非接触式ディスペンサーのノズル口(設定温度60℃)から光硬化性樹脂組成物[A2]を同様に吐出させて、光硬化性樹脂組成物[A2]の塗布膜を形成し、紫外光の照射により硬化させた。この操作を5回繰り返した後、最後に光硬化性樹脂組成物[A3]を塗布、硬化させ、[A2]/[A3]が交互に積層された、25mm×70mm×厚み2mmの立体造形物を得た。このとき要した時間は21分であった。
【0175】
なお、上記ノズル口(60℃)から吐出された光硬化性樹脂組成物[A2]1滴の液滴の量は60nL〜80nLであり、光硬化性樹脂組成物[A3]1滴の液滴の量は80nL〜100nLであった。
【0176】
得られた立体造形物から所定形状の試験片を切り出して引張物性を測定したところ、引張強さ3.98MPa、伸び180%であった。硬度は、27(タイプAデュロメーター)であった。
【0177】
実施例2〜4で得られた立体造形物から調製した試験片を使用して動的粘弾性を測定したところ、[A2]単独積層物(実施例2)のガラス転移温度は−31℃、[A3]単独積層物(実施例3)は−17℃、[A2]/[A3]交互積層物(実施例4)は−30℃であった。また、23℃におけるtanδ値は、[A2]単独積層物が0.65、[A3]単独積層物が0.25、[A2]/[A3]交互積層物は0.73であった。
【0178】
この結果から、[A2]/[A3]交互積層物は、機械物性は各単独硬化物の中間の物性を示すが、動的粘弾性おけるレオロジー特性は[A2]に極めて近い値を有するというユニークな特性を示すことが明らかとなった。
【0179】
(配合例4)
合成例1で得られた重合体[P1]30部および合成例2で得られた重合体[P2]70部に、酸化防止剤としてIRGANOX1010(BASFジャパン製)を1部、希釈モノマーとしてLA(共栄社化学製、ラウリルアクリレート)20部、ビスコート#295(大阪有機化学工業製、トリメチロールプロパントリアクリレート)1部、光ラジカル開始剤としてIRGACURE TPO(BASFジャパン製、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド)4部、光ラジカル開始剤の補助剤としてトリフェニルホスフィン4部を加え、十分に溶解・混合後、脱泡して、光硬化性樹脂組成物[A4]を得た。得られた光硬化性樹脂組成物[A4]の粘度は、5.0Pa・s(23℃)であった。
【0180】
(実施例5)
配合例4で得られた光硬化性樹脂組成物[A4]を用い、実施例2と同様の装置を用い、設定温度50℃のノズル口から光硬化性樹脂組成物[A4]を液滴状に連続して吐出させて、25mm×70mmのエリアに塗布し塗膜を形成した。この塗膜に、実施例2と同じUV−LED照射機を使用して紫外光(波長365nm)を約200mW/cm
2で5秒間照射し、厚み約170μmの平滑な塗布硬化膜を得た。なお、上記ノズル口(50℃)から吐出された1滴の液滴の量は60nL〜80nLであった。
【0181】
同様の工程を12回繰り返し、25mm×70mm×厚み2mmの立体造形物を得た。このとき要した時間は21分20秒であった。
【0182】
(配合例5)
合成例3で得られた重合体[P3]100部に、酸化防止剤としてIRGANOX1010(BASFジャパン製)を1部、希釈モノマーとしてACMO(KJケミカルズ製、アクリロイルモルホリン)を50重量部、ライトアクリレート130A(共栄社化学製、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート)10部、ビスコート#295(大阪有機化学工業製、トリメチロールプロパントリアクリレート)1部、光ラジカル開始剤としてIRGACURE TPO(BASFジャパン製、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド]4部、光ラジカル開始剤の補助剤としてトリフェニルホスフィン4部を加え、十分に溶解・混合後、脱泡して、光硬化性樹脂組成物[A5]を得た。得られた光硬化性樹脂組成物[A5]の粘度は7.9Pa・s(23℃)であった。
【0183】
(実施例6)
配合例5で得られた光硬化性樹脂組成物[A5]を用い、実施例2と同様の装置を用い、設定温度50℃のノズル口から光硬化性樹脂組成物[A5]を液滴状に連続して吐出して、25mm×70mmのエリアに塗布し塗膜を形成した。この塗膜に、実施例2と同じ紫外線照射機を使用して紫外光(波長365nm)を約200mW/cm
2で5秒間照射し、厚み約170μmの平滑な塗布硬化膜を得た。なお、上記ノズル口(50℃)から吐出される1滴の液滴の量は90nL〜110nLであった。
【0184】
同様の工程を12回繰り返し、25mm×70mm×厚み2mmの立体造形物を得た。このとき要した時間は10分20秒であった。
【0185】
(配合例6)
光硬化性樹脂組成物として、市販のウレタンアクリレートオリゴマーである、ダイセル・オルネクス社製EBECRYL(登録商標、以下同様)230(脂肪族ウレタンアクリレート、硬化物のTg−55℃、平均分子量5000、オリゴマー1分子あたりの平均末端アクリロイル基数2個)100部に、酸化防止剤としてMARK AO−50(ADEKA製、ヒンダードフェノール系酸化防止剤)1部、希釈モノマーとして、ライトアクリレート130A(共栄社化学製、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート)20部、光ラジカル開始剤としてIRGACURE OXE−01(BASFジャパン製、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]2.5部を加え、十分に溶解・混合後、脱泡して、光硬化性樹脂組成物[A6]を得た。得られた光硬化性樹脂組成物[A6]の粘度は、13Pa・s(23℃)であった。
【0186】
(実施例7)
配合例6で得られた光硬化性樹脂組成物[A6]を用い、実施例2と同様の装置を用い、設定温度50℃のノズル口から光硬化性樹脂組成物[A6]を液滴状に連続して吐出して、25mm×70mmのエリアに塗布し塗膜を形成した。この塗膜に、実施例2と同じUV−LED照射機を使用して紫外光(波長365nm)を約200mW/cm
2で5秒間照射し、厚み約290μmの平滑な塗布硬化膜を得た。なお、上記ノズル口(50℃)から吐出された1滴の液滴の量は40nL〜60nLであった。
【0187】
同様の工程を7回繰り返し、25mm×70mm×厚み2mmの立体造形物を得た。このとき要した時間は11分であった。
【0188】
(配合例7)
光硬化性樹脂組成物として、市販のウレタンアクリレートオリゴマーである、ダイセル・オルネクス社製EBECRYL210(芳香族ウレタンアクリレート、硬化物のTg−19℃、平均分子量1500、オリゴマー1分子あたりの平均末端アクリロイル基数2個)100部に、酸化防止剤としてMARK AO−50(ADEKA製、ヒンダードフェノール系酸化防止剤)1部、希釈モノマーとして、ライトアクリレート130A(共栄社化学製、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート)30部、光ラジカル開始剤としてIRGACURE OXE−01(BASFジャパン製、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]2.5部を加え、十分に溶解・混合後、脱泡して、光硬化性樹脂組成物[A7]を得た。得られた光硬化性樹脂組成物[A7]の粘度は、9Pa・s(23℃)であった。
【0189】
(実施例8)
配合例7で得られた光硬化性樹脂組成物[A7]を用い、実施例2と同様の装置を用い、設定温度50℃のノズル口から光硬化性樹脂組成物[A7]を液滴状に連続して吐出して、25mm×70mmのエリアに塗布し塗膜を形成した。この塗膜に、実施例2と同じUV−LED照射機を使用して紫外光(波長365nm)を約200mW/cm
2で5秒間照射し、厚み約250μmの平滑な塗布硬化膜を得た。なお、上記ノズル口(50℃)から吐出された1滴の液滴の量は120nL〜140nLであった。
【0190】
同様の工程を8回繰り返し、25mm×70mm×厚み2mmの立体造形物を得た。このとき要した時間は10分であった。
【0191】
(配合例8)
光硬化性樹脂組成物として、市販のポリエステルアクリレートオリゴマーである、ダイセル・オルネクス社製EBECRYL810(ポリエステルアクリレート、硬化物のTg31℃、平均分子量1000、オリゴマー1分子あたりの平均末端アクリロイル基数4個)100部に、酸化防止剤としてMARK AO−50(ADEKA製、ヒンダードフェノール系酸化防止剤)1部、光ラジカル開始剤としてIRGACURE OXE−01(BASFジャパン製、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]2.5部を加え、十分に溶解・混合後、脱泡して、光硬化性樹脂組成物[A8]を得た。得られた光硬化性樹脂組成物[A8]の粘度は、0.5Pa・s(23℃)であった。
【0192】
(実施例9)
配合例5で得られた光硬化性樹脂組成物[A5]と配合例8で得られた光硬化性樹脂組成物[A8]とを用い、装置としては実施例4と同様の装置を用いた。
【0193】
まず、ノズル口(50℃)から光硬化性樹脂組成物[A5]を液滴状に連続して吐出して、25mm×25mmのエリアに塗布し、塗膜を形成した。この塗膜に、実施例4と同じUV−LED照射機を使用して紫外光(波長365nm)を約200mW/cm
2で5秒間照射し、塗膜を硬化させた。光硬化性樹脂組成物[A5]の塗布硬化膜が2mm厚になるまでこの操作を繰り返した後、光硬化性樹脂組成物[A5]の塗布硬化膜の最上層の表面に光硬化性樹脂組成物[A8]をノズル口(室温)から1層塗布し、同じ条件で紫外光を照射し、塗布膜を硬化させて、25mm×25mm×厚み2mmの立体造形物を得た。このとき要した時間は8分であった。
【0194】
なお、各ノズル口から吐出された光硬化性樹脂組成物[A5]1滴の液滴の量は90nL〜110nLであり、光硬化性樹脂組成物[A8]1滴の液滴の量は5nL〜10nLであった。
【0195】
(実施例10)
配合例3で得られた光硬化性樹脂組成物[A3]を用い、光硬化性樹脂組成物の塗布硬化装置としては、非接触式ディスペンサーとしてノードソン社製非接触ジェットディスペンサー PICO Pulseシステム、塗布ロボットして蛇の目ミシン社製卓上ロボットJR3303Nを使用した。
【0196】
設定温度80℃のノズル口から光硬化性樹脂組成物[A3]の液滴を1滴吐出したところ、直径約0.60mm、厚み約80μmの塗布膜が形成された。この塗膜をUV硬化させた。なお、上記ノズル口(80℃)から吐出された液滴1滴の量は10nL〜30nLであった。
【0197】
また、上記ノズル口から連続して液滴状の光硬化性樹脂組成物[A3]を吐出することにより、0.7秒間で光硬化性樹脂組成物[A3]をライン状(線長70mm、線幅0.7mm、厚み0.12mm)に塗布することが可能であった。この結果から、70mm×25mm×厚み2mmの立体造形物が約10分で得られることが判る。