特許第6774416号(P6774416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6774416ガルバニック金属堆積のための水平方向のガルバニックめっき加工ラインのガルバニックめっき装置およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774416
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】ガルバニック金属堆積のための水平方向のガルバニックめっき加工ラインのガルバニックめっき装置およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/00 20060101AFI20201012BHJP
   C25D 17/06 20060101ALI20201012BHJP
   C25D 17/08 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   C25D17/00 K
   C25D17/00 G
   C25D17/06 H
   C25D17/08 G
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-534587(P2017-534587)
(86)(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公表番号】特表2018-532038(P2018-532038A)
(43)【公表日】2018年11月1日
(86)【国際出願番号】EP2016073454
(87)【国際公開番号】WO2017071908
(87)【国際公開日】20170504
【審査請求日】2019年7月18日
(31)【優先権主張番号】15191923.0
(32)【優先日】2015年10月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】300081877
【氏名又は名称】アトテツク・ドイチユラント・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Atotech Deutschland GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フェアディナント ヴィーナー
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス メアライン
【審査官】 菅原 愛
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−512530(JP,A)
【文献】 特表2002−506483(JP,A)
【文献】 特開平09−104999(JP,A)
【文献】 米国特許第06174417(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 5/00− 9/12
C25D13/00−21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅、スズ、金または銀の堆積のための水平方向のガルバニックめっき加工ラインのガルバニックめっき装置(1)であって、
前記ガルバニックめっき装置(1)は、処理される基板(8)の搬送レベルの下に配置される少なくとも1つの第1のガルバニックめっきモジュール(2)と、前記ガルバニックめっき装置(1)の第1の側(4)に配置される少なくとも1つのめっきクランプ(3)と、を備え、
前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)は、少なくとも1つの電解液ノズルおよび少なくとも1つの陽極要素を、前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)内に備え、
前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)は、前記陽極要素および前記電解液ノズルの上に配置される、複数の開口(6)を有する少なくとも1つのカバーリングプレート(5)をさらに備え、
前記ガルバニックめっき装置(1)は、前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)の前記カバーリングプレート(5)の表面上に配置される少なくとも1つの基板案内要素(7,7’)をさらに備え、
前記基板案内要素(7、7’)は、前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)の前記カバーリングプレート(5)の前記表面に関連する、
ガルバニックめっき装置(1)。
【請求項2】
前記ガルバニックめっき装置(1)は、処理される基板(8)の前記搬送レベルの上に配置される少なくとも1つの第2のガルバニックめっきモジュールをさらに備え、
前記第2のガルバニックめっきモジュールは、少なくとも1つの電解液ノズルおよび少なくとも1つの陽極要素を、前記第2のガルバニックめっきモジュール内に備え、
前記第2のガルバニックめっきモジュールは、前記陽極要素および前記電解液ノズルの下に配置される、複数の開口を有する少なくとも1つのカバーリングプレートをさらに備え、
前記ガルバニックめっき装置(1)は、前記第2のガルバニックめっきモジュールの前記カバーリングプレートの表面上に配置される少なくとも1つの基板案内要素をさらに備え、
前記基板案内要素は、前記第2のガルバニックめっきモジュールの前記カバーリングプレートの前記表面に関連する、
請求項1に記載のガルバニックめっき装置(1)。
【請求項3】
前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)および/または前記第2のガルバニックめっきモジュールの前記基板案内要素(7、7’)は、対応する前記ガルバニックめっきモジュールのそれぞれの前記カバーリングプレート(5)の前記表面に、少なくとも部分的に永久に固定される、
請求項2に記載のガルバニックめっき装置(1)。
【請求項4】
前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)および/または前記第2のガルバニックめっきモジュールの前記基板案内要素(7、7’)は、対応する前記ガルバニックめっきモジュールのそれぞれの前記カバーリングプレート(5)の前記表面に着脱可能に接続される、
請求項2に記載のガルバニックめっき装置(1)。
【請求項5】
前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)および/または前記第2のガルバニックめっきモジュールの各基板案内要素(7、7’)は、それらの底側に少なくとも2つのプラグをさらに備え、
前記少なくとも2つのプラグは、対応する前記ガルバニックめっきモジュールのそれぞれの前記カバーリングプレート(5)のそれぞれの凹部またはホール内に適合する、
請求項2から4のいずれかに記載のガルバニックめっき装置(1)。
【請求項6】
前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)および/または前記第2のガルバニックめっきモジュールの前記カバーリングプレート(5)は、基板案内要素(7、7’)ごとにそれぞれの凹部をさらに備え、
前記それぞれの凹部内に、前記基板案内要素(7、7’)は、特別に適合され、形状結合方法で挿入可能である、
請求項2から5のいずれかに記載のガルバニックめっき装置(1)。
【請求項7】
前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)および/または前記第2のガルバニックめっきモジュールの前記凹部によって、蟻継ぎの輪郭を有する基板案内要素(7、7’)の挿入が可能になる、
請求項6に記載のガルバニックめっき装置(1)。
【請求項8】
前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)および/または前記第2のガルバニックめっきモジュールの前記カバーリングプレート(5)およびそれらのそれぞれの基板案内要素(7、7’)は、非金属材料から作られ、または、ポリマー材料から作られ、または、PTFE、PEおよびPPから作られる、
請求項2から7のいずれかに記載のガルバニックめっき装置(1)。
【請求項9】
前記ガルバニックめっき装置(1)の前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)および/または前記第2のガルバニックめっきモジュールは、複数の線形の基板案内要素(7、7’)を備え、
前記基板案内要素(7、7’)は、それぞれの前記ガルバニックめっきモジュール内で処理される前記基板(8)の搬送方向に互いに平行に伸びる、
請求項2から8のいずれかに記載のガルバニックめっき装置(1)。
【請求項10】
前記ガルバニックめっき装置(1)の前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)および/または前記第2のガルバニックめっきモジュールは、複数の線形の基板案内要素(7、7’)を備え、
前記基板案内要素(7、7’)は、処理される前記基板(8)の搬送方向に対して正の角で、互いに平行に伸び、
記正の角は、両方のガルバニックめっきモジュールに対して同一である、
請求項2から8のいずれかに記載のガルバニックめっき装置(1)。
【請求項11】
前記ガルバニックめっき装置(1)は、処理される基板(8)の搬送レベルの下に、前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)に隣接して配置される少なくとも1つの第3のガルバニックめっきモジュール(9)をさらに備え、
前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)および前記第3のガルバニックめっきモジュール(9)の両方は、複数の線形の基板案内要素(7、7’)を備え、
前記基板案内要素(7、7’)は、それぞれの前記ガルバニックめっきモジュール(2、9)内で処理される前記基板(8)の搬送方向に対して正の角で、互いに平行に伸び、
前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)における前記正の角は、前記第3のガルバニックめっきモジュール(9)における前記正の角と異なる、
請求項1から8、10のいずれかに記載のガルバニックめっき装置(1)。
【請求項12】
前記ガルバニックめっき装置(1)は、処理される基板(8)の搬送レベルの下に、前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)に隣接して配置される少なくとも1つの第3のガルバニックめっきモジュール(9)をさらに備え、
処理される基板(8)の搬送レベルの上に互いに隣接して配置される少なくとも1つの第2のガルバニックめっきモジュールおよび第4のガルバニックめっきモジュールをさらに備え、
前記第1のガルバニックめっきモジュール(2)、前記第2のガルバニックめっきモジュール、前記第3のガルバニックめっきモジュール(9)および前記第4のガルバニックめっきモジュールは、各々、複数の線形の基板案内要素(7、7’)を備え、
前記基板案内要素(7、7’)は、それぞれの前記ガルバニックめっきモジュール内で処理される前記基板(8)の搬送方向に対して正の角で、互いに平行に伸び、
記第1のガルバニックめっきモジュール(2)および前記第2のガルバニックめっきモジュールにおける前記正の角は、前記第3のガルバニックめっきモジュール(9)および前記第4のガルバニックめっきモジュールにおける前記正の角と異なる、
請求項1から8、10、11のいずれかに記載のガルバニックめっき装置(1)。
【請求項13】
処理される前記基板(8)の前記搬送レベルの下および/または上のガルバニックめっきモジュールの各基板案内要素(7、7’)は、前記ガルバニックめっき装置(1)の搬送方向に面取り(12、12’)を有する、
請求項1から12のいずれかに記載のガルバニックめっき装置(1)。
【請求項14】
前記ガルバニックめっき装置(1)は、少なくとも1つのめっきクランプ(3)を利用することを除いて、前記ガルバニックめっき装置(1)によって、搬送方向に処理される前記基板(8)を搬送するためのいかなる追加の搬送要素、例えば車輪軸またはローラも有さない、
請求項1から13のいずれかに記載のガルバニックめっき装置(1)。
【請求項15】
銅、スズ、金または銀を、印刷回路箔、フレキシブル印刷回路基板および組み込みチップ基板に堆積するための、請求項1から14のいずれかに記載のガルバニックめっき装置(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガルバニック金属、特に銅の堆積のための水平方向のガルバニックめっき加工ラインのガルバニックめっき装置に関するものであり、前記ガルバニックめっき装置は、処理される基板の搬送レベルの下に配置される少なくとも1つの第1のガルバニックめっきモジュールと、ガルバニックめっき装置の第1の側に配置される少なくとも1つのめっきクランプと、を備え、前記第1のガルバニックめっきモジュールは、少なくとも1つの電解液ノズルおよび少なくとも1つの陽極要素を、前記ガルバニックめっきモジュール内に備え、前記ガルバニックめっきモジュールは、陽極要素および電解液ノズルの上に配置される、複数の開口を有する少なくとも1つのカバーリングプレートをさらに備える。
【0002】
本発明は、ガルバニック金属、好ましくは銅を、印刷回路箔、フレキシブル印刷回路基板および組み込みチップ基板に堆積するためのこの種のガルバニックめっき装置の使用にさらに関するものである。
【背景技術】
【0003】
数十年前から、産業界は、金属、一般的に銅、スズまたはニッケルを、処理される基板に堆積するための水平方向のガルバニック(電流印加を意味する)加工ラインをすでに利用してきた。
【0004】
過去において、処理される基板は、現在と比較して相対的に厚く、固く、重かった。今日では、印刷回路基板領域のデバイスおよび加工ラインにおける世界的な小型化の技術が進行した結果、市場の要求はますます高まり、今まで加工されてきた何よりもはるかに薄型の処理される基板を安全に処理することも要求されている。厚さの減少の結果と同時に、処理される個々の基板の重量は非常に減少し、処理される基板のフレキシビリティ性は非常に増加する。
【0005】
これは、処理される基板を搬送および処理する際の完全に新規な技術的な挑戦につながる。25マイクロメートル以上の厚さを有する基板を求める市場要求は、前記薄型のフレキシブル基板が、搬送または加工ラインの搬送レベルの下または上の個々の搬送ローラまたは車輪軸の間でつぶされるか望ましくない進行によって損傷を受けることなく、前記薄型のフレキシブル基板を安全に搬送するという深刻な課題を生成する。
【0006】
このようにフレキシブル材料を誤って導くことを回避する試みは、従来から行われており、主要な方法は、クリップ、フックまたはクランプによって両側で処理される各基板を固定することであった。
【0007】
しかしながら、最初に基板が完全に伸ばされていても、加工ライン全体にわたってこの種の基板を安全に進行させることはしばしば困難である。この方法により生ずる1つの課題は、加工ラインを通り基板を依然加工している間の特定の期間の後、基板が曲がることである。これは、品質的に望ましくない金属付着の結果および分布につながる。最悪の場合には、曲げの影響が非常に強いので、基板は個々の搬送要素間でつぶされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術を考慮すると、本発明の目的は、加工の間、処理される薄型基板に損傷を与えることを回避でき、安全な搬送を確実にすることができる装置を提供することにあった。
【0009】
特に、本発明の目的は、薄型のフレキシブル基板が、一般的に加工ラインの搬送レベルの上下に配置される個々の搬送要素間で進行しうるのを回避できる装置を提供することにあった。
【0010】
さらに、特に本発明の目的は、従来の一般的な搬送要素、例えば車輪軸またはローラが用いられていないときでも、この種の処理される薄型のフレキシブル基板が、水平方向のガルバニックめっき加工ラインを通過する間、上流または下流に流れるのを回避できる装置を提供することにあった。
【0011】
さらに、本発明の目的は、多大な労力またはコストをかけずに、既存の加工ラインに修正可能な装置を提供することにあった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの目的、および、明確に述べられていないが、本願明細書において導入として述べられる関係から直ちに導出可能または識別可能なさらなる目的は、請求項1のすべての特徴を有するガルバニックめっき装置によって達成される。本発明の装置に対する適切な修正は、従属請求項2から14において保護されている。さらに、請求項15は、ガルバニック金属、好ましくは銅を、印刷回路箔、フレキシブル印刷回路基板および組み込みチップ基板に堆積するためのこの種の本発明の装置の使用に関するものである。
【0013】
したがって、本発明は、ガルバニック金属、特に銅の堆積のための水平方向のガルバニックめっき加工ラインのガルバニックめっき装置を提供し、前記ガルバニックめっき装置は、処理される基板の搬送レベルの下に配置される少なくとも1つの第1のガルバニックめっきモジュールと、ガルバニックめっき装置の第1の側に配置される少なくとも1つのめっきクランプと、を備え、前記第1のガルバニックめっきモジュールは、少なくとも1つの電解液ノズルおよび少なくとも1つの陽極要素を、前記ガルバニックめっきモジュール内に備え、前記ガルバニックめっきモジュールは、陽極要素および電解液ノズルの上に配置される、複数の開口を有する少なくとも1つのカバーリングプレートをさらに備え、ガルバニックめっき装置は、ガルバニックめっきモジュールのカバーリングプレートの表面上に配置される少なくとも1つの基板案内要素をさらに備え、前記基板案内要素は、ガルバニックめっきモジュールのカバーリングプレートの前記表面に関連する。
【0014】
それゆえ、加工の間、処理される薄型基板に損傷を与えることを回避でき、安全な搬送を確実にするガルバニックめっき装置を、従来は予測できなかった方法で提供することができる。
【0015】
さらに、本発明のガルバニックめっき装置は、薄型のフレキシブル基板が、一般的に加工ラインの搬送レベルの上下に配置される個々の搬送要素間で進行するのを回避し、これらの個々の搬送要素は、この装置では、少なくとも1つのクランプを搬送要素として適用することのみによって存在しない
【0016】
さらに、本発明のガルバニックめっき装置は、従来の一般的な搬送要素、例えば車輪軸またはローラが用いられていなくても、この種の処理される薄型のフレキシブル基板が、水平方向のガルバニックめっき加工ラインを通過する間、上流または下流に流れるのを回避する。
【0017】
さらに、本発明の装置は、多大な労力またはコストをかけずに、既存の加工ラインに容易に設置可能である。
【0018】
本発明のより完全な理解のために、添付の図面に関連して考慮される以下の発明の詳細な説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に従って、本発明のガルバニックめっき装置の第1のガルバニックめっきモジュールの概略的な側面斜視図を示す。
図2図1に示される本発明の実施形態に従って、本発明のガルバニックめっき装置の第1のガルバニックめっきモジュールの入口側の概略的な拡大側面斜視図を示す。
図3図1に示される本発明の実施形態に従って、本発明のガルバニックめっき装置の第1のガルバニックめっきモジュールの出口側の概略的な拡大側面斜視図を示す。
図4図1に示される本発明の実施形態に従って、本発明のガルバニックめっき装置の第1のガルバニックめっきモジュールにおいて用いられる蟻継ぎの輪郭を有する個々の基板案内要素の概略的な正面図を示す。
図5図1に示される本発明の実施形態に従って、本発明のガルバニックめっき装置の第1のガルバニックめっきモジュールおよび隣接する第3のガルバニックめっきモジュールの概略的な側面斜視図を示す。
図6図1に示される本発明の実施形態に従って、本発明のガルバニックめっき装置の第1のガルバニックめっきモジュールおよび隣接する第3のガルバニックめっきモジュールの概略的な正面斜視図を示す。
図7図7aは、本発明の好適実施形態において用いられる基板案内要素の概略的な側面斜視図を示し、図7bは、図7aに示される本発明の好適実施形態において用いられる基板案内要素の概略的な平面図を示す。
図8図8aは、図7aに示される本発明の好適実施形態において用いられる基板案内要素の概略的な断面斜視図を示し、図8bは、図7aに示される本発明の好適実施形態において用いられる基板案内要素の他の概略的な断面斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願明細書において、「ガルバニックめっき装置」という用語は、所望のガルバニック金属、例えば銅、スズ、金、銀等を、処理される基板表面に堆積することを意図するガルバニックめっき加工を実行するのに必要な装置を意味する。つまり、この種のガルバニックめっき装置は、ガルバニック金属、特に銅の堆積のための水平方向のガルバニックめっき加工ラインの「コア」ユニットを表す。前記ガルバニックめっき装置の前後に配置される一定数の前処理および後処理段階、例えば洗浄、乾燥、エッチング等が存在する。しかしながら、メインまたはコアのステップはガルバニックめっき加工ステップそのものを維持し、ガルバニックめっき加工ステップは、前記改良された本発明のガルバニックめっき装置において実行されるべきものである。
【0021】
本願明細書において、「ガルバニックめっきモジュール」という用語は、処理される基板の搬送レベルの下および/または上に配置される、ガルバニックめっき装置の装置要素またはサブユニットを意味する。モジュラーシステムのようなライン全体を設置することが有利であることは、従来の水平方向の加工ラインにおいてすでに示されてきた。これは、水平方向の加工ラインの個々の装置要素またはサブユニットにより容易にアクセスできるため、サービスおよび保守の問題を容易にする。
【0022】
このように、本発明のガルバニックめっき装置は、一方側のみのガルバニックめっき加工が望まれる場合、もっぱら搬送レベルの下に配置される、前記ガルバニックめっきモジュールの形の複数のこの種のサブユニットを備えることができ、または、両側のガルバニックめっき加工が望まれる場合、搬送レベルの両側に配置される、前記ガルバニックめっきモジュールの形の複数のこの種のサブユニットを備えることができる。
【0023】
ガルバニックめっきモジュールの形のこれらのサブユニットの各々は、電解液流動を処理される基板表面の方に提供し、ガルバニックめっきを実行するための少なくとも1つの電解液ノズルを備える。多くの場合、1つの電解液ノズルのみではなく、複数の個々の電解液ノズルが用いられ、処理される基板表面上の電解液の物質交換を増加させることによって、基板に堆積するガルバニック金属の均一性を改良する。
【0024】
ガルバニックめっきモジュールの形のこれらのサブユニットの各々は、必要な電界をガルバニックめっき加工ステップに提供するための少なくとも1つの陽極要素をさらに備える。
【0025】
ガルバニックめっきモジュールの形のこれらのサブユニットの各々は、陽極要素および電解液ノズルの上に配置される、複数の開口を有する少なくとも1つのカバーリングプレートをさらに備える。理論的には、前記カバーリングが全体的に取り除かれる場合が理想的である。この種のカバーリングプレートは、電界および電解液流動を妨げる。それゆえ、カバーリングプレートに最大(数)の開口を提供し、電界および電解液流動に対する悪影響を可能な限り低減することが試みられる。しかしながら、顧客は、これらのカバーリングプレートの適用を要求する。なぜなら、1つまたは複数の陽極要素自体に到達するまで、ガルバニックめっき装置の加工の間、意図せずに伝わって流れる、処理される基板によって生じうる電気短絡の危険を誰も犯したくないからである。このように、従来、最大の開口を有するこれらのカバーリングプレートを利用することが一般的であった。
【0026】
本発明によれば、ガルバニックめっき装置の第1の側に配置される少なくとも1つのめっきクランプが常に存在し、めっきクランプは、ガルバニックめっき装置全体にわたり、処理される各基板を搬送する目的を有する。多くの場合、この目的のために複数のめっきクランプを有することが好ましい。この種の1つまたは複数のめっきクランプは、また、必要な電気的接触を処理される各基板に提供している。
【0027】
理論的には、ガルバニックめっき装置の反対側にもまた、少なくとも1つのめっきクランプまたは一連のめっきクランプを設置し、処理される薄型基板を伸ばし、つぶされることによる損傷を回避することが考えられうる。しかしながら、現在のところ、両側のめっきクランプによって処理される個々の基板のこの種の搬送を同期させることはできない。この場合には、処理される基板表面の方への電解液流動が非常に高い力を生成するので、両側のめっきクランプが作用しうるという課題も存在する。クランピングが両側において十分に強い場合、処理される薄型基板が破壊されるか、または、処理される基板は、少なくとも1つの側において両方のめっきクランプの少なくとも1つに対する接触を失う。これらの技術的な障害の他に、第2の一連のめっきクランプは、相当な追加の費用も生成し、多くの場合には利用できないより大きい建設空間もさらに必要とする。
【0028】
本願明細書において、「基板案内要素」という用語は、処理される基板が、意図的でも望ましくもない動きによって損傷を受けることなく、ガルバニックめっき装置によって、処理される基板の搬送をサポートすることが要求、意図または想定される要素を意味する。
【0029】
この種の本発明の基板案内要素は、それぞれのガルバニックめっきモジュールのカバーリングプレートの表面上に配置され、前記基板案内要素は、ガルバニックめっきモジュールのカバーリングプレートの前記表面に関連する。
【0030】
ガルバニックめっきモジュールが、処理される基板の搬送レベルの下のみに配置される場合、一方側のガルバニックめっき加工が生じ、前記基板は、少なくとも1つのめっきクランプによって搬送されると想定され、めっきクランプは、処理される基板を一方側で下から挿入される電解液の表面でクランプする。この種のめっき加工では、基板は、下側のガルバニック金属めっき層を受け取る。
【0031】
しかしながら、多くの場合、基板はこのように作用せず、このように作用しなかったことは、電解液内の意図的でも望ましくもない下方向への動きによって気付かれうる。次に、本発明の基板案内要素は、ガルバニックめっき装置によるそれらの搬送の間、基板を再び上方へ導くように機能する。本願明細書において、前記基板案内要素は、例えばローラまたは車輪軸のように、処理される基板を能動的に搬送することはない。基板案内要素は、基板の搬送をサポートするためのみに機能し、フレキシブル基板は、それらの理想的な搬送経路へ戻って導かれ、このことは、一方側のガルバニック処理の場合、基板が電解液浴レベルの表面に戻ることを意味する。
【0032】
この種の一方側の処理のための好適実施形態では、この種の基板案内要素の上側表面と、処理される基板の下面と、の間の距離は、最小化される。なぜなら、処理される基板は、非常に重いおよび/または非常にフレキシブルであるので、下から永続的なサポートなしでは、電解液の表面上に維持されないからである。次に、本発明の基板案内要素は、前記基板を能動的に搬送することなく、下からの連続的なサポートを処理される基板の搬送のために提供する。基板案内要素は、ガルバニックめっき装置によって、クランプによる搬送の間、基板の下側が基板案内要素の上表面の上で滑っているような方法で基板のみを導く。最終的に、この種の本発明の好適実施形態では、基板案内要素の材料は、慎重に選択され、摩擦によって生じる、処理される基板の表面上の損傷および粒子汚染を回避しなければならない。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態では、めっきクランプを補助するための追加の搬送要素(例えば小さい車輪)が挿入可能であり、追加の搬送要素は、それぞれのガルバニックめっきモジュールのカバーリングプレート内に配置および設置される。しかし、この種の追加の搬送要素は、一方では陽極要素と電解液ノズルとの間に配置され、他方では処理される基板に配置される。それゆえ、この種の追加の搬送要素は、電界および処理される基板の表面の方への電解液流動を再び妨げる。それゆえ、好ましくは、ガルバニックめっき装置は、少なくとも1つのめっきクランプを利用することを除いて、ガルバニックめっき装置によって、搬送方向に処理される基板を搬送するためのいかなる追加の搬送要素、例えば車輪軸またはローラも有さない。
【0034】
一実施形態では、ガルバニックめっき装置は、処理される基板の搬送レベルの上に配置される少なくとも1つの第2のガルバニックめっきモジュールをさらに備え、前記第2のガルバニックめっきモジュールは、少なくとも1つの電解液ノズルおよび少なくとも1つの陽極要素を、前記ガルバニックめっきモジュール内に備え、前記第2のガルバニックめっきモジュールは、陽極要素および電解液ノズルの下に配置される、複数の開口を有する少なくとも1つのカバーリングプレートをさらに備え、ガルバニックめっき装置は、前記第2のガルバニックめっきモジュールのカバーリングプレートの表面上に配置される少なくとも1つの基板案内要素をさらに備え、前記基板案内要素は、第2のガルバニックめっきモジュールのカバーリングプレートの前記表面に関連する。
【0035】
ここで、ガルバニックめっきモジュールは、処理される基板の搬送レベルの下および上に配置され、2つの側のガルバニックめっき加工を導き、前記基板は、処理される基板を一方側でクランプする少なくとも1つのめっきクランプによって、下および上から同時に挿入される電解液を通り、依然搬送される。この種のめっき加工では、基板は、下側および上側のガルバニック金属めっき層を同時に受け取る。
【0036】
しかしながら、多くの場合、基板はこのように作用せず、このように作用しなかったことは、電解液内の意図的でも望ましくもない動きによって気付かれうる。処理される基板が、陽極のいわゆる「ゼロライン」に対応する搬送レベルで搬送される場合、最も効率的な方法である。本願明細書において、「ゼロライン」は、搬送レベルの上の陽極要素のアノード下表面と、処理される基板の搬送レベルの下の陽極要素の上表面と、の間の距離の中央を意味する。
【0037】
それゆえ、本発明の好適実施形態では、処理される基板の搬送レベルの下のそれぞれのガルバニックめっきモジュールの基板案内要素および処理される基板の搬送レベルの上のそれぞれのガルバニックめっきモジュールの基板案内要素は、両者の間で、上述した「ゼロライン」に沿って、ガルバニックめっき装置によって、処理される基板の搬送をサポートする。
【0038】
また、本願明細書において、前記基板案内要素は、処理される基板を能動的に搬送することはない。基板案内要素は、基板の搬送をサポートするという目的のみを果たし、フレキシブル基板は、それらの理想的な搬送経路へ戻って導かれる。
【0039】
この種の2つの側の処理のためのより好適な実施形態では、搬送レベルの下のこの種の基板案内要素の上表面と処理される基板の下表面との間の距離は、最小化される。なぜなら、処理される基板が非常に重いおよび/または非常にフレキシブルであるので、下から永続的なサポートなしに、電解液内のいわゆる「ゼロライン」上に維持されないからである。次に、処理される基板の搬送レベルの下に配置される、それぞれのガルバニックめっきモジュールの本発明の基板案内要素は、前記基板を能動的に搬送することなく、下からの連続的なサポートを処理される基板の搬送のために提供する。前記基板案内要素は、ガルバニックめっき装置によって、クランプによる搬送の間、基板の下側が前記基板案内要素の上表面の上で滑っているような方法で基板のみを導く。最終的に、この種の本発明のより好適な実施形態では、前記基板案内要素の材料は、慎重に選択され、摩擦によって生じる、処理される基板の表面上の損傷および粒子汚染を回避しなければならない。この種のさらなる好適実施形態では、処理される基板の上表面と、搬送レベルの上に配置されるそれぞれのガルバニックめっきモジュールの基板案内要素の表面と、の間には、依然特定の距離が存在し、処理される基板の「ゼロライン」からのわずかな制御された偏差を許容する。これは、ガルバニックめっき装置によって基板を搬送できるのに必要であると判明した。理想的には、搬送レベルの上に最小距離を選択し、「ゼロライン」からのいかなる偏差も回避するであろう。しかし、実際には、これは不可能である。残念なことに、処理される基板は、この種の高精度な方法で加工することはできない。
【0040】
当業者であっても、それぞれのガルバニックめっきモジュールのカバーリングプレートを拡大することによって、本発明の基板案内要素の利用を単に回避することはできないであろう。処理される基板の表面とカバーリングプレートの表面との間の最小距離が到達され、理論的には、基板が「ゼロライン」に沿って搬送可能であっても、ガルバニックめっきの結果は、ガルバニックめっきモジュールのそれぞれの陽極要素の電界の非常に高い不均等性のため、ガルバニックめっき加工および顧客要求にとって絶対的に不適切である。
【0041】
一実施形態では、第1のガルバニックめっきモジュールおよび/または第2のガルバニックめっきモジュールの基板案内要素は、対応するガルバニックめっきモジュールのそれぞれのカバーリングプレートの表面に、少なくとも部分的に永久に固定される。
【0042】
本発明の好適実施形態では、第1のガルバニックめっきモジュールおよび/または第2のガルバニックめっきモジュールの基板案内要素は、対応するガルバニックめっきモジュールのそれぞれのカバーリングプレートの表面に着脱可能に接続される。
【0043】
これは、保守理由のために、または、設置されたガルバニックめっき装置を修正し、異なる厚さの処理される基板を加工するために、基板案内要素が容易に置換可能であるという利点を提供する。これは、2つの側の処理のために、「ゼロライン」に沿って、異なる厚さの基板を加工するのに特に有利である。処理される基板の厚さが変化する場合、基板案内要素からの距離もまた変化させなければならない。
【0044】
一実施形態では、第1のガルバニックめっきモジュールおよび/または第2のガルバニックめっきモジュールのカバーリングプレートおよびそれらのそれぞれの基板案内要素は、非金属材料から作られ、好ましくはポリマー材料から作られ、より好ましくはPTFE、PEおよびPPから作られる。
【0045】
PTFEは、比較的柔軟であり、この柔軟性は、処理される基板のありうる損傷を回避するのに役立つため、特に好ましい。
【0046】
基板案内要素は、非金属材料から構成され、基板案内要素の表面に堆積されるガルバニック金属の望ましくない追加のめっきを回避しなければならない。基板案内要素自体を強固にするための金属コアは、ガルバニックめっきモジュールのそれぞれの陽極要素の電界ラインに影響を及ぼさないことが確実である場合に限り可能である。同時に、基板案内要素は、電解液ノズルまたは陽極要素をカバーすべきではない。
【0047】
一実施形態では、第1のガルバニックめっきモジュールおよび/または第2のガルバニックめっきモジュールの各基板案内要素は、それらの底側に少なくとも2つのプラグをさらに備え、少なくとも2つのプラグは、対応するガルバニックめっきモジュールのそれぞれのカバーリングプレートのそれぞれの凹部またはホール内に適合する。
【0048】
プラグは、例えば接着によって、交換可能にまたは永久に固定することができる。
【0049】
一実施形態では、第1のガルバニックめっきモジュールおよび/または第2のガルバニックめっきモジュールのカバーリングプレートは、基板案内要素ごとにそれぞれの凹部をさらに備え、それぞれの凹部内に、基板案内要素は、特別に適合され(custom−fit)、形状結合方法で挿入可能である。
【0050】
本発明の好適実施形態では、第1のガルバニックめっきモジュールおよび/または第2のガルバニックめっきモジュールの凹部によって、蟻継ぎの輪郭を有する基板案内要素の挿入が可能になる。
【0051】
これは、2つの異なる非金属材料、好ましくはポリマー材料が、カバーリングプレートのためにおよび基板案内要素のために適用可能であり、着脱可能に接続された部分が解放されることなく、両方の材料の異なる熱膨張率を利用するという利点を提供する。
【0052】
一実施形態では、ガルバニックめっき装置の第1のガルバニックめっきモジュールおよび/または第2のガルバニックめっきモジュールは、複数の線形の基板案内要素を備え、基板案内要素は、それぞれのガルバニックめっきモジュール内で処理される基板の搬送方向に互いに平行に伸びる。
【0053】
好適な代替実施形態では、ガルバニックめっき装置の第1のガルバニックめっきモジュールおよび/または第2のガルバニックめっきモジュールは、複数の線形の基板案内要素を備え、基板案内要素は、処理される基板の搬送方向に対して正の角で、互いに平行に伸び、好ましくは、前記正の角は、両方のガルバニックめっきモジュールに対して同一である。
【0054】
これは、電解液のための少なくとも1つの放出口がガルバニックめっきモジュールの第1の側の反対側にある場合、処理される基板は、電解液流動によって、ひとりでに締め付けられる(self−tighten)というさらなる利点を提供する。
【0055】
一実施形態では、ガルバニックめっき装置は、処理される基板の搬送レベルの下に、第1のガルバニックめっきモジュールに隣接して配置される少なくとも1つの第3のガルバニックめっきモジュールをさらに備え、第1および第3のガルバニックめっきモジュールの両方は、複数の線形の基板案内要素を備え、基板案内要素は、それぞれのガルバニックめっきモジュール内で処理される基板の搬送方向に対して正の角で、互いに平行に伸び、第1のガルバニックめっきモジュールにおける正の角は、第3のガルバニックめっきモジュールにおける正の角と異なる。
【0056】
一実施形態では、ガルバニックめっき装置は、処理される基板の搬送レベルの下に、第1のガルバニックめっきモジュールに隣接して配置される少なくとも1つの第3のガルバニックめっきモジュールをさらに備え、処理される基板の搬送レベルの上に互いに隣接して配置される少なくとも1つの第2のガルバニックめっきモジュールおよび第4のガルバニックめっきモジュールをさらに備え、第1のガルバニックめっきモジュール、第2のガルバニックめっきモジュール、第3のガルバニックめっきモジュールおよび第4のガルバニックめっきモジュールは、各々、複数の線形の基板案内要素を備え、基板案内要素は、それぞれのガルバニックめっきモジュール内で処理される基板の搬送方向に対して正の角で、互いに平行に伸び、好ましくは、第1のガルバニックめっきモジュールおよび第2のガルバニックめっきモジュールにおける正の角は、第3のガルバニックめっきモジュールおよび第4のガルバニックめっきモジュールにおける正の角と異なる。
【0057】
好適実施形態では、搬送レベルの上に配置されるガルバニックめっきモジュールの基板案内要素は、まっすぐで平坦なエッジを有する。これにより、ガルバニックめっき加工ラインのユーザは、前記ラインの搬送レベルの上のそれぞれの上部のガルバニックめっきモジュールに容易にアクセスでき、保守、交換および/または修理をするのが容易になる。
【0058】
一実施形態では、処理される基板の搬送レベルの下および/または上のガルバニックめっきモジュールの各基板案内要素は、ガルバニックめっき装置の搬送方向に面取りを有する。
【0059】
これは、処理される基板に損傷を与える危険をさらに最小化する。
【0060】
好適実施形態では、処理される基板の搬送レベルの下および/または上のガルバニックめっきモジュールの少なくとも1つの基板案内要素は、それぞれの基板案内要素の上側から底側まで下方に進む少なくとも1つの開口を備える。
【0061】
これは、カバーリングプレートの、電界および電解液流動に対する悪影響をさらに減少することが必要な用途のために有利である。最大の開口を有するカバーリングプレートを提供する他に、特別な用途のためのこの種の好適実施形態では、基板案内要素自体は、基板案内要素内の少なくとも1つの開口を提供し、陽極要素および電解液ノズルのカバーをさらに最小化する。開口のない基板案内要素が、この種の少なくとも1つの開口を有する基板案内要素によって置換されればされる程、前記利点はますます増加する。
【0062】
驚くべきことに、この種の開口を有する基板案内要素を備えるこの種の本発明のガルバニックめっきモジュールの充填性能は、特に、シリコン貫通ビア(TSV)のブラインドホール充填およびXめっきのためにさらに著しく改良されることが見出された。
【0063】
本発明のさらなる好適実施形態では、処理される基板の搬送レベルの下および/または上のすべてのガルバニックめっきモジュールのすべての基板案内要素は、それぞれの基板案内要素の上側から底側まで下方に進む少なくとも1つの開口を備える。
【0064】
基板案内要素が本発明の目的を依然達成できる限り、すなわち、ガルバニックめっき装置によって、処理される基板を確実に安全に搬送できる限り、本発明のこれらの好適実施形態の基板案内要素内のこの種の開口のサイズおよび寸法は、自由に選択可能である。それぞれの開口は、以下で配置される複数の円形開口として例示的に提供可能であり、これにより複数の貫通導管を提供する。
【0065】
本発明は、ガルバニック金属、好ましくは銅を、印刷回路箔、フレキシブル印刷回路基板および組み込みチップ基板に堆積するためのこの種の本発明のガルバニックめっき装置の使用にさらに関するものである。
【0066】
本願明細書において、「入口側」という用語は、水平方向の加工ラインのガルバニックめっき装置の側であって、処理される基板がその後進行するガルバニックめっきモジュールに入る前に、処理される基板が、ガルバニックめっきモジュールにおける搬送領域内の搬送方向に到着する側を意味する。
【0067】
本願明細書において、「出口側」という用語は、水平方向の加工ラインのガルバニックめっき装置の側であって、処理される基板がすでに進行したガルバニックめっきモジュールを出た後に、処理される基板が、ガルバニックめっきモジュールにおける搬送領域内の搬送方向に到着する側を意味する。
【0068】
このように、本発明は、水平方向の加工ラインによって処理される薄型(25マイクロメートル以上)のフレキシブル基板に損傷を与えることなく搬送するという課題に対処する。処理される薄型のフレキシブル基板は、搬送レベルの下または上に配置されている個々の搬送要素の間で、上流または下流に流れることはない。
【0069】
以下の非限定的な例は、本発明の実施形態を示し、本発明の理解を容易にするために提供されるが、本願明細書に添付される請求項によって定義される本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0070】
以下、図面に戻り、図1は、本発明の好適実施形態に従って、ガルバニック金属、特に銅の堆積のための水平方向のガルバニックめっき加工ラインのガルバニックめっき装置1の概略的な側面斜視図を示す。
【0071】
本願明細書において、前記ガルバニックめっき装置1は、処理される基板(図示せず)の搬送レベルの下に配置される第1のガルバニックめっきモジュール2と、ガルバニックめっき装置1の第1の側4に配置される少なくとも1つのめっきクランプ(図示せず)と、を備える。
【0072】
第1のガルバニックめっきモジュール2は、複数の電解液ノズルおよび複数の陽極要素を、前記ガルバニックめっきモジュール2内に備え、前記ガルバニックめっきモジュール2は、陽極要素および電解液ノズルの上に配置される、複数の開口6を有するカバーリングプレート5をさらに備える。
【0073】
ガルバニックめっき装置1は、複数の線形の基板案内要素7を有する第1のガルバニックめっきモジュール2をさらに備え、基板案内要素7は、処理される基板(図示せず)の搬送方向に対して正の角で、互いに平行に伸びている。
【0074】
複数の基板案内要素7は、ガルバニックめっきモジュール2のカバーリングプレート5の表面上に配置され、前記基板案内要素7は、ガルバニックめっきモジュール2のカバーリングプレート5の前記表面に関連し、基板案内要素7は、それぞれのカバーリングプレート5の表面に、着脱可能に接続される。
【0075】
第1のガルバニックめっきモジュール2のカバーリングプレート5は、基板案内要素7ごとに、それぞれの凹部を備え、基板案内要素7は、凹部内に特別に適合され、形状結合方法で挿入可能である。ここで、第1のガルバニックめっきモジュール2の凹部によって、蟻継ぎの輪郭を有する基板案内要素7の挿入が可能になる。ここで、前記基板案内要素7は、ガルバニックめっき装置1の搬送方向に面取り12を有する。第1のガルバニックめっきモジュール2の前記基板案内要素7およびそれぞれのカバーリングプレート5は、ポリマー材料から作られ、基板案内要素7は、PTFEから作られる。
【0076】
図示されるガルバニックめっき装置1は、少なくとも1つのめっきクランプ(図示せず)を利用することを除いて、ガルバニックめっき装置1によって、搬送方向に処理される基板(図示せず)を搬送するためのいかなる追加の搬送要素、例えば車輪軸またはローラも有さない。
【0077】
第1のガルバニックめっきモジュールの入口側10および第1のガルバニックめっきモジュールの出口側11が示される。
【0078】
ガルバニックめっき装置1の第1の側4において、処理されるそれぞれの基板に接触し、搬送するための少なくとも1つのめっきクランプは、本発明の理解を容易にするために(図1には)示されない。本発明のこの特定の実施形態における陽極要素は、まっすぐに伸びる。
【0079】
図2は、図1に示される本発明の実施形態に従って、本発明のガルバニックめっき装置1の第1のガルバニックめっきモジュール2の入口側10の概略的な拡大側面斜視図を示す。
【0080】
図3は、図1に示される本発明の実施形態に従って、本発明のガルバニックめっき装置1の第1のガルバニックめっきモジュール2の出口側11の概略的な拡大側面斜視図を示す。
【0081】
図4は、図1に示される本発明の実施形態に従って、本発明のガルバニックめっき装置1の第1のガルバニックめっきモジュール2において用いられる蟻継ぎの輪郭を有する個々の基板案内要素7の概略的な正面図を示す。
【0082】
図5は、図1に示される本発明の実施形態に従って、本発明のガルバニックめっき装置1の第1のガルバニックめっきモジュール2および隣接する第3のガルバニックめっきモジュール9の概略的な側面斜視図を示す。
【0083】
ここで、さらに示されるガルバニックめっき装置1は、処理される基板(図示せず)の搬送レベルの下に、第1のガルバニックめっきモジュール2に隣接して配置される第3のガルバニックめっきモジュール9をさらに備え、第1のガルバニックめっきモジュール2および第3のガルバニックめっきモジュール9の両方は、複数の線形の基板案内要素7を備え、基板案内要素7は、それぞれのガルバニックめっきモジュール2、9内で処理される基板(図示せず)の搬送方向に対して正の角で、互いに平行に伸び、第1のガルバニックめっきモジュール2における正の角は、第3のガルバニックめっきモジュール9における正の角と異なる。
【0084】
図6は、図1に示される本発明の実施形態に従って、本発明のガルバニックめっき装置1の第1のガルバニックめっきモジュール2および隣接する第3のガルバニックめっきモジュール9の概略的な正面斜視図を示す。
【0085】
ここで、第1のガルバニックめっきモジュール2の第1の側4の3つのめっきクランプ3がさらに示され、めっきクランプ3は、処理される基板8をクランプする。
【0086】
図7aは、本発明の好適実施形態において用いられる基板案内要素7’の概略的な側面斜視図を示す。ここで、ガルバニックめっき装置の例示的な基板案内要素7’が示され、基板案内要素7’は、基板案内要素7’の上側から底側まで下方に進む複数の円形開口13’を基板案内要素7’内に備える。図7aから容易に理解できるように、基板案内要素7’は一端に面取り12’を有する。基板案内要素内の複数の開口13’は、一定の直径を有する貫通導管の形で提供される。
【0087】
この好適実施形態は、基板案内要素7’が、本発明の課題を解決するのに、すなわち、ガルバニックめっき装置によって、処理される基板の安全な搬送を確実にするのに依然不適当になることなく、少なくとも1つの開口13’を有する変更された基板案内要素7’を提供する1つの可能性を示す。
【0088】
この種の複数の開口13’は、基板案内要素7’自体のサイズおよび寸法が不変のままであることが意図される場合、安定性の理由のために、基板案内要素7’の全体にわたって伸びる1つの単一の開口13’と比較して好ましい。
【0089】
図7bは、図7aに示される本発明の好適実施形態において用いられる基板案内要素の概略的な平面図を示す。
【0090】
図8aは、図7aに示される本発明の好適実施形態において用いられる基板案内要素の概略的な断面斜視図を示す。
【0091】
図8bは、図7aに示される本発明の好適実施形態において用いられる基板案内要素の他の概略的な断面斜視図を示す。
【0092】
図8aおよび図8bの両方は、明白な方法で、基板案内要素7’内の複数の開口13’が一定の直径を有する貫通導管の形で提供されることを示す。
【0093】
本発明の原理が特定の実施形態に関して説明され、例示のために提供されてきたが、そのさまざまな変更態様が、明細書を読むと、当業者にとって明らかになることを理解されたい。それゆえ、本願明細書において開示される本発明が、添付の請求項の範囲内の変更態様をカバーすることを意図していることを理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【符号の説明】
【0094】
1 ガルバニックめっき装置
2 第1のガルバニックめっきモジュール
3 めっきクランプ
4 第1のガルバニックめっきモジュールの第1の側
5 第1のガルバニックめっきモジュールのカバーリングプレート
6 第1のガルバニックめっきモジュールのカバーリングプレートの開口
7、7’ 基板案内要素
8 処理される基板
9 第3のガルバニックめっきモジュール
10 第1のガルバニックめっきモジュールの入口側
11 第1のガルバニックめっきモジュールの出口側
12、12’ 基板案内要素の面取り
13’ 基板案内要素7’内の開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b