(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被検出体に対して線状光を照射すると共に該線状光の照射箇所を移動させながら、前記被検出体からの前記線状光の反射光の状態を視認することにより、前記被検出体の傷又は歪等の不良箇所を検出するために用いる線状光照射器具であって、
前後方向の軸線に交差する方向に突出したグリップ部を有するフレームと、
前記フレームに設けた、複数のラインレーザ光を前記線状光として前記フレーム前方へ向けて並列に射出することができるラインレーザ投光器と、
前記フレームに設けた、前記ラインレーザ投光器の電源部並びに該電源部から前記ラインレーザ投光器にラインレーザ光発生用の電力を供給するための電路及び該電路を断続するスイッチ手段とを備え、
前記ラインレーザ投光器は、
前記ラインレーザ光毎のラインレーザ光源と、
前記複数のラインレーザの相互間隔を変更する間隔変更機構とを備えることを特徴とする線状光照射器具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、例えば事故により外殻に凹みが生じた自動車を板金作業により修理する場合のように、被検出体を移動することなく不良箇所の検出が必要であり、被検出体の形状が比較的複雑で不良発生箇所や不良状態が被検出体毎に多岐にわたる場合には、線状光を被検出体の所要位置に照射するために、その照射箇所に応じて線状光照射器具を移動させる必要がある。しかし前述の直管蛍光灯を用いた線状光照射器具は、取扱いに不便であり、被検出体の必要な箇所に線状光を的確に照射するのが難しいため、作業能率を大きく低下させる原因になる。
【0005】
また蛍光灯を光源とする線状照射器具は、塗装面だと反射率が比較的大きいため線状光の照射箇所が光って明瞭に見えるが、塗装を剥した下地だと反射率が小さくなるため反射光が弱く、被検出体の表面に照射された線状光が反射して被検出体の表面に視認される光のライン(輪郭線)が不明瞭になり、作業者が板金の凹み具合を把握し難くい。また不良箇所の写真を撮って残しておく際にも、撮影した輪郭線が不明瞭になる場合が多い。
更に、線状光の照射による反射光を不良解析機器に受けて自動的に不良箇所を検出する場合は、線状光は1つで足りるかも知れないが、作業者が線状光の反射光を見て不良の有無や不良具合を判断する場合は、1つの線状光により不良箇所を的確に検出する作業は、正常箇所及び不良箇所の各輪郭線を同時に比較することができないので難しい。
【0006】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一は、被検出体を移動することなく、その表面の不良箇所を検出する場合に好適な線状光照射器具を提供することにある。
【0007】
本発明の第1の側面に係る線状光照射器具によれば、被検出体に対して線状光を照射すると共に該線状光の照射箇所を移動させながら、前記被検出体からの前記線状光の反射光の状態を視認することにより、前記被検出体の傷又は歪等の不良箇所を検出するために用いる線状光照射器具であって、前後方向の軸線に交差する方向に突出したグリップ部を有するフレームと、前記フレームに設けた、複数のラインレーザ光を前記線状光として前記フレーム前方へ向けて並列に射出することができるラインレーザ投光器と、前記フレームに設けた、前記ラインレーザ投光器の電源部並びに該電源部から前記ラインレーザ投光器にラインレーザ光発生用の電力を供給するための電路及び該電路を断続するスイッチ手段とを備えるように構成することができる。
【0008】
前記構成により、例えば自動車の塗装面の下地のように表面の光の反射率が比較的小さい被検出体であっても、複数のラインレーザ光を被検出体へ並列に照射することにより被検出体の表面に明瞭な複数の輪郭線を生じさせることができると共に、並列する線状光の照射によって被検出体の表面に現れる輪郭線同士を見比べ、その曲率の変化や、不連続性等を的確に把握することができる。そして正常な部位の輪郭線と不良箇所の輪郭線とは、その曲率等の違いが際立つので、作業者は、よりはっきりと不良箇所を認識することができ、能率的に検出作業を行うことができる。また輪郭線により不良の状態を把握することができるので、修理範囲が明確となり、ユーザの修理精度がよくなり、仕上がりのよい修理ができるようになる。さらに、フレームに電源部が設けられているので、線状光照射器具を携帯することができ、電源のないところでも作業することができる。また、グリップ部を持って作業者の所望の位置を照射することができる。さらにまた全体が拳銃状のコンパクトな形状であるので狭い作業場所でも使用することができる。
【0009】
本発明の第2の側面に係る線状光照射器具によれば、前記スイッチ手段は前記グリップを片手で握った状態でその片手の指で操作できる位置に設けることができる。
【0010】
前記構成により、片手で線状光の照射を随時断続することができ、被検出体の所要位置に自在にかつ的確に照射することができるようになるので、作業能率が更に向上し、かつ電源部の電池の不必要な消耗を抑えることが可能になる。
【0011】
本発明の第3の側面に係る線状光照射器具によれば、被検出体に対して線状光を照射すると共に該線状光の照射箇所を移動させながら、前記被検出体からの前記線状光の反射光の状態を視認することにより、前記被検出体の傷又は歪等の不良箇所を検出するために用いる線状光照射器具であって、前後方向の軸線に交差する方向に突出したグリップ部を有するフレームと、前記フレームに設けた、複数のラインレーザ光を前記線状光として前記フレーム前方へ向けて並列に射出することができるラインレーザ投光器と、前記フレームに設けた、前記ラインレーザ投光器の電源部並びに該電源部から前記ラインレーザ投光器にラインレーザ光発生用の電力を供給するための電路及び該電路を断続するスイッチ手段とを備え、前記ラインレーザ投光器は、前記ラインレーザ光毎のラインレーザ光源と、前記複数のラインレーザの相互間隔を変更する間隔変更機構とを備えるように構成することができる。
【0012】
前記構成によれば、間隔変更機構によりラインレーザ光の相互間隔を変更することができるので、不良箇所の状態を適切に把握するために不良箇所の状態に応じて各々ラインレーザ光の相互間隔が異なるいくつかの線状光照射器具を予め準備しておく必要がなくなり、経済的であると共に、例えば板金作業中に作業者が、その場で不良箇所の状態に応じた所要の間隔のラインレーザ光を得ることができるので、作業能率が向上する。
【0013】
本発明の第4の側面に係る線状光照射器具によれば、前記間隔変更機構は、複数のラインレーザ光源を個々に保持する可動保持体と、フレームに固設すると共に前記ラインレーザ光に交差する方向に伸長した、前記可動保持体を案内する案内面と、可動保持体を案内面上の所要位置に固定する固定手段と、を備えることができる。
【0014】
本発明の第5の側面に係る線状光照射器具によれば、前記間隔変更機構は、前記複数のラインレーザ光のうちの一つのラインレーザ光のラインレーザ光源を保持する、前記フレームに固設された固設保持体と、前記一つのラインレーザ光以外のラインレーザ光のラインレーザ光源を個々に保持する可動保持体と、前記フレームに固設すると共に前記ラインレーザ光に交差する方向に伸長した、前記可動保持体を案内する案内面と、前記可動保持体を案内面上の所要位置に位置付ける位置決め機構とを備えることができる。
【0015】
本発明の第6の側面に係る線状光照射器具によれば、前記間隔変更機構は、前記複数のラインレーザ光のうちの一つのラインレーザ光のラインレーザ光源を保持する、前記フレームに固設された固設保持体と、前記一つのラインレーザ光以外のラインレーザ光のラインレーザ光源を個々に保持する可動保持体と、同じ長さの2つの揺動腕、並びに前記揺動腕の一端を個々に枢着する、前記フレームに固設した2つの枢着部、及び前記揺動腕の各々の他の一端を枢着する、前記可動保持体に固設した2つの枢着部からなる平行リンク機構と、前記揺動腕の姿勢を所要の回転角度に保持する姿勢保持機構とを備えることができる。
【0016】
本発明の第7の側面に係る線状光照射器具によれば、前記間隔変更機構は、複数のラインレーザ光のうち一つのライレーザ光のラインレーザ光源を保持する、前記フレームに固定した固設保持体と、前記一つのラインレーザ光以外のラインレーザ光のラインレーザ光源を個々に保持すると共に、前記フレームに枢着した可動保持体と、前記可動保持体の揺動姿勢を所要の姿勢に保持する姿勢保持機構とを備えることができる。
【0017】
前記構成によれば、姿勢保持機構により可動保持体の姿勢を変えることにより、ラインレーザ光の射出方向を広範囲に変えることができ、1台の線状光照射器具により狭幅から広幅の並列するラインレーザ光を得ることができ、かつラインレーザ投光器の占有空間を小さくすることができる。
【0018】
本発明の第8の側面に係る線状光照射器具によれば、被検出体に対して線状光を照射すると共に該線状光の照射箇所を移動させながら、前記被検出体からの前記線状光の反射光の状態を視認することにより、前記被検出体の傷又は歪等の不良箇所を検出するために用いる線状光照射器具であって、前後方向の軸線に交差する方向に突出したグリップ部を有するフレームと、前記フレームに設けた、複数の直交するラインレーザ光を前記線状光として前記フレーム前方へ向けて格子状に射出することができるラインレーザ投光器と、前記フレームに設けた、前記ラインレーザ投光器の電源部並びに該電源部から前記ラインレーザ投光器にラインレーザ光発生用の電力を供給するための電路及び該電路を断続するスイッチ手段とを備えるように構成することができる。
【0019】
前記構成によれば、被検出体表面の上下方向の変形具合だけでなく左右方向の変形具合も同時に把握することができ、不良箇所検出作業の時間短縮を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための線状光照射器具を例示するものであって、本発明はそれらを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(第1の実施例)
【0022】
図1から
図3を参照して本発明の第1の実施例を説明する。
図1は、3つの平行な線状光Lを、被検出体Bの表面に照射した状態を模型的に示している。線状光Lは、
図1にハッチングで示すように平面状の光線の束であり、被検出体Bに当たると、その表面で反射される。このとき被検出体Bの、線状光Lが当たった部分を、斜方から見ると、その部分は、他の部分より明るい線Cになる。以降、この線Cを輪郭線と呼ぶことにする。本発明では、ラインレーザ光を線状光Lとして採用しており、ラインレーザ光は、半導体レーザ素子からなるレーザ光源1から射出されたレーザ光線L0をレンズ2で平面状に拡散させて線状光Lにしたものである。
図1では、3つの線状光Lは互いに平行に並んでおり、被検出体Bの表面は平面である。それゆえ各輪郭線Cは直線となり、3つの輪郭線Cは互いに平行に並んでいる。なおラインレーザ光は厳密には薄板状であり幾分の厚みを有しているが、ここでは厚みのない観念上の平面として取り扱っている。
【0023】
図2及び
図3に示す線状光照射器具10は、
図1に示すように被検出体Bに対して線状光Lを照射すると共に該線状光Lの照射箇所を移動させながら、被検出体Bからの線状光Lの反射光つまり輪郭線Cの状態を視認することにより、被検出体Bの傷又は歪等の不良箇所を検出するために用いる。
【0024】
線状光照射器具10は、前後方向の軸線に交差する方向に突出したグリップ部11を有するフレーム12と、フレーム12に設けた、複数のラインレーザ光を線状光Lとしてフレーム12の前方へ向けて並列に射出することができるラインレーザ投光器13と、フレーム12に設けた、ラインレーザ投光器13の電源部14並びに該電源部14からラインレーザ投光器13にラインレーザ光発生用の電力を供給するための電路15及び該電路15を断続するスイッチ手段16とを備えている。
【0025】
ラインレーザ投光器13は、
図1に示す三組のレーザ光源1及びレンズ2と、
図2及び
図3に示すように、それらを収容した筺体3とを備える。筐体3はフレーム12の先端に設けた穴に嵌めて止めネジ17で固定してある。フレーム12の前後方向は
図2の左右方向であり、中央のレーザ光源1から照射されるレーザ光線L0の光軸がフレーム12の前後方向の軸線と同軸になるように、かつ
図2の左方へラインレーザ光が射出されるようにフレーム12に対してラインレーザ投光器13が配置されている。
【0026】
スイッチ手段16は、フレーム12の内部に装着したスイッチ18と、スイッチ18を操作するための操作腕19aを有する引き金19とからなり、手でグリップ部11を握り、人差し指を引き金19に掛けて引くと、引き金19がピン20を中心にバネ21に抗して
図2における半時計方向に回転し、それによって操作腕19aがスイッチ18を押してスイッチ18が閉じ、バッテリーで構成された電源部14の電力がラインレーザ投光器13に供給され、引き金19を離すと、バネ21に押されて引き金19が戻り、スイッチ18が開いて電源部14の電力がラインレーザ投光器13に供給されないようになっている。
【0027】
上述のように構成された線状光照射器具10を用いて被検出体Bの不良箇所を検出するには、作業者がグリップ11を片手で持ち、ラインレーザ投光器13の先端を被検出体Bへ向けて人差し指で引き金19を引くと、ラインレーザ投光器13から3つのラインレーザ光Lが射出され、そのラインレーザ光Lが被検出体Bに照射される。そして3つのラインレーザ光が照射された被検出体Bの表面には3つの輪郭線Cが現れる。
【0028】
次に、作業者は、複数の輪郭線Cを見比べながら、片手で線状光照射器具10を操作することにより輪郭線Cを被検出体Bに対してラインレーザ光Lの側面に交差する方向へ徐々に移動させ、3つの輪郭線Cが並ぶ順番に漸次変化しているかどうかを判断する。3つの輪郭線Cのうちの1つ又は2つの輪郭線Cに曲率が急に大きくなったり、不連続になったりする等の不自然な変化部分がある場合は、不良箇所である可能性が大きい。そのような場合には、不自然な変化部分に対応する被検出体Bの表面について更に詳しく調べて不良箇所かどうか確認する。
【0029】
この線状光照射器具10は、例えば自動車の外殻の凹みを修理する際に用いると便利である。自動車の外殻の凹み等の不良箇所を修理する場合、不良箇所を検出すると、その不良箇所に線状光照射器具10によりラインレーザ光Lを照射して輪郭線Cを写真撮影するとよい。それにより、その写真を修理依頼者に提示して修理費用の適正な見積りをすることができる。また、板金作業をする際に、修理する自動車と同じ車種の自動車の、前記検出した不良箇所と同じ箇所について正常な輪郭線を予め写真撮影しておき、その正常な輪郭線と、修理中の自動車の輪郭線とを比較するとよい。それにより修理の完成度を把握することができる。また修理後の輪郭線の写真と、正常な輪郭線の写真とを修理依頼者に見せることで、修理の完成度を修理依頼者に示すことができる。
【0030】
なお、
図1では3つのレーザ光源1から3つのラインレーザ光を得ているが、レーザ光源を1つとし、そのレーザ光源から射出するレーザ光線L0を、レンズを用いて3つに分光することで3つのラインレーザ光Lを得るようにしてもよく、1つの筐体に、1つのレーザ光源とそれを複数に分光するレンズを収容しもよい。この実施例ではラインレーザ投光器13は3つのラインレーザ光を射出しているが、本発明では、ラインレーザ投光器13が射出するラインレーザ光は2つでもよいし、4つ以上でもよい。
(第2の実施例)
【0031】
図4及び
図5は本発明の第2の実施例を示し、この実施例の線状光照射器具10は、ラインレーザ投光器13が、3個のラインモジュール4と、ラインレーザモジュール4を個別に保持する固設保持体22と、フレーム12の左右方向に伸長すると共にフレーム12に固設した、固設保持体22を保持するブラケット23とからなる点で、前述の第1の実施例と相違している。各ラインレーザモジュール4は、夫々ラインレーザ光毎のラインレーザ光源となっており、1つのラインレーザ光を射出することができる。そのレーザ光源のレーザ光線の光軸がフレーム12の前後方向の軸線に平行になるように、フレーム12に対して配置されている。この実施例によれば、ラインレーザ光の間隔を大きくすることができるので、たとえば、被検出体に不良となる凹みが浅く広範囲にわたって生じているような場合、輪郭線Cの相互間隔が狭いと複数の輪郭線Cの変化が何れも漸次自然に変化するように見えて不良箇所を見落とし易いが、ラインレーザ光の相互間隔を大きくして輪郭線の相互間隔をすることで、複数の輪郭線のうち1つの輪郭線は正常な部分に配置され易くなり、その正常な部分に配置された輪郭線と不良箇所に配置された他の輪郭線とを比較したとき、双方の輪郭線に大きく異なる部分を生ずるので、不良箇所を見落としにくくすることができる。
(第3の実施例)
【0032】
図6及び
図7は本発明の第3の実施例を示し、この実施例の線状光照射器具10は、ラインレーザ投光器13が、3つのラインレーザ光の相互間隔を変更する間隔変更機構30を備える点で、前述の第2の実施例と相違している。
【0033】
間隔変更機構30は、ラインレーザ光毎のラインレーザ光源であるラインモジュール4を個々に保持する可動保持体31と、フレーム12に固設すると共にフレーム12の左右方向に伸長した、可動保持体31を案内する案内面32と、可動保持体32を案内面32上の所要位置に固定する固定手段33とを備える。案内面32は、フレーム12の左右方向に伸びたレール34に形成されており、レール34は、フレーム12に固設したブラケット23上に固定してある。
【0034】
各可動保持体31は、その下部を案内面32にスライド可能に嵌め合わされているので、夫々案内面32に沿って平行移動することができる。各可動保持体31のレール34上の位置を容易に把握可能にするために、レール34の上面に形成した溝には、レール34の長手方向に沿って、位置を示す目盛りを付けたスケール35が設けてある。
【0035】
固定手段33は、この実施例では可動保持体31に形成した雌ねじ孔に螺合するノブ付きボルト36からなる。ノブ付きボルト36を回してボルト先端を、レール34の上面に押し付けることにより可動保持体31を固定することができる。
【0036】
この実施例の線状光照射器具10は、ラインレーザ光の相互間隔を多様に変えることができ、異なる間隔でラインレーザ光を射出することができるので、例えば局部的な不良箇所と比較的広い範囲に広がった不良箇所の検出であっても、それ一台で容易に的確に対応することができる。
(第4の実施例)
【0037】
図8及び
図9は本発明の第4の実施例を示し、この実施例の線状光照射器具10は、
間隔変更機構30が、中央のラインレーザモジュール4を保持する、フレーム12に固設された固設保持体22と、他のラインレーザモジュール4を個々に保持する可動保持体31と、フレーム12に固設すると共にフレーム12の左右方向に伸長した、可動保持体31を案内する案内面32と、可動保持体31を案内面32上の所要位置に位置付ける位置決め機構38とを備える点で、前述の第3の実施例と相違する。
【0038】
案内面32は、固設保持体22の両側に配置し、ブラケット23に固着したレール34に形成してあり、可動保持体31の下部は、案内面にスライド可能に嵌め合わせてある。位置決め機構38は、この実施例では片方の可動保持体31に螺合する右ネジと、もう片方の可動保持体31に螺合する左ねじとを有するねじ棒39と、ねじ棒39を長手軸線方向に移動不能に拘束する拘束部材40とからなる。このねじ棒39は一端にハンドル41を有しており、ブラケット23に固着された軸受体42及び固設保持体22を回転可能に貫通すし、拘束部材40はねじ棒39に固着しており、拘束部材40の端面は軸受体42の側面に当接している。
【0039】
この実施例では、ハンドル41を手で回すと左右の可動保持体31が夫々同時に同じ移動量で固設保持体22に接近離反するので、ラインレーザ投光器13は、中央のラインレーザ光に対する左右のラインレーザ光夫々と間隔を等しく維持した常態で多様な相互間隔の並列のラインレーザ光を得ることができる。しかもラインレーザ光の相互間隔の微調整も容易である。
(第5の実施例)
【0040】
図10及び
図11は本発明の第5の実施例を示し、この実施例の線状光照射器具10は
間隔変更機構30が、中央のラインレーザモジュール4を保持する、フレーム12に固設された固設保持体22と、他のラインレーザモジュール4を個々に保持する可動保持体31と、同じ長さの2つの揺動腕43、44と、2つの揺動腕43、44の一端を個々に枢着する、フレーム12に固設した2つの枢着部45と、揺動腕43、44の各々の他の一端を枢着する、可動保持体31に固設した2つの枢着部46とからなる平行リンク機構47と、揺動腕揺動腕43、44の姿勢を所要の回転角度に保持する姿勢保持機構48とを備える点で、第4の実施例と相違している。
【0041】
姿勢保持機構48は、フレーム12に固設すると共に該フレーム12の前後方向に平行に伸長した案内面32と、該案内面32に沿って前後方向に移動可能に設けた可動体49と、一端を可動体49に枢着し、他の一端を揺動腕44に枢着した連結腕50と、可動体49を案内面32上の所要位置に位置決めする位置決め機構38とからなる。
【0042】
案内面32は、フレーム12に固着した一対の軸受体42によって両端を保持された円筒部材51の外周面に形成されており、可動体49が有する孔に嵌め合わせてある。
【0043】
位置決め機構38は、フレーム12の前後方向に平行に設けると共に、可動体49に螺合するねじ棒52と、ねじ棒52を長手軸線方向に移動不能に拘束する拘束部材40とからなり、案内面32に沿って所要位置に移動して位置決めすることができる。拘束部材40は片方の軸受体42の両側に配置すると共にねじ棒52に固着してあり、ねじ棒52は、軸受体42に対して回転可能である。ねじ棒52の一端に設けたハンドル41を回転させると、可動体49が案内面32に沿って移動し、可動保持体31が平行移動する。
【0044】
この実施例では、枢着部45は固設保持体22に固着した板部材53に形成してあり、枢着部46は可動保持体31に固着した板部材54に形成してある。また揺動腕43、44や連結腕の枢着はリベットを用いているが、ボルト、ピン等その他の枢着手段も用いてもよい。また固設保持体22と左右の可動保持体31との間隔を夫々同時に同量だけ調節することができるようにするために、可動体49は左右の可動保持体31に対して共通になっているが、必要に応じて左右の可動保持体に対して可動対51を別々に設けてもよい。また位置決め機構38の代わりに、第3の実施例のような固定手段33を設けて可動体を案内面に対して固定するようにしてよく、また固設保持体22と左右の可動保持体31との間隔を個別に調整可能にすることもできる。
(第6の実施例)
【0045】
図12及び
図14は本発明の第6の実施例を示し、この実施例の線状光照射器具10は、輪郭線Cの相互間隔を簡単な操作で広範囲に変更することができるようにするために、他のラインレーザモジュール4を個々に保持する可動保持体31をフレーム12に枢着した点で、前述の第5の実施例と相違する。
【0046】
可動保持体31の揺動姿勢を所要の姿勢に保持する姿勢保持機構48は、第5の実施例のものと同様に構成されており、可動保持体31は、その下面に固着した板部材54に形成した、フレー12ムに枢着するための枢着部46と、姿勢保持機構48の連結腕50に枢着するための枢着部55とを有している。可動保持体31の枢着部55の、フレーム12の枢着部46への枢着は、この実施例ではリベット56を用いており、可動保持体31はリベット56を中心に揺動可能である。
【0047】
図14は、
図13に示す固設保持体22に保持されたラインレーザモジュール4のラインレーザ光L1、可動保持体31に保持されたラインレーザモジュール4のラインレーザ光L2、可動保持体31の揺動中心軸線Fの各位置及び姿勢を示す説明図であり、表面が平面に形成された被検出体Bに、その表面にラインレーザ光L1の光軸A1が直交するようにラインレーザ光L1を照射すると共にラインレーザ光L2を照射した状態を示す。固設保持体22に保持されたラインレーザモジュール4から射出されるラインレーザ光L1の光軸A1を包含し、かつそのラインレーザ光L1に直交する仮想平面を交差面Fとし、交差面Fとラインレーザ光L1の交線を第1の交線D1とし、可動保持体31に保持されたラインレーザモジュール4から射出されるラインレーザ光L2と交差面Fとの交線を第2の交線D2とし、交線D1に夫々直交すると共にラインレーザ光L1に包含される直線を交差線E1とし、交線D2に夫々直交すると共にラインレーザ光L2に包含される直線を交差線E2とするとき、可動保持体31は、交差線E1に平行な揺動中心軸線Fを中心に揺動可能にフレーム12に枢着してあり、かつ可動保持体31は交差線E1と交差線E2が互いに平行になるようにラインレーザモジュール4を保持している。
(第7の実施例)
【0048】
図15から
図17を参照して本発明の第7の実施例について説明する。
図15は、直交するラインレーザ光を射出するラインレーザモジュール5を3個用いて、表面が平面に形成された被検出体Bに格子状にラインレーザ光Lを射出した状態を模型的に示す説明図であり、
図16及び
図17に示す線状光照射器具10は、被検出体Bの表面の輪郭線Cは格子状に直交する直線となる点で、上述の各実施例と相違している。また3つのラインレーザモジュール5が上下方向にも相互間隔をとって配置されている点で、第2の実施例と相違している。
【0049】
この実施例の線状光照射器具10を使用すれば、輪郭線Cが格子状になるので、被検出体について上下方向の凹み具合だけでなく左右方向の凹み具合も同時に把握することができ、不良箇所検出作業の時間短縮を図ることができる。
【0050】
本発明によれば、必要に応じて、例えば
図1に示すように輪郭線が縦方向に伸長するようにラインレーザ投光器13をフレーム12に対して装着する代わりに、横方向或いは斜め方向に伸長するよう装着してもよいし、また
図2及び
図3に示す実施例においてラインレーザ投光器13の筐体をフレーム13に回転可能に嵌め合わせると共に止めネジ17の代わりにノブ付き止めネジを用い、使用時にノブ付き止めネジを緩めて、中止軸線のまわりに所要角度だけ回転させた後、ノブ付き止めネジを締めて固定するようにしてもよい。また
図1に示すラインレーザ投光器13の代わりに、4つ以上のラインレーザ光を射出するレーザリニアアレイを用いてもよい。