【実施例1】
【0012】
本発明の実施例1を
図1乃至
図11に基づいて説明する。
まず、
図1及び
図2に基づいて部品実装システム10の構成を説明する。
【0013】
部品実装システム10は、回路基板の搬送方向(X方向)に沿って複数の部品実装機35を配列して構成されている。
図2に示すように、各部品実装機35には、回路基板を搬送する2本のコンベア37と、カセット式フィーダ11から供給される部品を吸着して回路基板に実装する吸着ノズル(図示せず)を保持する装着ヘッド38と、装着ヘッド38をXY方向(左右前後方向)に移動させるXY移動機構39と、吸着ノズルに吸着した部品を撮像する撮像装置63(
図10参照)等が設けられている。その他、
図10に示すように、部品実装機35の制御装置60には、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置64と、フィーダ自動交換用の各プログラムや各種データ等を記憶するハードディスク、RAM、ROM等の記憶装置65(記憶手段)と、液晶ディスプレイ、CRT等の表示装置66等が接続されている。表示装置66は、部品実装機35の前面側の上部に設置されている。
【0014】
部品実装システム10の各部品実装機35は、上流側の部品実装機35から搬送されてくる回路基板をコンベア37によって所定位置まで搬送してクランプ機構(図示せず)で該回路基板をクランプして位置決めすると共に、カセット式フィーダ11から供給される部品を、装着ヘッド38の吸着ノズルに吸着して、その吸着位置から撮像位置へ移動させて撮像装置63で撮像して該部品を画像認識して部品の吸着姿勢や吸着位置ずれ量を判定してから該部品をコンベア37上の回路基板に実装して部品実装基板を生産する。
【0015】
部品実装システム10の前面側には、フィーダ自動交換システム34が設置されている。フィーダ自動交換システム34には、フィーダセットエリア41とフィーダ入替エリア42とフィーダストックエリア43が設けられている。フィーダセットエリア41は、コンベア37の前方(Y方向)に位置し、部品実装機35の部品吸着位置に部品を供給する複数のカセット式フィーダ11を並べてセットするエリアである。このフィーダセットエリア41には、カセット式フィーダ11側の通信・電源用のコネクタ(図示せず)と接続される通信・電源用のコネクタ(図示せず)が設けられ、双方のコネクタの接続によりカセットケース12内の制御装置32(
図9参照)と部品実装機35の制御装置60(
図10参照)との間で制御信号等を送受信すると共に、カセットケース12内の制御装置32等に通電されるようになっている。各部品実装機35の制御装置60は、部品実装システム10全体の生産を管理する生産管理装置70(ホストコンピュータ)とネットワークで接続され、該生産管理装置70によって各部品実装機35の生産が管理される。
【0016】
フィーダセットエリア41の下方には、フィーダストックエリア43が配置されている。このフィーダストックエリア43は、フィーダセットエリア41内の交換が必要なカセット式フィーダ11と交換する次のカセット式フィーダ11を収納すると共に、フィーダセットエリア41から取り出したカセット式フィーダ11を回収するエリアである。このフィーダストックエリア43には、カセット式フィーダ11を1個ずつセットするスロットが該フィーダストックエリア43に収容可能なフィーダ数分だけ形成されていると共に、各スロットにセットしたカセット式フィーダ11の識別情報記録部(図示せず)からフィーダID(フィーダ識別情報)を読み取る識別情報読取り部61(
図10参照)が設けられ、該識別情報読取り部61で読み取ったフィーダIDをフィーダ自動交換システム34の制御装置80と部品実装システム10の生産管理装置70に送信して、各スロットにセットしたカセット式フィーダ11の部品種等を自動認識するようになっている。
【0017】
このようにすれば、フィーダストックエリア43で待機する複数のカセット式フィーダ11がどの様な順序で並んでいても、それらのカセット式フィーダ11の中から、フィーダIDに基づいて交換するカセット式フィーダ11を正確に選び出してフィーダセットエリア41にセットすることができる。また、フィーダストックエリア43にカセット式フィーダ11を補給する際に、カセット式フィーダ11をどの様な順序で並べても良いため、任意の空きスペース(空きスロット)に自由にカセット式フィーダ11を補給することが可能となり、フィーダストックエリア43へのカセット式フィーダ11の補給を作業者が行う場合でも、そのカセット式フィーダ11の補給作業を容易に行うことができる。
【0018】
尚、本実施例1では、フィーダセットエリア41から取り出した全てのカセット式フィーダ11をフィーダストックエリア43に回収するようにしたが、本発明は、この構成に限定されず、例えば、フィーダストックエリア43に隣接して使用済みフィーダ回収エリア(図示せず)を配置し、フィーダセットエリア41から取り出したカセット式フィーダ11のうち、部品を全て使い切った使用済み(部品切れ)のカセット式フィーダ11を使用済みフィーダ回収エリアに回収し、部品の残った使いかけのカセット式フィーダ11のみをフィーダストックエリア43に回収するようにしても良い。このようにすれば、部品を全て使い切った使用済みのカセット式フィーダ11と使いかけのカセット式フィーダ11とを分別して回収することができ、部品実装機35から使用済みのカセット式フィーダ11を取り出す作業が容易となる。
【0019】
フィーダストックエリア43及びフィーダセットエリア41の前方には、フィーダ入替エリア42が配置され、このフィーダ入替エリア42を使用してフィーダストックエリア43とフィーダセットエリア41との間でカセット式フィーダ11が入れ替えられる。このフィーダ入替エリア42には、交換ロボット45(
図3〜
図8参照)が設けられている。この交換ロボット45は、各部品実装機35のフィーダセットエリア41から交換が必要なカセット式フィーダ11を取り出すと共に、フィーダストックエリア43で待機する複数のカセット式フィーダ11の中から交換するカセット式フィーダ11を取り出して当該部品実装機35のフィーダセットエリア41にセットする。
【0020】
次に、交換ロボット45の構成を説明する。
図1に示すように、部品実装システム10の前面には、部品実装機35の配列に沿って交換ロボット45を左右方向(X方向)に移動させるX軸レール71がX方向に延びるように設けられている。
図8に示すように、交換ロボット45には、該交換ロボット45をX軸レール71に沿って移動させる駆動源となるX軸モータ72が設けられ、該X軸モータ72によって駆動ベルト73を回転駆動することで該交換ロボット45をX方向に移動させると共に、該交換ロボット45のX方向への移動をガイドローラ74によって案内するように構成されている。
【0021】
図4〜
図7に示すように、交換ロボット45には、カセット式フィーダ11を出し入れ及び昇降させるフィーダ移載部76が設けられている。フィーダ移載部76には、カセット式フィーダ11をクランプして出し入れするクランプ部材77と、該クランプ部材77をY方向(カセット式フィーダ11の出し入れ方向)に移動させる駆動源となるY軸モータ78と、該クランプ部材77のY方向への移動を案内するY軸ガイド部材79等が設けられている。
【0022】
また、
図4、
図5に示すように、交換ロボット45の側面部には、フィーダ移載部76の昇降動作を案内するZ軸ガイド部材81と、該フィーダ移載部76の昇降動作の駆動源となるZ軸モータ82とが設けられ、該Z軸モータ82によってベルト83(
図6参照)を回転駆動することで該フィーダ移載部76をZ軸ガイド部材81に沿って昇降させるように構成されている。
【0023】
また、本実施例1では、フィーダストックエリア43へのカセット式フィーダ11の補給を自動化した構成としている。具体的には、
図2に示すように、部品実装システム10の下部に、フィーダストックエリア43に補給するカセット式フィーダ11の搬入及び使用済みのカセット式フィーダ11の搬出を行うフィーダ搬送用のコンベア51を設けると共に、フィーダ搬送用のコンベア51とフィーダストックエリア43との間でカセット式フィーダ11を載せ替える載替ロボット52を設けた構成としている。
【0024】
フィーダ搬送用のコンベア51は、回路基板搬送用のコンベア37の搬送方向と同じ方向(X方向)にカセット式フィーダ11を横倒し状態で搬送するように設けられている。このフィーダ搬送用のコンベア51には、搬入したカセット式フィーダ11をフィーダストックエリア43の後方位置で停止させるためのストッパ53が昇降可能に設けられている。
【0025】
載替ロボット52は、カセット式フィーダ11をクランプするクランプ機構54と、該クランプ機構54を水平軸の回りを回転させる回転機構55と、該クランプ機構54を上下方向及びXY方向(水平方向)に移動させる移動機構56とから構成されている。
【0026】
次に、フィーダ搬送用のコンベア51と載替ロボット52の動作を説明する。
フィーダストックエリア43に補給するカセット式フィーダ11をコンベア51に載せて搬入する場合は、ストッパ53を上方に突出させて該カセット式フィーダ11をフィーダストックエリア43の後方位置で停止させる。この後、載替ロボット52を動作させて、クランプ機構54でフィーダ搬送用のコンベア51上の横倒し状態のカセット式フィーダ11をクランプして、移動機構56によりクランプ機構54を上昇させて該カセット式フィーダ11をフィーダ搬送用のコンベア51から持ち上げて該カセット式フィーダ11の回転スペースを確保する。この後、回転機構55によりクランプ機構54を90°回転させて該カセット式フィーダ11を90°回転させて立てた状態にした後、移動機構56によりクランプ機構54をフィーダ搬送用のコンベア51と平行な方向(X方向)に移動させて、該カセット式フィーダ11をフィーダストックエリア43の空きスロットの位置に合わせて、該カセット式フィーダ11をフィーダストックエリア43の空きスロットに収納する。
【0027】
一方、フィーダストックエリア43から使用済みのカセット式フィーダ11を取り出して搬出する場合は、ストッパ53を下方に引っ込めた状態にすると共に、フィーダストックエリア43の使用済みのカセット式フィーダ11をクランプ機構54でクランプして引き出して、回転機構55によりクランプ機構54を90°回転させて該カセット式フィーダ11を立てた状態から横倒し状態にしてフィーダ搬送用のコンベア51上に載せて搬出する。
【0028】
次に、
図9に基づいてカセット式フィーダ11の構成を説明する。
カセット式フィーダ11のカセットケース12は、透明又は不透明のプラスチック板又は金属板等により形成され、その側面部(カバー)が開閉可能となっている。カセットケース12内には、部品供給テープ13が巻回されたテープリール14を着脱可能(交換可能)に装填するテープ装填部15が設けられている。テープ装填部15の中心には、テープリール14を回転可能に保持するリール保持軸16が設けられている。
【0029】
カセットケース12内には、テープリール14から引き出した部品供給テープ13を部品吸着位置へ送るテープ送り機構18と、部品吸着位置の手前で部品供給テープ13からトップフィルム20を剥離して該部品供給テープ13内の部品を露出させるトップフィルム剥離機構19とが設けられている。部品吸着位置は、カセットケース12の上面のテープ送り方向側の端部付近に位置している。カセットケース12内には、テープリール14から引き出した部品供給テープ13を部品吸着位置へ案内するテープガイド21が設けられている。
【0030】
テープ送り機構18は、部品吸着位置の下方付近に設けられたスプロケット22と、このスプロケット22を回転駆動するモータ23等から構成され、部品供給テープ13の片方の側縁に所定ピッチで形成されたテープ送り穴にスプロケット22の歯を噛み合わせて該スプロケット22を回転させることで、部品供給テープ13を部品吸着位置へピッチ送りするようになっている。
【0031】
トップフィルム剥離機構19は、部品吸着位置の手前で部品供給テープ13を押さえて該部品供給テープ13の上面からトップフィルム20を剥離するためのテープ押え25と、該テープ押え25で剥離したトップフィルム20をテープ送り方向とは逆方向に引っ張ってカセットケース12の上部に設けられたトップフィルム回収部26内へ送り込むトップフィルム送りギア機構27と、該トップフィルム送りギア機構27を駆動するモータ28等から構成されている。
【0032】
カセットケース12のうちのテープ送り方向側の端縁部には、部品吸着位置を通過して部品が取り出された廃棄テープ13a(本実施例ではトップフィルム20が剥離されたキャリアテープのみ)を下方に案内して排出する廃棄テープ排出通路30が下方に延びるように設けられ、該廃棄テープ排出通路30の出口30aがカセットケース12のテープ送り方向側の端面の中央より下側の位置に設けられている。廃棄テープ排出通路30の上部には、エアー導入口(図示せず)がカセットケース12のうちのテープ送り方向側の端面に開口するように設けられ、該エアー導入口から該廃棄テープ排出通路30内にエアーを導入して該廃棄テープ排出通路30内に下向きのエアーの流れを生じさせるようになっている。
【0033】
カセットケース12内には、テープ送り機構18のモータ23やトップフィルム剥離機構19のモータ28を制御する制御装置32が設けられている。その他、図示はしないが、カセットケース12には、後述するフィーダ自動交換システム34側の通信・電源用のコネクタと接続される通信・電源用のコネクタが設けられている。
【0034】
また、カセットケース12の所定位置には、フィーダID(フィーダ識別情報)を記録又は記憶した識別情報記録部(図示せず)が設けられている。この識別情報記録部としては、例えばフィーダIDをバーコード、二次元コード等で記録したコードラベルを用いても良いし、フィーダIDのデータを記憶した電子タグ(RFタグ、ICタグ、電波タグ、無線タグとも呼ばれる)を用いても良い。
【0035】
図10に示すように、フィーダ自動交換システム34の制御装置80は、部品実装システム10の生産管理装置70とネットワークで接続され、部品実装システム10の生産管理装置70から送信されてくる基板種切り替え情報や部品切れ情報等の生産管理情報に基づいて交換ロボット45の動作を制御して、各部品実装機35のフィーダセットエリア41から交換が必要なカセット式フィーダ11を取り出すと共に、フィーダストックエリア43で待機する複数のカセット式フィーダ11ダの中から交換するカセット式フィーダ11を取り出して当該部品実装機35のフィーダセットエリア41にセットする。
【0036】
部品実装システム10の生産管理装置70は、各部品実装機35のフィーダセットエリア41にセットしたカセット式フィーダ11の部品残数をフィーダIDと関連付けて管理する部品残数管理手段として機能し、いずれかのカセット式フィーダ11の部品残数が0(部品切れ)になった時点で、当該カセット式フィーダ11の部品を全て使い切ったと判断して、部品切れ情報をフィーダ自動交換システム34の制御装置80へ出力する。これにより、フィーダ自動交換システム34の制御装置80は、受信した部品切れ情報に基づいて交換ロボット45の動作を制御して、使用済み(部品切れ)のカセット式フィーダ11を当該部品実装機35のフィーダセットエリア41から取り出し、フィーダストックエリア43から当該使用済みのカセット式フィーダ11と同じ部品を供給するカセット式フィーダ11を取り出して当該部品実装機35のフィーダセットエリア41にセットする。このようにすれば、部品実装機35のフィーダセットエリア41から取り出したカセット式フィーダ11が部品の残った使いかけのカセット式フィーダ11である場合にその部品残数を当該カセット式フィーダ11と関連付けて管理しながら、その使いかけのカセット式フィーダ11をフィーダストックエリア43に回収して再使用できるため、カセット式フィーダ11の部品を最後まで使い切ることができて、生産コストを低減できる。
【0037】
また、フィーダ自動交換システム34の制御装置80は、部品実装システム10の生産管理装置70から送信されてくる基板種切り替え情報を受信すると、各部品実装機35のフィーダセットエリア41にセットされているカセット式フィーダ11の中から交換が必要なカセット式フィーダ11を基板種切り替えの前後に分けて自動的に交換する。例えば、各部品実装機35において生産する基板種を回路基板Aから回路基板Bに切り替える場合に、
図11(a)に示すように、基板種切り替え前の生産中に当該生産の最後の回路基板Aの部品実装作業に必要な部品を供給し終えたカセット式フィーダ11の中から当該基板種切り替え後の生産(回路基板B)に使用しないカセット式フィーダ11を当該部品実装機35のフィーダセットエリア41から順次取り出してフィーダストックエリア43に順次回収すると共に、当該フィーダストックエリア43から当該基板種切り替え後の生産(回路基板B)に使用するカセット式フィーダ11を順次取り出して当該部品実装機35のフィーダセットエリア41に順次セットする基板種切り替え前フィーダ交換作業を当該基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業と並行して行う。
【0038】
ところで、基板種切り替え時に交換が必要なカセット式フィーダ11の数が少なければ、基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業が終了するまでに、交換が必要なカセット式フィーダ11を全て交換可能であるが、基板種切り替え時に交換が必要なカセット式フィーダ11の数が多くなると、基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業が終了するまでに、交換が必要なカセット式フィーダ11のうちの一部のカセット式フィーダ11しか交換できない場合がある。
【0039】
この場合でも、各部品実装機35は、基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業を終了した時点で、
図11(b)に示すように、直ちに当該最後の回路基板Aを下流側の部品実装機35に搬出すると共に、当該基板種切り替え後の最初の回路基板Bを前工程コンベア99から搬入する。この時点で、交換が必要なカセット式フィーダ11がまだ交換されずに残っている場合でも、当該部品実装機35のフィーダセットエリア41にセットされている複数のカセット式フィーダ11の中から当該基板種切り替え後の生産(回路基板B)に必要な部品を供給するカセット式フィーダ11を使用して当該最初の回路基板Bの部品実装作業を開始する。この際、交換ロボット45は、各部品実装機35において基板種切り替え後に前記交換が必要なカセット式フィーダ11が残っている場合には、当該基板種切り替え後の最初の回路基板Bの部品実装作業と並行して、当該部品実装機35のフィーダセットエリア41から当該交換が必要なカセット式フィーダ11を取り出してフィーダストックエリア43に回収すると共に、当該フィーダストックエリア43から当該基板種切り替え後の生産(回路基板B)に使用するカセット式フィーダ11を取り出して当該部品実装機35のフィーダセットエリア41にセットする基板種切り替え後フィーダ交換作業を行う。
【0040】
このようにすれば、基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業が終了するまでに、交換が必要なカセット式フィーダ11のうちの一部のカセット式フィーダ11しか交換できない場合でも、基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業を終了した時点で、直ちに当該最後の回路基板Aを下流側の部品実装機35に搬出し、当該基板種切り替え後の最初の回路基板Bを搬入して当該最初の回路基板Bの部品実装作業を開始し、当該基板種切り替え後の最初の回路基板Bの部品実装作業と並行して、残りのカセット式フィーダ11を交換する基板種切り替え後フィーダ交換作業を行うことができるため、基板種切り替え前の生産終了後に、交換が必要なカセット式フィーダ11が残っている場合でも、直ちに基板種切り替え後の生産(回路基板B)に切り替えることができる。これにより、基板種切り替え前の生産(回路基板A)から基板種切り替え後の生産(回路基板B)への切り替えにフィーダ交換作業の終了を待つ必要が全くなくなり、シームレスに生産を切り替えることができる。
【0041】
各部品実装機35において、基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業を終了した時点で、
図11(c)に示すように、当該最後の回路基板Aを下流側の部品実装機35に搬出すると共に、交換ロボット45を当該下流側の部品実装機35の正面へ移動させて、当該下流側の部品実装機35に対して、上述した基板種切り替え前フィーダ交換作業と基板種切り替え後フィーダ交換作業を行う。以上の動作を繰り返して、部品実装システム10の最上流の部品実装機35から最下流の部品実装機35まで、順番に下流側に1台ずつ、基板種切り替え前フィーダ交換作業と基板種切り替え後フィーダ交換作業を行う。
【0042】
以上説明した本実施例1では、交換ロボット45によってカセット式フィーダ11を自動的に交換するフィーダ自動交換システム34を使用し、各部品実装機35において生産する基板種を回路基板Aから回路基板Bに切り替える場合に、基板種切り替え前の生産中に当該生産の最後の回路基板Aの部品実装作業に必要な部品を供給し終えたカセット式フィーダ11の中から当該基板種切り替え後の生産(回路基板B)に使用しないカセット式フィーダ11を当該部品実装機35のフィーダセットエリア41から取り出して、当該基板種切り替え後の生産(回路基板B)に使用するカセット式フィーダ11を当該部品実装機35のフィーダセットエリア41にセットする基板種切り替え前フィーダ交換作業を当該基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業と並行して行うようにしているため、基板種切り替え前の生産(回路基板Aの部品実装)から基板種切り替え後の生産(回路基板Bの部品実装)への切り替えを速やかに行うことができ、生産性を向上できる。
【0043】
更に、本実施例1では、各部品実装機35において、基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業を終了するまでに、交換が必要なカセット式フィーダ11のうちの一部のカセット式フィーダ11しか交換できない場合でも、各部品実装機35は、基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業を終了した時点で、直ちに当該最後の回路基板Aを搬出すると共に、当該基板種切り替え後の最初の回路基板Bを搬入し、その時点で、当該部品実装機35のフィーダセットエリア41にセットされている複数のカセット式フィーダ11の中から当該基板種切り替え後の生産(回路基板B)に必要な部品を供給するカセット式フィーダ11を使用して当該最初の回路基板Bの部品実装作業を開始すると共に、残りのカセット式フィーダ11を交換する基板種切り替え後フィーダ交換作業を行うようにしているため、基板種切り替え前の生産終了後に、交換が必要なカセット式フィーダ11が残っている場合でも、直ちに基板種切り替え後の生産(回路基板B)に切り替えることができる。これにより、基板種切り替え前の生産(回路基板A)から基板種切り替え後の生産(回路基板B)への切り替えにフィーダ交換作業の終了を待つ必要が全くなくなり、シームレスに生産を切り替えることができる。
【0044】
但し、本発明は、各部品実装機35において、基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業を終了するまでに、交換が必要なカセット式フィーダ11のうちの一部のカセット式フィーダ11しか交換できない場合に、交換が必要なカセット式フィーダ11の交換作業を全て終了してから、当該最後の回路基板Aを搬出するようにしても良く、この場合は、基板種切り替え後フィーダ交換作業を行う必要がない。このようにしても、基板種切り替え前の生産(回路基板Aの部品実装)と並行して基板種切り替え前フィーダ交換作業を行うことで、基板種切り替え前の生産(回路基板Aの部品実装)から基板種切り替え後の生産(回路基板Bの部品実装)に切り替えるまでの待ち時間を従来より大幅に短縮することができ、本発明の所期の目的を達成できる。
【実施例2】
【0045】
次に、
図12を用いて本発明の実施例2を説明する。但し、上記実施例1と実質的に同じ部分については、説明を省略又は簡略化し、主として異なる部分を説明する。
【0046】
上記実施例1では、基板種切り替え前フィーダ交換作業と基板種切り替え後フィーダ交換作業を1台の交換ロボット45で行うようにしているが、交換が必要なカセット式フィーダ11の数が多くなると、基板種切り替え後の最初の回路基板Bの部品実装作業が終了するまでに、フィーダ交換作業が終了しない場合がある。
【0047】
この対策として、
図12に示す本発明の実施例2では、隣接する2台の部品実装機35に対して基板種切り替え前後のフィーダ交換作業を行う2台の交換ロボット(第1の交換ロボット91と第2の交換ロボット92)を設け、基板種切り替え前の最後の回路基板Aが搬入された部品実装機35で一方の交換ロボット(91又は92)を使用して基板種切り替え前フィーダ交換作業を行う動作と並行して、基板種切り替え後の最初の回路基板Bが搬入された部品実装機35で他方の交換ロボット(92又は91)を使用して基板種切り替え後フィーダ交換作業を行うようにしている。2台の交換ロボット(第1の交換ロボット91と第2の交換ロボット92)の構成は、前記実施例1で説明した交換ロボット45の構成と同じである。
【0048】
本実施例2では、交換が必要なカセット式フィーダ11の数の半数を基板種切り替え前フィーダ交換作業で交換し、残り半数のカセット式フィーダ11を基板種切り替え後フィーダ交換作業で交換するようにしている。但し、基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業が終了するまで、交換が必要なカセット式フィーダ11の交換を繰り返して、交換が必要なカセット式フィーダ11の数の半数を越えてカセット式フィーダ11の交換作業を行うようにしても良い。要は、基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業が終了するまでの時間の範囲内で交換可能な数のカセット式フィーダ11の交換を行うようにすれば良い。
【0049】
図12に示すように、隣接する2台の部品実装機35が基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業と基板種切り替え後の最初の回路基板Bの部品実装作業を行うのと並行して、当該2台の部品実装機35に対して、第1の交換ロボット91と第2の交換ロボット92を使用して、基板種切り替え前フィーダ交換作業と基板種切り替え後フィーダ交換作業とを同時に行う。以下、
図12を用いて、例えば4台の部品実装機35で部品実装システム10を構成した場合の基板種切り替え前後のフィーダ交換作業の方法を説明する。
【0050】
4台の部品実装機35で生産する基板種を回路基板Aから回路基板Bに切り替える場合は、
図12(a)に示すように、まず、第1の交換ロボット91を1台目(最上流)の部品実装機35の正面に移動させると共に、第2の交換ロボット92を2台目の部品実装機35の正面に移動させる。そして、基板種切り替え前の最後の回路基板Aが1台目の部品実装機35に搬入されて基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業が行われているときに、第1の交換ロボット91を使用して、基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業に必要な部品を供給し終えたカセット式フィーダ11の中から当該基板種切り替え後の生産(回路基板B)に使用しないカセット式フィーダ11を当該1台目の部品実装機35のフィーダセットエリア41から順次取り出してフィーダストックエリア43に順次回収する。この基板種切り替え前フィーダ交換作業により、1台目の部品実装機35で基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業を行っている間に、交換が必要なカセット式フィーダ11の数の半数を第1の交換ロボット91により交換する。この際、第2の交換ロボット92は、フィーダ交換作業を行わず、2台目の部品実装機35の正面で待機する。
【0051】
その後、1台目の部品実装機35で基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業が終了した時点で、
図12(b)に示すように、1台目の部品実装機35から基板種切り替え前の最後の回路基板Aが2台目の部品実装機35に搬出され、基板種切り替え後の最初の回路基板Bが1台目の部品実装機35に搬入される。この後、1台目の部品実装機35で、当該基板種切り替え後の生産(回路基板B)に必要な部品を供給するカセット式フィーダ11を使用して当該最初の回路基板Bの部品実装作業を開始すると共に、第1の交換ロボット91を使用して、フィーダストックエリア43から当該基板種切り替え後の生産(回路基板B)に使用するカセット式フィーダ11を取り出して当該部品実装機35のフィーダセットエリア41にセットする。この基板種切り替え後フィーダ交換作業により、1台目の部品実装機35で基板種切り替え後の最初の回路基板Bの部品実装作業を行っている間に、交換が必要なカセット式フィーダ11の数の残り半数を第1の交換ロボット91により交換する。
【0052】
一方、2台目の部品実装機35に基板種切り替え前の最後の回路基板Aが搬入されると、2台目の部品実装機35で基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業を開始すると共に、第2の交換ロボット92を使用して、2台目の部品実装機35に対して基板種切り替え前フィーダ交換作業を行う。これにより、2台目の部品実装機35で基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業を行っている間に、交換が必要なカセット式フィーダ11の数の半数を第2の交換ロボット92により交換する。
【0053】
その後、2台目の部品実装機35で基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業が終了した時点で、
図12(c)に示すように、2台目の部品実装機35から基板種切り替え前の最後の回路基板Aが3台目の部品実装機35に搬出され、基板種切り替え後の最初の回路基板Bが2台目の部品実装機35に搬入される。この動作と並行して、第1の交換ロボット91と第2の交換ロボット92をそれぞれ2台目の部品実装機35と3台目の部品実装機35の正面に移動させる。この状態で、第1の交換ロボット91を使用して、2台目の部品実装機35に対して基板種切り替え後フィーダ交換作業を行うと共に、第2の交換ロボット92を使用して、3台目の部品実装機35に対して基板種切り替え前フィーダ交換作業を行う。
【0054】
その後、3台目の部品実装機35で基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業が終了した時点で、
図12(d)に示すように、3台目の部品実装機35から基板種切り替え前の最後の回路基板Aが4台目の部品実装機35に搬出され、基板種切り替え後の最初の回路基板Bが3台目の部品実装機35に搬入される。この動作と並行して、第1の交換ロボット91と第2の交換ロボット92をそれぞれ3台目の部品実装機35と4台目(最下流)の部品実装機35の正面に移動させる。この状態で、第1の交換ロボット91を使用して、3台目の部品実装機35に対して基板種切り替え後フィーダ交換作業を行うと共に、第2の交換ロボット92を使用して、4台目(最下流)の部品実装機35に対して基板種切り替え前フィーダ交換作業を行う。
【0055】
その後、3台目の部品実装機35で基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業が終了した時点で、
図12(e)に示すように、4台目(最下流)の部品実装機35から基板種切り替え前の最後の回路基板Aが搬出され、基板種切り替え後の最初の回路基板Bが4台目の部品実装機35に搬入される。この後、第2の交換ロボット92を使用して、4台目(最下流)の部品実装機35に対して基板種切り替え後フィーダ交換作業を行う。この際、第1の交換ロボット91が対向する3台目の部品実装機35は、既にフィーダ交換作業が全て終了しているため、第1の交換ロボット91は、フィーダ交換作業を行わず、3台目の部品実装機35の正面で待機する。
【0056】
以上説明した本実施例2では、隣接する2台の部品実装機35が基板種切り替え前の最後の回路基板Aの部品実装作業と基板種切り替え後の最初の回路基板Bの部品実装作業を行うのと並行して、当該2台の部品実装機35に対して、第1の交換ロボット91と第2の交換ロボット92を使用して、基板種切り替え前フィーダ交換作業と基板種切り替え後フィーダ交換作業とを同時に行うことが可能となり、交換が必要なカセット式フィーダ11の数がある程度多い場合でも、シームレスに生産を切り替えることができ、シームレスに生産を切り替え可能なカセット式フィーダ11の交換本数を増加させることができる。
【0057】
尚、本発明は、カセット式フィーダ11を用いる構成に限定されず、カセット式でないフィーダを用いる構成としても良く、また、交換ロボットの構成を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。