(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
多孔性珪酸塩粉体とカプロラクタム粉体を混合させて脱臭粒子原料を得、前記脱臭粒子原料の100重量百分率に対して、前記多孔性珪酸塩粉体の重量百分率は2%〜6%であり、前記カプロラクタム粉体の重量百分率は94%〜98%である混合工程と、
前記脱臭粒子原料を研磨して、脱臭ナイロン6分散液を得、前記脱臭ナイロン6分散液の平均粒子径は100nm〜200nmであるナノ研磨工程と、
前記脱臭ナイロン6分散液を重合させて、複数の脱臭ナイロン6粒子を得る造粒重合工程と、
前記脱臭ナイロン6粒子の相対粘度を2.20〜2.30に調整する粘度調整工程と、
前記脱臭ナイロン6粒子の含水率を350ppm〜550ppmに調整する水分調整工程と、を含む脱臭ナイロン6粒子の調製工程と、
前記粘度調整工程と前記水分調整工程の行われた前記脱臭ナイロン6粒子を含む製糸原料を提供する工程と、前記製糸原料を255℃〜265℃の温度で溶融・混練して、製糸し、脱臭ナイロン6繊維を得る溶融・混練工程と、を含む製糸工程と、を備える脱臭ナイロン6繊維の製造方法。
【背景技術】
【0002】
紡績プロセスで作られた紡績品は、多孔性材料であり、人体に装着される場合に人体の汗、皮脂及び汗に伴って排出された廃棄物を吸着する。これらの物質が更に細菌、真菌等の人体の表面に寄宿される他の微生物により分解され、利用される。微生物が廃棄物を分解し利用する途中で、数多くの副生物が発生し、それに伴って臭い匂いが発生する。
この状態は衛生的ではないだけでなく、不快な匂いで人間関係に影響を与えることもある。そのため、衛生健康意識や生活レベルが向上した社会では、市場において抗菌及び防臭機能を持つ織物材料に対する要求が迅速に向上する。
【0003】
現在、市販の抗菌防臭繊維の製造方法としては、主に、化学的又は物理的方法で繊維を変性させる、又は混紡、又は、捺染及び塗布を行うことにより繊維に抗菌剤を混入させて、微生物の生長を抑制し、更なる臭味の発生を防止する、などがある。
上記の製造方法では、抗菌成分を繊維母液に混入させて
吐糸を行う製造方法が最も広く適用され、その製造過程も比較的簡単である。
【0004】
抗菌剤の選択については、現在市販の抗菌防臭繊維としては、銀系抗菌剤の添加が主流であり、またナノ銀粒子が最も広く適用される。ナノ銀粒子は、高い安定性を有するので、当業者は繊維母液に添加して、
吐糸等の工程によって抗菌繊維を製造することができる。
しかしながら、ナノ銀粒子の表面活性が大きく、紡績途中で高温の影響で人造繊維原料においてアグリゲート(凝集物)を形成しやすいので、ナノ銀粒子を抗菌防臭機能の添加物とする場合に、ナノ銀粒子の分散性を増えるために、別に分散剤を繊維母液に添加しなければならない。これにより、抗菌紡績品の製造コストが増加し、製造の困難性が増加する。
【0005】
上記問題を解決するために、非銀系抗菌剤を抗菌防臭機能添加物とする抗菌防臭繊維が市販されるようになった。例えば、当業者は殺菌機能を持つジヨードメチル−p−トリルスルホン(p-[(diiodomethyl)sulphonyl]toluene)とマスターバッチを混合させて、或いは、二酸化チタン、トルマリン粉末と炭素粉末を抗菌防臭機能の添加物として混合させて、抗菌繊維フィラメントを製造する。
しかしながら、現在市販の防臭機能を要求する紡績品は、殆どが抗菌によってその防臭効果を達成させるものであるが、微生物の種類や臭味の原因が様々であり、異なる抗菌剤の異なる微生物に対する殺滅作用もまちまちなため、それらの防臭効果もまちまちである。
なお、抗菌効果を持つ紡績品は、細菌の生長を抑制できるが、防臭の効果を達成させることができるだけであり、脱臭の効果はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、脱臭機能付きの抗菌繊維を開発して、抗菌脱臭繊維の適用効率及び利用範囲を広めることは、当業者の努力する目標となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成させるために、本発明の一実施形態は、脱臭ナイロン6粒子の調製工程と、製糸工程と、を備える脱臭ナイロン6繊維の製造方法を提供する。
【0008】
脱臭ナイロン6粒子の調製工程は、混合工程と、ナノ研磨工程と、造粒重合工程と、粘度調整工程と、水分調整工程と、を含む。
混合工程は、多孔性珪酸塩粉体とカプロラクタム粉体を混合させて脱臭粒子原料を得る。脱臭粒子原料の100重量百分率に対して、多孔性珪酸塩粉体の重量百分率が2%〜6%であり、カプロラクタム粉体の重量百分率は94%〜98%であってよい。
ナノ研磨工程としては、前記脱臭粒子原料を研磨し、
脱臭ナイロン6
分散液を得る。
脱臭ナイロン6
分散液の平均粒子径は100nm〜200nmであってよい。
造粒重合工程としては、前記
脱臭ナイロン6
分散液を重合させて、複数の脱臭ナイロン6粒子を得る。
粘度調整工程では、前記脱臭ナイロン6粒子の相対粘度を2.20〜2.30に調整してよい。
また、水分調整工程としては、脱臭ナイロン6粒子の含水率を350ppm〜550ppmに調整してよい。
【0009】
製糸工程は、製糸原料を提供する工程と、溶融・混練工程と、を含む。
製糸原料を提供する工程において、製糸原料は、粘度調整工程と水分調整工程の行われた脱臭ナイロン6粒子を含む。
溶融・混練工程としては、製糸原料を255℃〜265℃の温度で溶融・混練して、製糸し、脱臭ナイロン6繊維を得てよい。
【0010】
前記脱臭ナイロン6繊維の製造方法によると、混合工程において、脱臭粒子原料の100重量百分率に対して、多孔性珪酸塩粉体の重量百分率は5%であってよく、カプロラクタム粉体の重量百分率は95%であってよい。
【0011】
前記脱臭ナイロン6繊維の製造方法によると、製糸原料は二酸化チタン粉体を更に含んでよく、脱臭ナイロン6粒子の100重量百分率に対して、二酸化チタン粉体の添加量は0重量百分率より大きく7.5重量百分率以下であってよい。
【0012】
前記脱臭ナイロン6繊維の製造方法によると、
溶融・混練工程としては、製糸原料を溶融・混練して製糸液を形成し、
前記製糸工程は、製糸液を
吐糸して、脱臭ナイロン6
紡糸口糸を形成し、
脱臭ナイロン6
紡糸口糸と粘度調整工程の行われた脱臭ナイロン6粒子との相対粘度の差値はΔRVであり、0<ΔRV<0.1という関係式を満たす
吐糸工程を更に含んでよい。
【0013】
前記脱臭ナイロン6繊維の製造方法によると、製糸工程は、18℃〜22℃の温度で行われてよく、脱臭ナイロン6
紡糸口糸を硬化させて定形して、脱臭ナイロン6硬化糸を形成する冷却工程を更に含んでよい。
【0014】
前記脱臭ナイロン6繊維の製造方法によると、製糸工程は、1.2%〜1.5%の引伸比(Draw Ratio、DR)で脱臭ナイロン6硬化糸を延在させる引伸工程を更に含んでよい。
【0015】
前記脱臭ナイロン6繊維の製造方法によると、引伸工程は、145℃〜200℃の温度で脱臭ナイロン6硬化糸の熱定形を行われる加熱工程を更に含んでよい。
【0016】
前記脱臭ナイロン6繊維の製造方法によると、製糸工程は、熱定形された脱臭ナイロン6硬化糸に対して3200m/min〜4800m/minの回転速度で巻きつけて、脱臭ナイロン6硬化糸の物性を改善して
、脱臭ナイロン6繊維にする
ために引伸工程とともに用いられる巻取工程を更に含んでよい。
脱臭ナイロン6硬化糸の物性で改善されるものは、強度又は延伸率であってよい。
【0017】
これにより、本発明の脱臭ナイロン6繊維の製造方法は、脱臭機能性添加物として多孔性珪酸塩粉体を利用し、脱臭ナイロン6粒子を製造する。
また脱臭ナイロン6粒子を後の製糸工程の原料として、脱臭機能付きのナイロン6繊維を製造する。
製造された脱臭ナイロン6繊維は、良好な脱臭効果を有し、その紡ぎ糸の強度と延伸率も優れ、産業発展の潜在力が高い。
【発明の効果】
【0019】
これにより、本発明の脱臭ナイロン6繊維の製造方法により製造された脱臭ナイロン6繊維は、単繊維デニール数の範囲が広く、その繊維の強度も良いので、異なる分野の要求に対応することができ、幅広い分野への適用性を持つ。
【0020】
上記の発明の内容は、本発明で開示された内容の簡単な要約を提供し、読者に本発明の開示内容の基本を理解させるためのものである。
よって、本発明の開示された内容を完璧に説明するものではなく、本発明の重要又は肝心な構成要件を指し示す意図もなく、本発明の範囲を制限又は限定するためのものでもない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、当業者が解読と実験をしすぎずに本発明を完璧に利用し実践することができるように、図面を参照して本発明の具体的な試験例を例示的に説明する。
しかしながら、読者は、これらの実際の細部は本発明を制限するものではないこと、つまり、本発明の一部の試験例において、これらの実際の細部は不必要なものでありながら、本発明の材料や方法を如何に実施するかを説明するために示されるものであることを、理解すべきである。
【0023】
(脱臭ナイロン6繊維の製造方法)
図1を参照されたい。
図1は、本発明の一実施形態に係る脱臭ナイロン6繊維の製造方法100を示す工程流れ図である。
脱臭ナイロン6繊維の製造方法100は、脱臭ナイロン6粒子の調製工程200と、製糸工程300と、を備える。
【0024】
脱臭ナイロン6粒子の調製工程200は、混合工程210、ナノ研磨工程220、造粒重合工程230、粘度調整工程240及び水分調整工程250を含む。
【0025】
混合工程210としては、多孔性珪酸塩粉体とカプロラクタム粉体を混合させて脱臭粒子原料を得る。
脱臭粒子原料の100重量百分率に対して、多孔性珪酸塩粉体の重量百分率が2%〜6%、カプロラクタム粉体の重量百分率が94%〜98%であってよい。
好ましくは、前記多孔性珪酸塩粉体の重量百分率が5%であり、前記カプロラクタム粉体の重量百分率が95%である。
前記カプロラクタム粉体は、市販の製品であってよい。
【0026】
ナノ研磨工程220としては、前記脱臭粒子原料を研磨し、
脱臭ナイロン6
分散液を得る。
脱臭ナイロン6
分散液の平均粒子径が100nm〜200nmである。
ナノ研磨を行う場合、多孔性珪酸塩粉体のカプロラクタム粉体への分散性を強め、更に、製造された脱臭ナイロン6繊維の脱臭効率を向上させるために、前記脱臭粒子原料における多孔性珪酸塩粉体とカプロラクタム粉体をナノオーダーの
分散液に精製してよい。
脱臭ナイロン6
分散液の平均粒子径を100nm〜200nmまで研磨すると、昇圧状況を効果的に安定させることができる。
【0027】
造粒重合工程230としては、前記
脱臭ナイロン6
分散液を重合させて、複数の脱臭ナイロン6粒子を得る。
製造された脱臭ナイロン6粒子に対しては、後の
吐糸等の紡績プロセスに用いられるように、更に物理的改質をしてよい。
【0028】
粘度調整工程240としては、脱臭ナイロン6粒子の相対粘度を2.20〜2.30に調整してよい。
脱臭ナイロン6粒子の相対粘度が3.0よりも大きくなると、製糸液の製糸液管路内での滞在時間が長すぎるので製糸に不利であるが、
脱臭ナイロン6粒子の相対粘度が2.2よりも小さくなると、製造された脱臭ナイロン6の繊維強度が低すぎるので、
脱臭ナイロン6粒子の相対粘度を2.20〜2.30の間に調整すれば、わりに安定した製糸効果を得ることができる。
【0029】
水分調整工程250としては、脱臭ナイロン6粒子の含水率を350ppm〜550ppmに調整してよい。
水分の調整によって脱臭ナイロン6粒子の含水率を丁度良くして、好適な製糸の物性を得、製糸の途中での糸切れや脱臭ナイロン6粒子の自然分解の可能性を低下させることができる。
【0030】
製糸工程300は、製糸原料を提供する工程310及び溶融・混練工程320を含む。
【0031】
製糸原料を提供する工程310としては、粘度調整工程240と水分調整工程250の行われた前記脱臭ナイロン6粒子を提供する。
製糸原料は、二酸化チタン粉体を更に含んでよい。
脱臭ナイロン6粒子の100重量百分率に対して、二酸化チタン粉体の添加量は、0重量百分率より大きく7.5重量百分率以下である。
前記二酸化チタン粉体が従来のつや消し剤であるので、製糸原料に二酸化チタンを添加すれば、本発明の脱臭ナイロン6粒子で作られた脱臭ナイロン6繊維にセミダル又はフルダルの光沢を与え、その適用範囲をより広くすることができる。
【0032】
溶融・混練工程320としては、前記製糸原料に対して255℃〜265℃の温度で溶融、混練、製糸を行って、脱臭ナイロン6繊維を得る。
【0033】
図2を参照されたい。
図2は、本発明の別の実施形態による製糸工程300を示す工程流れ図である。
製糸工程300は、製糸原料を提供する工程310及び溶融・混練工程320に加え、
吐糸工程330、冷却工程340、引伸工程350及び巻取工程360を更に含む。
【0034】
吐糸工程330としては、溶融・混練工程320で製糸原料に対して溶融・混練を行って形成された製糸液を
吐糸して、脱臭ナイロン6
紡糸口糸を形成する。
脱臭ナイロン6
紡糸口糸と粘度調整工程240の行われた脱臭ナイロン6粒子との相対粘度差値はΔRVであり、
脱臭ナイロン6
紡糸口糸の相対粘度値はRV1であり、
粘度調整工程240の行われた脱臭ナイロン6粒子の相対粘度はRV2である。
ΔRVはRV1とRV2との差値であり(ΔRV=RV1−RV2)、0<ΔRV<0.1という関係式を満たす。
これにより、後の脱臭ナイロン6繊維が高速な製糸で最高の紡績状況に達成することに寄与する。
【0035】
脱臭ナイロン6
紡糸口糸を硬化させて定形して、脱臭ナイロン6硬化糸を形成するように、冷却工程340は18℃〜22℃の温度で行われてよい。
冷却温度が18℃よりも低くなると、脱臭ナイロン6
紡糸口糸の冷却速度が高すぎ、更にカプロラクタム単体の配列状態に影響を与えて、製造された脱臭ナイロン6の繊維強度が予想どおりにならない。
冷却温度が22℃よりも高くなると、冷却不足により後の調製の途中で引き伸ばされにくいこと等の影響が発生し、製糸の効率が保証されない。
【0036】
引伸工程350としては、脱臭ナイロン6硬化糸を延在させる。
引伸工程350の引伸比は1.2%〜1.5%であってよい。引伸比は出力速度と入力速度との比率であり、
引伸比が1.2%よりも低くなると、製糸の途中で糸切れ等の現象が発生しやすく、
引伸比が1.5%よりも高くなると、引き伸ばされすぎて、脱臭ナイロン6硬化糸が切れやすい。
引伸工程350は、145℃〜200℃の温度で脱臭ナイロン6硬化糸の熱定形を行う加熱工程351を更に含んでよい。145℃〜200℃の温度で加熱工程351を行うと、脱臭ナイロン6硬化糸を熱定形させることができる。
温度が高すぎると、硬化糸が引伸輪において激しく揺れ、張力が小さすぎるので糸として紡績されないが、
温度が低すぎると、硬化糸に対する熱定形が不足であり、分子鎖の内応力が増やし、円盤状糸の成形が容易に制御されない。
【0037】
巻取工程360としては、熱定形された脱臭ナイロン6硬化糸に対して3200m/min〜4800m/minの回転速度で巻きつけて、引伸工程350と巻取工程360によって脱臭ナイロン6硬化糸の強度や延伸率等の物性を改善することで、後の紡績プロセスに適合な脱臭ナイロン6繊維にする。
【0038】
図3を参照されたい。
図3は、
図2における製糸工程300の製糸設備500を示す模式図である。
図3中、製糸設備500は、給料溝510、押出機サーバモータ520、押出機530、製糸液管路540、製糸箱550、冷却設備560、延在装置570及び巻取装置580を含む。
【0039】
製糸原料を提供する工程310を行う場合、まず粘度調整工程240と水分調整工程250の行われた前記脱臭ナイロン6粒子及び二酸化チタン粉体を給料溝510に投入して、給料溝510を介して押出機530に入れる。
【0040】
溶融・混練工程320としては、押出機530における脱臭ナイロン6粒子及び二酸化チタン粉体を255℃〜265℃の温度で溶融・混練して、製糸液を形成する。そして押出機サーバモータ520によって前記製糸液を押出機530から押し出して製糸液管路540に入れる。
製糸液が製糸箱550に入る前に温度が低下して製糸液管路540の中で凝固しないように、製糸液管路540の温度を260℃〜270℃に制御する。
【0041】
吐糸工程330としては、製糸箱550に入った製糸液を計量ポンプ(未図示)によって分配して、配置管路を介して各紡績口(未図示)に分配して脱臭ナイロン6
紡糸口糸Aを形成する。製糸箱550の温度を260℃〜270℃に制御する。
また、製糸箱550と冷却設備560との間に無風帯(未図示)を更に含む。無風帯を設ければ、脱臭ナイロン6
紡糸口糸Aをゆっくり冷却させ、気流等の外力の繊維の結晶に対する影響を避け、更に脱臭ナイロン6
紡糸口糸Aの強度を向上させることができる。
【0042】
冷却工程340としては、冷却設備560によって脱臭ナイロン6
紡糸口糸Aを冷却させる。
冷却設備560は、温度18℃〜22℃の冷却ガスを提供し、脱臭ナイロン6
紡糸口糸Aを冷却し定形させて、脱臭ナイロン6硬化糸を形成する。また、ノズル又は油差し(未図示)によって脱臭ナイロン6
紡糸口糸Aを定形させ油をさして、糸束を収束させ潤滑にする。
【0043】
引伸工程350としては、延在装置570によって脱臭ナイロン6硬化糸を延在させて加熱工程351を行って、脱臭ナイロン6硬化糸に対して熱定形を行う。
図3に示すように、延在装置570は、第1の引伸輪571、第2の引伸輪572及び第3の引伸輪573を含む。
少なくとも1つの引伸輪が加熱機能を提供して、硬化糸を加熱して定形させることができる。脱臭ナイロン6硬化糸に対して多段延在を行うことで、製造された脱臭ナイロン6繊維の強度や延伸率等の物性を改善する。
【0044】
巻取工程360を行う場合、引伸工程350の行われた脱臭ナイロン6硬化糸に対して巻取装置580によって3200m/min〜4800m/minの回転速度で巻きつけて、紙チューブに巻取って円盤状糸を形成する。
引伸工程350と巻取工程360を経て、脱臭ナイロン6硬化糸の物性が既に変わり、更に、後の紡績プロセスに適合な脱臭ナイロン6繊維になる。
【0045】
(脱臭ナイロン6繊維)
本発明の脱臭ナイロン6繊維は、前記脱臭ナイロン6繊維の製造方法100により製造される。脱臭ナイロン6繊維の単繊維デニール数は0.5dpf〜6dpfであり、脱臭ナイロン6繊維の強度は3.0g/d〜6.8g/dである。脱臭ナイロン6繊維の延伸率は40%〜50%であってよい。本発明の脱臭ナイロン6繊維は、良好な脱臭効果を有し、優れた紡績特性を有し、当業者が関連分野に幅広く適用することができる。
【0046】
(実施例及び比較例)
(1.
脱臭ナイロン6
分散液の分散性テスト)
本試験では、
脱臭ナイロン6
分散液における多孔性珪酸塩粉体とカプロラクタム粉体のナノ研磨された後の粒子径分布を分析して、更にそのナノ粒子の分散性を分析するために、昇圧テストを行った。
【0047】
粒子径の分析は、レザー粒子径分析装置によって
脱臭ナイロン6
分散液の平均粒子径及び粒子径分布を分析した。
昇圧テストの点で、実験的に、脱臭ナイロン6粒子を溶融させ、脱臭ナイロン6粒子の溶融液を25μのフィルターの入れた1軸式篩分昇圧装置に注入してその圧力の変化を観察した。
【0048】
下記表1は、異なる比率の多孔性珪酸塩粉体とカプロラクタム粉体とを混合させてナノ研磨を行った後の粒子平均粒子径及び分散性の結果である。
脱臭粒子原料の100重量百分率に対して、
実施例1の多孔性珪酸塩粉体の重量百分率は3%であり、カプロラクタム粉体の重量百分率は97%であり、
実施例2の多孔性珪酸塩粉体の重量百分率は5%であり、カプロラクタム粉体の重量百分率は95%であった。
本試験では比較例1と比較例2を更に行った。
比較例1では、7%の多孔性珪酸塩類と93%のカプロラクタム粉体を混合させた。
比較例2では、9%の多孔性珪酸塩類と91%のカプロラクタム粉体を混合させた。
上記の実施例と比較例において、ナノ研磨の脱臭ナイロン6
分散液の平均粒子径及び分散性に対する効果を更に比較するために、実施例1、及び2と比較例1により製造された
脱臭ナイロン6
分散液の何れもがナノ研磨工程で研磨されたが、比較例2ではナノ研磨工程を行わなかった。
また、沈殿の状況が発生したかを観察するために、実施例1、実施例2、比較例1と比較例2により得られた
脱臭ナイロン6
分散液を5分間静置した。
【表1】
【0049】
表1に示すように、ナノ研磨工程を経った後、実施例1〜2の何れの平均粒子径も100nm〜200nmの間になった。
一方、ナノ研磨工程を行わなかった比較例1と比較例2の平均粒子径がそれぞれ3635nm及び5338nmであった。
よって、ナノ研磨工程で処理された後で、当業者が多孔性珪酸塩粉体とカプロラクタム粉体を効果的に研磨して、
脱臭ナイロン6
分散液の平均粒子径を100nm〜200nmの間にすることで、多孔性珪酸塩粉体とカプロラクタム粉体の分散効果を大幅に向上させることができることが判明した。
【0050】
分散性は、
実施例2の
脱臭ナイロン6
分散液の分散性は最高であり、
実施例1の比率で多孔性珪酸塩粉体とカプロラクタム粉体を混合させて製造された
脱臭ナイロン6
分散液も良好な分散性を有し、
また上記の実施例1と実施例2の
脱臭ナイロン6
分散液が5分間静置された後、如何なる凝集や沈殿の現象も目視されなかった。
しかしながら、比較例1と比較例2の
脱臭ナイロン6
分散液の場合、分散性が悪く、5分間静置された後、何れも凝集や沈殿の現象が目視された。
よって、本発明の比率で混合させれば、概ね、脱臭機能付きの多孔性珪酸塩粉体を、カプロラクタム粉体の中に、効果的に均一に加えて好適な分散性を与えることができ、後のナイロン6脱臭繊維の調製に寄与することが判明した。
【0051】
(2.脱臭ナイロン6粒子の性質分析)
本試験では、脱臭ナイロン6粒子の粘度、含水率、アミン濃度及び灰分等の性質を検出することで、本発明の脱臭ナイロン6粒子の製糸の物性を更に分析した。
【0052】
相対粘度の測定は、0.25gの脱臭ナイロン6粒子を、100mlの濃度98重量百分率の硫酸に対して1gであるようにして溶解させて、オストワルド型粘度計で、25℃でその流下時間(T1)を測定し、98重量百分率の硫酸の流下時間(T2)を測定して、T1とT2との比率を相対粘度の数値とした。
【0053】
含水率の測定は、カールフィッシャー(Karl Fisher's)電量滴定法水分計(平沼産業株式会社製の微量水分測定装置AQ-2000及び同社製の水分気化装置EV-200)で含水率の測定を行い、水分気化温度180℃の、乾燥窒素気流下で、脱臭ナイロン6粒子の含水率を間接に測定した。
【0054】
アミン濃度の測定は、実験的に、まず、1gの試料をはかって40mlのフェノール(Phenol)とメタノール(Methanol)との混合水溶液に加え、試料含有の水溶液を振動して試料を完全に溶解させて、酸塩基滴定(titration)によってアミン濃度を検出した。
上記の酸塩基滴定検出形態としては、塩酸水溶液(HCl)で滴定して、ブロモチモールブルー水溶液(Bromothymol Blue、BTB)を指示剤(指示薬)として、試料の当量点を検出し、それに基づいて試料におけるアミン濃度を推算した。
【0055】
灰分の含有量の測定は、実験的に、まず5gの試料をはかって坩堝(るつぼ)に置き、試料含有の坩堝を高温炉に入れ、800℃で2時間加熱した後で、取り出して乾燥装置内に置いて30分間冷却させ、試料における灰分の含有量を間接に推算するために、更に坩堝の重量を量った。灰分の含有量の算出公式は、下記の通りである。
【数1】
【0056】
本試験では、実施例3と比較例3によって分析した。
実施例3の脱臭ナイロン6粒子は、本発明の脱臭ナイロン6繊維の製造方法による脱臭ナイロン6粒子の調製工程により製造され、
比較例3の脱臭ナイロン6粒子は市販の従来のナイロン6粒子であった。
従来のナイロン6粒子の製造方法は慣用の技術であるので、ここで詳しく説明しない。
【0057】
表2は、本試験における実施例3と比較例3のナイロン6粒子の性質分析の結果である。
表2から分かるように、実施例3の相対粘度は2.23であり、比較例3の2.45と比べるとわずかに異なった。
含水率は、粒子の含水率が500ppmよりも低くなると、製糸の効率の向上に有利である。実施例3の含水率は440ppmであり、比較例3の含水率は480ppmであった。
アミン濃度と灰分は、実施例3の数値も比較例3の数値と同等であるので、本発明の脱臭ナイロン6繊維の製造方法で製造された脱臭ナイロン6粒子が、製糸の物性において従来のナイロン6粒子と類似しており、後の紡績と織物製造プロセスを効果的に行うことができることが判明された。
【表2】
【0058】
(3.脱臭ナイロン6繊維の性質分析)
本試験では、本発明の脱臭ナイロン6繊維の後の織物製造の効率を説明するように、本発明の脱臭ナイロン6繊維の単繊維デニール数、強度、延伸率及び熱湯収縮率を測定することで、その繊維の性質を更に評価した。
【0059】
物性の測定方法は、単繊維デニール数(Denier)は紡績産業総合研究所(台湾)により、試験方法ASTM D1907-2010に基づいて検出し、強度は試験方法ASTM2256に基づいて検出し、延伸率は試験方法ASTM2256に基づいて検出し、熱湯収縮率は試験方法ASTM D2259-2002に基づいて検出した。
【0060】
本試験では、実施例4と比較例4の従来のナイロン6繊維によって繊維の性質方面の比較を行った。
実施例4は、本発明の脱臭ナイロン6繊維の製造方法によって製造されたものを用いた。
実施例4の脱臭ナイロン6繊維は脱臭ナイロン6粒子の100重量百分率に対して0.9重量百分率の二酸化チタン粉体を更に添加し、
図3に示す製糸設備500によって後の製糸工程を行った。
製糸の途中で、押出機530は4つの領域に分かれ、第1の領域の温度T1が257℃に、第2の領域の温度T2が259℃に、第3の領域の温度T3が261℃に、第4の領域の温度T4が263℃に設定された。
延在装置570において、脱臭ナイロン6硬化糸に対して熱定形を行うために、
第1の引伸輪571の回転速度GR1が3550m/minに、
第2の引伸輪572の回転速度GR2が4225m/minに、
第2の引伸輪の温度GRT2が145℃に設定された。
第3の引伸輪573の回転速度GR3が4215m/minに設定された。
引伸比としては、第3の引伸輪573の回転速度GR3を出力速度とし、第1の引伸輪571の回転速度GR1を入力速度として算出するので、本発明の脱臭ナイロン6繊維の引伸比は(GR3/GR1)約1.19であった。
これにより、規格50/34SDのセミダル脱臭ナイロン6繊維を生産した。
【0061】
表3は、本試験における実施例4と比較例4のナイロン6繊維の性質分析の結果である。
実施例4と比較例4との製造時の押出機温度T1〜T4の設定が同じであるが、
比較例4の引伸輪回転速度GR1〜GR3の設定は実施例4と異なった。
表3に示すように、実施例4の脱臭ナイロン6繊維の単繊維デニール数が50.7であり、比較例4の50.8単繊維デニール数と相当であるので、本発明の脱臭ナイロン6繊維と従来のナイロン6繊維が相当な繊維のコンパクトを持つことが判明した。
強度は、実施例4の強度は3.96g/dであり、比較例4の強度は5.6g/dであった。
延伸率と熱湯収縮率は、
実施例4の延伸率は43.4%であり、熱湯収縮率は6.8%であるが、
比較例4の延伸率は47.0%であり、熱湯収縮率は8.0%であるので、
本発明の脱臭ナイロン6繊維の製造方法で製造された脱臭ナイロン6繊維は、高温溶融及び後の製糸工程を経た後でも、後の製糸加工及び織物製造作業に好適に使用でき、潜在的な適用可能性があることが判明した。
【表3】
【0062】
(4.脱臭ナイロン6繊維の消臭能力テスト)
本試験では、その脱臭能力を確認するために、本発明の脱臭ナイロン6繊維の酢酸及びアンモニア分子に対する除去率をテストした。
実験は、本試験も、また前記実施例4と比較例4の従来のナイロン6繊維とを比較し、前記実施例4及び比較例4のナイロン6繊維を靴下に編み込んで、後の脱臭能力のテストをした。
酢酸の除去率については消臭加工紡績品検証規範試験方法における番号FTTS-FA-018の検出方法を参照して検出し、アンモニア分子の除去率についても前記検出方法を参照して検出した。
【0063】
表4は、本試験における実施例4と比較例4のナイロン6繊維の脱臭能力の分析結果である。表4から分かるように、比較例4の82%の酢酸除去率及び44.3%のアンモニア分子除去率に対して、実施例4の酢酸除去率は94%であり、アンモニア分子除去率は88%である。
よって、本発明の脱臭ナイロン6繊維の製造方法で製造された脱臭ナイロン6繊維は、優れた脱臭性質を有し、従来のナイロン6繊維の脱臭効果を大幅に改善し、脱臭と防臭の効果を達成させると共に、脱臭ナイロン6繊維の適用レベルと範囲を広げることができることが判明した。
【表4】
【0064】
以上をまとめると、本発明は下記メリットを持つ。
【0065】
一.本発明の脱臭ナイロン6繊維の製造方法は、多孔性珪酸塩粉体を添加することでナイロン6繊維の脱臭機能を達成し、ナノ研磨によって多孔性珪酸塩粉体を
脱臭ナイロン6
分散液に均一に分散させ、後の製糸の途中でその脱臭特性を保持し、脱臭ナイロン6繊維の製造をより効率的にすることができる。
【0066】
二.本発明の脱臭ナイロン6繊維は、酢酸及びアンモニア分子を効果的に除去することができ、良好な脱臭効果を有し、なお、その強度、延伸率等の物性も良く、潜在的な適用可能性がある。
【0067】
本発明を実施形態により、前記の通りに開示したが、これは本発明を限定するものではなく、当業者なら誰でも、本発明の精神と領域から逸脱しない限り、多様な変更や修正を加えることができる。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。