(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774491
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】電気コネクタ及び接続方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/623 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
H01R13/623
【請求項の数】29
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-522858(P2018-522858)
(86)(22)【出願日】2016年7月19日
(65)【公表番号】特表2018-521493(P2018-521493A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】EP2016067181
(87)【国際公開番号】WO2017013116
(87)【国際公開日】20170126
【審査請求日】2019年2月14日
(31)【優先権主張番号】1512921.6
(32)【優先日】2015年7月22日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518024471
【氏名又は名称】ボルホフ ユニファスト エスアールエル
【氏名又は名称原語表記】BOLLHOFF UNIFAST SRL
(74)【代理人】
【識別番号】100083150
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻木 信義
(72)【発明者】
【氏名】ボーシャン,サイモン ロバート
【審査官】
高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭53−054341(JP,U)
【文献】
特開2007−128801(JP,A)
【文献】
米国特許第03656466(US,A)
【文献】
実開昭61−087473(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/623−13/625
H01R 4/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コネクタにおいて、
少なくとも一つの螺旋状のカム溝を有するスタッドと、少なくとも一つのカム従動子および付勢手段によって構成されたレセプタクルとを有する、迅速に切り離し可能な留め具と、
第1の電気接触面と、第2の電気接触面とを有する、電気組立体に対する接続用のコネクタとを有し、
前記コネクタは、前記スタッドが前記第1の電気接触面に固定的に向くようにさせ、前記レセプタクルは、前記スタッドに対して回転可能であって、かつ、前記第1の電気接触面および前記第2の電気接触面が操作可能な係合状態になるように、その回転によって、前記第2の電気接触面に対して保持され、これによって、前記第1の電気接触面および前記第2の電気接触面を横切る方向に一定の締め付け力を維持することを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記スタッドは、その一端にヘッドを有する本体を含む請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記本体は形状が略円筒形であり、長手方向の中心軸を有する請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記本体は、第1端部及び第2端部との間で延在し、前記本体の前記第2端部が前記ヘッドに装着される請求項2又は3に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記本体は、その一方の端部に少なくとも1つの螺旋状のカム溝を含む請求項2、3又は4に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記本体は直径方向に対向する一対の螺旋状のカム溝を含む請求項2〜5のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのカム溝はバヨネット構成を有しており、前記本体の先端から前記ヘッドに向かい延在し、ロック移動止めで終端する請求項2〜6のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記レセプタクルは、前記スタッドの前記本体を収容する形状の内側凹部を含む請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記内側凹部は、前記スタッドとハウジングの結合を容易にするために少なくとも1つのカム従動子を備える請求項8に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記ハウジングの前記内側凹部が前記付勢手段をさらに備える請求項8又は9に記載の電気コネクタ。
【請求項11】
前記付勢手段は、ばねを含む請求項10に記載の電気コネクタ。
【請求項12】
前記レセプタクルは、前記少なくとも1つのカム従動子を備えるインターフェースプレートを含む請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項13】
前記インターフェースプレートは、直径方向に対向する、内側に延在する一対のカム従動子を備える請求項12に記載の電気コネクタ。
【請求項14】
前記ばねと前記インターフェースプレートが前記レセプタクル内に保持されている請求項12又は13に記載の電気コネクタ。
【請求項15】
前記インターフェースプレートは、前記ばね圧に抗して前記レセプタクル内で軸方向に移動自在である請求項12〜14に記載の電気コネクタ。
【請求項16】
前記コネクタは、さらに、開口を有するバッテリポストのようなポストを含む請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項17】
前記開口は、前記スタッドの前記本体を収容できる寸法である請求項16に記載の電気コネクタ。
【請求項18】
前記開口の形状が略円形である請求項16又は17に記載の電気コネクタ。
【請求項19】
前記レセプタクルは、前記ポストの厚み全体又は一部を包含できるよう、アンダーカット又は変形可能なフランジを有する請求項16から18のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項20】
前記コネクタがスペードを含む請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項21】
前記スペードは、開口を含む請求項20に記載の電気コネクタ。
【請求項22】
前記開口は、略円筒形であり、前記ポスト内に設けられた前記開口と略同じ直径を有する請求項21に記載の電気コネクタ。
【請求項23】
自動車又は他の車両内のバッテリに接続するための請求項1から22のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれかに記載の電気コネクタを用いて電気接続を行う方法。
【請求項25】
前記スタッドと、前記レセプタクルとを接続するステップを含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記スタッドと前記レセプタクルの接続の前に、前記コネクタが有するスペード内に設けられた開口を介して前記スタッドの一端に設けられた本体を通すステップを含む請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
さらにバッテリポストのようなポスト内に設けられた開口を介して前記スタッドの前記本体を通すステップを含む請求項24〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
請求項1〜23のいずれかに記載の電気コネクタの製造方法。
【請求項29】
請求項1〜23のいずれかに記載の電気コネクタを含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
溶接やリベット継手などのような他の留め具タイプに比してボルト継手の顕著な利点は、そのようなボルト継手は切り離しができるということである。しかし、動作条件により、緩み及び/又はその後、意図せず外れた場合に問題を引き起こす可能性がある。しばしば振動緩みと呼ばれる、そのような意図しない緩みは、継手に対するナット又はボルトヘッドの側方運動によって引き起こされ、ひいては留め具のねじ山で相対運動が起きる。このような継手は、大きい振動を受けないような機器での使用に向いている。しかし、継手に大きい振動及び/又は高い動的負荷がかかる場合には、問題が発生し得る。振動が発生している間、ボルト/ナットの接触面における局所的な滑りが、ねじ山付き留め具を緩めてしまう可能性がある。摩擦ベース、ばねベース、及び締まり嵌めベースの留め具の場合は、ねじ山に追従してボルトを継手から離れる方向に移動させるという性質の傾向があるため、これらの状況では良好な対応ができない。ナットは、振動を受け、それがねじ山との摩擦を超えた場合に優先される回転方向を有する。振動に誘起されて留め具がわずかに移動するだけで、締め付け荷重が大幅に軽減され、その締め付け荷重が一度失われると、ボルトがさらに移動し、軸にさらなる間隙が形成されて、弱化されたボルトは磨耗と擦り切れによりせん断される可能性がある。
【0003】
したがって、はじめから荷重をかけられたボルト又はナットは、留め具の雄と雌のねじ山の間で生じる相対運動により、回転して緩む可能性がある。相対運動の3つの一般的な原因は、次のとおりである。(1)摩擦面で誘起される力を生じる部品の湾曲。滑りが発生した場合は、ヘッドとねじ山が滑り、緩みにつながる可能性ある。(2)温度差又は締め付けられる材料の違いのいずれかによって引き起こされる示差熱効果。及び/又は(3)ボルト及び/又はナットの緩みにつながる継手面のずれを引き起こす可能性を有する、継手にかかる力。一般に、留め具の自発的な緩みを防止するための鍵は、例えば、接合面に、ボルトヘッド又はナットと継手との間の相対運動を防止するだけの十分な締め付け力があること、そして、継手が、埋め込み、及び応力緩和の効果を有するように設計されていることである。
【0004】
回転可能なキャプティブナットは、修理のためにアクセスが必要とされる、及び/又は電気的切断が安全のために必要とされる機器に使用されてきた。キャプティブナットを設けることにより、切断されたときにナットが喪失する可能性が減る。加えて、キャプティブナットを使用することにより、システムの組み立て時に必要とされる部品数を低減する。
【0005】
回転可能なキャプティブナットは、多くの場合、ねじ山付き留め具を含む。しかしながら、このようなねじ山付き留め具は、ユニット又は他の設備などのシステムの迅速な組み立て及び/又は分解ができない。加えて、システムの組み立て中に、ねじ山付き留め具は、エネルギーが張力、捩り及び/又は屈曲エネルギーの形で導入されるように、締め付けて、組み立てた継手を横切る方向の予荷重を生成しなければならない。このエネルギーは、留め具の雄と雌ネジの嵌合及びナットの接触スラスト面によって生成される摩擦を介してねじ山付き留め具内に保持される。摩擦力を上回ると、留め具に格納されたエネルギーと生成されてきた予荷重が失われる。これは、ある期間にわたって徐々に発生するとともに、振動によって引き起こされ得る。振動やその他の条件の性質に応じて、留め具システムが耐えなければならない有限の合成緩みトルクが存在する。よって、荷重がかかった状態のボルトの残余張力が、緩みトルク振動より大きい摩擦トルクを生成するのに適した張力となるように、ボルトをある特定の予荷重まで締め付ければ振動緩みは発生しない。予荷重をかけないと、ねじ山付き留め具の雄及び雌要素の係合が解除され、留め具組立体は緩み、最終的には、外れてしまう。
【0006】
振動緩みに抗するのに十分なねじ山摩擦を得るためには、電気的接触の維持に必要とされるよりも高いトルクとその後の継手を横切る締め付け荷重が求められる。より高いトルクを高くすると、スタッドヘッドの周囲の構造をより頑丈とすることや、これらのねじり力に耐えられるように取り付けを行う必要がある。したがって、支持構造が過度となる。組み立てや、解体後の再組み立てには、正しいトルクを確実にかけられる特殊なツールを使用する必要がある。例えば、そのような組み立て及び再組み立てには、トルクレンチを使用する必要がある。トルクは、潤滑、表面仕上げ、ねじ山表面の損傷や嵌合表面を含む多くの要因によって影響されるので、信頼性の高い締め付け方法ではない。
【0007】
ねじ山付き留め具を使用する場合は、ねじ山による接続を横切る方向の摩擦を維持し、留め具が緩まないように防ぐため、締め付けた継手を横切る方向に、かなりの割合の締め付け荷重が必要である。
【0008】
また、継手に対する熱衝撃及び負荷がかかることにより、留め具が外れてしまう可能性もある。これは、ねじ山付き留め具が電気接続で使用される場合に特有の問題である。この場合、電気接続が緩いと、システムに高電流が流れ、発熱して火災又は他の熱損傷の原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述のような問題を緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によれば、電気コネクタであって、少なくとも1つの螺旋状のカム溝を有するスタッドを備えた4分の1回転留め具と、少なくとも1つのカム従動子と付勢手段を備えたレセプタクルと、さらに、電気組立体に対する接続手段を備え、前記電気コネクタは、第1の電気接触面と第2の電気接触面とを有し、前記第1と第2の面とを操作可能な係合状態に解放可能に接続し、前記電気コネクタは、前記面を横切る方向に一定の締め付け力を維持する電気コネクタを提供する。
【0011】
当業者は、本発明の4分の1回転留め具は、特定のタイプの留め具を記述する技術分野の用語であり、必ずしも90度回転留め具に限定されるものではないことは理解できよう。実際には、約90から180度まで、及び典型的には約140度に亘る留め具の回転を含んでいてもよい。
【0012】
有利なことに、本発明の電気コネクタは、コネクタを横切る方向に一定の締め付け力を維持する一方で、振動の影響やコネクタの不本意な外れの危険性を防ぐという利点を有する。有利なことに、コネクタは、留め具の安全な接続及び/又は切り離しを提供する一方で操作が簡単である。
【0013】
有利なことに、前記電気コネクタは、一部分に又は別の部分から迅速かつ容易な接続及び/又は切断を可能とする、迅速に切り離し可能な締結及び/又は固定手段を提供する。
【0014】
有利なことに、前記電気コネクタは、電気接点が過熱することなく、システムに大電流を流すことができる表面領域を提供する。したがって、コネクタの部品が互いに係合しているとき、前記電気コネクタは、有利なことに、安全な接続を提供し、留め具の迅速な切断及び再接続を可能にし、システムに大電流を流すことを可能にする。
【0015】
好ましくは、前記4分の1回転留め具は、その一端にヘッドを有する本体を含む。好ましくは、前記本体は、形状が略円筒形であり、長手方向に中心軸を有する。好ましくは、前記本体は、第1端部及び第2端部との間で延在し、前記本体の前記第2端部が前記ヘッドに装着される。典型的には、前記本体の前記長手方向軸は、前記ヘッドの長手方向軸に対して略垂直である。一実施形態では、前記ヘッドは、形状が略円形である。別の実施形態では、前記ヘッドは、略正方形の形状を有する。好ましくは、前記本体は、前記ヘッドの下側から延在して、直径が前記ヘッドの直径よりも小さい。典型的には、前記本体は、その一端において少なくとも1つの螺旋状のカム溝を含む。好ましくは、前記少なくとも1つの螺旋状のカム溝が、前記ヘッドに装着された前記一端に対して遠位に位置する前記本体の先端に設けられている。好ましくは、前記本体は、直径方向に対向する一対の螺旋状のカム溝を含む。典型的には、各カム溝は前記本体の前記先端から切り込まれ、前記ヘッドに向かって前記本体に沿って延在している。典型的には、前記少なくとも1つのカム溝は、螺旋構成を有する。一実施形態では、前記少なくとも1つのカム溝の前記開放端を広げてあり、前記スタッドと、相補レセプタクルの少なくとも1つのカム従動子との結合及び/又は切り離しが容易にできる。好ましくは、前記少なくとも1つのカム溝はバヨネット構成を有し、前記本体の前記先端から前記ヘッドに向かい、前記スタッドが前記レセプタクルに接続されている時に好ましくは前記対応するカム従動子が着座するロック移動止めまで延在する。
【0016】
好ましくは、少なくとも1つのカム溝を含む前記スタッド端部における直径は、5から10mmの間である。他の実施形態では、直径がより小さい又はより大きい前記スタッドを使用してもよい。好ましくは、前記レセプタクルの直径は、前記スタッドの直径に対応する大きさである。典型的には、前記レセプタクルの直径は5から15mmの間であってもよい。好ましくは、前記スタッドは、鋼又はステンレス鋼を含む。
【0017】
有利なことに、本発明の前記電気コネクタを使用することにより、追加のねじロック機構又は防振ワッシャーを使用しなくてもよい。
【0018】
一実施形態では、前記レセプタクルは、形状が略円筒形である。別の実施形態では、前記レセプタクルの少なくとも一部は、六角柱の形状を有する。好ましくは、前記レセプタクルは、前記スタッドの前記本体を収容する形状の内側凹部を含む。好ましくは、前記内側凹部は、形状が略六角形である。好ましくは、前記付勢手段は、前記内側凹部内に収容されている。好ましくは、前記付勢手段は、ばねを含む。好ましくは、前記レセプタクルはさらに、インターフェースプレートを備え、前記インターフェースプレートは、好ましくは、少なくとも1つのカム従動子を備える。典型的には、前記ばねと前記インターフェースプレートは、前記レセプタクル内に保持されている。典型的には、前記インターフェースプレートは、前記レセプタクル内で回転不能であるが、前記ばね圧に抗して前記レセプタクル内で軸方向に移動自在である。好ましくは、前記インターフェースプレートの前記形状は、前記レセプタクルの前記凹部の形状に対応している。
【0019】
好ましくは、前記インターフェースプレートは、前記スタッド上に設けられた、対応するカム溝との係合に対応する2つのカム従動子を備える。好ましくは、前記インターフェースプレートは、前記プレートを横切る方向に向いた、好ましくは一対のタブの形で、直径方向に対向して内側に延在する一対のカム従動子を備える。好ましくは、前記少なくとも1つのカム従動子は前記スタッド上に設けられた前記少なくとも1つのカム溝と係合するように構成されている。典型的には、前記スタッドの前記本体は、前記レセプタクルの開放端に導入されるため、前記インターフェースプレートに設けられた前記カム従動子と接触し、前記カム従動子は、前記スタッドを初めにわずかに回転させて前記カム溝への前記入口と整列させるようにしてもよい。典型的には、前記少なくとも1つのカム従動子は、前記少なくとも1つのカム溝内に設けられた前記ロック移動止めを介して前記スタッドとの接続後に所定の位置に保持してもよい。有利なことに、前記付勢手段は、前記レセプタクル内の前記カム従動子とスタッドの相対的な軸方向移動を可能としているので、前記留め具の接続と切り離しが容易である。
【0020】
好ましくは、前記少なくとも1つのカム溝は前記スタッド上に設けられ、前記レセプタクルに対して前記スタッドの前記本体を4分の1回転することを可能として、前記留め具をそれぞれ開く及び/又は閉じるように構成されている。好ましくは、前記スタッドの前記本体は、前記留め具を開く及び/又は閉じるために、前記レセプタクルに対して、90度から180度の間、好ましくは約140度に亘って回転するように構成されている。
【0021】
好ましくは、前記レセプタクルは真鍮、アルミニウム、プラスチック、鋼又はステンレス鋼を含む。好ましくは、前記スタッド、ばね及び/又はインターフェースプレートは、鋼又はステンレス鋼を含む。
【0022】
好ましくは、前記コネクタは、さらに、開口を含むバッテリポストなどのポストを含む。好ましくは、前記開口は、形状が略円形である。典型的には、前記開口は、前記スタッドの前記本体が前記開口を通過できるように、前記スタッドの前記本体を収容できる寸法となっている。典型的には、前記レセプタクルは、前記ポストの厚み全体又は一部を包含できるよう、典型的には、アンダーカット又は変形可能なフランジを使用してバッテリポストに装着されている。好ましくは、前記スタッドは前記ポストに保持される。好ましくは、前記スタッドの前記ヘッドが前記ポストに固定され、前記ポストとともに回転しない。
【0023】
好ましくは、電気組立体に対する接続手段は、スペードを有する。典型的には、前記スペードは、開口を有する。前記開口は、略円筒形であり、好ましくは、前記パネル内に設けられた前記開口と略同じ直径を有することが好ましい。典型的には、電気組立体に対する接続手段は、さらに、バッテリにつながる複数のケーブルを含んでいてもよい。好ましくは、前記レセプタクルはスペードに保持されるが、組み立てを可能にするため回転可能である。好ましくは、前記レセプタクルの前記フランジ面は、それが保持されている前記スペードに対応するように形成されている。
【0024】
典型的には、前記スタッドの前記本体は、前記ポストの開口と前記スペードの開口の両方を通って前記レセプタクル内に収容されている。
【0025】
好ましい実施形態において、電気コネクタは、自動車又は他の車両内のバッテリに接続するために使用してもよい。有利なことに、本発明の電気コネクタは、留め具を迅速に外すことができるので、車両が船舶、電車又は他の搬送手段上に搭載され、車両のバッテリを搬送開始前に外さなければならないようなときに非常に有益である。船舶がドックに入り、車両を降ろす準備ができた後、本発明の電気コネクタは、車両のバッテリを再接続する留め具により迅速な再接続が可能である。
【0026】
第1の態様による電気コネクタを含む電気接続を接続するための方法。
【0027】
好ましくは、前記方法は、少なくとも1つの螺旋状のカム溝を有するスタッドと、少なくとも1つのカム従動子と付勢手段を備えたレセプタクルを接続することを含み、この方法はさらに、第1の電気接触面と第2の電気接触面を設け、前記第1と第2の面を操作可能な係合状態に解放可能に接続することを含み、前記電気コネクタは、これらの面を横切る方向に一定の締め付け力を維持する。
【0028】
典型的には、前記方法は、前記スタッドとレセプタクルの接続前に、前記スタッドの前記本体をスペード内に設けられた開口に通す工程を含む。好ましくは、前記方法は、バッテリポストのようなポスト内に設けられた開口に前記スタッドの前記本体を通すステップを含む。
【0029】
第1の態様による電気コネクタの製造方法。
【0030】
第1の態様による電気コネクタを含むキット。
【0031】
本発明について、ここで、以下の図面及び図を参照しながら、例を挙げてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る電気コネクタの概略斜視図であり、コネクタが分解された構成である。
【
図1B】本発明の一実施形態に係る電気コネクタの概略斜視図であり、コネクタが組み立てられた構成を示すものである。
【
図2A】サブ組立部品を示す、
図1に示す電気コネクタの概略斜視図である。
【
図2B】
図1に示す電気コネクタの概略斜視図であり、コネクタを分解した構成を示すものである。
【
図4】
図1に示す電気コネクタの概略端面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による電気コネクタのレセプタクルとスペードの概略斜視図であり、レセプタクルとスペードが分解された構成を示すものである。
【
図6】本発明の一実施形態による電気コネクタを含む自動車内のヒューズボックスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1を参照すると、電気コネクタ(2)であって、少なくとも1つの螺旋状のカム溝(8)を有するスタッド(6)を備えた4分の1回転留め具(4)と、少なくとも1つのカム従動子(24)と付勢手段(12)とを含むレセプタクル(10)と、さらに電気組立体に対する接続手段(14)とを含み、電気コネクタは、第1の電気接触面(16)と第2の電気接触面(17)とを有するとともに第1と第2の面とを操作可能な係合状態に解放可能に接続し、これらの面を横切る方向に一定の締め付け力を維持するように構成された電気コネクタ(2)が提供される。
【0034】
4分の1回転留め具(4)は、その一端にヘッド(20)を有する本体(18)を含む。本体(18)は、形状が略円筒形であり、長手方向に中心軸を有する。本体(18)は、第1端部及び第2端部との間に延在しており、本体の第2端部はヘッド(20)に取り付けられている。本体(18)の長手方向軸は、ヘッド(20)の長手方向軸に対して略垂直である。本体(18)は、ヘッドの下面から延在し、ヘッド(20)の直径よりも直径が小さい。図に示す実施形態では、ヘッド(20)は、略正方形の形状を有し、本体よりも直径が大きい。本体(18)は、ヘッドに取り付けられた端部から遠位に位置する本体の先端に設けられた一対の直径方向に対向する螺旋状のカム溝(8)を備える。図に示すように、各溝(8)は、本体(18)の先端から切り込まれ、ヘッド(20)に向かって本体に沿って延在する。一実施形態では、少なくとも1つのカム溝(8)の開放端部を広げ、相補レセプタクル(10)の少なくとも1つのカム従動子(24)に対するスタッド(6)の結合及び/又は取り外しを容易にしてもよい。好ましくは、少なくとも1つのカム溝(8)はバヨネット構成を有し、本体の先端からヘッドに向かい、スタッドがレセプタクルに接続されると、対応するカム従動子(24)が好ましくは着座するロック移動止め(21)まで延在する。
【0035】
好ましくは、少なくとも1つのカム溝を含むスタッド端部における直径は、約6mmである。好ましくは、レセプタクルの外径は、14mmである。好ましくは、長手方向軸に沿ったレセプタクルの長さは16mmである。
【0036】
図1、2及び5を参照すると、レセプタクル(10)は、部分的に六角柱の形状を有し、また、部分的に円筒形状を有している。レセプタクル(10)は、スタッドの本体(18)を収容するような形状の内側凹部(22)を含む。内側凹部(22)は、スタッド(6)とレセプタクル(10)の結合を容易にするために、2つのカム従動子(24)を備えている。カム従動子(24)は、インターフェースプレート(28)内に設けられている。カム従動子は、インターフェースプレート(28)を横切る方向に対向する一対のタブの形態をとる。スタッドの本体がレセプタクルの上側の開放端に導入されると、インターフェースプレートに設けられたカム従動子と接触するので、カム従動子を初めにわずかに回転させることによりカム溝への入口と整列させるようにしてもよい。カム従動子(24)は、スタッドとの接続後、対応するカム溝の端部を構成するロック移動止め(21)を介して所定の位置に保持することができる。レセプタクル(10)の内側凹部(22)は、さらに付勢手段(12)を備える。本実施形態では、付勢手段(12)は、ばねを備える。典型的には、ばねとインターフェースプレート(28)がレセプタクル(10)内に保持されている。有利なことに、付勢手段は、レセプタクル内のカム従動子とスタッドの相対的な軸方向移動を可能としているので、留め具の接続と切り離しが容易である。典型的には、インターフェースプレート(28)は、レセプタクル(10)内で回転不能であるが、ばね圧に抗して軸方向に移動自在である。
【0037】
例えば、
図5に示す実施形態では、2つのカム従動子(24)が、インターフェースプレート(28)に設けられている。典型的には、少なくとも1つのカム従動子(24)は、少なくとも1つのカム溝内に設けられたロック移動止め(21)を介してスタッドとの接続後に所定の位置に保持してもよい。好ましくは、少なくとも1つの螺旋状のカム溝(8)はスタッド(6)上に設けられ、レセプタクル(10)に対して本体(18)の4分の1回転を可能として、留め具をそれぞれ開く又は閉じることができる。好ましくは、スタッド(6)の本体を、レセプタクル(10)に対して90度から180度の間、好ましくは140度に亘って回転して、留め具を開く又は閉じる。
【0038】
図面を参照して、電気コネクタは、開口(34)を有するバッテリポスト(32)をさらに備える。本実施形態では、開口(34)は、形状が略円形であり、スタッドの本体が開口(34)を通過できるように、スタッド(6)の本体(18)を収容できる寸法となっている。典型的には、レセプタクル(10)はポストの厚み全体又は一部を包含できるよう、アンダーカット又は変形可能なフランジ(26)を使用することにより、バッテリポスト(32)に装着されている。好ましくは、スタッド(10)は、組み立てられた構成では、ポスト(32)に保持される。一実施形態では、スタッドのヘッド(20)は正方形状であり、ポスト(32)に固定され、ポスト(32)とともに回転しない。
【0039】
図面を参照すると、電気組立体に対する接続手段(14)は、開口(38)を有するスペード(36)を含む。本実施形態では、開口(38)は、略円筒形であり、パネル(32)内に設けられた開口(34)と略同じ直径を有する。典型的には、電気組立体に対する接続手段(14)は、さらに、スペードからバッテリに導出するケーブルを備えていてもよい。好ましくは、レセプタクルはスペードに保持されるが、組立体全体を回転することができる。好ましくは、レセプタクルのフランジ面は、それが保持されているスペードに対応するように形成されている。
【0040】
有利なことに、スタッドの本体は、典型的には、バッテリポスト内の開口とスペード内の開口を通過してレセプタクル内に収容されている。
【0041】
好ましい実施形態において、電気コネクタは、自動車又は他の車両内のバッテリに接続するために使用してもよい。有利なことに、本発明の電気コネクタは、留め具を迅速に外すことができるので、車両が船舶、電車又は他の搬送手段上に搭載され、車両のバッテリを搬送開始前に外さなければならないようなときに非常に有益である。
【0042】
図6は、本発明の電気コネクタの一実施形態を含むヒューズボックスを示している。ヒューズボックスは、標準的な構成要素を含み、また上記の電気コネクタ(2)を含む。
【0043】
図面を参照して、また、第1の態様による電気コネクタを含む電気接続を接続するための方法が提供される。
【0044】
好ましくは、この方法は、少なくとも1つの螺旋状のカム溝(8)を有するスタッド(6)と、少なくとも1つのカム従動子(24)と付勢手段(12)を備えるレセプタクル(10)とを接続することと、さらに、第1の電気接触面(16)と第2の電気接触面(17)とを設けて、第1と第2の面を操作可能な係合状態に解放可能に接続することを含み、電気コネクタは、前記面を横切る方向に一定の締め付け力を維持する。
【0045】
典型的には、この方法は、スタッドとレセプタクルの接続前に、スペード内に設けられた開口にスタッド(6)の本体を通すステップを含む。好ましくは、この方法は、バッテリポストのようなポスト内に設けられた開口にスタッドの本体を通すステップを含む。
【0046】
図面を参照して説明した第1の態様による電気コネクタを製造する方法を提供する。
【0047】
また、図面を参照して説明した第1の態様による電気コネクタを含むキットを提供する。
【符号の説明】
【0048】
2 電気コネクタ
4 留め具
6 スタッド
8 カム溝
10 レセプタクル
14 接続手段
16 第1の電気接触面
17 第2の電気接触面
24 カム従動子