(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水素化に先立って、C5モノマー、C6モノマー、又はこれらの組み合わせの供給源を加えることにより、前記混合C5/C6モノマー糖ストリームを、目標とするC5:C6モノマー糖比に調節することを更に含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
前記水素化は、水中に20〜25重量%の総糖質を含み、pH7〜13、0.41〜3.5のLHSV、4〜14MPa(600〜2000psig)の水素圧、化学量論的に3〜10倍の水素、及び105〜150℃の温度を有する前記混合C5/C6糖ストリームに対して行われ、99%以上のC5/C6モノマー糖からアルジトールへの変換率を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロセス。
前記混合C5/C6糖ストリームから前記標的アルジトール又はアルジトールの標的ブレンドを単離して、残留混合C5/C6アルジトールストリームを残すことが、結晶化により行われ、前記標的アルジトールはキシリトールであり、40重量%〜80重量%の総溶解固形含量を有する溶液から結晶化される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセス。
前記混合C5/C6糖ストリームから前記標的アルジトール又はアルジトールの標的ブレンドを単離して、残留混合C5/C6アルジトールストリームを残すことが、結晶化により行われ、前記標的アルジトールはキシリトールであり、結晶化溶液の全固形分のうちの比率(%)としてのキシリトール含量が50%以上であり、前記結晶化溶液の全固形分のうちの比率(%)としてのアラビトールの量が10%以下であり、前記結晶化溶液の全固形分のうちの比率(%)としてのマンニトールが10%以下であり、前記結晶化溶液の全固形分のうちの比率(%)としてのソルビトールが15%以下である、溶液から結晶化される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
前記混合C5/C6アルジトールストリームから前記標的アルジトールを単離するのに先立って、C5アルジトール、C6アルジトール、又はこれらの組み合わせの供給源を加えることによって、前記混合C5/C6アルジトールストリームを目標とするC5:C6アルジトール比に調節することを更に含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロセス。
前記水素化分解は、水中の20〜25重量%のアルジトールの全固形分、pH7〜13、0.4〜4.0のLHSV、8〜14MPa(1200〜2000psig)の水素圧、190〜250℃の温度を有する前記残留混合C5/C6アルジトールストリームに対して、ニッケル系触媒の存在下で行われることによって、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、ブタンジオール異性体、又はこれらの組み合わせを含む前記混合C2〜C4グリコールストリームを形成する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロセス。
前記混合C2〜C4グリコールストリームは、いずれの量も前記混合C2〜C4グリコールストリームの総重量に対する重量%として、15%〜50%のプロピレングリコール、15%〜40%のエチレングリコール、10%〜40%のグリセリン、及び5%〜30%のブタンジオール異性体を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプロセス。
前記バイオマスは、バガス(サトウキビバガス、ソルガムバガス、又はサトウダイコンバガス)、トウモロコシ穂軸、トウモロコシの皮、トウモロコシの茎、穀稈(大麦、オート麦、米、小麦)、イネ科植物(スイッチグラス)、広葉樹材(カバノキ、ポプラ、ハンノキ、ユーカリ)、植物の葉、植物の茎、針葉樹材(ヒマラヤスギ、ツガ、マツ、又はトウヒ)、亜硫酸パルプ廃液、藻類多糖類由来のキシラン、又はこれらの組み合わせである、請求項10に記載のプロセス。
前記バイオマスの分解は、パルプと、糖モノマー、セルロース、グルコース、ヘミセルロース、ヘミセルロース系オリゴマー化合物、可溶化リグニン、並びに糖以外の有機化合物、灰、及び無機夾雑物などの不純物を含むバイオマス加水分解物ストリームとを形成する、請求項12に記載のプロセス。
前記バイオマスの分解から得られるセルロースからグルコースまでの糖類は、C5の発酵不能な糖類を濃縮する非GMO酵母によるグルコースのエタノールへの古典的発酵によって除去される、請求項10〜13のいずれか1項に記載のプロセス。
前記混合C5/C6モノマー糖ストリームをコンディショニングして、糖類以外の有機化合物及び無機夾雑物を除去することによってコンディショニングされたモノマー糖ストリーム又はコンディショニングされたC5/C6モノマー糖ストリームを形成することを更に含み、前記コンディショニングされたモノマー糖ストリーム又はコンディショニングされたC5/C6モノマー糖ストリームは次に前記水素化工程に供される、請求項1〜16のいずれか1項に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書では、多様なヘミセルロース含有バイオマスからアルジトール及び/又はグリコールを回収することを目的とした、予想外に相乗的かつ効果的なプロセスについて開示する。従来のキシリトールの生産法は、一般的にはシングルストリームのフィードストックからのキシリトール回収のみに主眼を置いたものであり、回収は複雑で、コストが高く、非効率で、リグニン及び灰などの高濃度のキシロース以外のアルドース有機物のために高純度を実現することが困難である。例えば、世界全体のキシリトール産業の大多数では、トウモロコシの穂軸又はカラマツ/ポプラを原料としたキシロースフィードストックを主に使用しているが、これは、完全なキシリトール回収率に達するまで水素化操作を行うために大がかりな精製処理を必要とし、相当の時間、費用、及び複雑さを伴う。同様に、世界的なエチレングリコール及びプロピレングリコール生産の相当量は、石油又は天然ガスなどの化石燃料フィードストックのみを使用している。グリコール生産では、セルロースバイオマスなどの化石燃料以外のフィードストックの大規模な商業的利用は現在行われていない。これらの従来の製造プロセスでは、多様なフィードストック出発物質の、種類にとらわれない使用も可能でなければ、水素化副生成物のインラインでの回収及び変換も可能ではない。
【0020】
このような現行の技術に対して、開示される本発明のプロセスは、種類にとらわれない、多様な未分離の又は分離されたフィードストックの使用を可能とするものである。例えば、本発明のプロセスでは、麦稈、広葉樹材、及びビートからなる単一の未分離のフィードストックを使用することもできるが、更に、本プロセスでは、供給量、価格変動などに応じて、麦稈、広葉樹材、又はビートのいずれかの単一の分離されたフィードストックを交互に使用することもできる。したがって、開示されるフィードストックの中立的プロセスは、非効率的な変換のために外国産で供給量の限定された、高価なフィードストックに依存することを回避する一方で、水素化副生成物を回収、変換することによって更に効率が高まるものである。実際、本明細書に開示される実施形態は、全体の収率を最大化させるために従来技術からの転換を図ったものであり、全体的な製造設備の柔軟性及び操業効率を飛躍的に向上させるものである。例えばキシロース及び/又はキシリトールの現在の生産方法は、所定の量のフィードストックからの収率を最大化し、廃棄物を最小限に抑えることに主眼を置いたものであり、生産を行うために、毎回の操作ごとに効率及び収率が低下する複数回の回収及び操作ループを用いる場合がある。同様に、(糖類、アルジトール、グリセロール、又はこれに類する化合物からの)グリコールの生産を目的としたいくつかのプロセスもまた、連続的にカスケード化し、連続的に効率が低下する操作ループを用いることによって、グリコール収率を最大化して廃棄物を最小限に抑えることに操作の主眼を置いている。本明細書に開示される多くのプロセスは、キシリトール又はグリコールのいずれかの収率を個別に最大化しないことにより、当該技術分野とは相反する教示に基づいたアプローチを採用している。むしろ、開示されるプロセスは、最初にキシリトールの初期画分を回収する一方で残部をグリコールに変換させることにより、全体の収率を相乗的に最適化するものである。したがって、従来技術では回収されたであろう一部のキシリトールがグリコールに変換されるため、キシリトールの収率は低下することになる。また、グリコールに変換されていた可能性のある一部のキシリトールがキシリトールとして回収されるために、グリコールの収率も低下する。キシリトール又はグリコールのいずれかの収率は一見したところ、最適とはいえないため、現行技術ではまったく推奨されないものである。しかしながら、開示されるプロセスの各実施形態は、予期せずして、また、相乗的に、キシリトール及びグリコールの(個別の、かつ相殺する生産ではなく)全体の合計収率の増大を実際には促進し、製造設備の効率を高めるものであった。本明細書に述べられるプロセスは、キシリトール及びグリコールの生産に限定されるものではない。
【0021】
したがって、これにより、例えば、キシリトールとプロピレングリコール、ソルビトールとエチレングリコール、又はキシロース/ソルビトールとブタンジオール類との混合物のような、対象とする複数の生成物のストリームを、全体的な効率、コスト、及び廃棄物生成にマイナスの影響を及ぼす、個々の標的生成物成分の最大収率を得るという一般的な制約を伴うことなく、回収することができる。
【0022】
一般的な一実施形態では、プロセスは、フィードストック源に基づいた少なくとも2種類の標的生成物を選択することを含み、少なくとも2種類の生成物の全ての生成物収率は、1種類のみの生成物の収率を最大化しようとする場合よりもプロセスがより効率的となるようなものである。本明細書でより具体的に述べるように、フィードストック源は、バイオマスフィードストック、加水分解物ストリーム、モノマー糖ストリーム、又はそれらの組み合わせとすることができる。一実施形態では、フィードストック源の少なくとも90%が標的アルジトール及びグリコールに変換される。一実施形態では、フィードストック源は、少なくとも2種類の標的生成物に変換され、全ての標的生成物収率の少なくとも10%が少なくとも2種類の標的生成物のうちの一方であり、具体的には全ての標的生成物収率の少なくとも15%、少なくとも20%、又は少なくとも25%である。全ての標的生成物の収率を維持するうえで必要な場合には、プロセスは、フィードストック源に変化がある場合、少なくとも2種類の標的生成物の選択を変更することを更に含む。少なくとも2種類の標的生成物は、標的[C5/C6]アルジトール、[C5/C6]アルジトールの標的ブレンド、標的[C5/C6]モノマー糖、標的[C5/C6]モノマー糖のブレンド、標的C2〜C4グリコール、C2〜C4グリコールの標的ブレンド、有機酸、本明細書の表Aの化合物、又はそれらの組み合わせであってよく、また、具体的には、標的生成物の少なくとも一方は標的C2〜C4グリコール又はC2〜C4グリコールの標的ブレンドである。更に、この実施形態では、いずれのシングルフィードストックストリームに対しても、行われる操作ループ又は操作処理の回数は2回又は3回以下であり、具体的には2回以下、より具体的には1回である。操作ループ又は操作処理は、本明細書に述べられる水素化、水素化分解、バイオマス分解プロセス、又は単離プロセスであってよい。フィードストックストリームは、あらゆる出発フィードストックストリーム、又はプロセスで形成される中間フィードストックストリームであってよい。代表的なフィードストックストリームとしては、本明細書に述べられるような、バイオマスフィードストックストリーム、加水分解物ストリーム、モノマー糖ストリーム、アルジトールストリーム、グリコールストリーム、又はこれらの組み合わせが挙げられる。更なる一実施形態では、フィードストックストリームを外部材料で改変又は補充することで、フィードストックストリームの組成を変化させることができる。
【0023】
より具体的には、本明細書では、様々なバイオマス源に由来し得るC5含有モノマー糖ストリームからC5糖をコンディショニングし、これらのコンディショニングされた(精製された)糖を水素化によって特定の標的アルジトールに、更に水素化分解によって特定の標的グリコールに変換することを対象とした一実施形態が開示される。本プロセスは、従来技術の効率及び全ての生成物収率の課題を解決した、バイオマス由来の混合C5/C6糖ストリームからの標的C5/C6アルジトール及び標的C2〜C4グリコールの生産を対象とし得る。あるいは、プロセスは、C5モノマー糖ストリームをコンディショニングすることを対象としてもよく、これにより、C5ストリームは、2〜4炭糖、6〜12炭糖、グリセロール、グリコール、不純物などを含み得る。あるいは、プロセスは、様々なバイオマス源に由来するC5/C6比の異なる混合されたC5及びC6糖をコンディショニングし、標的モノマー糖(例えばキシロース)又は標的モノマー糖のブレンドを単離し、残留物を水素化分解によって特定の標的グリコールに変換することを対象とする。水素化又は水素化分解のいずれかを含むこれらの述べられたプロセスは、バッチ式でも連続式でもよい。任意の数の実施形態において、更なるアルジトールを残留混合C5/C6アルジトールストリームの水素化分解に供して、混合C2〜C4グリコールストリームを形成してもよい。
【0024】
共生成物としてのアルジトールとグリコールの生成は、ヘミセルロース系モノマーC5/C6加水分解物を水素化してアルジトールとすることと、標的アルジトールの結晶化/除去後の残留物をその下流で水素化分解してグリコールを生成することとの組み合わせによって行われる。簡単にいうと、アルドースをアルジトールと標的アルジトール(単数又は複数)とに水素化した後、標的以外のアルジトールを含む多くの残留物質をグリコール生成物に変換することができる。
【0025】
適当なバイオマスフィードストックは、水素化される際に各種のアルジトールを生成し得る単糖の混合物を与えるものである必要がある。したがって、これらに限定されるものではないが、麦稈、バガス、亜硫酸パルプ廃液、広葉樹材、ハイブリッドポプラ、イネ科植物、サトウキビ、ビーツ、デンプンなどの多様な供給源を、本明細書に開示される発明のプロセスのフィードストックとして使用することができる。加水分解後、加水分解溶液は、例えば少なくとも1種類のC5糖、少なくとも1種類のC6糖、又はこれらの組み合わせを有するモノマー糖ストリームを与える(「混合モノマー糖ストリーム」)。加水分解された混合モノマー糖ストリームは精製されてもよく、その後に水素化されて、キシリトール、マンニトール、及びソルビトールの任意の組み合わせなどの1種類より多くのアルジトールを含む混合アルジトールストリームを生成する(「混合アルジトールストリーム」)。キシリトール及び/又はソルビトールのような標的アルジトールは、例えば結晶化又はクロマトグラフィによって溶液から回収することができる。これらの標的アルジトールは、食品用途に適した高い純度で回収することができる。アルジトール単離工程によって回収されなかった加水分解溶液の成分(「残留混合アルジトールストリーム」)は、この後、更に水素化分解されて工業又は食品グレードのグリコールが回収され得る。任意選択的に、「バランス化された全体の全生成物又は化学量論的回収及び値」の原理にしたがって、グリコールを生成する処理を行う代わりに、そのように所望であれば、標的アルジトールの結晶化の後又は前に更なるアルジトールを回収してもよい。
【0026】
バイオマスフィードストック材料の分解及び加水分解によって得られる加水分解物ストリームからの成分は、化学的に特徴付けるか、かつ/又は物理的に決定することができる。決定される値としては、加水分解物ストリームの各成分の乾燥重量比率(%)、加水分解物ストリーム中のC5糖とC6糖との比、加水分解物ストリーム中の全C5糖に対するキシロース及び/又はアラビノースの比などがある。この情報から、それぞれの形態の標的物質の回収率の設計上のバランスを計算により求めて、「最適な全体の全生成物又は化学量論的回収値」を得る。多くの標的アルジトール及び標的グリコールを、このプロセスによって生産することができる。「最適な全体の全生成物又は化学量論的回収値」を計算する方法は、標的グリコールの収率に対する標的アルジトールの収率を説明するためのものとすることができる。例えば、一実施形態では、加水分解物ストリームに水素化が行われた後、主ストリームからキシリトールが抽出される。更なる処理の後、プロピレングリコールをストリームから精製する。プロピレングリコール収率に対するキシリトール収率の比は測定され、(個々の、また相殺する生産と比較して)最適化された全体の全生成物収率又は化学量論的回収値に達するように、プロセスのパラメータ及び条件、バイオマスフィードストック、他のC5/C6源の添加などを変更することにより調整される。同様のことを、標的アルジトールとしてのアラビトール及び標的グリコールとしてのエチレングリコールに、又は、標的グリコールとしてのグリコールのブレンド若しくは混合物、及びアルジトールのブレンド若しくは混合物を含む、標的アルジトールとしての任意のアルジトールと標的グリコールとしての任意のグリコールとの任意の組み合わせに対して行うことができる。例えば、キシリトールとソルビトールとのブレンドを標的アルジトールとし、プロピレングリコールとエチレングリコールとのブレンドを標的グリコールとすることができる。
【0027】
キシリトールが標的アルジトールである場合、開示されるプロセスに適したバイオマスフィードストックの組成及び構造の選択には、他の糖誘導体と比較して高いキシロース糖誘導体の比、及び他の成分と比較して容易な、キシロース糖誘導体を抽出するうえでのアクセシビリティーが含まれ得る。
【0028】
他のアルジトールと比較して高いキシリトールの比は、キシリトールが総アルジトール濃度の80%以上の濃度を有することによって例示される。したがって、合計で糖由来固形分80重量%にまで濃縮され、この固形分の80%超がキシリトールである溶液では、キシリトールの正味濃度は64%以上となる。総アルジトール濃度の90%以上の濃度を有するキシリトールは72%の正味濃度を与え、これは更に高い収率を与える。キシリトールが標的アルジトールである場合、フィードストックの総C5糖含量は、具体的には25%超、具体的には60%超、より具体的には90%超である。同じ実施形態において、フィードストックのキシロース含量は、具体的には20%超、より具体的には50%超、更により具体的には80%超である。
【0029】
混合C5/C6モノマー糖ストリーム中に存在するものなどのアルドースの適当な水素化は、灰、糖以外の有機化合物、並びに塩化物アニオン及びリン酸塩などの他の無機化学種の除去を促す処理工程を更に含んでもよい。バイオマスフィードストックの前処理及び活性炭素の使用を用いることができる。バイオマスフィードストックは、様々な熱機械的、アルカリ、酵素的又は酸性水素化操作による分解によって、有用なC5モノマー糖ストリームに変換することができる。C5モノマー糖ストリームは、任意選択的に、2〜4炭糖、6〜12炭糖、グリセロール、グリコール、不純物などを含み得る。あくまで例であって限定するものではないが、
図1に示されるような、分画化、リグニンの回収、単糖類の単離、及び有機/無機不純物の除去操作などの任意の数の下流操作にC5ストリームを供することによって、更に任意選択的に「クリーンな」C5ストリームを更に与えることができる。これにより、数ある利点の中でも、触媒作用寿命を延ばし、アルジトールの結晶化を妨げる不純物を最小限に抑えることができる。
【0030】
(代表的な標的アルジトール生成物としての)キシリトールの結晶化を促進するには、キシリトール(最小濃度)及び他のアルジトール(最大濃度)の閾値濃度レベルを確立して供給することで、効率的な収率でのキシリトールの回収を、高付加価値用途に適した純度で行うことができる。更なる詳細は、下記の「改良アルジトール抽出」の項で述べる。
【0031】
標的アルジトール生成物の結晶化は、アルジトール結晶化による収率を高めるための貧溶媒(例えばエタノール又はイソプロパノール)を任意選択的に使用することによって、促進することもできる。このような貧溶媒は、固液分離を容易とし、濾過時間を改善することもできる。
【0032】
一実施形態では、プロセスは、シングルバイオマスストリームに由来する混合C5/C6モノマー糖ストリームを精製して、精製された混合C5/C6モノマー糖ストリームを形成することと、精製された混合C5/C6モノマー糖ストリームを水素化によってC5/C6アルジトールに変換することと、前記C5/C6アルジトールを個々に分画するか又は前記C5/C6アルジトールをその全体で若しくは部分的に精製することと、残留混合C5/C6アルジトールストリーム(それほど標的とされていないアルジトール)を形成することと、を含む。この残留混合C5/C6アルジトールストリーム(それほど標的とされていないアルジトール)は、グリコールを得るための水素化分解用フィードストックストリームとなる。標的アルジトール生成物は、(固体)結晶又は液体濃縮物として除去することができる。
【0033】
一実施形態では、プロセスは、多様なバイオマス源に由来する混合C5/C6モノマー糖ストリームを精製することと、精製された混合物をC5/C6モノマー糖(例えば大幅に高いC5濃度を有する)と加え合わせることと、これらの濃縮されたアルドースを既存のC5/C6モノマー糖源に加えて標的C5又はC6アルドースを高めることと、精製された混合C5/C6及び/又は高められたアルドース糖ストリームを水素化によってC5/C6アルジトールに変換することと、C5/C6アルジトールを個々に分画するか又は前記C5/C6アルジトールをその全体で若しくは部分的に精製することと、を含む。また、C5/C6濃縮アルドースストリームを選択的に水素化して混合アルジトールとし、標的アルジトールを結晶化などによって除去した後、水素化分解に先立って残留混合C5/C6アルジトールストリームに外部のアルジトール(グリセリンなど)を加えることもできる。本明細書で使用するところの「グリセリン」とは「グリセロール」と同じものである。
【0034】
一実施形態では、外部の高C5モノマーストリーム(任意の供給源由来のもの)を、単一又は多様なバイオマス源に由来する混合C5/C6モノマー糖ストリームに加えることによって、水素化に先立ってC5/C6モノマー糖の比を高め、その後、標的アルジトールを抽出することもできる。更なる外部の標的以外のアルジトール(例えばC3のグリセリン又はC6のソルビトール)を水素化及び標的アルジトールの除去後に加えて、下流での水素化分解によるグリコールへの変換率を高めることもできる。
【0035】
標的アルジトール及び標的グリコールを共生成物として生産するためのこの統合されたプロセスでは、ヘミセルロース加水分解物のアルジトールへの水素化(母液)の後、母液から標的アルジトールを除去するという独特の組み合わせを行い、下流で(標的アルジトールの結晶化後の残留物の)水素化分解を行ってグリコールを生成する。標的アルジトール回収からの残留物には、標的以外のアルジトール(例えば異なる比のアラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなどの混合物)が含まれる。
【0036】
特定の一実施形態では、存在する固形分の70%以上を占める主成分がキシロースであるようなモノマー糖の濃縮溶液が与えられる。この溶液の総固形分濃度が固形分75%〜80%にまで上げられる場合、存在するキシロースのかなりの割合を溶液からの分別結晶化によって分離することができる。このように生成された結晶キシロースは、フィルタ又は遠心分離機により母液から分離された後、乾燥され、袋又はドラム缶に充填される。その後、このキシロースは、水に溶解し、例えばラネーニッケル触媒により水素化し、更なる結晶化を行って、キシリトールに変換することができる。
【0037】
開示されるプロセスでは、あくまで例としてであってこれらに限定されるものではないが、バガス(例えばサトウキビバガス、ソルガムバガス、又はサトウダイコンパルプ)、トウモロコシ穂軸、トウモロコシの皮、トウモロコシ穀粒果皮、トウモロコシの茎、穀稈(例えば、アルファルファ、大麦、オート麦、米、又は小麦)、イネ科植物、広葉樹材(例えば、カバノキ、ポプラ、ハンノキ、ユーカリなど)、植物の葉、植物の茎、針葉樹材(例えば、ヒマラヤスギ、ツガ、マツ、又はトウヒ)、亜硫酸パルプ廃液、藻類多糖類由来のキシラン、又はこれらの組み合わせを含む各種のバイオマスフィードストックが有用であり得る。
【0038】
このプロセスの一実施形態では、バイオマスは遺伝子組み換え作物(GMO)ではなく、遺伝子組み換え種に由来するものでもない(すなわち、バイオマスは非GMO、すなわち「GMOフリー」である)。特定の一実施形態では、高G5糖含量(例えば60〜80%)を得るためのフィードストックは、非GMOサトウキビバガス、麦稈、ポプラ、ハイブリッドポプラ、ハンノキ、又はこれらの組み合わせである。
【0039】
あくまで例としてであってこれらに限定されるものではないが、本明細書に開示される異なる実施形態により混合C5/C6モノマー糖ストリームから回収することができる工業的に有用な組成物(単一物質又は組み合わせ)を下記表Aに示す。
【表1】
水素化
【0040】
C5/C6モノマー糖ストリームを水素化供給原料として直接使用することができるが、水素化プロセスは各モノマーをアルジトールに変換して混合C5/C6アルジトールストリームを得る。あるいは、混合C5/C6モノマー糖ストリームを濃縮して、水素化に先立って総固形分含量を増大させてもよい。このような濃縮プロセスについては本明細書で検討する。また更に、エタノール、メタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどを水素化プロセスにおいて個別に、又は共溶媒(単数又は複数)の混合物として使用することができる。水素化プロセスはバッチプロセス、連続プロセス、又はこれらの組み合わせとすることができる。
【0041】
代表的な水素化触媒としては、高pH(9以上)、高温、及び水性条件に適した水素化触媒が挙げられる。そのような触媒としては、ジルコニウム、チタン、又は他の重金属酸化物基材に支持されたニッケル触媒、スポンジメタルニッケル触媒などの遷移金属触媒が挙げられる。一実施形態では、触媒は、2:1〜20:1のモル比を有するジルコニルプロモータ前駆物質を形成する、ジルコニウム化合物とポリ酸/プロモータ物質との組み合わせを含み、ポリ酸/プロモータ物質は、クロム、モリブデン、タングステン、又はこれらの組み合わせの酸化物又は酸形態を含むポリ酸であってよい。別の実施形態では、触媒は、ニッケルと、ビスマス、銀、スズ、アンチモン、金、鉛、タリウム、セリウム、ランタン、マンガン、又はこれらの組み合わせから選択されるプロモータと、ジルコニア又は炭素から選択される支持体と、を含む。一実施形態では、水素化プロセスは、ニッケル系触媒を、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化クロム、又はこれらの組み合わせの基材とともに使用して行われる。
【0042】
一実施形態では、触媒は、ポリ酸又はプロモータ物質によって促進される酸化ジルコニウムを含む支持体を含み、支持体には、第4族(IVA族)の金属、第10族(VIII族)の金属、第11族(IB族)の金属、又はこれらの組み合わせなどの触媒活性金属が含浸される。
【0043】
一実施形態では、水素化プロセスは、固体(水素化触媒)、液体(約20重量%〜約30重量%の総固形分含量、具体的には約22重量%〜約25重量%の総固形分含量を有する混合C5/C6モノマー糖ストリーム)、及び気体(水素)の複合3相を含む連続式ダウンフロートリクルベッド反応器を用いる。このプロセスでは更に、モノマー糖のアルジトールへの約99%の化学量論的変換率を実現するために、約600〜約2000psigの水素圧、約100〜約160℃、具体的には約140〜160℃の温度、約20〜約40分の滞留時間、及び約9〜約12、具体的には約10〜約11の開始pHを用いる。
【0044】
一実施形態では、水素化プロセスは、C5糖であるキシロース及びアラビノースが約80%存在し、C6糖であるグルコース及びフルクトースが約20%存在する、乾燥重量基準で約20%〜約25%のモノマー糖の供給原料ストリームと、化学量論的に約4〜約6倍の水素ガスと、約8.0〜約11.0、具体的には約9.0〜約10.0の開始pHと、約120〜約140℃の温度と、約1200〜約2000psig、具体的には約1800psigの水素圧と、約0.4〜3.0、具体的には約1.0〜1.5の液空間速度(LHSV)を含む。この実施形態では、水素化触媒は、ジルコニウム及び/又はチタン基材支持マトリクスに担持させた遷移金属ニッケル系(20〜40%のニッケル)触媒、又は固定床トリクル反応器用に配合された溶解アルミニウムマトリクス触媒中のラネーニッケル系(20〜60%のニッケルを銅プロモータとともに含む)とすることができる。ラネーニッケルの実施形態では、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムのようなアルカリ水酸化物プロモータを使用してpHを8.0〜10.0の範囲に維持することができる。
【0045】
水素化プロセスにおけるC5/C6モノマー糖の対応するC5/C6アルジトールへの変換率は、少なくとも95%、具体的には少なくとも97%、より具体的には約100%である。
【0046】
化学量論的変換率が95%未満である場合には、任意選択的な2段階式の水素化を用いることもできる。例えば、任意選択的に第2段階の連続式反応器を使用することができ、第1段階の反応器によってモノマー糖のアルジトールへの90〜95%の変換率を目標とし、第2段階の反応器によってアルジトールへの95〜100%の変換率を達成する。2段階式反応器は、より高いLHSV(液空間速度)で運転することができる。
【0047】
既知の水素化装置及び方法を使用して、水素化プロセスを行うことができる。一実施形態では、装置は、円筒状のカラム長さ:直径の比が約10:2である連続式トリクル固定床反応器であり、具体的には、水素及び液体の供給原料が下降し、液体が底部から流出する、固定床トリクルダウン併流反応器である。反応器は、その場で逆洗及び再生を可能とするように取り付けることができる。水素圧は、約600〜約2000psig、具体的には約1800psig〜2000psigとすることができる。
【0048】
水素化供給原料ストリーム又は生成物供給原料ストリームは、約20〜約27重量%、具体的には約22〜約25重量%の総固形分含量を有するものとすることができる。更に、水素化供給原料ストリームのpHは、約8.0〜約11.0、具体的には約9〜約10とすることができる。用いられるpH調整アルカリとして水酸化ナトリウムを使用することができるが、水酸化/酸化カリウム、水酸化/酸化カルシウム、又は水酸化/酸化リチウムを使用することもできる。
【0049】
水素化反応供給原料について所望の供給原料濃度を得ることが必要な場合、混合C5/C6モノマー糖ストリームを水の除去によって濃縮することで、総固形分含量を高めることができる。一実施形態では、混合C5/C6モノマー糖ストリームを、膜を使用して濃縮することで、水を通過させる一方で混合C5/C6モノマー糖ストリームの組成の濃度を高めることができる。好適な代表的な膜は40〜5000ダルトン(Da)の膜であり得る。
【0050】
一実施形態では、水素化は、水中に合計で約20〜約25重量%の糖を含み、pH約11、約1.0の液空間速度(LHSV)、約2000psigの水素圧、化学量論的に約3〜約6倍の水素、及び約140℃の温度を有する精製された混合C5/C6糖ストリームに対して行われ、99%以上のC5/C6モノマー糖からアルジトールへの変換率を有する。
【0051】
更に別の実施形態では、水素化プロセスから得られる混合C5/C6アルジトールストリームは、約65%のC5アルジトールと、約35%のC6アルジトールとを含む。更に、混合C5/C6アルジトールストリームは、約50%のキシリトール、約15%のアラビニトール(arabinatol)、約25%のソルビトール、及び約10%のマンニトールを含む。別の実施形態では、混合C5/C6アルジトールストリームは、少なくとも50%のキシリトール、15%以下のアラビニトール(arabinatol)、25%以下のソルビトール、及び10%以下のマンニトールを含む。
【0052】
一実施形態では、水素化プロセスによるC5/C6モノマー糖のアルジトールへの変換率が90%よりも低くなる場合、プロセスは再生サイクルを更に含み、精製された混合C5/C6モノマー糖供給原料ストリームは直接的水素化の前に部分的に不活性化されたニッケル基材触媒の犠牲反応器に送られ、硫黄毒性及び反応器ファウリングを低減し、次いで、触媒を段階的に水、腐食剤、及びエタノールで洗浄してファウリング物質を除去した後、水素乾燥及び還元活性化を行う。ファウリングとしては、以下のもの、すなわち、糖の糖化(焼け付き)、焦げ付き、炭化及び/又はカラメル化、硫黄毒性、不純物又は中間体による触媒反応部位の不能化、水素化触媒を物理的に劣化及び詰まらせる糖の重合のうちの1つ、いくつか、又は全てが含まれる。
【0053】
一実施形態では、水素化による生産は、合計で4000時間を上回る触媒寿命、及び触媒再生が行われる前の約1000〜約1800時間の好適な反応時間で行われる。触媒再生は、約16〜約36時間、又は具体的には24時間にわたって持続し得る。
【0054】
一実施形態では、精製された混合C5/C6モノマー糖ストリームは、C5/C6モノマー糖と、具体的には約25〜約50%のエタノールと、具体的には約25〜約50%の水と、を含む。エタノール及び水はpH及び温度とともに、有機ポリマー不純物の溶解度を高めることにより、稼働停止時間を短縮する。
【0055】
一実施形態では、水素化に先立って特定のC5/C6モノマー糖フィードストックに例えばより高度に濃縮されたアルドースストリームを加えることによって、濃度を高めることができる。例えば、キシロースを他のC5/C6ストリームとは別に結晶化又は濃縮することができ、濃縮されたC5画分をベースのC5/C6モノマー糖画分に加えることで、キシロース又はアラビノースなどのC5糖の濃度を高くすることができる。これにより、標的アルドースを濃縮して、水素化並びに下流のアルジトール及びグリコール回収に望ましい混合物を調製することができる。一般的に、水素化後のストリーム中の標的アルジトールの濃度が高いほど、精製された標的アルジトールの収率は高くなる。水素化後のストリーム中の標的アルジトールの濃度が低すぎる(例えば25重量%よりも低い)と、標的アルジトールがほとんど又はまったく抽出できない。水素化後のストリーム中の標的アルジトールの濃度は、例えば、水素化中に標的アルジトールに変換されるアルドースの濃度が高いフィードストックを加えることによって、高めることができる。標的アルジトールの濃度は、水素化後のストリーム中、25%超、具体的には60%超、より具体的には90%超であってよい。
【0056】
図2は、標的アルジトールの抽出(10)、改良されたアルジトール抽出(11)、他のアルジトールの抽出(12)、及びアルジトールのバランス化(13)を含む、分離及び結晶化段階(40)の代表的なプロセスフロー図である。
標的アルジトールの抽出
【0057】
混合C5/C6アルジトールストリームとすることができる、水素化生成物のフィードストリームを処理して、標的アルジトール又は標的アルジトール混合物を単離する。単離する生成物は、個々のアルジトール(例えばソルビトール又はキシリトール)、又はアルジトール混合物(例えば、菓子類又は咳止めシロップミックス用の規定のソルビトール、キシリトール比のもの)であってよい。例えば、キシリトールの抽出は、混合アルジトールの水性混合物(キシリトール、ソルビトール、並びに可能なアルジトール異性体であるアラビトール及びマンニトール)から、連続的な水の除去(例えば高温での蒸発濃縮による)に続いて温度を下げて結晶化を誘導することによる単一パス結晶化又は段階式結晶化によって、行うことができる。このC5/C6アルジトール抽出法は、異なるC5/C6アルジトール比を有する様々なフィードストックに適合させることができる。
【0058】
水、及び使用される場合には共溶媒(例えばエタノール)は、多重効用蒸発法、蒸気蒸発法、多重蒸気再圧縮蒸発器(multiple vapor recompression evaporator)、逆浸透圧法、又はこれらの組み合わせを含むプロセスによって除去することができる。
【0059】
一実施形態では、水の除去は、真空下で約30〜約120℃、具体的には減圧下(例えば200mbar未満、具体的には約100〜約180mbar、より具体的には約140〜約165mbar)で約70〜約110℃、より具体的には減圧下で約80〜約100℃の温度で行われる。
【0060】
濃縮後のフィードストリームは、約40重量%〜約90重量%、具体的には約60重量%〜約85重量%、より具体的には約75〜約85重量%の総溶解固形含量を有し得る。
改良アルジトール抽出
【0061】
キシリトール、アラビトール、若しくはソルビトール、又はアルジトール混合物のような特定のアルジトールは、混合アルジトール(例えば、キシリトール、ソルビトール、アラビトール、及びマンニトールなど)の水性混合物から、GRAS(一般に安全と認められる)溶媒沈殿又は結晶化法、擬似移動床法(SMB)を含む産業用クロマトグラフィ、又はこれらの組み合わせ、具体的にはGRAS溶媒沈殿又は結晶化によって単離して、標的アルジトール又は標的アルジトール混合物を単離することができる。標的アルジトールの結晶形は仕様書にしたがったサイズとすればよく、標的アルジトールミックスの液体配合物もまた、仕様書にしたがって調製することができる。
【0062】
適当な溶媒としては、低級アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノールなど)及びこれらの水との混合物が挙げられる。代表的なGRAS溶媒の1つにエタノールがある。
【0063】
結晶化又は沈殿に先立って、アルジトール(例えばキシリトール)溶液を活性炭素で処理することで、アルジトールの結晶化を妨げ得る不純物を除去することができる。好適な活性炭素としては、粉末状活性炭、粒状活性炭素など、又はこれらの組み合わせが挙げられる。結晶化阻害物質を除去するための他のプロセスとしては、以下のもの、すなわち、イオン交換法、膜濾過法、溶媒抽出法の1つ以上を、任意選択的に活性炭素処理と組み合わせたものが挙げられる。他のコンディショニング工程としては、段階的電気透析法、強酸イオン交換樹脂処理、及び硫酸カルシウム化学沈殿法が挙げられ、任意選択的に使用済み無機物質を回収することを更に含む。アルジトール溶液又は混合C5/C6アルジトールストリームが結晶化に先立って事前のコンディショニング(精製)を必要とするか否か、又はどの程度これを必要とするかの決定は、当業者であれば不要な実験を行うことなく行うことができる。例えば、当該技術分野では周知の分析法を用いてアルジトール溶液又は混合C5/C6アルジトールストリーム中の各成分の種類及び量を決定することで、適当な精製法(単数又は複数)を用いることができる。
【0064】
結晶化プロセスは、連続的又はパッチプロセスによって行うことができる。当該技術分野では周知の結晶化装置及び方法を使用して、標的アルジトールの結晶化を行うことができる。好適な結晶化装置及び固液分離装置としては、タンク式晶析器(水平式、垂直式、冷却式晶析器、蒸発式晶析器)、遠心分離機などが挙げられる。
【0065】
結晶化プロセスにおいて所望の固形分重量が得られた後、濾過、遠心分離、これらの組み合わせなどの当該技術分野では周知の方法を用いて標的アルジトールの固形分を単離することができる。固形分には、洗浄、乾燥、分粒、又はこれらの組み合わせを行うことができる。
【0066】
結晶化プロセスからの母液は、標的アルジトール又は別のアルジトールを更に回収するために更なる処理を行うか、又は水素化分解によってグリコールを生産するためのフィードストック(「残留混合C5/C6アルジトールストリーム」)として用いることができる。
【0067】
一実施形態では、主としてキシリトール(例えば総アルジトールの75%超)と、ガラクチトール、リキシトール、及びソルビトールなどの低濃度の他のアルジトールとを含む濃縮水性供給原料の結晶化は、約50〜約85重量%、具体的には約65〜約85重量%、より具体的には約70〜約85重量%の総溶解固形分含量を有する濃縮水性供給原料を、約60〜約100℃から約−10〜約40℃、具体的には約20〜約35℃の温度にまで冷却し、その時点で標的アルジトールの種晶を必要に応じて加えることによって行うことができる。
【0068】
任意選択的に、エタノール、イソプロパノール、又は別のGRAS溶媒のような貧溶媒を、貧溶媒の引火点よりも低く温度を維持しながら(例えばエタノールでは約40℃未満、具体的には約35℃未満)、濃縮後の水性供給原料に加えることができる。任意選択的に、標的アルジトールの種晶を加えて結晶化を誘導及び/又は促進することができる。
【0069】
濃縮した水性供給原料は、室温よりも低い、具体的には約−10〜約20℃、より具体的には約−5〜約5℃の標的温度にまで冷却することができる。標的アルジトールの結晶化後、約15〜約45%、具体的には約20〜約40%の固形分含量を有するスラリーを、遠心分離機などの固形分回収用の装置に供給して母液から固形分を分離することができる。この代表的な方法により、高純度(98%超)のアルジトールを得ることができるが、固体生成物純度に対する所望の収率にしたがって冷却を調整することができる。
【0070】
一実施形態では、混合アルジトールストリームからの純粋な形態の標的アルジトールとしてのキシリトールの結晶化は、効率的な収率でのキシリトールの回収を、高付加価値用途に適した純度で行うことを可能とするため、キシリトール(最小濃度)及び他のアルジトール(最大濃度)の閾値濃度レベルを確立して供給することを行う。閾値濃度は、系に存在する水:貧溶媒の比によって決まる。
【0071】
結晶化液中の成分の濃度は、全固形分の割合(%)に全固形分のアルジトールの比例した濃度を掛けることによって計算される。
【0072】
閾値濃度は、以下の因子によって影響され得る。すなわち、
−使用温度での溶媒中への成分の溶解度の限界値
−貧溶媒(及びその濃度)の影響
−成分の溶解度を低下又は増大させ得る他の溶質による成分の溶解度への影響
−例えば所望の成分の結晶格子に取り込まれることによって所望の結晶性成分の結晶化を妨げる別の成分の傾向。
【0073】
閾値限界値の例は、以下の領域内にあることが判明している(すなわち、キシリトールが標的アルジトールである場合、キシリトールの効果的な精製をなおも可能とする結晶化液中の各アルジトールの最大濃度)、すなわち、
−一般的に、高濃度のソルビトール及びマンニトールの存在は、キシリトールの結晶化の物理的挙動に多大な影響を及ぼす。そのため、高濃度のソルビトール及びマンニトールはソルビトール及び/又はマンニトールとキシリトールとの共結晶化を生じ、それにより、得られる混合物の濾過速度が妨げられ得る。
【0074】
キシリトールでは、全固形分の重量に対して少なくとも20重量%、より具体的には約42重量%超のキシリトール濃度がキシリトールを生産するうえで必要とされ、より具体的には、より高い収率を得るには溶液中、60重量%超のキシリトール濃度が必要とされる(例えば溶液中、80%の全固形分で最低で全固形分の80重量%のキシリトール)。更にはこのキシリトールの実施形態では、アラビニトール濃度は全固形分の10重量%未満であり、そうでない場合、キシリトールの精製が妨げられる。また、このキシリトールの実施形態では、マンニトールは低い溶解度レベルを有するため、濃度10重量%の閾値濃度が設定される。全固形分に対して10重量%超のマンニトール濃度では、望ましくないマンニトールとキシリトールとの共結晶化が認められる。一実施形態では、結晶化液の4重量%以下のマンニトール含量が、キシリトールの効果的な精製を可能とすることが見出された。更にこのキシリトールの実施形態では、ソルビトールが全固形分の15重量%以上の濃度で存在する場合、結晶化の速度及び濾過速度は低下する。
【0075】
キシリトール閾値に関するこの実施形態では、キシリトールは、全固形分の最小で60%、より具体的には全固形分の80%超を占め、約60〜約70℃で溶液中の全固形分の最小で75重量%にまで蒸発濃縮した後では、キシリトールの実際の濃度は具体的には60%超である。貧溶媒がこの実施形態で用いられる場合、キシリトールの実際の濃度は50%超である。他の成分の最大閾値濃度は、系に存在する水:貧溶媒の比によって決まる。アラビトールは、このアルジトールがそれよりも高い濃度であるとキシリトールの結晶化の反応速度論及び純度に悪影響を与えるため、50:50の水:エタノール系中、10%未満で存在する。マンニトールは、キシリトールとの共結晶化により、4%未満で存在する。正確な閾値濃度は、母液の全体の組成及び貧溶媒の量に基づいてわずかに異なり得る。
【0076】
キシリトールの結晶化溶液は、制御されたキシリトールの結晶化が行えるだけ充分に高いが、急速なバルク結晶化が生じないように充分に低い合計溶解固形分を有することができる。複数の実施形態において、結晶化溶液は、約40重量%〜約80重量%、具体的には約60重量%〜約85重量%、より具体的には約70〜約75重量%の総溶解固形含量を有し得る。
【0077】
キシリトール結晶化の一実施形態では、結晶化溶液の全固形分のうちの比率(%)としてのキシリトール含量は、50%以上、具体的には55%以上、より具体的には60%以上である。更にこの実施形態では、結晶化溶液の全固形分のうちの比率(%)としてのアラビトールの量は、10%以下、具体的には5%以下、より具体的には2%以下である。あるいは、この実施形態では、結晶化溶液の全固形分のうちの比率(%)としてのマンニトールの量は、10%以下、具体的には5%以下、より具体的には2%以下である。あるいは、この実施形態では、結晶化溶液の全固形分のうちの比率(%)としてのアラビトールの量は、10%以下、具体的には5%以下、より具体的には2%以下であり、かつ、結晶化溶液の全固形分のうちの比率(%)としてのマンニトールの量は、10%以下、具体的には5%以下、より具体的には2%以下である。この実施形態では、溶液は貧溶媒を含まない。別の実施形態では、水とエタノールなどの貧溶媒との組み合わせ、具体的には95:5の比の水:エタノール〜5:95の比の水:エタノール、より具体的には95:5の比の水:エタノール〜5:95の比の水:エタノールを含み得る。
【0078】
キシリトール結晶化の一実施形態では、結晶化溶液の全固形分のうちの比率(%)としてのキシリトール含量は、50%以上、具体的には55%以上、より具体的には60%以上であり、結晶化溶液の全固形分のうちの比率(%)としてのソルビトールの量は、15%以下、具体的には10%以下、より具体的には5%以下である。この実施形態では、溶液は貧溶媒を含まない。別の実施形態では、溶液は、水とエタノールとの組み合わせ、具体的には約95:5の比の水:エタノール〜0:1の比の水:エタノールを含み得る。
【0079】
代替的な一実施形態では、クロマトグラフィを用いてアルジトールを分離することにより、アルジトール結晶化段階で閾値濃度を制御する必要をなくすことができる。
【0080】
一実施形態では、混合C5/C6アルジトールストリームを、C5アルジトール画分とC6アルジトール画分とにクロマトグラフィによって少なくとも部分的に分離する。
【0081】
一実施形態では、混合C5/C6アルジトールストリームをクロマトグラフィによってC5アルジトール画分とC6アルジトール画分とに分離し、標的アルジトールをエタノール及び水を用いてC5アルジトール画分から結晶化する。残留アルジトールを含む母液に水素化分解を行って、グリコールへの変換を行うことができる。
【0082】
一実施形態では、結晶化によって混合C5/C6アルジトールストリームから標的アルジトールを単離することは、混合C5/C6アルジトールストリームから、エタノール、水、又はこれらの組み合わせを除去することを含む。
【0083】
一実施形態では、標的アルジトールは、C5アルジトール又はC6アルジトールである。
【0084】
一実施形態では、標的アルジトールはキシリトールである。一実施形態では、標的アルジトールは、ソルビトール又はアラビトールである。
【0085】
一実施形態では、結晶化プロセスから得られるキシリトールは、約90〜約100%のキシリトール、具体的には約96〜約99.99%のキシリトール、より具体的には約98.5〜約99.99%のキシリトールを含む。一実施形態では、結晶化プロセスから得られるキシリトールは、1%未満の他のアルジトールを含む。
他のアルジトールの抽出
【0086】
アルジトールストリームから標的アルジトール又はアルジトール混合物が抽出された後、キシリトールのような標的アルジトールの画分を含む残りの混合アルジトール水性供給原料を産業用クロマトグラフィにより処理してソルビトール、アラビトール、マンニトール又はこれらの組み合わせを分画する。この段階の標的アルジトール生成物は、液体又は結晶形態であり得る。場合により、通常、純度約85%〜約95%の標的アルジトールを濃縮し、二次抽出で結晶化することができる。
アルジトールのバランス化
【0087】
アルジトールストリームから標的アルジトール(例えばキシリトール又はソルビトール)の大部分が抽出された後、残りのC5/C6アルジトールのバランスをシフトさせて残りのアルジトールを水素化分解を行えるように準備し、特定のグリコール生成物リストとする。例えば、C6含量を高くすると、水素化分解生成物としてプロピレングリコール及びブタンジオール異性体を生じやすく、C5アルジトールは水素化分解生成物としてエチレングリコール及びグリセリンを生じやすい。
【0088】
クロマトグラフィ、沈殿などのプロセスは、C5アルジトールを多く含む画分と、C6アルジトールを多く含む別々の画分を生じさせることができる。濃縮された画分に水素化分解を行うことで、標的グリコール生成物が生じる。
【0089】
図3は、水素化分解(14)とグリコール分離(15)とを含む、水素化分解及び分離段階(50)のプロセスフロー図である。
水素化分解
【0090】
残留アルジトール及びアルジトール混合物は、水素化分解によってグリコール類とグリセリンを含む標的水素化分解生成物に変換することができる。水素化分解は、水素の存在下、高温及び高圧で行うことができる。
【0091】
形成される代表的な標的グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ブタノール、ブタンジオール異性体(1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、及び2,3−ブタンジオール)、及びこれらの混合物が挙げられる。グリセリンは別の標的水素化分解生成物となり得る。
【0092】
代表的な水素化分解触媒としては、遷移金属、貴金属触媒、水性条件及び高pH(9以上)に合わせて配合された支持マトリクスに担持させた金属触媒が挙げられる。水素化プロセス用に上記に述べた代表的な触媒を、水素化分解プロセスで使用することができる。一実施形態では、水素化分解触媒は、ジルコニア又は二酸化チタン基材支持マトリックスに担持させたニッケル系(20〜40%ニッケル)である。
【0093】
一実施形態では、水素化分解は約240℃の温度、約1000〜約2000psigの圧力、約10以上のpH、及び約0.5〜約3.0の液空間速度(LHSV)で行われる。
【0094】
一実施形態では、水素化分解は、約210〜約250℃、具体的には約220〜約240℃の温度、約1000〜約2000psig、具体的には約1200〜約1800psigの圧力、約9.0〜約11.0、具体的には約10.0のpH、及び、約0.5〜約2.0、具体的には約0.8〜約1.5、より具体的には約1.0の液空間速度(LHSV)で行われる。更にこの実施形態では、水中、乾燥重量基準で約20〜約25%の混合アルジトール(例えばC5/C6アルジトール)の供給原料が用いられる。水素の量は、化学量論的に約4〜約6倍とすることができる。更にこの実施形態では、水酸化ナトリウムなどの反応促進物質が使用される。C5/C6アルジトールの混合グリコールへの変換率は、70%超、具体的には80%超であり得る。
【0095】
一実施形態では、プロセスは、水中の約20〜約25重量%の全固形分、pH約11、約1.0のLHSV、約2000psigの水素圧、及び約240℃の温度を有する残留混合C5/C6アルジトールストリームに対して、ニッケル系触媒の存在下、連続的に水素化分解することによって、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、ブタンジオール異性体、又はこれらの組み合わせを含む混合グリコールストリームを形成することを含む。
【0096】
一実施形態では、水素化分解プロセスによって、プロピレングリコール(約15%〜約25%)、エチレングリコール(約20%〜約30%)、グリセリン(約10%〜約30%)、及びブタンジオール異性体(約10%〜約20%)を含む混合グリコールストリームが生じる。
【0097】
水素化分解の供給原料及び水素化分解プロセスで得られた混合グリコールストリームは、エタノール及び水を含み得る。この場合、エタノールは、水素の溶解度を高め、必要なエネルギー量を下げる共溶媒として加えることができる。アルコール類は気化熱が低く、エタノール/水の低沸点共沸混合物の使用によって、エネルギーコストの更なる低減が可能となる。
【0098】
一実施形態では、水素化分解プロセスの水素化分解供給原料として使用される残留混合C5/C6アルジトールストリームは、アルジトール、約25〜約50%のエタノール、及び約25〜約50%の水を含み得る。
【0099】
一実施形態では、水素化分解プロセスは、ニッケル系触媒を、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、又はこれらの組み合わせを含む基材とともに使用して行われる。
【0100】
一実施形態では、水素化分解プロセスによるC5/C6アルジトールのグリコールへの変換率が90%を下回った場合、プロセスは、ファウリング物質を除去するための段階式の温水、腐食剤、及びエタノールによる触媒洗浄後に水素乾燥及び還元活性化を行う再生サイクルを更に含む。
グリコールの分離
【0101】
グリコール類の混合物及びグリセリンを含む水素化分解プロセスの生成物ストリームは、標的グリコール生成物を含む標的水素化分解生成物に分離することができる。代表的な分離プロセスとしては、古典的蒸留、抽出プロセス、及び、沸点の近いグリコール類を単離及び精製するための抽出及び/又は共沸蒸留の組み合わせが挙げられる。標的水素化分解生成物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、及びブタジエン異性体が挙げられる。
【0102】
プロピレングリコールは、共沸蒸留によって工業グレード及び米国薬局方(USP)グレードのプロピレングリコールに分離することができる。エチレングリコールは、共沸蒸留によって工業グレード及びポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂グレードのエチレングリコールに分離することができる。ブタンジオールは、濃縮して工業用に個々の1,2−、2,3−、及び1,3−ブタンジオールにそれぞれ精製することができる。グリセリンは、抽出し、かつ/又は、水素化分解に先立って混合アルジトールハイドロ処理フィードストックとして回収し、プロピレングリコール及びエチレングリコールに変換することができる。
【0103】
一実施形態では、バイオマス由来の混合C5/C6モノマー糖ストリームからC5/C6アルジトール及びC2〜C4グリコールを生成するためのプロセスは、アルカリ性、酸性、酵素的、又は酸性かつ酵素的条件下でバイオマス源を分解及び加水分解して、糖モノマー、オリゴマー糖、ヘミセルロース、セルロース、可溶化リグニン、並びに糖以外の有機化合物、灰、及び無機夾雑物などの不純物の1以上を含むバイオマス加水分解物ストリームを形成することと、バイオマス加水分解物ストリームをコンディショニングしてリグニン、糖以外の有機化合物、及び無機夾雑物を除去することにより精製混合C5/C6糖ストリームを形成することと、精製混合C5/C6糖ストリームを酸加水分解して混合C5/C6モノマー糖ストリームを形成することと、混合C5/C6モノマー糖ストリームを水素化して混合C5/C6アルジトールストリームを形成することと、混合C5/C6アルジトールストリームから結晶化により標的アルジトールを単離して、残留混合C5/C6アルジトールストリームを残すことと、残留混合C5/C6アルジトールストリームを水素化分解して混合グリコールストリームを形成することと、標的グリコールを単離することと、を含む。この実施形態では、バイオマス源を分解及び加水分解することは、アルカリ条件下で行われる。この実施形態では、バイオマスは、麦稈由来のものである。この実施形態では、コンディショニングは、選択された漸進的膜及び炭素処理を用いて行われる。この実施形態では、水素化は、ニッケル固定床触媒反応下で行われ、水素化分解はニッケル触媒下で行われる。一実施形態では、標的アルジトールはキシリトールであり、標的グリコールはプロピレングリコールである。除去される無機夾雑物は、塩化物、硫酸塩、リン酸塩、又はこれらの組み合わせである。
【0104】
開示されるプロセスによって調製されたキシリトール、ソルビトール、その他のアルジトール、及び特定のアルジトール混合物(例えば所定のソルビトール、キシリトール比のもの)は、食品及びオーラルケア製品中の甘味剤として、医薬品の成分として、及び工業用途での使用を含む広範な用途で使用することができる。甘味剤としては、菓子類、チューインガム、ソース、飲料などにおいて単独で、又は他の甘味剤と組み合わせて使用することができる。キシリトールは非う蝕性であり、糖尿病患者のインスリンレベルに影響しないことから、食品において特定の用途が存在する。更に、極めて大きな負の溶解熱のため、キシリトールを食べると消費者の口中に冷涼感を生じる。このような効果のため、キシリトールはリフレッシュ感を与えるためにチューインガムに広く使用されている。医薬品では、キシリトールは甘味剤、賦形剤などとして使用することができる。オーラルケア製品としては、練り歯磨き、歯磨き粉、マウスウオッシュ、ブレスフィルムなどが挙げられる。
【0105】
アルジトールは、樹脂及び界面活性剤の調製、各種のポリマーの可塑剤としての使用などをはじめとする様々な工業用途でも用いられる。
開示されるプロセスによって調製される標的グリコールとしては、工業的に、また、化粧品及び食品用途で広く用いられているプロピレングリコール、PET(ポリエチレンテレフタレート)容器用の樹脂グレード品質のエチレングリコール標的物質、並びに付加価値を与えられた医薬品前駆物質及び樹脂用のブタンジオール異性体が挙げられる。
【0106】
バイオマス分解プロセスから得られるパルプは、ファイバーボード、特殊紙、並びに/又は従来の広葉樹材及び針葉樹材パルプに代わる他のパルプ用途の製造に使用することができる。
【0107】
単離されたリグニン画分は、リグノスルホン酸、樹脂の製造などをはじめとする特定の工業用途で、又は低硫黄燃料として使用することができる。
【0108】
一実施形態では、プロセスは、ポプラ、バガス、又はこれらの組み合わせを、酸性条件を用いて分解することにより、混合C5/C6糖ストリームを形成することと、標的アルジトール又はアルジトールの標的ブレンドを選択することと、混合C5/C6糖ストリームをコンディショニングしてリグニン、有機不純物、及び無機不純物を除去することと、混合C5/C6糖ストリームを加水分解して混合C5/C6モノマー糖ストリームを形成することと、混合C5/C6モノマー糖ストリームを連続的に水素化して混合C5/C6アルジトールストリームを形成することと、混合C5/C6アルジトールストリームから標的アルジトール又はアルジトールの標的ブレンドを単離して、残留混合C5/C6アルジトールストリームを残すことと、残留混合C5/C6アルジトールストリームを連続的に水素化分解して混合C2〜C4グリコールストリームを形成することと、混合C2〜C4グリコールストリームから標的グリコール又はグリコールの標的ブレンドを単離することと、を含み、全ての標的生成物の収率の少なくとも10%が、標的アルジトール/アルジトールの標的ブレンド、又は標的グリコール/グリコールの標的ブレンドであり、標的アルジトールはキシリトールであり、標的グリコールはプロピレングリコールであるか、又はこれらの組み合わせであり、キシリトールは、任意選択的にエタノール又はイソプロパノール貧溶媒とともに結晶化することにより単離される。
【0109】
別の実施形態では、プロセスは、混合C5/C6モノマー糖ストリームを連続的に水素化して混合C5/C6アルジトールストリームを形成することと、混合C5/C6アルジトールストリームからキシリトールを単離して、残留混合C5/C6アルジトールストリームを残すことと、残留混合C5/C6アルジトールストリームを連続的に水素化分解して混合C2〜C4グリコールストリームを形成することと、混合C2〜C4グリコールストリームから標的グリコール又はグリコールの標的ブレンドを単離することと、を含み、全ての標的生成物の収率の少なくとも10%が、キシリトール又は標的グリコール若しくはグリコールの標的ブレンドである。
【0110】
一実施形態では、プロセスは、混合C5/C6モノマー糖ストリームから標的C5/C6モノマー糖又はC5/C6モノマー糖の標的ブレンドを単離して、残留混合C5/C6モノマー糖ストリームを形成することと、残留混合C5/C6モノマー糖ストリームを連続的に水素化分解して混合C2〜C4グリコールストリームを形成することと、混合C2〜C4グリコールストリームから標的グリコール又はグリコールの標的ブレンドを単離することと、を含み、全ての標的生成物の収率の少なくとも10%が、標的C5/C6モノマー糖/C5/C6モノマー糖の標的ブレンド又は標的グリコール/グリコールの標的ブレンドである。この実施形態では、標的C5/C6モノマー糖は、キシリトールとすることができる。
【0111】
別の実施形態では、プロセスは、バイオマスフィードストック源に基づいて少なくとも2種類の標的生成物を選択することと、バイオマスフィードストックを少なくとも2種類の標的生成物に変換することであって、全ての標的生成物の収率の少なくとも10%が、少なくとも2種類のうちの標的生成物の一方である、ことと、全ての標的生成物の収率を維持するうえで必要な場合には、バイオマスフィードストック源に変化がある場合、少なくとも2種類の標的生成物の選択を変更することと、を含み、少なくとも2種類の標的生成物のうちの一方は、標的C2〜C4グリコール又はC2〜C4グリコールの標的ブレンドであり、少なくとも2種類の標的生成物のうちの残りの方は、標的[C5/C6]アルジトール、[C5/C6]アルジトールの標的ブレンド、標的[C5/C6]モノマー糖、標的[C5/C6]モノマー糖のブレンド、又はこれらの組み合わせであり、いずれのシングルフィードストックストリームに対しても操作処理が2回又は3回以下で行われ、操作処理は、水素化、水素化分解、バイオマス分解プロセス、又は単離プロセスであり、フィードストックストリームは、バイオマスフィードストックストリーム、加水分解物ストリーム、モノマー糖ストリーム、アルジトールストリーム、グリコールストリーム、又はこれらの組み合わせである。この実施形態では、プロセスの少なくとも1つの工程を連続的に行うことができる。更にこの実施形態では、プロセスは、単一の生産拠点、又は単一の生産ラインで行うことができる。
【0112】
一実施形態では、プロセスは、加水分解物ストリーム源に基づいて少なくとも2種類の標的生成物を選択することと、加水分解物ストリームを少なくとも2種類の標的生成物に変換することであって、全ての標的生成物の収率の少なくとも10%が、少なくとも2種類の標的生成物のうちの一方である、ことと、全ての標的生成物の収率を維持するうえで必要な場合には、記加水分解物ストリーム源に変化がある場合、少なくとも2種類の標的生成物の選択を変更することと、を含み、少なくとも2種類の標的生成物のうちの一方は、標的C2〜C4グリコール又はC2〜C4グリコールの標的ブレンドであり、少なくとも2種類の標的生成物のうちの残りの方は、標的[C5/C6]アルジトール、[C5/C6]アルジトールの標的ブレンド、標的[C5/C6]モノマー糖、標的[C5/C6]モノマー糖のブレンド、又はこれらの組み合わせであり、いずれのシングルフィードストックストリームに対しても操作処理が2回又は3回以下で行われ、操作処理は、水素化、水素化分解、又は単離プロセスであり、フィードストックストリームは、加水分解物ストリーム、モノマー糖ストリーム、アルジトールストリーム、グリコールストリーム、又はこれらの組み合わせである。この実施形態では、プロセスの少なくとも1つの工程を連続的に行うことができる。更にこの実施形態では、プロセスは、単一の生産拠点、又は単一の生産ラインで行うことができる。
【0113】
別の実施形態では、プロセスは、混合モノマー糖ストリーム源に基づいて少なくとも2種類の標的生成物を選択することと、混合モノマー糖ストリームを少なくとも2種類の標的生成物に変換することであって、全ての標的生成物の収率の少なくとも10%が、少なくとも2種類の標的生成物のうちの一方である、ことと、全ての標的生成物の収率を維持するうえで必要な場合には、混合モノマー糖ストリーム源に変化がある場合、少なくとも2種類の標的生成物の選択を変更することと、を含み、少なくとも2種類の標的生成物のうちの一方は、標的C2〜C4グリコール又はC2〜C4グリコールの標的ブレンドであり、少なくとも2種類の標的生成物のうちの残りの方は、標的[C5/C6]アルジトール、[C5/C6]アルジトールの標的ブレンド、標的[C5/C6]モノマー糖、標的[C5/C6]モノマー糖のブレンド、又はこれらの組み合わせであり、いずれのシングルフィードストックストリームに対しても操作処理が2回又は3回以下で行われ、操作処理は、水素化、水素化分解、又は単離プロセスであり、フィードストックストリームは、前記モノマー糖ストリーム、アルジトールストリーム、グリコールストリーム、又はこれらの組み合わせである。この実施形態では、プロセスの少なくとも1つの工程を連続的に行うことができる。更にこの実施形態では、プロセスは、単一の生産拠点、又は単一の生産ラインで行うことができる。
【0114】
本発明の特徴及び利点を、以下の実施例によってより完全に示すが、これらの実施例は説明の目的で与えられるものであって、いかなる意味においても本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0115】
実施例1
アルカリパルプ液に溶解しないセルロース及びわずかな割合の懸濁されたリグニンと、より分子量の大きいヘミセルロースをセルロースとともに抽出して、パルプの収率を高めることができる。パルプ化運転条件によってヘミセルロースの分子量を小さくし、母液中のヘミセルロースの回収率を高め、ひいては正味のC5/C6糖の濃度を高めることができる。麦稈ヘミセルロースは、およそ75:25の一般的なキシラン:グルカン比を有する。したがって、セルロースが全て除去された場合(C6)、可能な最も高いC5(キシロース/アラビノース)糖の収率は、全てヘミセルロース画分からキシロース/アラビノース75%となる。麦稈セルロースが全てC6糖に変換され、この場合の麦稈ヘミセルロースがC5及びC6糖に変換される場合、C6糖は最大でC5糖の2.19倍の量となる。全ての糖(セルロース及びヘミセルロース)がモノマーに変換される場合、C5はセルロース及びヘミセルロース糖の合計の最大でおよそ31%となる。C6セルロースが全て除去される場合、ヘミセルロース画分からの糖の最大C5濃度は75%に留まる。したがって、a)特定の糖及びハイドロ処理するための糖の生成に有利となり、かつb)C6(セルロース)パルプ回収によりC5濃度を調節するために特定のC5:C6糖及び比を標的とすることができ、対応するパルプ条件及び他の前処理に対応することが可能である。
実施例2.C5/C6糖の水素化
【0116】
キシロース及びアラビノース(C5糖)及び共フィードストックとしてヘキソースC6糖(グルコース、ガラクトース、マンノース、及びフルクトース)を、水に対する乾燥重量糖濃度20〜25%、pH10〜12、125〜150℃、及び1800〜2000psigで、一連の専用の触媒上で水素化する。液空間速度(LHSV)は0.4〜1.5とし、水素の化学量論的過剰量を4〜6倍とする。糖からアルジトールへの全体の変換率は99%である。副生成物としては、未反応のアルドース及び可能な他のC5又はC6アルジトール異性体が含まれる。表2−A、表2−B、及び表2−Cに、アルジトールの生産条件を示す、異なる条件及び触媒を用いた一連の水素化を示す。
【0117】
C5及びC6アルジトールが同時生産され、標的アルジトールは分画されて工業及び/又は食品グレードの材料に精製され、他の標的以外のアルジトールはグリコール生産用に水素化分解されるように送られる。キシリトール又はソルビトールなどの標的アルジトールが部分的に回収され、また高い性能、高い回収率での分離(例えばキシリトール又はソルビトールで75〜90%超)を必要としないことで、最終的なアルジトール分離コストが飛躍的に低減される一方、合計アルジトール及びグリコール収率が最適化される。よって、アルジトール及びグリコールの同時生産により、最終的にコストが低くなり、生産量が高くなる。表2−B及び表2−Cに、キシロースを例として、ニッケル含量が約50〜約80%のスポンジメタル触媒を用いてキシロースをキシリトールに変換する水素化の基本的条件を示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【0118】
要約すると、アルジトールの生産において対象となる2種類の主生成物がある(上記に述べたように例えばソルビトールとキシリトール)。混合アルジトール(標的アルジトールを除去しているか、又はしていないもの)を生産することの主な目的は、C5/C6水素化分解用のフィードストックを提供することにある。したがって、水素化から得られた混合アルジトールを特定のアルジトール(例えばマンニトール又はアルビトール)の供給源とするか、又は高付加価値のグリコールを製造するための水素化分解用のアルジトールとすることができる。
実施例3.ユニット操作によるC5アルジトールの選択的濃縮
【0119】
C5/C6糖の水素化後、C5/C6は一般に、C5/C6比又は異なるアルジトールC5/C6異性体のばらつきによらず、糖アルドースの対応するアルジトールへの97〜99%の変換率を与える。アルジトールの変化が異性体組成をわずかに変化させ得るが、全体の変換率は一定かつ高いままである。
【0120】
例えばキシリトールが標的アルジトールである場合、キシリトールを濃縮し、その後、更に精製して液体又は結晶化生成物とするためのいくつかのプロセスの選択肢が可能である。まず、キシリトールが合計C5/C6アルジトールの30%未満であるような低いキシリトール濃度の場合では、疑似移動床(SMB)技術などの古典的及び/又は最近開発された工業用クロマトグラフィを用いることができる。システム構成、樹脂の種類、溶出及び再利用ループに応じて、濃度は30%〜50%〜70%に推移し得る。他の最新技術のプロセスにおけるクロマトグラフィ分離は、現在、標的物質の最大の回収率を得ることと、これらの物質を濃縮することに大きな主眼を置いている。このような、高い除去率と回収される画分の高い純度の二重の基準は、操作及びコストの点で煩雑となる。より多くの機器、より高い再利用率、高い希釈度などが必要となる。そのため、より高い純度で20〜40%が回収されれば許容範囲とみなされる。その意図するところは、標的アルジトールの画分を精製及び濃縮することにあり、完全な回収を行うことではない。水素化分解後の下流のグリコール生産は、標的アルジトールに対する最終的な付加価値のある共生成物としての役割を果たす。更に、物理的性質を、分離が困難な不揮発性のアルジトールから、蒸留によって容易に分離できる揮発性のグリコールに変化させることにより、アルジトール及びグリコールの全体の最終的な分離コストがより低くなる。同様に、ソルビトール又はマンニトール(C6アルジトール)を主要な生成物アルジトールとすることもできる。
【0121】
表3に、いくつかの代替的な樹脂及びSMBのシステム構成、並びにそれぞれのアルジトール混合物から得られるキシリトール及びソルビトールの濃度を示す。
【表5】
X=キシリトール、A=アラビトール、S=ソルビトール、M=マンニトール
実施例4.アルジトールの濃縮及び結晶化
【0122】
アルジトール(キシリトール、アラビニトール、ソルビトール、マンニトール、及び他のエピマーアルジトール)は、水素化後の水中の最大固形分濃度が25%である。この混合物を、C6アルジトールは保持し、C5を透過液中で濃縮するように選択された樹脂を用いた選択移動床クロマトグラフィにより、かつ/又は、25%のアルジトールを取り、逆浸透圧法又は他の方法によって水を除去するか、かつ/又は例えばアラビニトール(arabinatol)をキシリトールに選択的に変換することにより、更に濃縮することができる。キシリトールの比率(%)がより高い、より高濃度のアルジトールは、結晶化を促すための貧溶媒(例えばエタノール)を添加してもしなくても結晶化させることができる。
【0123】
個々のアルジトールは水への溶解度が異なり、所定の温度では、ソルビトール及びアラビトールが最も高い溶解度を有し、次いでキシリトール、次いでマンニトールの順となっている。更に、溶解度は、アルジトールを可溶化するために用いられるエタノール/水混合物などの貧溶媒によって影響される。エタノール濃度が高いほど、アルジトールの溶解度は低くなる。溶解度の差と、抽出及び結晶化段階において可能なエタノールの使用との組み合わせによって、生成物の単離を制御することが可能となる。
【0124】
表4−Aに、キシリトールの結晶化に対するキシリトール濃度の影響を示す。表4−Bに、キシリトールの結晶化に対するエタノール/水溶媒の体積の影響を示す。
【表6】
【表7】
【0125】
各種の特定のC5/C6アルジトール(キシリトール又はソルビトール)を対応する混合C5/C6アルドースフィードストック(キシリトール、アラビトール、マンニトール、ガラクチトール、ソルビトール)から生成する組み合わせによって、キシリトール又は他のアルジトールを高純度画分に抽出するために適した濃度にまで濃縮するために、水溶解度に対して水/エタノール混合アルドースを、例えばクロマトグラフィと組み合わせて段階的に用いることが可能となる。次いで、このより高純度の画分を段階的に再結晶化して、一連の高純度(例えば98%以上)とすることができる。
【0126】
要約すると、標的アルジトールを、水素化分解に使用される大量の標的以外のアルジトールとともに除去することができる。
実施例5.グリコールを生成するためのアルジトールの水素化分解
【0127】
表5−Aに、水素化分解によりグリコールに変換される代表的な混合アルジトールを示す。この表では、例えばC5キシリトールが、対応するC6ソルビトール供給原料からのエチレングリコール(EG)(13%)よりも多くのエチレングリコール(EG)(26%)を生成している点に留意されたい。再生可能な持続的PETボトルに使用される「グリーンEG」が、市場では従来の非グリーンEGよりも好まれることを考慮すると、本明細書で開発されたプロセスの柔軟性が説明される。プロピレングリコール(PG)の主眼は、より高いC6/C5比にシフトする。得られたグリコールであるPG、EG、GLY(グリセリン)及びBD(ブタンジオール異性体)は、従来の蒸留並びに/又は抽出及び共沸蒸留によって分離することができる。
【表8】
実施例6.キシリトールの精製に対するソルビトール及びマンニトールの影響
【0128】
各アルジトールと各アルドースの混合物を85℃の水に溶解することにより、異なる量のキシリトール、マンニトール、ソルビトール、及び他の糖を含むモデル結晶化液系混合物を調製し、表6に示されるような全固形分組成(重量%)を有する溶液を得た。次いで、各溶液を5℃で結晶化容器に加えた。容器内容物の温度を観測した。30℃でキシリトール(3g)の種晶を100mLのエタノール(95%)とともに加えた。固体キシリトールを種晶添加の1時間後に濾過によって除去した。表6のデータは、モデル系からのキシリトールの精製に対するソルビトール及びマンニトールの濃度の影響を示している。
【0129】
マンニトールは低い溶解度を有する。表6のデータに示されるように、マンニトール濃度が10%よりも高いと、マンニトールとキシリトールとの望ましくない共結晶化が認められる。マンニトール含量が結晶化液の4重量%以下である場合、キシリトールの効果的な精製が得られた。
【0130】
表6のデータにやはり示されるように、ソルビトールの濃度が15%以上であると、キシリトールの結晶化の速度が低下し、濾過速度も低下している。
【表9】
【0131】
本発明は、例示的な実施形態を参照して説明されているが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ、均等物をその要素と置き換えることができることを理解するであろう。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は物質を本発明の教示に適合させるために、多くの改変がなされ得る。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図される最も優れた様式として開示された特定の実施形態に限定されず、本発明は添付の特許請求の範囲内の全ての実施形態を含むよう意図される。