特許第6774534号(P6774534)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6774534-車両のサブモビリティ充電システム 図000002
  • 特許6774534-車両のサブモビリティ充電システム 図000003
  • 特許6774534-車両のサブモビリティ充電システム 図000004
  • 特許6774534-車両のサブモビリティ充電システム 図000005
  • 特許6774534-車両のサブモビリティ充電システム 図000006
  • 特許6774534-車両のサブモビリティ充電システム 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774534
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】車両のサブモビリティ充電システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20201019BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20201019BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20201019BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20201019BHJP
【FI】
   G01C21/34
   B60L53/12
   B60L53/14
   B60L58/12
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-106360(P2019-106360)
(22)【出願日】2019年6月6日
(62)【分割の表示】特願2017-89153(P2017-89153)の分割
【原出願日】2017年4月28日
(65)【公開番号】特開2019-148606(P2019-148606A)
(43)【公開日】2019年9月5日
【審査請求日】2019年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相内 雄二
(72)【発明者】
【氏名】菊地 勝美
【審査官】 ▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−139486(JP,A)
【文献】 特開2002−267463(JP,A)
【文献】 特開2011−229292(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0055743(US,A1)
【文献】 特表2019−503295(JP,A)
【文献】 特開2016−038668(JP,A)
【文献】 特開平05−286437(JP,A)
【文献】 特開2016−025712(JP,A)
【文献】 特開2009−078740(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0205401(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 − 21/36
G09B 29/00 − 29/14
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L 15/00 − 58/40
G08G 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が乗車したサブモビリティを積載して移動可能な車両のサブモビリティ充電システムであって、
前記サブモビリティで入力された情報を取得する取得部と、
積載した前記サブモビリティに対して電力を供給するための主給電部と、
前記主給電部を通じた前記サブモビリティへの給電を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、
取得した前記サブモビリティの目的地での走行予定に基づいて前記サブモビリティを充電し、
充電した前記サブモビリティを、目的地に対応する立寄地へ案内する車両の巡回経路を生成する
車両のサブモビリティ充電システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記車両及び前記サブモビリティの総予定消費電力量を、前記サブモビリティの目的地の情報に基づいて生成された巡回経路における前記車両の走行予定距離と、目的地での走行予定から算出した前記サブモビリティの走行予定距離と、から合算し演算する
請求項1記載の車両のサブモビリティ充電システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記サブモビリティから取得した情報に基づいて、前記サブモビリティが移動に必要とする必要電力量を演算し、
前記サブモビリティから取得した残電力量が前記必要電力量より小さい場合、閾値より小さい場合、又は前記必要電力量に係数をかけた電力量より小さい場合には、前記サブモビリティを充電してから立寄地へ案内し
前記サブモビリティから取得した残電力量が前記必要電力量以上である場合、閾値以上である場合、又は前記必要電力量に係数をかけた電力量以上である場合には、前記サブモビリティを充電することなく立寄地へ案内する、
請求項1または2記載の車両のサブモビリティ充電システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記車両の充電制御を行うに際して、
前記車両の残電力量および一以上の前記サブモビリティの残電力量に基づいて前記車両および一以上の前記サブモビリティの充電順を決定し、
決定した充電順で前記サブモビリティを充電してから立寄地へ案内する巡回経路を生成する、
請求項1から3のいずれか一項記載の車両のサブモビリティ充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員が乗車しているサブモビリティを積載して移動可能な車両のサブモビリティ充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自力歩行が難しい高齢者やハンディキャップパーソンには車椅子が利用されている。
そして、近年では、電動モータなどにより自走可能な車椅子などのパーソナルモビリティが提案され始めている。
このようなパーソナルモビリティが広く普及し、その結果として自力歩行が難しい人が活動し易い社会を作るためには、自力歩行が難しい人だけでなく、自力歩行可能な人にもパーソナルモビリティを利用してもらうことが重要である。
このために、たとえば特許文献1、2において車椅子の例があるように、人がパーソナルモビリティに乗車したまま自動車などの車両へ乗り込むことができるようにすることが大切であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−006702号公報
【特許文献2】特開2004−114956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両へ積載可能なサブモビリティを利用する場合、予め十分な充電がなされた状態で利用を開始することが望ましい。
しかしながら、急に移動する必要が生じる場合などにおいて、サブモビリティが十分に充電されていない状態でも、サブモビリティを利用して移動をしたいことが考えられる。
この場合、サブモビリティは、移動中に、たとえば車両において充電できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車両のサブモビリティ充電システムは、乗員が乗車したサブモビリティを積載して移動可能な車両のサブモビリティ充電システムであって、前記サブモビリティで入力された情報を取得する取得部と、積載した前記サブモビリティに対して電力を供給するための主給電部と、前記主給電部を通じた前記サブモビリティへの給電を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、取得した前記サブモビリティの目的地での走行予定に基づいて前記サブモビリティを充電し、充電した前記サブモビリティを、目的地に対応する立寄地へ案内する車両の巡回経路を生成する。
【0006】
好適には、前記制御部は、前記車両及び前記サブモビリティの総予定消費電力量を、前記サブモビリティの目的地の情報に基づいて生成された走行経路における前記車両の走行予定距離と、目的地での走行予定から算出した前記サブモビリティの走行予定距離と、から合算し演算する、とよい。
【0007】
好適には、前記制御部は、前記サブモビリティから取得した情報に基づいて、前記サブモビリティが移動に必要とする必要電力量を演算し、前記サブモビリティから取得した残電力量が前記必要電力量より小さい場合、閾値より小さい場合、又は前記必要電力量に係数をかけた電力量より小さい場合には、前記サブモビリティを充電してから立寄地へ案内し、前記サブモビリティから取得した残電力量が前記必要電力量以上である場合、閾値以上である場合、又は前記必要電力量に係数をかけた電力量以上である場合には、前記サブモビリティを充電することなく立寄地へ案内する、とよい。
【0008】
好適には、前記制御部は、前記車両の充電制御を行うに際して、前記車両の残電力量および一以上の前記サブモビリティの残電力量に基づいて前記車両および一以上の前記サブモビリティの充電順を決定し、決定した充電順で前記サブモビリティを充電してから立寄地へ案内する巡回経路を生成する、とよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、取得したサブモビリティの目的地での走行予定に基づいてサブモビリティを充電し、充電したサブモビリティを、目的地に対応する立寄地へ案内する巡回経路を生成する。
よって、乗車前に十分な充電がなされていないサブモビリティであっても、乗車中に充電されて、目的地に対応する立寄地で降車した後、目的地において所望の移動をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明に適用したサブモビリティの一例の概観図である。
図2図2は、図1のサブモビリティの電気回路の一例の説明図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る自動車の模式的な概観図である。
図4図4は、図3の自動車のサブモビリティ充電システムの一例の説明図である。
図5図5は、第1実施形態での充電順の決定処理のフローチャートである。
図6図6は、第1実施形態での経路生成処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、本発明に適用したサブモビリティ50の一例の概観図である。
図1に示すように、サブモビリティ50は、卵型のボディ51を有する。ボディ51の内側には、乗員が着座するシート52が配置される。シート52の左右両側にはアームレスト53が配置される。アームレスト53の先端には、操作レバー54が配置される。また、ボディ51の下部には、複数の車輪55が設けられる。
【0014】
図2は、図1のサブモビリティ50の電気回路の一例の説明図である。
図2に示すように、図1のサブモビリティ50には、電力系回路として、副受電コネクタ61、副充電器62、副バッテリ63、副コンバータ64、複数の車輪55を駆動する副動力モータ65、副制動モータ66、副操舵モータ67、副設備機器68、が設けられる。
【0015】
副受電コネクタ61は、たとえば商用電源と電源コードにより接続される。副充電器62は、副受電コネクタ61から供給される電力により副バッテリ63を充電する。
副コンバータ64は、副バッテリ63の蓄電電力を変換して、副動力モータ65、副制動モータ66、副操舵モータ67、および副設備機器68といった負荷機器へ供給する。
副動力モータ65が駆動されることにより、複数の車輪55が回転し、サブモビリティ50は前進または後退できる。
副操舵モータ67が駆動されることにより、車輪55の向きが変更され、サブモビリティ50は左右に展開できる。
副制動モータ66が駆動されることにより、複数の車輪55の回転が制動される。これにより、サブモビリティ50は停止できる。
このようにサブモビリティ50は、副受電コネクタ61から供給される電力により充電された副バッテリ63の蓄電電力を用いて、乗員をシート52に乗せて走行できる。
【0016】
また、図2にはさらに、制御系回路として、副電力監視部71、副電力制御部72、副GPS(Global Positioning System)受信部73、副入力部74、副通信部75、副表示部76、副センサ部77、副ルート生成部78、副自動運転部79、を有する。副電力制御部72、副ルート生成部78、および副自動運転部79は、CPU(Central Processing Unit)80がプログラムを実行することにより実現されてよい。この制御系回路は、上述した副設備機器68の一部として、副コンバータ64から電力供給を受けてよい。
【0017】
副電力監視部71は、副バッテリ63の状態を監視する。副バッテリ63の状態には、たとえば充電電圧、温度などがある。
副電力制御部72は、副電力監視部71からの情報に基づいて、副充電器62、副コンバータ64を制御する。たとえば副受電コネクタ61に電源コードが接続されて副充電器62により副バッテリ63を充電可能な状態である場合、副バッテリ63の電圧が所定の最高電圧となるまで副充電器62による充電を制御する。副バッテリ63の電圧が所定の最低電圧より低い場合には、副コンバータ64による電力変換を停止させる。所定の最低電圧より少し高い電圧以下になると、副コンバータ64が各負荷機器へ供給する電力を減らす。副電力制御部72は、これらの電力制御状態および副バッテリ63の状態についての情報を、副ルート生成部78および副自動運転部79へ適宜に又は周期的に通知する。
【0018】
副GPS受信部73は、GPS衛星から電波を受信する。複数のGPS衛星からの電波を受信することでサブモビリティ50の位置を演算できる。
副入力部74は、乗員の操作が入力されるデバイスであり、たとえば上述した操作レバー54を有する。
副通信部75は、他のデバイスたとえば自動車1の主通信部35との間で通信し、データを送受する。また、基地局と通信することにより、基地局の位置情報を取得できる。
副表示部76は、たとえばタッチパネル式液晶デバイスである。このタッチパネルは、副入力部74の一部として機能し得る。
副センサ部77は、サブモビリティ50の位置、速度、周囲環境などを検出するものである。
副ルート生成部78は、たとえば目的地などが入力されることにより、サブモビリティ50の現在位置から目的地までの巡回経路を生成する。
副自動運転部79は、たとえば生成された巡回経路にしたがって副動力モータ65、副制動モータ66および副操舵モータ67へ制御信号を出力する。これにより、サブモビリティ50は、巡回経路をたどって目的地まで自動的に移動することができる。
【0019】
ところで、サブモビリティ50が広く普及し、その結果として自力歩行が難しい人が活動し易い社会を作るためには、自力歩行が難しい人だけでなく、自力歩行可能な人にもサブモビリティ50を利用してもらうことが重要である。
このために、人がサブモビリティ50に乗車したまま自動車1などの車両へ乗り込むことができるようにすることが大切であると考えられる。
また、このように自動車1へサブモビリティ50が乗り込む場合、好ましくは、乗車したサブモビリティ50を自動車1内で充電できるようにするとよい。これにより、乗員は、十分な充電がなされていない状態にあるサブモビリティ50に乗車して移動を開始し、自動車1内でサブモビリティ50を充電できる。そして、自動車1から降車した後には十分に充電されたサブモビリティ50を用いて目的地まで移動したり、目的地において移動したりできる。このような付加価値により、サブモビリティ50と自動車1とが有機的に結合した次世代交通システムの利便性が高まり、その利用促進が期待できる。
【0020】
しかしながら、自動車1に搭載できる主バッテリ14の蓄電能力や、発電機の発電能力には、自ずと限界がある。特に電気自動車などにあっては主バッテリ14による重量増加が性能を律することになるため、自動車1に積載する主バッテリ14は自動車1の走行に必要な容量に制限され易い。その結果、自動車1からサブモビリティ50への給電は、無制限に実施できない可能性が高い。自動車1からサブモビリティ50へ給電したことに起因して自動車1の残電力が不足して自動車1がその目的地まで移動できなくなってしまうような事態は避けなければならない。
その一方で、サブモビリティ50は、自動車1そのものほどではないにせよ、人を乗せて移動するために比較的大量の電力を必要とする。自動車1からサブモビリティ50へ給電した場合の車両の負担は、たとえば自動車1で携帯電話などの電子機器を充電する場合とは大きく異なる。その結果、自動車1におけるサブモビリティ50の充電は、自動車1の走行能力に影響を与えてしまうことになる可能性がある。
【0021】
このようにサブモビリティ50を自動車1に乗車させる次世代交通システムでは、自動車1からサブモビリティ50への電力供給を適切に制御することが求められている。
【0022】
図3は、本発明の実施形態に係る自動車1の模式的な概観図である。図3(A)は側面図である。図3(B)は平面図である。
図3の自動車1は、乗車室2を有する車体3、車体3の下部に設けられる車輪4、を有する。そして、乗車室2には、4台のサブモビリティ50が2台ずつ2列で乗車している。
また、図3には、車体3の床面に設けられた主受電コイル12と、自動車1が走行可能な道路の路面の走行レーン100に設けられた送電コイル101と、が図示されている。送電コイル101は、路面の走行レーン100を走行している自動車1に非接触に電力を供給できる。主受電コイル12は、自動車1の外にある送電コイル101からの電力供給を受ける。
【0023】
図4は、図3の自動車1のサブモビリティ充電システムの一例の説明図である。自動車1は、車両の一例である。
図4に示すように、図3の自動車1には、電力系回路として、主受電コネクタ11、主受電コイル12、主充電器13、主バッテリ14、主コンバータ15、複数の車輪4を駆動する主動力モータ16、主制動モータ17、主操舵モータ18、主設備機器19、主給電コネクタ20、が設けられる。
【0024】
主受電コネクタ11は、自動車1が駐車している場合に使用されるものであり、たとえば商用電源と電源コードにより接続される。主充電器13は、主受電コイル12または主受電コネクタ11から供給される電力により主バッテリ14を充電する。
主コンバータ15は、主バッテリ14の蓄電電力を変換して、主動力モータ16、主制動モータ17、主操舵モータ18、主設備機器19、および主給電コネクタ20といった負荷機器へ供給する。主コンバータ15は、主受電コネクタ11や主受電コイル12へ供給された電力又は主バッテリ14の蓄電電力を給電コネクタへ供給する。
主給電コネクタ20は、電源コードなどにより、積載したサブモビリティ50の副受電コネクタ61と接続される。積載したサブモビリティ50に対して自動車1の電力を供給するために用いられる。
主動力モータ16が駆動されることにより、複数の車輪4が回転し、自動車1は前進または後退できる。
主操舵モータ18が駆動されることにより、車輪4の向きが変更され、自動車1は左右に展開できる。
主制動モータ17が駆動されることにより、複数の車輪4の回転が制動される。これにより、自動車1は停止できる。
このように自動車1は、主受電コイル12または主受電コネクタ11から供給される電力により充電された主バッテリ14の蓄電電力を用いて、サブモビリティ50を乗せて走行できる。
【0025】
また、図4にはさらに、制御系回路として、主電力監視部31、主電力制御部32、主GPS受信部33、主入力部34、主通信部35、主表示部36、主センサ部37、主ルート生成部38、主自動運転部39、を有する。主電力制御部32、主ルート生成部38、および主自動運転部39は、制御部としてのCPU40がプログラムを実行することにより実現されてよい。CPU40は、ECUとして自動車1に設けられてよい。これらの制御系の各部は、上述した主設備機器19の一部として、主コンバータ15から電力供給を受けてよい。
【0026】
主電力監視部31は、主バッテリ14の状態を監視する。主バッテリ14の状態には、たとえば充電電圧、温度などがある。
主電力制御部32は、主電力監視部31からの情報に基づいて、主充電器13、主コンバータ15を制御する。主電力制御部32は、主コンバータ15による主給電コネクタ20を通じたサブモビリティ50への給電を制御する。たとえば主受電コネクタ11に電源コードが接続されて主充電器13により主バッテリ14を充電可能である場合、主バッテリ14の電圧が所定の最高電圧となるまで主充電器13による充電を制御する。
【0027】
主GPS受信部33は、GPS衛星から電波を受信する。複数のGPS衛星からの電波を受信することで自動車1の位置を演算できる。なお、主GPS受信部33は、たとえば他の電波を受信し、これにより補正された位置を得るものであってもよい。
主入力部34は、乗員の操作が入力されるデバイスである。
主通信部35は、他のデバイスたとえばサブモビリティ50の副通信部75との間で通信し、データを送受する。また、基地局と通信することにより、基地局の位置情報を取得できる。
主表示部36は、たとえばタッチパネル式液晶デバイスである。このタッチパネルは、主入力部34の一部として機能し得る。タッチパネル式液晶デバイスは、たとえば乗車室2の前面に配置される。これにより、複数のサブモビリティ50に乗車した乗員は、共通の表示を閲覧することができる。
主センサ部37は、自動車1の位置、速度、周囲環境などを検出するものである。
主ルート生成部38は、たとえば目的地などが入力されることにより、自動車1の現在位置から立寄地などまでの巡回経路を生成する。立寄地は、目的地と同一であっても、目的地の近くの駐車可能な場所であってもよい。
主自動運転部39は、たとえば生成された巡回経路にしたがって主動力モータ16、主制動モータ17および主操舵モータ18へ制御信号を出力する。これにより、自動車1は、巡回経路をたどって目的地まで自動的に移動することができる。
【0028】
次に、サブモビリティ50と自動車1とによる協調制御について説明する。
協調制御には、たとえば、自動車1の主バッテリ14およびサブモビリティ50の副バッテリ63を充電する充電制御、サブモビリティ50が乗車した自動車1が立寄地まで移動する巡回経路を生成する経路生成、生成した巡回経路で自動走行する自動運転制御、がある。
【0029】
充電制御は、自動車1の主バッテリ14の残電力量およびサブモビリティ50の副バッテリ63に応じて、これらを充電する制御である。
図5は、第1実施形態での充電順の決定処理のフローチャートである。
図5に示すように、主電力制御部32は、自動車1に新たなサブモビリティ50が乗車した場合、充電順の決定処理を開始する(ステップST1)。
充電順の決定処理において、主電力制御部32は、まず、新たに積載したサブモビリティ50の走行予定を取得する(ステップST2)。主電力制御部32は、主通信部35にサブモビリティ50の副通信部75と通信させ、サブモビリティ50の副入力部74に入力された目的地の情報または目的地の走行予定の情報を取得する。
目的地の情報を取得した場合、主電力制御部32は、目的地の情報(たとえばフロア面積、走行経路、通常所要時間などの情報)に応じた一般的な走行予定を生成する。一般的な走行予定の情報は、たとえばCPU40が読み取り可能な記録媒体に記憶されていればよい。
次に、主電力制御部32は、新たにサブモビリティ50の充電要否を判断する(ステップST3)。主電力制御部32は、サブモビリティ50から副バッテリ63の残電力量を取得し、走行予定の距離を移動するために必要な電力量と比較する。そして、不足している場合には、充電要と判断する。不足していない場合には、充電不要と判断する。充電不要の場合、図5の処理を終了する。
なお、主電力制御部32は、サブモビリティ50から取得した残電力量が必要電力量より小さい場合に替えて、サブモビリティ50から取得した残電力量が所定の閾値より小さい場合若しくは必要電力量に所定の係数をかけた電力量より小さい場合において充電要と判断してもよい。
新たに積載したサブモビリティ50の充電が必要である場合、主電力制御部32は、自動車1および乗車しているすべてのサブモビリティ50の充電順を決定または更新する(ステップST4)。
この際、たとえば不足する電力量が小さい順番で充電するように、充電順を決定してよい。
また、自動車1の充電が必要である場合、これを最優先としてよい。
【0030】
そして、図5の処理に基づいて、主電力制御部32は、乗車しているすべてのサブモビリティ50を充電する。充電には、自動車1からサブモビリティ50へ充電する内充電と、自動車1の外の電力によりサブモビリティ50を充電する外充電と、がある。
【0031】
内充電制御では、自動車1の主バッテリ14からサブモビリティ50の副バッテリ63へ給電する。
主電力制御部32は、自動車1にサブモビリティ50が乗車し、主給電コネクタ20に副受電コネクタ61が接続されている場合に、内充電制御を開始する。
内充電制御において、主電力制御部32は、主給電コネクタ20に対するサブモビリティ50の副受電コネクタ61の接続を確認する。また、主バッテリ14の残電力量を確認する。残電力量は、たとえば検出電圧により確認してもよい。
そして、主バッテリ14の検出電圧が所定の最低電圧より少し高い電圧以上である場合、内充電可能と判断し、主バッテリ14の電力の一部を充電順の最初のサブモビリティ50の副バッテリ63へ給電する。主電力制御部32は、主コンバータ15を制御し、主給電コネクタ20からの給電を開始する。これにより、サブモビリティ50へ給電され、副バッテリ63が充電される。その後、サブモビリティ50の副バッテリ63の充電電圧を、主通信部35を通じて取得して監視する。副バッテリ63が所定の必要電圧まで充電されると、主電力制御部32は、主給電コネクタ20からの給電を停止する。これにより、サブモビリティ50の副バッテリ63を所定の必要電圧まで充電できる。また、1つのサブモビリティ50が完了したら、次の充電順のサブモビリティ50の充電を開始する。
また、内充電中は、主電力制御部32は、主バッテリ14の充電電圧を、主電力監視部31から取得して監視する。主バッテリ14の充電電圧が最低電圧より少し高い所定の電圧以下になった場合、主電力制御部32は、主給電コネクタ20からの給電を停止する。
以上の内充電制御により、自動車1は、主バッテリ14の残電力量が最低量以下にならない範囲で、サブモビリティ50の副バッテリ63を充電できる。自動車1からサブモビリティ50へ電力を供給したために自動車1の蓄積電力量が不足して自動車1が自動車1の目的地まで移動できなくなってしまうような事態を避けることができる。
【0032】
外充電制御では、主受電コネクタ11または主充電コイルを通じて自動車1の外から給電される電力により主バッテリ14および副バッテリ63の少なくとも一方を充電する。
主電力制御部32は、たとえば自動車1が道路の充電レーンに設置された送電コイル101の上を走行している場合、外充電制御を開始する。
外充電制御において、外充電が可能な状態になると、主電力制御部32は、充電順の先頭のものへの充電を開始する。これにより、充電順にしたがって自動車1の外から給電される電力により、主バッテリ14および副バッテリ63を順番に充電する。
主バッテリ14を充電する場合、主電力制御部32は、主充電器13を制御して主受電コイル12に入力される電力を主バッテリ14へ供給し、主バッテリ14を充電する。
いずれかのサブモビリティ50の副バッテリ63を充電する場合、主電力制御部32は、主充電器13および主コンバータ15を制御して主受電コイル12に入力される電力を主給電コネクタ20へ供給し、該サブモビリティ50の副バッテリ63を充電する。この際、外電力は、主バッテリ14を通じて副バッテリ63へ供給されても、主充電器13から主コンバータ15へ直接に電力を供給して副バッテリ63へ供給されてもよい。
【0033】
図6は、第1実施形態での経路生成処理のフローチャートである。
経路生成では、サブモビリティ50が目的地まで移動するのに適した自動車1による巡回経路を生成する。
【0034】
図6に示すように、主ルート生成部38は、たとえば自動車1にサブモビリティ50が乗車した場合、巡回経路の生成または更新の処理を開始する(ステップST11)。
【0035】
経路生成において、主ルート生成部38は、主通信部35を用いて、乗車した1乃至複数のサブモビリティ50から、サブモビリティ50の目的地の情報を取得する(ステップST12)。主通信部35は、乗車した各サブモビリティ50の副通信部75と通信し、副ルート生成部78がサブモビリティ50の経路生成に用いた目的地の情報を取得する。また、主ルート生成部38は、主GPS受信部33から現在地を取得する(ステップST13)。
【0036】
次に、主ルート生成部38は、地点情報を用いて、1乃至複数のサブモビリティ50の目的地の各々に対応する立寄地を選択する(ステップST14)。地点情報は、CPU40が読み取り可能なメモリに予め記憶された地点の情報であっても、主通信部35を用いて取得した地点の情報であってもよい。主ルート生成部38は、たとえば充電可能な地点を、立寄地を選択してよい。また、目的地に駐車場がある場合、目的地を立寄地として選択してよい。
そして、主ルート生成部38は、サブモビリティ50が自動車1に乗車する現在地から、1乃至複数の立寄地を、充電順に対応して巡る経路を生成する(ステップST15)。主ルート生成部38は、たとえば現在地から充電順の順番で1乃至複数の立寄地を巡る仮の巡回経路を生成する。
なお、充電順が生成されていない場合、または充電順にないサブモビリティ50が存在する場合、主ルート生成部38は、それらのサブモビリティ50の立寄地を優先して巡る仮の巡回経路を生成する。
【0037】
次に、主ルート生成部38は、外充電の要否について判断する。
具体的には、主ルート生成部38は、目的地の情報に基づいて仮に生成した巡回経路における自動車1の走行予定距離(走行予定負荷)とすべてのサブモビリティ50の走行予定距離(走行予定負荷)とを演算し、それらを合算し、必要とされる総予定消費電力量を演算する。
サブモビリティ50の走行予定距離には、目的地の情報から算出したサブモビリティの走行予定距離の情報が含まれてよい。
また、主ルート生成部38は、自動車1の残電力量とすべてのサブモビリティ50の残電力量とを取得し、それらを合算し、総残電力量を演算する。
次に、主ルート生成部38は、総予定消費電力量と総残電力量とを比較する(ステップST16)。
そして、総予定消費電力量より総残電力量が大きい場合、主ルート生成部38は、外充電が不要と判断する。
逆に、総予定消費電力量より総残電力量が小さい場合、主ルート生成部38は、外充電を必要と判断する(ステップST17)。
【0038】
外充電が必要である場合、主ルート生成部38は、主バッテリ14および副バッテリ63の全体で不足する電力量を演算し、それに対応可能な1乃至複数の走行レーン100を指定経路として選択し、仮の巡回経路の一部を、選択した走行レーン100を通過するように変更する(ステップST18)。
これにより、全体の走行予定距離と比して総合的な残電力量が不足する場合には、実際に走行する巡回経路として、外充電可能な道路または地点を通過する巡回経路が生成される。なお、走行レーン100の替わりに、充電可能な場所を選択して同様の変更処理をしてもよい。
【0039】
外充電が不要である場合、主ルート生成部38は、仮に生成した巡回経路を、実際に走行する巡回経路として選択する(ステップST19)。
【0040】
自動運転制御では、主ルート生成部38により生成された巡回経路で自動走行制御する。
主自動運転部39は、まず、主ルート生成部38から巡回経路を取得する。そして、主自動運転部39は、主GPS受信部33による現在地を周期的に確認しながら、また、主センサ部37による自動車1の位置、速度、周囲環境を確認しながら、主動力モータ16、主操舵モータ18、および主制動モータ17を制御する。これにより、自動車1は、主ルート生成部38により生成された巡回経路にて、現在地から1乃至複数の立寄地を巡るように自動走行する。
また、主自動運転部39は、自動車1が充電可能な走行レーン100を走行している場合または立寄地に停車している場合、主電力制御部32に外充電制御を実行させる。
【0041】
以上のように、本実施形態の自動車1は、乗車しているサブモビリティ50の目的地に応じた巡回経路を走行して、各々の立寄地まで移動する。しかも、乗車している間に必要に応じてサブモビリティ50を充電することができる。
本実施形態では、取得したサブモビリティ50の目的地での走行予定に基づいてサブモビリティ50を充電し、充電したサブモビリティ50を、目的地に対応する立寄地へ案内する巡回経路を生成する。よって、乗車前に十分な充電がなされていないサブモビリティ50であっても、乗車中に充電されて、目的地に対応する立寄地で降車した後、目的地において所望の移動をすることができる。
【0042】
本実施形態では、サブモビリティ50から取得した目的地または走行予定に基づいてサブモビリティ50が移動に必要とする必要電力量を演算し、サブモビリティ50から取得した残電力量が必要電力量より小さい場合には、サブモビリティ50を充電してから立寄地へ案内する巡回経路を生成し、サブモビリティ50から取得した残電力量が必要電力量以上である場合には、サブモビリティ50を充電することなく立寄地へ案内する巡回経路を生成する。よって、いずれにしてもサブモビリティは、自動車1から降車した後に、目的地において所望の移動をすることができる。
【0043】
本実施形態では、自動車1の残電力量およびすべてのサブモビリティ50の残電力量の全体に基づいてこれらの充電順を決定し、決定した充電順でサブモビリティ50を充電してから立寄地へ案内する巡回経路を生成する。よって、たとえば積載した複数のサブモビリティ50がともに充電が必要であっても、自動車1とサブモビリティの双方において充電が必要であっても、これらを充電順で充電してサブモビリティ50の立寄地へ案内することができる。
【0044】
本実施形態では、新たなサブモビリティ50が自動車1に積載された場合に、充電順を更新する。よって、実際の乗車状態に対応した順番で自動車1およびサブモビリティ50を充電してサブモビリティ50を立寄地へ案内することができる。
【0045】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…自動車(車両)、2…乗車室、3…車体、4…車輪、11…主受電コネクタ、12…主受電コイル、13…主充電器、14…主バッテリ、15…主コンバータ、16…主動力モータ、17…主制動モータ、18…主操舵モータ、19…主設備機器、20…主給電コネクタ、31…主電力監視部、32…主電力制御部、33…主GPS受信部、34…主入力部、35…主通信部、36…主表示部、37…主センサ部、38…主ルート生成部、39…主自動運転部、40…CPU(制御部)、50…サブモビリティ、51…ボディ、52…シート、53…アームレスト、54…操作レバー、55…車輪、61…副受電コネクタ、62…副充電器、63…副バッテリ、64…副コンバータ、65…副動力モータ、66…副制動モータ、67…副操舵モータ、68…副設備機器、71…副電力監視部、72…副電力制御部、73…受信部、74…副入力部、75…副通信部、76…副表示部、77…副センサ部、78…副ルート生成部、79…副自動運転部、80…CPU、100…走行レーン、101…送電コイル。

図1
図2
図3
図4
図5
図6