(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の持ち運び自在な煙検知装置にあっては、サンプリング管を設置して監視区域の空気を吸引している固定設置型の煙検知装置と同じものを使用し、煙検知装置の吸引口に吸引ノズル付きのホースを接続した状態で、例えば台車等に乗せて必要な場所に移動し、そこでホース先端の吸引ノズルから空気を吸引して煙濃度を検知する作業を行っており、吸引ノズルによる吸引場所と煙濃度表示部を設けた煙検知装置が離れているため、吸引しながら煙濃度の表示を確認して行く作業が行いづらいという問題がある。
【0007】
また、場所を移動しながら吸引する場合には、煙検知装置側に設けている電源スイッチの操作による吸引開始と吸引停止を繰り返す場合があり、吸引場所から離れた煙検知装置側で電源スイッチを操作する必要があるため、操作しながら吸引する作業が行いづらいという問題もある。
【0008】
また、持ち運び型の煙検知装置とした場合には、電源として充電可能な二次電池を設けると共に、二次電池を充電する充電装置が必要であり、その分、据置型の煙検知装置に比べてサイズの大型化と重量の増加が起き、移動しながらの操作が大変になる問題もある。
【0009】
本発明は、装置の操作や煙濃度の表示確認を、空気を吸引する吸引ノズルを操作する手元で可能として作業性及び操作性を向上可能とする持ち運び自在な高感度の煙検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(煙検知装置1)
本発明は、吸引ユニットにより監視区域から吸引した空気に含まれる煙粒子を検出して警報を報知する煙検知装置に於いて、
煙検知装置の装置本体を可搬本体部と据置本体部に分離可能とすると共に、可搬本体部と据置本体部とに分離した状態において可搬本体部を持ち運び自在とし、
可搬本体部に、当該可搬本体部に動作電源を供給する二次電池を備え、
据置本体部に、商用交流電源の交流電圧から所定の直流電圧に変換して出力する電源回路部、可搬本体部と据置本体部とを分離しない状態において電源回路部から出力される直流電圧により二次電池を充電する充電部、及び
可搬本体部を分離しない状態でオン/オフ不可であり、可搬本体部を分離した状態でオン/オフ可能な電源スイッチを設けたことを特徴とする。
【0011】
(予備の二次電池)
据置本体部は、予備の二次電池を備え、商用交流電源の停電時には、当該予備の二次電池により可搬本体部の二次電池を充電する。
【0012】
(
吸引ファンの駆動)
吸引ユニットは、当該吸引ユニットに設けた吸引ファンを駆動して監視区域の空気を吸引するものであり、可搬本体部の電源が投入されている状態で、吸引ファンの駆動をオン/オフ可能とすることを特徴とする。
【0013】
(ファンスイッチ)
吸引ユニットには、吸引口を開口した吸引パイプを有する吸引ノズル装置が接続され、
吸引ユニットは、吸引ノズル装置の
吸引口から吸引パイプを介して監視区域の空気を吸引するものであって、
吸引ノズル装置に、可搬本体部の電源が投入されている状態で、吸引ファンの駆動をオン/オフするスイッチを設ける。
【0014】
(電源スイッチ)
吸引ユニットには、吸引口を開口した吸引パイプを有する吸引ノズル装置が接続され、
吸引ユニットは、吸引ノズル装置の吸引口
から吸引パイプを介して監視区域の空気を吸引するものであって、
吸引ノズル装置に、可搬本体部の電源をオン/オフする電源スイッチを設ける。
【発明の効果】
【0015】
本発明の煙検知装置は、吸引口から吸引した空気に含まれる煙粒子に基づいて検出した煙濃度が所定の閾値を超えることを判定した場合に警報を報知する装置本体と、取手を備えたホルダ部の一端に、先端に吸引口を開口した吸引パイプを設け、ホルダ部の他端に装置本体の吸引口に着脱自在なホースを設けた手持ち自在な吸引ノズル装置とで構成し、吸引ノズル装置のホルダ部に、装置本体で検出した煙濃度を表示する煙濃度表示部を設けるようにしたため、係員は装置本体を持ち運びながら、装置本体にホースで接続している吸引ノズル装置のホルダ部の取手を持って吸引パイプで空気を吸引しながら手元のホルダ部に設けた煙濃度表示部を見て煙濃度を確認することができ、場所を移動しながら行う高感度の煙検知作業の作業性を改善し、簡単且つ容易に警戒区域内の必要とする場所に移動して煙濃度を高感度に検出し、火災による煙を初期段階で検知して適切な対処を可能とする。
【0016】
(本体装置の分離構造による効果)
また、装置本体は、可搬本体部と据置本体部に分離すると共に据置本体部に対し可搬本体部を分離して持ち運び自在に配置し、可搬本体部に、吸引口から空気を吸引する吸引ユニット、吸引口から吸引した空気に含まれる煙粒子に基づいて煙濃度を検出する検煙ユニット、検煙ユニットで検出した煙濃度を吸引ノズル装置の煙濃度表示部に伝送して表示させる伝送部、煙濃度が所定の閾値を超えた場合に警報を報知する警報報知部、吸引ユニット、検煙ユニット、伝送部及び警報報知部を制御する制御部及び二次電池を有する電源部を設け、据置本体部に、商用交流電源の交流電圧を所定の直流電圧に変換して出力する電源部、商用交流電源の停電時に電源を供給する予備バッテリー電源部、充電プラグのケーブル接続により可搬本体部の二次電池を充電する充電部、及び電源スイッチを設けるようにしたため、可搬本体部に、商用交流電源を接続する電源部、予備バッテリー電源部及び充電部を設ける必要がなく、その分、持ち運びながら使用する可搬本体部を小型軽量化し、持ち運びながら空気を吸引して行う煙検知の作業性を向上可能とする。
【0017】
(ホース接続口の位置による効果)
また、可搬本体部は、利用者が持ち運びながら煙濃度を調べる場合に使用する肩掛けハンガーベルトを着脱自在に備え、利用者が肩掛けハンガーベルトにより可搬本体部を持ち運ぶ場合に前方側面となる位置に、吸引ノズル装置のホースを接続するホース接続口を設けるようにしたため、作業者は可搬本体部を肩に掛けて運びながら、煙検知を必要とする適宜の場所に出向いて微小な煙濃度を検知して火災を初期段階で検知して適切な対処可能とする。
【0018】
また、利用者が肩掛けハンガーベルトにより可搬入本体部を持ち運ぶ場合に前方側面となる位置に設けたホース接続口に吸引ノズル装置からのホースを接続することで、吸引パイプを色々な方向に向けて吸引する操作を行ってもホースに捩じれが発生せず、容易に取り扱うことを可能とする。
【0019】
(吸引ノズル装置のL型ヘッドによる効果)
また、吸引ノズル装置は吸引パイプの先端に着脱自在なL型ヘッドを設けるようにしたため、監視区域の隅などの奥まった箇所の空気を確実に吸引して煙濃度を調べることを可能とする。
【0020】
(吸引パイプの伸縮による効果)
また、吸引ノズル装置の吸引パイプを伸縮自在としたため、空気を吸引する箇所が遠い場合は吸引パイプを伸ばし、近い場合は吸引パイプを縮めることで、煙濃度を調べたい箇所に応じて空気を吸引する操作を容易に行うことを可能とする。
【0021】
(吸引ノズル装置の電源スイッチによる効果)
また、吸引ノズル装置のホルダ部に装置本体を動作する電源スイッチを設けるようにしたため、手持ちしている吸引装置側の電源スイッチの操作で装置本体の動作と停止を簡単にでき、操作性を向上可能とする。
【0022】
(吸引ファンをオンオフするファンスイッチによる効果)
また、吸引ノズル装置のホルダ部に、装置本体に設けた吸入口から空気を吸引する吸引ファンをオン、オフするファンスイッチを設けるようにしたため、係員が移動する場合にはファンスイッチのオフ操作により吸引ファンを停止にして、測定したい箇所でのみファンスイッチをオン操作して吸引を行うことを可能とし、必要なときだけ吸引ファンを動作させるので、電池の消費を抑えることが可能である。また、電源スイッチによる検煙装置全体の電源をオン、オフさせる制御では、電源投入時にイニシャル動作のため測定可能になるまで時間を要するが、吸引ファンのファンスイッチによれば、ファンスイッチをオン操作して吸引ファン動作することで直ぐに煙濃度の測定が可能となる。
【0023】
(吸引ノズル装置の警報報知部による効果)
また、吸引ノズル装置のホルダ部に煙濃度が所定の閾値を超えた場合に警報を報知する警報報知部を設けるようにしたため、手持ちしている吸引ノズル装置で警報表示及び又は警報音による警報報知が行われ、煙濃度の増加を確実に知ることを可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[煙検知装置の概略]
図1は煙検知装置における可搬本体部と吸引ノズル装置の構成を示した説明図であり、
図1(A)は可搬本体部に吸引ノズル装置を接続した状態を示し、
図1(B)は吸引ノズル装置の側面を示す。
図2は煙検知装置における可搬本体部の平面(A)、左側面(B)、右側面(C)及び底面(D)を示した説明図、
図3は可搬本体部に設けた警報報知部を取り出して示した説明図、
図4は煙検知装置の保管状態を示した説明図、
図5は煙検知装置の据置本体部の構成を示した説明図であり、
図5(A)は平面を示し、
図5(B)は正面を示す。
【0026】
図4に示すように、本実施形態の煙検知装置10は、装置本体を分離自在な可搬本体部12と据置本体部14で構成し、
図1に示すように、可搬本体部12に対しホース24により吸引ノズル装置16を着脱自在に接続している。
【0027】
(吸引ノズル装置の構成)
図1(A)の吸引ノズル装置16はその平面を示しており、取手20を備えたホルダ部18の先端側に吸引パイプ26を連結し、吸引パイプ26の先端に吸引口28を開口している。またホルダ部18の後端側にはフレキシブルなホース24を接続している。吸引パイプ26は内径が例えば16ミリメートル程度であり、長さが例えば数十センチメートル程度となる。
【0028】
ホース24は、例えば内径が20ミリメートル程度で長さが2メートル程度であり、ホース24の被覆部分にスパイラル状に巻き回して所定芯線数の信号線を通している。このためホルダ部18に対してはホース24の接続と同時に信号線の電気的なコネクタ接続を行っている。
【0029】
また、ホルダ部18の横には煙濃度をバーグラフにより表示する煙濃度表示部32を設けている。なお、煙濃度表示部32はバーグラフ表示以外に、煙濃度を数値表示するか、又は指示計で表示しても良い。
【0030】
図1(B)は吸引ノズル装置16の側面を示しており、更に、吸引パイプ26の先端にL型ヘッド30を着脱自在に設けている。L型ヘッド30は先端の吸引口30aが吸引パイプ26に対し直交する方向に位置しており、監視区域に設置している機器の隅などの奥まった箇所の空気を確実に吸引して煙濃度を調べることを可能とする。
【0031】
(可搬本体部の構成)
図1及び
図2に示すように、可搬本体部12は、箱型の筐体12aと蓋部12bで構成し、蓋部12bは筐体12aに対し蝶番13により開閉自在に設けており、使用状態ではパチン錠45により閉鎖状態にロックしている。
【0032】
可搬本体部12の右側面には吸引口として機能する接続口35を設け、ここに吸引ノズル装置16のホース24を着脱自在に連結している。可搬本体部12の左右の側面上部にはベルト装着部47を設けており、肩掛けハンガーベルトを装着することで、係員は可搬本体部12を肩に掛けて運びながら、煙検知を必要とする適宜の場所に出向いて微小な煙濃度を検知する作業を可能としている。
【0033】
このため係員が肩掛けハンガーベルトで可搬本体部12を肩に掛けて運びながら煙を検知する作業を行う場合、可搬本体部12の右側面に設けたホース接続口35は係員の前方に位置し、この状態で吸引ノズル装置16の取手20を持って吸引パイプ26を煙濃度を調べたい箇所に向ける操作を行うが、このときのホース24の動きに対しホース接続口35は係員の前方に位置しているため、ホース24が捩れてしまうようなことがなく、吸引パイプ26の取り回しが容易にできる。
【0034】
また、可搬本体部12の上部には持ち運びに使用するハンドル48を設けている。また、可搬本体部12は電池電源として充電可能な二次電池を収納しており、係員は可搬本体部12を肩に掛けて運びながら、煙検知の作業ができる。
【0035】
可搬本体部12に設けた筐体12aの上部には電源スイッチ44を設け、また、蓋部12bの表面には警報報知部42及びリセットスイッチ46を設けている。また、可搬本体部12の底面には排気口36を設けている。
【0036】
警報報知部42は
図3に拡大して示すように、煙濃度の増加に対応して注意灯77、警戒灯78、及び警報灯80を設けている。また、電源供給を示す電源灯82、障害発生を示す障害代表灯84及び吸引系統の詰まりを示す吸引チェック灯86を設けている。
【0037】
また、可搬本体部12のホース接続口35に上側にはバッテリーコネクタ37
と表示部コネクタ38を設けている。バッテリーコネクタ37には
図5に示す据置本体部14の充電プラグ52を接続して内蔵したリチウムイオン等の二次電池の充電を行う。表示部コネクタ38には表示部コード40をプラグ接続し、表示部コード40はホース接続口35に接続し、ホース接続口35に吸引ノズル装置16のホース24を接続した場合に、ホース24内の信号線に接続して煙濃度表示部32に表示信号を伝送可能とする。
【0038】
可搬本体部12は、吸引ノズル装置16の吸引口28から吸引した空気をホース24を介して筐体内の吸引ユニットに設けた吸引ファンにより吸引して排気口36から排気しており、吸引した空気を内蔵している煙検知ユニットに通過させることで、レーザ光を集光した検煙点を煙粒子が通過する場合に発生する散乱光を受光素子で検出してカウントし、この煙粒子数に対応したカウント数に基づき0.001%/m〜5%/mの範囲で煙濃度を検出して吸引ノズル装置16に設けた煙濃度表示部32にバークラフ表示し、また、検出した煙濃度が予め設定した所定の閾値を超えることを判定した場合に、煙濃度の増加に応じて警報報知部42の注意灯77、警戒灯78、及び警報灯80を順次点灯又は点滅すると共に、警報音を出力して煙検知を報知する。
【0039】
(据置本体部の構成)
図4に示すように、煙検知装置10を保管する場合には、据置本体部14の上に可搬本体部12を乗せて一体化した状態としている。
【0040】
据置本体部14は、
図5に示すように、上部の左側に電源スイッチ50を設け、また外部に引き出して可搬本体部12に接続可能な充電プラグ52を設け、更に予備充電プラグ54を設けている。
【0041】
また、据置本体部14は上部の右側の開閉自在な扉内を予備バッテリー収納部58としており、その中に予備バッテリー電源部を構成する予備バッテリー(二次電池)及びACプラグを備えた電源コードを収納している。
【0042】
煙検知装置10の保管状態では、据置本体部14から電源コードを引き出してそのACプラグを商用電源コンセントに接続し、また、コード付きの充電プラグ52を引き出して可搬本体部12のバッテリーコネクタ37に接続し、二次電池のトリクル充電等を行う。このため煙検知装置10の保管中に、可搬本体部12に設けた二次電池の充電が常時行われており、可搬本体部12に吸引ノズル装置16のホース24を接続することで、必要に応じて何時でも煙濃度を調べる作業を可能としている。
【0043】
なお、煙検知装置10は、可搬本体部12、据置本体部14及び吸引ノズル装置16を例えばキャリーバック等に収納可能としており、施設内に設けている複数のコンピュータルームやクリーンルーム
へキャリーバッグに収納して持ち運び、それぞれの区画でキャリーバックから取り出して煙検知作業を行うことを可能とする。
【0044】
[煙検知装置の機能構成]
図6は煙検知装置の機能構成を示したブロック図である。
【0045】
(可搬本体部の機能構成)
図6に示すように、可搬本体部12には、制御部60、煙検知ユニット62、吸引ユニット64、伝送部66、電源スイッチ44、リセットスイッチ46、警報報知部42、操作表示部68、及び電池電源部70を設けている。
【0046】
制御部60は、ハードウェアとしてCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等で構成され、CPUによるプログラムの実行により煙検知制御を行う。
【0047】
煙検知ユニット62は吸入口から吸引した引込管を流れる気流に対しレーザ光を結像して1マイクロメートル程度の検煙点を形成し、この検煙点を煙粒子が通過する場合に発生する散乱光を、レーザ光の電解成分Eの方向と平行に配置したフォトダイオードで受光して検出パルスを出力してカウントし、このカウント数により微小な煙濃度を検出して出力する。
【0048】
吸引ユニット64はモータにより駆動される吸引ファンを備え、吸引ファンの回転駆動により吸引ノズル装置16から煙粒子を含む空気を吸引して煙検知ユニット62を通過させて排気口から排気するようにしている。伝送部66は吸引ノズル装置16に対し煙濃度検出信号を送信する信号伝送を行う。
【0049】
電源スイッチ44は電池電源部70による電源供給をオンオフして煙検知動作の起動停止を行う。リセットスイッチ46は煙検知装置を正常状態に復帰させる場合に操作する。
【0050】
制御部60は、煙検知ユニット62で検出した煙濃度に基づき煙濃度表示信号を生成し、伝送部66に指示して吸引ノズル装置16の煙濃度表示部32に伝送して煙濃度をバーグラフで表示する制御を行う。
【0051】
ここで、制御部60による煙濃度表示部32の表示は、0.005〜0.1%/m、0.01〜0.2%/m、0.025〜0.5%/m、0.25〜5.0%/mの4レンジを選択切替えして表示可能としている。このレンジ切替は操作表示部68のスイッチ切替えで行うが、必要に応じて現在の切替レンジを示す表示を行うようにしても良い。
【0052】
また、制御部60は、煙検知ユニット62により検出した煙濃度が所定の閾値を超えた場合に警報報知部42に指示して警報表示する制御を行う。ここで、警報報知部42には、
図3に示したように、注意灯77、警戒灯78、及び警報灯80の3段階の表示灯を設けており、煙濃度の増加に対応して順次選択的に点灯する。
【0053】
電池電源部70はリチウムイオン電池等の二次電池を備え、例えば0.5Ah程度の電池容量としている。
【0054】
(据置本体部の機能構成)
据置本体部14には、電源回路部72、充電部74及び予備バッテリー電源部76を設けている。
【0055】
電源回路部72は、ACプラグ56をACコンセントに接続することで商用AC100ボルトを入力して整流平滑により所定の直流電圧に変換して出力する。充電部74は充電プラグ52を備えたコネクタケーブルにより可搬本体部12の電池電源部70に接続した状態で、電池電源部70に設けたリチウムイオン電池等の二次電池のトリクル充電を行う。また、予備充電プラグ54を備えたコネクタケーブルも設けている。
【0056】
予備バッテリー電源部76は予備バッテリーを備え、商用電源の停電を検出した場合に切替えられて充電部74に対し予備バッテリーから所定の直流電圧を供給する。
【0057】
[煙検知装置による煙検知作業]
図1乃至
図6について、煙検知装置10を使用した煙検知作業を説明すると次のようになる。
【0058】
煙検知装置10は、サーバー等を設置したコンピュータルームや半導体製造設備等におけるクリーンルーム等に
図4に示すようにして保管しており、据置本体部14に対し可搬本体部12を載置した状態で、ACプラグ56をACコンセントに接続して商用AC100ボルトを入力し、電源回路部72からの直流入力を受けて充電部74が可搬本体部12に設けた電池電源部70の充電を行っている。
【0059】
係員が監視区域内の煙濃度を点検する場合には、可搬本体部12のハンドル48を手で持つか、又は肩掛けハンガーベルトにより肩掛けして、煙を検知したい場所に移動し、可搬本体部12にホース24により接続している吸引ノズル装置16の取手20を手で持ち、監視区域内の煙濃度を確認したい場所に移動し、そこで可搬本体部12に設けている電源スイッチ44をオン操作し、吸引パイプ26の先端の吸入口28を煙濃度を確認したい場所に近づけて空気を吸引する。
【0060】
可搬本体部12に設けている電源スイッチ44をオン操作すると、可搬本体部12の電池電源部70から各回路部に対し電源が供給され、制御部60、煙検知ユニット62、吸引ユニット64、伝送部66、警報報知部42、更に吸引ノズル装置16に設けた煙濃度表示部32が動作状態となる。
【0061】
可搬本体部12の吸引ユニット64に設けた吸引ファンが動作することで、吸引ノズル装置16の吸引口28から空気が吸引され、ホース24を介して可搬本体部12の煙検知ユニット62を通過して排出される。
【0062】
煙検知ユニット62は、吸引ノズル装置16を介して吸引した空気を引込管に流しており、引込管を流れる気流に対しレーザ光を結像して1マイクロメートル程度の検煙点を形成し、この検煙点を煙粒子が通過する場合に発生する散乱光を、レーザ光の電解成分Eの方向と平行に配置したフォトダイオードで受光して検出パルスを出力してカウントし、このカウント数により微小な煙濃度を検出して煙濃度検出信号を出力し、吸引ノズル装置16の煙濃度表示部32に送って煙濃度を表示する。
【0063】
これにより係員は監視区域を移動しながら、吸引ノズル装置16により確認を必要とする場所の空気を吸引して煙濃度を確認する作業を可能とする。
【0064】
また、煙検知作業中に、制御部60が煙検知ユニット62で検出した煙濃度が所定の注意閾値に達したことを検出すると、注意信号を警報報知部42に出力して注意警報を注意灯77の点灯と音響出力で報知する。
【0065】
また、制御部60が煙検知ユニット62で検出した煙濃度が所定の警戒閾値に達したことを検出すると、警戒警報信号を警報報知部42に出力して警戒灯78の点灯と音響出力により報知する。
【0066】
さらに、制御部60が煙検知ユニット62で検出した煙濃度が所定の警報閾値に達したことを検出すると、警報信号を警報報知部42に出力して警報灯82の点灯と音響出力により報知する。
【0067】
[本発明の変形例]
(煙濃度表示部)
上記の実施形態は、吸引ノズル装置に煙濃度表示部を設けているが、可搬本体部に煙濃度表示部を設けるようにしても良い。
【0068】
(電源スイッチ)
また、上記の実施形態は、可搬本体部に電源スイッチを設けているが、吸引ノズル装置のホルダ部に電源スイッチを設けて手元操作を可能とするようにしても良い。
【0069】
(ファンスイッチ)
また、吸引ノズル装置のホルダ部に、電源スイッチに加え、装置本体の吸引ユニットに設けた吸引ファンをオン、オフするファンスイッチを設けるようにしても良い。このように吸引ユニットのホルダ部にファンスイッチを設けることで、係員が移動する場合にはファンスイッチのオフ操作により吸引ファンを停止にし、測定したい箇所でのみファンスイッチをオン操作して吸引を行うことを可能とし、必要なときだけ吸引ファンを動作させるので、電池の消費を抑えることが可能である。また、電源スイッチによる検煙装置全体の電源をオン、オフさせる制御では、電源投入時にイニシャル動作のため測定可能になるまで時間を要するが、吸引ファンのファンスイッチによれば、ファンスイッチをオン操作して吸引ファンを動作することで直ぐに煙濃度の測定が可能となる。
【0070】
(警報報知部)
また、上記の実施形態は、可搬本体部に警報報知部を設けているが、吸引ノズル装置に警報報知部を設けて手元で警報が確認できるようにしても良い。
【0071】
(その他)
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。