(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位の含有量が90〜100モル%であり、エチレン、および炭素原子数3〜20の4−メチル−1−ペンテン以外のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位の含有量が0〜10モル%であり、下記要件(a)〜(f)をすべて満たす、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)。
(a)13C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)が70.0%以上98.0%未満の範囲にある。
(b)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が3.6〜30の範囲にある。
(c)ASTM D1238に準拠して260℃、5kg荷重の条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜500g/10分の範囲にある。
(d)検出部に赤外分光光度計を用いたクロス分別クロマトグラフ装置で測定した、80℃以下でo−ジクロロベンゼンに溶出する量の累積重量分率が5質量%以下である。
(e)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した、分子量が1×106以上である重合体の割合が15質量%以上である。
(f)示差走査型熱量測定(DSC)で測定される前記4−メチル−1−ペンテン系重合体の融解熱量および融点が以下の要件(i)および(ii)を満たす。
(i)下記式(1)が成立する。
ΔHm<0.5×Tm−76 ・・・式(1)
(式(1)において、融解熱量をΔHmJ/gとし、融点をTm℃とする。)
(ii)融点が180〜260℃の範囲にある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明にかかる4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)(以下単に重合体(X)ともいう)、前記重合体(X)を含む樹脂組成物、ならびに前記重合体(X)および樹脂組成物を含む成形体について詳説する。
【0013】
<4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)>
本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は、重合体(X)に含まれる全構成単位に対する4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位の含有量が90〜100モル%であり、エチレン、および炭素原子数3〜20の4−メチル−1−ペンテン以外のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィン(以下、コモノマーともいう)由来の構成単位の含有量が0〜10モル%であり、下記要件(a)〜(f)を満たす。なお、前記規定は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)が、複数の4−メチル−1−ペンテン系重合体のブレンド物である場合は、そのブレンド物が要件(a)〜(f)を満たすことを意味する。
【0014】
4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は、例えば、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体(すなわち、4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位の含有量が100モル%である重合体)、および4−メチル−1−ペンテンと他のオレフィンとの共重合体が挙げられる。
【0015】
ここで、透明性と耐熱性の観点から、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)における、重合体(X)に含まれる全構成単位に対する4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の含有量は好ましくは92〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィン由来の構成単位の含有量の総和は、好ましくは0〜8モル%、より好ましくは0〜5モル%である。
【0016】
4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)が共重合体である場合、4−メチル−1−ペンテンと共重合するエチレン及び炭素原子数3〜20のα−オレフィンとして具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンなどが挙げられる。これらのうち好ましくは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンであり、これらのα−オレフィンは、1種単独でもよく、または2種以上の組み合わせでもよい。
【0017】
本発明において、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)中の4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位、ならびに、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンに由来の構成単位の量は、重合反応中に添加する4−メチル−1−ペンテン、ならびに、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンの量によって調整することができる。
以下、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)が満たす各要件について説明する。
【0018】
(要件(a))
13C−NMRで測定されるメソダイアッド分率(m)が70.0%以上98.0%未満の範囲にあり、好ましくは80.0%以上98.0%未満の範囲、より好ましくは90.0%以上98.0%未満の範囲、さらに好ましくは95.0%以上98.0%未満の範囲にある。
【0019】
4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)のメソダイアッド分率(m)が前記下限値以上であることで、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)を含む成形体は十分な耐熱性や剛性等の性能を備えたものになる。
本発明において、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)のメソダイアッド分率(m)は、後述するオレフィン重合用触媒の種類によって調整することができる。
【0020】
(要件(b))
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が3.6〜30の範囲にあり、好ましくは3.6〜25、より好ましくは3.8〜25、更に好ましくは4.0〜25、とりわけ好ましくは4.0〜15の範囲にある。比(Mw/Mn)が上記範囲にあることで、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)を含むフィルムなどの成形体は靭性に優れるようになり、白化の原因である内部クラックが減少し、フィルムの伸びが優れる。また、比(Mw/Mn)が上記範囲にあることは、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)中に分子量の大きい重合体が相当量あることを示唆している。4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)の比(Mw/Mn)を上記範囲に調節する方法は詳しくは後述する。
【0021】
(要件(c))
4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は、ASTM D1238に準拠して260℃、5kg荷重の条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜500g/10minであり、好ましくは1〜300g/10min、より好ましくは2〜100g/10min、さらに好ましくは5〜80g/10minである。
【0022】
4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)の前記MFRが上記範囲にあると、成形体製造時の樹脂流動性の点で好ましい。
本発明において、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)の前記MFRの調整方法としては、重合反応中の反応器内水素量を調整したり、重合中または重合後に異なるMFRを持つ複数種類の重合体をブレンドする方法などがある。
【0023】
(要件(d))
検出部に赤外分光光度計を用いたクロス分別クロマトグラフ装置で測定した、80℃以下で溶出する量の累積重量分率が5質量%以下である。
【0024】
4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)の80℃以下で溶出する量の累積重量分率が少ないことは、重合体(X)に含まれる低分子量の重合体の量が少ないことを示す。前記累積重量分率が上記範囲内にあることで、当該重合体を含む樹脂組成物から得られる成形体から汚染成分となる低分子量成分の流出を抑えることが可能となるので、成形時におけるダイスなどの成形機の汚染の抑制や、得られる成形品の変色の抑制や、成形品表面汚染や内容物汚染の抑制を有効に行うことができる。
本発明において、前記累積重量分率は、後述するオレフィン重合用触媒の種類によって調整することができる。
【0025】
(要件(e))
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した、分子量が1×10
6以上である重合体の割合が15質量%以上であり、好ましくは16質量%以上であり、より好ましくは17質量%以上、さらに好ましくは18質量%以上である。前記分子量の上限はとくに限定されず、重合体(X)のMFRにも依存するが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。前記分子量が上記範囲にあることで、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は溶融張力に優れる。また、分子量が1×10
6以上である重合体の割合が上記範囲にあることは、分子量の大きい成分が相当量あることを示唆している。4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)における分子量が1×10
6以上である重合体の割合は、重合反応中に反応器内に水素を併存させ、その水素の量を増減させることにより、上記範囲に調節することが可能である。
【0026】
(要件(f))
示差走査型熱量測定(DSC)で測定される4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)の融解熱量および融点が以下の要件(i)および(ii)を満たす。
(i)下記式(1)が成立する。
ΔHm<0.5×Tm−76 ・・・式(1)
(式(1)において、融解熱量をΔHmJ/gとし、融点をTm℃とする。)
(ii)融点が180〜260℃の範囲にある。
【0027】
上記要件(i)における、示差走査型熱量測定(DSC)(昇温速度:10℃/min)で測定される融解熱量(ΔHmJ/g)は、好ましくは5〜80J/g、より好ましくは10〜60J/gである。また、上記要件(ii)における、示差走査型熱量測定(DSC)(昇温速度:10℃/min)で測定される融点(Tm℃)は、好ましくは180〜250℃、より好ましくは200〜250℃、さらに好ましくは210〜245℃である。
【0028】
上記要件(i)は、本発明にかかる4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)の融点に対する融解熱量が低いことを示している。すなわち、要件(i)を満たすことで、4−メチル−1−ペンテン系重合体の高い耐熱性を維持しつつ、融解性が優れることが示される。
なお本要件(i)については、特許文献3にこれに関連する開示があり、特許文献4にも同様に開示がある。
【0029】
本発明において、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)の融解熱量は、後述するオレフィン重合用触媒を用いることにより上記規定の範囲内に調整することができる。また、融点は、前記オレフィン重合用触媒を用いるのと同時に、上記要件(a)における4−メチル−1−ペンテンの構成単位の割合を調整することによって調整することができる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は前述のとおり上記要件(a)〜(f)を満たし、好ましくはさらに下記要件(g)を満たす。
【0030】
(要件(g))
260℃における溶融張力が15mN以上、より好ましくは20mN以上である。上限は特に限定されるものではないが通常100mN以下である。溶融張力が上記範囲にあると成形性において好ましい。
【0031】
<4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)の製造方法>
4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は、後述するオレフィン重合用触媒の存在下、4−メチル−1−ペンテンを重合することで、または4−メチル−1−ペンテンとエチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンとを共重合することで得ることができる。
【0032】
[1−1]オレフィン重合用触媒
オレフィン重合用触媒としては、
架橋メタロセン化合物(A)と、
(B−1)有機金属化合物
(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物
(B−3)(A)と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下「化合物(B)」ともいう。)と、を含む触媒が好ましい。
【0033】
〈架橋メタロセン化合物(A)〉
架橋メタロセン化合物(A)は、一般式[A1]で表される化合物が好ましく、一般式[A2]で表される化合物がより好ましい。
【0034】
【化1】
式[A1]中、Mは周期表第4族遷移金属の原子、例えばチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子、および孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一の、または異なる組合せで選ばれ、jは1〜4の整数であり、R
AおよびR
Bは、互いに同一でも異なっていてもよく、Mと共にサンドイッチ構造を形成することができる単核または多核炭化水素残基であり、Yは炭素原子またはケイ素原子であり、R
CおよびR
Dは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有炭化水素基から選ばれ、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0035】
【化2】
式[A2]中、R
1は炭化水素基、ケイ素含有基またはハロゲン含有炭化水素基であり、R
2〜R
10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R
2〜R
10は互いに結合して環を形成してもよい。Mは周期表第4族遷移金属の原子であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子、および孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一の、または異なる組合せで選ばれ、jは1〜4の整数である。
【0036】
〈化合物(B)〉
オレフィン重合用触媒は、
(B−1)有機金属化合物
(B−2)有機アルミニウムオキシ化合物
(B−3)(A)と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)
を含有することが好ましい。
【0037】
化合物(B)および後述する担体(C)、有機化合物成分(D)の具体例は、特許文献3および4、あるいは国際公開第2014−123212号に開示のあるとおりである。担体(C)についてはさらに、国際公開第2010−055652号、国際公開第2011−142400号、国際公開第2013−146337号、特開2015−74645号公報に開示のある例を適用可能である。
【0038】
〈担体(C)〉
オレフィン重合用触媒は、さらに担体(C)を含有することがより好ましい。
担体(C)としては、例えば、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体が挙げられる。遷移金属化合物(A)は、担体(C)に担持された形態で用いることが好ましい。
【0039】
〈有機化合物成分(D)〉
本発明のオレフィン重合用触媒は、さらに必要に応じて、(D)有機化合物成分を含有することもできる。有機化合物成分(D)は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。有機化合物(D)としては、例えば、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、アミド、ポリエーテルおよびスルホン酸塩等が挙げられる。
【0040】
〈比(Mw/Mn)の調節方法〉
4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)の比(Mw/Mn)は、単段もしくは二段重合等の多段重合法で、分子量の異なる複数の重合体を重合中もしくは重合後にブレンドすることによって調節が可能である。
【0041】
あるいは単段重合であっても、水素を分割して「重合初期」及び「重合体製造の途中」で投入することで(Mw/Mn)を任意の値に調整することも可能である。より具体的には、重合初期に投入する水素を少量とすることで高分子量体を重合し、重合がある程度進んだ段階において水素をより多量にフィードすることによって比較的低分子量体を重合することにより、最終的に得られる重合体の比(Mw/Mn)を調整することができる。
【0042】
<4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)を含む樹脂組成物>
本発明における4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)を含む樹脂組成物は、前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)を必須の構成成分とし、その他本発明にかかる成形体の用途に応じて各種成分を含む。
【0043】
〔4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)以外の各種成分〕
4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)を含む樹脂組成物は、その用途に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で他の樹脂や重合体、樹脂用添加剤等を任意に含有することができる。
【0044】
添加する他の樹脂または重合体としては、下記の熱可塑性樹脂(E)を広く用いることができる。これら樹脂または重合体の添加量は樹脂組成物の総質量に対して、0.1〜30質量%であることが好ましい。
【0045】
熱可塑性樹脂(E)は、本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系重合体(X)と異なる限り、特に制限されないが、例えば、以下の樹脂が挙げられる。
熱可塑性ポリオレフィン系樹脂、たとえば、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体、環状オレフィン共重合体、塩素化ポリオレフィン、およびこれらのオレフィン系樹脂を変性した変性ポリオレフィン樹脂;
熱可塑性ポリアミド系樹脂、たとえば、脂肪族ポリアミド(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612)、
熱可塑性ポリエステル系樹脂;たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル系エラストマー;
熱可塑性ビニル芳香族系樹脂、たとえば、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、スチレン系エラストマー(スチレン・ブタジエン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソプレン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソブチレン・スチレンブロックポリマー、前述の水素添加物);
熱可塑性ポリウレタン;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデン樹脂;アクリル樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体;エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体;アイオノマー;エチレン・ビニルアルコール共重合体;ポリビニルアルコール;フッ素系樹脂ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンサルファイドポリイミド;ポリアリレート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ロジン系樹脂;テルペン系樹脂および石油樹脂;
共重合体ゴム、たとえば、エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、プロピレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン・ジエン共重合体、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、天然ゴム、シリコーンゴム等が例示される。
【0046】
ポリプロピレンとしては、アイソタクティックポリプロピレンとシンジオタクティックポリプロピレンが挙げられる。アイソタクティックポリプロピレンは、ホモポリプロピレンであっても、プロピレン・炭素数2〜20のα−オレフィン(ただしプロピレンを除く)ランダム共重合体であっても、プロピレンブロック共重合体であってもよい。
【0047】
ポリ4−メチル−1−ペンテンおよび4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体は、4-メチル-1-ペンテン系重合体(X)とは異なる重合体であり、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体、または4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィンランダム共重合体である。4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィンランダム共重合体の場合、4−メチル−1−ペンテンと共重合するα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20 、好ましくは6〜20のα−オレフィンが挙げられる。これらは、1種単独で、あるいは2種以上組み合せて用いることができる。メルトフローレート(MFR;ASTMD1238 、260℃ 、5.0kg荷重)は、0.1〜200g/10分であることが好ましく、より好ましくは1〜150g/10分である。ポリ4-メチル-1-ペンテンは、市販品を使用することもでき、例えば三井化学(株)製のTPX(商標名)などが挙げられる。その他のメーカーのポリ4-メチル-1-ペンテンでも、上記要件を満たせば好ましく使用することができる。
【0048】
ポリエチレンとしては、従来公知の手法で製造されている、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレンを使用することが出来る。
【0049】
ポリブテンとしては、1−ブテンのホモポリマー、あるいは1−ブテンと、1−ブテンを除くオレフィンとの共重合体を挙げることができる。ポリブテンと共重合するオレフィンとしては、4−メチル−1−ペンテンと共重合するα−オレフィンとして挙げた前記α−オレフィンが挙げられ、これらのオレフィンは、単独で、または2種以上混合して用いられる。共重合体として、例えば、1−ブテン・エチレンランダム共重合体、1−ブテン・プロピレンランダム共重合体、1−ブテン・メチルペンテン共重合体、1−ブテン・メチルブテン共重合体、1−ブテン・プロピレン・エチレン共重合体などが挙げられる。このような共重合体において、耐熱性の点から、1−ブテン由来の構成単位の含有量が50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることが更に好ましく、85%以上であることが特に好ましい。
【0050】
変性ポリオレフィン樹脂は、上述したポリオレフィン樹脂にエチレン性不飽和結合含有モノマーを、有機過酸化物を用いてグラフト変性することにより得ることができる。変性ポリオレフィンが有する官能基の種類としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、イミド基、エステル基、アルコキシシラン基、酸ハライド基およびニトリル基等が挙げられる。
【0051】
ロジン系樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸などで変性した変性ロジン、ロジン誘導体が挙げられる。また、このロジン誘導体としては、前記の天然ロジン、重合ロジンまたは変性ロジンのエステル化物、フェノール変性物およびそのエステル化物などが挙げられる。さらに、これらの水素添加物も挙げることができる。
【0052】
テルペン系樹脂としては、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ジペンテン、テルペンフェノール、テルペンアルコール、テルペンアルデヒドなどからなる樹脂が挙げられ、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ジペンテンなどにスチレンなどの芳香族モノマーを重合させた芳香族変性のテルペン系樹脂なども挙げられる。また、これらの水素添加物も挙げることができる。
【0053】
石油樹脂としては、たとえば、タールナフサのC5留分を主原料とする脂肪族系石油樹脂、C9留分を主原料とする芳香族系石油樹脂およびそれらの共重合石油樹脂が挙げられる。すなわち、C5系石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分を重合した樹脂)、C9系石油樹脂(ナフサ分解油のC9留分を重合した樹脂)、C5C9共重合石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分とC9留分とを共重合した樹脂)が挙げられ、タールナフサ留分のスチレン類、インデン類、クマロン、その他ジシクロペンタジエンなどを含有しているクマロンインデン系樹脂、p−ターシャリブチルフェノールとアセチレンの縮合物に代表されるアルキルフェノール類樹脂、ο−キシレン、p−キシレンまたはm−キシレンをホルマリンと反応させてなるキシレン系樹脂なども挙げられる。
【0054】
また、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂からなる群より選ばれる1つ以上の樹脂は、耐候性および耐変色性に優れるために水素添加誘導体が好ましい。前記樹脂の環球法による軟化点は、40〜180℃の範囲にあることが好ましい。また、前記樹脂のGPCにより測定される数平均分子量(Mn)は100〜10,000程度の範囲にあることが好ましい。ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂は市販品を使用することもできる。
【0055】
これらの熱可塑性樹脂(E)の中で、好ましいのは、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、スチレン系エラストマー、酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体、アイオノマー、フッ素系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂であり、より好ましいのは、耐熱性向上、低温耐性向上、柔軟性の点で、ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、ポリ1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、酢酸ビニル共重合体、スチレン系エラストマー、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂である。
【0056】
また熱可塑性樹脂(E)として、好ましくはポリ3−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテンなどが挙げられ、これらは本発明の4-メチル-1-ペンテン系重合体(X)の核剤として働くことにより、得られるフィルム等の剛性の向上に寄与する。
【0057】
熱可塑性樹脂(E)としては、上記熱可塑性樹脂の中から1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
樹脂用添加剤としては、例えば、核剤、アンチブロッキング剤、顔料、染料、充填剤、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、界面活性剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、スリップ防止剤、ブ発泡剤、結晶化助剤、防曇剤、(透明)核剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、衝撃改良剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、加工助剤などが挙げられる。これらの添加剤は、1種単独でも、適宜2種以上を組み合わせても用いることができる。
【0058】
核剤としては、4-メチル-1-ペンテン系重合体(X)の成形性をさらに改善させる、すなわち結晶化温度を高め、結晶化速度を速めるために、公知の核剤を使用することが可能である。具体的には、ジベンジリデンソルビトール系核剤、リン酸エステル塩系核剤、ロジン系核剤、安息香酸金属塩系核剤、フッ素化ポリエチレン、2,2-メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ピメリン酸やその塩、2,6−ナフタレン酸ジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド等が挙げられる。核剤の配合量は、特に限定されないが、4-メチル-1-ペンテン系重合体(X)100質量部に対して、好ましくは0.1〜1質量部である。核剤は、重合中、重合後、あるいは成形加工時などの時点で適宜添加することが可能である。
【0059】
アンチブロッキング剤としては、公知のアンチブロッキング剤が使用可能である。具体的には、微粉末シリカ、微粉末酸化アルミニウム、微粉末クレー、粉末状もしくは液状のシリコン樹脂、テトラフロロエチレン樹脂、微粉末架橋樹脂、例えば架橋されたアクリル、メタクリル樹脂粉末等を挙げることができる。これらのうちでは、微粉末シリカおよび架橋されたアクリル、メタクリル樹脂粉末が好ましい。
【0060】
顔料としては、無機顔料(酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、硫化カドミウム等)、有機顔料(アゾレーキ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系)が挙げられる。染料としてはアゾ系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系等が挙げられる。これら顔料および染料の添加量は、特に限定されないが、4−メチル−1−ペンテン系重合体系樹脂組成物の総質量に対して、合計で、通常5質量%以下、好ましくは0.1〜3質量%である。
【0061】
充填剤としてはガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、金属(ステンレス、アルミニウム、チタン、銅等)繊維、カーボンブラック、シリカ、ガラスビーズ、珪酸塩(珪酸カルシウム、タルク、クレー等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、アルミナ等)、金属の炭酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム)および各種金属(マグネシウム、珪素、アルミニウム、チタン、銅等)粉末、マイカ、ガラスフレーク等が挙げられる。これらの充填剤は1種単独または2種以上の併用のいずれでもよい。
【0062】
滑剤としては、ワックス(カルナバロウワックス等)、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、高級アルコール(ステアリルアルコール等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド等)等が挙げられる。
【0063】
可塑剤としては、芳香族カルボン酸エステル(フタル酸ジブチル等)、脂肪族カルボン酸エステル(メチルアセチルリシノレート等)、脂肪族ジアルボン酸エステル(アジピン酸−プロピレングリコール系ポリエステル等)、脂肪族トリカルボン酸エステル(クエン酸トリエチル等)、リン酸トリエステル(リン酸トリフェニル等)、エポキシ脂肪酸エステル(ステアリン酸エポキシブチル等)、石油樹脂等が挙げられる。
【0064】
離型剤としては、高級脂肪酸の低級(C1〜4)アルコールエステル(ステアリン酸ブチル等)、脂肪酸(C4〜30)の多価アルコールエステル(硬化ヒマシ油等)、脂肪酸のグリコールエステル、流動パラフィン等が挙げられる。
【0065】
酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が使用可能である。具体的には、フェノール系(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等)、多環フェノール系(2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール等)、リン系(テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレンジホスフォネート等)、イオウ系(チオジプロピオン酸ジラウリル等)、アミン系(N,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン等)、ラクトン系の酸化防止剤等が挙げられ、これらを数種類組み合わせても使用できる。
【0066】
難燃剤としては、有機系難燃剤(含窒素系、含硫黄系、含珪素系、含リン系等)、無機系難燃剤(三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、赤リン等)が挙げられる。
【0067】
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、アクリレート系等が挙げられる。
抗菌剤としては、4級アンモニウム塩、ピリジン系化合物、有機酸、有機酸エステル、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素等が挙げられる。
【0068】
界面活性剤としては非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を挙げることができる。非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビットもしくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤などが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキル時ヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0069】
帯電防止剤としては、上記の界面活性剤、脂肪酸エステル、高分子型帯電防止剤が挙げられる。脂肪酸エステルとしてはステアリン酸やオレイン酸のエステルなどが挙げられ、高分子型帯電防止剤としてはポリエーテルエステルアミドが挙げられる。
【0070】
上記充填剤、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、界面活性剤、帯電防止剤などの各種添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じて、特に限定されないが、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)を含む樹脂組成物の総質量に対して、それぞれ、0.1〜30質量%であることが好ましい。
<4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)を含む樹脂組成物の製造方法>
本発明にかかる4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)を含む樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)と他の成分とを上述の添加割合で混合したのち、溶融混練して得られる。
【0071】
溶融混練の方法は、特に制限されず、一般的に市販されている押出機などの溶融混練装置を用いて行うことが可能である。
例えば、混練機における混練を行う部分のシリンダ温度は、通常220〜320℃、好ましくは250〜300℃である。シリンダ温度が220℃よりも低いと溶融不足により混練が不十分となり、樹脂組成物の物性の向上が見られにくい。一方、温度が320℃よりも高いと、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)の熱分解が起こる場合がある。混練時間は、通常0.1〜30分間、特に好ましくは0.5〜5分間である。混練時間が0.1分に満たないと十分に溶融混練が行われず、また、混練時間が30分を超えると4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)の熱分解が起こる場合がある。
【0072】
<成形体>
前記樹脂組成物を成形することにより成形体が得られる。
(1)成形方法
前記樹脂組成物の成形方法としては、公知の各種の成形方法が適用でき、例えば射出成形や押出成形、射出延伸ブロー成形法、ブロー成形法、キャス卜成形法、カレンダ一成形法、プレス成形、スタンピング成形、インフレーション成形、ロール成形等の各種成形法を挙げることができる。これらの成形方法により、目的とする成形体、例えばフィルム、シート、中空成形体、射出成形体、繊維等に加工することができる。成形条件は従来公知の4−メチル−1−ペンテン系重合体の成形条件と同様である。
【0073】
(2)形状
成形体の形状には特に制約はない。例えば、チューブ状、フィルム状、シート状、膜(メンブレン)状、テープ状、板状、棒状、繊維状、不織布状、などである。
なお、以下、フィルムとは平面状成形体の総称であり、シート、テープなども含む概念とする。
【0074】
(3)用途
本発明の成形体は、従来の4−メチル−1−ペンテン系重合体が用いられうる用途に制約なく用いられうる。
フィルムの伸びは、製膜時の特性として要求されるが、フィルムの用途には制約はない。フィルムの用途としては、例えば、食品、食肉、加工魚、野菜、果物、発酵食品、レトルト食品、菓子、医薬、球根、種子、キノコ等の包材や、ラップフィルム、細胞培養バック、細胞検査フィルム、耐熱真空成形容器、惣菜容器、惣菜用蓋材、ベーキングカートン、各種離型フィルムなどが挙げられる。
【0075】
本発明に係る成形体の用途例を以下に挙げるが、特にこれらに限られない。
容器としては、例えば、食器、調昧料容器、台所用品、レトルト容器、冷凍保存容器、レトルトパウチ、電子レンジ耐熱容器、冷凍食品容器、冷菓カップ、カップ、哺乳瓶、飲料ボトルなどの食品容器、ボトル容器などや、輸血セット、医療用ボトル、医療用容器、医療用中空瓶、医療バッグ、輸液バッグ、血液保存バック、輸液ボトル、薬品容器、洗剤容器、柔軟剤用容器、漂白剤用容器、シャンプー用容器、リンス用容器、化粧品容器、香水容器、卜ナー容器、粉末容器、接着剤用容器、ガソリンタンク用容器、灯油用容器、食品容器、耐熱容器、医療用容器、アニマルケージ、理化学実験器具、などが挙げられる。
【0076】
包材としては、例えば、食品包材、食肉包材、加工魚包材、野菜包材、果物包材、発酵食品包材、菓子包装材、酸素吸収剤包材、レトルト食品用包材、鮮度保持フィルム、医薬包材、細胞培養バック、細胞検査フィルム、球根、包材、種子包材、野菜・キノコ栽培用フィルム、耐熱真空成形容器、惣菜容器、惣菜用蓋材、業務用ラップフィルム、家庭用ラップフィルム、ベーキングカートンなどが挙げられる。
【0077】
上記以外のフィルムとしては、例えば、フレキシブルプリント基板用離型フィルム、ACM基板用離型フィルム、リジット基板用離型フィルム、リジットフレキシブル基板用離型フィルム、先端複合材料用離型フィルム、炭素繊維複合材硬化用離型フィルム、ガラス繊維複合材硬化用離型フィルム、アラミド繊維複合材硬化用離型フィルム、ナノ複合材硬化用離型フィルム、フィラー充填材硬化用離型フィルム、半導体封止用離型フィルム、偏光板用離型フィルム、拡散シート用離型フィルム、プリズムシート用離型フィルム、反射シート用離型フィルム、離型フィルム用クッションフィルム、燃料電池用離型フィルム、各種ゴムシート用離型フィルム、ウレタン硬化用離型フィルム、エポキシ硬化用離型フィルムなどの離型フィルム、太陽電池セル封止シート、太陽電池セルバックシート、太陽電池用プラスチックフィルム、バッテリーセパレーター、リチウムイオン電池用セパレーター、燃料電池用電解質膜、粘着・接着材セパレーター、導光板、光ディスク、ダイシングテープ・バックグラインドテープ・ダイボンデイングフィルム、二層FCCL、フィルムコンデンサー用フィルムなどの半導体用工程フィルムの基材・粘着材・セパレーター、粘着フィルム、応力緩和フィルム、ペリクル用フィルム、偏光板用フィルム、偏光板用保護フィルム、液品パネル用保護フィルム、光学部品用保護フィルム、レンズ用保護フィルム、電気部品・電化製品用保護フィルム、携帯電話用保護フィルム、パソコン用保護フィルム、タッチパネル用保護フィルム、窓ガラス保護フィルム、焼付塗装用フィルム、マスキングフィルム、コンデンサー用フィルム、キャパシターフィルム、タブリードフィルム、燃料電池用キャパシターフィルム、反射フィルム、拡散フィルム、積層体(ガラスを含む)、耐放射線フィルム、耐γ線フィルム、多孔フィルムなどの保護フィルム、放熱フィルム・シート、電子部品封止体製造用型枠、LEDモールド、高周波回路用積層板、高周波ケーブル用被覆材、光導波路基板、ガラス繊維複合体、炭素繊維複合体、ガラス中間膜、合わせガラス用フィルム、建材用ウインドウフィルム、アーケードドーム、体育館窓ガラス代替、LCD基板用フィルム、防弾材、防弾ガラス用フィルム、遮熱シート、遮熱フィルム、合皮用離型紙、先端複合材料用離型紙、炭素繊維複合材硬化用離型紙、ガラス繊維複合材硬化用離型紙、アラミド繊維複合材硬化用離型紙、ナノ複合材硬化用離型紙、フィラー充填材硬化用離型紙などの離型紙、耐熱耐水印画紙、包装用フィルム、離型フィルム、通気性フィルム、反射フィルム、合成紙、ディスプレイ用フィルム、ディスプレイ導電フィルム、ディスプレイバリアフィルムなどが挙げられる。
【0078】
その他の用途としては、例えば、ゴムホース製造用マンドレル、シース、ゴムホース製造用シース、ホース、チューブ、合皮用離型紙、医療用チューブ、産業用チューブ、冷却水配管、温水配管、電線被覆材、ミリ波信号ケーブル被覆材、高周波信号ケーブル被覆材、エコ電線被覆材、車載用ケーブル被覆材、信号ケーブル被覆材、高圧電線用碍子、配線ダクト、化粧品・香水スプレー用チューブ、医療用チューブ、輸液チューブ、パイフ、ワイヤーハーネス、自動車・自動二輪・鉄道車両・航空機・船舶等の内外装材、耐磨耗自動車内外装材、インストルメントパネル表皮、ドアトリム表皮、リアーパッケージトリム表皮、天井表皮、リアピラー表皮、シートバックガーニッシュ、コンソールボックス、アームレスト、エアバックケースリッド、シフトノブ、アシストグリップ、サイドステップマット、メーターカバー、バッテリーキャップ、ヒューズ、自動水洗センサ部品、イグニッション、コイルボビン、ブッシング、バンパー、カーヒーターファン、ラジエータグリル、ホイールキャップ、EV用電源コネクタ、車載用ディスプレイ偏光板、ルーバー、ひじ掛け、レール絶縁版、二輪車防風、リクライニングカバー、トランク内シート、シートベルトバックル、インナー・アウターモール、バンパーモール、サイドモール、ルーフモール、ベルトモールなどのモール材、エアスポイラー、ドアシール、ボディシールなどの自動車用シール材、グラスランチャンネル、泥よけ、キッキングプレート、ステップマット、ナンバープレートハウジング、自動車用ホース部材、エアダクトホース、エアダクトカバー、エアインテークパイプ、エアダムスカート、タイミングベルトカバーシール、ボンネットクッション、ドアクッション、カップホルダー、サイドブレーキグリップ、シフトノブカバー、シート調整ツマミ、ワイヤーハーネスグロメット、サスペンションカバーブーツ、ガラスガイド、インナーベルトラインシール、ルーフガイド、トランクリッドシール、モールデッドクォーターウインドガスケット、コーナーモールディング、グラスエンキャプシユレーション、フードシール、グラスランチャンネル、セカンダリーシール、バンパー部品、ボディパネル、サイドシールド、ドア表皮、ウェザーストリップ材、ホース、ステアリングホイール、ワイヤーハーネスカバー、シートアジャスターカバーなどの自動車内外装材、制振タイヤ、静動タイヤ、カーレースタイヤ、ラジコンタイヤなどの特殊タイヤ、パッキン、自動車ダストカバー、ランプシール、自動車用ブーツ材、ラックアンドピニオンブーツ、タイミングベルト、ワイヤーハーネス、グロメット、エンブレム、エアフィルタパッキン、自動車用コネク夕、イグニッションコイル、スイッチ、ランプリフレクタ、リレー、電気制御ユニットケース、センサーハウジング、ヘッドランプ、メーター板、インシュレータ、ベアリングリテーナ、スラストワッシャー、ランプリフレクタ、ドアハンドル、グレージング、パノラマルーフ、ソレノイバルブ、ECUケース、ユニット接続用コネクタ、オルタネータ、HEV用端子台、電磁弁、コイル封止部品、家具・履物・衣料・袋物・建材等の表皮材、建築用シール材、防水シート、建材シート、配管継ぎ手、化粧台、浴室天井、インペラ、建材ガスケット、建材用ウインドウフィルム、鉄芯保護部材、地盤改良用シート、止水材、目地材、ガスケット、ドア、ドア枠、窓枠、廻縁、巾木、開口枠等、床材、天井材、壁紙、健康用品(例:滑り止めマット・シート、転倒防止フィルム・マット・シート)、健康器具部材、衝撃吸収パッド、プロテクター・保護具(例:ヘルメット、ガード)、スポーツ用品(例:スポーツ用グリップ、プロテクター)、スポーツ用防具、ラケット、マウスガード、ボール、ゴルフボール、運搬用具(例:運搬用衝撃吸収グリッフ、衝撃吸収シート)、制振パレット、衝撃吸収ダンパー、インシュレーター、履物用衝撃吸収材、衝撃吸収発泡体、衝撃吸収フィルム・シートなどの衝撃吸収材、グリップ材(筆記具、工具、運動用具、乗り物のハンドル、日用品、電気器具、家具等)、カメラボディ及び部品、OA機器部品、複写機構造部品、プリンタ構造部品、航空機用部材、機内食トレー、ファクシミリ構造部品、ポンプ部品、電動工具部品、乾燥洗濯機部品、ヒーターポンプ噴出口・取り出し口、IH炊飯器、炊飯器中フタ、レンジローラーステイリング、掃除機ファンガイド、電子ジャー用ポンプ・フィルターケース、生ごみ処理機部品・処理槽・加熱乾燥部品、ミルク用メーター、フィルターボウル、エスカレータ部品、超音波モーターハウジング、アブソリュートエンコーダー、小型ポンプハウジング、テレビ部材、ヘアドライヤハウジング、照明カバー、雑貨、コーヒードリッパー、加湿器部品、アイロン部品、水道器具部品、水筒、櫛、万年筆、筆箱、鉛筆削り、スポーツレジャー用品、スキーゴーグル、空手・剣道防具、サーフィン用フィン、楽器、養魚槽、サンダル、雪かきスコップ、釣竿ケース、玩具、靴底、靴底ソール、靴のミッドソール・インナーソール、ソール、サンダル、椅子表皮、鞄、ランドセル、ジャンバー・コートなどのウェア、帯、棒、リボン、手帳カバー、ブックカバー、キーホルダー、ペンケース、財布、箸、レンゲ、電子レンジ調理なべ、名刺入れ、定期入れ、吸盤、歯ブラシ、床材、体操用マット、電動工具部材、農機具部材、放熱材、透明基板、防音材、吸音材、クッション材、電線ケーブル、形状記憶材料、コネクタ、スイッチ、プラグ、家電部品(モータ部品、ハウジング等)、医療用ガスケット、スピーカ振動板、医療用キャップ、薬栓、ガスケット、ベビーフード・酪農製品・医薬品・滅菌水等を瓶に充填後、煮沸処理、高圧蒸気滅菌等高温処理される用途のパッキング材、工業用シール材、工業用ミシンテーブル、ナンバープレートハウジング、ペットボトルキャップライナーなどのキャップライナー、プロテクトフィルム粘着層、ホットメルト粘着材などの粘着材、文房具、オフィス用品、OAプリンタ脚、FAX脚、ミシン脚、モータ支持マット、オーディオ防振材などの精密機器・OA機器支持部材、OA用耐熱パッキン、アニマルケージ、ビーカー、メスシリンダー等の理化学実験機器、医療用フィルム・シート、細胞培養用フィルム・シート、シリンジ、CD/DVD/ブルーレイ等光学メディア、光学測定用セル、衣装ケース、クリアーケース、クリアーファイル、クリアーシート、デスクマット、繊維としての用途として、例えば、モノフィラメント、マルチフィラメント、カットファイバー、中空糸、不織布、伸縮性不織布、繊維、防水布、通気性の織物や布、紙おむつ、生理用品、衛生用品、フィルター、バグフィルター、集塵用フィルター、エアクリーナー、中空糸フィルター、浄水フィルター、慮布、慮紙、ガス分離膜、人工肝臓(ケース、中空糸)、濾過機逆浸透膜、人工心肺、注射器シリンジ、三方活栓、輸液セット、外科医用器具、流量計、歯科用器具、コンタクトレンズ殺菌用器具、吸入マスク、分析用セル、搾乳機、火災報知器、消火器、ヘルメット、保護メガネ、ICキャリア、ピックアップレンズ、バーンインソケット、などが挙げられる。
【0079】
また、コーティング材、コーティングによって得られるフィルム、シート、離型材、撮水材、絶縁膜、接着材、粘着材、コート紙、透明シーラント、シーラント、ホットメルト型粘接着剤、溶剤型粘接着剤、フィルム状粘接着剤、布テープ、クラフトテープ、弾性接着剤などにも好適に使用される。
【0080】
また、上記4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は、粉砕処理により微粉末に加工することもできる。得られた微粉末は、例えばインキ組成物や塗料組成物の添加剤として、冶金用粉末組成物の添加剤として、セラミック焼結用粉末組成物の添加剤として、粘着剤の添加剤として、ゴムの添加剤として、トナーの離型剤として、金型離型剤などとして用いられうる。さらには、得られた微粉末は、軸上、歯車、カム、電気部品、カメラ部品、自動車部品、家庭用品向けの部品への樹脂添加剤としても、ワックス、グリース、エンジンオイル、ファインセラミックス、メッキなどの樹脂添加剤としても用いられうる。
【実施例】
【0081】
次に本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[遷移金属錯体の合成−1]
国際公開第2001/027124号に記載の方法により、ジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを合成した。この化合物を「触媒(A)」とも記載する。
【0082】
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、架橋メタロセン化合物として前記触媒(A)30.7mmolを入れた。触媒(A)に対してアルミニウム原子換算で500当量となる修飾メチルアルミノキサンの懸濁液(n−ヘキサン溶媒)を攪拌しながら室温で加え、触媒(A)が5.0mmol/mLとなる量のデカンを加えて触媒液(スラリー液(A−1))を調製した。
【0083】
上記で調製したスラリー液(A−1)に、窒素気流下、ジイソブチルアルミニウムハイドライドのデカン溶液(アルミニウム原子換算で2.0mmol/mL)を2.0mL、さらに3−メチル−1−ペンテンを7.5mL(5.0g)装入した。1.5時間後攪拌を止め、得られた予備重合触媒成分をデカンテーション法によりデカン50mLで3回洗浄した。この予備重合触媒成分をデカンに懸濁させて、デカンスラリー(A−2)50mLを得た。
【0084】
[遷移金属錯体の合成−2]
国際公開第2005/121192号に記載の方法により、ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを合成した。この化合物を「触媒(B)」とも記載する。
【0085】
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、架橋メタロセン化合物として前記触媒(B)32.8mmolを入れた。触媒(B)に対してアルミニウム原子換算で500当量となる修飾メチルアルミノキサンの懸濁液(n−ヘキサン溶媒)を攪拌しながら室温で加え、触媒(B)が2.5mmol/mLとなる量のデカンを加えて触媒液(スラリー液(B−1))を調製した。
【0086】
上記で調製したスラリー液(B−1)に、窒素気流下、ジイソブチルアルミニウムハイドライドのデカン溶液(アルミニウム原子換算で2.0mmol/mL)を2.0mL、さらに3−メチル−1−ペンテンを7.5mL(5.0g)装入した。1.5時間後攪拌を止め、得られた予備重合触媒成分をデカンテーション法によりデカン50mLで3回洗浄した。この予備重合触媒成分をデカンに懸濁させて、デカンスラリー(B−2)50mLを得た。
【0087】
[遷移金属錯体の合成−3]
国際公開第2001/027124号に記載の方法により、ジメチル[3−tert−ブチル−5−メチル-シクロペンタジエニル](フルオレニル)ジルコニウムジクロリド を合成した。この化合物を「触媒(C)」とも記載する。
【0088】
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、架橋メタロセン化合物として前記触媒(C)32.8mmolを入れた。触媒(C)に対してアルミニウム原子換算で500当量となる修飾メチルアルミノキサンの懸濁液(n−ヘキサン溶媒)を攪拌しながら室温で加え、触媒(C)が2.5mmol/mLとなる量のデカンを加えて触媒液(スラリー液(C−1))を調製した。
【0089】
上記で調製したスラリー液(C−1)に、窒素気流下、ジイソブチルアルミニウムハイドライドのデカン溶液(アルミニウム原子換算で2.0mmol/mL)を2.0mL、さらに3−メチル−1−ペンテンを7.5mL(5.0g)装入した。1.5時間後攪拌を止め、得られた予備重合触媒成分をデカンテーション法によりデカン50mLで3回洗浄した。この予備重合触媒成分をデカンに懸濁させて、デカンスラリー(C−2)50mLを得た。
【0090】
[遷移金属錯体の合成−4]
(8−オクタメチルフルオレン−12'−イル−(2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライド(触媒D)の合成
(1)1−アダマンチルシクロペンタジエニルリチウムの合成
窒素雰囲気下、200ml三口フラスコに1.0M濃度のエチルマグネシウムブロマイドのtert−ブチルメチルエーテル溶液40mlを装入した。この溶液を氷浴で冷却しつつシクロペンタジエン2.64gを20分間かけて滴下し、室温に戻し17時間攪拌し、溶液D−1を調製した。
【0091】
窒素雰囲気下、500ml三口フラスコにジイソプロピルエーテル200ml、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)0.36gを装入した。水浴下、この溶液に、先に調製した溶液D−1を20分間かけて滴下した。1−ブロモアダマンタン4.30gをジイソプロピルエーテル40mLに溶解させて調製した溶液を滴下し、70℃で10時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、水浴下、飽和塩化アンモニウム水溶液200mlを加えた。有機層を分離し、水層に対しヘキサン200mlで抽出を行い、抽出後のヘキサンを先の有機層と合わせて得られた有機液を水で洗浄した。この有機液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。得られた固形物を、シリカゲルカラムクロマトグラフを用いて精製することにより、4.2gの粗生成物を得た。
【0092】
窒素雰囲気下、100mlシュレンクフラスコに、得られた粗生成物4.2g、ヘキサン20mLを装入した。氷浴下、この溶液に1.6Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液13.8mLを20分間かけて滴下し、室温に戻し17時間攪拌した。この反応液から析出物をろ取し、ヘキサンで洗浄することにより、目的物である1−アダマンチルシクロペンタジエニルリチウムを得た。収量2.70g、収率66%であった。
1H−NMRの測定結果により、目的物を同定した。測定結果は以下のとおりである。
1H−NMR(THF−d
8):δ5.57−5.55(2H,m),5.52−5.50(2H,m),1.96(3H,s),1.87(6H,s),1.74(6H,s).
【0093】
(2)2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデンの合成
窒素雰囲気下、100ml三口フラスコにTHF40ml、塩化マグネシウム1.57gを装入した。この溶液に、1−アダマンチルシクロペンタジエニルリチウム3.09gをTHF10mlに溶解させて得られた溶液を5分間かけて滴下し、室温で2時間、さらに50℃で3時間攪拌した。氷/アセトン浴下、1−アセチルシクロヘキセン1.96g(15.75mmol)をTHF10mlに溶解させて得られた溶液を10分間かけて滴下し、室温で19時間攪拌した。氷/アセトン浴下、酢酸1.0ml、ピロリジン3.1mlを装入し、室温で17時間攪拌した。氷/アセトン浴下、この溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液30mlを加えた。この溶液にヘキサン100mlを加えた後、有機層を分離し、水層に対しヘキサン200mlで抽出を行い、抽出後のヘキサンを先の有機層と合わせて得られた有機液を水で二回洗浄した。この有機液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。得られた固形物をメタノールから再結晶することにより、目的物である2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデンを得た。収量2.134g、収率47%であった。
1H−NMR、GC−MSの測定結果により、目的物を同定した。測定結果は以下のとおりである。
1H−NMR(Toluene−d
8):δ6.06(1H,s),5.98(1H,s),2.88−2.78(2H,m),1.98−1.13(26H,m).
GC−MS:m/Z=306(M
+).
【0094】
(3)8−オクタメチルフルオレン−12'−イル−(2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン)の合成
窒素雰囲気下、30mlシュレンク管にオクタメチルフルオレン1.546g、tert−ブチルメチルエーテル40mlを装入した。氷/アセトン浴下、この溶液に1.6Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液2.62mlを15分間かけて滴下した。徐々に室温に戻しながら22時間攪拌した。この溶液に2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン1.349gを加えた。室温で19時間、さらに50℃で8時間攪拌した後、反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液100mlに加えた。有機層を分離し、水層に対しヘキサン100mlで抽出を行い、抽出後のヘキサンを先の有機層と合わせて得られた有機液を水で2回洗浄した。この有機液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。得られた固体をアセトンで洗浄することにより、目的物である8−オクタメチルフルオレン−12'−イル−(2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン)を得た。収量1.51g、収率54%であった。
【0095】
FD−MSの測定結果により、目的物を同定した。測定結果は以下のとおりである。
FD−MS:m/Z=693(M
+).
1H−NMRの測定結果より、得られた8−オクタメチルフルオレン−12'−イル−(2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン)は複数の異性体の混合物であることが確認された。
【0096】
(4)遷移金属錯体(触媒D)の合成
窒素雰囲気下、100mlシュレンク管に8−オクタメチルフルオレン−12'−イル−(2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン)1.039g、α−メチルスチレン0.47ml、ヘキサン30ml、シクロペンチルメチルエーテル2.62mlを装入した。25℃のオイルバス下、この溶液に1.6Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液2.18mlを10分間かけて滴下した。50℃で4時間攪拌した後、析出物をろ過し、ヘキサンで洗浄することにより、桃色粉末を得た。100mlシュレンク管に、この桃色粉末、ジエチルエーテル30mlを装入した。この溶液をドライアイス/アセトンバスで冷却した後、この溶液に、四塩化ジルコニウム0.385g(1.65mmol)をジエチルエーテル30mlにて懸濁させて加えた。その後徐々に室温まで昇温しながら16時間攪拌した。
【0097】
溶媒を減圧留去した後、ジクロロメタン約70mlを用いて残留物から可溶分を抽出した。得られた抽出液を濃縮した後、ヘキサン50mlを加え、ろ過にて不溶物を取り除いた。この溶液を約10mlまで濃縮した後、−30℃で一晩静置した。析出した粉末をろ過によって取り出し、ヘキサンで洗浄し、0.384gの橙色粉を得た。この橙色粉にジエチルエーテル5mlを加えて溶解させ、−30℃で一晩静置した。析出した粉末をろ過によって取り出し、ヘキサンで洗浄し、目的物である(8−オクタメチルフルオレン−12'−イル−(2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライド(触媒D)を得た。収量0.220g、収率17%であった。
1H−NMRの測定結果により、目的物を同定した。測定結果は以下のとおりである。
1H−NMR(270MHz,CDCl
3,TMS基準):δ7.98(1H,s),7.86(1H,s),7.60(1H,s),7.37(1H,s),6.19(1H,J=1.6Hz,d),5.33(1H,J=1.6Hz,d),3.58−3.44(2H,m),2.35−2.28(1H,m),2.18(3H,s),1.94−1.18(54H,m).
【0098】
[固体触媒成分の調製]
30℃下、充分に窒素置換した100mLの攪拌機を付けた三つ口フラスコ中に、窒素気流下で精製デカン32mL及び固体状ポリメチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製)をアルミニウム原子換算で14.65mmol装入し、懸濁液とした。その懸濁液に、先に合成した触媒(D)50mg(ジルコニウム原子換算で0.059mmol)を4.6mmol/Lのトルエン溶液とし、この溶液12.75mLを撹拌しながら加えた。1.5時間後攪拌を止め、得られた触媒成分をデカンテーション法によりデカン50mLで3回洗浄し、デカンに懸濁させてスラリー液(D−2)50mLを得た。この触媒成分においてZr担持率は100%であった。
【0099】
[予備重合触媒成分の調製]
上記で調製したスラリー液(D−2)に、窒素気流下、ジイソブチルアルミニウムハイドライドのデカン溶液(アルミニウム原子換算で2.0mmol/mL)を2.0mL、さらに3−メチル−1−ペンテンを7.5mL(5.0g)装入した。1.5時間後攪拌を止め、得られた予備重合触媒成分をデカンテーション法によりデカン50mLで3回洗浄した。この予備重合触媒成分をデカンに懸濁させて、デカンスラリー(D−3)50mLを得た。
【0100】
[実施例1]
(重合体[X−1])
室温、窒素気流下で、内容積1Lの攪拌機を付けたSUS製重合器に、精製デカンを425mL、ジイソブチルアルミニウムハイドライドのデカン溶液(アルミニウム原子換算で2.0mmol/mL)を0.5mL(1mol)装入した。次いで、先に調製した触媒(A)の予備重合触媒成分のデカンスラリー(A−2)をジルコニウム原子換算で0.0005mmol加え、水素を50NmL装入した(1回目の水素装入)。次いで、4−メチル−1−ペンテン250mLを2時間かけて重合器内へ連続的に一定の速度で装入した。この装入開始時点を重合開始とし、重合開始から0.5時間かけて45 ℃へ昇温した後、45 ℃で4時間保持した。重合開始から3時間後に水素を90NmL装入した(2回目の水素装入)。重合開始から4.5時間経過後、室温まで降温し、脱圧した後、ただちに白色固体を含む重合液を濾過して固体状物質を得た。この固体状物質を減圧下、80℃で8時間乾燥し、重合体[X−1]を得た。収量は131 gであった。物性測定の結果を表1に示す 。
【0101】
[実施例2]
(重合体[X−2])
デカンスラリー(A−2)の代わりにデカンスラリー(B−2)を使用した以外は実施例1と同様の反応を行い、重合体[X−2]を120g得た。物性測定の結果を表1に示す 。
【0102】
[実施例3]
(重合体[X−3])
デカンスラリー(A−2)の代わりにデカンスラリー(C−2)を使用し、重合温度を100℃とした以外は実施例1と同様の反応を行い、重合体[X−3]を115g得た。物性測定の結果を表1に示す 。
【0103】
[実施例4]
(重合体[X−4])
室温、窒素気流下で、内容積1Lの攪拌機を付けたSUS製重合器に、精製デカンを425mL、ジイソブチルアルミニウムハイドライドのデカン溶液(アルミニウム原子換算で2.0mmol/mL)を0.5mL(1mol)装入した。次いで、先に調製した触媒Cの予備重合触媒成分のデカンスラリー(C−2)をジルコニウム原子換算で0.0005mmol加え、水素を50NmL装入した(1回目の水素装入)。次いで、4−メチル−1−ペンテン250mLと1−デセン3.3mLとの混合溶液を2時間かけて重合器内へ連続的に一定の速度で装入した。この装入開始時点を重合開始とし、重合開始から30分かけて45℃へ昇温した後、45℃で4時間保持した。重合開始から3時間後に水素を90NmL装入した(2回目の水素装入)。重合開始から4.5時間経過後、室温まで降温し、脱圧した後、ただちに白色固体を含む重合液を濾過して固体状物質を得た。この固体状物質を減圧下、80℃で8時間乾燥し、重合体[X−4]を得た。収量は125gであった。物性測定の結果を表1に示す 。
【0104】
[実施例5]
(重合体[X−5])
共重合モノマーとして1−デセン3.3mLを添加する代わりに、1−ヘキセンを2.0mL添加したこと以外は実施例4と同様の反応を行い、重合体[X−5]を115g得た。物性測定の結果を表1に示す 。
【0105】
[比較例1]
(重合体[X'−1])
水素装入回数を計3回とし、実施例1と同様の重合開始前の1回目の水素装入に加え、重合開始1時間後に2回目の水素装入、重合開始2時間後に3回目の水素装入を行い、1回目、2回目、3回目の水素装入量をそれぞれ0.5NmLとした以外は実施例1と同様の反応を行い、重合体[X'−1]を135g得た。物性測定の結果を表1に示す 。
【0106】
[比較例2]
(重合体[X'−2])
水素装入回数を計3回とし、実施例2と同様の重合開始前の1回目の水素装入に加え、重合開始1時間後に2回目の水素装入、重合開始2時間後に3回目の水素装入を行い、1回目、2回目、3回目の水素装入量をそれぞれ0.5NmLとした以外は実施例2と同様の反応を行い、重合体[X'−2]を150g得た。物性測定の結果を表1に示す 。
【0107】
[比較例3](重合体[X'−3])
国際公開2006/054613号パンフレットの比較例7の方法に準じ、4−メチル―1―ペンテン、1−デセン、水素の割合を変更することによって重合体[X'−3]を得た。物性測定の結果を表1に示す 。
【0108】
[比較例4](重合体[X'−4])
デカンスラリー(C−2)の代わりにデカンスラリー(D−3)を使用したこと以外は実施例4と同様の反応を行い、重合体[X'−4]を115g得た。物性測定の結果を表1に示す 。物性測定の結果を表1に示す 。
【0109】
[比較例5](重合体 [X'−5])
水素装入回数を計3回とし、比較例4と同様の重合開始前の1回目の水素装入に加え、重合開始1時間後に2回目の水素装入、重合開始2時間後に3回目の水素装入を行い、1回目、2回目、3回目の水素装入量をそれぞれ50NmLとした以外は比較例4と同様の重合反応を行い、重合体[X'−5]を得た。収量は131gであった。
【0110】
<ペレット作製>
必要に応じて上記実施例および比較例の重合を複数回実施してペレット作製に十分な量の重合体を用意した。各重合体100質量部に対して、二次抗酸化剤としてトリ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートを0.1質量部、耐熱安定剤としてn−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)プロピネートを0.1質量部配合した。然る後に、(株)プラスチック工学研究所社製2軸押出機BT−30(スクリュー系30mmφ、L/D 46)を用い、設定温度260℃、樹脂押出量60g/minおよび回転数200rpmの条件で造粒して評価用ペレットを得た。
【0111】
得られた評価用ペレットに対し、後述する方法によってDSC測定および溶融張力測定を行った。結果を表1に示す。
以下、重合体、評価用ペレットの評価方法を具体的に記載する。評価結果を表1に記す。
【0112】
[構成単位の含量]
4−メチル−1−ペンテン系重合体中のエチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンに由来する構成単位(コモノマー)の含量は、以下の装置および条件により、
13C−NMRスペクトルより算出した。
【0113】
ブルカー・バイオスピン製AVANCEIIIcryo−500型核磁気共鳴装置を用いて、溶媒はo−ジクロロベンゼン/ベンゼン−d
6(4/1 v/v)混合溶媒、試料濃度は55mg/0.6mL、測定温度は120℃、観測核は
13C(125MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅は5.0μ秒(45°パルス)、繰返し時間は5.5秒、積算回数は64回とし、ベンゼン−d
6の128ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。主鎖メチンシグナルの積分値を用い、下記式によってコモノマー由来の構成単位の含量を算出した。
【0114】
コモノマー由来の構成単位の含量(%)=[P/(P+M)]×100
ここで、Pはコモノマー主鎖メチンシグナルの全ピーク面積を示し、Mは4−メチル−1−ペンテン主鎖メチンシグナルの全ピーク面積を示す。
【0115】
[メソダイアッド分率]
4−メチル−1−ペンテン重合体のメソダイアッド分率(アイソダイアッドアイソタクティシティ―、あるいはメソダイアッドアイソタクティシティーともいう)は、ポリマー鎖中の任意の2個の頭尾結合した4−メチル−1−ペンテン単位連鎖を平面ジグザグ構造で表現した時、そのイソブチル分岐の方向が同一である割合と定義し、
13C−NMRスペクトルから下記式により求めた。
メソダイアッド分率(アイソダイアッドタクティシティー)(m)(%)=[m/(m+r)]×100
(式中、m、rは下記式で表される頭−尾で結合している4−メチル−1−ペンテン単位の主鎖メチレンに由来する吸収強度を示す。)
【0116】
13C−NMRスペクトルは、バルカー・バイオスピン製AVANCEIIIcryo−500型核磁気共鳴装置を用いて、溶媒はo−ジクロロベンゼン/ベンゼン−d6(4/1 v/v)混合溶媒、試料濃度は60mg/0.6mL、測定温度は120℃、観測核は
13C(125MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅は5.0μ秒(45°パルス)、繰返し時間は5.5秒とし、ベンゼン−d6の128ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。
【0117】
ピーク領域は、41.5〜43.3ppmの領域をピークプロファイルの極小点で区切り、高磁場側を第1領域、低磁場側を第2領域に分類した。
第1領域では、(m)で示される4−メチル−1−ペンテン単位2連鎖中の主鎖メチレンが共鳴するが、4−メチル−1−ペンテン単独重合体とみなした積算値を「m」とした。第2領域では、(r)で示される4−メチル−1−ペンテン単位2連鎖中の主鎖メチレンが共鳴し、その積算値を「r」とした。なお、0.01%未満を検出限界以下とした。
【0118】
[Mw/Mn、分子量が1×10
6以上である重合体の割合]
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、GPCにより測定した。GPC測定は、以下の条件で行った。また、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、市販の単分散標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、下記の換算法に基づいて求めた。
【0119】
(測定条件)
装置:ゲル浸透クロマトグラフ HLC-8321 GPC/HT型 (東ソー社製)
有機溶媒:o−ジクロロベンゼン
カラム:TSKgel GMH6−HT 2本、TSKgel GMH6−HTLカラム 2本(何れも東ソー社製)
流速:1.0 ml/分
試料:0.15mg/mL o−ジクロロベンゼン溶液
温度:140℃
分子量換算 :PS換算/汎用較正法
【0120】
なお、汎用較正の計算には、Mark−Houwink粘度式の係数を用いた。PSのMark−Houwink係数はそれぞれ、文献(J.Polym.Sci.,Part A−2,8,1803(1970))に記載の値を用いた。
また、このPS換算したGPCチャートのうち、分子量1000,000以上の成分の積算面積値の、チャート全体積算面積に対する割合を、分子量1×10
6以上の成分の割合とした。
【0121】
[メルトフローレート(MFR)]
メルトフローレート(MFR)はASTM D1238に準拠して260℃、5kg荷重の条件で測定した。
【0122】
[低温溶出分量(CFC)]
(測定条件)
装 置: CFC2 型クロス分別クロマトグラフ(Polymer Char)
検出器(内蔵): IR4 型赤外分光光度計(Polymer Char)
試料濃度: 60mg/30mL
注入量: 0.5mL
移動相: o−ジクロロベンゼン(ODCB)、BHT 添加
流 量: 1.0mL/min
【0123】
o−ジクロロベンゼン(ODCB)30mLに対して60mgの重合体を加えたサンプルを装置セルに挿入し、145℃にて一定時間保持し、重合体を十分に溶解させたサンプルを得た。その後、結晶化を進行させるためにサンプルを1℃/minで0℃まで降温し、そのまま一定時間保持した。その後、サンプルを145℃まで5℃間隔で段階的に昇温する間に溶出した樹脂量を随時測定した。
その結果より、全重合体に対する80℃以下で溶出した重合体の割合を算出し、その割合を「低温溶出成分量」(累積重量分率)とした。
【0124】
[融点(Tm)、融解熱量(ΔHm)]
セイコーインスツルメンツ社製DSC測定装置(DSC220C)を用い、測定用アルミパンに約5mgの試料をつめて、10℃/minで280℃まで昇温した。280℃で5分間保持した後、10℃/minで20℃まで降温させた。20℃で5分間保持した後、10℃/minで280℃まで昇温した。2回目の昇温時に観測された結晶溶融ピークの頂点が現れる温度を融点とした。また、この結晶溶融ピークの積算値から融解熱量を算出した。
【0125】
[溶融張力]
溶融張力の測定には、東洋精機製作所の装置であるキャピログラフ1Dを用いた。260℃に設定した溶融炉(径9.55 mm)にサンプルを仕込み、十分溶融させた後に、押出速度15mm/minにて、L/D 8/ 2.095mm、流入角 180°であるキャピラリーを通過させ、キャピラリー下部から58cmの位置に固定した滑車を通過させ、溶融樹脂を15m/minの速度で巻取った際に滑車部にかかる応力を測定し、その応力を溶融張力とした。
【0126】
【表1】