(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記化石起源のアルキレートベースのガソリンが50pKa以上の蒸気圧を含み、および/または、前記再生可能なナフサ蒸留物が35〜60のRONを有し、ここで蒸気圧は20℃で測定されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
前記火花点火機関が、園芸用具、林業用具、チェーンソー、刈払機、船外機、芝刈り機、ローントラクター、草刈り機、噴射式除雪機、スノーモービル、背負い式ブロワーまたはサッカー、水上スキー、ジェットスキー、モトクロス、コンクリートミキサー、または発電機のための機関からなるリストから選択される請求項15〜17のいずれか1項に記載の使用。
化石起源の小型エンジン用ガソリンである主要部分と、小割合の再生可能なナフサ蒸留物とを含む小型エンジン用ガソリン中の再生可能な成分としての再生可能なナフサ蒸留物の使用であって、
前記再生可能なナフサ蒸留物が、
90vol%以上のC5〜C12パラフィン、
30vol%以上のC5〜C6パラフィン、
5vol%以下のナフテン、
1vol%以下の芳香族化合物、
1vol%以下の含酸素添加剤
を含み、
前記再生可能なナフサ蒸留物部分が、前記総計のガソリン組成物の3vol%以上の量であり、および
前記再生可能な成分の含有量が、ASTM D6866に記載されているように、14C、13C、および/または12Cを含む同位体分布によって決定される使用。
【背景技術】
【0002】
小型汎用エンジンは、例えばチェーンソーまたは芝刈り機などの様々な携帯可能なガソリン動力ツールにおいて使用されている。これらのエンジンは、ガソリン(別に、米国外では、ガソリン(petrol)としても知られている)、ガソリンスタンドから通常入手され得る例えばオクタン価(RON)95の無鉛レギュラーガソリンなどで作動する。これらの小型汎用エンジンは、典型的には、2−ストロークまたは4−ストローク火花点火機関である。これらの小型汎用エンジンは、携帯型ガソリン動力ツールにおいて通常使用されているという事実に起因して、経済的な観点からだけでなく重量および複雑さの観点の両方の観点から、例えば自動車のエンジンなどと同等の排気効率であるようにこれらのエンジンを製造することは実現可能ではない。その結果、オクタン価(RON)95の無鉛レギュラーガソリンで作動する携帯可能なガソリン動力ツールは、典型的には、近代の(例えば2006年型モデルまたはそれより新しい)車のエンジンと比較して顕著に多くの炭化水素を排出する。炭化水素の排出、とりわけ例えば芳香族化合物(これはオクタン価(RON)95の無鉛レギュラーガソリン中に大量に存在している)などの有害な炭化水素の排出は、環境にとって、およびこのような排出に暴露される人々の健康にとって要求が厳しい。これは特に、日常的に例えば芝刈り機などからの排出に暴露されている専門家としての庭師やチェーンソーを使用して毎日木を伐っている専門家としての木材切り出し人の場合に当てはまる。
【0003】
このような受け入れがたい排出はまた、小型汎用エンジンを室内で作動する場合に換気装置の必要性を増加させ、例えばインドアモトクロスなどの場合など、モトクロスエンジンとしてのこのような小型汎用エンジンからの高すぎる排出が原因で禁止とならないようにするには、大規模な換気を必要とする。
【0004】
小型エンジン用ガソリンは、刺激の少ない匂いおよびガソリンスタンドからのオクタン価(RON)95の無鉛レギュラーガソリンと比較して低い排出レベルを有するように開発されてきており、したがって、小型エンジン用ガソリンは主にパラフィンを含み、およびベンゼンなどの芳香族化合物は含まないかほぼ含まず、また、エタノールなどの含酸素添加剤もほぼ含まないか通常は全く含まない。それはまた、ナフテンおよびオレフィンをほとんど含まないか全く含まない。小型エンジン用ガソリンが主にパラフィンから構成されているので、それは刺激の少ない匂いをもち、および、よりきれいに燃焼し、より少量の特定の排気放出物およびより少ない堆積物しか生成しない。含酸素添加剤を含まない、特にはエタノールを含まないことが小型汎用エンジンをより長期間よりきれいに作動させることを助けている。最後に、エタノールは水分を吸収し、および、例えば冬のあいだの芝刈り機など、携帯型のガソリン動力ツールが長い期間保管されていると、エタノールが水分を吸収し、そして腐食を引き起こすかもしれない。水エタノール混合物が炭化水素から分離すると、オクタン価は許容され得ないものとなり得る。
【0005】
オクタン価9(RON)5の無鉛レギュラーガソリンへのバイオエタノールの添加は、ガソリンの再生可能な分量を増加させ、およびしたがって化石ガソリン製品の「グリーン」プロファイルを増加させる。
【0006】
小型エンジン用ガソリンは排出を少なく維持し、および保管安定性を改良し、したがって、オクタン価(RON)95の無鉛レギュラーガソリンと比較して小型汎用エンジンのための改良された燃料を提供している。しかしながら、小型エンジン用ガソリンは、化石由来のものから得られており、これは現段階では経済的に最も実行可能であるためである。
【0007】
芳香族化合物および含酸素添加剤は共に、同じ炭素鎖長の対応する飽和パラフィンと比較すると高いオクタン価を有している。アルキレート中にこれらの化合物が存在していないことは、オクタン価(RON)を高めるために使用される鉛などの添加剤なしにオクタン価などの仕様を達成することへの挑戦を示している。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、上述の先行技術に鑑みて為され、ならびに、本発明の目的は、エンジン操作性、排出物および保管に関する困難な要素である、「グリーン」含量がより多くかつエタノールおよびMTBEなどの含酸素添加剤を含まない小型エンジン用ガソリンとして使用されるための仕様を満たす小型エンジン用ガソリンを提供することである。特には、「グリーン」含量がより多い小型エンジン用ガソリンとして使用されるための仕様を満たす小型エンジン用ガソリンおよび小型エンジン用ガソリンの組成物を製造するためのプロセスまたは代替的なプロセスを少なくとも提供することへの願望がある。
【0009】
当該課題を解決するために、本発明は、ガソリン組成物を製造するためのプロセスであって、(a)90vol%以上のC
5〜C
12パラフィン、5vol%以下のナフテン、1vol%以下の芳香族化合物、1vol%以下の含酸素添加剤を含み、RONが少なくとも87である、例えば化石起源アルキレートベースのガソリンなどのアルキレートベースのガソリンであって、アルキレートベースの燃料が総計のガソリン組成物の40〜90vol%の範囲の量であるアルキレートベースのガソリン、(b)90vol%以上のC
5〜C
12パラフィン、30vol%以上のC
5〜C
6パラフィン、5vol%以下のナフテン、1vol%以下の芳香族化合物、1vol%以下の含酸素添加剤を含む再生可能なナフサ蒸留物であって、総計のガソリン組成物の1vol%以上、例えば3vol%以上、例えば5vol%以上など、例えば3〜10vol%の範囲などの量である再生可能なナフサ蒸留物、および(c)少なくとも95であるRONを有する一または複数のC
6〜C
12イソパラフィンであって、総計のガソリン組成物の10〜30vol%の範囲の量であるC
6〜C
12イソパラフィン、を混合することを含む。
【0010】
すなわち、本発明の発明者らは、本発明の第1の態様において、少なくとも95であるオクタン価(RON)を有するイソオクタンおよび/または一または複数のイソパラフィンが混合されているならば、約35〜50という低いオクタン価(RON)を有する再生可能なナフサ蒸留物が化石起源アルキレートベースのガソリンと混合され得て、かつ、オクタン価(RON)をそれでも維持できるということを見出した。
【0011】
少なくとも95であるオクタン価(RON)を有する一または複数のイソパラフィンは、C
6〜C
12イソパラフィン、例えば、2,3−ジメチルブタン、イソオクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタンからなるリストなどから選択され得る。例えば、C
6〜C
12イソパラフィンはイソオクタンであり得る。
【0012】
プロセスはまた、(d)10vol%以上、例えば10〜35vol%以上のあいだなどの量である一または複数のC
4〜C
5パラフィン、を添加することをさらに含んでいてもよく、ここで、C
4〜C
5パラフィンは、イソペンタン、イソブタン、n−ブタン、ネオペンタンからなるリストから選択される。
【0013】
本発明の発明者らは、少なくとも95であるオクタン価(RON)を有するイソオクタンおよび/または一または複数のイソパラフィンをイソペンタンおよび/または一または複数のC
4〜C
5パラフィンと混合することによって、典型的には約35〜50である低いオクタン価(RON)および15〜25kPaである低い蒸気圧を有する再生可能なナフサ蒸留物が化石起源アルキレートベースのガソリンと混合され得て、かつ、蒸気圧ばかりでなく例えばリサーチオクタン価(RON)およびモーターオクタン価(MON)などの重要なパラメータをそれでも維持できるということを見出した。驚くべきことに、高いオクタン価(RON=100)および低い蒸気圧(20℃で5.5kPa)を有するイソオクタンを、より低いオクタン価(RON=92)およびより高い蒸気圧(20℃で77kPa)を有するイソペンタンに添加する効果は、RON、MONおよび蒸気圧における効果を相殺せず、むしろ、イソオクタンおよびイソペンタンの組み合わせを添加しない場合と比べて再生可能なナフサのより高い混合比率および/またはより高いRON、MONおよび蒸気圧を可能にした、ということが発見された(イソオクタンおよびイソペンタンを使用しない実施例1、実験3をイソオクタンおよびイソペンタンが添加された実験7と比較のこと。関連するパラメータ:RON、MONおよび蒸気圧は、添加なしの場合と比較してより高く、これは、再生可能なナフサのより高い混合比率が使用され得ることを意味している)。
【0014】
再生可能なナフサ蒸留物は、1より大きい、例えば1.2より大きいなどのイソパラフィン/n−パラフィン比率を含み得る。
【0015】
本発明の別の態様において、プロセスにしたがって得られ得るガソリン組成物が提供される。
【0016】
本発明の別の態様において、小型汎用エンジンのためのガソリン組成物が提供される。それは、(a)総計のガソリン組成物の40〜90vol%の範囲の量である、90vol%以上のC
5〜C
12パラフィンを含む化石起源アルキレートベースのガソリン、(b)総計のガソリン組成物の1〜10vol%の範囲の量である、90vol%以上のC
5〜C
12パラフィン、30vol%以上のC
5〜C
6パラフィンを含む再生可能なナフサ蒸留物、および(c)総計のガソリン組成物の10〜30vol%の範囲の量である、少なくとも95であるRONを有する一または複数のC
6〜C
12イソパラフィンを含み、ここで、ガソリン組成物は、90vol%以上のC
5〜C
12パラフィン、1vol%以下のナフテン、1vol%以下の芳香族化合物、1vol%以下の含酸素添加剤を含み、少なくとも92、例えば少なくとも93であるRONを有する。
【0017】
一または複数のC
6〜C
12イソパラフィンは、2,3−ジメチルブタン、イソオクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタンからなるリストなどから選択され得、および、一または複数のC
6〜C
12イソパラフィンはイソオクタンであってもよい。
【0018】
ガソリン組成物は、さらに、(d)10〜35vol%の量である一または複数のC
4〜C
5パラフィン、を含んでいてもよく、ここで、C
4〜C
5パラフィンは、イソペンタン、イソブタン、n−ブタン、ネオペンタンからなるリストから選択される。一または複数のC
4〜C
5イソパラフィンは、イソペンタンであってもよい。
【0019】
本発明の別の態様において、本発明のプロセスにしたがって得られ得るガソリン組成物の使用、または、本発明のプロセスにしたがって得られ得るガソリン組成物の火花点火機関における使用が提供される。
【0020】
火花点火機関は、2−ストローク機関または4−ストローク機関であってもよい。火花点火機関は、携帯型ガソリン動力ツールの一部であってもよい。火花点火機関は、園芸用具、林業用具、チェーンソー、刈払機、船外機、芝刈り機、ローントラクター、草刈り機、噴射式除雪機、スノーモービル、背負い式ブロワーまたはサッカー、水上スキー、ジェットスキー、モトクロス、コンクリートミキサー、発電機などのための機関からなるリストから選択され得る。
【0021】
本発明の別の態様において、化石起源のものであってもよい小型エンジン用ガソリンである主要部分と、小割合の再生可能なナフサ蒸留物とを含む小型エンジン用ガソリン中の再生可能な成分としての再生可能なナフサ蒸留物の使用が提供され、ここで、再生可能なナフサ蒸留物は、90vol%以上のC
5〜C
12パラフィン、30vol%以上のC
5〜C
6パラフィン、5vol%以下のナフテン、1vol%以下の芳香族化合物、1vol%以下の含酸素添加剤を含んでいる。
【0022】
再生可能なナフサ蒸留物は、30〜200℃、例えば90〜200℃、または40〜180℃などである沸点範囲を有し得る。
【0023】
再生可能なナフサ蒸留物の部分は、総計のガソリン組成物の1vol%以上、3vol%以上、好ましくは5vol%以上の量であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態を記載するにあたって、特定の用語が明確性のために使用されるであろう。しかしながら、本発明は、そのように選択された特定の用語に限定されるものではなく、それぞれの特定の用語は、類似の目的を達成するために類似の様式で行われる全ての技術的等価物を含んでいるということが理解されるべきである。
【0025】
本発明の目的の一つは、エンジン操作性、排出物および保管に関する困難な要素である、「グリーン」含量がより多くかつエタノールおよびMTBEなどの含酸素添加剤を含まない小型エンジン用ガソリンとして使用されるための仕様を満たす小型エンジン用ガソリンを提供することである。
【0026】
したがって、本発明は、ガソリン組成物、特にはアルキレートガソリン組成物を製造するためのプロセスであって、(a)アルキレートベースのガソリン、(b)再生可能なナフサ蒸留物、および(c)少なくとも95であるRONを有する一または複数のC
6〜C
12イソパラフィン、を混合することを含む。
【0027】
少なくとも95であるオクタン価(RON)を有するイソオクタンおよび/または一または複数のイソパラフィンが混合されているという条件で、約35〜50という低いオクタン価(RON)を典型的には有する再生可能なナフサ蒸留物が化石起源アルキレートベースのガソリンと混合され得て、かつ、オクタン価(RON)を依然として維持できるということが見出された。
【0028】
アルキレートベースのガソリンは、ナフテン、芳香族化合物、および含酸素添加剤をほとんど含まないパラフィン系である。それは、いくつかの石油精製プロセス流から混合されている、典型的には粗油の直接的な蒸留、接触および熱分解、水素化分解、接触改質、アルキル化、ならびにポリマー化などの粗油の精製から得られ得る。その結果、アルキレートベースのガソリンは、例えば40個または50個よりも多い異なる化合物などの多くの種々の化合物を含む。例えば、それは40〜100個のあいだ、例えば40〜80個のあいだの異なる化合物を含み得る。それは、約30℃または約35℃である初留点(IBP)、および約200℃または約205℃である終点(FBP)を有し得る。例えば、ガソリン組成物は、約30℃以内、または約35℃以内の初留点(IBP)を有し、および約200℃以内、または約205℃以内、例えば30〜205℃以内である終点(FBP)を有し得る。この蒸留範囲に存在する炭化水素は、通常、4または5つの炭素原子を含むものから、10または11または12の炭素原子を含むものまでの範囲にわたる。
【0029】
アルキレートベースのガソリンは、直鎖状のn−パラフィンであっても、また枝分かれ構造のイソパラフィンであってもよい、パラフィン(アルカン)から主に構成される。アルキレートベースのガソリンは、90vol%以上のC
5〜C
12パラフィン、例えば95vol%以上のC
5〜C
12パラフィン、または98vol%以上のC
5〜C
12パラフィンであり得る。
【0030】
アルキレートベースの燃料は、化石起源アルキレートベースのガソリンであってもよく、また、アルキレートベースの燃料の主要部分が、化石起源のものであってもよい。
【0031】
主成分として含まれるパラフィンに加えて、アルキレートベースのガソリンはまた、非常に少ない含有量の、少なくとも一つの非芳香族環構造をもつアルカンであり、環構造が典型的には5または6個の炭素原子を有するナフテン(環状アルカン)を含んでいる。アルキレートベースのガソリンは、5vol%以下のナフテン、例えば1vol%以下のナフテン、または0.5vol%以下のナフテンを含み得る。
【0032】
主成分として含まれるパラフィンに加えて、アルキレートベースのガソリンはまた、非常に少ない含有量の芳香族化合物を含む。芳香族化合物は、ベンゼン環または芳香族である他の環構造を有する。アルキレートベースのガソリンは、1vol%以下の芳香族化合物、例えば0.5vol%以下の芳香族化合物、または0.1vol%以下の芳香族化合物を有し得る。
【0033】
主成分として含まれるパラフィンに加えて、アルキレートベースのガソリンはまた、非常に少ない含有量の含酸素添加剤を含む。含酸素添加剤は、化学構造の一部に酸素を含む有機分子であり、燃料の燃焼中に作り出される炭素酸化物および煤を減少させるためにガソリン添加物として通常使用される。アルキレートベースのガソリンは、1vol%以下の含酸素添加剤、例えば0.5vol%以下の含酸素添加剤、または0.1vol%以下の含酸素添加剤を含み得る。通常、アルキレートベースのガソリンは含酸素添加剤を全く含まない。
【0034】
大部分の小型エンジンは、87〜92のオクタン価((RON+MON)/2)燃料で作動するようにデザインされているが、プレミアムオクタンアルキレートベースのガソリンはより高いオクタン価を有し得る。
【0035】
アルキレートベースのガソリンは、少なくとも87、例えば少なくとも90であるリサーチオクタン価(RON)を有し得る。プレミアムオクタンアルキレートベースのガソリンは、92以上、例えば92より高い方が好まれる場合、例えば93以上、例えば93より高い、などのより高いオクタン価(RON)を有し得る。エンジンが想定されているよりも熱い状態で作動している場合、これは小型エンジンにおいては避けられるべきであるが、上昇したエンジン温度はプレイグニッションを防止するためにより高いオクタン価のガソリンを必要とするため、より高いオクタン価は有益である。より高いオクタン価はまた、アルキレートベースのガソリンを、例えば船外モーター、スノーモービル、水上スキー、ジェットスキー、モトクロスなどのより要求の高いタスクのために使用する場合にも望ましい。
【0036】
アルキレートガソリンは、いくつかの国において、法律によって最大98のオクタン価(RON)、例えば最大95のオクタン価(RON)に制限されている。
【0037】
測定されるオクタン価は、絶対的な数値ではなく、むしろ、定義によって0であるオクタン価(RONおよびMON)を有するn−ヘプタンと、定義によって100であるオクタン価(RONおよびMON)を有する2,2,4−トリメチルペンタンとの混合物に対する相対値である。RON値は、低速度でのフルスケール火花点火機関のアンチノック性と相関する。リサーチオクタン価(RON)およびモーターオクタン価(MON)は共に、試験機関において測定されるが、MONは、オクタン価が測定されるガソリンのアンチノック抵抗性により重きをおいてデザインされた条件下で測定される。したがって、MONがRONよりも低いということがしばしば見受けられるが、RONとMONとのあいだには直接的な結びつきは全くない。通常、最低のRONおよび最低のMONを両方とも特定する必要がある。
【0038】
いくつかの場合において、アルキレートベースの燃料は、少なくとも80または85であるモーターオクタン価(MON)を有し得る。プレミアムオクタンアルキレートガソリンは、90以上である、たとえば90より高い、などのより高いモーターオクタン価(MON)を有し得る。
【0039】
ガソリンの蒸気圧はまた、特に、小型エンジン中にしばしば存在している気化器を備える特定のエンジンに関連して重要な事項である。蒸気圧はしばしば季節ごとに処置される(冬季のガソリンではより高い蒸気圧、および夏季のガソリンではより低い蒸気圧)が、それでもガソリンとして最低の蒸気圧というものが存在する。ガソリンの高い蒸気圧は、ガソリンがエンジンの燃焼室内でガス状形状であることを確実にすることを助けている。
【0040】
アルキレートベースのガソリンは、50kPa以上、例えば少なくとも55kPa以上、および最高で95kPa、である蒸気圧を有し得る。本発明のガソリンは、50kPa以上、例えば少なくとも55kPa以上、および最高で95kPa、である蒸気圧を有し得る。
【0041】
アルキレートベースの燃料は、本発明にしたがって製造される総計のガソリン組成物の主要量として存在し得る。特には、それは、総計のガソリン組成物の40vol%以上、例えば45vol%以上、または50vol%以上である量で存在し得る。アルキレートベースのガソリンはまた同様に、90vol%以下、例えば80vol%以下、または70vol%以下、または60vol%以下、である最大量で存在し得る。例えば、アルキレートベースのガソリンは、総計のガソリン組成物の40〜90vol%の量で、例えば総計のガソリン組成物の45〜70vol%の量で、存在していてもよい。
【0042】
実施例1、実験1に示されているように、アルキル化ユニットから得られ、そしてその後さらに蒸留されるアルキレートガソリンがあり、および、ここで追加の成分が実施例1、実験1でアルキレートベースのガソリンのために示されている仕様を獲得するためにアルキレートガソリンへと導入され得る。アルキレートベースのガソリンは、90vol%以上のC
5〜C
12パラフィン(示さず)、1vol%以下である芳香族化合物含有量、1vol%以下であるオレフィン含有量、5vol%以下であるナフテン含有量(示さず)、1vol%以下である含酸素添加剤含有量(示さず)を含み、および、50kPaより高い蒸気圧、少なくとも92であるRONおよび少なくとも90であるMONを有している。
【0043】
上述のように、本発明のガソリン組成物を製造するためのプロセスは、(a)アルキレートベースのガソリン、(b)再生可能なナフサ蒸留物、および(c)少なくとも95であるRONを有する一または複数のC
6〜C
12イソパラフィン、を混合することを含む。
【0044】
再生可能なナフサ蒸留物は、再生可能なディーゼルの精製の一部として製造され得る。再生可能なディーゼルは、脂肪酸を含む、例えば動物性脂肪、藻類、および植物材料などの材料の処理から得られ得る。植物材料は、例えば植物油および他の植物から得られるオイル、例えば樹木からのオイル、例えばトール油などの植物ベースの材料の両方を含み得る。再生可能なディーゼルおよび再生可能なナフサ蒸留物は、脂肪酸、および例えばトリグリセリドなどの脂肪酸の誘導体の水素化処理から得られてもよい。脂肪酸およびその誘導体の水素化処理は、水素化脱酸素(HDO)などの脱酸素化反応を含み、および、他の水素化処理反応、例えば異性化(例えば水素化異性化など)および分解(例えば水素化分解など)を含んでいてもよい。再生可能なディーゼルを精製する際に、再生可能なナフサ蒸留物が得られる。それは、約30℃または約35℃である初留点(IBP)、および約200℃または約205℃である終点(FBP)を有し得る。例えば、ガソリン組成物は、約30℃以内、または約35℃以内の初留点(IBP)を有し、および約200℃以内、または約205℃以内、例えば30〜205℃以内である終点(FBP)を有し得る。この蒸留範囲に存在する炭化水素は、通常、4または5つの炭素原子を含むものから、10または11または12の炭素原子を含むものまでの範囲にわたる。
【0045】
例えば再生可能なナフサ蒸留物などの再生可能な燃料は、例えば石油ガソリンなどの、粗油の精製から得られる化石燃料とは反対に、人間の時間の尺度において自然に補充される資源から集められる。再生可能なナフサ蒸留物は、脂肪酸、ならびに、例えば動物性脂肪および植物材料などの脂肪酸を含有する材料中に存在する脂肪酸誘導体の、水素化脱酸素および水素化異性化を含む水素化処理から得られ得、そして、30℃であるIBP、例えば30℃以上であるIBPおよび200℃であるFBP、例えば200℃以下であるFBPを有する。再生可能な成分の含有量はまた、ASTM D6866に記載されているように、
14C、
13C、および/または
12Cを含む同位体分布によって決定され得る。
【0046】
再生可能なナフサであるパラフィンが、例えば動物性脂肪および植物材料などの脂肪酸含有材料の処理から得られるため、再生可能なナフサ蒸留物は、ほとんどナフテンを含まず、かつ実質的に芳香族化合物および含酸素添加剤を全く含まないパラフィン系である。
【0047】
再生可能なナフサ蒸留物は主に、パラフィン(アルカン)から構成されており、これは、直鎖状のn−パラフィンまたは枝分かれ構造のイソパラフィンであり得る。再生可能なナフサ蒸留物は、90vol%以上のC
5〜C
12パラフィン、例えば95vol%以上のC
5〜C
12パラフィン、または98vol%以上のC
5〜C
12パラフィンを有し得る。
【0048】
再生可能なナフサ蒸留物が、上記nように再生可能なディーゼルの精製の一部として製造された場合、30vol%以上、例えば40vol%以上のC
5〜C
6パラフィンを含み得る。
【0049】
主成分として含まれているパラフィンに加えて、再生可能なナフサ蒸留物はまた、低い含有量の、少なくとも一つの非芳香族環構造をもつアルカンであり、環構造が典型的には5または6個の炭素原子を有するナフテン(環状アルカン)を含んでいる。再生可能なナフサ蒸留物は、5vol%以下のナフテン、例えば1vol%以下のナフテン、または0.5vol%以下のナフテンを含み得る。
【0050】
主成分として含まれるパラフィンに加えて、再生可能なナフサ蒸留物はまた、非常に少ない含有量の芳香族化合物を含む。芳香族化合物は、ベンゼン環または芳香族である他の環構造を有する。再生可能なナフサ蒸留物は、1vol%以下の芳香族化合物、例えば0.5vol%以下の芳香族化合物、または0.1vol%以下の芳香族化合物を有し得る。
【0051】
主成分として含まれるパラフィンに加えて、再生可能なナフサ蒸留物はまた、非常に少ない含有量の含酸素添加剤を含む。含酸素添加剤は、化学構造の一部に酸素を含む有機分子であり、燃料の燃焼中に作り出される炭素酸化物および煤を減少させるためにガソリン添加物として通常使用される。一般的な含酸素添加剤は、アルコール、エーテル、およびエステルを含む。再生可能なナフサ蒸留物は、1vol%以下の含酸素添加剤、例えば0.5vol%以下の含酸素添加剤、または0.1vol%以下の含酸素添加剤を含み得るが、含酸素添加剤を本質的に全く含まないことが好ましい。
【0052】
実施例1、実験5には、再生可能なナフサ蒸留物の例が示されている。再生可能なナフサ蒸留物は、再生可能なディーゼルの精製の一部として製造され得る。このような製品は、Neste renewable naphthaとの商品名(NexNaphthaとも知られている)の下で市販されており、Neste Oyj(フィンランド)によって製造されている。
【0053】
下記の表1は、実施例1で使用された再生可能なナフサ蒸留物中の種々の炭化水素の正規化された体積パーセントの例を示している。
【0055】
再生可能なナフサ蒸留物は、35〜70、例えば30〜60、または35〜50のRONおよび/またはMONを有し得る。再生可能なナフサ蒸留物のいくつかは、通常87より高いオクタン価((RON+MON)/2)を必要としているところ、小型汎用エンジンで有益であるには低すぎるオクタン価である約35〜45であるRONおよび/またはMONを有している。
【0056】
上記のとおり、ガソリンの蒸気圧は、小型汎用エンジンにおいて重要な事項である。再生可能なナフサ蒸留物は、30kPaより低い、例えば25kPaより低い、または例えば20kPaより低い蒸気圧を有し得る。再生可能なナフサの蒸気圧は同様にまた、10Paより高く、例えば15kPaより高い。このような蒸気圧は、例えば50pKa以上、例えば55pKa以上などのより高い蒸気圧をもつガソリンを必要としている小型汎用エンジンで有益であるには低すぎる。
【0057】
再生可能なナフサ蒸留物は、総計のガソリン組成物の少なくとも1vol%以上、例えば少なくとも3vol%以上、または少なくとも5vol%で混合物に添加され得る。本発明のガソリン組成物の「グリーン」な/再生可能な部分を増加させるためにできるだけ多くの再生可能なナフサ蒸留物を添加することが可能であることが好ましい。いくつかの場合において、総計のガソリン組成物の最大20vol%、例えば最大15vol%、例えば10vol%などが添加される。例えば、一または複数のイソパラフィンは、総計のガソリン組成物の10〜30vol%の範囲の量で混合され得る。
【0058】
上記で記載したように、本発明のガソリン組成物を製造するための方法は、(a)アルキレートベースのガソリン、(b)再生可能なナフサ蒸留物、および(c)少なくとも95であるRONを有する一または複数のC
6〜C
12イソパラフィン、を混合することを含む。
【0059】
少なくとも95であるRONを有する一または複数のC
6〜C
12イソパラフィンは、総計のガソリン組成物の10〜30vol%の範囲の量で混合される。少なくとも95であるオクタン価(RON)を有するイソオクタンおよび/または一または複数のイソパラフィンが混合されているならば、典型的には約35〜50という低いオクタン価(RON)を有する再生可能なナフサ蒸留物が、化石起源アルキレートベースのガソリンと混合され得て、かつ、オクタン価(RON)をそれでも維持できるということが発見された。
【0060】
少なくとも95であるオクタン価(RON)を有する一または複数のイソパラフィンは、C
6〜C
12イソパラフィンから、例えば、2,3−ジメチルブタン、イソオクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタンからなるリストなどから選択され得る。これらのイソパラフィンは、少なくとも95であるRONを有する。少なくとも95であるオクタン価(RON)を有する一または複数のイソパラフィンは、2,2,4−トリメチルペンタンであり得る。少なくとも95であるオクタン価(RON)を有する一または複数のイソパラフィンはまた、以下のオクタンの3つの異性体:2,2,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタンのうちの一または複数を表しているイソオクタンであってもよく、例えば2,2,4−トリメチルペンタンであってもよい。それは、例えば再生可能な供給源から得られるイソブタンおよびイソブテンなどのイソブタンまたはイソブテンの例えば二量化などの多くの経路によって、合成的に製造され得る。
【0061】
本発明の発明者らは、少なくとも95であるオクタン価(RON)を有するイソオクタンおよび/または一または複数のイソパラフィンをイソペンタンおよび/または一または複数のC
4〜C
5パラフィンと混合することによって、典型的には約35〜50である低いオクタン価(RON)および15〜25kPaである低い蒸気圧を有する再生可能なナフサ蒸留物が化石起源アルキレートベースのガソリンと混合され得て、かつ、蒸気圧ばかりでなく例えばリサーチオクタン価(RON)およびモーターオクタン価(MON)などの重要なパラメータをそれでも維持できるということを見出した。驚くべきことに、高いオクタン価(RON=100)および低い蒸気圧(20℃で5.5kPa)を有するイソオクタンを、より低いオクタン価(RON=92)およびより高い蒸気圧(20℃で77kPa)を有するイソペンタンに添加する効果は、RON、MONおよび蒸気圧における効果を相殺せず、むしろ、イソオクタンおよびイソペンタンの組み合わせを添加しない場合と比べて再生可能なナフサのより高い混合比率および/またはより高いRON、MONおよび蒸気圧を可能にした、ということが発見された(イソオクタンおよびイソペンタンを使用しない実施例1、実験3をイソオクタンおよびイソペンタンが添加された実験7と比較のこと。関連するパラメータ:RON、MONおよび蒸気圧は、添加なしの場合と比較してより高く、これは、再生可能なナフサのより高い混合比率が使用され得ることを意味している)。
【0062】
したがって、本発明のプロセスはまた、(d)10vol%以上、例えば10〜35vol%以上のあいだなどの量である一または複数のC
4〜C
5パラフィン、を添加することをさらに含んでいてもよく、ここで、C
4〜C
5パラフィンは、イソペンタン、イソブタン、n−ブタン、ネオペンタンからなるリストから選択される。例えば、一または複数のC
4〜C
5パラフィンは、イソペンタンであり得る。イソオクタンは、化石起源または再生可能な起源のものであってもよい。
【0063】
イソオクタンおよび/またはイソペンタンの両方が再生可能な起源のものである場合、ガソリン組成物中の「グリーン」な/再生可能な含有物の割合は増加される。
【0064】
上記で記載されたように、再生可能なナフサ蒸留物は、再生可能なディーゼルの精製の一部として製造され得、したがって、水素化脱酸素および水素化異性化を含む水素化処理に付されている。再生可能なナフサ蒸留物が例えば水素化異性化などの異性化反応に付されていた場合、再生可能なナフサ蒸留物は、1より大きい、例えば1.2より大きいなどのイソパラフィン/n−パラフィン比率を含み得る。
【0065】
再生可能なナフサ蒸留物の含有物は、優位には、初めの異性化比率を超えて、2より大きい、例えば5より大きい、8より大きい、10より大きい、15より大きい、20より大きい、30より大きいなどのイソパラフィン/n−パラフィン比率を与えるように異性化され得る。異性化は、ナフサ蒸留物のn−ペンタンおよびn−ヘキサンである含有物の両方を異性化し、そしてそれにより、イソペンタンを生成し、n−ヘキサンをイソヘキサンとして除去する。再生可能なナフサ蒸留物のさらなる異性化は生成物の損失をもたらすことはない(より狭い蒸留をまたは分解を伴う場合や、または、n−パラフィンがモレキュラーシーブを用いて除去された場合はそうであろうが)。さらに、ナフサ蒸留物の異性化は再生可能なナフサ蒸留物からイソオクタンおよびイソペンタンのより高い含有量をもたらすため、それはイソオクタンおよび/またはイソペンタンの添加と共同作用で働き、再生可能なナフサ蒸留物のより大きな混合比率でさえも可能にする。
【0066】
上記で記載されたように、本発明のガソリン組成物を製造するためのプロセスは、(a)アルキレートベースのガソリン、(b)再生可能なナフサ蒸留物、および(c)少なくとも95であるRONを有する一または複数のC
6〜C
12イソパラフィン、および任意には(d)一または複数のC
4〜C
5パラフィン、を混合することを含む。
【0067】
したがって、本発明の別の態様において、本プロセスにしたがって得られ得るガソリン組成物が提供され、同様に、小型汎用エンジンに含まれるためのガソリン組成物が提供される。
【0068】
ガソリン組成物は、(a)総計のガソリン組成物の40〜90vol%の範囲の量である、90vol%以上のC
5〜C
12パラフィンを含む化石起源アルキレートベースのガソリン、(b)総計のガソリン組成物の1〜10vol%の範囲の量である、90vol%以上のC
5〜C
12パラフィン、30vol%以上のC
5〜C
6パラフィンを含む再生可能なナフサ蒸留物、および(c)総計のガソリン組成物の10〜30vol%の範囲の量である、少なくとも95であるRONを有する一または複数のC
6〜C
12イソパラフィンを含み、ここで、ガソリン組成物は、90vol%以上のC
5〜C
12パラフィン、1vol%以下のナフテン、1vol%以下の芳香族化合物、1vol%以下の含酸素添加剤を含み、少なくとも92、例えば少なくとも93であるRONを有する。
【0069】
一または複数のC
6〜C
12イソパラフィンは、2,3−ジメチルブタン、イソオクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタンからなるリストなどから選択され得、および、一または複数のC
6〜C
12イソパラフィンはイソオクタンであってもよい。
【0070】
ガソリン組成物は、さらに、(d)10〜35vol%の量である一または複数のC
4〜C
5パラフィン、を含んでいてもよく、ここで、C
4〜C
5パラフィンは、イソペンタン、イソブタン、n−ブタン、ネオペンタンからなるリストから選択される。一または複数のC
4〜C
5イソパラフィンは、イソペンタンであってもよい。
【0071】
本発明の別の態様において、本発明のプロセスにしたがって得られ得るガソリン組成物の使用、または、本発明のプロセスにしたがって得られ得るガソリン組成物の火花点火機関における使用が提供される。
【0072】
火花点火機関は、2−ストローク機関または4−ストローク機関であってもよい。火花点火機関は、携帯型ガソリン動力ツールの一部であってもよい。火花点火機関は、園芸用具、林業用具、チェーンソー、刈払機、船外機、芝刈り機、ローントラクター、草刈り機、噴射式除雪機、スノーモービル、背負い式ブロワーまたはサッカー、水上スキー、ジェットスキー、モトクロス、コンクリートミキサー、または発電機のための機関からなるリストから選択され得る。例えば、火花点火機関は、500cm
3以下、例えば100cm
3以下などのシリンダー排気量を有し得る。チェーンソーおよび他の園芸用または林業用要部は、100cm
3以下であるリンダー排気量を有し得る。
【0073】
本明細書中で記載されるまたは本発明にしたがって得られ得るガソリン組成物は、小型汎用エンジンに、特には小型汎用エンジンを備えている上記のアイテムに適しており、これは、これらのアイテムが主に冬または夏のあいだ使用される、または例えば発電機のようにまれに使用される、多くの場合において季節的なアイテムであるためである。これは、部分的には、ガソリン組成物における含酸素添加剤の不存在または非常に低い含有量のためである。エタノールなどの含酸素添加剤はしばしば、オクタン価を改善するために、オクタン価(RON)95の無鉛レギュラーガソリンに添加され、そして、そのようなガソリンに添加されるバイオエタノールはまた、ガソリンの再生可能な分量を増加させ、およびしたがって、化石ガソリン製品の「グリーン」プロファイルを増加させる。しかしながら、エタノールは時間がたつにつれて水分を吸収し、これは腐食を引き起こし得、このようなアイテムの長期間の保存の後に問題を生じ得る。ガソリン組成物は、約30℃または約35℃である初留点(IBP)、および約200℃または約205℃、例えば30〜205℃である終点(FBP)を有し得る。例えば、ガソリン組成物は、約30℃以内、または約35℃以内の初留点(IBP)を有し、および約200℃以内、または約205℃以内、例えば30〜205℃以内である終点(FBP)を有し得る。
【0074】
本発明の別の態様において、化石起源のものであってもよい小型エンジン用ガソリンである主要部分と、小割合の再生可能なナフサ蒸留物とを含む小型エンジン用ガソリン中の再生可能な成分としての再生可能なナフサ蒸留物の使用が提供され、ここで、再生可能なナフサ蒸留物は、90vol%以上のC
5〜C
12パラフィン、30vol%以上のC
5〜C
6パラフィン、5vol%以下のナフテン、1vol%以下の芳香族化合物、1vol%以下の含酸素添加剤を含んでいる。
【0075】
再生可能なナフサ蒸留物は、30〜200℃、例えば90〜200℃、または40〜180℃などである沸点範囲を有し得る。沸点範囲は、初留点(initial boiling point)(IBP)および終点(final boiling point)(FBP)とで示されている。この場合において、その沸点範囲は、30〜200℃以内、例えば90〜200℃以内、または40〜180℃以内などであり得る。
【0076】
再生可能なナフサ蒸留物の部分は、総計のガソリン組成物の1vol%以上、3vol%以上、好ましくは5vol%以上の量であり得る。
【0077】
本発明の実施形態を記載するにおいて、全ての可能な実施形態の組み合わせおよび置換は明示的には述べられていない。しかしながら、特定の手段が相互に異なる従属項に列挙されている、または異なる実施形態に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが利益をもたらすために使用できないということを示すものではない。本発明は、記載されている実施形態の全ての可能な組み合わせおよび置換を想定している。
【0078】
本明細書中における用語「含む(comprising)」、「含む(comprise)」および「含む(comprises)」は、全ての場合において、用語「からなる(consisting of)」、「からなる(consist of)」、「からなる(consists of)」と、それぞれ任意には置き換え可能であることが発明者によって意図されている。
【0079】
実施例
アルキレートベースのガソリン(Neste Oyj、Naantaliより入手された化石由来の軽質アルキレート留分)の、一または複数の再生可能なナフサ蒸留物(前述の表1に示されている組成を有する)との多数の混合物が、以下の表2に示されるように調製された。
【0081】
密度はENISO12185にしたがって、蒸気圧はEN13016−1にしたがって、DIS−E70およびDIS−100はENISO3405にしたがって、RONcはENISO5164にしたがって、MONcはENISO5163にしたがって、および、芳香族化合物、n−ヘキサン、ベンゼン、シクロアルカンおよびパラフィンはENISO22854にしたがって、測定された。
【0082】
イソペンタン、イソオクタン、およびアルキレートベースのガソリンの混合物の添加は、純粋なアルキレート燃料としての燃料を維持しながら、ならびに同時に蒸気圧、RONおよびMONに関する仕様を満たしながら、5%以上の再生可能なナフサ蒸留物の混合を可能にし得る。