特許第6774573号(P6774573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774573
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】LIDARシステムの監視装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20201019BHJP
   G01S 7/486 20200101ALI20201019BHJP
【FI】
   G01S7/497
   G01S7/486
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-538679(P2019-538679)
(86)(22)【出願日】2018年1月8日
(65)【公表番号】特表2020-505598(P2020-505598A)
(43)【公表日】2020年2月20日
(86)【国際出願番号】EP2018050340
(87)【国際公開番号】WO2018134069
(87)【国際公開日】20180726
【審査請求日】2019年9月4日
(31)【優先権主張番号】102017200803.2
(32)【優先日】2017年1月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ブレーデ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】アダムス,レネ
(72)【発明者】
【氏名】シュニッツァー,ライナー
【審査官】 田中 純
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0157279(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0131034(US,A1)
【文献】 特開昭57−166582(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/030328(WO,A1)
【文献】 国際公開第2018/134069(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0121095(US,A1)
【文献】 米国特許第5923427(US,A)
【文献】 米国特許第5592033(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2990826(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第1414154(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 − G01S 7/51
G01S 17/00 − G01S 17/95
G01B 11/00 − G01B 11/30
G01C 3/00 − G01C 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LIDARシステム(2)の監視装置(1)において、
レーザ光を検出し、レーザ光から基準信号(100)を生成するための検出器(5)、および
基準信号(100)の振幅と制御信号(200)の振幅との間の差を最小にする制御ループ(6)を含み、
前記制御ループ(6)が、前記基準信号(100)と前記制御信号(100)との間の差を決定するための比較器(7)と、該比較器(7)によって決定された差の関数として前記制御信号(200)を変更するための制御ユニット(8)を有し、
前記基準信号(100)の振幅と、前記制御信号(200)の半分の振幅との間の差を決定するための追加比較器(10)を備え、これにより、基準信号(100)のパルス幅を示すパルス幅信号(300)を決定する、
監視装置(1)。
【請求項2】
請求項に記載の監視装置(1)において、
前記制御ユニット(8)が、前記制御信号(200)を変化させることによって差を値ゼロに設定するように調整されている監視装置(1)。
【請求項3】
請求項またはに記載の監視装置(1)において、
前記制御ユニット(8)が、デジタル信号を出力するように構成されており、デジタル信号が、デジタル‐アナログ変換器(9)によって制御信号に変換可能である監視装置(1)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の監視装置(1)において、
前記パルス幅信号(300)のパルスがパルス幅推定ユニット(13)に印加される所定の時間単位の数をカウントし、所定の時間単位の数を示すBCDカウンタコード(500)を出力するパルス幅推定ユニット(13)を備え、
該パルス幅推定ユニット(13)が、直列に接続された複数のテストユニット(16)を有し、
それぞれテストユニット(16)が、所定の時間単位を待機した後にパルス幅推定ユニット(13)にパルスが印加されているかどうかについて2値信号を出力するように構成されており、
BCDカウンタコードが、テストユニット(16)の2値信号から構成されている監視装置(1)。
【請求項5】
請求項に記載の監視装置(1)において、
それぞれの前記計数ユニット(16)が、前記パルス幅信号(300)の立ち上がりエッジの存在を示す2値信号を所定の時間単位だけ遅延してDフリップフロップ(15)のデータ入力部に印加するために遅延素子を有し、パルス幅信号(300)の立ち下がりエッジの存在を示す2値信号が、Dフリップフロップ(15)のクロック入力部に遅延なしに印加されており、設けられている全てのDフリップフロップ(15)の出力部がBCDカウンタコード(500)を形成している監視装置(1)。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載の監視装置(1)において、
前記検出器(5)がレーザ光から特徴的な電流信号を生成するように構成されており、電流信号が、トランスインピーダンス変換器(12)によって前記基準信号(100)に変換可能である監視装置(1)。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載の監視装置(1)において、
前記検出器(5)が、ピンダイオードおよび/またはアバランシェフォトダイオードを含む監視装置(1)。
【請求項8】
LIDARシステム(2)において、
LIDARシステム(2)が、レーザ光源(3)、分離ユニット(4)、および請求項1〜のいずれか一項に記載の監視装置(1)を含み、レーザ光が分離ユニット(4)を通って少なくとも部分的に監視装置(1)に伝送可能であるLIDARシステム(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LIDARシステムの監視装置に関する。さらに、本発明は、監視装置を有するLIDARシステムに関する。LIDARシステムは、特に、極めて短いパルス持続時間を有するレーザパルスを放出するように構成されている。
【背景技術】
【0002】
従来技術によりLIDARシステムを監視することが公知である。このためには、放出されたLIDARシステムの光出力が、放出された光出力がしきい値を超えたかどうかを決定するために検出される。放出された光出力がしきい値を超えた場合には光出力を低減する必要がある。なぜならば、さもなければ、例えば目の損傷によって人間に危険が及ぼされる可能性があるからである。
【0003】
したがって、従来のLIDARシステムでは、光出力を最適に決定できるように長波パルスが使用される。しかしながら、周辺の物体によって反射されたレーザビームを検出する検出器に関しては、できるだけ短いパルスが供給されることが有利な場合もある。短いパルスは、特に最大で10nsの持続時間を有するパルスであると理解される。
【0004】
光出力を決定するために必要であるように、短いパルスを有する信号をアナログからデジタルに変換しようとした場合に著しい困難および不正確さが生じる。このことは、信頼性のある機能監視をもはや保証できなくなることにつながる。したがって、特に車両で使用するために設けられているLIDARシステムで短いレーザパルスは使用されない。
【発明の概要】
【0005】
本発明による監視装置は、LIDARシステムを信頼性のある監視を可能にする。特に、短いパルスが存在する場合であっても光出力を決定することが可能である。同時に、監視装置は簡単で安価である。最後に、特に監視装置をいつでもテストすることが可能である。
【0006】
本発明によるLIDARシステムの監視装置は、検出器と制御ループとを備える。検出器は、レーザ光を検出し、レーザ光から基準信号を生成するように構成されている。基準信号は、特に電気信号であり、検出器によって検出されたレーザ光の光出力を表す。制御ループは、基準信号の振幅と制御信号の振幅との間の差を最小にするように構成されている。このために、制御信号を変化させることが好ましい。したがって、監視装置において個々のパルスの定量化は試みられず、むしろ制御は、好ましくは幾つかのパルスにわたって行われる。制御は、制御信号の振幅が最終的に基準信号の振幅に対応するように、基準信号の振幅と制御信号の振幅との間の差を最小化する。したがって、制御ループが調整されるとすぐに、レーザ光のパルスの振幅の測定値とみなすことができる変数が制御信号の形で常に利用可能である。これにより、極めて短いパルス、特に10ns未満の幅を有するパルスの振幅を決定することができる。
【0007】
従属請求項は、本発明の好ましい改良形態を示す。
【0008】
制御ループは、好ましくは、基準信号と制御信号との間の差を決定するための比較器を有する。特に、比較器は、基準信号の振幅と制御信号の振幅との減算を行うように構成されている。さらに、制御ループは、好ましくは、比較器によって決定された差の関数として制御信号を変更するための制御ユニットを備える。したがって、制御信号は、制御ループ内の制御量を表す。制御ユニットは、特に、上記差を最小化するために使用され、このために、制御ユニットは、制御信号を変更する既知の方法を使用する。このような方法は、特に、ニュートン法および/またはルンゲ−クッタ法である。これらの方法は、迅速な収束を達成できるという利点を有する。したがって、制御ループは、調整プロセスを終了するために短時間しかかからない。
【0009】
特に有利には、制御ユニットは、制御信号を変化させることによって差を値ゼロに設定するように調整されている。したがって、制御信号の振幅は基準信号の振幅でもある値に収束する。このようにして、制御信号の振幅に基づいて基準信号の振幅の大きさを検出することができる。したがって、制御信号は、基準信号の振幅の測定値としての役割を果たす。このために、制御信号の振幅が一定の値で表されるように、好ましくは、制御信号は一定である。
【0010】
制御ユニットは、好ましくは、デジタル信号を出力するように構成されている。デジタル信号は、デジタル−アナログ変換器によって制御信号に変換可能である。したがって、特に制御ループが調整されるとすぐに、デジタル信号によって基準信号の振幅のデジタル表現が既に提供されている。したがって、基準信号の振幅の複雑な、または不可能な測定および関連するアナログ−デジタル変換は必要ない。
【0011】
好ましくは、さらに追加比較器が設けられている。追加比較器は、基準信号と、振幅が2等分された制御信号との間の差を決定するために使用される。しかしながら、好ましくは制御信号が一定の信号であり、したがって、差は振幅方向に基準信号のシフトを引き起こすだけである。このようなシフトは、特に制御信号の半分の振幅だけ行われる。特に、パルス幅は、信号が半分の振幅まで立ち上がった後に、信号が半分の振幅まで立ち下がる前に経過する時間として決定される。したがって、追加比較器は、基準信号のパルス幅を示すパルス幅信号を決定する。特に、パルス幅信号は、上記定義にしたがったパルス幅の持続時間にわたってしか存在しない。
【0012】
特に有利には、パルス幅推定ユニットが設けられている。パルス幅推定ユニットは、パルス幅信号のパルスがパルス幅推定ユニットに印加される所定の時間単位の数をカウントする役割を果たす。したがって、パルス幅は、所定の時間単位の倍数として決定される。さらに、パルス幅推定ユニットは、所定の時間単位の数を示すBCDカウンタコードを出力するように構成されている。したがって、BCDカウンタコードに基づいて、所定の時間単位の長さに所定の時間単位の数を乗算することによってパルス幅が計算可能である。パルス幅推定ユニットは、特に有利には、直列に接続された複数のテストユニットを有する。この場合、それぞれテストユニットが、所定の時間単位を待機した後にパルス幅推定ユニットにパルスが印加されているかどうかについて2値信号を出力するように構成されている。BCDカウンタコードは、有利にはテストユニットの2値信号から構成されている。直列接続により、所定の時間単位が加算される。これは、直列接続における第1のテストユニットが、所定の時間単位の後にパルス幅推定ユニットにパルス幅信号が印加されたかどうかをチェックすることを意味する。パルス幅信号が印加された場合には2値の0が出力され、さもなければ2値の1が出力され、それぞれがBCDカウンタコードの第1の値を形成する。続いて、直列接続における次のテストユニットは、所定の時間単位を再び待機した後に、パルス幅信号がまだ印加されているかどうかをチェックする。これは、全てのテストユニットがチェックを行うまで続く。しかしながら、それぞれのテストユニットは、直列接続の先行する全てのテストユニットがチェックを完了した場合にはじめてアクティブになるので、BCDカウンタコード内の2値の1および/または2値の0の数はパルス幅の尺度であり、これらの値の数および/または分布が所定の時間単位の持続時間の乗数を表す。
【0013】
さらに、それぞれの計数ユニットは、特に有利には、遅延素子とDフリップフロップとを有する。遅延素子は、パルス幅信号の立ち上がりエッジの存在を示す2値信号をDフリップフロップのデータ入力部に遅延して印加する役割を果たす。遅延は、所定の時間単位の長さを含む。同時に、パルス幅信号の立ち下がりエッジの存在を示す2値信号が、遅延なしにDフリップフロップのクロック入力部に印加される。設けられている全てのDフリップフロップの出力は、BCDカウンタコードを形成する。パルス幅信号は、基準信号のパルスが持続する間しか存在しないので、好ましくは、立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの間の時間はパルス幅である。これは、Dフリップフロップによって決定される。立ち上がりエッジにわたる遅延された2値信号が、立ち下がりエッジにわたる遅延されていない2値信号と同時にDフリップフロップに印加された場合には、Dフリップフロップの出力は2値の1に切り換えられる。複数の計数ユニットによって、複数の遅延素子が直列に接続されており、それぞれの遅延素子は、パルス幅信号の立ち上がりエッジの存在を示す2値信号を計数ユニットのそれぞれのDフリップフロップに遅延して印加する。パルス幅信号の立ち下がりエッジの存在を示す2値信号は、係数ユニットのDフリップフロップに常に遅延なしに印加される。このようにして決定された個々のDフリップフロップの2値の結果は、BCDカウンタコードに出力される。
【0014】
検出器は、好ましくは、レーザ光から特徴的な電流信号を生成する役割を果たす。この場合、電流信号は、トランスインピーダンス変換器によって基準信号に変換可能である。したがって、基準信号は、可変の電圧によって形成されている。これにより、比較器および追加の比較器による基準信号のさらなる処理が簡略化される。
【0015】
検出器は、有利には、ピンダイオードおよび/またはアバランシェフォトダイオードを含む。このようにして、監視ユニットは、少ない労力によって容易に実現可能であり、同時に、LIDARシステムの信頼性のある監視を可能にする。
【0016】
最後に、本発明はLIDARシステムに関する。このLIDARシステムは、上述のように、レーザ光源、分離ユニット、および監視装置を含む。レーザ光源によって、短い光パルスが放出される。短い光パルスでは、特に、最大で10ns、特に最大で5nsの持続時間を有するパルスが供給されるべきである。さらに、レーザ光はレーザ光源から分離ユニットを通って少なくとも部分的に監視装置に伝送可能である。
【0017】
次に、添付の図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による監視装置を有するLIDARシステムの概略図である。
図2】本発明の一実施形態による監視装置のパルス幅推定ユニットの概略図である。
図3】本発明の一実施形態による監視装置の基準信号の概略図である。
図4】本発明の一実施形態による監視装置の制御信号の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による監視装置1を有するLIDARシステム2を概略的に示す。LIDARシステム2は、レーザ光を放出するように構成されたレーザ光源3を有する。特に、レーザ光源3によって、最大で10ns、特に5nsの短い光パルスが放出可能である。このような短い光パルスは、安価なアバランシェフォトダイオードを検出器(図示しない)として使用することを可能にするので有利である。
【0020】
監視装置1は、LIDARシステム2の機能を監視する役割を果たす。このために、レーザ光源3から放出されたレーザ光の一部は、分離ユニット4を介して監視装置1に伝送される。特に、分離ユニット4は、LIDARシステム2の光学系(図示しない)のレンズである。
【0021】
監視装置1は、レーザ光を受信し、受信したレーザ光から基準信号100を生成するように設計された検出器5を有する。特に、検出器5は、受信した光出力を反映する電流信号を生成する。有利な実施形態では、電流信号を電圧信号に変換するためにトランスインピーダンス変換器12が設けられている。したがって、基準信号100は、検出器5が受信した光出力に対して電圧が変化する電圧信号である。レーザ光源3は短い光パルスを放出するように構成されているので、基準信号100も最大で10ns、特に最大で5ns持続する短い電圧パルスを含む。
【0022】
パルスの持続時間は、パルス幅600とも呼ばれる(図3参照)。これは、パルスが少なくとも半分の振幅を有する期間である。したがって、この期間は、基準信号100が振幅の半分より上に立ち上がることによって始まり、基準信号が振幅の半分より下に立ち下がることによって終わる。
【0023】
パルスのエネルギーを決定するためには、振幅およびパルス幅600が既知である必要である。したがって、パルス幅600を決定するためには、まず振幅を決定しなければならない。これらのパラメータが分かればすぐにパルスのエネルギーを推定することができる。これにより、レーザ光の光出力を決定することが可能になる。したがって、全体として、光出力が所定の限界値未満であるかどうかを検出することができる。そうでない場合、LIDARシステムは、人間、特に人間の目に潜在的な危険をもたらスケジュール。したがって、光出力を補正する必要がある。
【0024】
基準信号100の振幅を決定するために制御ループ6が設けられている。制御ループ6は比較器7および制御ユニット8を含む。比較器7は、基準信号100と制御信号200との差を計算する役割を果たす。特に、比較器7は、基準信号100の振幅と制御信号200の振幅との差を計算する。この差は、特に値0まで最小化されることが望ましい。
【0025】
この差を最小にするために、制御ユニット8は制御信号200を変化させる。したがって、制御信号200は、制御ユニット8によって基準信号100に適合される。特に、基準信号100の振幅は、制御信号200によって表される。したがって、制御信号200の振幅は基準信号の振幅の尺度である。
【0026】
制御部8は、コンパレータ7によって計算された差に応じてデジタル信号を出力する。このデジタル信号は、デジタル‐アナログ変換器9によってアナログ信号、すなわち制御信号200に変換される。これにより、コンパレータ7は、基準信号から制御信号200を減算することができる。
【0027】
制御ループ6は、調整するために調整時間を必要とする。これは、制御信号200が最終値に収束することを意味する。この調整時間は、特に、基準信号の10パルス未満の持続時間、特に最大で5パルスの持続時間を含む。調整後には、制御信号200によって基準信号100の少なくとも1つの振幅を表す値が供給される。
【0028】
パルス持続時間またはパルス幅600を決定するために、制御信号200の振幅が二等分される。このために、二等分要素11が設けられている。このようにして振幅が二等分された制御信号200は、基準信号100と共に追加比較器10に供給される。この追加比較器10は、振幅を二等分された制御信号200と基準信号100との差を決定する。これにより、上記で定義されたパルス幅600と同じ長さしか存在しないパルス幅信号300を生成する。このことは、パルス幅信号300の立ち上がりエッジがパルスの開始を示し、これに対して立ち下がりエッジがパルスの終了を示すことを意味する。立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの間の期間を決定するために、パルス幅推定ユニット13が設けられている。
【0029】
図2はパルス幅推定ユニット13を示す。パルス幅推定ユニット13を用いて、所定の時間単位のどの倍数がパルス幅600に対応するかが決定可能である。このために、複数のテストユニット16が設けられている。それぞれのテストユニット16は、遅延素子14とDフリップフロップ15とを有する。全てのテストユニット16が直列に接続されていると想定されている。
【0030】
テストユニット16の遅延素子14によって、第1の2値信号310をテストユニット16のDフリップフロップ15のデータ入力部に遅延して印加することができる。遅延は、所定の時間単位によってあらかじめ設定されている。同時に、第2の2値信号320は、Dフリップフロップ15のクロック入力部に遅延なしに印加される。このようにして、Dフリップフロップ15は、第1の2値信号310と第2の2値信号320の両方が2値の1を示した場合に2値の1の出力値に切換可能である。
【0031】
第1の2値信号310は、パルス幅信号300の立ち上がりエッジが存在しているかどうかを表す。立ち上がりエッジが存在している場合には、第1の2値信号310は2値の1である。第2の2値信号320は、パルス幅信号300の立ち下がりエッジが存在しているかどうかを表す。したがって、Dフリップフロップ15の出力部は、立ち上がりエッジの発生と立ち下がりエッジの発生との間に少なくとも所定の時間単位があるかどうかを示す。
【0032】
図2に示すように、全てのテストユニット16は直列に接続されている。これは、特に、全ての遅延素子14が直列に接続されることを意味する。したがって、第1の2値信号310の遅延は累積され、第2の2値信号320は、常に遅延なしに全てのDフリップフロップ15に印加される。したがって、パルス幅600は、少ない労力によって容易に決定することができる。
【0033】
パルス幅600は、全てのDフリップフロップ15の出力部を有するBCDカウンタコード500によって表される。BCDカウンタコード500に基づいて、パルス幅600が幾つの所定の時間単位に対応するか記述されている。したがって、パルス幅600は、少ない労力により容易に決定することができる。
【0034】
したがって、結果として、パルス幅600および振幅は、少ない労力によって簡単に決定され、ここに記載された実施形態は、特に短いレーザ光パルスに適用可能である。このパルス幅600および振幅からレーザ光の光出力を計算することができるので、少ない労力によって容易に光出力を決定することができる。このことは、LIDARシステム2の機能の最適な監視につながる。特に、人間の組織、特に人間の眼を損傷する恐れのある過度に高い光出力が生じることを回避することができる。
【0035】
図3は、基準信号100のパルスの波形を概略的に示している。この線図において、縦軸は電圧、横軸は時間である。図3にはさらにパルス幅600が示されており、このために、立ち上がりエッジ310の位置および立ち下がりエッジ320の位置が示されている。
【0036】
図4は、制御信号200の波形を概略的に示す。制御信号200は、特に、制御ユニット8によって設定される一定の値である。したがって、制御信号が基準信号に到達するまで制御信号200が増加する調整段階が最初に存在する。この場合、制御信号200の一定の値は、基準信号100の振幅に対応する。さらに図4には、調整後に制御信号200に目立った変化が生じないことが概略的に示されている。
【0037】
図3および図4に破線で示した範囲は、制御ループ6の最大制御範囲を示している。この範囲は、制御信号200の制限された可変性によって制限されている。したがって、制御範囲は基準信号100の予想されるパルスに適合されている。
【0038】
検出器5に入射する光の代わりに、テスト信号700を監視装置1に供給することもできる。テスト信号700は、監視装置1をテストする役割を果たし、検出器5の仮想的な結果を表す。したがって、テスト信号700は、基準信号100と同じように扱われる。これにより、監視装置1の常時監視が可能となる。これにより、監視装置1の故障または監視装置1の誤動作が防止される。
図1
図2
図3
図4