(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。
図1に示すプローブユニット1は、検査対象物である半導体集積回路(後述する半導体集積回路100)の電気特性検査を行う際に使用する装置であって、半導体集積回路と半導体集積回路へ検査用信号を出力する回路基板(後述する回路基板200)との間を電気的に接続する装置である。
【0016】
プローブユニット1は、長手方向の両端で互いに異なる二つの被接触体である半導体集積回路100および回路基板200の電極にそれぞれ接触し、検査用の信号を導通する導電性の信号用のコンタクトプローブ2(以下、単に「信号用プローブ2」という)と、信号用プローブ2や、後述するグランド用コンタクトプローブ4を所定のパターンにしたがって収容して保持するプローブホルダ3と、外部のグランド電極に接続するグランド用コンタクトプローブ4(以下、「グランド用プローブ4)という)と、プローブホルダ3と半導体集積回路との間のずれなどを規制するフローティング5と、プローブホルダ3およびフローティング5の周囲に設けられ、プローブホルダ3を固定して保持するベース部材6と、を備える。
【0017】
信号用プローブ2は、導電性材料を用いて形成され、半導体集積回路100の検査を行うときにその半導体集積回路100の検査信号が入力される電極に接触する第1プランジャ21と、検査回路を備えた回路基板200の検査信号を出力する電極に接触する第2プランジャ22と、第1プランジャ21と第2プランジャ22との間に設けられて第1プランジャ21および第2プランジャ22を伸縮自在に連結するバネ部材23とを備える。信号用プローブ2を構成する第1プランジャ21および第2プランジャ22、ならびにバネ部材23は同一の軸線を有している。信号用プローブ2は、半導体集積回路100をコンタクトさせた際に、バネ部材23が軸線方向に伸縮することによって半導体集積回路100の接続用電極への衝撃を和らげるとともに、半導体集積回路100および回路基板200に荷重を加える。なお、以下では、信号用プローブ2において、半導体集積回路100の電極に接触する側を先端側、半導体集積回路100側に対して軸線方向で反対となる側を基端側とする。また、プランジャ単体で先端側および基端側を規定する場合、半導体集積回路100と接触するプランジャにおいて、半導体集積回路100側を先端側、半導体集積回路100側に対して軸線方向で反対となる側を基端側とよぶ。また、回路基板200と接触するプランジャにおいて、回路基板200側を先端側、回路基板200側に対して軸線方向で反対となる側を基端側とよぶ。
【0018】
第1プランジャ21は、バネ部材23の伸縮作用によって軸線方向に移動が可能であり、バネ部材23の弾性力によって半導体集積回路100方向に付勢され、半導体集積回路100の電極と接触する。また、第2プランジャ22は、バネ部材23の伸縮作用によって軸線方向に移動が可能であり、バネ部材23の弾性力によって回路基板200方向に付勢され、回路基板200の電極と接触する。
【0019】
バネ部材23は、第1プランジャ21側が密着巻き部23aである一方、第2プランジャ22側が粗巻き部23bである。密着巻き部23aの端部は、第1プランジャ21に連結している。一方、粗巻き部23bの端部は、第2プランジャ22に連結している。また、第1プランジャ21および第2プランジャ22とバネ部材23とは、バネの巻き付き力によって嵌合および/または半田付けによって接合されている。
【0020】
グランド用プローブ4は、信号用プローブ2と同様の構成を有している。具体的に、グランド用プローブ4は、導電性材料を用いて形成され、半導体集積回路100の検査を行うときにその半導体集積回路100のグランド用の電極に接触する第1プランジャ41と、回路基板200のグランド用の電極に接触する第2プランジャ42と、第1プランジャ41と第2プランジャ42との間に設けられて第1プランジャ41および第2プランジャ42を伸縮自在に連結するバネ部材43とを備える。グランド用プローブ4を構成する第1プランジャ41および第2プランジャ42、ならびにバネ部材43は同一の軸線を有している。
【0021】
バネ部材43は、第1プランジャ41側が密着巻き部43aである一方、第2プランジャ42側が粗巻き部43bである。密着巻き部43aの端部は、第1プランジャ41に連結している。一方、粗巻き部43bの端部は、第2プランジャ42に連結している。また、第1プランジャ41および第2プランジャ42とバネ部材43とは、バネの巻き付き力によって嵌合および/または半田付けによって接合されている。
【0022】
プローブホルダ3は、導電性材料を用いて形成され、
図1の上面側に位置する第1部材31と、下面側に位置する第2部材32とからなる。第1部材31および第2部材32は、樹脂などの接着材や、ねじ止めなどによって固着されている。
【0023】
第1部材31および第2部材32には、信号用プローブ2およびグランド用プローブ4を収容する空間を形成するホルダ孔が形成されている。具体的に、第1部材31には、信号用プローブ2の先端側を進退自在に収容するホルダ孔33と、グランド用プローブ4の先端側を挿通して保持するホルダ孔34とが形成されている。一方、第2部材32には、信号用プローブ2の基端側を進退自在に収容するホルダ孔35と、グランド用プローブ4の基端側を挿通して保持するホルダ孔36とが形成されている。
ホルダ孔33〜36の形成位置は、半導体集積回路100の検査信号用の配線パターンに応じて定められる。また、各ホルダ孔の形状は、収容する信号用プローブ2やグランド用プローブ4の構成に応じて定められる。
【0024】
ホルダ孔33および35は、互いの軸線が一致するように形成されている。ホルダ孔33および35は、ともに貫通方向に沿って一様な直径を有する孔形状をなしている。
また、ホルダ孔34および36は、互いの軸線が一致するように形成されている。ホルダ孔34および36は、ともに貫通方向に沿って直径が異なる段付き孔形状をなしている。すなわち、ホルダ孔34は、プローブホルダ3の端面に開口を有する小径部34aと、この小径部34aよりも直径が大きい大径部34bとからなる。
ホルダ孔36は、プローブホルダ3の端面に開口を有する小径部36aと、この小径部36aよりも直径が大きい大径部36bとからなる。
【0025】
また、ホルダ孔33の内周面には、絶縁性材料を用いて形成される絶縁部材37が設けられる。一方、ホルダ孔35の内周面には、絶縁性材料を用いて形成される絶縁部材38が設けられる。絶縁部材37および38は、ともに貫通方向に沿って直径が異なる段付き孔形状をなしている。
絶縁部材37は、プローブホルダ3の端面に開口を有する小径部37aと、この小径部37aよりも直径が大きい大径部37bとからなる。
絶縁部材38は、プローブホルダ3の端面に開口を有する小径部38aと、この小径部38aよりも直径が大きい大径部38bとからなる。
【0026】
本実施の形態1では、絶縁部材37および38が形成する孔部(小径部37a、38aおよび大径部37b、38b)が第1ホルダ孔に相当する。また、ホルダ孔34および36が第2ホルダ孔に相当する。
【0027】
第1プランジャ21は、絶縁部材37の小径部37aと大径部37bとの境界壁面にフランジが当接することにより、信号用プローブ2のプローブホルダ3からの抜止機能を有する。また、第2プランジャ22は、絶縁部材38の小径部38aと大径部38bとの境界壁面にフランジが当接することにより、信号用プローブ2のプローブホルダ3からの抜止機能を有する。
第1プランジャ41は、ホルダ孔34の小径部34aと大径部34bとの境界壁面にフランジが当接することにより、グランド用プローブ4のプローブホルダ3からの抜止機能を有する。また、第2プランジャ42は、ホルダ孔36の小径部36aと大径部36bとの境界壁面にフランジが当接することにより、グランド用プローブ4のプローブホルダ3からの抜止機能を有する。
【0028】
フローティング5は、略板状をなす。フローティング5には、半導体集積回路100の電極及び信号用プローブ2に応じて配置され、板面と直交する方向に貫通する貫通孔51と、半導体集積回路100の電極及びグランド用プローブ4に応じて配置され、板面と直交する方向に貫通する貫通孔52と、が形成されている。貫通孔51、52は、それぞれ貫通方向に沿って一様な直径を有する孔形状をなす。本実施の形態1において、貫通孔51は、第1貫通孔に相当する。また、貫通孔52は、第2貫通孔に相当する。
貫通孔51の直径は、貫通孔52の直径よりも大きい。なお、半導体集積回路100の電極の大きさが異なる場合、電極の大きさと貫通孔51間の隙間が電極の大きさと貫通孔52間の隙間より大きければよい。フローティング5を用いることによって、コンタクトプローブに対する電極(半導体集積回路100)の位置を容易に決めることができる。なお、ここでいう直径とは、貫通方向と直交する方向の長さをさす。
【0029】
また、フローティング5には、プローブホルダ3に対する位置決めを行う複数の接続ピン53と、プローブホルダ3およびフローティング5に対して互いに離間する方向に付勢するバネ部材54とが設けられている。プローブホルダ3に形成された孔部に接続ピン53を挿通し、フローティング5の貫通孔51、52に半導体集積回路100の電極を収容させることによって、コンタクトプローブに対する電極の位置を容易に決めることができる。
【0030】
本実施の形態において、信号用プローブ2の特性インピーダンスが、予め設定された値(例えば50Ω)となるように、フローティング5の配設位置やその材質等が決定される。
【0031】
なお、本明細書において、信号用プローブ2の中心軸と、信号用プローブ2を収容するホルダ孔33,35の中心軸と、フローティング5の貫通孔51の中心軸とは、一致している。この各中心軸が一致した構造を、同軸構造(コアキシャル構造)という。本実施の形態1では、各中心軸が、それぞれ軸Nと一致している。なお、ここでいう「一致」とは、製造誤差や傾斜によるずれを含んでおり、各中心軸が少なくとも一部で重なっている状態を含む。また、プローブホルダ3が樹脂によって形成される場合においては、信号用プローブ2の中心軸、およびフローティング5の貫通孔51の中心軸のみが一致することがある。
【0032】
ベース部材6は、例えばアルミニウムやステンレス(SUS304)などの金属を用いて形成される。なお、PES(Poly Ether Sulfone)、PEEK(Polyetheretherketone)を一例とするエンジニアリングプラスチックなどの樹脂、マシナブルセラミックなどの絶縁性の高強度材料によって成形されてもよいし、金属の表面が被覆されていてもよい。
【0033】
図2は、プローブユニット1における半導体集積回路100の検査時の状態を示す図である。検査時において、信号用プローブ2は、第1プランジャ21が、半導体集積回路100の検査信号用の電極101と接触し、第2プランジャ22が、回路基板200の検査信号用の電極201と接触する。他方、グランド用プローブ4は、第1プランジャ41が、半導体集積回路100のグランド用の電極102と接触し、第2プランジャ42が、回路基板200のグランド用の電極202と接触する。半導体集積回路100の検査時には、半導体集積回路100からの接触荷重により、バネ部材23、43は長手方向に沿って圧縮された状態となる。この際、密着巻き部23aは蛇行し、第2プランジャ22が傾いて、密着巻き部23aと第2プランジャ22とが接触する。なお、本実施の形態1において、電極101、102の直径は同じである。
【0034】
検査時に回路基板200から半導体集積回路100に供給される検査用信号は、回路基板200の電極201から信号用プローブ2の第2プランジャ22、密着巻き部23a、第1プランジャ21を経由して半導体集積回路100の電極101へ到達する。このように、信号用プローブ2では、第1プランジャ21と第2プランジャ22が密着巻き部23aを介して導通するため、電気信号の導通経路を最小にすることができる。したがって、検査時に粗巻き部23bに信号が流れるのを防止し、抵抗およびインダクタンスを低減することができる。なお、フローティング5とグランド用プローブ4とは、直接、またはプローブホルダ3や電極102を介して電気的に接続しており、フローティング5もグランドに接続している。また、接続ピン53やバネ部材54を介して、フローティング5とプローブホルダ3とを電気的に接続してもよい。
【0035】
一般に、交流信号を扱う電子回路においては、特性インピーダンスの異なる配線同士が接続する箇所において、異なる特性インピーダンス間の比に応じた量だけ信号が反射し、信号の伝搬が妨げられることが知られている。このことは使用する半導体集積回路100と信号用プローブ2との関係においても同様であって、半導体集積回路100の特性インピーダンスと、信号用プローブ2における特性インピーダンスとが大きく異なる値を有する場合には、電気信号の損失が発生するとともに、電気信号の波形が歪む。
【0036】
また、特性インピーダンスの相違に起因して接続箇所において生じる信号反射の割合は、信号用プローブ2の電気的な長さ(電気信号の周期に対する伝搬経路の長さ)が大きくなるにつれて大きくなることが知られている。すなわち、本実施の形態1にかかるプローブユニット1の場合は、半導体集積回路100の高速化、すなわち高周波数化に伴って大きくなる。従って、高周波数で駆動する半導体集積回路100に対応したプローブユニット1を作製する際には、信号用プローブ2の特性インピーダンスの値を半導体集積回路100のものと一致させる、インピーダンス整合を精度良く行うことが重要となる。
【0037】
本実施の形態1では、信号用プローブ2やプローブホルダ3の構造を変更するのではなく、第1プランジャ21の周囲に導電性材料からなるフローティング5を配置することによって、信号用プローブ2の先端部、特に、信号用プローブ2と電極101との接触部分の特性インピーダンスの値を調整する構成を採用している。かかる構成を採用することで、信号用プローブ2の構造については従来のものを流用しつつ、特性インピーダンスを調整することが可能となる。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態1では、信号用プローブ2の先端部の周囲に導電性のフローティング5を配置し、外部のグランドとはグランド用プローブ4を介して接続するようにした。この際、信号用プローブ2の中心軸と、信号用プローブ2を収容する孔部の中心軸と、フローティング5の貫通孔51の中心軸とが一致した同軸構造が形成されている。本実施の形態1によれば、導電性のフローティング5を用いて同軸構造としたので、コンタクトプローブの端部であって、検査対象と接触する側の端部の特性インピーダンスを調整することができる。
【0039】
(実施の形態1の変形例1)
図3は、本発明の実施の形態1の変形例1にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。変形例1にかかるプローブユニットは、上述したフローティング5に代えてフローティング5Aを備える。そのほかの構成についてはプローブユニット1と同じ構成であるため、説明を省略する。フローティング5Aは、貫通孔51の内周面に、絶縁部材55が設けられる。絶縁部材55は、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE)等の絶縁性材料を用いて形成され、筒状をなしている。絶縁部材55の外周の直径は、貫通孔51の直径と同じである。また、絶縁部材55の内周の直径は、電極101の最大径よりも大きく、かつ貫通孔52の直径以下である。なお、絶縁部材に代えて絶縁性の皮膜としてもよい。
【0040】
本変形例1では、フローティング5Aの貫通孔51に絶縁部材55を設けることによって、半導体集積回路100の電極101を絶縁部材55に挿入して、半導体集積回路100が位置決めされる。本変形例1によれば、上述した実施の形態1の効果を得るとともに、貫通孔52による電極102の位置決めに加え、絶縁部材55による電極101の位置決めを行うことが可能となる。
【0041】
なお、本変形例1において、絶縁部材55を設ける貫通孔51は、フローティング5Aに形成されるすべての貫通孔であってもよいし、一部の貫通孔のみであってもよい。
【0042】
(実施の形態1の変形例2)
図4は、本発明の実施の形態1の変形例2にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。変形例2にかかるプローブユニットは、上述したフローティング5に代えてフローティング5Bを備える。そのほかの構成についてはプローブユニット1と同じ構成であるため、説明を省略する。フローティング5Bは、上述した貫通孔51に代えて貫通孔51Aが形成されている。なお、その他の構成は、フローティング5と同じである。
【0043】
貫通孔51Aは、貫通方向に沿って径が異なる段付き孔形状をなしている。すなわち、貫通孔51Aは、信号用プローブ2が挿入される側の端面に開口を有する小径部51aと、半導体集積回路100の電極101が挿入される側の端面に開口を有し、小径部51aよりも径が大きい大径部51bとからなる。
【0044】
また、貫通孔51Aの内周面には、絶縁部材56が設けられる。絶縁部材56は、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene:PTFE)等の絶縁性材料を用いて形成され、筒状をなしている。絶縁部材56の外周の直径は、貫通孔51Aの直径と同じく、部分的に異なっている。また、絶縁部材56の内周の直径は、電極101の最大径よりも大きく、かつ貫通孔52の直径以下である。なお、絶縁部材に代えて絶縁性の皮膜としてもよい。また、絶縁部材56の内周の直径を、外周の直径に合わせて部分的に異ならせてもよい。
【0045】
本変形例2では、フローティング5Bの貫通孔51Aを段付き形状にして、絶縁部材56を設けることによって、第1プランジャ21の先端部の直径や、半導体集積回路100の電極101の形状に応じた特性インピーダンスの調整を行うことができる。本変形例2によれば、上述した実施の形態1の効果を得るとともに、第1プランジャ21と電極101との接触部分における特性インピーダンスを一段と高精度に調整することが可能となる。
【0046】
(実施の形態1の変形例3)
図5は、本発明の実施の形態1の変形例3にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図である。変形例3にかかるプローブユニットは、上述したフローティング5に代えてフローティング5Cを備える。そのほかの構成についてはプローブユニット1と同じ構成であるため、説明を省略する。フローティング5Cは、上述した貫通孔51に代えて貫通孔51Bが形成されている。なお、その他の構成は、フローティング5と同じである。
【0047】
貫通孔51Bは、貫通方向に沿って径が異なる段付き孔形状をなしている。すなわち、貫通孔51Bは、信号用プローブ2が挿入される側の端面に開口を有する小径部51cと、半導体集積回路100の電極101が挿入される側の端面に開口を有し、小径部51cよりも直径が大きい大径部51dとからなる。貫通孔51Bでは、大径部51dの直径が、最大直径となる。大径部51dの直径は、貫通孔52の直径以上にしてもよいし、貫通孔52の直径よりも小さくしてもよい。フローティング5Cに対して位置決めするための電極に応じて、大径部51dの直径を適宜変更することができる。なお、大径部を直線状に示したが、電極の形状に沿って径を変化させてもよい。
【0048】
本変形例3では、フローティング5Cの貫通孔51Bを段付き形状にすることによって、第1プランジャ21の先端部の直径や、半導体集積回路100の電極101の最大径に応じた特性インピーダンスの調整を行うことができる。本変形例3によれば、上述した実施の形態1の効果を得るとともに、第1プランジャ21と電極101との接触部分における特性インピーダンスを一段と高精度に調整することが可能となる。
【0049】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図であって、プローブユニット1Aにおける半導体集積回路100の検査時の状態を示す図である。本実施の形態2にかかるプローブユニット1Aは、上述したプローブユニット1のプローブホルダ3に代えてプローブホルダ3Aを備える。そのほかの構成についてはプローブユニット1と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0050】
プローブホルダ3Aは、絶縁性材料を用いて形成され、
図6の上面側に位置する第1部材31Aと、下面側に位置する第2部材32Aとからなる。第1部材31Aおよび第2部材32Aは、樹脂などの接着材や、ねじ止めなどによって固着されている。また、第1部材31Aには、グランド用プローブ4の先端側を挿通して保持する導電部材7が設けられている。本実施の形態2において、第1部材31Aおよび第2部材32Aは、本体部を構成する。
【0051】
第1部材31Aおよび第2部材32Aには、信号用プローブ2、グランド用プローブ4および導電部材7を収容する空間を形成するホルダ孔が形成されている。具体的に、第1部材31Aには、信号用プローブ2の先端側を挿通して保持するホルダ孔33Aと、導電部材7を収容する孔部3aと、グランド用プローブ4を挿通するホルダ孔34Aと、が形成されている。一方、第2部材32Aには、信号用プローブ2の基端側を進退自在に収容するホルダ孔35Aと、グランド用プローブ4の基端側を挿通して保持するホルダ孔36とが形成されている。
ホルダ孔33Aおよび35Aは、互いの軸線が一致するように形成されている。
ホルダ孔34Aおよび36は、互いの軸線が一致するように形成されている。
ホルダ孔34Aは、貫通方向に沿って一様な径を有する孔形状をなしている。
また、ホルダ孔33A、35Aおよび36は、ともに貫通方向に沿って径が異なる段付き孔形状をなしている。すなわち、ホルダ孔33Aは、プローブホルダ3の端面に開口を有する小径部33aと、この小径部33aよりも径が大きい大径部33bとからなる。
ホルダ孔35Aは、プローブホルダ3の端面に開口を有する小径部35aと、この小径部35aよりも径が大きい大径部35bとからなる。
【0052】
図7は、本発明の実施の形態2にかかるプローブユニットの要部(導電部材7)の構成を示す斜視図である。導電部材7は、導電性材料からなり、プローブホルダ3Aの上面の一部を構成する。導電部材7は、中空円盤状をなす導電性の円盤部71と、円盤部71の一部の側面から延出する導電性の延出部72とを有する。
【0053】
円盤部71には、第1プランジャ41が挿通可能な第1孔部71aが形成されている。第1孔部71aは、段付き形状をなす中空空間を形成し、段部に第1プランジャ41のフランジが当接する。
【0054】
延出部72には、接続ピン53およびバネ部材54をそれぞれ収容する第2孔部が形成されている。具体的に、第2孔部は、接続ピン53を収容する第1収容部72aと、バネ部材54を収容する第2収容部72bとを有する。例えば、検査時に、第1孔部71aの内壁の一部と、第1プランジャ41の一部とが接触することによって、導電部材7とグランド用プローブ4とが電気的に接続される。また、接続ピン53やバネ部材54を介して、フローティング5と導電部材7とを電気的に接続してもよい。
【0055】
本実施の形態2では、ホルダ孔33Aおよび35Aが第1ホルダ孔に相当する。また、ホルダ孔34Aおよび36、ならびに第1孔部71aが形成する孔部が、第2ホルダ孔に相当する。なお、ホルダ孔34Aおよび36は、部分ホルダ孔に相当する。
【0056】
本実施の形態2では、第1部材31Aおよび第2部材32Aを絶縁性とし、導電部材7を介してグランド用プローブ4とフローティング5とを接続するようにした。本実施の形態2によれば、上述した実施の形態1の効果を得るとともに、導電部材7とグランド用プローブ4との電気的な接続を確保することが可能となる。
【0057】
なお、実施の形態2では、第1孔部71aが段付き形状をなすものとして説明したが、第1孔部71aの直径をホルダ孔34Aの直径よりも小さくして、第1孔部71aとホルダ孔34Aとによって段部を形成するようにしてもよいし、ホルダ孔34Aが段部を有するようにしてもよい。
【0058】
また、実施の形態2において、導電部材7に代えて導電性の皮膜としてもよい。この皮膜は、例えば膜厚が数ミクロンの皮膜や、メッキである。
【0059】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3にかかるプローブユニットの要部の構成を示す部分断面図であって、プローブユニット1Bにおける半導体集積回路100の検査時の状態を示す図である。本実施の形態3にかかるプローブユニット1Bは、上述したプローブユニット1のベース部材6に代えてベース部材6Aを備える。そのほかの構成についてはプローブユニット1と同じ構成であるため、説明を省略する。なお、本実施の形態3では、フローティング5にアース電位接続用の導電ピン81が取り付けられ、プローブホルダ3にアース電位接続用の導電ピン82が取り付けられている。導電ピン81、82は、例えば導電性のネジによって構成される。
【0060】
ベース部材6Aには、外部のアース電位に接続するアース導線83、84を挿通する貫通孔61、62が形成されている。
ここで、アース導線83は、導電ピン81に接続している。また、アース導線84は、導電ピン82に接続している。
【0061】
本実施の形態3では、プローブホルダ3とフローティング5とを、直接アース電位に接続するようにした。本実施の形態3によれば、上述した実施の形態1の効果を得るとともに、特に、フローティング5を直接アース電位に接続することによって、一層正確な検査を実施することができる。
【0062】
なお、ここで説明したコンタクトプローブの構成はあくまでも一例に過ぎず、従来知られているさまざまな種類のプローブを適用することが可能である。例えば、上述したようなプランジャとコイルばねとで構成されるものに限らず、パイプ部材を備えるプローブ、ポゴピン、中実の導電性部材、導電性のパイプ、またはワイヤを弓状に撓ませて荷重を得るワイヤープローブや、電気接点同士を接続する接続端子(コネクタ)でもよいし、これらのプローブを適宜組み合わせてもよい。
本発明にかかるプローブユニットは、信号用の電極と接触する第1のコンタクトプローブと、グランド用の電極と接触する第2のコンタクトプローブと、第1のコンタクトプローブを挿通する第1ホルダ孔と、第2のコンタクトプローブを挿通する第2ホルダ孔とが形成されたプローブホルダと、一端側から第1のコンタクトプローブの一方の端部が挿入され、他端側から接触対象の電極が挿入される第1貫通孔と、一端側から第2のコンタクトプローブの一方の端部が挿入され、他端側からグランド用の電極が挿入される第2貫通孔とが形成された導電性のフローティングと、を備え、第1のコンタクトプローブの中心軸と、フローティングの第1貫通孔の中心軸とが一致した同軸構造をなす。