特許第6774610号(P6774610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774610
(24)【登録日】2020年10月7日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04C 15/06 20060101AFI20201019BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20201019BHJP
   F04C 2/10 20060101ALI20201019BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20201019BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20201019BHJP
   H02K 16/02 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   F04C15/06 A
   F04C15/00 L
   F04C2/10 341E
   H02K9/19 Z
   H02K7/14 B
   H02K16/02
【請求項の数】19
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-542559(P2018-542559)
(86)(22)【出願日】2017年9月25日
(86)【国際出願番号】JP2017034550
(87)【国際公開番号】WO2018062104
(87)【国際公開日】20180405
【審査請求日】2019年8月8日
(31)【優先権主張番号】特願2016-195276(P2016-195276)
(32)【優先日】2016年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100118496
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 耕三
(72)【発明者】
【氏名】本間 和博
(72)【発明者】
【氏名】伊東 陽介
【審査官】 岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−183603(JP,A)
【文献】 特開2009−019522(JP,A)
【文献】 特開平05−122901(JP,A)
【文献】 実開昭56−043262(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 15/06
F04C 15/00
F04C 2/10
H02K 9/19
H02K 7/14
H02K 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸を中心として回転するシャフトと、
前記シャフトを回転させるモータ部と、
前記モータ部の軸方向一方側に位置し、前記モータ部によって前記シャフトを介して駆
動され、オイルを吐出するポンプ部と、を有し、
前記モータ部は、
前記シャフトの周囲において回転するロータと、
前記ロータと軸方向に対向して配置されたステータと、
前記ロータ及び前記ステータを収容するハウジングと、を有し、
前記ポンプ部は、
前記シャフトに取り付けられるポンプロータと、
前記オイルを吸入する吸入口と、前記オイルを吐出する吐出口とが設けられ、前記ポンプロータを収容するポンプケースと、を有し、
前記ポンプ部内と前記ハウジング内とを繋ぐ、前記オイルの第1流路と、
前記ステータと前記ロータとの間に設けられた、前記オイルの第2流路と、
前記第2流路から、前記ステータおよび前記ロータの径方向外側を経由してポンプ吸入口に繋がる、前記オイルの第3流路と、を有し、
前記ロータおよび前記ステータが対向する対向面に、1または複数の溝が設けられ、
前記溝は、前記オイルの進行方向に対して傾斜している、ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
前記溝は螺旋溝を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記複数の溝の各々は、当該溝が設けられる周面を環状に一周する溝であり、当該溝が軸方向に複数設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記溝が設けられる周面において、前記溝よりも径方向に突出した断続部が設けられ、
前記断続部は、軸方向に延びる、ことを特徴とする請求項1乃至3に記載のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記溝が設けられる周面において、前記溝よりも径方向に突出した断続部が設けられ、
前記断続部は、周方向に延びることを特徴とする請求項1乃至3に記載のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記ポンプケースは、ポンプカバー及びポンプボディを有し、
前記ポンプボディは、軸方向両端に開口し前記シャフトが通され、
前記ポンプロータは、前記シャフトの回転により回転する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記ステータと前記ポンプボディとは接触する、ことを特徴とする請求項6に記載のポンプ装置。
【請求項8】
前記ステータは、樹脂による一体成型品である、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項9】
前記ステータは、前記樹脂の上に前記溝を有する、ことを特徴とする請求項8に記載のポンプ装置。
【請求項10】
前記ロータは、樹脂による一体成型品である、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項11】
前記ロータは、前記樹脂の上に前記溝を有する、ことを特徴とする請求項10に記載のポンプ装置。
【請求項12】
前記ステータは、前記ロータの径方向外側に位置し、
前記第3流路は、前記第2流路から前記ステータの径方向外側を経由してポンプ吸入口に繋がる流路を含む、ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のポンプ
装置。
【請求項13】
前記第3流路は、前記ステータの外周面と前記モータ部のハウジングの内周面との間を含む、ことを特徴とする請求項12に記載のポンプ装置。
【請求項14】
前記第3流路は、前記ステータに設けられた貫通孔または切り欠き部、または前記ハウジングに設けられた切り欠き部を有する、ことを特徴とする請求項13に記載のポンプ装置。
【請求項15】
前記第1流路のモータ部側の一端は、前記ポンプケースにおいて前記シャフトが通される開口部のモータ部側近傍に設けられ、
前記第2流路は、前記第1流路のモータ部側の一端に繋がる、ことを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項16】
前記シャフトの外周面と前記ロータの内周面との間に設けられた流路をさらに有する、ことを特徴とする請求項12乃至15のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項17】
前記ロータに設けられた貫通孔を通る流路をさらに有する、ことを特徴とする請求項12乃至16のいずれか1項に記載のポンプ装置。
【請求項18】
軸方向に延びる中心軸を中心として回転するシャフトと、
前記シャフトを回転させるモータ部と、
前記モータ部の軸方向一方側に位置し、前記モータ部によって前記シャフトを介して駆動され、オイルを吐出するポンプ部と、を有し、
前記モータ部は、
前記シャフトの周囲において回転するロータと、
前記ロータの径方向内側に対向して配置されたステータと、
前記ロータ及び前記ステータを収容するハウジングと、を有し、
前記ポンプ部は、
前記シャフトに取り付けられるポンプロータと、
前記オイルを吸入する吸入口と、前記オイルを吐出する吐出口とが設けられ、前記ポンプロータを収容するポンプケースと、を有し、
前記ポンプ部内と前記ハウジング内とを繋ぐ、前記オイルの第1流路と、
前記ステータと前記ロータとの間に設けられた、前記オイルの第2流路と、
前記第1流路から、前記ステータおよび前記ロータの径方向内側を経由して前記第2流路に繋がる流路と、前記第2流路からポンプ吸入口に繋がる流路とを含む、前記オイルの第3流路と、を有し、
前記ロータおよびステータのうち径方向外側に配置される方の内周面、または、前記ロータおよびステータのうち径方向内側に配置される方の外周面に、1または複数の溝が設けられ、
前記溝は、前記オイルの進行方向に対して傾斜している、ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項19】
前記モータ部が前記ロータを2つ有する場合に、
2つの前記ロータは、軸方向に所定の間隔を空けて前記シャフトに取り付けられ、
前記ステータは、2つの前記ロータの間に配置され、
前記第2流路は、2つの前記ロータのうち一方のロータと前記ステータの間に設けられた流路と、2つの前記ロータのうち他方のロータと前記ステータの間に設けられた流路とを有する、ことを特徴とする請求項に記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トランスミッション等に使用する電動オイルポンプは、応答性が求められる。電動オイルポンプの応答性を実現するためには、電動オイルポンプ用のモータを高出力にする必要がある。
電動オイルポンプ用のモータを高出力にした場合、モータが有するコイルに大電流が流れ、モータが高温となり、例えばモータが有する永久磁石が減磁する。そのため、モータの温度上昇を抑えるためにモータには冷却構造を設ける必要がある。
特許文献1は、ステータとロータとの軸方向の相対的な位置関係を、ロータの回転速度に応じたオイルの油圧で変位させ、ロータをオイルで冷却するオイル供給機構を備える電動モータを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−125235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の電動モータは、ステータとロータを同時にオイルによって冷却することができない。
【0005】
本発明の目的は、ステータとロータを同時に冷却し、冷却効果の高い構造を有するポンプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の例示的な第1発明は、軸方向に延びる中心軸を中心として回転するシャフトと、前記シャフトを回転させるモータ部と、前記モータ部の軸方向一方側に位置し、前記モータ部によって前記シャフトを介して駆動され、オイルを吐出するポンプ部と、を有し、前記モータ部は、前記シャフトの周囲において回転するロータと、前記ロータと対向して配置されたステータと、前記ロータ及び前記ステータを収容するハウジングと、を有し、前記ポンプ部は、前記シャフトに取り付けられるポンプロータと前記オイルを吸入する吸入口と、前記オイルを吐出する吐出口とが設けられ、前記ポンプロータを収容するポンプケースと、を有し、前記ポンプ部内と前記ハウジング内とを繋ぐ、前記オイルの第1流路と、前記ステータと前記ロータとの間に設けられた、前記オイルの第2流路と、前記第2流路から、前記ステータおよび前記ロータの径方向外側を経由してポンプ吸入口に繋がる、前記オイルの第3流路と、を有し、前記ロータおよびステータのうち径方向外側に配置される方の内周面、または、前記ロータおよびステータのうち径方向内側に配置される方の外周面に、1または複数の溝が設けられ、前記溝は、前記オイルの進行方向に対して傾斜している。
【発明の効果】
【0007】
本願の例示的な第1発明によれば、ステータとロータを同時に冷却し、冷却効果の高い構造を有するポンプ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るポンプ装置を示す断面図である。
図2】第1実施形態に係るポンプ装置の要部を模式的に表した図である。
図3a】ステータまたはロータが有する溝の形状を示す図である。
図3b】ステータまたはロータが有する溝の形状を示す図である。
図3c】ステータまたはロータが有する溝の形状を示す図である。
図3d】ステータまたはロータが有する溝の形状を示す図である。
図3e】ステータまたはロータが有する溝の形状を示す図である。
図4】第1実施形態におけるステータの上面図である。
図5a】第1実施形態における流路の一部を拡大した図である。
図5b】第1実施形態における流路の一部を拡大した図である。
図6】第1実施形態における流路の変形例を示す図である。
図7】第2実施形態に係るポンプ装置を示す断面図である。
図8】第3実施形態に係るポンプ装置を示す断面図である。
図9】第3実施形態に係るポンプ装置の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るポンプ装置について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0010】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、図1に示す中心軸Jの軸方向一方向と平行な方向とする。X軸方向は、図1に示すバスバーアッシー60の長さ方向と平行な方向、すなわち、図1の左右方向とする。Y軸方向は、バスバーアッシー60の幅方向と平行な方向、すなわち、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0011】
また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「フロント側」と呼び、Z軸方向の負の側(−Z側)を「リア側」と呼ぶ。なお、リア側及びフロント側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係や方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と呼ぶ。
【0012】
なお、本明細書において、軸方向に延びる、とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、径方向に延びる、とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【第1実施形態】
【0013】
図1は、本実施形態のポンプ装置10を示す断面図である。
本実施形態のポンプ装置10は、シャフト41と、モータ部20と、ハウジング12と、カバー13と、ポンプ部30と、を有する。シャフト41は、軸方向に延びる中心軸Jを中心として回転する。モータ部20とポンプ部30とは、軸方向に沿って並んで設けられる。
【0014】
モータ部20は、図1に示すように、カバー13と、ロータ40と、ステータ50と、ベアリング42と、制御装置70と、バスバーアッシー60と、複数のOリングと、を有する。複数のOリングは、フロント側Oリング81と、リア側Oリング82と、を有する。
【0015】
ロータ40は、シャフト41の外周面に固定される。ステータ50は、ロータ40の径方向外側に位置する。すなわち、モータ部20は、インナーロータ型のモータである。ベアリング42は、シャフト41を回転可能に支持する。ベアリング42は、バスバーアッシー60に保持される。バスバーアッシー60は、外部電源に接続され、ステータ50に電流を供給する。
【0016】
ハウジング12は、モータ部20とポンプ部30とを保持する。ハウジング12は、リア側(−Z側)に開口しており、ハウジング12の開口部には、バスバーアッシー60のフロント側(+Z側)の端部が挿入されている。カバー13は、ハウジング12のリア側に固定される。カバー13は、モータ部20のリア側を覆う。すなわち、バスバーアッシー60のリア側(−Z側)の少なくとも一部を覆い、ハウジング12に固定されている。
【0017】
制御装置70は、ベアリング42とカバー13との間に配置される。フロント側Oリング81は、バスバーアッシー60とハウジング12との間に設けられる。リア側Oリング82は、バスバーアッシー60とカバー13との間に設けられる。以下、各部品について詳細に説明する。
【0018】
<ハウジング>
図1に示すように、ハウジング12は、筒状である。より詳細には、ハウジング12は、中心軸Jを中心とする両端が開口した多段の円筒形状である。ハウジング12の材質は、例えば、金属である。ハウジング12は、モータ部20とポンプ部30とを保持する。ハウジング12は、筒部14と、フランジ部15と、を有する。
【0019】
フランジ部15は、筒部14のリア側の端部から径方向外側に延びる。筒部14は、中心軸Jを中心とする円筒状である。筒部14は、バスバーアッシー挿入部21aと、ステータ保持部21bと、ポンプボディ保持部21cと、を軸方向(Z軸方向)に沿って、リア側(−Z側)からフロント側(+Z側)へと、この順に有する。
【0020】
バスバーアッシー挿入部21aは、バスバーアッシー60のフロント側(+Z側)の端部を中心軸Jの径方向外側から囲む。バスバーアッシー挿入部21aと、ステータ保持部21bと、ポンプボディ保持部21cとは、それぞれ同心の円筒形状であり、直径はこの順に小さくなる。
【0021】
すなわち、バスバーアッシー60のフロント側の端部は、ハウジング12の内側に位置する。ステータ保持部21bの内側面には、ステータ50の外側面、すなわち、後述するコアバック部51の外側面が嵌合されている。これにより、ハウジング12には、ステータ50が保持される。ポンプボディ保持部21cの内周面には、ポンプボディ31の外周面が固定される。
【0022】
<ロ―タ>
ロータ40は、ロータコア43と、ロータマグネット44と、を有する。ロータコア43は、シャフト41を軸周り(θ方向)に囲んで、シャフト41に固定されている。ロータマグネット44は、ロータコア43の軸周りに沿った外側面に固定されている。ロータコア43及びロータマグネット44は、シャフト41と一体となって回転する。
【0023】
<ステータ>
ステータ50は、ロータ40を軸周り(θ方向)に囲み、ロータ40を中心軸J周りに回転させる。ステータ50は、コアバック部51と、ティース部52と、コイル53と、ボビン(インシュレータ)54と、を有する。コアバック部51の形状は、シャフト41と同心の円筒状である。
【0024】
ティース部52は、コアバック部51の内側面からシャフト41に向かって延びている。ティース部52は、複数設けられ、コアバック部51の内側面の周方向に均等な間隔で配置されている(図4)。コイル53は、導電線53aが巻き回されて構成される。コイル53は、ボビン(インシュレータ)54に設けられている。ボビン(インシュレータ)54は、各ティース部52に装着されている。
【0025】
<ベアリング>
ベアリング42は、ステータ50のリア側(−Z側)に配置される。ベアリング42は、後述するバスバーホルダ61が有するベアリング保持部65に保持される。ベアリング42は、シャフト41を支持する。ベアリング42の構成は、特に限定されず、いかなる公知のベアリングを用いてよい。
【0026】
<制御装置>
制御装置70は、モータ部20の駆動を制御する。制御装置70は、回路基板(不図示)と、回転センサ(不図示)と、センサマグネット保持部材(不図示)と、センサマグネット73と、を有する。すなわち、モータ部20は、回路基板と、回転センサと、センサマグネット保持部材と、センサマグネット73と、を有する。
【0027】
回路基板は、モータ駆動信号を出力する。センサマグネット保持部材は、中央の孔がシャフト41のリア側(+Z側)の端部の小径部分に嵌合されることで位置決めされている。センサマグネット保持部材は、シャフト41とともに回転可能である。センサマグネット73は、円環状であり周方向にN極とS極とが交互に配置されている。センサマグネット73は、センサマグネット保持部材の外周面に嵌合されている。
【0028】
これにより、センサマグネット73は、センサマグネット保持部材に保持され、ベアリング42のリア側(−Z側)において、シャフト41の軸周り(+θ方向)にシャフト41とともに回転可能に配置される。
【0029】
回転センサは、回路基板のフロント側(+Z側)の回路基板フロント面に取り付けられている。回転センサは、軸方向(Z軸方向)において、センサマグネット73と対向する位置に設けられている。回転センサは、センサマグネット73の磁束の変化を検出する。回転センサは、例えば、ホールICやMRセンサである。具体的には、ホールICを用いる場合は、3つ設けられる。
【0030】
<カバー>
カバー13は、ハウジング12のリア側(−Z側)に取り付けられている。カバー13の材質は、例えば、金属である。カバー13は、筒状部22aと、蓋部22bと、フランジ部(カバー側)24と、を有する。筒状部22aは、フロント側(+Z側)に開口する。
【0031】
筒状部22aは、バスバーアッシー60、より詳細にはバスバーホルダ61のリア側(−Z側)の端部を中心軸Jの径方向外側から囲む。筒状部22aは、フランジ部(ハウジング側)15及びフランジ部(カバー側)24を介して、ハウジング12におけるバスバーアッシー挿入部21aのリア側の端部と連結されている。
【0032】
蓋部22bは、筒状部22aのリア側の端部に接続されている。本実施形態において蓋部22bは、平板状である。蓋部22bは、バスバーホルダ61のリア側の開口部を閉塞している。蓋部22bのフロント側の面は、リア側Oリング82の全周と接触している。これにより、カバー13は、バスバーホルダ61の開口部の周囲の一周に亘って、バスバーホルダ61のリア側の本体部リア面と、リア側Oリング82を介して間接的に接触する。
【0033】
フランジ部(カバー側)24は、筒状部22aのフロント側の端部から径方向外側に拡がる。ハウジング12とカバー13とは、フランジ部(ハウジング側)15とフランジ部(カバー側)24とが重ね合わされて接合されている。
【0034】
モータ部20には、コネクタ部63を介して、外部電源が接続される。接続された外部電源は、コネクタ部63が有する電源用開口部63aの底面から突出するバスバー91及び配線部材92と電気的に接続される。これにより、バスバー91及び配線部材92を介して、ステータ50のコイル53及び回転センサに駆動電流が供給される。コイル53に供給される駆動電流は、例えば、回転センサによって計測されるロータ40の回転位置に応じて制御される。コイル53に駆動電流が供給されると、磁場が発生し、この磁場によってロータ40が回転する。このようにして、モータ部20は、回転駆動力を得る。
【0035】
<ポンプ部>
ポンプ部30は、モータ部20の軸方向一方側、詳細にはフロント側(+Z軸側)に位置する。ポンプ部30は、モータ部20によってシャフト41を介して駆動される。ポンプ部30は、ポンプボディ31と、ポンプロータ35と、ポンプカバー32と、を有する。以下、ポンプカバー32及びポンプボディ31をポンプケースと呼ぶ。
【0036】
ポンプボディ31は、モータ部20のフロント側においてハウジング12内に固定される。Oリング71はポンプボディ31に取り付けられる。Oリング71は、ポンプボディ31の外周面とハウジング12の内周面との径方向の間に設けられる。これにより、ポンプボディ31の外周面とハウジング12の内周面との径方向の間がシールされる。ポンプボディ31は、フロント側(+Z側)の面からリア側(−Z側)に窪みポンプロータ35を収容するポンプ室33を有する。ポンプ室33の軸方向に視た形状は、円形状である。
【0037】
ポンプボディ31は、軸方向両端に開口しシャフト41が通され、フロント側の開口がポンプ室33に開口する貫通孔31aを有する。貫通孔31aのリア側の開口は、モータ部20側に開口する。貫通孔31aは、シャフト41を回転可能に支持する軸受部材として機能する。
【0038】
ポンプボディ31は、ハウジング12よりもフロント側に位置しハウジング12の外部に露出する露出部36を有する。露出部36は、ポンプボディ31のフロント側の端部の部分である。露出部36は、軸方向に延びる円柱状である。露出部36は、ポンプ室33と径方向に重なる。
【0039】
ポンプロータ35は、シャフト41に取り付けられる。より詳細には、ポンプロータ35は、シャフト41のフロント側の端部に取り付けられる。ポンプロータ35は、シャフト41に取り付けられるインナーロータ37と、インナーロータ37の径方向外側を囲むアウターロータ38と、を有する。インナーロータ37は、円環状である。インナーロータ37は、径方向外側面に歯を有する歯車である。
【0040】
インナーロータ37は、シャフト41に固定される。より詳細には、インナーロータ37の内側にシャフト41のフロント側の端部が圧入される。インナーロータ37は、シャフト41と共に軸周り(θ方向)に回転する。アウターロータ38は、インナーロータ37の径方向外側を囲む円環状である。アウターロータ38は、径方向内側面に歯を有する歯車である。
【0041】
インナーロータ37とアウターロータ38とは互いに噛み合い、インナーロータ37が回転することでアウターロータ38が回転する。すなわち、シャフト41の回転によりポンプロータ35は回転する。言い換えると、モータ部20とポンプ部30とは同一の回転軸を有する。これにより、電動オイルポンプが軸方向に大型化することを抑制できる。インナーロータ37とアウターロータ38とが回転することで、インナーロータ37とアウターロータ38の噛み合わせ部分の間の容積が変化する。容積が減少する領域を加圧領域とし、容積が増加する領域を負圧領域とする。ポンプロータ35の負圧領域の軸方向一方側には、吸入口32cが配置される。また、ポンプロータ35の加圧領域の軸方向一方側には、吐出口32dが配置される。ここで、吸入口32cからポンプ室33内に吸入されるオイルは、インナーロータ37とアウターロータ38の間の容積部分に収容され、吐出口32d側に送ることができる。その後、オイルは、吐出口32dから吐出される。
【0042】
ポンプカバー32は、ポンプボディ31のフロント側に取り付けられる。ポンプカバー32は、ポンプカバー本体32aと、ポンプ吐出円筒部32bと、を有する。ポンプカバー本体32aは、径方向に拡がる円板状である。ポンプカバー本体32aは、ポンプ室33のフロント側の開口を閉塞する。ポンプ吐出円筒部32bは、軸方向に延びる円筒状である。ポンプ吐出円筒部32bは、軸方向両端に開口する。ポンプ吐出円筒部32bは、ポンプカバー本体32aからフロント側に延びる。
【0043】
ポンプ部30は、吐出口32d及び吸入口32cを有する。吐出口32d及び吸入口32cは、ポンプカバー32に設けられる。吐出口32dは、ポンプ吐出円筒部32bの内部を含む。吐出口32d及び吸入口32cは、ポンプカバー32のフロント側の面に開口する。吐出口32d及び吸入口32cは、ポンプ室33と繋がり、ポンプ室33へのオイルの吸入およびポンプ室33からのオイルの吐出が可能である。
【0044】
シャフト41が周方向一方向き(−θ向き)に回転する場合、吸入口32cからオイルがポンプ室33に吸入される。ポンプ室33に吸入されたオイルは、ポンプロータ35によって送られ、吐出口32dへ吐出される。さらに本実施形態のポンプ装置10では、ポンプ室33に吸入されたオイルは、ポンプロータ35によって送られ、シャフト41を介してモータ部20の内部へ流入する。詳細には、オイルの大半は、加圧領域から吐出口32dへ吐出されるが、一部は、インナーロータ37とポンプボディ31との軸方向間隙を通過し、シャフト41近傍に流れ込む。その後、オイルは、シャフト41とポンプボディ31との間を通って、モータ部20の内部へ流入する。これにより、モータ部20の冷却が可能となる。
【0045】
次に、本実施形態に係るポンプ装置10が有する冷却構造について説明する。本実施形態では、外部装置から供給されたオイルがポンプロータ35によって吸入口32cから吐出口32dに流れるとともに、モータ部20内に吸入され、モータ部20内を循環することによってステータ50及びロータ40を冷却することを実現する。
【0046】
図2は、図1に示したポンプ装置10におけるオイルの流路をわかりやすくするためにポンプ装置10の要部を模式的に表した図である。
図2に示すように、ポンプ装置10は、ポンプ部30内とハウジング12内とを繋ぐ第1流路1と、ステータ50とロータ40との間に設けられた第2流路2と、第2流路2から、ステータ50及びロータ40の径方向外側を経由してポンプ部30の吸入口(ポンプ吸入口)32cに繋がる第3流路3a及び3bと、を有する。以下、各流路の詳細について説明する。
【0047】
<第1流路>
図2における第1流路1は、ポンプ部30のポンプボディ31とシャフト41の間に設けられる。ポンプ装置10の稼働時において、吸入口32cから吸入されたオイルの大半は、ポンプロータ35の加圧領域から吐出口32d(図1参照)へ吐出されるが、一部は、インナーロータ37とポンプボディ31との軸方向間隙を通過し、シャフト41近傍に流れ込む。その後、オイルは、シャフト41とポンプボディ31との間、すなわち第1流路1を通って、モータ部20の内部へ流入する。なお、図2では、便宜上、吸入口32cから吸入されたオイルがそのまま第1流路1に繋がるように示している。すなわち、図2に示した流路を示す矢印では、吸入口32cから吸入されたオイルが、ポンプロータ35の加圧領域からインナーロータ37とポンプボディ31との軸方向間隙を通過し、第1流路1に流れる経路を省略して示している。
【0048】
本実施形態では、ポンプボディ31がすべり軸受構造、すなわち軸受部材31bを有し、第1流路1は、シャフト41の外周面とポンプボディ31の内周面との間に位置する。このとき、第1流路1においてポンプ部30から流入するオイルを潤滑油として使用することが可能となり、オイルを効率よくモータ部20内へ吸入できる。なお、第1流路1において、シャフト41の外周面またはポンプボディ31の内周面の少なくとも一方に切り欠き部を設けてもよい。これにより、第1流路1の流路抵抗が小さくなり、ポンプ部30からモータ部20へより効率的にオイルを吸入することができる。
【0049】
なお、軸受部材31bは、すべり軸受に限られるものではない。例えば、軸受部材31bとしていかなるボールベアリングを用いてもよい。この場合、第1流路1は、軸受部材31b(ベアリング)とポンプボディ31の間に位置する。すべり軸受の場合と同様に、第1流路1において、軸受部材31b(ベアリング)またはポンプボディ31の少なくとも一方に切り欠き部または貫通孔を設けてもよい。これにより、第1流路1の流路抵抗が小さくなり、ポンプ部30からモータ部20へ、より効率的にオイルを吸入することができる。軸受部材31bが複数のボールを有するボールベアリングである場合、第1流路1は、隣り合うボールの間に配置されてもよい。
【0050】
<第2流路>
図2における第2流路2は、ステータ50とロータ40の間に設けられる。図2に示した例では、第2流路2は、ステータ50の内周面とロータ40の外周面の間に位置する。第1流路1に流入したオイルは、第2流路2のフロント側の一端からリア側の一端へ流れる。
【0051】
なお、本実施形態では、ステータ50の内周面またはロータ40の外周面に、1または複数の溝55が設けられている。図3(a)は、本実施形態における、オイルの進行方向と回転方向に対する溝55の傾斜を示す図である。図3(a)に示すように、ステータ50の内周面またはロータ40の外周面において、溝55は、オイルの進行方向に対して傾斜している。本実施形態では、第2流路2において、オイルの進行方向はフロント側からリア側に向かう。溝は、直線溝であってもよく、また螺旋溝であってもよい。
【0052】
図3(b)は、ステータ50の内周面に溝を設けた場合の一例を示す図である。図3(c)は、ロータ40の外周面に溝を設けた場合の一例を示す図である。図3(b)及び図3(c)のいずれの場合においても、それぞれの周面を展開すると、オイルの進行方向、シャフトの回転方向に対する溝55の傾斜は、図3(a)に示した傾斜となる。
【0053】
本実施形態によれば、ポンプロータ35の加圧を使用しモータ内部にオイルを流し、モータ部20内のオイル循環を実現するため、第2流路2に溝を設けることにより、効率よくオイルを循環させることができる。モータ部20をオイルが効率よく循環することにより、ロータマグネット44の発熱を抑制し、減磁を抑制することができる。また、モータ部20をオイルが効率よく循環することにより、ロータ40とステータ50を同時に冷却する構造を提供することができる。すなわち、モータ部20の温度上昇を抑えるための冷却効果の高い構造を提供することができる。
【0054】
溝55は、図3(d)または図3(e)に示すように、径方向(径方向外側または径方向内側)に突出した断続部56を有していてもよい。断続部56は、溝が途中で途切れる部分である。径方向に突出した断続部56とは、ロータ40またはステータ50において溝55が設けられる周面において、溝55が設けられていない部分を含む。図3(d)は、断続部56が軸方向に延びる場合を示す図である。図3(e)は、断続部56が周方向に延びる場合を示す図である。図3(b)に示すように、ステータ50の内周面に溝55を設けた場合に、隣り合うティース部52の間隙52cが溝よりも径方向外側に突出した断続部に該当する。
【0055】
溝の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、螺旋溝であってもよい。螺旋溝の場合、他の形状の溝に比べて、第2流路2におけるオイルの流れをより良くすることが可能となり、モータ部20内のオイルの循環をより効率よく行うことが可能となる。また、例えば、ロータ40の外周面またはステータの内周面を一周する環状の溝を設けてもよい。図3(c)は、ロータ40の外周面に、環状に一周する溝55を軸方向に複数個設けた一例を示す図である。溝55は、直線溝であってもよい。環状の溝や直線溝は、螺旋溝よりも簡易に加工を行うことができる。
【0056】
なお、溝のピッチ、溝の形状及び断面形状、及び溝の深さ、溝の幅、その他溝の寸法については、特に限定するものではなく、溝を設けるステータ50またはロータ40の軸径、オイルの給油量及び荷重、加工のしやすさ等に応じて決めればよい。溝のピッチや溝の寸法等は一定である必要はなく、例えば、オイルの進行方向にしたがって溝の深さを浅くする等してもよい。
【0057】
なお、第2流路2は、ステータ50の内周面とロータ40の外周面の間に限られるものではない。例えば、ステータ50のコアバック部51(図1参照)またはロータコア43に貫通孔を設け、当該貫通孔を第2流路2として用いてもよい。すなわち、第2流路2は、ステータ50とロータ40の間であれば任意の位置に設けてもよい。これにより、ステータ50のコイル53をより効率よく冷却するとともに、ロータを冷却することができる。
【0058】
第1流路1のモータ部20側の一端は、図2に示すように、ポンプボディ31においてシャフト41が通される開口部としての貫通孔31aのモータ部20側近傍に設けられている。このため、第2流路2を第1流路1のモータ部20側の一端に繋がる位置(近傍)に設けることにより、オイルの大半は、吐出口32d(図1参照)から吐出される。つまり、吐出口32dから第1流路1までの距離が長くなるため、第1流路1側に流れるオイルの量は、吐出口32dから吐出されるオイルの量よりも小さい。よって、ポンプの吐出圧を損なわないため、ポンプの性能低下を抑制できる。
【0059】
<第3流路>
第3流路は、第2流路から、ステータ50及びロータ40の径方向外側を経由してポンプ部30の吸入口(ポンプ吸入口)32cに繋がる流路であり、図2に示す例では、第3流路3a及び第3流路3bを含む。第3流路3aは、ステータ50及びロータ40の径方向外側に設けられる流路であり、第3流路3bは、ポンプボディ31に設けられ、流路3aとポンプ部30の内部とを繋ぐ流路である。
【0060】
図2に示した例では、第3流路3aは、ステータ50の外周面とハウジング12の内周面の間に位置する。なお、第3流路3a及び3bは、図2に示した例に限られるものではない。例えば、ステータ50及びロータ40の径方向外側としてポンプ装置10の外部を経由してポンプ部30の吸入口(ポンプ吸入口)32cに繋がる流路であってもよい。この場合、第3流路は、ポンプ装置10の外部を含みうる。
【0061】
以下、第3流路3aについて説明する。
第1流路1に流入したオイルは、第2流路2を経由して、第3流路3aのリア側の一端からフロント側の一端へ流れる。第3流路3aを設けることにより、ステータ50がオイルと接触する表面積を増大させることができるため、より効率よくステータ50を冷却することができる。一般的に、モータにおいてはコイルが最も発熱する。コイルで発熱した熱は、ステータコアに伝達される。つまり、モータ部20においてステータ50の発熱量は多い。よって、ステータ50を効率よく冷却できるということは、モータ部20を効率よく冷却できるということである。
【0062】
第3流路3aは、図4に示すように、コアバック部51の外周面に切り欠き部51aを有していてもよい。また、第3流路3aは、ハウジング12の内周面に切り欠き部12aを有していてもよい。第3流路3aは、切り欠き部51a及び切り欠き部12aの両方を有していてもよく、どちらか一方を有していてもよい。なお、ステータ50において切り欠き部を設ける場所は外周面に限定されず、例えば、内周面に設けてもよい。
【0063】
ステータ50が切り欠き部51aを有する場合、ステータ50がオイルと接触する表面積を増大させることができるため、より効率よくモータ部20内を冷却することができる。また、ステータ50が切り欠き部51aを有するか、またはハウジング12が切り欠き部12aを有する場合、第3流路3aに流入するオイルの流量を増大させることができるため、より効率よくオイルを循環させることができる。
【0064】
なお、第3流路3aは、ステータ50の外周面とハウジング12の内周面の間に限られるものではない。例えば、図4に示すように、ステータ50のコアバック部51に貫通孔52bを設け、貫通孔52bを第3流路3aとして用いてもよい。これにより、ステータ50のコイル53をより効率よく冷却することができる。また、隣り合うティース部52の間を第3流路3aとしてもよい。
【0065】
本実施形態では、ステータ50とポンプボディ31とは接触している。図5に示すように、ステータ50は、樹脂によりモールドされている。すなわち、ステータ50は、樹脂による一体成型品であり、ステータ50のフロント側の一端50aとポンプボディ31とが接触する構造を有する。詳細には、ティース部52(図3参照)の内周面とコアバック部51の外端を除く部位は樹脂によってモールドされている。つまり、コイルは全て樹脂によって覆われている。図5に示すように、樹脂によってモールドされたステータ50とポンプボディ31とが周方向において環状の接触部を有する状態で接触することにより、第1流路1からオイルが流入する領域Aと、第3流路3aから第3流路3bへ繋がる領域Bとが分断される。したがって、第1流路1から領域Aに流入したオイルが領域Bに分流することがない。このため、モータ部20内に流入したオイルは、第1流路1、第2流路2、第3流路3の順に流れることができ、不要な循環経路が構成されない。つまり、循環されるオイルは、滞留されにくい。これにより、オイルは各流路において順次効率よく伝熱される。
【0066】
なお、本実施形態では、ステータ50が樹脂による一体成型品であることにより、ステータ50がポンプボディ31と接触するフロント側の一端が設けられるが、これに限られるものではない。例えば、ステータ50とポンプボディ31との間に嵌め込まれるリング部材により、ステータ50とポンプボディ31とが接触してもよい。図5に示したように、ステータ50のコイル端をすべて樹脂により覆う必要はなく、ステータ50のフロント側の一端50aは、領域Aと領域Bとが分断されるのであればどのような形状であってもよい。
【0067】
ステータ50が樹脂による一体成型品である場合、第2流路2及び第3流路3aにおいて、ステータ50がオイルと接触する表面積を増大させることができる。このため、より効率よくモータ部20内を冷却することができる。なお、ステータ50が樹脂による一体成型品である場合であって、第2流路2における溝55がステータ50上に設けられる場合、ステータ50は、樹脂上に溝55を有する。
【0068】
ステータ50と同様に、ロータ40が、樹脂によりモールドされていてもよい。すなわち、ロータ40は、樹脂による一体成型品であってもよい。ロータ40が、樹脂による一体成型品であることにより、第2流路2において、ロータ40がオイルと接触する表面積を増大させることができる。このため、よりロータマグネット44の冷却が可能となり、ロータマグネット44の減磁を抑制することができ、より効率よくモータ部20を冷却することができる。なお、ロータ40が樹脂による一体成型品である場合であって、第2流路2における溝55がステータ50上に設けられる場合、ロータは40、樹脂上に溝55を有する。
【0069】
また、図2に示した例では、第3流路3a及び第3流路3bは、ポンプ装置10内に配置されるが、これに限定されるものではない。第3流路は、ステータ50及びロータ40の径方向外側を経由してポンプ吸入口に繋がる流路であればよく、例えば、第3流路の一部または全部がハウジング12の外側に配置されてもよい。第3流路の変形例については、図6を用いて後述する。
【0070】
次に、第3流路3bについて説明する。
図2における第3流路3bは、ポンプボディ31に設けられ、第3流路3aとポンプ部30の内部とを繋ぐ。詳細には、第3流路3bは、モータ部20の第3流路3aのフロント側の一端の近傍に第1の開口部31cを有し、ポンプ室33の吸入口32cの近傍に第2の開口部31dを有する。第3流路3bは、モータ部20の第3流路3aとポンプ室33とを繋ぐ。第3流路3bを設けることにより、第1流路1を介してモータ部20内に吸入されたオイルは、モータ部20内からポンプ部30内へ循環することができる。第1流路1からモータ部20の内部に流入したオイルは、上述の通り無駄な循環経路を通ることなく、第3流路3bからポンプ部30内に戻ることになる。第1流路1を通過するオイルの温度は第3流路3bを通過するオイルの温度よりも低いため、常に低い温度のオイルがモータ部20の内部を循環することになる。これにより、ステータ50及びロータ40を効率よく冷却することが実現できる。
【0071】
第1流路1は、第3流路3bよりも径方向内側に位置する。これにより、第1流路1と第3流路3bとの軸方向に垂直な方向の距離を確保することができる。第1流路1と第3流路3bとの距離が短い場合には、第3流路3bを通ってポンプ部30内部に戻ってきた高温のオイルが第1流路1に戻ってしまう流路が作れることを防止できる。よって、効率よくモータ部20内を冷却することが可能となる。
【0072】
第3流路3bのリア側の開口部である第1の開口部31cの断面積は、ポンプ部30の吐出口32dの断面積よりも小さい。したがって、モータ部20内からポンプ部30内へ流入するオイル量がポンプの吐出量よりも小さくなり、モータ部20内へ流入するオイル量が過剰になることを抑制できる。すなわち、モータ部20内に流入するオイル量が過剰になる事によって生じるポンプ効率の低下を抑制しつつ、より効率よくモータ部20内を冷却することが可能となる。
【0073】
<流路の変形例>
図2に示した例では、第3流路3a及び第3流路3bは、ポンプ装置10の内部に設けられたが、これに限定されるものではない。例えば、第3流路は、ポンプ装置10の外部に設けられた流路を含んでいてもよい。図6は、一例として、第3流路の一部がポンプ装置10の外部を通る場合について説明する図である。図6に示す例では、第3流路は、ハウジング12の外側に設けられる第3流路3a、及び第3流路3aとポンプ部30の内部とを繋ぐ第3流路3bを含む。ハウジング12は、第1の貫通孔12b及び第2の貫通孔12cを有する。
【0074】
図6に示す例では、第3流路3aは、ポンプ装置10とポンプ装置10が取り付けられる外部装置(不図示)に設けられる。第3流路3aは、第1の貫通孔12bと第2の貫通孔12cとを繋ぐ流路であれば、どのように設けられてもよい。すなわち、第3流路3aは、第1の貫通孔12bと第2の貫通孔12cとを繋ぐ任意の流路を含みうる。
【0075】
第1の貫通孔12b及び第2の貫通孔12cの位置は、図6に示した位置に限られるものではなく、ハウジング12の側面またはカバー13の蓋部22b等、任意の位置に設けてもよい。第2流路2からのオイルは、第1の貫通孔12bを介してハウジング12の外側に排出され、第3流路3aに流入することによりポンプ装置10のリア側からフロント側へ流れ、第2の貫通孔12cを介して第3流路3bに流入する。
【0076】
なお、図6に示した例では、第3流路3bは、ポンプボディ31に設けられ、第2の貫通孔12cと第2の開口部31dとを繋ぐ流路であったが、これに限られるものではない。例えば、ポンプボディ31の露出部36に、ポンプ装置10の外部とポンプ部30の吸入口(ポンプ吸入口)32cとを繋ぐ貫通孔を設け、当該貫通孔を流路3bとしてもよい。この場合、ハウジング12及びポンプボディ31の双方に貫通孔を設ける必要がなく、ポンプボディ31の露出部36にのみ貫通孔を設ければよいため、加工が容易である。また、図6に示した例では、第3流路3bは、ポンプボディ31に設けられたが、これに限られるものではなく、例えば、ポンプカバー32に設けてもよい。
【0077】
ポンプ装置10は、その他の流路として、例えば、シャフト41の外周面とロータ40の内周面との間に設けられた流路をさらに有していてもよい。また、例えば、ロータ40に貫通孔(不図示)を設け、貫通孔を流路として用いてもよい。このように、第1流路1〜第3流路3bに加えて、その他の流路を有することで、より効率よくオイルをポンプ部30及びモータ部20間で循環させることができ、モータ部20を高効率に冷却することができる。
【0078】
本実施形態によれば、ポンプ装置10は、軸方向に延びる中心軸を中心として回転するシャフト41と、シャフト41を回転させるモータ部20と、モータ部20の軸方向一方側に位置し、モータ部20によってシャフト41を介して駆動され、オイルを吐出するポンプ部30と、を有し、モータ部20は、シャフト41の周囲において回転するロータ40と、ロータ40と対向して配置されたステータ50と、ロータ40及びステータ50を収容するハウジング12と、を有する。ポンプ部30は、シャフト41に取り付けられるポンプロータ35とオイルを吸入する吸入口32cと、オイルを吐出する吐出口32dとが設けられ、ポンプロータ35を収容するポンプケース(31及び32)と、を有する。ポンプ装置10は、ポンプ部30内とハウジング12内とを繋ぐ、オイルの第1流路1と、ステータ50とロータ40との間に設けられた、オイルの第2流路2と、第2流路2から、ステータ50およびロータ40の径方向外側を経由してポンプ部30の吸入口32cに繋がる、オイルの第3流路3a及び3bと、を有する。ロータ40の外周面、またはステータ50の内周面に、1または複数の溝55が設けられ、溝55は、オイルの進行方向に対して傾斜している。
【0079】
ポンプ装置10は、ポンプロータ35の加圧を使用し、モータ部20内にオイルを流す。ここで、第2流路2が設けられるステータ50とロータ40との間、すなわちロータ40の外周面、またはステータ50の内周面に、オイルの進行方向に対して傾斜している溝55を設ける。これにより、モータ部20内で効率よくオイルを循環させることができる。モータ部20内をオイルが効率よく循環することにより、ロータマグネット44の発熱を抑制し、減磁を抑制することができる。また、ロータ40とステータ50を同時に冷却する構造を提供することができる。すなわち、モータ部20の温度上昇を抑えるための冷却効果の高い構造を有するポンプ装置10を提供することができる。
【第2実施形態】
【0080】
次に、本発明の第2実施形態に係るポンプ装置について説明する。第1実施形態では、モータ部は、ステータがロータの径方向外側に位置するインナーロータ型モータの構成を有する。これに対して、本実施形態におけるモータ部は、軸方向に所定の間隔を空けてシャフト41に取り付けられた2つのロータと、2つのロータの間にステータが配置されるアキシャルギャップ型モータの構成を有する。以下、第1実施形態との差異を中心に説明する。本実施形態に係るポンプ装置では、第1実施形態に係るポンプ装置と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0081】
図7は、本実施形態のポンプ装置100を示す断面図である。
ポンプ装置100は、図7に示すように、シャフト41と、モータ部200と、ハウジング141と、ポンプ部300と、を有する。シャフト41は、軸方向に延びる中心軸Jを中心として回転する。モータ部200とポンプ部300とは、軸方向に沿って並んで設けられる。
【0082】
モータ部200は、上側ロータ401と、下側ロータ402と、ステータ501と、上側軸受部材421と、下側軸受部材422と、バスバーアッシー(不図示)と、コネクタ(不図示)と、を有する。下側ロータ402及び上側ロータ401はいずれも径方向に延びる円盤状である。上側ロータ401は、ステータ501と対向する面(−Z側面)に周方向に配列された複数の上側マグネット441と、上側マグネット441を保持する上側ロータヨーク431とを有する。
【0083】
下側ロータ402は、下側マグネット442及び下側ロータヨーク432を有する。下側ロータ402は、ステータ501と対向する面(−Z側面)に周方向に配列された複数の下側マグネット442と、下側マグネット442を保持する下側ロータヨーク432とを有する。すなわち、上側マグネット441と下側マグネット442とは、ステータ501の軸方向の両面にそれぞれ対向して配置される。上側ロータヨーク431と下側ロータヨーク432は、互いに同軸にシャフト41の外周面に固定される。
【0084】
上側軸受部材421及び下側軸受部材422は、シャフト41を回転可能に支持する。上側軸受部材421は、ハウジング141に固定される。ステータ501は、周方向に配列された複数(第2の実施形態では12個)の平面視扇状のコアと、それぞれのコアに設けられたコイルと、それぞれのコアのコイルから引き出されたコイル引出線と、複数のコアを一体に固着するモールド樹脂と、ステータ501の外周端に設けられた複数の引出線支持部と、を有する。
【0085】
ハウジング141は、モータ部200の筐体を構成する。ハウジング141の軸方向のほぼ中央部にステータ501が保持される。ステータ501のリア側(−Z側)に下側ロータ402が収容される。なお、バスバーアッシー(不図示)が収容されていてもよい。ステータ501のフロント側(+Z側)に上側ロータ401が収容される。ハウジング141は、リア側が開口した有蓋円筒状の第1ハウジング121と、第1ハウジング121のリア側(−Z側)に連結された有底円筒状の第2ハウジング(カバー)131とを有する。ハウジング141の材質は、例えば金属または樹脂である。
【0086】
第1ハウジング121の円筒部121bの内周面には段差部121cが形成される。段差部121cにステータ501が保持される。第1ハウジング121は、円盤状の頂壁121aと、頂壁121aの中央部に設けられた上側軸受保持部651と、を有する。上側軸受保持部651は、ポンプ部300のリア側開口部に嵌合される。上側軸受保持部651は、上側軸受部材421を保持する。
【0087】
第2ハウジング131は、円盤状の底壁131aと、底壁131aの周縁部からフロント側(+Z側)へ延びるカバー円筒部131bと、底壁131aの中央部に設けられた下側軸受保持部652とを有する。カバー円筒部131bは、第1ハウジング121のリア側(−Z側)開口部に固定される。より詳細には、第2ハウジング131のフランジ部111及び112と、第1ハウジング121のフランジ部113及び114とを用いて、ボルト締結等の方法により第1ハウジング121と第2ハウジング131とが固定される。
【0088】
第2ハウジング131にバスバーアッシー(不図示)が収容される場合、第2ハウジング131の底壁131aには、軸方向に貫通する貫通孔(不図示)が設けられ、貫通孔にコネクタ(不図示)が取り付けられる。コネクタにはバスバーアッシーから底壁131aを貫通してリア側(−Z側)に延びる外部接続端子(不図示)が配置される。
【0089】
ポンプ部300は、モータ部200の軸方向一方側、詳細にはフロント側(+Z軸側)に位置する。ポンプ部300は、モータ部200によってシャフト41を介して駆動される。ポンプ部300は、ポンプボディ311と、ポンプロータ351と、ポンプカバー321と、を有する。ポンプロータ351は、インナーロータ371及びアウターロータ381を有する。ポンプカバー321は、吸入口32c及び吐出口32dを有する。これらポンプ部300が有する各部材についての説明は第1実施形態と同様のため省略する。
【0090】
次に、本実施形態に係るポンプ装置100が有する冷却構造について説明する。第1実施形態の場合と同様に、外部装置から供給されたオイルがポンプロータ351によって吸入口32cから吐出口32dに流れるとともに、モータ部200内に吸入され、モータ部200内を循環することによってステータ501及び上側ロータ401及び下側ロータ402を冷却することを実現する。以下、ポンプ装置100におけるオイルの流路について、第1実施形態との差異を中心に説明する。
【0091】
ポンプ装置100は、図7に示すように、ポンプ部300内とハウジング141内とを繋ぐ第1流路1と、ステータ501と上側ロータ401及び下側ロータ402との間に設けられた第2流路2aまたは2bと、第2流路2aまたは2bから、ステータ501と上側ロータ401及び下側ロータ402との径方向内側または径方向外側を経由してポンプ吸入口に繋がる第3流路3a〜3cと、を有する。
【0092】
本実施形態の第1流路1は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。本実施形態では、第2流路は、図7に示すように、以下の2つの流路を含む。1つ目の第2流路2aは、上側ロータ401と、上側ロータ401の上側マグネット441と対向するステータ501の軸方向の一端との間に位置する。2つ目の第2流路2bは、下側ロータ402と、下側ロータ402の下側マグネット442と対向するステータ501の軸方向の一端との間に位置する。したがって、ステータ501と上側ロータ401及び下側ロータ402は、同時に冷却することが可能となる。
【0093】
なお、本実施形態では、ステータ501と上側ロータ401または下側ロータ402との対向する対向面に、1または複数の溝が設けられている。溝は、オイルの進行方向に対して傾斜している。溝は、直線溝であってもよく、また螺旋溝であってもよい。本実施形態によれば、ポンプロータ351の加圧を使用しモータ内部にオイルを流し、モータ部200内のオイル循環を実現するため、第2流路2aまたは2bに溝を設けることにより、効率よくオイルを循環させることができる。
【0094】
モータ部200をオイルが効率よく循環することにより、上側ロータマグネット441または下側ロータマグネット442の発熱を抑制し、減磁を抑制することができる。また、モータ部200をオイルが効率よく循環することにより、上側ロータ401及び下側ロータ402とステータ501を同時に冷却する構造を提供することができる。すなわち、モータ部200の温度上昇を抑えるための冷却効果の高い構造を提供することができる。
【0095】
なお、溝のピッチ、溝の形状及び断面形状、及び溝の深さ、溝の幅、その他溝の寸法については、特に限定するものではなく、溝を設けるステータ501または上側ロータ401または下側ロータ402の軸径、オイルの給油量及び荷重、加工のしやすさ等に応じて決めればよい。溝のピッチや溝の寸法等は一定である必要はなく、例えば、オイルの進行方向にしたがって溝の深さを浅くする等してもよい。
【0096】
本実施形態では、第3流路は、図7に示すように、以下の3つの流路を含む。1つ目の第3流路3aは、ステータ501とシャフト41との間、すなわち、ステータ501及び上側ロータ401及び下側ロータ402の径方向内側に位置する。2つ目の第3流路3bは、ステータ501とステータ501を保持するハウジング141との間に位置する。
【0097】
すなわち、第3流路3bは、ステータ501及び上側ロータ401及び下側ロータ402の径方向外側に位置する。3つ目の第3流路3cは、ポンプボディ311に設けられ、第3流路3bとポンプ部300の内部とを繋ぐ流路である。なお、流路3cは、図7に示す例では、ポンプボディ311に設けられるが、これに限られるものではない。第3流路3cは、第1実施形態の場合と同様に、流路3bとポンプ部300の吸入口とを繋ぐ流路であれば任意の流路を含みうる。本実施形態においても第1実施形態と同様に、ポンプ装置100は、ステータ501と上側ロータ401及び下側ロータ402とを同時に冷却し、冷却効果の高い構造を有する。
【0098】
なお、ステータ501及び上側ロータ401及び下側ロータ402は、第1実施形態と同様に、樹脂による一体成型品であってもよく、溝は樹脂上に設けられる。樹脂による一体成型品である方が、ステータ501または上側ロータ401または下側ロータ402がオイルと接触する表面積を増大させることができる。このため、より効率よくモータ部200内を冷却することができる。
【0099】
本実施形態によれば、ポンプ装置100は、軸方向に延びる中心軸を中心として回転するシャフト41と、シャフト41を回転させるモータ部200と、モータ部200の軸方向一方側に位置し、モータ部200によってシャフト41を介して駆動され、オイルを吐出するポンプ部300と、を有し、モータ部200は、シャフト41の周囲において回転する上側ロータ401及び下側ロータ402と、上側ロータ401及び下側ロータ402と軸方向に対向して配置されたステータ501と、上側ロータ401及び下側ロータ402及びステータ501を収容するハウジング141と、を有する。ポンプ部300は、シャフト41に取り付けられるポンプロータ351と、オイルを吸入する吸入口32cと、オイルを吐出する吐出口32dとが設けられ、ポンプロータ351を収容するポンプケース(311及び321)と、を有する。ポンプ装置100は、ポンプ部300内とハウジング141内とを繋ぐ、オイルの第1流路1と、ステータ501と上側ロータ401または下側ロータ402との間に設けられた、オイルの第2流路2と、第2流路2から、ステータ501および上側ロータ401および下側ロータ402の径方向外側を経由してポンプ吸入口に繋がる、オイルの第3流路3a〜3cと、を有する。上側ロータ401または下側ロータ402とステータ501とが対向する対向面に、1または複数の溝55が設けられ、溝は、オイルの進行方向に対して傾斜している。
【0100】
ポンプ装置100は、ポンプロータ351の加圧を使用し、モータ部200内にオイルを流す。ここで、第2流路が設けられるステータ501と上側ロータ401または下側ロータ402との間、すなわち上側ロータ401または下側ロータ402とステータ501とが対向する対向面に、オイルの進行方向に対して傾斜している溝55を設ける。これにより、効率よくオイルを循環させることができる。モータ部200内をオイルが効率よく循環することにより、上側ロータマグネット441及び下側ロータマグネット442の発熱を抑制し、減磁を抑制することができる。また、上側ロータ401及び下側ロータ402とステータ501とを同時に冷却する構造を提供することができる。すなわち、モータ部200の温度上昇を抑えるための冷却効果の高い構造を提供することができる。
【0101】
なお、本実施形態では、ステータ501の軸方向においてフロント側の一端と第1ハウジング121の頂壁121aとの間にリング部材601が設けられる。これにより、リング部材601がステータ501とポンプボディ311のそれぞれと環状の接触部を有した状態で接触し、第1実施形態と同様に、第1流路1からオイルが流入する領域と、第3流路3bから第3流路3cへ繋がる領域とが分断される。したがって、第1流路1から流入したオイルが第3流路3cへ分流することがない。このため、モータ部200内において、第1流路1から第3流路3cのみのオイルの循環だけでなく、ステータ501と上側ロータ401と下側ロータ402のオイルの循環経路を設けることができ、モータ部200の内部の冷却効果が高い構造を有する。
【0102】
なお、第1実施形態の図6と同様に、ハウジング141に貫通孔を設け、第2流路2bからのオイルをハウジング141の外側に排出してもよい。この場合、第3流路3bは、ハウジング141の外側に位置する。
【0103】
また、本実施形態のポンプ装置100では、ステータ501がハウジング141の円筒部121bに固定される場合について説明したが、これに限られるものではない。ポンプ装置100のステータ501がシャフト41に固定される場合であっても、本発明は適用可能であり、ポンプ装置100は同様の流路による冷却構造を有する。
【0104】
また、本実施形態では、ポンプ装置100のモータ部200は、上側ロータ401及び下側ロータ402の両方を有する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、下側ロータ402のみを有するポンプ装置100においても、本発明は適用可能である。その場合、ポンプ装置100は、第2流路として第2流路2bのみを有する。
【第3実施形態】
【0105】
次に、本発明の第3実施形態に係るポンプ装置について説明する。第1実施形態では、ポンプ装置10のモータ部20がインナーロータ型モータの構成を有し、第2実施形態では、ポンプ装置100のモータ部200がアキシャルギャップ型モータの構成を有する。これに対して、本実施形態におけるモータ部200は、ステータ5000がロータの径方向内側に位置するアウターロータ型モータの構成を有する。以下、第1実施形態及び第2実施形態との差異を中心に説明する。本実施形態に係るポンプ装置では、第1実施形態または第2実施形態に係るポンプ装置と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0106】
図8は、本実施形態のポンプ装置1000を示す断面図である。
本実施形態のポンプ装置1000は、シャフト41と、モータ部2000と、ポンプ部300とを有する。シャフト41は、軸方向に延びる中心軸Jを中心として回転する。モータ部2000とポンプ部300とは、軸方向に沿って並んで設けられる。
【0107】
モータ部2000は、図8に示すように、ハウジング1401と、ロータ4000と、ステータ5000と、軸受ハウジング6501と、上側軸受部材421と、下側軸受部材422と、制御装置(不図示)と、バスバーアッシー(不図示)と、を有する。なお、制御装置及びバスバーアッシーは、モータ部2000内に内蔵しなくてもよく、例えば、ハウジング1401の軸方向においてリア側の一端に取り付けてもよく、ハウジング1401の側面1401aに取り付けてもよい。
【0108】
ロータ4000は、ロータマグネット4401と、ロータヨーク4301を有する。ロータヨーク4301は、カップ形状(フロント側開口)を有し、中央にシャフト41が連結された円板状の天板部4301bと、天板部4301bの外周をフロント側に延ばすように設けられた円筒部4301aとを有する。ロータマグネット4401は、ロータヨーク4301の円筒部4301aの内周面に配置され、内周面がステータ5000と径方向において対向する。ロータ4000は、シャフト41に固定される。
【0109】
軸受ハウジング6501は、円筒形状を有する軸受ハウジング円筒部6501bと、軸受ハウジング円筒部6501bの内周面に設けられた環状突出部6501aと、軸受ハウジング円筒部6501bの外周面に設けられた鍔部6501cと、を有する。環状突出部6501aは、軸受ハウジング円筒部6501bの内径を小さくするように内側に突出する。
【0110】
軸受ハウジング円筒部6501bの内周面において、フロント側には上側軸受部材421が設けられる。軸受ハウジング円筒部6501bの内周面において、リア側には下側軸受部材422が設けられる。上側軸受部材421及び下側軸受部材422は、それぞれシャフト41に嵌合される。上側軸受部材421及び下側軸受部材422は、シャフト41を軸受ハウジング6501に対し回転可能に支持する。
【0111】
ステータ5000は、軸受ハウジング6501の外周に固定される。詳細には、ステータ5000の円環形状のコアバックの内周面に軸受ハウジング6501が嵌め合わされている。ポンプ部300のリア側開口部に接続されるハウジング1401の頂壁1401cは、ステータ5000のフロント側に配置され、軸受ハウジング6501を支持する。制御装置(不図示)は、ハウジング1401の底壁1401bとステータ5000との間に配置される。
【0112】
次に、本実施形態に係るポンプ装置1000が有する冷却構造について説明する。第1実施形態の場合と同様に、外部装置から供給されたオイルがポンプロータ351によって吸入口32cから吐出口32dに流れるとともに、モータ部2000内に吸入され、モータ部2000内を循環する。この循環によりステータ5000及びロータ4000を冷却することを実現する。以下、ポンプ装置1000におけるオイルの流路について、第1実施形態及び第2実施形態との差異を中心に説明する。
【0113】
ポンプ装置1000は、図8に示すように、ポンプ部300内とハウジング1401内とを繋ぐ第1流路1と、ステータ5000とロータ4000との間に設けられた第2流路2と、第1流路から、ステータ5000およびロータ4000の径方向内側を経由して第2流路2に繋がる第3流路3a及び3bと、第2流路2からポンプ吸入口に繋がる流路3cとを含む第3流路と、を有する。
【0114】
本実施形態の第1流路1は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。本実施形態では、第2流路2は、図8に示すように、ステータ5000の外周面とロータ4000の内周面の間に位置する。本実施形態では、ステータ5000の外周面またはロータ4000の内周面に、1または複数の溝55が設けられている。第1実施形態の場合と同様に、図3(a)に示すように、ステータ5000の外周面またはロータ4000の内周面において、溝55は、オイルの進行方向に対して傾斜している。
【0115】
また、第1実施形態と同様に、溝55は、図3(d)または図3(e)に示すように、径方向(径方向外側または径方向内側)に突出した断続部56を有していてもよい。その他、溝55の形状等については、第1実施形態の場合と同様のため、説明を省略する。
【0116】
本実施形態では、第3流路は、図8に示すように、以下の3つの流路を含む。1つ目の第3流路3aは、軸受ハウジング6501とシャフト41との間に位置する。2つ目の第3流路3bは、ステータ5000と軸受ハウジング6501との間に位置する。すなわち、第3流路3a及び第3流路3bのいずれもステータ5000及びロータ4000の径方向内側に位置し、第1流路1から、ステータ5000およびロータ4000の径方向内側を経由して第2流路2に繋がる流路である。
【0117】
3つ目の第3流路3cは、第2流路2からポンプ吸入口に繋がる流路である。なお、第3流路3cは、図8に示す例では、ポンプボディ311に設けられるが、これに限られるものではない。第3流路3cは、第2流路2とポンプ部300の吸入口とを繋ぐ流路であれば任意の流路を含みうる。本実施形態においても第1実施形態および第2実施形態と同様に、ポンプ装置1000は、ステータ5000とロータ4000を同時に冷却し、冷却効果の高い構造を有する。
【0118】
本実施形態では、第1流路1に流入したオイルは、第3流路3aまたは3bを経由して第2流路2に流れる。そして、第2流路2は、第3流路3cに繋がり、オイルはポンプ部300に戻される。なお、第2流路2からロータヨーク4301の外周面とハウジング1401の内周面にオイルが流れることもありうる。この場合、オイルはハウジング1401の底壁1401bに溜まり、やがてロータヨーク4301の外周面とハウジング1401の内周面との間をポンプ部300の方向にオイルが流れる。図8に示した、ロータヨーク4301とハウジング1401との間の流路を示す矢印は、上述した場合を示している。
【0119】
なお、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、ハウジング1401に貫通孔を設け、第2流路2からのオイルをハウジング1401の外側に排出してもよい。この場合、第3流路は、ハウジング1401の外側に位置する流路、すなわちステータ5000及びロータ4000の径方向外側に位置する流路を含みうる。また、ステータ5000及びロータ4000は、第1実施形態と同様に、樹脂による一体成型品であってもよく、溝は樹脂上に設けられる。樹脂による一体成型品である方が、ステータ5000またはロータ4000がオイルと接触する表面積を増大させることができる。このため、より効率よくモータ部2000内を冷却することができる。
【0120】
本実施形態によれば、ポンプ装置1000は、軸方向に延びる中心軸を中心として回転するシャフト41と、シャフト41を回転させるモータ部2000と、モータ部2000の軸方向一方側に位置し、モータ部2000によってシャフト41を介して駆動され、オイルを吐出するポンプ300部と、を有し、モータ部2000は、シャフト41の周囲において回転するロータ4000と、ロータ4000と対向して配置されたステータ5000と、ロータ4000及びステータ5000を収容するハウジング1401と、を有する。ポンプ部300は、シャフト41に取り付けられるポンプロータ351とオイルを吸入する吸入口32cと、オイルを吐出する吐出口32dとが設けられ、ポンプロータ351を収容するポンプケース(311及び321)と、を有する。ポンプ装置1000は、ポンプ部300内とハウジング1401内とを繋ぐ、オイルの第1流路1と、ステータ5000とロータ4000との間に設けられた、オイルの第2流路2と、第1流路1から、ステータ5000および前記ロータ4000の径方向内側を経由して第2流路2に繋がる流路3a及び3bと、第2流路2からポンプ吸入口に繋がる流路3cとを含む第3流路と、を有する。ロータ4000の内周面、またはステータ5000の外周面に、1または複数の溝55が設けられ、溝55は、オイルの進行方向に対して傾斜している。
【0121】
ポンプ装置1000は、ポンプロータ351の加圧を使用し、モータ部2000内にオイルを流す。ここで、第2流路が設けられるステータ5000とロータ4000との間、すなわちロータ4000の内周面、またはステータ5000の外周面に、オイルの進行方向に対して傾斜している溝55を設ける。これにより、効率よくオイルを循環させることができる。モータ部2000内をオイルが効率よく循環することにより、ロータマグネット4401の発熱を抑制し、減磁を抑制することができる。また、ロータ4000とステータ5000を同時に冷却する構造を提供することができる。すなわち、モータ部2000の温度上昇を抑えるための冷却効果の高い構造を提供することができる。
【0122】
図9は、本実施形態に係るその他のポンプ装置1001の断面図である。
本実施形態のポンプ装置1001は、シャフト41と、モータ部2001と、ポンプ部300とを有する。シャフト41は、軸方向に延びる中心軸Jを中心として回転する。モータ部2001とポンプ部300とは、軸方向に沿って並んで設けられる。
【0123】
図8に示したポンプ装置1000と図9に示したポンプ装置1001とは、モータ部が異なる。図8と共通する構成には同一の符号を付し、説明は省略する。モータ部2001は、図9に示すように、ハウジング1402と、ロータ4001と、ステータ5000と、軸受ハウジング6502と、上側軸受部材421と、下側軸受部材422と、制御装置(不図示)と、バスバーアッシー(不図示)と、を有する。なお、制御装置及びバスバーアッシーは、モータ部2001内に内蔵しなくてもよく、例えば、ハウジング1402の軸方向においてリア側の一端に取り付けてもよく、ハウジング1402の側面に取り付けてもよい。
【0124】
ロータ4001は、ロータマグネット4402と、ロータヨーク4302を有する。ロータヨーク4302は、図8のポンプ装置1000と異なり、リア側開口のカップ形状を有する。中央にシャフト41が連結された円板状の天板部4302bと、天板部4302bの外周をリア側に延ばすように設けられた円筒部4302aとを有する。ロータマグネット4402は、ロータヨーク4302の円筒部4302aの内周面に配置され、内周面がステータ5000と径方向おいて対向する。ロータ4001は、シャフト41に固定される。
【0125】
軸受ハウジング6502は、円筒形状を有する軸受ハウジング円筒部6502bと、軸受ハウジング円筒部6502bの内周面に設けられた環状突出部6502aと、軸受ハウジング円筒部6502bの外周面に設けられた鍔部6502cと、を有する。環状突出部6502aは、軸受ハウジング円筒部6502bの内径を小さくするように内側に突出する。
【0126】
軸受ハウジング円筒部6502bの内周面において、リア側には下側軸受部材422が設けられる。軸受ハウジング円筒部6502bの内周面において、フロント側には上側軸受部材421が設けられる。上側軸受部材421及び下側軸受部材422は、それぞれシャフト41に嵌合される。上側軸受部材421及び下側軸受部材422は、シャフト41を軸受ハウジング6502に対し回転可能に支持する。
【0127】
ステータ5000は、軸受ハウジング6502の外周に固定される。詳細には、ステータ5000の円環形状のコアバック部(不図示)の内周面に軸受ハウジング6502が嵌め合わされている。ハウジング1402の底壁1402bは、ステータ5000のリア側に配置され、軸受ハウジング6502を支持する。制御装置(不図示)は、ハウジング1402の底壁1402bとステータ5000との間に配置される。
【0128】
次に、本実施形態に係るポンプ装置1001が有する冷却構造について説明する。図8との差異を中心に説明する。ポンプ装置1001は、図9に示すように、ポンプ部300内とハウジング1402内とを繋ぐ第1流路1と、ステータ5000とロータ4001との間に設けられた第2流路2と、第2流路2から、ステータ5000及びロータ4001の径方向内側および径方向外側を経由してポンプ部300の吸入口(ポンプ吸入口)32cに繋がる第3流路3a〜3c(第3流路)と、を有する。
【0129】
本実施形態では、第1流路1からモータ部2001内に流入したオイルは、ロータヨーク4302の天板部4302bに沿って流れ、円筒部4302aとハウジング1402の側面1402aの間を流れる。本実施形態では、ステータ5000のリア側コイル端と、ハウジング1402の側面とを接続するリング部材6503を設ける。これにより、ロータヨーク4302の円筒部4302aとハウジング1402の側面1402aの間を流れたオイルが、ステータ5000とロータ4001の間に設けられた第2流路2へ流れる。
【0130】
本実施形態では、ステータ5000の外周面またはロータ4001の内周面に、1または複数の溝55が設けられている。第1実施形態の場合と同様に、図3(a)に示すように、ステータ5000の外周面またはロータ4001の内周面において、溝55は、オイルの進行方向に対して傾斜している。また、第1実施形態と同様に、溝55は、図3(d)または図3(e)に示すように、径方向外側または径方向内側に突出した断続部56を有していてもよい。その他、溝55の形状等については、第1実施形態の場合と同様のため、説明を省略する。
【0131】
本実施形態では、第3流路3a及び3bは、第2流路2から、ステータ5000及びロータ4001の径方向内側及び径方向外側を経由してポンプ部300の吸入口(ポンプ吸入口)32cに繋がる流路であり、図9に示す例では、第3流路3a〜3cを含む。第3流路3aは、ステータ5000とシャフト41との間に設けられる。すなわち、第3流路3aは、ステータ5000及びロータ4001の径方向内側に位置する。
【0132】
第3流路3bは、ハウジングの側面1402aに設けられた貫通孔1402cを介して、ハウジング1402の外側に設けられる。ハウジング1402aの外側に設けられる流路に関しては、第1実施形態において図6を用いて説明した場合と同様に、貫通孔1402cと貫通孔321cとを繋ぐ任意の流路を含みうる。
【0133】
また、貫通孔1402c及び貫通孔321cの位置は、図9に示した位置に限られるものではなく、ハウジング1402の側面1402aまたはポンプカバー321の任意の位置に設けてもよい。第3流路3cは、ポンプボディ311に設けられ、貫通孔321cとポンプ部300の内部とを繋ぐ。第3流路3cを設けることにより、第1流路1を介してモータ部2001内に吸入されたオイルは、モータ部2001内からポンプ部300内へ循環することができる。
【0134】
これにより、ステータ5000及びロータ4001を効率よく冷却することが実現できる。なお、図9に示す例では、第3流路3cは、ポンプボディ311に設けられるが、これに限られるものではない。第3流路3cは、第3流路3bからポンプ吸入口に繋がる流路であれば、ポンプ装置1001の外側の任意の流路を含みうる。
【0135】
本実施形態によれば、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、ポンプ装置1001は、ステータ5000とロータ4001を同時に冷却し、冷却効果の高い構造を有する。なお、ステータ5000及びロータ4001は、第1実施形態と同様に、樹脂による一体成型品であってもよく、溝は樹脂上に設けられる。樹脂による一体成型品である方が、ステータ5000またはロータ4001がオイルと接触する表面積を増大させることができる。このため、より効率よくモータ部2001内を冷却することができる。
【0136】
本実施形態によれば、ポンプ装置1001は、軸方向に延びる中心軸を中心として回転するシャフト41と、シャフト41を回転させるモータ部2001と、モータ部2001の軸方向一方側に位置し、モータ部2001によってシャフト41を介して駆動され、オイルを吐出するポンプ300部と、を有し、モータ部2001は、シャフト41の周囲において回転するロータ4001と、ロータ4001と対向して配置されたステータ5000と、ロータ4001及びステータ5000を収容するハウジング1402と、を有する。ポンプ部300は、シャフト41に取り付けられるポンプロータ351とオイルを吸入する吸入口32cと、オイルを吐出する吐出口32dとが設けられ、ポンプロータ351を収容するポンプケース(311及び321)と、を有する。ポンプ装置1001は、ポンプ部300内とハウジング1402内とを繋ぐ、オイルの第1流路1と、ステータ5000とロータ4001との間に設けられた、オイルの第2流路2と、第2流路2から、ステータ5000およびロータ4001の径方向内側及び径方向外側を経由してポンプ部300の吸入口32cに繋がる、オイルの第3流路3a〜3cと、を有する。ロータ4001の内周面、またはステータ5000の外周面に、1または複数の溝55が設けられ、溝55は、オイルの進行方向に対して傾斜している。
【0137】
ポンプ装置1001は、ポンプロータ351の加圧を使用し、モータ部2001内にオイルを流す。ここで、第2流路が設けられるステータ5000とロータ4001との間、すなわちロータ4001の内周面、またはステータ5000の外周面に、オイルの進行方向に対して傾斜している溝55を設ける。これにより、効率よくオイルを循環させることができる。モータ部2001内をオイルが効率よく循環することにより、ロータマグネット4402の発熱を抑制し、減磁を抑制することができる。また、ポンプ装置1001は、ロータ4001とステータ5000を同時に冷却する構造を提供することができる。すなわち、ポンプ装置1001は、モータ部2001の温度上昇を抑えるための冷却効果の高い構造を提供することができる。
【0138】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【0139】
本出願は、2016年9月30日に出願された日本出願特願2016−195276号に基づく優先権を主張し、当該日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【符号の説明】
【0140】
10 ポンプ装置
12 ハウジング
20 モータ部
30 ポンプ部
31 ポンプボディ
32 ポンプカバー
33 ポンプ室
41 シャフト
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9