【0016】
ここで、Zは2〜8個の水酸基を持つ化合物から、すべての水酸基を除いた残基である。
OA
1、OA
2、OA
3はオキシエチレン基であり、a、b、cは0〜5000(好ましくは0〜3000、更に好ましくは0〜1000)である。
L
1、L
2、L
3は、それぞれ独立して、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合、ウレア結合、エーテル結合、チオエーテル結合をアルキレン鎖中又は末端に有していてもよいアルキレン基である。L
1、L
2、L
3は一分子中で互いに同一又は異なっている。
p、q、rは、それぞれ独立して、0または1である。
s、tは、それぞれ独立して、0〜8(特に好ましくは2、3、4、6、8)である。
X
1、X
2、X
3は、それぞれ独立して、水酸基、メトキシ基、t-ブトキシ基、ベンジロキシ基等のアルコキシ基、またはタンパク質やポリペプチド、薬物などの生理活性物質と特異的に反応する活性基を示す。X
1、X
2、X
3は一分子中で互いに同一又は異なっている。
【実施例】
【0025】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
transー2−[3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルー2−プロペニリデン]マロノニトリル(サンタクルーズ社製、純度99%以上:1−オクタノール/水分配係数4.6)をMALDI質量分析用マトリクスとし、分岐型ポリエチレングリコール誘導体SUNBRIGHT GL2−600HO(日油製、分子量60000、化合物1)を試料とし、これにトリフルオロ酢酸ナトリウムをイオン化剤として用いた。MALDI質量分析用マトリクスのテトラヒドロフラン溶液(濃度20mg/mL)、分岐型ポリエチレングリコール誘導体のテトラヒドロフラン溶液(濃度60mg/mL)、トリフルオロ酢酸ナトリウム(イオン化剤)のテトラヒドロフラン溶液(濃度2mg/mL)を100:1:2(容量比)で混合した。
【0026】
MALDI質量分析用マトリクス、分岐型ポリエチレングリコール誘導体、イオン化剤混合溶液をMALDI質量分析用ターゲット上にマイクロピペットで1μL滴下し、乾燥させた後、そのターゲットをブルカー・ダルトニクス社製AutoFlexIII型MALDI質量分析装置内に挿入した。その後、加速電圧20.0kV、レーザー強度を適宜調整し、レーザーショット2500回積算の正イオン化モードにて測定を行った。シグナル強度の評価は、得られたマススペクトルにおけるピークトップのシグナル強度を用いることとした。
実施例1のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合のシグナル強度は10389カウントであった。実施例1で得られたマススペクトルチャートを
図1に示す。
【0027】
【化2】
【0028】
(比較例1−1)
マトリクスとしてα―シアノー4−ヒドロキシ桂皮酸(CHCA:(1−オクタノール/水分配係数0.9)を用いた以外は、実施例1と同一の条件で測定および評価を行った。比較例1−1のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合のシグナル強度は、978カウントであった。比較例1−1で得られたマススペクトルチャートを
図2に示す。
【0029】
(比較例1−2)
マトリクスとして2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHB:(1−オクタノール/水分配係数0.6)を用いた以外は、実施例1と同一の条件で測定および評価を行った。比較例1−2のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合、シグナルは検出されなかった。比較例1−2で得られたマススペクトルチャートを
図3に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
(実施例2)
ポリエチレングリコール誘導体としてSUNBRIGHT GL4−800HO(日油製、分子量80000、化合物2)の80mg/mLテトラヒドロフラン溶液を用いた以外は、実施例1と同一の条件で測定および評価を行った。実施例2のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合のシグナル強度は23,734カウントであった。実施例2で得られたマススペクトルチャートを
図4に示す。
【0032】
【化3】
【0033】
(比較例2−1)
マトリクスとしてCHCAを用いた以外は、実施例2と同一の条件で測定および評価を行った。比較例2−1のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合のシグナル強度は2,005カウントであった。比較例2−1で得られたマススペクトルチャートを
図5に示す。
【0034】
(比較例2−2)
マトリクスとしてDHBを用いた以外は、実施例2と同一の条件で測定および評価を行った。比較例2−2のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合、シグナルは検出されなかった。比較例2−2で得られたマススペクトルチャートを
図6に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
(実施例3)
ポリエチレングリコール誘導体としてSUNBRIGHT MEH−40T(日油製、分子量40000、化合物4)の40mg/mLテトラヒドロフラン溶液を用いた以外は、実施例1と同一の条件で測定および評価を行った。実施例3のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合のシグナル強度は1,390カウントであった。実施例3で得られたマススペクトルチャートを
図7に示す。
【0037】
【化4】
【0038】
(比較例3−1)
マトリクスとしてCHCAを用いた以外は、実施例3と同一の条件で測定および評価を行った。比較例3−1のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合のシグナル強度は39カウントであった。比較例3−1で得られたマススペクトルチャートを
図8に示す。
【0039】
(比較例3−2)
マトリクスとしてDHBを用いた以外は、実施例3と同一の条件で測定および評価を行った。比較例3−2のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合、シグナルは検出されなかった。比較例3−2で得られたマススペクトルチャートを
図9に示す。
【0040】
【表3】
【0041】
(実施例4)
ポリエチレングリコール誘導体としてSUNBRIGHT ME−400GS(日油製、分子量40000、化合物5)の40mg/mLテトラヒドロフラン溶液を用いた以外は、実施例1と同一の条件で測定および評価を行った。実施例4のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合のシグナル強度は1,971カウントであった。実施例4で得られたマススペクトルチャートを
図10に示す。
【0042】
【化5】
【0043】
(比較例4−1)
マトリクスとしてCHCAを用いた以外は、実施例4と同一の条件で測定および評価を行った。比較例4−1のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合のシグナル強度は39カウントであった。比較例4−1で得られたマススペクトルチャートを
図11に示す。
【0044】
(比較例4−2)
マトリクスとしてDHBを用いた以外は、実施例4と同一の条件で測定および評価を行った。比較例4−2のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合、シグナルは検出されなかった。比較例4−2で得られたマススペクトルチャートを
図12に示す。
【0045】
【表4】
【0046】
(実施例5)
ポリエチレングリコール誘導体としてSUNBRIGHT GL2−400HO(日油製、分子量40000、化合物6)の40mg/mLテトラヒドロフラン溶液を用いた以外は、実施例1と同一の条件で測定および評価を行った。実施例5のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合のシグナル強度は4,469カウントであった。実施例5で得られたマススペクトルチャートを
図13に示す。
【0047】
【化6】
【0048】
(比較例5−1)
マトリクスとしてCHCAを用いた以外は、実施例5と同一の条件で測定および評価を行った。比較例5−1のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合のシグナル強度は85カウントであった。比較例5−1で得られたマススペクトルチャートを
図14に示す。
【0049】
(比較例5−2)
マトリクスとしてDHBを用いた以外は、実施例5と同一の条件で測定および評価を行った。比較例5−2のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合、シグナルは検出されなかった。比較例5−2で得られたマススペクトルチャートを
図15に示す。
【0050】
【表5】
【0051】
(実施例6)
ポリエチレングリコール誘導体としてSUNBRIGHT PTE−40000(日油製、分子量40000、化合物7)の40mg/mLテトラヒドロフラン溶液を用いた以外は、実施例1と同一の条件で測定および評価を行った。実施例6のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合のシグナル強度は10,138カウントであった。実施例6で得られたマススペクトルチャートを
図16に示す。
【0052】
【化7】
【0053】
(比較例6−1)
マトリクスとしてCHCAを用いた以外は、実施例6と同一の条件で測定および評価を行った。比較例6−1のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合のシグナル強度は564カウントであった。比較例6−1で得られたマススペクトルチャートを
図17に示す。
【0054】
(比較例6−2)
マトリクスとしてDHBを用いた以外は、実施例6と同一の条件で測定および評価を行った。比較例6−2のMALDI質量分析用試料の調製方法を用いた場合、シグナルは検出されなかった。比較例6−2で得られたマススペクトルチャートを
図18に示す。
【0055】
【表6】