(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記柔軟性基材が、布、皮革、紙、及びエラストマー素材からなる群から選択される少なくとも1つの材料から形成される請求項3に記載のパターンを有する基材の製造方法。
前記貼り合せ工程後、前記剥離用基材を前記熱可塑性フィルムから取り外す取り外し工程を更に備える請求項1〜4のいずれか1項に記載のパターンを有する基材の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<パターンを有する基材の製造方法の概要>
本発明に係るパターンを有する基材の製造方法は、熱可塑性フィルム及び基材を準備し、熱可塑性フィルムの一方の面に所定の機能を有するパターンを形成する。そして、パターンが形成されている熱可塑性フィルムの面を基材に接触させる。続いて、熱可塑性フィルムを加熱することで熱可塑性フィルムの少なくとも一部を融解させて基材に貼り合せることで、接着剤を用いずにパターンを有する基材を製造する方法である。なお、パターンは、所定形状のパターン及び/又はイメージを含む。これにより、熱可塑性フィルムと基材との間にパターンが挟まれた状態になるので、パターンの損傷を防止できると共に、接着剤レスでパターンを有する基材を製造できる。
【0018】
<パターンを有する基材の製造方法の詳細>
図1は、パターンを有する基材の製造方法の流れの一例を示す。
【0019】
具体的に、パターンを有する基材の製造方法は、熱可塑性フィルムに剥離用基材を貼り付ける貼り付け工程(ステップ10。以下、ステップを「S」と表す。)と、熱可塑性フィルムの剥離用基材に接触している面の反対側の面に所定の組成物の硬化物からなるパターンを形成するパターン形成工程(S20)と、熱可塑性フィルムのパターンが形成されている面側に基材を接触させ(S30)、熱可塑性フィルムの少なくとも一部を融解させることで熱可塑性フィルムを基材に貼り合せる貼り合せ工程(S40)とを備える。貼り合せ工程は、熱可塑性フィルムの少なくとも一部を融解させるので、熱可塑性フィルムの融点以上まで加熱して融解させる加熱工程を含む。更に、パターンを有する基材の製造方法は、貼り合せ工程後、剥離用基材を熱可塑性フィルムから取り外す取り外し工程(S50)を備える。また、パターンを有する基材の製造方法は、パターン上に電子素子を搭載する素子搭載工程を備えることもできる。なお、パターンを有する基材の製造方法は、パターン形成工程、及び/又は素子搭載工程後、パターン及び/又は電子素子を所定の材料で被覆する被覆工程を更に備えてもよい。
【0020】
[貼り付け工程]
貼り付け工程は、熱可塑性フィルムの一方の面に剥離用基材を貼り付ける工程である。貼り付け手法は、様々な手法を採用できる。一例として、熱可塑性フィルムのロールと剥離用基材のロールとを準備し、プレスロール装置を用いて熱可塑性フィルムを剥離用基材に貼り付けることができる。
【0021】
(熱可塑性フィルム)
熱可塑性フィルムは、熱可塑性フィルムを構成する材料の少なくとも一部が所定の温度で融解することで、融解した材料が基材の表面の凹凸に応じて付着するか、基材に浸透するか、若しくは基材の表面から内部に入り込むか、又は基材の表面から所定の深さまで潜り込むこと等することで基材に接着する材料を用いて形成される。熱可塑性フィルムを構成する材料は、パターンを有する基材、若しくはパターンを有する基材を備える物品の用途によって適宜選択できる。比較的低温でパターンを有する基材の製造を容易にでき、パターンを有する基材に十分な伸縮性及び屈曲性を発揮させる観点から、例えば、ウレタン結合を有する樹脂フィルム、一例として、熱可塑性ポリウレタンフィルムを用いることができる。
【0022】
熱可塑性フィルムの厚さは、製造するパターンを有する基材、若しくはパターンを有する基材を備える物品の用途によって適宜調整できる。例えば、熱可塑性フィルムとして熱可塑性ポリウレタンフィルムを用いる場合、熱可塑性ポリウレタンフィルムは20μm以上200μm以下程度の厚さを有することができる。
【0023】
(剥離用基材)
剥離用基材は、例えば、剥離紙である。熱可塑性フィルムに貼り合せた後、熱可塑性フィルムから容易に取り外すことができるのであれば、表面に所定の処理を施した紙、ポリエチレン、又はポリエチレンテレフタレート(PET)等の様々な材質を用いて剥離用基材を構成できる。なお、貼り合せ工程において熱可塑性フィルムを加熱するので、剥離用基材は、当該加熱温度に対して変質や融解等しない材料を用いて形成することが好ましい。
【0024】
[パターン形成工程]
パターン形成工程は、熱可塑性フィルムの剥離用基材に接触している面の反対側の面に所定形状のパターンを形成する工程である。パターン形成工程において形成されるパターンは、導電性や信号伝送等の所定の機能を有する。また、パターンは、製造するパターンを有する基材、若しくはパターンを有する基材を備える物品の機能や用途に応じ、様々な形状にできる。
【0025】
パターンに導電性を発揮させる場合、パターン形成工程は、バインダとして用いられるエラストマーと導電性材料とを含有する導電性ペーストを用いてパターンを形成する。導電性ペーストは、例えば、所定量のエラストマーと所定量の導電性材料とを混合することで調整できる。また、パターン形成工程は、バインダとして用いられる所定のブロック共重合体と導電性材料とを含有する導電性組成物を、パターンを構成する材料として用いることもできる。ブロック共重合体を含有する導電性組成物は、例えば、所定量のブロック共重合体と所定量の導電性材料とを混合することで調製できる。
【0026】
そして、パターン形成工程においては、例えば、メッシュスクリーン版、ステンシル版、オフセット、グラビア、フレキソ、スプレー、ローラーコーター、ディッピング、インクジェット、及び/又はジェットディスペンサー等の手法を用いて導電性ペースト若しくは導電性組成物を熱可塑性フィルムに塗布、印刷、若しくは吹き付けることでパターンを形成できる。熱可塑性フィルム上に電子回路等で用いる精密な配線パターンとしてのパターンを形成する観点からは、導電性ペースト若しくは導電性組成物の塗布直径を5μm〜50μm程度にすることができるインクジェット又はジェットディスペンサーを用いてパターンを形成することが好ましい。インクジェット又はジェットディスペンサーを用いることで、パターンの設計の自由度を高めることができる。
【0027】
例えば、パターンは以下の工程により製造できる。まず、熱可塑性フィルムの表面の予め定められた領域に、インクジェット又はジェットディスペンサー等を用いて導電性ペースト若しくは導電性組成物を塗布する(塗布工程)。次に、熱可塑性フィルム上に塗布された導電性ペースト若しくは導電性組成物を硬化させる(硬化工程)。硬化工程においては、硬化速度を促進させることを目的として、熱可塑性フィルムの融点より低い温度範囲で、導電性ペースト若しくは導電性組成物を加熱することもできる。導電性ペースト若しくは導電性組成物の形状は薄膜状、又は薄膜よりも厚い平板状(シート状)等にすることができる。また、塗布工程において予め定められたマスクパターンを用いることにより、所望の形状の回路を熱可塑性フィルム上に形成できる。これにより、パターンを形成できる。
【0028】
(導電性ペーストのエラストマー)
エラストマーは、硬化した状態において十分な弾性を有する化合物が好ましい。また、エラストマーは、熱可塑性フィルムに導電性ペーストを塗布、硬化させる場合における熱可塑性フィルムへのダメージを抑制する観点からは、23℃以上120℃以下程度の比較的低温で硬化する化合物が好ましい。そして、エラストマーは、当該エラストマーが接触する熱可塑性フィルム、及び基材の伸縮等の変形に対応して伸縮できる範囲の弾性率を有することが好ましい。弾性率は、例えば、周波数1Hzでの動的粘弾性測定における貯蔵弾性率が0.1MPa以上1GPa未満であることが好ましく、1MPa以上500MPa以下であることがより好ましい。
【0029】
具体的にエラストマーとしては、伸縮性及び屈曲性を有する成形品体が得られる従来公知の樹脂やゴムを用いることができ、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、架橋ゴム、加硫ゴム等が挙げられる。そのような樹脂としては、例えば、ビニル樹脂やアクリル系樹脂、ブタジエン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、変成シリコーン系樹脂等が挙げられる。
【0030】
ビニル樹脂としては、酢酸ビニルポリマー樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル・マレイン酸ターポリマー樹脂、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
アクリル系樹脂としてのアクリルエラストマーとしては、例えば、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリ2−エチルヘキシルエチル(メタ)アクリレート、ポリ2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のガラス転移温度が比較的低い樹脂、又はこれらの組み合わせが挙げられる。また、ポリメチル(メタ)アクリレートを含むブロック共重合体は柔軟性を維持しながらも伸び物性や接着性の観点から好ましい。
【0032】
ブロック共重合体は、複数の異なるポリマーを部分構成成分(ブロック(ポリマー単位))とする直鎖高分子から構成される共重合体である。すなわち、ブロック共重合体は、第1の化合物の単量体単位からなる第1ブロックと、第1の化合物とは異なる第2の化合物の単量体単位からなる第2ブロックとが共有結合で結合された共重合体である。ここで、ブロック共重合体は、第2ブロックが複数の第1ブロックで挟まれた構成を有することが好ましい(すなわち、第1ブロック−第2ブロック−第1ブロックというトリブロック構造を有することが好ましい。)。
【0033】
そして、ブロック共重合体においては、ブロック共重合体が複数のブロックを含有しており、一のブロック共重合体中の一のブロックと、他のブロック共重合体中のブロックであって、当該一のブロックと同種の単量体からなるブロックとが分子間相互作用等の相互作用を及ぼし合い、凝集することが好ましい。
【0034】
すなわち、ブロック共重合体は、一のブロック共重合体中の第1ブロックと他のブロック共重合体中の第1ブロックとが相互作用して凝集する。一方、一のブロック共重合体及び他のブロック共重合体中の第1ブロックとは異なる第2ブロック同士は実質的に相互作用しないか、第1ブロック同士の相互作用に比べて小さな相互作用をし、自由に動きやすい構成を有する。これにより、ブロック共重合体は、複数のブロック共重合体が集合した場合に、自由に動く部分(ゴム状弾性、すなわち柔軟性を発揮する部分であり、第2ブロックが相当する。)と動きにくい部分(凝集する部分であり、第1ブロックが相当する)とを併せ持つことができる。
【0035】
換言すれば、ブロック共重合体は、ソフトセグメント及びハードセグメントを含むことが好ましい。ソフトセグメントは、柔軟で屈曲性の高い高分子鎖からなるブロックであり、ハードセグメントは、結晶化若しくは凝集化しやすく、ソフトセグメントより剛性の高い高分子鎖からなるブロックである。そして、ブロック共重合体においては、ソフトセグメントがハードセグメントで挟まれた構成(すなわち、「ハードセグメント−ソフトセグメント−ハードセグメント」のトリブロック構造)を有することが好ましい。
【0036】
ソフトセグメント及びハードセグメントを含むブロック共重合体としては、下記式(1)で表されるブロック共重合体が挙げられる。
X−Y (1)
式中、Xはガラス転移点T
gx>30℃のブロック(ハードセグメント)であり、Yはガラス転移点T
gy<0℃のブロック(ソフトセグメント)を示す。式(1)で表されるブロック共重合体を用いることにより、導電性組成物の硬化物が強靭性を発揮する。なお、ガラス転移点T
gは、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定できる。
【0037】
より具体的に、ブロック共重合体としては、下記式(2)で表されるブロック共重合体が挙げられる。
【0038】
X
1−Y−X
2 (2)
式(2)中、X
1及びX
2は、各々独立して、ガラス転移点T
gが0℃以上のブロックを示す。また、Yは、ガラス転移点T
gが0℃未満のブロックを示す。そして、X
1及びX
2は、T
gが50℃以上のブロックであることが好ましく、Yは、T
gが−20℃以下であるブロックであることが好ましい。ここで、X
1及びX
2は互いに異なるブロックであってもよいが、同一のブロックであることが好ましい。また、式(2)に示されるブロック共重合体において、ガラス転移点T
gがより小さいYがソフトセグメントに対応し、ガラス転移点T
gがより大きいXがハードセグメントに対応するブロックであることが好ましい。なお、式(1)及び式(2)とを比較すると、引っ張り破断伸び率の観点から、式(2)のブロック共重合体を用いることが好ましい。
【0039】
そして、ブロック共重合体は、少なくとも20℃以上30℃以下の範囲において固形であることが好ましい。この温度範囲において固体であることで、熱可塑性フィルムに塗布した場合、及び/又は塗布後、乾燥させた場合に良好なタック性を確保できる。
【0040】
X、X
1、及び/又はX
2としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)等が挙げられる。Yとしては、例えば、ポリブチルアクリレート(PBA)、ポリブタジエン(PB)等が挙げられる。
【0041】
ブロック共重合体は、様々なブロック共重合体を用いることができる。例えば、リビング重合法により製造されるアクリル系のトリブロック共重合体を用いることができる。具体的に、ポリメチルメタクリレート−ポリブタジエン−ポリスチレン共重合体、ポリメチルメタアクリレート−ポリブチルアクリレート−ポリメチルメタアクリレート共重合体、これらの共重合体にカルボン酸変性処理若しくは親水基変性処理を施した共重合体、ポリメチルメタクリレート−ポリブチルアクリレート共重合体、及びポリメチルメタクリレート−ポリブチルアクリレート−ポリメチルメタクリレート共重合体等のブロック共重合体を用いることができる。ここで、導電性組成物の硬化物が伸縮、折り曲げ、及び/又は折り畳み等の変形が加わった場合であっても、硬化物からなるパターンにひびや割れが発生しにくく、電気的に切断されない観点から、X、X
1、及びX
2はPMMAが好ましく、YはPBAが好ましい。
【0042】
上記のような(メタ)アクリレートポリマーブロックを含むブロック共重合体は、例えば、特開2007−516326号公報、又は特開2005−515281号公報に記載の合成法により得ることができる。例えば、下記式(3)〜(6)のいずれかで表されるアルコキシアミン化合物を開始剤としてY単位を重合した後に、X単位を重合することで所望の共重合体が合成される。
【0047】
なお、上記式中、nは2を表す。また、Zは2価の有機基を表し、好ましくは、1,2−エタンジオキシ、1,3−プロパンジオキシ、1,4−ブタンジオキシ、1,6−ヘキサンジオキシ基、1,3,5−トリス(2−エトキシ)シアヌル酸、ポリアミノアミン、ポリエチレンアミン、1,3,5−トリス(2−エチルアミノ)シアヌル酸、ポリチオキシ、ホスホネート、及びポリホスホネートの中から選択される有機基である。更に、Arは、2価のアリール基を表す。
【0048】
ブロック共重合体の重量平均分子量は、20,000以上400,000以下が好ましく、50,000以上300,000以下がより好ましい。導電性組成物の硬化物に強靭性、及び柔軟性を発揮させる観点から重量平均分子量は20,000以上が好ましく、また、この場合、導電性組成物を薄膜状にした場合や熱可塑性フィルムに塗布後、乾燥させた場合に優れたタック性を発揮させることができる。また、作業性を良好にできる導電性組成物の粘度を確保する観点から重量平均分子量は400,000以下が好ましく、この場合、熱可塑性フィルムに導電性組成物を容易に印刷することができる印刷性、及び加工性を確保できる。更に、導電性組成物の硬化物に外部からの衝撃を緩和する性能を発揮させる観点からは、重量平均分子量は50,000以上が好ましい。
【0049】
導電性組成物中のブロック共重合体の含有率は、例えば、導電性組成物中に含まれる全固形分量を基準として20質量%以上50質量%以下が好ましい。また、例えば、有機成分の全質量を基準として85質量%以上100質量%以下が好ましい。ブロック共重合体の含有率がこれらの範囲内である場合、硬化物の伸縮性が良好になる。
【0050】
なお、導電性組成物に用いる導電性材料は、導電性ペーストに用いる導電性材料と同様の材料を用いることができる。導電性組成物は、パターンに適切な柔軟性と電気導電性とを発揮させる観点から、ブロック共重合体100重量部に対し、300重量部以上800重量部以下の導電性フィラーを含むことが好ましい。その他の導電性材料に関するその他の点については導電性ペーストに用いる導電性材料と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0051】
ブタジエン系樹脂としては、例えば、SB(スチレン−ブタジエン)樹脂、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)樹脂、SEBS樹脂(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)樹脂、SIBS(スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレン)樹脂、SEPS(スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン)樹脂等、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
架橋性ケイ素基含有有機重合体としては、架橋性ケイ素基を有する有機重合体であれば特に制限はない。
【0053】
架橋性ケイ素基含有有機重合体の主鎖骨格としては、具体的には、ポリオキシプロピレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等のポリオキシアルキレン系重合体;エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、これらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体等の炭化水素系重合体;アジピン酸等の2塩基酸とグリコールとの縮合、又は、ラクトン類の開環重合で得られるポリエステル系重合体;エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のモノマーをラジカル重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体;(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等のモノマーをラジカル重合して得られるビニル系重合体;有機重合体中でのビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体;ポリサルファイド系重合体;ポリアミド系重合体;ポリカーボネート系重合体;ジアリルフタレート系重合体等が挙げられる。これらの骨格は、架橋性ケイ素基含有有機重合体の中に単独で含まれていても、2種類以上がブロック若しくはランダムに含まれていてもよい。
【0054】
更に、ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエン等の飽和炭化水素系重合体や、ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体は比較的ガラス転移温度が低く、得られるパターンが耐寒性に優れることから好ましい。また、ポリオキシアルキレン系重合体、及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、透湿性が高く1液型組成物にした場合に深部硬化性に優れることから特に好ましい。
【0055】
架橋性ケイ素基含有有機重合体の架橋性ケイ素基は、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうる基である。架橋性ケイ素基としては、例えば、一般式(7)で示される基が好適である。
【0057】
式(7)中、R
1は、炭素数が1〜20の炭化水素基、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が3〜20のシクロアルキル基、炭素数が6〜20のアリール基、炭素数が7〜20のアラルキル基、R
13SiO−(R
1は、前記と同じ)で示されるトリオルガノシロキシ基、若しくは−CH
2OR
1基(R
1は、前記と同じ)である。また、R
1は、1位から3位の炭素原子上の少なくとも1個の水素原子が、ハロゲン、−OR
2、−NR
3R
4、−N=R
5、−SR
6(R
2、R
3、R
4、R
6はそれぞれ水素原子、又は炭素数が1〜20の置換基を有するか若しくは置換基を有さない炭化水素基、R
5は炭素数が1〜20の2価の置換基を有するか若しくは置換基を有さない炭化水素基である。)、炭素数が1〜20のペルフルオロアルキル基、若しくはシアノ基で置換された炭素数が1〜20の炭化水素基を示す。これらの中でR
1は、メチル基が好ましい。R
1が2個以上存在する場合、複数のR
1は同一であっても、異なっていてもよい。Xは水酸基、又は加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する場合、複数のXは同一であっても、異なっていてもよい。aは0、1、2又は3の整数のいずれかである。硬化性を考慮し、十分な硬化速度を有する硬化性組成物を得るためには、式(7)においてaは2以上が好ましく、3がより好ましい。
【0058】
加水分解性基や水酸基は1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができる。加水分解性基や水酸基が架橋性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同一であっても、異なっていてもよい。架橋性ケイ素基を形成するケイ素原子は1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合等により連結されたケイ素原子の場合には、20個程度あってもよい。
【0059】
Xで示される加水分解性基としては、F原子以外であれば特に限定されない。例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの中では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、及びアルケニルオキシ基が好ましく、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基が更に好ましい。加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基の中では炭素数の少ないものの方が反応性が高く、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基の順のように炭素数が多くなるほどに反応性が低くなる。目的や用途に応じて選択できるが通常メトキシ基やエトキシ基が使用される。
【0060】
架橋性ケイ素基の具体的な構造としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基[−Si(OR)
3]、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基[−SiR
1(OR)
2]が挙げられ、トリアルコキシシリル基[−Si(OR)
3]が反応性が高い点で好適であり、トリメトキシシリル基がより好適である。ここでRはメチル基やエチル基等のアルキル基である。
【0061】
また、架橋性ケイ素基は1種で用いてもよく、2種以上併用してもよい。架橋性ケイ素基は、主鎖又は側鎖若しくはいずれにも存在しうる。また、複数の一般式(7)で示される架橋性ケイ素基が互いに連結していてもよい。この場合、架橋性ケイ素基を形成するケイ素原子は1個以上であるが、シロキサン結合等により連結されたケイ素原子の場合には、ケイ素原子は20個以下であることが好ましい。
【0062】
架橋性ケイ素基を有する有機重合体は直鎖状、又は分岐を有してもよく、その数平均分子量はGPCにおけるポリスチレン換算において500以上100,000以下程度、より好ましくは1,000以上50,000以下であり、特に好ましくは3,000以上30,000以下である。硬化物の伸び特性を十分に確保する観点から数平均分子量は500以上が好ましく、作業性のし易さを確保できる粘度にする観点から数平均分子量は100,000以下が好ましい。
【0063】
これらのエラストマーは、単独で用いても、2種以上併用してもよい。具体的には、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体、架橋性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体、及び架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる群から選択される2種以上をブレンドした有機重合体も用いることができる。
【0064】
(導電性ペーストの導電性材料)
導電性材料は、電気導電性を有する材料を用いて形成される。具体的に、導電性材料としては、導電性フィラーを用いることができる。
【0065】
導電性フィラーとしては、炭素粒子、又は銀、銅、ニッケル、金、スズ、亜鉛、白金、パラジウム、鉄、タングステン、モルブデン、はんだ等の金属粒子若しくは合金粒子、又はこれらの粒子表面を金属等の導電性コーティングで覆って調製した粒子等の導電性粒子を用いることができる。また、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、若しくはベンゾグアナミン樹脂から構成される非導電性粒子であるポリマー粒子、又はガラスビーズ、シリカ、黒鉛、若しくはセラミックから構成される無機粒子の表面に金属等の導電性コーティングを施して得られる導電性粒子を用いることもできる。導電性フィラーとしては、銀を含んで構成された導電性フィラーを用いることが好ましい。
【0066】
導電性フィラーの形状としては、種々の形状(例えば、球形状、楕円、円筒形、フレーク、平板、又は粒塊等)を採用できる。導電性フィラーは、やや粗いか、又はぎざぎざの表面を有することもできる。導電性フィラーの粒子形状、大きさ、及び/又は硬度を組み合わせて導電性材料に用いることができる。また、導電性ペーストの導電性をより向上させることを目的として、導電性フィラーの粒子形状、大きさ、及び/又は硬度が互いに異なる複数の導電性フィラーを組み合わせることもできる。なお、組み合わせる導電性フィラーは2種類に限られず、3種類以上であってもよい。導電性フィラーは、パターンが伸長した場合であってもエラストマーに含有されている導電性フィラーが互いに電気的に接触する形状であることが好ましい。例えば、銀製であってフレーク状の導電性フィラーを用いること、若しくは銀製であってフレーク状の導電性フィラーを他の導電性フィラーと併用することが好ましい。
【0067】
ここで、フレーク状とは、扁平状、薄片状、若しくは鱗片状等の形状を含み、球状や塊状等の立体形状の銀粉を一方向に押し潰した形状を含む。また、粒状とは、フレーク状を有さない全ての導電性フィラーの形状を意味する。例えば、粒状としては、ブドウの房状に粉体が凝集した形状、球状、略球状、塊状、樹枝状、又はこれらの形状を有する銀粉の混合物等が挙げられる。
【0068】
なお、導電性フィラーの大きさは、製造するパターンの厚さ以下であること、又はパターンの内部における導電性フィラーの配置により、パターンの内部に導電性フィラーが収まる形状及び大きさであることが好ましい(一例として、パターンが薄膜状であり、導電性フィラーがフレーク状の場合、導電性フィラーのサイズが薄膜の膜厚に対応するサイズ以下であることが好ましい。)。
【0069】
また、導電性フィラーとして銀を用いる場合、この導電性フィラーは様々な方法により製造できる。例えば、フレーク状の銀粉を導電性フィラーとして用いる場合、球状銀粉、及び/又は塊状銀粉等の銀粉をジェットミル、ロールミル若しくはボールミル等の装置を用いて機械的に粉砕等することで製造できる。また、粒状の銀粉を導電性フィラーとして用いる場合、電解法、粉砕法、熱処理法、アトマイズ法、又は還元法等により製造できる。
【0070】
導電性ペーストは、パターンに適切な柔軟性と電気導電性を発揮させる観点から、エラストマー100重量部に対し、300重量部以上800重量部以下の導電性フィラーを含むことが好ましい。
【0071】
[素子搭載工程]
素子搭載工程は、熱可塑性フィルム上に形成されているパターンに、所定の電子素子を搭載する工程である。例えば、電子素子としては、発光ダイオード等の発光素子が挙げられる。一例として、パターン形成工程は、熱可塑性フィルムの所定の領域に、第1のパターン配線部と、第1のパターン配線部とは電気的に絶縁されている第2のパターン配線部とを有するパターンを形成する。ここで、パターン形成工程が形成するパターンは、第1のパターン配線部の一の端部と、第2のパターン配線部の他の端部とが対向する形状になっているとする。そして、素子搭載工程は、一の端部に発光ダイオードのカソードが接続され、他の端部に発光ダイオードのアノードが接続されるように、電子素子をパターン上に搭載する。
【0072】
[貼り合せ工程]
貼り合せ工程は、パターンが形成された熱可塑性フィルムを所定の基材に貼り合せる工程である。すなわち、貼り合せ工程は、熱可塑性フィルムのパターンが形成されている面に所定の基材を重ね合せて接触させ、熱可塑性フィルムを加熱する(加熱工程)。そして、加熱工程により融解した熱可塑性フィルムの少なくとも一部が、基材の表面の凹凸に応じて付着するか、基材に浸透するか、若しくは基材の表面から内部に入り込むか、又は基材の表面から所定の深さまで潜り込むこと等することで基材に接着する。これにより、熱可塑性フィルムが基材に貼り合わされる。
【0073】
(基材)
基材は、パターンを有する基材、若しくはパターンを有する基材を備える物品の用途によって適宜、適切な材料を用いて構成できる。具体的に、基材として、伸縮性及び屈曲性を有する柔軟性基材を用いることができる。柔軟性基材は、外力によって繰り返し変形(例えば、伸縮や屈曲による変形)し得る材料から主として構成される。柔軟性基材は、例えば、布、皮革、紙、及び/又はエラストマー素材から主として構成される。また、パターンを有する基材、若しくはパターンを有する基材を備える物品の用途によっては、木材やセラミック板等の柔軟性を有さない基材を用いることもできる。なお、曲げや屈曲等によるパターンの損傷を抑制する観点からは、基材は、柔軟性基材を用いることが好ましい。
【0074】
布としては、織物、編み物(メリヤス生地)、レース、フェルト、及び/又は繊維を織らずに接着若しくは絡み合わせて形成される不織布等が挙げられる。織物としては、絹、ポリアミド系合成繊維、ポリウレタン、ポリエステル等の繊維を用いて形成されるサテンや、綿、麻、亜麻等を用いて形成されるキャンパス等、様々な織物を用いることができる。
【0075】
また、織物組織は、例えば、平織、斜文織、朱子織等の三原組織、変化組織、変化斜文織等の変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロード、タオル、ベロア等のたてパイル織、別珍、よこビロード、ベルベット、コール天等のよこパイル織等が挙げられる。なお、これらの織物は、レピア繊維やエアージェット繊維等の織り機を用いて製織できる。織物の層数は、単層であっても、二層以上の多層構造を有していてもよい。
【0076】
編物の種類は、よこ編物であっても、たて編物でもよい。よこ編組織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が挙げられる。たて編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等が挙げられる。なお、製編は丸織機、横編機、ラッシャル編機等の編機を用いて製編できる。編物の層数は、単層であっても、二層以上の多層構造を有していてもよい。また、皮革は、天然皮革、人造皮革のいずれも用いることができる。なお、柔軟性基材の形状は、用途に応じ、立体形状を含め、様々な形状にすることができる。
【0077】
エラストマー素材としては、伸縮性及び屈曲性を有する成形品体が得られる従来公知の樹脂やゴムを用いることができ、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、架橋ゴム、加硫ゴムから形成される素材が挙げられる。そのような樹脂としては、例えば、ビニル樹脂やアクリル系樹脂、ブタジエン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、変成シリコーン系樹脂等が挙げられる。
【0078】
これらのエラストマーは、単独で用いても、2種以上併用してもよい。
【0079】
[取り外し工程]
取り外し工程は、剥離用基材を熱可塑性フィルムから取り外す工程である。取り外し手法は、様々な手法を採用できる。一例として、剥離機構を備える装置を用いて熱可塑性フィルムから剥離用基材を取り外す。
【0080】
<パターンを有する基材>
図2及び
図3は、パターンを有する基材の概要を示す。具体的に、
図2(a)は、パターンを有する基材1の平面の一例を示し、
図2(b)は、
図2(a)のA−A断面の一例を示す。また、
図3は、
図2(a)のB−B断面の一例を示す。
【0081】
パターンを有する基材1は、熱可塑性フィルム10と、熱可塑性フィルム10の一方の面に設けられるパターン(例えば、第1のパターン20、第2のパターン22)と、パターンが設けられている一方の面上に設けられ、熱可塑性フィルム10を構成する材料の少なくとも一部が表面の凹凸に応じて付着している基材30とを備える。
【0082】
例えば、
図2(a)に示すように、平面視にて略直線状のパターン配線部20a及びパターン配線部20bと平面視にて略円形状のパターン配線部20cとを有する第1のパターン20と、平面視にて略直線状のパターン配線部22a及びパターン配線部22bと平面視にて略円形状のパターン配線部22cとを有する第2のパターン22とが熱可塑性フィルム10の表面に形成される。なお、パターン配線部20aはパターン配線部20bの一方の端にパターン配線部20bに対して略直角に接続され、パターン配線部20cはパターン配線部20bの他方の端に接続される。また、パターン配線部22aはパターン配線部22bの一方の端にパターン配線部22bに対して略直角に接続され、パターン配線部22cはパターン配線部22bの他方の端に接続される。そして、パターン配線部20aのパターン配線部20bに接続している端の反対側の端部(以下、「第1端部」という)と、パターン配線部22aのパターン配線部22bに接続している端の反対側の端部(以下、「第2端部」という)とが、電気的に絶縁された状態で対向して配置される。更に、第1端部と第2端部とに、電子素子50が電気的に接続される。
【0083】
そして、
図3に示すように、パターン配線部20c及びパターン配線部22cの上方には、基材30を貫通して設けられる導通部25が形成される。導通部25は、導電性を有する材料から形成される。また、導通部25の形状に特に制限はないが、例えば、ボタン形状にすることができる。
【0084】
そして、導通部25の一端がパターン配線部20cに電気的に接続され、他端が基材30の外部に露出する(パターン配線部22cに電気的に接続される導通部(図示しない)も同様である。)。導通部25を介して電子素子50に電力を供給することができる。これにより、第1のパターン20及び第2のパターン22を介して電子素子50に電力を供給できる。電子素子50が発光ダイオード等の発光素子の場合、熱可塑性フィルム10と基材30に挟まれた電子素子50が発光することになる。熱可塑性フィルム10が電子素子50の発光光に対して透明の場合、熱可塑性フィルム10側から光が放出される。なお、基材30の熱可塑性フィルム10に接する面に反射膜を設けてもよい。
【0085】
<パターンを有する基材を備える物品>
パターンを有する基材を備える物品は、上記のパターンを有する基材の製造方法で得られるパターンを有する基材を用いて構成される。例えば、基材として柔軟性基材を用いる場合、以下のような物品にパターンを有する基材を応用できる。例えば、柔軟性基材に布、皮革、及び/又はエラストマー素材を用いて形成されるスポーツウェア、アウトドアウェア、レインコート、傘地、紳士衣服、婦人衣服、作務衣、防護服、医療用衣服、介護用衣服、履物、鞄、カーテン、防水シート、テント、及びカーシート等の製品に応用できる。
【0086】
(実施の形態の効果)
本発明に係るパターンを有する基材は、熱可塑性フィルムと基材との間に機能性を有するパターンを備えているので、パターンを有する基材に何らかの物体等が接触した場合であっても、パターンに傷がつくことや摩耗することによる損傷、洗濯による剥離を防止できる。また、パターンを有する基材の製造方法においては、熱可塑性フィルムを融解させることで熱可塑性フィルムと基材とを接着させることができるので、接着剤を用いることを要さず、製造工程を簡略化できる。
【0087】
更に、本発明に係るパターンを有する基材は、基材として柔軟性基材を用いることができると共に、パターンも伸縮性及び屈曲性を有する材料から形成できる。これにより、パターンを有する基材を伸縮、屈曲、及び/又は折り曲げ等した場合であっても、パターンが損傷することを抑制できるので、パターンに導電性等の機能性を付与した場合、当該機能が損なわれることを抑制できる。
【実施例】
【0088】
以下、実施例について説明する。
【0089】
(実施例1)
剥離紙付き熱可塑性フィルムとして、厚さ70μmの熱可塑性ポリウレタンフィルム(型番:エセラン SHM101−PUR、NTW株式会社製)を準備した。次に、表1に記載の配合物質を表1に記載の割合で混合することで導電性ペーストを調整した。そして、得られた導電性ペーストを熱可塑性ポリウレタンフィルムの表面に塗布した。導電性ペーストの塗布には、スクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製 DP−320S)を用い250メッシュのステンレスメッシュ版により
図4のようなパターン40を印刷した。実施例においては、5本のパターン40を平行に配列して印刷した。導電性ペーストを塗布後、導電性ペーストが塗布された熱可塑性フィルムを熱風循環式乾燥機内で100℃、15分加熱し、導電性パターンを得た。なお、
図4に示すパターン40は、平面視にて直線状の線状部42と、線状部42の両末端それぞれに設けられる円形状の円状部44及び円状部46とを有して構成される。線状部42の長さL
2は9cmであり、線幅は3mmである。また、円状部44及び円状部46の直径は5mmである。また、パターン40の長手方向の長さL
1は10cmである。
【0090】
続いて、導電性ペーストの硬化物であるパターンが形成されている熱可塑性ポリウレタンフィルムの面側に、基材としての布(綿70%、ポリエステル30%の混紡布)を接触させ、120℃、1MPaで加熱・加圧した。加熱には、加熱プレス機を用いた。これにより、布とパターンが形成されている熱可塑性ポリウレタンフィルムとが貼り合わされた。そして、剥離紙を取り外すことで実施例に係るパターンを有する基材が得られた。
【0091】
また、表1に示すように、配合物質を変更した以外は実施例1と同様の方法で実施例2に係る導電性ペーストを得た後、実施例1と同様にパターンを有する基材を作製した。実施例1及び実施例2のいずれにおいても、曲げや摩擦によるパターンの損傷や耐洗濯性を向上できるパターンを有する基材を容易に製造することができた。
【0092】
【表1】
【0093】
表1において、配合物質の詳細は次のとおりである。また、数値の単位は「g」である。
*1 (バインダ):製品名「クラリティ(登録商標)LA2330」、クラレ(株)製
*2 (バインダ):製品名「クラリティ(登録商標)LA4285」、クラレ(株)製
*3 (バインダ):製品名「サイリルMA440」、(株)カネカ製
*4 (導電性材料):製品名「シルコート(登録商標)AgC−201Z」、福田金属箔粉工業(株)製
*5 (導電性材料):製品名「シルコート(登録商標)AgC−B」、福田金属箔粉工業(株)製
*6 (導電性材料):製品名「シルコート(登録商標)AgC−G」、福田金属箔粉工業(株)製
*7 (希釈剤):製品名「N−11」、JX日鉱日石エネルギー(株)製
*8 (水分吸収剤):製品名「KBM−1003」、信越化学工業(株)製
*9 (接着付与剤):製品名「KBM−903」、信越化学工業(株)製
*10 (接着付与剤):製品名「KBM−9659」、信越化学工業(株)製
*11 (硬化触媒):製品名「アルミキレートD」、川研ファインケミカル(株)製
【0094】
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組み合わせの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点、及び本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能である点に留意すべきである。