(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1係留ワイヤ及び第2係留ワイヤのうち、前記浮桟橋から沖側に延びる部分が水面下0.5m以下になるような位置にある請求項1〜5の何れか1項に記載の浮桟橋システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明の浮桟橋システムについて実施形態に基づき詳細に説明を行う。本実施形態の浮桟橋システムは、ボートなどを近づけたり、横付けしたりして使用することができ、水位の変動に応じてその位置を容易に移動することができる。
【0012】
本実施形態の浮桟橋システムは、浮桟橋と、陸または護岸に設けられた陸側固定具と、浮設体と、水底に設けられた沖側固定具と、接続ワイヤと、滑車と、第1係留ワイヤと、第2係留ワイヤと、ウインチとを有する。
【0013】
浮桟橋は、水に浮かぶ部材であり、特に形状は限定しないが、板状体乃至は直方体であることが好ましく、特に複数枚の部材を連結したものが好ましい。
【0014】
浮桟橋は支持体をもつ。支持体は、浮桟橋に下方に突出するように固定されており、ワイヤガイドを支持する。支持体が固定される位置は、浮桟橋の沖側に近い部分に設けることが好ましい。なお「陸側」とは、本実施形態の浮桟橋システムを設置する場所に置いて、陸に近い側を意味し、「沖側」とは陸から遠い側を意味する。
【0015】
支持体に支持されているワイヤガイドは、浮桟橋をガイドする第1係留ワイヤ(後述)をガイドする。第2係留ワイヤ(後述)もガイドすることができる。ワイヤガイドの位置が第1係留ワイヤの位置になるため、ワイヤガイドの位置を第1係留ワイヤが邪魔にならない深さになるようにする。
【0016】
第1係留ワイヤと第2係留ワイヤは、陸側固定具と沖側固定具との間を接続し、浮桟橋をその間で移動可能に係留する。
【0017】
沖側固定具は、浮設体と接続ワイヤで接続される。これらの沖側固定具、浮設体、接続ワイヤの何れかに滑車が設けられる。滑車には第1係留ワイヤが巻き掛けられている。つまり、水底に固定された沖側固定具と水に浮かぶ浮設体との間で滑車の位置は自在に設定可能であり、その滑車と陸側固定具との間で第1係留ワイヤ及び第2係留ワイヤを張って浮桟橋をガイドする。滑車の位置もワイヤガイドと同じく水面下に設けることが好ましい。
【0018】
滑車は、第1滑車とその第1滑車よりも下方に設けられた第2滑車とをもつことが好ましい。第1滑車及び第2滑車を上下方向に離れた位置に設け、双方に第1係留ワイヤを巻き掛けることにより第1係留ワイヤが滑車に巻き掛けられる前後のワイヤが絡まることが抑制できる。
【0019】
第1係留ワイヤは、一端側が陸側固定具に接続され、途中でワイヤガイドにガイドされ、滑車に巻き掛けられて折り返して浮桟橋に接続される。浮桟橋にはワイヤガイドと同じくらいの深さの部位に接続することが好ましく、特にワイヤガイドに設けられた接続部に接続することが好ましい。
【0020】
第2係留ワイヤは、浮桟橋と陸側固定具とを接続する。浮桟橋では第1係留ワイヤと同様にワイヤガイドと同じくらいの深さの部位に接続することが好ましく、特にワイヤガイドに設けられた接続部に接続することが好ましい。
【0021】
第1係留ワイヤ及び第2係留ワイヤは、それぞれウインチにより巻き取り巻き戻し可能である。ウインチは、どこに配設しても良いが、陸側固定具の近傍や、陸側固定具に設けることで陸上から操作が可能になるため好ましい。ウインチは浮桟橋に設けると浮桟橋上から浮桟橋の位置を操作可能になるため好ましい。ウインチはワイヤを巻き出し巻き戻しできる装置であり、その動力は手動、電動機、発動機などどのような手段であっても良い。特に手動で作動するウインチを採用することが好ましい。
【0022】
第1係留ワイヤ及び第2係留ワイヤを相補的に巻きだし乃至は巻き取りすることで浮桟橋を陸側固定具と滑車との間で移動させることができる。所定の位置に浮桟橋を移動した後に第1係留ワイヤ及び第2係留ワイヤの双方を緩ませることができる。第1係留ワイヤ及び第2係留ワイヤを両方とも巻き戻すことで、第1係留ワイヤ及び第2係留ワイヤを水面下に沈ませることができ、船舶などの通行が邪魔されない。なお、第1係留ワイヤ及び第2係留ワイヤの双方を緩ませる場合には、別途、アンカーなどにより浮桟橋を水底に固定することが好ましい。
【0023】
ウインチは、第1係留ワイヤを巻き取り巻き戻しする第1ウインチと、第2係留ワイヤを巻き取り巻き戻しする第2ウインチとをもつことができる。
【0024】
支持体は、浮桟橋の沖側に設けられた第1支持体とその第1支持体よりも陸側に設けられた第2支持体とをもつことができる。支持体を2以上設けることで、陸側固定具と沖側固定具に設けられた滑車との間に設けられた第1係留ワイヤ及び第2係留ワイヤに対して2点でガイドされることになり浮桟橋の回転を抑制することができる。特に陸側から沖側に向けて水深が深くなるような場所で使用する場合には、第1及び第2係留ワイヤが水深に沿って傾斜しているため、それに合わせて第1支持体の長さを第2支持体よりも長くすることが好ましい。
【0025】
ワイヤガイドの深さは支持体により調節できる。支持体を長くすることで深い位置にワイヤガイドを支持することができる。支持体は、深さ方向に位置を調節できる調節機構をもつことが好ましい。ワイヤガイドの深さ、すなわち第1係留ワイヤ及び第2係留ワイヤが配設される深さは、0.5m以下が好ましく、必要に応じて更に深い位置である0.75m以下、1.0m以下、1.25m以下、1.5m以下、2m以下にすることができる。
【0026】
特に第1係留ワイヤ及び第2係留ワイヤのうち、浮桟橋から沖側に延びる部分の位置を深くすることで浮桟橋に沖方向から接近するときに第1係留ワイヤ及び第2係留ワイヤが邪魔をすることを防止でき、浮桟橋から陸側に延びる部分の位置を深くすることで浮桟橋と陸側固定具との間に船舶などが侵入しやすくなる。
【0027】
支持体としては、棒状の部材を採用し、浮桟橋に設けた連通孔に差し込むものが例示でき、その支持体と連通孔との間が螺合されていることで支持体を回転させることで支持体を浮桟橋に対して上下方向に移動させて調節することができる。また、その他の形態としては、支持体を連通孔に挿通自在に形成し、任意の相対位置で固定可能な固定部材をもつことができる。更に、支持体を浮桟橋の側面に固定する態様を採用することも可能であり、その場合には浮桟橋に支持体を固定する部位を変更することで支持体の位置を浮桟橋に対して上下方向に移動可能である。
【0028】
浮桟橋は、1又は2以上の浮体から構成することができる。2以上の浮体から構成する場合には、複数の浮体を相互に連結することができる。連結の程度は、相互の相対移動も全くできない程度に一体化することもできるし、緩やかに結合することもできる。
【0029】
浮体としては、樹脂製の中空部材から構成することができ、中空部分には樹脂発泡体を配置することができる。樹脂製の中空部材は、拡がり方向に大きな長方形であることが好ましく、上下の壁を構成する2つ以上の方形の板部材と、その板部材を上下方向に離間して配置して上下方向に連結する2つ以上の方形の連結板とから構成することができる。
【0030】
具体的に好ましい板部材は、長尺板状をなし幅方向両側から互いに対向して幅方向中央へ向かって延びる一対の第1溝を両端部にそれぞれもつ樹脂製の部材にすることができる。好ましい連結板は、短尺板状をなし幅方向両側から互いに対向して幅方向中央へ向かって延びる一対の第2溝を両端部にそれぞれもつ樹脂製の部材にすることができる。
【0031】
これらの板部材と連結板とは以下のようにして中空部材を構成する。一対の板部材を互いに離間して上下に配置し、一対の連結板を該板部材の両側に該板部材と交差するようにそれぞれ配置し、その第1溝に第2溝を組付けることで一対の板部材が一対の連結板で固定された単位枠体が該板部材の幅方向に複数個列設され隣接する該板部材が該連結板によって連続的に連結されてなり、複数対の板部材と複数対の連結板で囲まれた中空部をもつ本体(中空部材)が形成できる。
【0032】
この本体の中空部に配置された樹脂発泡体を配置することで安定的に浮力が発揮できる浮体が形成できる。
【0033】
滑車の位置を高さ方向で調製できる高さ調整装置を有することができる。高さ調整装置は、定滑車を浮設体に設置し、接続ワイヤの一端を沖側固定具に連結し定滑車に巻き掛けた後に調製ウェイトを他端に連結することで構成する。定滑車は、先述の本実施形態の浮桟橋システムにおける滑車とは別の滑車である。
【0034】
調製ウェイトは、水位の変動に応じて前記一端側部分に沿って滑動する可動部に接続されており、水位が変動すると、調製ウェイトが接続ワイヤに沿って移動して自動的に調整される。定滑車の深さは、浮設体と定滑車との間の距離により一定に保たれる。
【0035】
(実施形態)
・構成
図1に示すように、本実施形態の浮桟橋システムは、湖沼や海などの水面S上に浮かんだ浮桟橋10の位置を移動させる装置である。本実施形態の浮桟橋システムは、浮桟橋10と陸側固定具40と浮設体21と沖側固定具22と接続ワイヤ23と滑車30と第1係留ワイヤ61と第2係留ワイヤ62とウインチ50とを有する。浮桟橋10は、水面S上に浮かぶ桟橋であり、特に限定されず、その構成については後で詳述する。
【0036】
浮桟橋10は、下方に突出するように設けられた第1支持体11及び第2支持体12をもつ。第1支持体11は沖側、第2支持体12は陸側に設けられる。
図2に示すように、第1支持体11は、円筒状の第1支持体本体部111と、第1支持体本体部111の長手方向に沿って形成されるリブ112とをもつ。
【0037】
第1支持体本体部111の下端部には輪状の第1ワイヤガイド115をもつ。第1ワイヤガイド115は、陸側から沖側に向けて開口する方向に設けられている。第1ワイヤガイド115には第1ワイヤガイド115よりも径が小さい輪状の第1固定部116が設けられている。第1支持体11の第1支持体本体部111の上端部には、第1支持体本体基部111aが設けられ、浮桟橋10の沖側の側面に固定され、その固定される位置は上下方向に調節可能である。
【0038】
図2に示すように、第2支持体12は、円筒状の第2支持体本体部121と、第2支持体本体部121の長手方向に沿って形成されるリブ122とをもつ。第2支持体本体部121の下端部には輪状の第2ワイヤガイド125をもつ。第2ワイヤガイド125は、陸側から沖側に向けて開口する方向に設けられている。
【0039】
第2ワイヤガイド125には第2ワイヤガイド125よりも径が小さい輪状の第2固定部126が設けられている。第2支持体12の第1支持体本体部111の上端部には、第2支持体本体基部121aが設けられ、浮桟橋10の陸側の側面に固定され、その固定される位置は上下方向に調節可能である。
【0040】
陸側固定具40は、護岸Wに設けられている。陸側固定具40には、第1ウインチ51と第2ウインチ52が設けられている。第1ウインチ51には、第1係留ワイヤ61が巻き出し及び巻き戻し可能に配設されている。第2ウインチ52には、第2係留ワイヤ62が巻き出し及び巻き戻し可能に配設されている。第1ウインチ51と第2ウインチ52とは独立して巻き出し、巻き戻しが可能である。
【0041】
浮設体21は、
図3に示すように、発泡樹脂体から構成される浮き本体211と、浮き支柱212と、浮き本体211と浮き支柱212との間を浮き固定具212aにより接続されている。浮き支柱212の下端部には第2滑車32、その上に第1滑車31が設けられている。浮き支柱212の下端2121には、接続ワイヤ23の上端が接続され、接続ワイヤ23の下端には沖側固定具22が接続されている。
【0042】
第1係留ワイヤ61は、第1ウインチ51から第2ワイヤガイド125、第1ワイヤガイド115を通じ、第1滑車31と第2滑車32に巻き掛けられて第1固定部116に固定されている。
【0043】
第2係留ワイヤ62は、第2ウインチ52から第2支持体12の第2固定部126に固定されている。
【0044】
・作用効果
本実施形態の浮桟橋システムは、上記構成を有することから以下の作用効果を奏する。
図1に示す状態から、第1ウインチ51により第1係留ワイヤ61を巻き出し、第2ウインチ52により第2係留ワイヤ62を巻き取る。第2係留ワイヤ62が第2固定部126を介して浮桟橋10を陸側(図面左方)に引っ張ることになる。その時に第1係留ワイヤ61が第2係留ワイヤ62と相補的に巻き出されることで浮桟橋10は安定的に陸側に移動させることができる。浮桟橋10の位置が陸側に近い場合には、第1係留ワイヤ61及び第2係留ワイヤ62が水面Sから上方に露出することもある。
【0045】
そのような場合には、第1係留ワイヤ61及び第2係留ワイヤ62を共に巻き出すことで弛ませて水面S下に沈めることで浮桟橋10と陸との間においてもボートや船舶などが通行しても邪魔にならないようにできる。なお、第1係留ワイヤ61及び第2係留ワイヤ62を共に弛ませると浮桟橋10の位置が安定しなくなるため、アンカー(図略)などを用いて浮桟橋10の位置を定めることが好ましい。
【0046】
本実施形態の浮桟橋システムを設置する場合ついて説明を行う。第1ワイヤガイド115や第2ワイヤガイド125に第1係留ワイヤ61を通すことは陸上で行うことができる。
【0047】
その後、水面S上にこれらの部材を配設する際に、第1ワイヤガイド115から延びる第1係留ワイヤ61を第1滑車31、第2滑車32に巻き掛けた後に第1固定部116に固定する必要がある。
【0048】
そのときに、第1係留ワイヤ61を水面S下にある第1固定部116に固定することは困難であるため、予め第1固定部116に第1係留ワイヤ61に接続するワイヤPの一端Qを接続しておいて、そのワイヤの他端を水面S上で第1係留ワイヤ61と接続した後(
図6)、水面S下に投下することで水中に潜ったりしなくても第1係留ワイヤ61を第1固定部116に固定することが可能になる(
図7)。
【0049】
(変形態様)
本変形態様の浮桟橋システムは、沖側固定具22と浮設体21とを接続する構造の点以外については上述の実施形態の浮桟橋システムと同様の構成を採用する。
【0050】
図8に示すように、本変形態様の浮桟橋システムでは、上述の実施形態の浮設体21の浮き支柱212の下端に定滑車38が設けられており、下端が沖側固定具22に接続された接続ワイヤ23の上端がその定滑車38に巻き掛けられており、その上端が折り返されて動滑車39に接続される。動滑車33は沖側固定具22と定滑車38との間で接続ワイヤ23上を移動可能に配置されている。動滑車39には調整ウェイト37がぶら下げられている。
【0051】
この構成をもつことにより以下の作用効果が生じる。浮設体21は水面Sの上下動に合わせて上下動する。そのときに調製ウェイト74により接続ワイヤ23に一定の張力が印加される。そのため、接続ワイヤ23は、浮き支柱212に一定の張力を印加することが可能になり、浮き支柱212に設けられた滑車31及び32に巻き掛けられた第1係留ワイヤ61にも一定の張力が加わることになって浮桟橋10の安定性が向上する。
【0052】
(実施形態2:浮桟橋10について)
本実施形態は、上述の実施形態や変形態様において用いることができる浮桟橋10について説明を行う。本実施形態の浮桟橋10は、浮体71から構成される。その浮体71は、板部材47と連結板48とを組み合わせた本体435と、本体435の中に収容された樹脂発泡体431とからなる。
【0053】
浮桟橋10を構成する各浮体71は、長さ2000mm,幅2000mm、厚み300mmの矩形を呈している。浮体71は、ポリプロピレン製の板部材47と、ポリプロピレン製の連結板48とが組み木構造に組み付けられ、内部に発泡スチロールからなる樹脂発泡体431が収容されている。
【0054】
図10に示すように、板部材47は、幅250mm、厚さ40mmの長尺板状の板部470と、板部470の両端に形成され表面が板部470の表面と面一の平面をなし裏面側に突出する最大厚さ100mmの厚肉部471と、厚肉部471の端面からそれぞれ40mm離間した位置に形成され厚肉部471の端面と同一形状の表面をもつ厚さ40mmの頭部472と、厚肉部471と頭部472とを連結する厚さ40mmの首部473とから構成されている。厚肉部471と頭部472の間には、表面に幅40mm、深さ60mmのスリット475が形成され、首部473の裏面は厚肉部471の裏面と面一の平面となっている。そして首部473の両側には、スリット475に連通する幅40mm、深さ60mmの第1溝474がそれぞれ形成されている。
【0055】
連結板48は、縦100mm、横250mm、厚さ80mmの角柱状の中央部480と、中央部480の上下表面からそれぞれ40mm離間した位置に形成され縦60mm、横250mm、厚さ40mmの一対の側部481と、中央部480と側部481とを連結する厚さ40mmの首部482と、から構成されている。側部481と首部482は中央部480の裏面と面一の平面を構成し、中央部480の表面は側部481及び首部482より一段高くなっている。そしてそれぞれの首部482の両側には、幅40mm、深さ60mmの第2溝483が形成されている。
【0056】
板部材47及び連結板48は、
図10に示すように、以下のようにして組付けられる。先ず2枚の板部材47を、厚肉部471をもつ裏面が互いに対向するように上下に配置し、間に所定形状に成形された樹脂発泡体431を配置しておく。次に連結板48を用意し、上下の第2溝483がそれぞれ上下の第1溝474と交差するように合わせ、上下のスリット475内に上下の側部481をそれぞれ挿入する。これにより連結板48は半分が板部材47に組付けられる。これを板部材47の長手方向及び幅方向でそれぞれ両側に行うことで、2枚の板部材47と4枚の連結板48とが組付けられた単位枠体が形成される。
【0057】
この単位枠体では、
図11に示すように、2枚の連結板48の側部482がそれぞれ半分ずつスリット475内に突き合わせた状態で配置され、首部473が第2溝483に係合し、首部482が第1溝474に係合している。そして頭部472と中央部480の表面は、面一の平面となっている。
【0058】
そして板部材47から幅方向に半分突出する4枚の連結板48に、それぞれ次の上下2枚の板部材47を組付け、それにさらに次の連結板48を組付けることで、単位枠体が次々に連結され、所定個数を組付けると
図9に示す本体435が形成される。
【0059】
この本体435は、全体として板状であり、表裏面及び左右側面が全て面一の平面となっているので、歩行時の障害になる凸部がなく、船舶の接舷時の障害になる凸部もない。そして左右両端は、厚肉部471と連結板48の存在によって重量が大きく、内部には大きな体積で樹脂発泡体431が配置され軽量となっている。そして水上に浮かせた場合には、裏面の全面が水面に当接するので高い浮力が確保でき、しかも重量も適度にあるため、合計厚さ300mmのうち約100mmが水中に没し約200mmが水面上に存在している。したがって薄型でありながら、水面上の高さを確保することができ、ボートの乗降などに最適である。また重量が適度にあるため、人が乗る場合などに一端に荷重が偏っても他端が持ち上がって傾斜するような不具合も回避され安定性が高い。
【0060】
ところで上記本体435では、端面に連結板48が突出し、樹脂発泡体431が表出している。そこで
図12に示すように、連結板48を半分に切断した形状の端末連結板48’を形成しておけば、端面からの突出部を皆無とすることができる。また
図13に示すように、連結板48と係合する係合部487、488をもつ端末部材489を本体435の端末に組付けることも好ましい。これにより樹脂発泡体431の端末に表出する表面を覆うことができ、全表面を同材質とすることができるので、一体感が向上し、意匠性も向上する。端末部材489は4ピースから構成され、本体435と同材質から形成されている。
【0061】
また、上記本体435では、板部材47と連結板48の係合強度が弱い場合には、両者の間で分離が生じる場合がある。そこで
図14に示すような金属ブレースを用いて本体435及び端末部材489を締結することが好ましい。金属ブレースは、本体435内に2本の横ブレース490と2本の縦ブレース491が上下にそれぞれ配置されている。横ブレース490及び縦ブレース491の端部は、端末部材489に設けられた二つの突起486を貫通して外部にそれぞれ突出しているので、突起486を覆うように略L字状の金具492を配置してその突出端部を金具492の貫通孔に貫通させ、その外側からナット493によって締結することで、本体435及び端末部材489が強固に締結される。なお、
図15に示すように全ての連結板48の中央部485の表面に貫通溝484を形成しておき、貫通溝484に沿って縦ブレース491を配置することもできる。
【0062】
さらに、本体435同士を連結して長くあるいは広くする場合には、
図14に示した横ブレース490又は縦ブレース491の突出端部を利用し、
図16に示すようなメガネ形状の連結金具495及び図示しないナットを用いて一対の本体435どうしを連結することができる。これにより本体435及びその両端の端末部材489からなるユニットを、縦横に自在に連結することができる。なお、この場合、横ブレース490又は縦ブレース491は本体435の上方に突出しているので、一方の本体435に乗った状態で他方の本体435を容易に連結することができる。また端末部材489の突起486は、本体435の外周表面より奥方に形成されているので、金属ブレースが外部に突出することがなく、船舶等に傷を付ける恐れもない。
【0063】
また端末部材489の下側に突出する金属ブレース同士も連結金具495で連結する場合には、上から見て下側の突起486と上側の突起486との位置がずれているので、人が本体435に乗った状態で両方のナットを容易に操作することができる。そして連結金具495あるいはそれから突出する金属ブレースを用いて、連結された複数のユニットを岸壁などに係留したり、船舶などの衝突による衝撃を緩和するための古タイヤなどを取付けたりすることが可能である。
【0064】
上記した実施例では、本体435の表面に凸部が存在しないように板部材47と連結板48の形状を工夫しているが、
図17に示すような板部材441と連結板442を用いて組付けてもよい。この場合には、本体435の上下表面に連結板442の側部443が連続して突出するので、側部443が板部材441の表面に置かれた物品の落下を防止する柵として機能する。
【0065】
本発明は、上記実施形態の構成に限らず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜構成を変更することができる。
【解決手段】 ワイヤガイドを支持する支持体11、12が下方に突出するように設けられた浮桟橋10と、陸に設けられた陸側固定具40と、水に浮かぶ浮設体21と、水底に固定される沖側固定具22と、浮設体21及び沖側固定具22の間を接続する接続ワイヤ23と、浮設体21、沖側固定具22、及び接続ワイヤ23の何れかに設けられた滑車31、32と、一端側が陸側固定具40に接続され、ワイヤガイド115、125にガイドされて滑車31、32に巻き掛けられて他端側が浮桟橋10に接続される第1係留ワイヤ61と、浮桟橋10及び陸側固定具40を接続する第2係留ワイヤ62と、第1係留ワイヤ61及び第2係留ワイヤ62を巻き取り巻き戻し可能なウインチ51、52とを備える。