(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来のリール110には次のような課題点があり未だ改良の余地があった。すなわち、リール110を組み立てるには、補強桟116の取付孔112を介して、側枠111間に配置した連結材113の雌ねじ115に複数本のボルト114ねじ込み、連結材113を側枠111の全周にわたって連結しなければならない。
図13に示す形態の場合、1つの連結箇所ごとに2本のボルト止めが必要な構成であり、片側の側枠111に16本、両方の側枠111で合計32本のボルト114のねじ込み作業を要していた。これらの作業を全て作業者が手作業で行うことから、リール110の組み立てに手間と時間を要し、複数人の作業者が必要となる場合もあった。
【0006】
また、側枠111の下半部に複数本の連結材113を連結した状態で、中空円筒状に巻き重ねた長尺帯状体117をリール110に収容するので、その後、側枠111の上半部に連結材113を連結するには、既に固定された側枠111同士の間隔を専用の伸張装置118で押し拡げ、連結材113を側枠111に干渉させないように差し込まなければならなかった。これらの作業は、施工中にリール110内の長尺帯状体117を消費し、新たに長尺帯状体117をリール110に追加する場合にも発生していた。
【0007】
そこで本発明は、上記のような問題点にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、ボルト止めの作業工数を減らすとともに、伸張装置等を用いた作業も不要にして、短時間に簡単な作業で施工することを可能にする回転リール、筒状体の回転リールへの取付方法、および回転リールを用いた長尺帯状体の引出し方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、略円筒形の束巻状態の長尺帯状体を送り出し可能に保持する回転リールを前提とする。この回転リールに対し、中心部に円形開口を有するとともに略円形状の外形を有して対向配置される一対のフレーム体と、これらのフレーム体の間に配設されてフレーム体の相互間隔を保つ複数本の連結部材とを備えさせる。前記フレーム体は、連結部材の軸方向の端部が取り付けられる複数の固定部を備え、これらの固定部は、互いに間隔をおいて前記フレーム体の外周寄りに周方向に配設され、前記複数の固定部には、前記連結部材が嵌挿される取付孔と、嵌挿した連結部材をフレーム体に締結する締結手段とを備えた構成とする。そして、少なくとも一方のフレーム体には、前記取付孔を当該フレーム体の表裏に貫通する貫通孔として設けて、前記連結部材がフレーム体の回転軸心と平行方向に抜き差し可能な固定部を含む構成としている。
【0009】
このような特定事項により、一対のフレーム体に連結部材を固定するに際しては、連結部材をフレーム体の回転軸心と平行方向に抜き差して、複数人の作業者や伸張装置等を要することなく作業を進めることができる。また、フレーム体と連結部材とのボルト止めの作業工数を減らすことができるので、短時間に効率よく施工することが可能となる。
【0010】
また、本発明の他の解決手段として、略円筒形の束巻状態の長尺帯状体を送り出し可能に保持する回転リールとして、中心部に円形開口を有するとともに略円形状の外形を有して対向配置される一対のフレーム体と、これらのフレーム体の間に配設されてフレーム体の相互間隔を保つ複数本の連結部材とを備えさせる。前記フレーム体は、連結部材の軸方向の端部が取り付けられる複数の固定部を備え、これらの固定部は、互いに間隔をおいて前記フレーム体の外周寄りに周方向に配設された構成とする。そして、前記複数の固定部に、前記連結部材が嵌挿される取付孔を備える固定部を具備させ、該固定部に取り付ける連結部材は前記取付孔に係止する係止部を有し、この係止部は該連結部材の端部に出没自在に備えられる構成とし、該連結部材の軸方向長さを、対向するフレーム体の相互間隔に対応する長さに収縮させるようにすることが好ましい。
【0011】
この特定事項によっても、一対のフレーム体に連結部材を固定するに際して、フレーム体と連結部材とのボルト止めの作業工数を減らすことができ、伸張装置等を用いてフレーム体の相互間隔を拡げる必要性がなくなり、人工を低減し、短時間に効率よく作業を進めることが可能となる。
【0012】
また、本発明の筒状体の回転リールへの取付方法は、長尺帯状体を略円筒状に巻回して構成される筒状体を回転リールに取り付ける方法であって、上述したいずれかの回転リールを備え、前記一対のフレーム体の間に配設された前記複数本の連結部材のうちの隣り合う数本を取り外す連結部材取外し工程と、前記筒状体と前記回転リールとをそれぞれの軸心方向が平行になるように配置する配置工程と、前記回転リールを転動させて前記筒状体を前記一対のフレーム体の間に収容する環状体収容工程と、前記連結部材取外し工程で取り外した前記連結部材を前記フレーム体に取り付ける連結部材取付け工程と、を有していることを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、一対のフレーム体に連結部材を着脱する際に、連結部材をフレーム体の回転軸心と平行方向に抜き差しするだけで所定の位置に配置することができ、複数の作業者を要することなく容易に作業を進めることができる。また、フレーム体と連結部材とのボルト止めの作業工数を減らすことができるため、短時間に効率よく施工することが可能となる。
さらに、略円筒状の筒状体をリールに収容するとき、複数本の連結部材を着脱する作業をフレーム体の相互間隔を一定に保持したまま行うことができるため、作業性が格段に高まり、短時間で効率よく施工することが可能となる。また、筒状体をリール内に収容する際に、リールを転動させて収容するため、筒状体をクレーンなどで吊り上げる必要が無く、短時間で手間をかけず、かつ、安全に作業を行うことができる。
【0014】
前記回転リールを用いた長尺帯状体の引出し方法も本発明の技術的思想の範疇である。すなわち、前記回転リールは略円形状の外形を有する一対のフレーム体と、これらのフレーム体の間に配設されてフレーム体の相互間隔を保つ複数本の連結部材とを有して構成する。長尺帯状体の引出し方法としては、一対のフレーム体を対向配置して、該フレーム体における回転軸心の下方に、複数本の連結部材のうちの数本を、周方向に間隔をあけて取り付ける第1組立工程と、略円筒形の束巻状体の長尺帯状体を上方から吊り降ろし、一対のフレーム体の間に落とし込む工程と、残りの連結部材を、一対のフレーム体における回転軸心の上方に、周方向に間隔をあけて取り付ける第2組立工程と、前記回転リールを回転させる支持台の上に設置する工程とを具備させる。そして、前記第2組立工程では、対向配置したフレーム体の相互間隔を一定に保持したまま前記連結部材を取り付ける構成としている。
【0015】
このような特定事項により、略円筒形の束巻状体の長尺帯状体を回転リールに収容するとき、回転軸心の上方に複数本の連結部材を取り付ける作業を、フレーム体の相互間隔を一定に保持したまま行うことができるので、作業性が格段に高まり、短時間で効率よく施工することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、回転リールの一対のフレーム体に連結部材を固定するに際して、フレーム体と連結部材とのボルト止めの作業工数を減らすことができ、専用の伸張装置等を用いてフレーム体の相互間隔を拡げる必要性もなくなり、短時間に効率よく作業を進めることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態に係る回転リール、筒状体の回転リールへの取付方法、および回転リールを用いた長尺帯状体の引出し方法について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1は本発明の実施の形態に係る回転リール1を示し、
図1(a)はその上面図、
図1(b)はその正面図である。この回転リール1は、略円筒形の束巻状態の帯状体61を送り出し可能に保持するものである。
【0020】
回転リール1に保持される帯状体61は、下水道管や農業用水管などといった既設管が老朽化した場合に、螺旋状に巻回されてライニング管として機能する。ライニング管は既設管内に設けられて、既設管を更生する部材となる。
【0021】
図2は、帯状体61が略円筒形の束巻状態に構成された筒状体6を示す斜視図である。帯状体61は、長尺部材であり、製造過程で同心状に巻重ねられて略円筒状の束巻状態とされている。帯状体61は、その束巻状態の4箇所に結束材62が巻き付けられて、中心に中空部63が形成された略中空円筒状の筒状体6とされている。この筒状体6の形態で遮光被覆がなされて帯状体61は保管され、管路更生の施工現場へと移送される。施工現場では、回転リール1を回転させながら、回転リール1に保持された筒状体6から帯状体61が引き出されて使用される。
【0022】
回転リール1は、
図1(a)および
図1(b)に示すように、対向配置される一対のフレーム体2と複数本の連結部材3(31、32)とを備えている。フレーム体2は、中心部に円形開口21を有し、円形状の外形を有する。連結部材3は、対向するフレーム体2の間に架設されて、一対のフレーム体2の相互間隔を保つように配置されている。
【0023】
本実施形態のフレーム体2は、同心状に配設された内周リング22および外周リング23を有する。また、フレーム体2は、内周リング22および外周リング23を径方向に連結し、周方向に等間隔で設けられた複数本の補強桟24を有する。補強桟24は、一端が内周リング22に接合され、他端が外周リング23に接合されている。また、補強桟24は、フレーム体2の中心から径方向に沿うように放射状に配設されている。
【0024】
連結部材3は、軸方向の両端がフレーム体2の補強桟24に固定される。補強桟24には、連結部材3の端部を取り付ける固定部25が設けられている。これらの固定部25は互いに間隔をおいてフレーム体2の外周寄りに周方向に配設されている。
【0025】
本実施形態の補強桟24は、フレーム体2に16本備えられ、これらの補強桟24のうちの1本おきに、連結部材3のための固定部25が設けられている。固定部25は、それぞれフレーム体2の中心から同一半径上に位置している。
【0026】
回転リール1には、2種類の連結部材3(31、32)が設けられている。
図1(b)において、回転リール1の回転軸心の下方には、第1の連結部材31が配設されている。
図1(a)に示すように、回転リール1の正面から見て左右の両側部にある固定部25にも、第1の連結部材31が取り付けられている。これらの第1の連結部材31は、角パイプの両端に、雌ねじが軸方向に形成された取付板を備える筒状体とされている。
【0027】
第1の連結部材31が取り付けられる補強桟24には、固定部25として図示しないボルト孔が形成されている。第1の連結部材31は、補強桟24の内面側に、その端部が押し当てられ、固定部25のボルト孔を介してボルト41を第1の連結部材31の雌ねじにねじ込むことにより、補強桟24に連結されている。
【0028】
図1(b)における回転リール1の回転軸心の上方には、第2の連結部材32が配設されている。複数本の第1の連結部材31を補強桟24に連結すると、対向する一対のフレーム体2は相互間隔が一定に固定される。このため、第2の連結部材32は、対向するフレーム体2の間に配設される際、これらのフレーム体2の相互間隔を一定に保持したまま固定される。
【0029】
図3に拡大して示すように、第2の連結部材32は、角パイプの端部に、軸方向に直交するように貫通させてボルト挿通孔33が形成されている。これに対し、補強桟24には固定部25として、第2の連結部材32が嵌挿される矩形断面の取付孔26と、嵌挿した第2の連結部材32を補強桟24に締結するボルト41およびナット42が備えられている。この場合、取付孔26はフレーム体2の表裏に貫通し、回転軸心と平行な方向に貫通する貫通孔として設けられている。取付孔26を構成する側壁には、補強桟24の軸方向に直交するようにボルト挿通孔27が形成されている。
【0030】
これにより、第2の連結部材32は、フレーム体2の外方から取付孔26に対して、フレーム体2の回転軸心と平行な方向に差し込み、また引き抜き可能とされている。取付孔26に第2の連結部材32が差し込まれると、この第2の連結部材32の端部および取付孔26の側壁にそれぞれ形成されたボルト挿通孔33、27を介してボルト41およびナット42が締結され、第2の連結部材32と補強桟24とが連結される。
【0031】
(筒状体の回転リールへの取付方法(その1))
図2に例示した、帯状体61により構成された筒状体6は、筒軸が水平方向になるようにパレット等に載置される。筒状体6は、中空部63に後述する吊上げ用治具7を取り付けてクレーン等によって吊り上げられる。
【0032】
既設管の更生施工に際しては、まず初めに回転リール1を準備する。
図4に示すように、回転リール1の一対のフレーム体2を対向配置し、フレーム体2における回転軸心の略下半部に、5本の連結部材3(第1の連結部材31)を、周方向に間隔をあけて取り付ける(第1組立工程)。この状態の回転リール1を、ローラ付きの支持台5の上に設置して用意する。
【0033】
または、8本の連結部材3(31、32)を全て取り付けた状態の回転リール1を用意し、回転軸心より上方に位置する3箇所の固定部25において、連結部材3(第2の連結部材32)を一対のフレーム体2から取り外す。これにより、回転リール1における上部を開放する。なお、
図4は説明の便宜上、8本の連結部材3(31、32)が全て取り付けられた状態を示している。
【0034】
このようにして、筒状体6を回転リール1内に収容する準備が整うと、
図5に示すように、筒状体6の中空部63に吊上げ用治具7を通し、かかる吊上げ用治具7を介してクレーン等により、筒状体6を吊り上げる。この筒状体6を、一対のフレーム体2と5本の連結部材3(第1の連結部材31)とによって区画された空間に上方から吊り降ろし、収容する。
【0035】
次いで、
図6に示すように、一対のフレーム体2から取り外されている3本の連結部材3(第2の連結部材32)を、一対のフレーム体2に取り付ける(第2組立工程)。すなわち、第2の連結部材32を、一方のフレーム体2の外面側から他方のフレーム体2の内面側へ向けて、固定部25の取付孔26を通して、これらのフレーム体2の回転軸心と平行な方向に差し込む。次いで、フレーム体2の取付孔26を貫通させて配設した第2の連結部材32と補強桟24とをボルト41およびナット42で締結する(
図3参照)。
【0036】
作業者は、回転リール1の正面側または背面側から、2つの取付孔26に第2の連結部材32を差し込み、回転リール1の内側に回り込むことなくボルト止め作業を行うことができる。そのうえ、対向配置したフレーム体2の相互間隔を一定に保持したまま、第2の連結部材32を容易に取り付けることができるので、複数人の作業者を必要とすることもない。
【0037】
これにより、一対のフレーム体2における回転軸心より上方を第2の連結部材32にて連結し、筒状体6を回転リール1内に納めることができる。筒状体6の外側に複数本の連結部材3が配設されることとなり、筒状体6は回転リール1に安定的に保持される。
【0038】
(筒状体の回転リールへの取付方法(その2))
筒状体6を回転リール1へ取り付ける別の方法について説明する。
既設管の更生施工に際しては、まず初めに回転リール1を準備する。
図11に示すように、8本の連結部材3(31、32)を全て取り付けた状態の回転リール1を予め用意し、
図11に丸で囲んで示すように、回転軸心より上方に位置する3箇所の固定部25において、連結部材3(第2の連結部材32)を一対のフレーム体2から取り外す(連結部材取外し工程)。このとき、回転リール1は、地面上などに仮置きされているが、転動しないように支持部材などで仮支持するとよい。
【0039】
または、施工現場において回転リール1の一対のフレーム体2を対向配置し、フレーム体2における回転軸心の略下半部に、5本の連結部材3(第1の連結部材31)を、周方向に間隔をあけて取り付けてもよい。換言すれば、回転リール1の第2の連結部材32以外を施工現場で一から組み立ててもよい。
上記いずれかの方法により、回転リール1における一部を開放する。
【0040】
このようにして、回転リール1の準備が整った後に、筒状体6を回転リール1へ取り付ける。
図12(a)に示すように、筒状体6と回転リール1とをそれぞれの軸心方向が平行になるように配置する(配置工程)。このとき、筒状体6は転動しないようにパレットなどの仮支持部材で支持しておくとよい。続いて、
図12(b)に示すように、回転リール1を転動させて筒状体6を一対のフレーム体2間に収容する(筒状体収容工程)。続いて、
図12(c)に示すように、連結部材取外し工程で取り外した3本の連結部材3(第2の連結部材32)を一対のフレーム体2に取り付ける(連結部材取付け工程)。なお、連結部材取付け工程において、取り付ける第2の連結部材32が下方に位置する際は、クレーンなどにより数センチ吊り上げた状態で第2の連結部材32を一対のフレーム体2に取り付けてもよい。また、筒状体6の下方に設置した仮支持部材は、連結部材取付け工程の直後に取り除けばよい。
【0041】
筒状体収容工程においては、筒状体6をクレーンなどで一対のフレーム体2の上方まで吊り上げて回転リール1に収容しないため、安全性を向上することができる。また、回転リール1を転動させて、連結部材3(第2の連結部材32)を取り外したことにより形成された開口部から筒状体6を回転リール1内に収容するため、簡単な作業で筒状体6を回転リール1に収容することができる。
【0042】
連結部材取付け工程においては、第2の連結部材32を、一方のフレーム体2の外面側から他方のフレーム体2の内面側へ向けて、固定部25の取付孔26を通して、これらのフレーム体2の回転軸心と平行な方向に差し込む。次いで、フレーム体2の取付孔26を貫通させて配設した第2の連結部材32と補強桟24とをボルト41およびナット42で締結する(
図3参照)。
【0043】
作業者は、回転リール1の正面側または背面側から、対向する2つの取付孔26,26に第2の連結部材32を差し込み、回転リール1の内側に回り込むことなくボルト止め作業を行うことができる。その上、対向配置したフレーム体2,2の相互間隔を一定に保持したまま、第2の連結部材32を容易に取り付けることができるため、複数人の作業者を必要とすることもない。
【0044】
上記工程により、筒状体6を回転リール1内に納めることができる。筒状体6の径方向外側に複数本の連結部材3(31,32)が配設されることとなり、筒状体6は回転リール1に安定的に保持される。
図6に示すように、筒状体6を回転リール1に収容した後は、回転リール1をローラ付きの支持台5の上に設置する。
【0045】
筒状体6を回転リール1に収容したならば、結束材62を切断して帯状体61の結束を解除する。回転リール1は、8本の連結部材3の内側辺が描く円筒体が、筒状体6の外形よりも大きいものとなるように、これらの連結部材3が補強桟24に固定されている。このため、結束が解除された筒状体6は、帯状体61の巻き取り方向とは逆方向に膨らみ、複数本の連結部材3に外周面を押し当てるように変形する。これにより、筒状体6の外径が膨張する。筒状体6の中心は、回転リール1の回転軸心上に位置した状態で保持される。
【0046】
次いで、筒状体6の内周側から帯状体61の巻き始め端部を引き出し、フレーム体2の円形開口21(内周リング22の内側)を経て外方に引き出す。支持台5を利用して回転リール1を回転させながら帯状体61を引き出し、その一端部をライニング管の製管機等へと導く。このとき、回転リール1を安定して回転させることができ、帯状体61を円滑に引き出すことができる。
【0047】
上述のように、第1の連結部材31は、一対のフレーム体2を対向させて取り付けられた後は、フレーム体2の相互間隔を保持するため、取り外されることはほとんどない。これに対して、第2の連結部材32は、筒状体6を収容する作業に際して、その都度、フレーム体2から取り外したり、フレーム体2に取り付けたりすることとなる。このため、第2の連結部材32は、対向配置したフレーム体2の相互間隔を一定に保持したまま、取り付けおよび取り外しが可能であり、かつ、作業手間がかからない構造とされている。
【0048】
すなわち、
図3に示すように、回転リール1は、固定部25に貫通させて形成した取付孔26に、第2の連結部材32をその長さ方向(回転軸心と平行な方向)に抜き差しできる構造を備えている。
図7に示すように、かかる取付孔26は、一対のフレーム体2の双方の固定部25に、貫通孔として設けられていることで、フレーム体2に対してどちら側の外面からも第2の連結部材32を抜き差しすることができる。第2の連結部材32を取付孔26に挿通させたならば、ボルト41およびナット42を締め付けることで、容易に補強桟24に連結することができる。
【0049】
また、
図8に示すように、取付孔26は、双方のフレーム体2の補強桟24に貫通孔として設けられるとともに、これらのうちの一方のフレーム体2Aには、取付孔26の内部に第2の連結部材32の端部が係止する段部28が形成された構成であってもよい。第2の連結部材32の軸方向の一方の端部には、段部28に係止する鍔状の係止部34が設けられている。
【0050】
この場合、第2の連結部材32を、一方のフレーム体2Aの外面から取付孔26に差し込むとともに、係止部34を段部28に係止させる。また、第2の連結部材32の他方の端部を、他方のフレーム体2Bに貫通する取付孔26に嵌挿させ、ボルト41およびナット42を用いて締結する。これにより、第2の連結部材32の位置決めが容易になり、かつ、ボルト41およびナット42を締め付ける作業工数を減らすことができ、より一層、手間なく短時間で連結することが可能となる。
【0051】
また、
図9に示すように、取付孔26は、一方のフレーム体2Aの補強桟24には貫通孔として設けられ、他方のフレーム体2Bの補強桟24には第2の連結部材32の端部(先端部)を受け入れる凹陥部29として構成されていてもよい。この場合、第2の連結部材32を、一方のフレーム体2Aの外面から取付孔26に差し込み、端部を他方のフレーム体2B側の凹陥部29に突き当てて配設する。このような構成によっても、第2の連結部材32の位置決めが容易になり、かつ、ボルト41およびナット42を締め付ける作業工数を減らすことができ、より一層、手間なく短時間で連結することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態に係る回転リール1は、少なくとも一方のフレーム体2に、当該フレーム体2の表裏に貫通する貫通孔として取付孔26を設ける構成であるに限られない。すなわち、
図10に示すように、双方のフレーム体2の補強桟24に、凹状の窪みとして内面側に開口した凹陥部29が形成されていてもよい。この場合、第2の連結部材32は、凹陥部29に係止する係止部35が、第2の連結部材32の端部に出没自在な凸状部として設けられている。これにより、第2の連結部材32は、係止部35が没入した状態での軸方向長さが、対向するフレーム体2の相互間隔に対応する長さとなるように構成されている。
【0053】
この場合には、第2の連結部材32を、対向するフレーム体2の外側から補強桟24に沿って径方向に差し入れ、補強桟24の内面にその端部を摺動させる。係止部35は、第2の連結部材32の端部に没入された状態で差し入れられ、凹陥部29に到達すると端部から突出する。これにより、対向する補強桟24の凹陥部29に、第2の連結部材32の両端部の係止部35を係止させることができる。かかる一連の作業は、一対のフレーム体2の相互間隔を一定に保持したままの作業で済む。また、ボルト41およびナット42を締め付ける手間がなくなり、第2の連結部材32を、より一層、簡単に短時間でフレーム体2に連結することが可能となる。なお、係止部35は、バネなどの付勢部材により出没自在に構成してもよいし、手動で出没できるように構成してもよい。
【0054】
以上のように、本実施形態の回転リール1は、いずれの形態にあっても、対向するフレーム体2の相互間隔を押し拡げなくとも連結部材3(32)を着脱することができる。さらに、連結部材3とフレーム体2とのボルト止めの作業工数が低減するため、かかる回転リール1を用いて帯状体61を引き出し、製管機等へと供給することで、短時間に効率よくライニング管の施工をすることが可能となる。
【0055】
また、本実施形態では、筒状体6を回転リール1に取り付ける際に、回転リール1を転動させて筒状体6を回転リール1内に収容するようにしたため、手間をかけずに効率よく、かつ、安全に取り付けることができる。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態だけに限定されず、その精神または主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
例えば、上記実施形態では回転リール1の回転軸心の上方に位置する固定部25および連結部材3について、回転軸心に平行な方向に抜き差し可能な構成または連結部材3(32)の端部が出没自在な構成としたが、これに限られず、全ての固定部25および連結部材3についてかかる構成が採用されてもよい。
また、上記実施形態では、3本の連結部材を取り外した状態で回転リール1を転動させて筒状体6を回転リール1内へ収容する方法を説明したが、筒状体6が回転リール1内へ収容されるのであれば、取り外す連結部材の本数や場所などは適宜設定することができる。