(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、この種の高圧蒸気滅菌器として、チェンバーの開口部を閉塞する蓋体がクロスバーに配設され、前記クロスバーの一端部を揺動自在に結合して前記チェンバーの前記開口部を前記蓋体で開閉自在とし、前記クロスバーの遊端部に先端方向に突出収納自在にスライドピンを設ける。前記スライドピンを突出させロック部材に挿入して前記蓋体が開かない状態で、前記蓋体を開く方向の力で前記スライドピンが当接押圧する前記ロック部材の部分に、回転自在なローラピンを設け、前記スライドピンの前記ローラピンを当接押圧する位置に円弧状の断面の凹溝を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
それにより、前記スライドピンと前記ロック部材の摺動摩擦抵抗が生ぜず、それだけ小さな力で前記スライドピンを前記ロック部材に挿脱でき、前記蓋体の熱膨張に伴い前記スライドピンが前記ロック部材を強く押圧しても、小さな力で容易に前記蓋体の開閉操作を行えるようにしている。
さらに、特許文献1に記載のものは、前記クロスバーにスライドアーム支点板を設け、前記スライドアーム支点板にスライドアームの一端部が前記スライドピンの突出収納方向と平行な面で揺動自在に配設され、前記スライドアームの中間部に前記スライドピンを連結し、前記スライドアームの遊端部に対して蓋カバーの表側に配設されるように操作ハンドルを連結している。
そして、前記スライドアームの中間部は、前記クロスバーに挿入されている前記スライドピンと、前記クロスバーの長孔に沿って移動自在に貫通するビスなどで連結されている。
それにより、前記蓋カバーから露出した前記操作ハンドルを使用者が摘んで前記スライドピンの突出収納方向と平行に移動操作すると、前記スライドアームが揺動して前記スライドピンが突出および収納操作される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、医療用器具などの被滅菌物を滅菌する時は、複数の被滅菌物をそのままトレーやカストなどの容器に入れるか、又は被滅菌物が入った滅菌パックをトレーやカストなどの容器に入れた後、この容器をチャンバー内の滅菌室に入れ、容器ごとまとめて滅菌を行い、滅菌後は滅菌室から容器を取り出すことが多い。
しかし乍ら、このような従来の高圧蒸気滅菌器では、蓋体の開閉時に操作ハンドルを摘んで移動させる必要があるため、握力の弱い非力な女性にとっては操作ハンドルの移動操作をスムーズに行うことが困難であった。
特に、複数の被滅菌物が入った容器を持ちながら操作ハンドルを摘んで移動させることは非常に困難であった。
それにより、滅菌処理が完了した直後の滅菌物や容器を取り出す際、操作ハンドルの移動操作を行うために、不用意に滅菌直後の滅菌物や容器を滅菌室以外の場所に置いたり落としたりするなどの事故を起こすおそれがあった。
さらに、操作ハンドルを蓋体が閉止される状態と開動可能な状態に亘り移動操作しても、操作ハンドルの形態が大きく変化しない。そのため、使用者が操作ハンドルを一度見ただけでは、蓋体が閉止状態であるか又は開動可能な状態あるかを容易に判断できない。
それにより、蓋体が完全に閉止されていない状態で、使用者が滅菌動作を開始するなどの事故が発生するおそれもあった。
また、スライドアーム支点板にスライドアームの一端部が連結されるため、スライドアームおいてスライドピンと連結される中間部は、スライドアームの一端部を中心とした円弧状に揺動する。そのため、クロスバーの遊端部に対してスライドピンは、その突出収納方向と交差する径方向へ所定サイズの遊びを持った状態で収納配備されないと、ロック部材に向けてスムーズに往復動させることができない。
それにより、チェンバーの開口部に対してクロスバー及び蓋体がガタ付き易く、チェンバーの開口部を蓋体で完全に閉塞できず、高圧蒸気が漏れや易いという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題とするものであり、使用者の体力と関係なく誰でも蓋体の開閉動作をスムーズに行うこと、などを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために本発明に係る高圧蒸気滅菌器は、
チャンバーの内部に収納された被滅菌物を高圧蒸気で滅菌する
高圧蒸気滅菌器であって、器体ケースに開口部が開口するように設置される前記チャンバーと、前記チャンバーの
前記開口部を覆う板状に形成され、
前記器体ケースに設けられたヒンジにより前記開口部
を開閉
するように揺動自在に支持される蓋体と、
前記蓋体に設けたスライドピン
が、前記器体ケースに設けたロック孔に挿通されて、前記チャンバーの前記開口部に対し前記蓋体を閉止位置にロックするロック機構と、前記蓋体を覆う扉と、前記ロック機構の前記スライドピンを
前記ロック孔に向けて往復動させる操作部材と、を備え、前記蓋体は、前記操作部材と対向して固定される支持部材を有し、前記操作部材は、
前記扉の外側面に沿って移動可能に設けられる操作レバー部と、前記扉を貫通して前記扉の内側で前記操作レバー部と連結されるスイングアーム部と、
を有し、前記スイングアーム部と前記支持部材は、前記支持部材又は前記スイングアーム部のいずれか一方に形成される長孔状の係合凹部と、前記支持部材又は前記スイングアーム部の他方に形成されて前記係合凹部に沿って移動自在に係合する係合凸部と、
で前記支持部材に対し前記スイングアーム部が前記係合凸部を支点として揺動するように連係され、前記スイングアーム部と前記スライドピンは、前記スイングアーム部及び前記スライドピンに亘って架け渡される作用軸で連係され、前記係合凸部を支点とした前記スイングアーム部及び前記操作レバー部の揺動により、前記作用軸を介して前記スライドピンが往復動するように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
前述した特徴を有する本発明は、操作部材の操作レバー部が蓋体に対してスライドピンの移動方向へ揺動自在に支持され、扉を貫通し外側面に沿って延びるため、使用者は手のひらで操作レバー部を摘んだり握ったりしなくても、手のひらや手の甲などで操作レバー部を全体的に押圧するだけで、蓋体に対してその開閉方向と交差する方向へ操作レバー部が揺動する。これにより、操作レバー部の揺動がスライドピンの往復動に変換され、スライドピンを蓋閉位置から蓋開位置に向け又は逆向きに移動させて、チャンバーの開口部に対し蓋体が開閉方向へ移動可能となる。
したがって、使用者の体力と関係なく誰でも蓋体の開閉動作をスムーズに行うことができる。
その結果、蓋体の開閉時に操作ハンドルを摘んで移動させる必要がある従来のものに比べ、握力の弱い非力な女性や複数の被滅菌物が入った容器を持った使用者であっても、操作レバー部をスムーズに揺動できて操作性に優れる。それにより、不用意に滅菌直後の滅菌物や容器を滅菌室以外の場所に置いたり落としたりするなどの事故を防止できる。
さらに、操作レバー部をスライドピンの蓋閉位置まで揺動させた時の形態と、操作レバー部をスライドピンの蓋開位置まで揺動させた時の形態とでは、操作レバー部の傾斜角度が大きく相違する。そのため、使用者が操作レバー部の傾きを一度見ただけで、蓋体の閉止状態又は開動可能な状態のいずれに配置されているかを容易に判断でき。これにより、蓋体が完全に閉止されていない状態で、使用者が滅菌動作を開始するなどの事故を防止でき、安全性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る高圧蒸気滅菌器Aは、
図1〜
図4に示すように、医療用器具などの被滅菌物(図示しない)をチャンバー1の内部に収納し、その器体ケース10に設けられるコントロールパネル20のキー操作により、高圧の蒸気で被滅菌物を滅菌する装置である。
詳しく説明すると、本発明の実施形態に係る高圧蒸気滅菌器Aは、収納された被滅菌物を高温蒸気下で滅菌するように設けられるチャンバー1と、チャンバー1の開口部1aに対して開口部1aの開閉方向へ移動自在に設けられる蓋体2と、スライドピン3aを有してチャンバー1の開口部1aに対し蓋体2を閉止位置にロックするように設けられるロック機構3と、蓋体2などを覆うように設けられる扉4と、ロック機構3のスライドピン3aと連係して往復動させるように設けられる操作部材5と、を主要な構成要素として備えている。
さらに、器体ケース10の内部空間10sには、チャンバー1内の後述する滅菌室1sと連通して給水する貯水タンク(図示しない)、前記貯水タンクから滅菌室1sに高圧蒸気を供給するヒータや蒸気発生装置(図示しない)、滅菌室1s内の残留水及び高圧蒸気を排出する排水タンク(図示しない)などが備えられている。
また、器体ケース10の内部空間10sには、チャンバー1内の空気を真空脱気してチャンバー1外へ排出する減圧装置11を備えることが好ましい。減圧装置11としては、真空ポンプなどが用いられる。
【0010】
チャンバー1は、例えば金属などの剛性材料で円筒形状又は箱形形状などに形成され、その一部に開設された開口部1aを後述する蓋体2で開閉自在に覆うことにより、内部に被滅菌物を収納する密閉構造の滅菌室1sが形成される。
滅菌室1sは、少なくとも貯水タンク(図示しない)と連通しており、貯水タンクから供給される水を加熱して作成した高圧蒸気で、滅菌室1sの内部に収納された被滅菌物の滅菌を行うように構成されている。
さらに、滅菌室1sは、減圧装置11が備えられる場合、真空ポンプなどの作動により、滅菌室1s内の空気を真空脱気してチャンバー1外へ排出させることで、真空又は真空に近い負圧(陰圧)状態になる。それにより、滅菌室1s内に収納した被滅菌物の細管部分までが負圧状態になって、更に高品質な滅菌処理を行うことができる。
チャンバー1の具体例として、
図1〜
図4に示される場合には、倒伏した有底円筒状に形成され、器体ケース10の前面10aに円形の開口部1aが開口するように設置させるとともに、開口部1aを囲む円環状の開口縁1bが露出している。
また、その他の例として図示しないが、チャンバー1の形状を箱形(直方体)などに変更したり、開口部1aの開設位置や形状を変更したりすることも可能である。
【0011】
蓋体2は、例えば金属などの剛性材料でチャンバー1の開口部1aを覆う板状に形成され、チャンバー1の開口部1aに対して開閉自在に支持し、チャンバー1の開口部1aに向け閉動させた時に、チャンバー1の開口縁1bとの間にパッキン2pを挟み込んで密閉させるように構成されている。
さらに、蓋体2は、チャンバー1の開口部1aに対して揺動自在に設けられる開閉アーム2aを有し、開閉アーム2aの内側に蓋体2をチャンバー1の開口部1a及び開口縁1bと対向するように取り付けることが好ましい。開閉アーム2aは、例えば金属などの剛性材料で断面矩形の棒状や帯板状などに形成され、その揺動端に後述するロック機構3のスライドピン3aを蓋体2の開閉方向と交差する方向、すなわち開閉アーム2aの軸方向へ往復動自在に設けることが好ましい。
蓋体2の具体例として、
図1〜
図4に示される場合には、器体ケース10の前面10aの一端側に設けたヒンジ2bにより、断面矩形の棒状の開閉アーム2aがチャンバー1の開口部1aへ向け揺動自在に支持されている。開閉アーム2aの揺動端には、ガイド穴2cが凹設され、ガイド穴2c内に後述するスライドピン3aを開閉アーム2aの軸方向へ往復動自在に収納配置している。ガイド穴2cの外側には、後述するスライドピン3aと後述する操作部材5を連係させるために、開閉アーム2aの軸方向へ延びて長尺となるスライド孔2dが開穿されている。
また、その他の例として図示しないが、蓋体2の形状を円板状に代えてチャンバー1の開口部1aの形状に合う略矩形状などに変更したり、開閉アーム2aに代えて板状部品をチャンバー1の開口部1aへ向け揺動自在に支持したり、ガイド穴2cやスライド孔2dに代えて開閉アーム2aの側面に沿って凹設される凹部を形成することでスライド孔2dを無くしたり、蓋体2の開閉支持構造を図示例外の構造に変更することも可能である。
【0012】
ロック機構3は、蓋体2に対してその開閉方向と交差する方向へ往復動自在なスライドピン3aと、スライドピン3aと蓋体2の開閉方向へ係合して移動不能にロックするロック部材3bと、を有している。
ロック機構3のスライドピン3aは、後述する操作部材5と連係して、
図1(a)(b)に示されるように、その先端部3a1を開閉アーム2aの揺動端からロック部材3bに向けて突出させる蓋閉位置P1と、
図2に示されるように、先端部3a1が開閉アーム2aの揺動端に没入する蓋開位置P2とに亘って往復動自在に支持されている。
ロック機構3のロック部材3bは、チャンバー1の開口縁1bに対して移動不能に固定され、スライドピン3aが蓋体2の開閉方向と交差する方向へ挿通するロック孔3cを有している。
ロック機構3の具体例として、
図1〜
図4に示される場合には、器体ケース10の前面10aにおいてヒンジ2bと反対の他端側にロック部材3bが突設され、ロック部材3bにロック孔3cを、閉動した開閉アーム2aの軸線延長上に位置するように開穿している。スライドピン3aは、先端部3a1がロック部材3bのロック孔3cに嵌入されることで、開閉アーム2aを蓋体2の開閉方向へ移動不能にロックしている。
また、その他の例として図示しないが、蓋体2のロック構造を図示例外の構造に変更することも可能である。
【0013】
扉4は、蓋体2よりも大きな板状に形成され、蓋体2に対し取り付けることで、少なくとも蓋体2やロック機構3のスライドピン3aなどを覆う蓋カバーである。
扉4の具体例として、
図1〜
図4に示される場合には、開閉アーム2aに対して着脱自在に取り付けることで、開閉アーム2a及び蓋体2と、器体ケース10の前面10aにおいてロック部材3bが突設される他端側を除いた略全体が覆うように支持されている。
また、その他の例として図示しないが、扉4の形状を図示例外の形状に変更することも可能である。
【0014】
操作部材5は、蓋体2に対してスライドピン3aの移動方向へ揺動自在に支持され、扉4を貫通し且つ扉4の外側面4aに沿って棒状に延びるように形成される操作レバー部5aを有している。
さらに、操作部材5は、扉4の内側で蓋体2に対してスライドピン3aの移動方向へ揺動自在に支持され、且つ操作レバー部5aと連結されるスイングアーム部5bを有することが好ましい。スイングアーム部5bは、蓋体2側に対するスイングアーム部5bの(第一)連係部6と、スライドピン3aに対するスイングアーム部5bの(第二)連係部7と、を有している。
蓋体2側及びスイングアーム部5bの(第一)連係部6は、蓋体2に対してスイングアーム部5bを揺動自在で且つスイングアーム部5bの軸方向へ移動自在に支持することが好ましい。
詳しく説明すると、蓋体2側及びスイングアーム部5bの(第一)連係部6は、スイングアーム部5b側又は蓋体2側のいずれか一方にスイングアーム部5bの軸方向へ延びて長尺となるように形成される係合凹部6aと、スイングアーム部5b側又は蓋体2側の他方に形成される係合凹部6aに沿って移動自在な係合凸部6bと、で構成することが好ましい。
スライドピン3a及びスイングアーム部5bの(第二)連係部7は、スライドピン3aとスイングアーム部5bに亘って作用軸7aを架け渡し、スイングアーム部5bが係合凸部6bを支点として揺動することにより、作用軸7aを介してスライドピン3aが往復動するように構成されている。
扉4には、操作レバー部5aとスイングアーム部5bとの連結部5cが移動自在に貫通する長孔状の貫通孔4bを開穿している。
【0015】
操作部材5の具体例として、
図1〜
図4に示される場合には、蓋体2側として開閉アーム2aに板状の支持部材2eが連結固定され、支持部材2eに係合凸部6bとなる支軸を突設し、スイングアーム部5bの軸方向一端に係合凹部6aとして長孔を開穿している。それにより、スイングアーム部5bが係合凸部6bとなる支軸を中心として揺動自在に支持されている。
スイングアーム部5bの軸方向他端側には、作用軸7aの一端が連結され、作用軸7aは、その中間部が開閉アーム2aの長孔状のスライド孔2dを貫通し、他端がスライドピン3aに連結している。
さらに、スイングアーム部5bの他端部は、操作レバー部5aの基端に屈曲形成された根元部位5a1とチャンネル型の連結部5cを介して連結され、扉4の長孔状の貫通孔4bに連結部5cが貫通され、扉4を挟んで操作レバー部5a及びスイングアーム部5bが一体化される。それにより、操作レバー部5aの根元部位5a1と作用軸7aが接近するように配置している。
また、その他の例として図示しないが、蓋体2側となる支持部材2eに係合凹部6aとして長孔を開穿し、スイングアーム部5bに係合凸部6bとして支軸を突設したり、連結部5cの形状をチャンネル型以外の形状に変更したり可能である。
【0016】
そして、コントロールパネル20は、器体ケース10の前面10aにおいてチャンバー1の開口部1aの側方に配置される。前記制御部は、マイクロコンピュータなどの制御基板で構成されるコントローラーであり、コントロールパネル20の電源スイッチ21の操作によって運転が開始され、制御回路に予め書き込まれたプログラムに従って作動制御を行う。
また、コントロールパネル20には、電源スイッチ21以外に、滅菌室1sの圧力を表示する圧力計(連成計)22、コース選択キー23、スタート/ストップキー24、様々な情報を表示する液晶ディスプレイなどからなる表示部25などが設けられている。
【0017】
前記制御部の制御回路には、準備工程、待機工程、真空工程、滅菌工程、乾燥工程などのプログラムが予め設定されている。
準備工程とは、前記貯水タンクから一定量給水して前記ヒータや前記蒸気発生装置などにより高温蒸気を発生させる工程をいう。
待機工程とは、前記ヒータや前記蒸気発生装置などが温度制御されて高温蒸気を所定温度に保ち、滅菌室1s内に被滅菌物が収納されて蓋体2を閉じるまでの工程をいう。
真空工程とは、コントロールパネル20のスタート/ストップキー24が操作されてから、滅菌室1s内の空気を排出して被滅菌物内の残留空気を排除する工程をいう。
滅菌工程とは、滅菌室1s内に高温蒸気を供給し、滅菌室1s内が正圧(陽圧)状態になって被滅菌物の滅菌を行い、滅菌の終了後には滅菌室1s内の高温蒸気を排気する工程をいう。
乾燥工程とは、設定時間に亘って滅菌室1sからの真空引きと、外気の導入を繰り返す工程をいう。
【0018】
このような本発明の実施形態に係る高圧蒸気滅菌器Aによると、
操作部材5の操作レバー部5aが蓋体2に対してスライドピン3aの移動方向へ揺動自在に支持され、扉4を貫通し外側面4aに沿って棒状に延び表側に露出する。
そのため、使用者は手のひらで操作レバー部5aを摘んだり握ったりしなくても、手のひらや手の甲などで操作レバー部5aを全体的に押圧するだけで、蓋体2に対してその開閉方向と交差する方向へ操作レバー部5aが揺動する。
これにより、操作レバー部5aの揺動がスライドピン3aの往復動に変換され、スライドピン3aを
図1(a)(b)に示される蓋閉位置P1から、
図2に示される蓋開位置P2に向け、又は蓋開位置P2から蓋閉位置P1に向け逆向きに移動させて、チャンバー1の開口部1aに対し蓋体2が開閉方向へ移動可能となる。
したがって、使用者の体力と関係なく誰でも蓋体2の開閉動作をスムーズに行うことができる。
その結果、握力の弱い非力な女性や複数の被滅菌物が入った容器を持った使用者であっても、操作レバー部5aをスムーズに揺動できて操作性に優れる。それにより、不用意に滅菌直後の滅菌物や容器を滅菌室以外の場所に置いたり落としたりするなどの事故を防止できる。
さらに、操作レバー部5aを
図1(a)に示されるスライドピン3aの蓋閉位置P1まで揺動させた時の形態と、操作レバー部5aを
図2に示されるスライドピン3aの蓋開位置P2まで揺動させた時の形態とでは、操作レバー部5aの傾斜角度が大きく相違する。
そのため、使用者が操作レバー部5aの傾きを一度見ただけで、蓋体2の閉止状態又は開動可能な状態のいずれに配置されているかを容易に判断できる。
これにより、蓋体2が完全に閉止されていない状態で、使用者が滅菌動作を開始するなどの事故を防止でき、安全性に優れる。
【0019】
特に、操作部材5が、扉4の内側で蓋体2に対してスライドピン3aの移動方向へ揺動自在に支持され且つ操作レバー部5aと連結されるスイングアーム部5bを有し、蓋体2及びスイングアーム部5bの(第一)連係部6において、蓋体2に対してスイングアーム部5bを揺動自在で且つスイングアーム部5bの軸方向へ移動自在に支持することが好ましい。
この場合には、操作レバー部5aを揺動操作することにより、蓋体2に対してスイングアーム部5bが揺動しながらスイングアーム部5bの軸方向へ移動するため、スイングアーム部5b及びスライドピン3aの(第二)連係部7を揺動させずに、スライドピン3aが直線方向へ往復動可能となる。
したがって、蓋体2に対してその開閉方向と交差する方向へ遊びを持たせることなくスライドピン
3aを配備することができる。
その結果、スライドアームおいてスライドピンと連結される中間部がスライドアームの一端部を中心とした円弧状に揺動する従来のものに比べ、チャンバー1の開口部1aに対して蓋体2がガタ付くことがなく、チャンバー1の開口部1aを蓋体2で完全に閉塞でき、高圧蒸気の漏れを確実に防止できるので、高性能な滅菌処理が行える。
【実施例】
【0020】
次に、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
この実施例は、
図1〜
図4に示すように、スライドピン3aが蓋閉位置P1又は蓋開位置P2のいずれか一方に移動した時に、操作レバー部5aを起立させるように配置するとともに、スライドピン3aが蓋閉位置P1又は蓋開位置P2の他方に移動した時に、操作レバー部5aを傾斜させるように配置したものである。
図1〜
図4に示される例では、
図1(a)に示されるように、スライドピン3aを蓋閉位置P1に移動させた時に、操作レバー部5aが鉛直状に起立し、
図2に示されるように、スライドピン3aを蓋開位置P2まで移動させた時に、操作レバー部5aが傾斜するように設定している。
また、その他の例として図示しないが、スライドピン3aを蓋閉位置P1に移動させた時に、操作レバー部5aが傾斜し、スライドピン3aを蓋開位置P2まで移動させた時に、操作レバー部5aが鉛直状に起立するように設定することも可能である。
【0021】
このような本発明の実施例に係る高圧蒸気滅菌器Aによると、操作レバー部5aが起立状態であるか又は傾斜状態であるかによって、スライドピン3aが蓋閉位置P1又は蓋開位置P2に移動したことが推測可能になる。
したがって、操作レバー部5aを一度見ただけで蓋体2の閉止状態と開動可能な状態を更に容易に見分けることができる。
その結果、蓋体2が完全に閉止されていない状態で、使用者が滅菌動作を開始するなどの事故をより確実に防止でき、更に安全性に優れるという利点がある。
【0022】
なお、前示実施例では、スライドピン3aが蓋閉位置P1又は蓋開位置P2のいずれか一方に移動した時に、操作レバー部5aを起立させるように配置したが、これに限定されず、スライドピン3aが蓋閉位置P1及び蓋開位置P2に移動した時に、操作レバー部5aをそれぞれ逆向きに傾斜させるように配置しても良い。