(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のこの種の遊技機においては、たとえば、せっかく特典の付与に必要な履歴表示が得られても、特典の付与に必要な他の履歴表示がそれ以前に得られていない場合には、双方の履歴表示の組合せが特典の付与に必要な条件を満足しないために、特典が付与されることに対する遊技者の期待感を高めることができないという問題があった。
【0006】
この発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、複数の履歴表示の組合せ次第で特典を付与する場合において、特典の付与に必要な履歴表示が得られなかった場合であっても特典の付与に対する遊技者の期待感を極力維持可能とする遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 遊技者による遊技が行われる遊技機であって、
識別情報の変動表示が所定回数行われる間において、所定事象が発生したか否かを特定可能な履歴表示を表示する履歴表示手段と、
前記変動表示が前記所定回数行われる間に表示された複数の履歴表示の組合せが所定条件を満たすときに特典を付与可能な特典付与手段と、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
遊技の進行を遅延させる遅延制御を実行可能な遅延制御手段と、を備え、
前記所定事象は、前記事前決定手段の決定結果が所定結果となりかつ当該所定結果に対応する表示結果が導出されることであり、
前記変動表示が前記所定回数行われ
たことによって前記所定事象の発生無を示す履歴表示が前記所定事象の発生有を示す複数の履歴表示に挟まれて表示された場合に、次の変動表示において、前記事前決定手段の決定結果が前記特典が付与可能な特定結果となったときに前記遅延制御が行われ、前記所定事象の発生有を示す複数の履歴表示に挟まれて表示された前記所定事象の発生無を示す履歴表示を、前記所定事象の発生有を示す履歴表示に変更することで前記所定条件を満たし前記特典が付与可能となる。
遊技機は、以下のように構成されてもよい。
遊技者による遊技が行われる遊技機(スロットマシン、パチンコ遊技機)であって、
所定事象(リプレイ入賞)が発生したか否かを特定可能な履歴表示をする履歴表示手段(履歴表示領域51c)と、
前記履歴表示が所定条件(リプレイの5連)を満たすときに特典(AT)を付与可能な特典付与手段(遊技制御基板40)とを備え、
前記履歴表示手段は、前記所定事象の発生無を示す履歴表示を前記所定事象の発生有を示す履歴表示に変更する(
図15〜
図18参照)。
【0008】
このような構成によれば、所定条件を満たしていない履歴表示の少なくとも一部が所定条件を満たす履歴表示に変更されるため、所定条件を満たしていない履歴表示となった後も特典に対する遊技者の期待感を持続させることが可能となる。
【0009】
(2) 上記(1)の遊技機において、
前記所定条件は、前記所定事象の発生の有無を遊技者が確認可能な複数のタイミング(5ゲーム)のいずれにおいても前記所定事象(リプレイ入賞)が発生することで成立し、
前記履歴表示手段は、第1タイミング(
図15の3ゲーム目)で前記所定事象が発生した後、第2タイミング(
図15の4ゲーム目)で前記所定事象が発生せず、第3タイミング(
図15の5ゲーム目)で前記所定事象が発生した場合、前記第2タイミングに対応する前記所定事象の発生無を示す履歴表示を前記所定事象の発生有を示す履歴表示に変更する(
図15に示す履歴表示領域51cのエリア2の変化)。
【0010】
このような構成によれば、第1タイミングで所定事象が発生した後、第2タイミングで所定事象が発生せず、第3タイミングで所定事象が発生した場合、第2タイミングに対応する所定事象の発生無を示す履歴表示が所定事象の発生有を示す履歴表示に変更されるため、所定条件を満たしていない発生履歴となった後も特典に対する遊技者の期待感を持続させることが可能となる。
【0011】
(3) 上記(1)(2)の遊技機において、
前記所定条件は、前記所定事象の発生の有無を遊技者が確認可能な複数のタイミング(5ゲーム)のいずれにおいても前記所定事象(リプレイ入賞)が発生することで成立し、
前記履歴表示手段は、前記所定の複数回のタイミングが過ぎた段階(
図15の5ゲーム目の表示結果導出段階)で、前記履歴表示の中に前記所定事象の発生無を示す履歴表示が含まれる場合(
図15の5ゲーム目の後の履歴表示領域51cのエリア2)、当該所定事象の発生無を示す履歴表示を前記所定事象の発生有を示す履歴表示に変更する(
図15に示す履歴表示領域51cのエリア2の変化)。
【0012】
このような構成によれば、所定の複数回のタイミングが過ぎた段階で、履歴表示の中に所定事象の発生無を示す履歴表示が含まれる場合、当該所定事象の発生無を示す履歴表示が所定事象の発生有を示す履歴表示に変更されるため、所定の複数回のタイミングが到来した段階で所定条件が成立しなかった場合であっても遊技者の期待感を維持することができる。
【0013】
(4) 上記(1)(2)の遊技機において、
前記所定条件は、前記所定事象の発生の有無を遊技者が確認可能な複数のタイミング(5ゲーム)のいずれにおいても前記所定事象(リプレイ入賞)が発生することで成立し、
前記履歴表示手段は、前記所定の複数回のタイミングのうちの前記所定の複数回の最後のタイミングが到来する前の段階(
図18の5ゲーム目の進行前)で、前記履歴表示の中に前記所定事象の発生無を示す履歴表示が含まれる場合(
図18の4ゲーム目の終了段階での履歴表示領域51cのエリア1)、当該所定事象の発生無を示す履歴表示を前記所定事象の発生有を示す履歴表示に変更する(
図18の4ゲーム目の終了段階での履歴表示領域51cのエリア1の変化)。
【0014】
このような構成によれば、所定の複数回のタイミングのうちの所定の複数回の最後のタイミングが到来する前の段階で、履歴表示の中に所定事象の発生無を示す履歴表示が含まれる場合、当該所定事象の発生無を示す履歴表示が所定事象の発生有を示す履歴表示に変更されるため、所定事象の発生の有無を遊技者が確認可能な次回のタイミングまで遊技者の期待感を維持することができる。
【0015】
(5) 上記(1)〜(4)の遊技機は、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部(リール2L、2C、2R)を備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(スロットマシン1)であって、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段(遊技制御基板40)と、
遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段(ストップスイッチ8L、8C、8R)と、
前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段(遊技制御基板40)とをさらに備え、
前記所定事象は、前記事前決定手段の決定結果が所定結果(リプレイ当選)となったことを示すものであり、
前記履歴表示手段は、前記事前決定手段の決定結果が特定結果(チェリー当選)となったときに、前記所定事象の発生無の履歴表示を前記所定事象の発生有の履歴表示に変更する(
図15のとおり、チェリー当選ゲームにおいて履歴表示領域51cの表示が変化)。
【0016】
このような構成によれば、事前決定手段の決定結果が特定結果となったときに、所定事象の発生無の履歴表示が所定事象の発生有の履歴表示に変更されるため、事前決定手段の決定結果に対して遊技者に期待を抱かせることができる。
【0017】
(6) 上記(1)〜(5)の遊技機は、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部(リール2L、2C、2R)を備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(スロットマシン1)であって、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段(遊技制御基板40)と、
遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段(ストップスイッチ8L、8C、8R)と、
前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段(遊技制御基板40)と、
遊技の進行を遅延時間に亘って遅延させる遅延制御(フリーズ演出)を実行可能な遅延制御手段(遊技制御基板40)と、
前記所定事象の発生無を示す履歴表示が前記所定事象の発生有を示す履歴表示に変更される前に、前記遅延制御の期間において、前記所定事象に対応する識別情報を前記可変表示部に表示する演出(
図15、
図18に示すとおり、フリーズ演出の疑似遊技の結果としてリプレイ仮停止)を実行可能な演出手段(遊技制御基板40)とをさらに備える。
【0018】
このような構成によれば、所定事象の発生無を示す履歴表示が所定事象の発生有を示す履歴表示に変更される前に、遅延制御の期間において、所定事象に対応する識別情報が可変表示部に表示されるため、履歴表示が変化することを遊技者が認識し易くなる。
【0019】
(7) 上記(1)〜(6)の遊技機は、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部(リール2L、2C、2R)を備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(スロットマシン1)であって、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段(遊技制御基板40)と、
遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段(ストップスイッチ8L、8C、8R)と、
前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段(遊技制御基板40)とをさらに備え、
前記所定事象は、前記事前決定手段の決定結果が所定結果(リプレイ当選)となったことを示すものであり、
前記履歴表示手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記所定結果となったときに、当該所定結果に対応して前記所定事象の発生有の履歴表示を行うとともに、前記所定事象の発生無の履歴表示を前記所定事象の発生有の履歴表示に変更する(
図17に示すように、履歴表示領域51cのエリア1をリプレイにするとともに、エリア2をリプレイに変更)。
【0020】
このような構成によれば、事前決定手段の決定結果が所定結果となったときに、当該所定結果に対応して所定事象の発生有の履歴表示が行われるとともに、所定事象の発生無の履歴表示が所定事象の発生有の履歴表示に変更されるため、新たに所定事象が発生したときの遊技者の喜びをより大きなものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る遊技機を実施するための形態を以下に説明する。以下の実施の形態では、本発明がスロットマシンに適用された場合の一例を説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係るスロットマシン1の全体構造を示す正面図である。スロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筐体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bとを含む。前面扉1bの中央上部には、液晶表示器51が設けられている。液晶表示器51は、表示領域51aを有しており、透視窓3に対応する透過領域51bが透過可能である。これにより、表示領域51aで所定の演出を実行可能とするとともに、表示領域51aのうち透過領域51bが透過することで透視窓3を介して筐体1a内部に並設されているリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リールとも称する)が視認可能となる。
【0024】
表示領域51aには、ゲームの履歴を表示する履歴表示領域51cが表示される。履歴表示領域51cは、過去の5ゲームの結果の履歴を表示可能とするために、5つのエリアに区画されている。本実施の形態では、履歴表示の組合せ次第で遊技者に特典が付与される。このため、遊技者に対してリール2L、2C、2Rのみならず、履歴表示領域51cにも注目させることができる。なお、履歴表示領域51cは常に表示しておいてもよく、設定により、表示のオン・オフを切り替え可能としてもよい。
【0025】
図2は、各リールの図柄配列を示す図である。リール2L〜2Rには、各々が識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で配列されている。なお、リールの個数は、3つに限らず、1つであってもよく、2以上であってもよい。また、可変表示部は、物理的なリールにて構成されている例を示しているが、液晶表示器などの画像表示装置にて構成されているものであってもよい。
【0026】
液晶表示器51の右下には、メダルを投入可能なメダル投入部4が設けられ、前面扉1bの下部には、メダルが払い出されるメダル払出口9、スピーカ53、54が設けられている。
【0027】
また、前面扉1bには、操作手段の一例として、遊技者所有の遊技用価値(メダル数)として記憶されているクレジットの範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットおよび設定済の賭数を精算して返却させる際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L〜2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、演出に用いるための演出用スイッチ56などが設けられている。
【0028】
前面扉1bには、報知手段の一例として、遊技に関する情報を報知する遊技用表示部13が設けられている。遊技用表示部13には、クレジットとして記憶されているメダル数が表示されるクレジット表示器11、メダルの払出枚数やエラー時にエラーコードなどが表示される遊技補助表示器12、設定されている賭数を報知するための1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16、メダル投入が可能であることを報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が可能であることを報知するスタート有効LED18、スタートスイッチ7の操作後においてウエイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリール2L、2C、2Rの回転開始を待機している状態)中であることを報知するウエイト中LED19、リプレイ入賞後のリプレイゲーム中であることを報知するリプレイ中LED20が設けられている。
【0029】
スロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4に投入するかMAXBETスイッチ6操作などにより規定数の賭数(例えば3)を設定する。これにより、入賞ラインLNが有効となり、スタートスイッチ7への操作が有効となり、ゲームが開始可能な状態となる。賭数設定済の状態でメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
【0030】
入賞ラインとは、リール2L〜2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するためのラインである。本実施形態では、1本の入賞ラインLNのみ設けられている例について説明するが、複数の入賞ラインが設けられているものであってもよい。また、入賞を構成する図柄の組合せが入賞ラインLNに揃ったことを認識しやすくする無効ラインLM1〜LM4が設けられている。無効ラインLM1〜LM4は、入賞判定されるラインではなく、入賞ラインLNに特定の入賞図柄の組合せ(いわゆるばらけ目)が揃った際に、無効ラインLM1〜LM4のいずれかに所定の図柄の組合せ(例えば、ベル−ベル−ベル)を揃えることで、入賞ラインLNに特定の入賞を構成する図柄の組合せが揃ったことを認識しやすくするものである。
【0031】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7が操作されると、リール2L〜2Rを回転させて図柄を変動表示し、ストップスイッチ8L〜8Rが操作されると対応するリールの回転を停止させることで、透視窓3の上中下段に3つの図柄を表示結果として導出表示する。入賞ラインLN上に入賞図柄の組合せが停止し入賞が発生したときには、入賞に応じて、所定枚数のメダルが遊技者に対して付与されて、クレジット加算か、クレジットが上限数(50)に達した場合にはメダル払出口9からメダルが払い出される。
【0032】
図3は、スロットマシン1の内部構造を示す図である。
図4は、スロットマシン1の機能構成例を示す図である。
図4の例では、遊技の進行を制御するとともに、遊技の進行に応じて各種コマンドを出力する遊技制御基板40、コマンドに応じて所定の演出を制御する演出制御基板91、電気部品の駆動電源を生成する電源基板101、遊技の進行に応じた信号を外部に出力する外部出力基板1000などが設けられている。
【0033】
遊技制御基板40は、各種の操作手段や検出手段(
図4の遊技制御基板40の左側に例示)などのスイッチ類からの検出信号に基づいて遊技を進行させ、報知手段(
図4の遊技制御基板40の左側に例示)などの表示機器類を駆動制御する。また、遊技制御基板40は、リールセンサ33L〜33Rからの信号に基づき、リールモータ32L〜32Rを駆動制御する。
【0034】
遊技制御基板40には、メイン制御部41などの回路構成(
図4の遊技制御基板40内に例示)が搭載されている。メイン制御部41は、遊技の進行に関する処理を行うとともに、遊技制御基板40に搭載あるいは接続された構成を直接的または間接的に制御する。メイン制御部41は、1チップマイクロコンピュータであり、CPU、ROM、RAM、I/Oポートなどを備えている。
【0035】
演出制御基板90は、演出用スイッチ56が接続され、また液晶表示器51などの演出装置(
図4の演出制御基板90の左側に例示)を駆動制御する。演出制御基板90には、サブ制御部91などの回路構成(
図4の演出制御基板90内に例示)が搭載されている。サブ制御部91は、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行う処理を行うとともに、演出制御基板90に搭載あるいは接続された構成を直接的または間接的に制御する。サブ制御部91は、1チップマイクロコンピュータであり、CPU、ROM、RAM、I/Oポートなどを備えている。サブ制御部91の回路構成には、たとえば、日および時刻のうちの少なくともいずれか一方を計時するための時計装置97(以下では、RTCともいう)を含む。サブ制御部91は、たとえば、RTC97により計時された日および時刻のうちの少なくともいずれか一方の値や、演出用スイッチ56からの検出信号などに応じて演出制御を実行可能である。電源基板101には、ホッパーモータ34b、各種の操作手段や検出手段(
図4の電源基板101の右側に例示)などが接続されている。
【0036】
図5および
図6は、入賞役の種類、入賞役の図柄組み合わせ、及び入賞役に関連する技術事項について説明するための図である。名称欄には、入賞役の名称を示し、図柄の組合せ欄には、その入賞役が入賞となる図柄の組合せを示している。また、無効ラインに揃う図柄の組合せ欄には、入賞となる図柄の組合せが入賞ラインに停止したときに無効ラインに停止する図柄の組合せであって遊技者が認識しやすい図柄の組合せを示している。払出枚数欄には、入賞時に付与される価値(メダル払出、再遊技付与)を示している。BB1、BB2は、ボーナスという有利な状態への移行を伴う入賞役である。BB1、BB2の払出枚数欄には、入賞により移行されるボーナスの終了条件が示されている。ボーナスは、各々、予め定められたメダル枚数以上払出されることにより終了する。たとえば、BB1に当選・入賞して制御されるボーナスについては、当該ボーナス中に払出されたメダル枚数が351枚以上となったゲームにおいて終了する。
【0037】
また、
図6の遊技状態欄には、入賞時に移行される遊技状態を示している。また、「/」は、「または」を示している。例えば、
図6の転落リプレイについて、図柄の組合せは、「ベル‐リプレイ‐ベル」となり、入賞時にはRT1に制御され、付与される価値は再遊技付与である。また、転落リプレイの図柄の組合せが入賞ライン上に停止したときには、無効ライン上に「リプレイ/プラム‐リプレイ‐リプレイ/プラム」が停止する。また、特別リプレイの図柄の組合せが入賞ライン上に停止したときには、無効ライン上に「黒BAR/白BAR−黒BAR/白BAR−黒BAR/白BAR」が停止する。「黒BAR/白BAR−黒BAR/白BAR−黒BAR/白BAR」は、特別リプレイに当選しているときにのみ無効ライン上に停止可能であって、特別リプレイに当選していないときにはいずれのライン上にも停止されない図柄の組合せである。
【0038】
図7は、移行出目の図柄組合せを示す図である。移行出目は、
図14に示す左ベル1〜4、中ベル1〜4、右ベル1〜4が当選し、右下がりベルあるいは中段ベルの入賞条件となるリール以外を第1停止とし、かつ当選している上段ベルを取りこぼした場合に、入賞ラインLNに揃う出目である。RT0、2、3中において移行出目が入賞ラインLN上に停止すると、RT1へ移行する。
【0039】
図8は、メイン制御部41により制御される遊技状態の遷移を説明するための図であり、
図9は、遊技状態及びRTの概要を示す図である。本実施形態におけるスロットマシン1は、リプレイが所定の当選確率(
図9の上図の再遊技役欄の数値参照)で当選するRT0〜RT4と、小役の当選確率がRT0〜RT4中であるときよりも向上するボーナスとを含む複数種類の遊技状態のうち、開始条件が成立してから終了条件が成立するまで対応するいずれかの遊技状態に制御される(
図8の矢印に沿って示した入賞役あるいは出目参照、
図9の上図の開始条件・終了条件欄の参照)。
【0040】
BB1、BB2のいずれかに当選したときには、RT4に制御される。BB1、BB2のいずれかが当選したときに設定される当選フラグは、当選しているBBの入賞が発生するまで持ち越される。また、RT4についても、BB当選からBB入賞発生まで継続して制御される。RT4中においては、RT1およびRT3中よりも高く、RT0およびRT2中よりも低い確率(
図9の上図の再遊技役欄の数値参照)でリプレイに当選する。なお、RT4におけるリプレイ確率は、当選した小役を取りこぼすことなく入賞させることができたとしても、払出率が1を超えない確率に設定されている。つまり、RT4におけるリプレイ確率は、RT4中に当選した小役を取りこぼすことなく入賞させた場合に払出されるメダルの合計枚数が、RT4中においてメダルあるいはクレジットを賭数の設定に用いたメダルの合計枚数を超えず、メダルが増加しない確率に設定されている。RT4中においてBB入賞が発生すると、ボーナスに制御されて、
図5で説明したメダル枚数以上払出されることによりボーナス終了となり、RT3へ制御される。内部抽選されるリプレイの種類は、RTの種類毎に定められている(
図9の下図の丸印が抽選されるリプレイを示す)。
【0041】
図10および
図11は、遊技状態毎に抽選対象役(以下、当選役ともいう)として読み出される抽選対象役の組合せを示す図である。抽選対象役欄には、その名称を示し、遊技状態欄には、RTの種類毎に、丸印でその抽選対象役が抽選対象であることを示し、丸印の下の数値により当選確率にかかわる判定値数を示している。例えば、ベルは、RT0〜RT3いずれかの状態において、360/65536で当選する抽選対象役である。RT4中は、ボーナス抽選されないが、ボーナスと同時当選し得る入賞役(以下では、同時当選役ともいう)の当選確率が他のRT中と同確率となるように、同時当選役であるベルや弱スイカについては括弧内に示す判定値数で内部抽選が行われる。
【0042】
図11に示すように、特別リプレイは、RT2に制御されているときにのみ抽選対象役となるように定められている。また、ボーナス中においては、たとえば、中段ベルが抽選対象役に設定されており、極めて高い確率(64000/65536)で当選するように定められている。また、中段ベルは、操作タイミングにかかわらず入賞を発生し得る役である。このため、ボーナス中においては、操作タイミングおよび操作手順にかかわらず、極めて高い確率で中段ベル入賞を発生させることができ、メダル枚数を効率的に増加させることができる。このため、ボーナスは、遊技者にとって有利な状態である。
【0043】
図12は、抽選対象役に含まれる入賞役の組合せを示す図である。例えば、弱チェリーは、下段チェリーである。弱スイカは、右下がりスイカと、上段スイカと、中段スイカとを含む。よって、内部抽選で弱スイカに当選したときには、右下がりスイカと、上段スイカと、中段スイカとに当選したことになる。
【0044】
抽選対象役のうちボーナス1〜ボーナス12は、BB1またはBB2と弱チェリーやベルなどの所定の入賞役が同時に読み出されて当選し得る役である。また、
図10で示したように、ボーナス1〜ボーナス12は、異なる判定値数が定められている。このため、遊技者にとっての有利度であって、同時当選役に当選したときにBB1またはBB2が実際に同時当選している割合(以下、信頼度ともいう)が、ボーナス6や12などに含まれる中段チェリーが最も高く、続いて、強チェリー、強スイカ、弱チェリー、弱スイカの順となり、ベル(以下、中段ベルともいう)が最も低くなるように、判定値数が定められている。
【0045】
図13および
図14は、複数の入賞役が同時当選したときのリール制御を説明するための図である。当選した抽選対象役毎に、押し順欄に示す押し順で停止操作されたときに、その右の停止する図柄組合せに示す入賞役の図柄組合せを入賞ラインLNに停止させるリール制御が行われる。例えば、リプレイGR1が当選したときにおいて、押し順が左中右であるときは、昇格リプレイ1が導出されて、押し順が左中右以外であるときは通常リプレイが導出される。また、例えば、左ベルが当選したときにおいて、押し順が左第1停止であるときは、右下がりベルが導出されて、押し順が左第1停止以外であれば、上段ベルまたは移行出目が導出される。
【0046】
また、同時当選役に当選しているときには、当該同時当選役に当選していないときと異なるリール制御が行われ得る。たとえば、弱スイカに当選しているときには、中段スイカよりも右下がりスイカあるいは上段スイカを優先して入賞ライン上に引き込むリール制御が行われるのに対し、強スイカに当選しているときには、右下がりスイカおよび上段スイカのいずれよりも中段スイカを優先して入賞ライン上に引き込むリール制御が行われる。また、弱チェリーあるいは強チェリーが当選しているときには、下段チェリーを入賞ライン上に引き込むリール制御が行われ、中段チェリーが当選しているときには、中段チェリーを入賞ライン上に引き込むリール制御が行われる。これにより、リール2L〜2Rが停止したときの図柄の組合せから、チェリーかスイカか、弱か強か、あるいは、中段チェリーか否かなどを推定可能となり、ボーナス当選あるいはAT当選に対する期待感を異ならせることができる。
【0047】
スロットマシン1における“ゲーム”とは、狭義には、スタートスイッチ7が操作されてからリール2L〜2Rが停止するまでをいうが、ゲームを行う際にスタートスイッチ7の操作前の賭数設定や、リール2L〜2Rの停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行われるので、これらの付随的な処理も広義には“ゲーム”に含まれる。
【0048】
[ゲーム処理]
メイン制御部41は、ゲーム制御処理を行って1回のゲームを制御する。ゲーム制御処理では、まず、賭数設定やクレジット精算・賭数精算するためのBET処理が行われる。
【0049】
賭数設定後、スタートスイッチ7が操作されると、所定の乱数回路から乱数値を抽出し、当該抽出した乱数値に基づいて入賞の発生を許容するか否かを決定(内部抽選)するための内部抽選処理(
図10〜
図12など参照)が行われる。乱数回路は、所定の数値範囲(0〜65535)内の数値を所定の更新規則にしたがって更新する。メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されたときに乱数回路が更新している数値を乱数値として抽出する。内部抽選において抽選対象役に当選したときには、当該抽選対象役に含まれる入賞役の当選フラグがRAMの所定領域に設定される。たとえば、BB1に当選したときには、BB1当選フラグが設定され、強チェリーに当選したときには、下段チェリーの当選フラグと、1枚役の当選フラグとが設定される。BB1、BB2の当選フラグについては、当選したBBに入賞するまで持ち越される一方、BB1、BB2以外の入賞役に対応する当選フラグは、入賞の発生の有無にかかわらず、当選したゲームが終了したときに消去される。
【0050】
内部抽選処理が終了すると、リール回転処理が行われる。リール回転処理では、前回ゲームのリール回転開始から所定時間(例えば、4.1秒)経過していることを条件に、リール2L〜2Rの回転を開始させた後、ストップスイッチ8L〜8Rを有効化し、停止操作に応じてリールの回転を停止させる(
図13、
図14など参照)。リール回転処理では、所定のフリーズ条件が成立しているときに、ゲームの進行を所定期間に亘って遅延(ストップスイッチ8L〜8R各々の停止操作の有効化を遅延)させるフリーズ演出を実行するためのフリーズ演出処理を実行した後に、ストップスイッチ8L〜8Rを有効化して通常ゲームに移行させる。
【0051】
リール2L〜2Rが停止してリール回転処理が終了すると、入賞ライン上の図柄組合せに基づいて入賞などが発生したか否かを判定する入賞判定処理(
図5〜
図7など参照)が行われる。また、入賞ライン上の図柄組合せに応じて、
図8で示した状態に制御する。
【0052】
入賞判定処理が終了すると、払出処理が行われる。払出処理では、入賞の発生に応じてメダルの払出しまたはクレジット加算や、入賞に関わらない各種の処理(たとえば、ボーナス中のメダル払出枚数を計数してボーナスの終了制御に関する処理や、持ち越しのない当選フラグ(小役・再遊技役等の当選フラグ)の消去など)が行われる。また、BB1、BB2のいずれかに入賞したと判定されたときには、入賞したBBの当選フラグを消去する。ゲーム終了時処理では、次のゲームに備えて遊技状態を設定する処理(
図8、
図9など参照)を実行する。これにより、1ゲーム分のゲーム制御処理が終了し、次の1ゲーム分のゲーム制御処理が開始する。
【0053】
[ATに関する処理について]
メイン制御部41は、ボーナスやRT2などの有利な状態に加えて、AT(アシストタイム)に制御可能である。メイン制御部41は、ATに制御するか否かのAT抽選を実行する。また、メイン制御部41は、AT抽選でATに制御すると決定した場合にATに制御し、遊技者にとって有利な図柄組合せを入賞ラインLN上に停止させるための操作手順(押し順)を特定可能なナビ演出を実行するための処理を実行する。
【0054】
メイン制御部41は、非AT中においては、特定の抽選対象役(本実施形態では、
図12に示すベル、弱スイカ、強スイカ、弱チェリー、強チェリー、中段チェリー、BB1、BB2)が当選した場合に、ATに制御するか否かを決定するAT抽選処理を行う。AT抽選処理は、たとえば内部抽選処理において内部抽選が行われた後に実行されるようにしてもよく、1ゲームの進行において予め定められたタイミングで実行されるものであればよい。なお、特定の抽選対象役は、内部抽選においてBB1、BB2と同時当選役である例について説明するが、これに限らず、同時当選役の一部を含むものであってもよく、またBB1またはBB2と同時当選し得ない入賞役を含むものであってもよい。
【0055】
AT抽選処理では、ATに制御するか否かを決定するとともに、ATに制御すると決定したときには、複数種類のゲーム数(50、100、150、200、250、300)からATゲーム数を決定する。ATゲーム数は、メイン制御部41のRAMの所定領域において記憶する。
【0056】
サブ制御部91は、後述する内部当選コマンドおよびAT抽選時コマンドにより、特定の抽選対象役に当選したこと、AT当選したこと、ATの当選または非当選、ATゲーム数、AT開始タイミングを特定する。当選示唆演出を実行する所定タイミングは、ATを開始するタイミングの抽選(AT当選ゲームから0〜32ゲーム経過でATを開始することの抽選)で決定されたAT開始タイミングの前ゲームである。たとえば、AT開始タイミングが0ゲーム後と決定されたなら当該ゲーム(AT当選ゲームにてAT当選が報知される)に当選示唆演出が実行される。また、AT開始タイミングが32ゲーム経過後と決定されたなら31ゲーム間は、前兆演出(AT当選を煽る演出)を実行し、32ゲーム目に当選示唆演出を実行し、AT当選を報知する。
【0057】
メイン制御部41は、BB当選せずにAT当選しているときにはAT開始タイミングとなったときに、ATフラグを設定してATに制御する。一方、メイン制御部41は、BB当選とともにAT当選しているときには、BB入賞してボーナスが終了したときにATフラグを設定し、ボーナス終了後の次のゲームからATに制御する。ここで、ATへの制御は、たとえばAT開始タイミングが10ゲームと決定されている場合には、10ゲームが0ゲームとなったタイミングで制御されるようにしてもよいし、0ゲームとなった次のゲームのタイミングで制御されるようにしてもよい。
【0058】
ATフラグは、メイン制御部41のRAMの所定領域において記憶し、ATゲーム数が0に到達したときにクリアされる。メイン制御部41は、ATフラグに基づいてAT中であるか否かを特定する。AT中においては、後述するようにナビ演出が実行される結果、RT2に制御可能となる。AT開始後におけるATゲーム数の減算は、たとえば、RT0において特殊リプレイに当選(減算開始契機が成立)した次のゲームから開始する。BB終了後に開始されるATについても同様である。これにより、メイン制御部41は、決定したATゲーム数にわたりAT+RT2に制御可能となる。
【0059】
メイン制御部41は、AT中においては、特別の抽選対象役(本実施形態では、特別リプレイ)が当選した場合に、ATゲーム数を上乗せするか否かを決定する上乗せ抽選を行う。上乗せ抽選は、たとえば内部抽選処理において内部抽選が行われた後に実行されるようにしてもよく、1ゲームの進行において予め定められたタイミングで実行されるものであればよい。
【0060】
上乗せ抽選では、ATゲーム数を上乗せするか否かを決定するとともに、上乗せすると決定したときには、複数種類のゲーム数(50、100、150、200、250、300)からATゲーム数に上乗せする上乗せゲーム数を決定する。決定された上乗せゲーム数は、メイン制御部41のRAMの所定領域において記憶されているATゲーム数に加算される。これにより、メイン制御部41は、ATに制御するゲーム数を上乗せする。
【0061】
サブ制御部91は、上乗せ抽選が行われたときには、上乗せ当選したか否かを示唆する上乗せ示唆演出を所定タイミングで実行するための処理を行う。上乗せ示唆演出としては、所定画像を液晶表示器51に表示させる演出など、どのようなものであってもよい。
【0062】
[各種コマンドについて]
メイン制御部41は、上記に例示した処理の実行に応じた遊技の進行状況および処理結果を特定可能なコマンドをサブ制御部91に送信する。サブ制御部91は、メイン制御部41からのコマンドに基づいて、各種処理を行う。
【0063】
本実施形態では、メイン制御部41がサブ制御部91に対して、内部当選コマンド、ストップスイッチやスタートスイッチの操作コマンド、遊技状態コマンド、AT抽選時コマンド、AT中コマンド、ATゲーム数コマンドなどを含む複数種類のコマンドを送信する。
【0064】
内部当選コマンドは、内部当選フラグの当選状況、並びに成立した内部当選フラグの種類、特別役の持ち越しの有無を特定可能なコマンドであり、スタートスイッチ7が操作されてゲームが開始したときに送信される。サブ制御部91は、内部当選コマンドに基づいて、所定の入賞役に当選しているときに当該入賞役を特定可能な情報(ナビ演出とは異なる情報)を報知可能である。たとえば、同時当選役や特定の抽選対象役当選を示す内部当選フラグを受信したときには、同時当選役や特定の抽選対象役のいずれに当選しているかを報知可能である。これにより、同時当選役や特定の抽選対象役のうちいずれに当選しているかを遊技者に報知可能となり、遊技者の期待感を向上させることができる。
【0065】
ストップスイッチやスタートスイッチの操作コマンドはストップスイッチやスタートスイッチが操作されたことを示すコマンドであり、各操作時に送信される。遊技状態コマンドは遊技状態が移行したときに送信される。具体的にはRTが移行したときやボーナスに制御されたときに送信される。
【0066】
AT抽選時コマンドは、AT抽選が行われたときに送信され、AT抽選に当選したか否か、当選したATゲーム数が何ゲームであるか、および、AT開始タイミングが何ゲーム目(AT当選から何ゲーム目)であるかなどを特定可能なコマンドである。
【0067】
AT中コマンドは、ゲームが開始したときに送信され、当該ゲームがAT中におけるゲームであるか否かを特定可能なコマンドである。たとえば、ATゲーム数が付与されていてもATフラグがセットされておらずATが開始されていなければ、非ATを特定可能なコマンドが送信され、ATゲーム数が付与されておりかつATフラグがセットされておりATが開始されているときには、ATを特定可能なコマンドが送信される。
【0068】
ATゲーム数コマンドは、メイン制御部41が管理するATゲーム数を特定可能なコマンドであって、ゲームが開始したときに送信される。たとえば、ATゲーム数が0であるときには、0を特定可能なコマンドが送信され、ATゲーム数が100であるときには、100を特定可能なコマンドが送信される。
【0069】
サブ制御部91は、当選示唆演出抽選によって、当選示唆演出を実行する旨およびその種別を決定したときには、BB抽選・AT抽選の結果などに応じた当選示唆演出を次ゲーム開始時に実行した後に、BB抽選およびAT抽選の結果を報知する。
【0070】
BB抽選およびAT抽選の結果としては、いずれも非当選であったときには「残念!」といったメッセージを液晶表示器51に表示させる演出が実行され、BB当選であったときには「BB確定!」といったメッセージを液晶表示器51に表示させる演出が実行され、AT当選であったときには「AT確定!」といったメッセージとともに「100ゲーム獲得!」といったように獲得したATゲーム数を特定可能なメッセージを液晶表示器51に表示させる演出が実行され、BB当選かつAT当選であったときには「BB・AT確定!」といったメッセージとともに「BB終了後100ゲームに亘りAT!」といったように獲得したATゲーム数を特定可能なメッセージを液晶表示器51に表示させる演出が実行される。なお、BB当選したゲームにおいてBB入賞した場合には、サブ制御部91は、BB当選を報知するための当選示唆演出を実行しない。
【0071】
また、サブ制御部91は、AT中コマンドに基づきAT中であるか否かを判別して、状態に応じた背景画像による演出を液晶表示器51において実行させるとともに、AT中であるときには内部当選コマンドに基づきナビ演出を実行する。また、サブ制御部91は、ATゲーム数コマンドに基づき、ATゲーム数のみならず、前回受信時のATゲーム数との差数を算出することでAT当選あるいは上乗せ当選により獲得したATゲーム数を特定し、上乗せ示唆演出を実行する。
【0072】
[ゲームの流れ]
ここで、
図8および
図9を再び参照し、ゲームの流れに関しまとめて説明する。まず、RT4およびボーナス以外のRT0〜RT3におけるゲームの流れを説明する。RT0〜3においては、AT中であるか否かによって、それぞれ、以下に説明するようなゲームの流れとなる。まず、非AT中のゲームの流れについて説明する。
【0073】
設定変更状態が終了した後において、RT3に制御される。設定変更状態に制御されることにより非ATとなるため、RT3ではATに制御されず、ナビ演出が実行されない。このように、RT3においてナビ演出が実行されることがないため、RT3において左ベル1〜4などのベルのうちの何れかに当選すると、第2停止と第3停止のタイミングによっては移行出目が導出される(
図14参照)。よって、いつまでも移行出目が導出されずにRT1に移行しないといった不都合の発生を防止することができる。
【0074】
RT1では、昇格リプレイに入賞することにより、RT0に移行する。昇格リプレイに入賞するためには、
図13で示したように、リプレイGR1〜6の何れかに当選しかつ昇格リプ入賞させるための操作手順で停止操作する必要がある。
【0075】
また、RT0に制御された場合でも、当該RT0への制御を維持することが困難となるように設定されている。すなわち、
図11および
図13で示したように、RT0では、リプレイGR11〜13に当選する可能性があり、このときには2/3の確率で転落リプレイが入賞してRT1に転落してしまう。
【0076】
さらに、RT0で左ベル1〜4などのベルのうち何れかに当選した場合において、所定のリール(
図14に示す右下がりベルあるいは中段ベルを入賞させるためのリール)以外が第1停止されたときには、第2停止と第3停止のタイミングによっては移行出目が導出されてRT1に転落してしまう。また、
図11および
図13で示したように、RT0では、リプレイGR21〜23に当選する可能性があり、このときに、所定のリール(
図13に示す特殊リプレイを入賞させるためのリール)を第1停止すると特殊リプレイが入賞してRT2に制御される可能性がある。しかし、RT2に制御された場合でも、左ベル1〜4などのベルのうち何れかに当選したときには、所定のリール(
図14に示す右下がりベルあるいは中段ベルを入賞させるためのリール)以外が第1停止されたときには、第2停止と第3停止のタイミングによっては移行出目が導出されてRT1に転落してしまう。その結果、非AT中のときの遊技の大部分は、RT1において消化されることとなる。
【0077】
次に、AT中であるときのゲームの流れについて説明する。RT1では、通常リプレイおよびリプレイGR1〜6の何れかに当選したときに、昇格リプレイを入賞させるための操作手順を特定するためのナビ演出が実行され得る。このため、ナビ演出に従って停止操作を行うことにより、昇格リプレイの入賞によりRT0に移行させることができる。RT0では、リプレイGR11〜13の何れかに当選したときに、通常リプレイを入賞させるための操作手順を特定するためのナビ演出が実行され得る。このため、ナビ演出に従って停止操作を行うことにより、通常リプレイ入賞によりRT0を維持することができる。また、RT0では、左ベル1〜4、中ベル1〜4、および右ベル1〜4のうち何れかに当選したときに、右下がりベルまたは中段ベルを入賞させるための操作手順を特定するためのナビ演出が実行される。このため、ナビ演出に従って停止操作を行うことにより、移行出目の導出を回避させてRT0を維持させることができる。さらに、RT0では、リプレイGR21〜23の何れかに当選したときに、特殊リプレイを入賞させるための操作手順を特定するためのナビ演出が実行され得る。このため、ナビ演出に従って停止操作を行うことにより、特殊リプレイ入賞によりRT2に移行させることができる。
【0078】
RT2では、左ベル1〜4、中ベル1〜4、および右ベル1〜4のうち何れかに当選したときに、右下がりベルまたは中段ベルを入賞させるための操作手順を特定するためのナビ演出が実行される。このため、ナビ演出に従って停止操作を行うことにより、移行出目の導出を回避させてRT2を維持させることができる。
【0079】
このように、本実施の形態のスロットマシン1において、AT中であるときには、RT2に制御されるように、かつRT2が維持されるように、ナビ演出が実行されるため、AT中であるときの遊技の大部分は、RT2において消化されることとなる。なお、ATはATゲーム数が0になると終了する。ATのゲーム数は、RT2+AT(本実施の形態では、遊技者にとって有利なRT2においてATに制御されている状態を、特に、アシストリプレイタイム(以下、ARTという)と呼ぶ。)に制御することが可能になったゲームの次ゲーム、すなわちRT0でリプレイGR21〜23のいずれかに当選し、特殊リプレイが入賞可能となったゲームの次ゲームからカウント開始される。これにより、実質的にはARTでATゲーム数分のゲームを消化するとATが終了する。そして、ATの終了によりARTが終了することとなる。
【0080】
ARTが終了した後においてはナビ演出が実行されなくなるが、移行出目が導出するまでRT2への制御が維持される。しかし、ARTが終了した後のRT2中は、非AT中であるため、前述したように所定のリール(
図14に示す右下がりベルあるいは中段ベルを入賞させるためのリール)以外が第1停止される。その結果、ARTが終了した後のRT2中においては、ARTが終了してから極めて早い段階で移行出目が停止することによりRT1に移行する。
【0081】
次に、BB1あるいはBB2に当選した後のゲームの流れについて説明する。いずれのRTに制御されているかにかかわらず、BB1あるいはBB2に当選したときには、
図8で示したとおり、RT4へ制御される。また、BB当選ゲーム終了後の次ゲームにおいて当選示唆演出が実行されてBB当選している旨が報知されて、遊技者はBB1あるいはBB2に当選したことを把握することができる。BB入賞が発生すると、対応するボーナスに移行されて、所定の終了枚数払出されたときに終了して、RT3へ移行される。
【0082】
[フリーズ演出]
フリーズ演出について説明する。本実施の形態では、スタートスイッチ7を操作したときにゲームの進行を所定期間に亘って遅延させる演出が実行される場合がある。これがフリーズ演出である。フリーズ演出では、スタート操作が検出されたときに、リール2L〜2Rを所定態様で回転させて、特定の図柄組合せを仮停止させる擬似遊技が実行される。
【0083】
[履歴表示]
図15は、履歴表示の変化を説明するための図である。本実施の形態では、履歴表示領域51cが示す過去の5ゲームの表示履歴の組合せ次第で、遊技者に対して特典が付加され得る。ここでは、通常リプレイのゲーム結果を示す表示履歴が5ゲーム連続して得られると、AT抽選が実行されて、抽選結果に応じて特典の一例となるATが追加されるものとして説明する。
【0084】
なお、通常リプレイの組合せは、
図6に示すとおり、左中右のすべてがリプレイであるものを含めて4通り存在するが、以下の説明では簡単のために左中右のすべてが「リプレイ」である組合せを通常リプレイの代表例として説明する。また、
図11に示すように、リプレイには、通常リプレイ以外にも多数の種類のリプレイが存在するが、ここでは、複数種類のリプレイのうちの通常リプレイのゲーム結果を示す表示履歴が5ゲーム連続して得られた場合にAT抽選が実行されるものとする。その上で、説明を簡単にするために、履歴表示に関して、「通常リプレイ」を単に「リプレイ」あるいは「リプ」と称することとする。
【0085】
図15には、1ゲーム目から6ゲーム目までのリール2L,2C,2Rの動作と、それぞれのゲームに対応する履歴表示領域51cの表示とが上から下へと順に示されている。
【0086】
リール2L、2C、2Rに対応する枠は、各リールの入賞ラインLN(
図1参照)上の位置を意味する。その枠内の「リプ」はリプレイ図柄を意味し、「×」はそれ以外の図柄を意味する。枠内の下向きの矢印は、リールの回転を意味する。また、6ゲーム目のリール2L、2C、2Rの上下方向の矢印は、フリーズの発生を意味するものであり、通常のゲームの開始時とは異なる態様でリールの回転が開始することを表している。
【0087】
履歴表示領域51cは、5ゲームの各々に対応する履歴を表示可能な5つのエリアに区画されている。
図15においては、説明の便宜上、履歴表示領域51c左のエリアから右のエリアに向かって、順に1〜5のエリア番号を付している。履歴表示領域51cの5つのエリアのうちの最も左側のエリア1に直近のゲームの履歴が表示され、その右側のエリア2に1ゲーム前の履歴が表示される。以降、同様に、2ゲーム前の履歴、3ゲーム前の履歴、4ゲーム前の履歴が各々エリア3,4,5に表示される。5つのエリアのすべてが履歴表示で埋められているときに、新たなゲームの結果が得られたときには、元のエリア1〜4の表示履歴はエリア2〜5に1つずつシフトし、新たなゲームの結果がエリア1に表示される。履歴表示領域51c内の「*」は、特典を付与する条件を成立させない表示結果(ここでは、リプレイ以外、たとえば、はずれ)を示す。
【0088】
以下、
図15に従い、1ゲーム目から6ゲーム目までのゲームと履歴表示領域51cの表示の変化とを説明する。1ゲーム目を開始した時点では、履歴表示領域51cの各エリア1〜5のいずれにも「リプレイ」の履歴は表示されていない。1ゲーム目はリプレイ当選のゲームである。リール2L、2C、2Rが変動を開始した後、遊技者の停止操作を経てリプレイの結果が得られると、履歴表示領域51cのエリア1に「リプレイ」が表示される。同様に2ゲーム目および3ゲーム目も進行し、それぞれでリプレイの結果が得られると、履歴表示領域51cのエリア1〜3に「リプレイ」が揃う。
【0089】
ところが、4ゲーム目でリプレイ当選せず、リプレイの結果が得られなかった場合にはエリア1が「*」となる。そうすると、「*−リプ−リプ−リプ」であるから、仮に残り1ゲームでリプレイの結果が得られたとしても、その履歴表示のままでは5ゲーム連続でのリプレイ履歴表示を獲得できない。この例では、まさに5ゲーム目でリプレイの結果が導出されており、その結果、履歴表示領域51cは「リプ−*−リプ−リプ−リプ」という、「5連のリプレイ」に対して“歯抜け”の残念な表示となっている。なお、この段階で、遊技者の惜しい気持ちをわざと強調するために、
図15に示すように「5連ならず」といった演出を加えてもよい。
【0090】
続いて、6ゲーム目が開始する。6ゲーム目はチェリーが当選している。本実施の形態では、チェリー当選は、AT抽選の契機である。そこで、チェリー当選のゲームの前の履歴表示領域51cの表示が上記のごとく歯抜けの残念なものとなっている場合には、チェリー当選のゲームにおいて、歯抜け部分を「リプレイ」に変化させて5連を事後的に成立させる。これにより、一旦、落胆した遊技者に対して意外性のある遊技を提供でき、5連が事後的に成立したことによる遊技者の喜びを大きくすることができる。なお、このようにAT抽選の契機となるチェリーは、中段チェリー、強チェリー、弱チェリーのすべてを対象としてもよく、いずれか1つのみを対象としてもよい。
【0091】
その上、本実施の形態では、チェリー当選ゲームの開始直後に履歴表示領域51cを変化させるのではなく、フリーズ演出を得て、その演出と関連付けて、履歴表示領域51cを変化させている。すなわち、
図15に示すように、6ゲーム目のフリーズ演出による疑似遊技の結果としてリプレイの組合せを仮停止させ、履歴表示領域51cが変化することを事前に遊技者に示唆する。その後に、履歴表示領域51cを5連達成の状態に変化させる。このように、フリーズ演出を得て履歴表示領域51cを変化させるため、履歴表示領域51cの変化に遊技者が気づかないままでいることを防止できる。また、“歯抜け”の履歴表示の後のフリーズ演出に遊技者の注目を集めることができ、演出の効果を高めることができる。
【0092】
なお、
図15に示すように、履歴表示領域51cが変化したときに、「5連達成!」といった演出を加えてもよい。あるいは、
図15に示すように、履歴が変化するエリアを強調表示し、遊技者がそこに注目できるようにしてもよい。また、フリーズの演出を得ることなく、チェリー当選ゲームの開始直後に履歴表示領域51cを変化させてもよい。
【0093】
図16は、履歴表示の変化とフリーズ演出との関係を説明するためのタイミングチャートである。このタイミングチャートは、
図15の6ゲーム目に対応するものである。このため、ゲーム開始段階での履歴表示領域51cの態様は
図16にも示されるとおり、リプレイの3連と、リプレイとの間が欠けた歯抜けの状態となっている。
【0094】
図16を参照して、スタートスイッチがONすると、そのタイミングで役の抽選によってチェリーが当選するとともにリールの変動が開始する。ただし、フリーズ演出を実行するため、3つのリールが時間差で回転開始するなど、通常とは異なる態様でリールの変動が開始する。フリーズ演出中は、停止操作は無効化されている。やがて、3つのリールの変動が仮停止し、フリーズ演出による疑似遊技の結果としてリプレイが揃う。次に、AT抽選が実行され、その結果、ATを追加することが決定される。その後、履歴表示領域51cの歯抜けの部分がリプレイに変化し、リプレイの5連が成立した状態となる。また、リールは仮停止状態を終えて、一斉変動を開始し、一定時間の経過後に停止操作が有効化される。
【0095】
なお、このタイミングチャートでは、AT抽選の結果、ATを追加することが決定された場合を示しているが、AT抽選の結果、ATを追加しないことが決定される場合もある。そのような場合には、履歴表示領域51cの履歴を変化させないようにしてもよい。あるいは、履歴表示領域51cの歯抜けの状態でチェリー当選ゲームを開始した場合には、AT抽選の結果に関わらず、フリーズ演出を経て履歴表示領域51cを5連の状態に変化させるものとし、AT追加されるか否かの結果は、履歴表示領域51cを5連の状態に変化させた後の所定のタイミングで遊技者に報知してもよい。たとえば、履歴表示領域51cを5連の状態に変化させた後のゲーム(1ゲームあるいは複数ゲーム後)でバトル演出を実行し、そのバトル演出の結果によってATが追加されるか否かを報知することが考えられる。
【0096】
図17は、過去の履歴表示が今回の履歴表示に関連して変化する場合を説明するための図である。先に説明した
図15は、履歴表示領域51cの歯抜けの状態が6ゲーム目で5連に変化する例を示す。これに対して、
図17は、履歴表示領域51cの歯抜けの状態が1つ前の5ゲーム目で5連に変化する例である。したがって、1ゲーム目から4ゲーム目までのリール2L、2C、2Rおよび履歴表示領域51cの変化は、
図16と同じであり、ここでは4ゲーム目までの説明を省略する。
【0097】
図17に示すように、5ゲーム目の結果がリプレイとなり、履歴表示領域51cは、一旦、「リプ−*−リプ−リプ−リプ」という、「5連のリプレイ」に対して“歯抜け”の表示となる。遊技者としては、せっかく、5ゲーム目にリプレイが得られたにも関わらず、5連が揃わなかったという残念な気持ちでいっぱいである。そこで、5ゲーム目にリプレイが得られた場合には、5ゲームに対応する履歴表示領域51cのエリアにリプレイを表示するのみならず、“歯抜け”の表示部分であったエリアをリプレイに変化させてしまう。つまり、過去の履歴表示を今回の履歴表示に関連して変化させる。このような制御を行うと、5ゲーム目の表示結果に対する遊技者の注目度合をより一層向上させることができる。
【0098】
なお、
図17に示す例では、履歴表示領域51cのエリア1にリプレイが表示された後、時間をおいてエリア2の履歴表示がリプレイに変化しているが、のエリア1にリプレイが表示されるのと同時にエリア2の表示を変化させてもよい。また、5ゲーム目にリプレイの結果が得られた際に、“歯抜け”の箇所が一か所の場合のみならず、複数個所の場合にも、それぞれの箇所の履歴表示をすべてリプレイに変化させるようにしてもよい。
【0099】
本実施の形態に係る遊技機としては、
図15および
図16に示す制御と
図17に示す制御とのいずれか一方を実行するものとしてもよく、双方の制御を実行可能なものとしてもよい。たとえば、双方の制御を実行可能とすると、
図17の制御を遊技者が期待したものの、5ゲーム目で履歴表示が5連に変化しなかった場合、遊技者はさらに
図15および
図16の制御に期待できるものとなる。
【0100】
図18は、履歴表示の変化とフリーズ演出との関係を説明するためのタイミングチャートである。
図18に示す態様は、
図17に示す態様と主に2つの点で異なる。ひとつは履歴表示領域51cの表示をリプレイの5連に変化させるのではなく、3連が成立し、その後にリプレイが得られなかった場合に、その履歴表示をリプレイに変えて、全体として5連の一歩手前の4連に変化させる点である。もうひとつは、チェリー当選したゲームでフリーズ演出を実行するのではなく、チェリー当選したゲームのその次のゲームでフリーズ演出を実行する点である。
【0101】
図18に示す1ゲーム目から3ゲーム目までは、
図17と同じであるので、ここでは、その説明を省略する。4ゲーム目はチェリー当選ゲームである。このため、リプレイの結果は得られず、この時点で履歴表示領域51cのリプレイの連続性は途絶える。その結果、履歴表示領域51cの表示は「*−リプ−リプ−リプ−*」となり、リプレイの3連止まりとなる。つまり、5連の一歩手前の4連が成立しなかったので、リーチが形成されなかった状態となる。なお、このときに、
図18に示すように「リーチならず」といった演出を加えてもよい。
【0102】
ところが、4ゲーム目がチェリー当選ゲームであったため、次回の5ゲーム目がフリーズ演出の対象とされる。すると、5ゲーム目でフリーズ演出が実行され、疑似遊技の結果としてリプレイが仮停止する。すると、これを受けて、履歴表示領域51cのリーチを阻害していたエリア1の履歴表示がリプレイに変化し、リーチが形成された状態となる。このときに、
図18に示すように「リーチ!」といった演出を加えてもよい。
図18に示す態様では、リプレイの5連の一歩手前の4連が成立していない状態から、4連の状態へと履歴表示領域51cの表示が変化するため、遊技者に対して5連成立に対する期待感を抱かせることができる。
【0103】
図19は、特典を付与する条件1〜条件3を説明するための図である。また、
図20は、特典を付与する条件1〜条件3の具体例を示す図である。これまで説明した
図15〜
図18では、履歴表示領域51cにリプレイの5連が揃うことで特典を付与する条件が成立する。しかしながら、そのような条件はリプレイの5連に限られるものではない。
図19および
図20には、条件1として、リプレイの5連が示されている他、その他の条件の例として、条件2、および条件3が示されている。
【0104】
[条件1]については、
図15〜
図18を用いて説明したので、ここではその説明を繰り返さない。
【0105】
[条件2]は、5ゲームのうちに、特定役による入賞履歴が複数、たとえば、2つあるいは3つ得られたことである。
図20には、条件2の具体例が4つ示されている。上から順に説明する。
【0106】
1つ目は、エリア1〜5の場所は関係なく、スイカの入賞履歴が2つ以上得られたことを条件とする例である。
図20では、エリア1、エリア3にスイカの履歴が表示されているが、仮に、エリア1に対応するゲームの結果がスイカでなかった場合に、次のゲームで
図16に示すようなフリーズ演出を伴って、スイカを仮停止させた後、エリア1の履歴表示をスイカに変化させる。
【0107】
2つ目は、エリア1〜5の場所は関係なく、チェリーの入賞履歴が2つ以上得られたことを条件とする例である。
図20では、エリア1、エリア4にチェリーの履歴が表示されているが、仮に、エリア1に対応するゲームの結果がチェリーでなかった場合に、次のゲームで
図16に示すようなフリーズ演出を伴って、チェリーを仮停止させた後、エリア1の履歴表示をチェリーに変化させる。
【0108】
3つ目は、エリア1〜5の場所は関係なく、チェリーとスイカの入賞履歴がそれぞれ1つ以上得られたことを条件とする例である。
図20では、エリア1にチェリー、エリア4にスイカの履歴が表示されているが、仮に、エリア1に対応するゲームの結果がチェリーでなかった場合に、次のゲームで
図16に示すようなフリーズ演出を伴って、チェリーを仮停止させた後、エリア1の履歴表示をチェリーに変化させる。
【0109】
4つ目は、エリア1〜5の場所は関係なく、スイカが2つ以上、かつチェリーが1つ以上得られたことを条件とする例である。
図20では、エリア1にスイカの履歴が表示されているが、仮に、エリア1に対応するゲームの結果がスイカでなかった場合に、次のゲームで
図16に示すようなフリーズ演出を伴って、スイカを仮停止させた後、エリア1の履歴表示をスイカに変化させる。
【0110】
[条件3]は、順序は関係なく、リプレイとベルとスイカとチェリー、さらにはいわゆるチャンス目が得られたことを条件とする例である。
図20では、エリア1にリプレイの履歴が表示されているが、仮に、エリア1に対応するゲームの結果がリプレイでなかった場合に、次のゲームで
図16に示すようなフリーズ演出を伴って、リプレイを仮停止させた後、エリア1の履歴表示をリプレイに変化させる。
【0111】
チャンス目は、様々に設定できる。たとえば、入賞による払出が1枚しかない1枚役と、ボーナスとが重複当選しているときに、停止操作のタイミングによって、1枚役の入賞、ボーナスの入賞、およびハズレのいずれかが発生する場合には、1枚役の入賞およびハズレのいずれか一方をチャンス目として設定することが考えられる。この場合、1枚役の入賞およびハズレのいずれも、“ボーナスの取りこぼし”の可能性を示唆する出目として機能する。
【0112】
本実施の形態に係る遊技機としては、上記条件1〜3のうちのいずれか1つ、あるいは複数を採用してもよい。
【0113】
[弾球遊技機への適用]
本実施の形態として説明した履歴表示の技術を、パチンコ遊技機に代表される弾球遊技機へ適用した例を説明する。表示状態が変化可能な可変表示装置を有するパチンコ遊技機においては、可変表示装置において複数種類の識別情報が変動表示し、その結果次第で、大当りに代表される、遊技者にとって有利な有利状態に制御される。可変表示装置の表示結果には大当り、外れの他、小当りといった種類が存在する。また、それらの種類の表示結果も、さらには揃った図柄の組合せによって複数種類に分類することができる。このようなパチンコ遊技機に履歴表示領域51cと同様の領域を設ける。その領域は、可変表示装置の可変表示部を表示する液晶表示画面の一部に表示するものとしてもよいし、可変表示部を表示する画面とは別の表示画面に表示するものとしてもよい。いずれにしても、可変表示装置の表示結果に応じて、履歴表示領域の各エリアに履歴を表示し、その履歴表示の組合せが特定の組合せとなれば、遊技者に特典を付与する。特典としては、たとえば、画面に特殊なキャラクタの演出画像を表示することが考えられる。あるいは、特定のリーチ演出を特殊なキャラクタにより行うものとすることが考えられる。
【0114】
ところで、
図16を用いて説明したケースと同様に、パチンコ遊技機での履歴表示に“歯抜け”が生じたものとなった場合、所定条件の成立を前提として、歯抜け部分の履歴表示を特定の組合せを成立させる履歴表示へと変化させる。所定条件としては、可変表示装置の変動契機となる始動口や、あるいは、それ以外の特定の入賞口への玉の入賞などが考えられる。このようにすることで、いわゆる保留記憶数が満タンになっていることで、遊技者が止め打ちをしてしまうことを極力防止できる。
【0115】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
【0116】
[特典について]
前述した例では、特典として、ATに制御可能にするATゲーム数の付加を例示した。これは、メダルの払出率に直接影響を及ぼす価値の一例である。しかし、特典としては、遊技者にとっての有利度合いを向上させる価値であればよく、たとえば、メダルの払出率に直接影響を及ぼすものではない価値であってもよい。具体的に、AT抽選において通常時よりも高確率でAT当選する高確率状態が設けられている場合において、現在の状態が高確率状態であるか否かを示唆するための確率示唆演出の実行、液晶表示器51に音声とともにプレミア演出の実行(特別キャラクタ出現、次回発生したボーナス中において特別なボーナス中演出実行など)、設定されている設定値を示唆するための設定値示唆演出の実行、一定数を集めることでスロットマシン1が設置された遊技店において定めたサービスと交換可能なポイント付与、特典映像や特典情報を所定のWebサイトにてダウンロードすることが可能な2次元コードを液晶表示器51において表示などであってもよい。
【0117】
また、ATに所定ゲーム数(たとえば50ゲーム)制御可能にする権利(ナビストック)を特典としてもよい。また、ナビ演出を実行可能なナビ演出実行可能回数を決定し、当該決定されたナビ演出実行可能回数分、ナビ演出が実行されるまでATに制御する場合、ナビ演出実行可能回数を特典としてもよい。また、たとえば、上限付与量を決定し、付与された遊技用価値(メダル払出枚数)が決定された上限付与量に到達するまでATに制御する場合、上限付与量を特典としてもよい。また、所定のAT開始条件が成立してから所定のAT終了条件が成立するまでATに制御され、AT終了条件が成立したときに当該ATを継続するか否かの継続抽選を行う場合、継続抽選において継続すると決定される継続確率を特典としてもよい。
【0118】
[有利状態について]
前述した例では、有利状態として、スロットマシンについては小役の当選確率が所定状態であるときよりも高確率となるビッグボーナス(BB)やATを例示したが、遊技者にとって有利な状態であればこれに限るものではなく、以下においてスロットマシンの例を説明する。
【0119】
有利状態は、たとえば、所定の入賞役の当選確率が高確率となるレギュラーボーナス(RB)やリプレイタイム(RT)、小役の集中状態や、少なくとも1のリールの引き込み可能範囲が通常よりも狭くなるとともに毎ゲームにおいてすべての小役の発生が許容された状態となるチャレンジタイム(CT)、入賞役の当選確率などを変化させるものではなく当選した小役を入賞させるための操作手順を所定期間(たとえば50ゲーム消化するまでの間)に亘って報知する擬似ボーナスなどであってもよい。また、これらの有利な状態に制御される確率が高確率となる状態であってもよく、また、フリーズ状態に制御される確率が高確率の状態、ATゲーム数などのゲーム数が高確率で上乗せされる状態、ATの上乗せゲーム数が増加されやすくなる状態など、上記実施形態と異なる態様の有利状態を設定してもよい。また、通信回線網上で特典を得るための条件や、プレミアム感のある演出(フリーズ演出、プレミアム演出など)を実行する条件の成立確率が高確率となる状態等、遊技者にとって間接的に有利な特典や、遊技の興趣を向上させる状態などであってもよい。また、有利状態への移行を許容するか否かを決定する許容決定手段は、内部抽選処理に限らず、入賞役とは無関係に決定する手段であってもよい。
【0120】
[演出や報知について]
前述した例では、液晶表示器51を用いて演出や報知を行う例を挙げたが、例えば、スピーカ53,54、リールの背面側(内側)に配置されたバックランプ(上記実施形態のリールLED55)、リールの前面側に配置された透過液晶表示器(リールを目視できるように構成された液晶表示器)、前面扉1bなどに取り付けられたランプやLED、ストップスイッチの振動、ストップスイッチの周囲からの送風、ストップスイッチの温度の変化など、上記の実施形態と異なる手段で演出を実行してもよい。
【0121】
[ATについて]
上記スロットマシンの例では、ATに係る制御をメイン制御部41が実行する例について説明したが、メイン制御部41が実行するATに係る制御としては、AT抽選の実行が挙げられる。AT抽選には、AT抽選の当選または非当選の決定、ATゲーム数をストックするか否かの決定、ATゲーム数の決定、ATゲーム数の上乗せ抽選などが含まれるものであってもよい。また、ATに係る制御としてAT抽選の高確率状態の制御が挙げられる。AT抽選の高確率状態の制御には、AT抽選の当選確率が高確率になる制御、内部抽選の結果に応じてATに制御されるまでの期間を短縮する制御、上乗せ抽選の当選確率やゲーム数を優遇する制御などが含まれる。また、ATに係る制御として、規定ゲーム数のゲームが消化されたときにATに制御することが挙げられる。規定ゲーム数のゲームが消化されたときとして、天井ゲーム数に到達したとき、抽選で決定されたゲーム数に到達したときが含まれる。また、ATに係る制御として、前兆期間を設定する制御が挙げられる。前兆期間を設定する制御には、ATの開始前の前兆期間に例えば0〜32ゲームの演出を実行する制御が含まれる。また、ATに係る制御として、ペナルティを付与する制御が挙げられる。ペナルティを付与する制御には、ペナルティ内容の決定、ペナルティ期間の決定または設定が含まれる。また、ATに係る制御として、AT中である旨のランプやLEDの点灯制御をメイン制御部41が行うことが挙げられる。
【0122】
また、ATに係る制御として、ナビ演出を実行するためのランプやLEDの点灯制御をメイン制御部41が行うことが挙げられる。さらに、メイン制御部41がナビ演出を実行することに連動してサブ制御部91がナビ演出を実行するようにしてもよい。
【0123】
なお、ATに係る制御をメイン制御部41が実行する場合には、メイン制御部41の処理を、メイン制御部41に従属し、メイン制御部41の下位となる制御部に実行させることが好ましい。例えば、リールの停止制御を遊技制御基板以外の基板に設けた制御部が実行するようにし、メイン制御部41はストップスイッチの操作信号を当該制御部に転送することが挙げられる。このように、メイン制御部41の制御を下位となる制御部に行わせることにより、ATに係る制御を行うときのROM41bやRAM41cの容量不足やメインCPU41aの処理能力不足を防止することができる。
【0124】
また、前述した実施の形態では、前述したATに係る制御をメイン制御部41が実行するようにしたが、サブ制御部91が実行するようにしてもよい。サブ制御部91は、たとえば、メイン制御部41からの内部当選コマンドに基づいてAT抽選処理や上乗せ抽選処理を行い、その結果に応じてATに制御するための処理やナビ演出を実行するための処理などを行うようにしてもよい。
【0125】
[設定変更状態および設定確認状態について]
設定変更状態に関して、「電源ON」+「設定キースイッチON」+「前面扉開放検出」を条件として、設定変更状態に移行させるようにしてもよい。これにより、前面扉が開放されていない状態での不正な設定変更を防ぐことができる。また、一旦設定変更状態に移行された後は、設定変更状態を終了させる終了条件(設定値確定後に設定キースイッチがOFF操作)が成立するまで前面扉の開閉状態に関わらず設定変更状態を維持するようにしてもよい。これにより、設定変更状態中に前面扉が閉まっても設定変更状態を終了させないため、再度設定変更状態へ移行させる手間を生じさせてしまうことを防ぐことができる。
【0126】
また、設定確認状態に関して、「設定キースイッチON」+「前面扉開放検出」を条件として、設定確認状態に移行させるようにしてもよい。これにより、前面扉が開放されていない状態での不正な設定確認を防ぐことができる。また、一旦設定確認状態に移行された後は、設定確認状態を終了させる終了条件(設定キースイッチがOFF操作)が成立するまで前面扉の開閉状態に関わらず設定確認状態を維持するようにしてもよい。これにより、設定確認状態中に前面扉が閉まっても設定確認状態を終了させないため、再度設定確認状態へ移行させる手間を生じさせてしまうことを防ぐことができる。
【0127】
[スロットマシンの変形例について]
上記実施形態として、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すスロットマシンを説明したが、遊技媒体が封入され、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すことなく遊技点(得点)を加算する封入式のスロットマシンを採用してもよい。基板とドラムとが流通可能で、筐体が共通なもので基板のみあるいは基板とドラムとを遊技機と称する。また、遊技玉を発射して遊技を行うことが可能な遊技領域を備え、遊技領域に設けられた所定領域を遊技玉が通過することに応じて賭数の設定が可能となるスロットマシンであってもよい。
【0128】
(1)
図16に示した例では、チェリー当選した今回のゲームでフリーズ演出が実行される。しかしながら、
図18に示したように、チェリー当選したそのゲームでフリーズ演出をするのではなく、次回のゲームでフリーズ演出を実行するようにしてもよい。
【0129】
(2) 特典付与の対象となる履歴表示の一例として、通常リプレイを例に挙げて説明したが、通常リプレイ以外のリプレイ、たとえば、
図11に示すベルリプレイや特別リプレイ等のうちのいずれか1つあるいは複数を特典付与の対象となる履歴表示として採用してもよい。また、通常リプレイの複数種類の図柄の組合せのうち、特定の組み合わせ(たとえば、リプレイ−リプレイ−リプレイ)のみを対象としてもよい。
【0130】
(3)
図16を参照して、ATを追加することが決定されたときにはその直後にその旨を報知してもよく、仮停止した図柄が再変動を開始したときにその旨を報知してもよい。あるいは、仮停止した図柄が再変動を開始してから、第1〜第3停止操作のいずれかのタイミングで報知してもよい。
【0131】
(4)
図20には、[条件3]として、順序は関係なく、リプレイとベルとスイカとチェリー、さらにはいわゆるチャンス目が得られたことを条件とする例を示した。しかしながら、これら5つの履歴表示のすべてが揃わなくても、いずれか1つが揃った場合であっても、AT抽選によりATが追加される可能性が存在するようにしてもよい。その場合、それらの履歴表示が揃っている個数が多くなるにつれて、AT当選する期待度が高くなるようにすることが望ましい。たとえば、履歴表示が1つの場合には、期待度は0%あるいは0%を超える特定の値とし、履歴表示が揃う個数が多くなるにつれて期待度を上昇させ、履歴表示が5つの場合には期待度を100%あるいは100%未満の値とする。
【0132】
(5) 履歴表示領域51cのエリアの数は、5つに限られるものではなく、2つ以上であればよい。また、履歴表示領域51cの各エリアの配列の仕方は横一列でなくてもよい。たとえば、縦横に矩形状に複数のエリアを配列し、一定の規則に従って各エリアに順番に履歴表示をするものとしてもよい。たとえば、複数のエリアを正方形状に配列した上で、2つの対角線の一方に並ぶ複数エリアを有効ラインとし、そこに予め定めた履歴表示の組合せが完成すると、AT当選の可能性があるものとしてもよい。
【0133】
(6) フリーズ演出中の擬似遊技は、フリーズ演出中において複数回実行するものとしてもよい。たとえば、
図16のタイミングチャートを参照して、フリーズ演出中に複数回、図柄の組合せが仮停止するものとし、そのうちの少なくとも1回でリプレイの結果が得られると、履歴表示領域51cの表示が
図16に示す如く変化してリプレイの5連が成立するものとしてもよい。あるいは、履歴表示領域51cの5つのエリアの3つがリプレイ以外で2つのみがリプレイであるときに、フリーズ演出の疑似遊技においてリプレイが仮停止する毎に、リプレイ以外の履歴表示がリプレイに変化するようにしてもよい。なお、フリーズ演出は、スタートスイッチ7を操作したときに実行されるものに限らず、第1停止操作されたときや、第3停止操作されたとき、表示結果が導出されて1ゲームが終了したときなどに実行されるものであってもよい。
【0134】
(7) 履歴表示領域51cにおいて、リプレイの5連の成立具合を遊技者が簡単に確認できるように、
図15、
図17、
図18に示すように、注目すべき履歴表示領域51cのエリアの枠部分を強調表示するものとしてもよい。
【0135】
(8)
図15あるいは
図18に示したように、フリーズ演出はチェリー当選を契機として、チェリー当選ゲームあるいはその当選ゲームの次回のゲームで実行し、それにより、特典の付与を阻害する履歴表示領域51cの履歴表示を変化させるものとした。つまり、特典の付与を阻害する履歴表示の変化はチェリー当選を条件としている。しかしながら、チェリー以外の役、たとえば、ボーナスの当選を条件として、特典の付与を阻害する履歴表示が変化するものとしてもよい。
【0136】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。