(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の屋外用構造物では、屋根用の部品に対する支柱の取り付け位置が決まっている。そのため、屋根を取り付ける位置が決まると、必然的に支柱を地面に固定する位置が決まる。しかし、支柱を地面に固定したい場所に障害物があると、屋外用構造物を所望の位置に設置できない。
【0005】
上記課題に対し、特許文献1の簡易構造物では、支柱の上部に設けられる梁に屋根体を取り付ける構成において、支柱上部に固定した固定部と固定部の長手方向に伸縮可能な伸縮部とで構成される梁を採用し、支柱と屋根体との位置を伸縮部によって調整している。つまり、特許文献1の簡易構造物では、支柱とマンホール等の障害物との干渉を避けるため、支柱を設ける位置を、屋根体の外方に離間して設けて、梁の長さを調整することで上記課題を解決している。
【0006】
しかし、例えば、建物の壁体と隣地との境界との間のスペースを最大限使ってカーポートや自転車置き場を設ける場合がある。特許文献1の簡易構造物では、支柱を外方に離間させて障害物を避ける構成であるため、限られた間口を最大限覆う屋根を設ける場合に適用できない。また、車や自転車等の出し入れ等の動線を確保するために、間口側には支柱を配置できない。
【0007】
上記事情を踏まえ、本発明は、屋根部と支柱との取り付け位置の自由度を高め、施工性を向上させることができる屋外用構造物及び屋外用構造物の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る屋外用構造物は、地面に立設された支持部材と、二枚の薄板の間に発泡体で形成された芯材が配置されて構成される一枚の屋根材及び前記屋根材の周囲に取り付けられる枠体を有する屋根部と、
前記支持部材の上面に設けられるキャップと、を備え、前記枠体には、前記支持部材に連結される連結部が全長に亘って形成され、
前記連結部は、前記屋根材の外側に開口する凹部であり、前記連結部の任意の位置で
前記キャップと前記連結部とを介して前記枠体と前記支持部材とが連結されて、前記屋根部が前記支持部材に
固定されて支持されることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、二枚の薄板の間に発泡体で形成された芯材が配置されて屋根材が構成されるため、屋根材を軽量化することができ、且つ十分な強度が得られる。この結果、従来の屋外用構造物で用いられているポリカーボネート製の屋根材に比べて強度を高くできるため、垂木や母屋等の屋根を構成する部品が不要となる。その結果、屋根材の下面(天井)を平坦にすることができ、意匠性に優れた屋外用構造物を提供できる。また、屋根が遮光性に優れる。さらに、連結部の任意の位置で枠体と支持部材とが連結されるので、屋根部と支持部材との取り付け位置の自由度を高め、支持部材を設置できる場所に制約がある場合でも屋根を設けることができる。
【0010】
本発明に係る屋外用構造物は、地面に立設された支持部材と、二枚の薄板の間にハニカム構造体で構成された芯材が配置されて構成される一枚の屋根材及び前記屋根材の周囲に取り付けられる枠体を有する屋根部と、
前記支持部材の上面に設けられるキャップと、を備え、前記枠体には、前記支持部材に連結される連結部が全長に亘って形成され、
前記連結部は、前記屋根材の外側に開口する凹部であり、前記連結部の任意の位置で
前記キャップと前記連結部とを介して前記枠体と前記支持部材とが連結されて、前記屋根部が前記支持部材に
固定されて支持されることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、二枚の薄板の間にハニカム構造体で構成された芯材が配置されて屋根材が構成されるため、屋根材を軽量化することができ、且つ十分な強度が得られる。この結果、従来の屋外用構造物で用いられているポリカーボネート製の屋根材に比べて強度を高くできるため、垂木や母屋等の屋根を構成する部品が不要となる。その結果、屋根材の下面(天井)を平坦にすることができ、意匠性に優れた屋外用構造物を提供できる。また、屋根が遮光性に優れる。さらに、連結部の任意の位置で枠体と支持部材とが連結されるので、屋根部と支持部材との取り付け位置の自由度を高め、支持部材を設置できる場所に制約がある場合でも屋根を設けることができる。
【0013】
この発明によれば、連結部の任意の位置でキャップと接続されるので、屋根部に対する支持部材の取り付け位置の自由度を高め、施工性を向上させることができる。また、屋根部を支持部材に容易に取り付けることができる。
【0014】
本発明に係る屋外用構造物において、前記枠体の下面が前記キャップ上に載置されて固定されてもよい。
【0015】
この発明によれば、屋根部を支持部材の上部で安定して支持できる。また、枠体をキャップ上に載置した状態で屋根部を固定できるので、屋根部を支持部材に固定する作業が容易に行える。
【0016】
本発明に係る屋外用構造物において、前記キャップと前記屋根材との間にスペーサが設けられて
おり、前記屋根部は前記スペーサにより水平方向に対して傾斜した状態で前記支持部材に固定されてもよい。
【0017】
この発明によれば、スペーサにより、屋根部と支持部材とが干渉することなく、屋根部を水平方向に対して傾斜した状態で支持部材に固定できる。
【0018】
本発明に係る屋外用構造物の施工方法は、地面に支持部材を立設する工程と、二枚の薄板の間に発泡体で形成された芯材が配置されて構成された一枚の屋根材及び前記屋根材の周囲に取り付けられる枠体を有する屋根部
の前記枠体を前記支持部材の上面に設けられたキャップ上に載置する工程と、
前記枠体の全長に亘って形成され、前記屋根材の外側に開口する凹部を有する連結部を前記キャップに固定して前記屋根部を前記支持部材に支持させる工程と、を備えることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、屋根部と支持部材との取り付け位置の自由度を高め、施工性を向上させることができる。また、従来の屋根構造体に比べて、設置現場での施工負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、屋根に対する支柱の取り付け位置の自由度を高め、施工性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態に係る屋外用構造物1について説明する。
図1は本実施形態に係る屋外用構造物1の斜視図である。
図2は屋外用構造物1の上部の断面図である。
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る屋外用構造物1は、屋根部2と、支柱3(支持部材)とを備える。
図1に示すように、屋外用構造物1は、4本の支柱3で屋根部2が支持される構成を有する。
【0023】
屋根部2は、略長方形の平板形状を有する。
図2に示すように、屋根部2は、屋根材4と、屋根材4の外面を覆う外装材45と、屋根材4の周囲に取り付けられる枠体6とを備える。
【0024】
屋根材4は、芯材41と、芯材41の両面に配置された薄板421、422とが積層されて構成されている。芯材41は、押出発泡ポリスチレンからなる板材である。具体的には、ポリスチレン又はポリスチレンの共重合体に発泡剤等を添加して溶融させた原料を押し出し発泡成形して形成された厚さ3cmの板材である。
【0025】
薄板は、上側薄板421と下側薄板422とで構成される。上側薄板421は、厚さ0.5mmのアルミニウム板からなる。下側薄板422は、厚さ3mmのアルミニウム樹脂複合板からなる。アルミニウム樹脂複合板は、例えば、ポリエチレン等の樹脂芯材の両面にアルミニウム面材が積層されて構成されたものを使用できる。上側薄板421及び下側薄板422は、芯材41の上下面にそれぞれ接着剤で貼り付けられて屋根材4が形成されている。
【0026】
外装材45は、屋根材4の少なくとも下面に接着材により貼り付けられるシートである。外装材45は、屋根材4の表面の保護及び意匠性を高めるために設けられる。本実施形態では、外装材45は、木目模様が印刷されたシートで構成されており、屋根材4の上下面に貼り付けられている。この外装材45を屋根材4に張り付けると、屋根材4が木製の板屋根のような外観となる。なお、外装材45は、色、模様等を適宜選択して設けることができる。また、外装材45はシートに限らず、金属や樹脂製の建材や塗装、印刷等であってもよい。
【0027】
枠体6は、屋根材4の周囲(縁端部)に設けられている。
図2に示すように、枠体6は、枠本体61と、枠本体61の外周面を覆う屋根枠カバー62とを備える。枠本体61及び屋根枠カバー62は、アルミニウム製の押し出し形材である。枠体6は、外装材45と同じ柄のシートが貼られたラッピング形材である。
【0028】
枠本体61は、略H字形の断面を有する長尺部材である。枠本体61は、上下方向に伸びる縦壁部616を境界として、屋根材4側に配置される内側凹部611と、外方に配置される外側凹部612(連結部)とを備える。枠本体61の一方の内側凹部611に屋根材4の外縁部43が内嵌される。
【0029】
外側凹部612の上下端部には、枠本体61の長手方向に沿って係止部613、614が形成されている。屋根枠カバー62は、長尺な略板状の部材であり、背面622の上部及び下部に係止爪623、624が形成されている。屋根枠カバー62は、枠本体61の外側凹部612を覆うように配置されて枠本体61の係止部613、614と、係止爪623、624とがそれぞれ係合される。枠本体61は、屋根部2の長辺の両方に使用できる共通部品である。なお、屋根部2の短辺においても同様の断面形状の枠本体を使用できる。
【0030】
枠体6は、屋根材4の側面にそれぞれ外嵌されている。枠体6と屋根材4の外嵌部分の隙間は、シール材(不図示)により塞がれて防水処理が施されている。シール材は、例えば、フィルムにアクリル系感圧型粘着剤が設けられた接着テープが用いられる。なお、
図2には、屋根材4のみが外装材45で被覆される構成を示すが、屋根材4及び枠体6が外装材45で被覆される構成でもよい。また、シール材として、コーキング材を塗布してもよい。
【0031】
図3は屋外用構造物1の屋根部2と支柱3の上部とを示す分解斜視図である。支柱3は、中空の角柱からなる本体部33と、キャップ32とを備える。本体部33の内面には、キャップ32を固定するための4本のネジ90がそれぞれ係合される4つの係合部37が形成されている。係合部37は支柱3の上下方向に延設されている。支柱3は、例えば、アルミニウム形材からなる。キャップ32は、例えば、ステンレスからなる。
【0032】
図3に示すように、キャップ32には、4本のネジ90がそれぞれ挿通される4つのネジ孔321と、屋根部2を支柱3に固定するための連結ビス91が挿通される連結ビス孔322とが形成されている。
【0033】
連結ビス孔322の周囲のキャップ32の上面にはスペーサ8が設けられている。スペーサ8は中心に貫通孔が形成された円盤状の部材である。
【0034】
次に、屋外用構造物1の構造を説明する。
屋外用構造物1は、4本の支柱3の上端部の開口31(
図3参照)がそれぞれキャップ32で覆われている。キャップ32は、ネジ90がキャップ32のネジ孔321及び係合部37に挿入されて、係合部37と螺合して支柱3に固定されている。枠本体61の外側凹部612の内側から連結ビス91が枠本体61を下方に貫通して、キャップ32の連結ビス孔322に挿入されて螺合している。枠体6の下面とキャップ32の上面との間にはスペーサ8が配置されている。
【0035】
図1及び
図2に示すように、屋根部2は、短辺側が水平方向に対して傾斜するように支柱3に固定されている。このとき、スペーサ8の厚さにより、枠体6とキャップ32との間に隙間が形成されているので、屋根部2が傾斜していても、枠体6とキャップ32とが干渉することがない。ここで、スペーサ8は、上面が屋根部2の傾斜角度に合わせた傾斜面を有する構成としてもよい。
【0036】
屋外用構造物1は、枠本体61が4本の支柱3の上端面のキャップ32に連結ビス91のみを用いて固定されることにより、屋根部2が支柱3に支持されている。
【0037】
次に、本実施形態の屋外用構造物1の施工方法を示す。
屋外用構造物1の屋根部2及び支柱3は予め工場で作製されており、これらを施工現場で組み立てることにより屋外用構造物1が得られる。まず、地面に埋設または固定された複数の土台部(不図示)にそれぞれ4本の支柱3が固定されて立設される。
【0038】
支柱3の上端部の開口31にキャップ32を配置し、ネジ90をキャップ32のネジ孔321及び係合部37に挿入し、係合部37とネジ90とを螺合させてキャップ32を支柱3に固定する。なお、キャップ32は、支柱3を立設する前に支柱3に取り付けてもよい。
【0039】
次に、屋根部2を各支柱3に固定する。屋根部2の枠体6の下面を4本の支柱3の各キャップ32の上面に載置する。このとき、枠本体61とキャップ32との間にスペーサ8を配置する。次に、連結ビス91を、枠本体61の外側凹部612の内側からスペーサ8及びキャップ32の連結ビス孔322に貫通し、キャップ32に螺合させる。このとき、屋根部2を水平方向に対して所望の角度で傾斜させて、枠本体61を支柱3に固定する。
【0040】
次に、枠本体61に屋根枠カバー62を係合させて固定し、屋外用構造物1が完成する。
【0041】
本実施形態に係る屋外用構造物1は、二枚の薄板の間に発泡体で形成された芯材41が配置されて屋根材4が構成されるため、屋根材4を軽量化することができ、且つ十分な強度が得られる。この結果、従来の屋外用構造物で用いられているポリカーボネート製の屋根材に比べて強度を高くできるため、垂木や母屋等の屋根を構成する部品が不要となる。屋根材の下面(天井)を平坦にすることができ、意匠性に優れた屋外用構造物1を提供できる。また、屋根部2が遮光性に優れる。さらに、枠本体61の外側凹部612の任意の位置で枠体6と支柱3とが連結されるので、屋根部2と支柱3との取り付け位置の自由度を高め、支柱3を設置できる場所に制約がある場合でも屋根を設けることができる。
【0042】
本実施形態係る屋外用構造物1は、屋根材4を軽量化することができるとともに、屋根の耐熱性、断熱性を向上させることができる。
【0043】
本実施形態に係る屋外用構造物1によれば、枠本体61の外側凹部612の任意の位置でキャップ32と接続されるので、屋根部2に対する支柱3の取り付け位置の自由度を高め、施工性を向上させることができる。また、屋根部2を支柱3に容易に取り付けることができる。
【0044】
本実施形態に係る屋外用構造物1によれば、屋根部2を支柱3の上部で安定して支持できる。また、枠体6をキャップ32上に載置した状態で屋根部2を固定できるので、屋根部を支柱3に固定する作業が容易に行える。また、本実施形態に係る屋外用構造物1によれば、屋根部2の外縁よりも外側に支柱3を突出させることなく設置できるので、限られたスペースに最大限の屋根を設ける場合に好適である。
【0045】
本実施形態に係る屋外用構造物1によれば、スペーサ8により、屋根材4と支柱3とが干渉することなく、屋根部2を水平方向に対して傾斜した状態で支柱3に固定できる。
【0046】
本実施形態に係る屋外用構造物1の施工方法によれば、屋根部2と支柱3との取り付け位置の自由度を高め、施工性を向上させることができる。従来の屋根構造体に比べて、設置現場での施工負担を軽減することができる。
【0047】
上記実施形態では、傾斜した屋根部2の高さが高い方の柱3に設けられたスペーサ8が、屋根部2の高さが低い側の柱3に設けられたスペーサ8よりも厚い例を示した(
図2参照)が、スペーサ8の態様はこれに限定されない。例えば、屋根部2の上面に雨水が溜まらない程度に屋根部2が僅かに傾斜している場合は、同じ高さのスペーサ8を各柱に設けてもスペーサ8としての機能を満たし得る。
【0048】
上記実施形態では、屋根部2が水平方向に対して傾斜して支柱3に固定される例を示したが、屋根部2が水平に設けられていてもよい。この場合、スペーサ8は無くても良い。
【0049】
上記実施形態及び変形例では、薄板は上側薄板421がアルミニウム板からなり、下側薄板422がアルミニウム樹脂複合板からなる例を示したが、薄板はこれに限定されず、軽量且つ耐久性に優れた板材若しくはシートであればよい。例えば、繊維強化プラスチック板、鋼板のいずれか一つまたはいずれかの組み合わせからなる薄板でもよい。また、上側薄板及び下側薄板が同じ材料からなる薄板であってもよい。この他、例えば、薄板として、木目模様等を有するシートを直接発泡体に貼って屋根材を構成してもよい。
【0050】
上記実施形態では、外装材45が屋根材4の上下面に設けられる例を示したが、外装材45は、屋根材4の少なくとも下面に設けられていればよい。
【0051】
上記実施形態及び変形例では、芯材として、押出発泡ポリスチレンからなる板材を例示したが、芯材は発泡体で形成された軽量且つ屋根材として十分な強度を備えるものであればよく、例えば、発泡ポリエチレン、発泡スチロール等であってもよい。さらに、屋根材は、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡スチロール、樹脂、金属等で形成されたハニカム構造体で構成される芯材を薄板で挟んで構成されてもよい。
【0052】
本実施形態では、アルミニウム板(薄板)と枠体とが別の部材で構成される例を挙げたが、2枚の薄板と長辺方向の枠体とを一体に形成して、2枚の薄板と長辺方向の枠体とで形成された空間に芯材を収容する構成であってもよい。
【0053】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
また、上述の各実施形態及び各変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0054】
上記実施形態では、支持部材として支柱3を例示したが、屋根部2を支持可能な部材であればよく、例えば、壁体であってもよい。また、支持部材を屋根部の短辺に設ける構成であってもよい。この他、3本以上の支柱で屋根部を支持する構成や、支柱と壁体とを組み合わせて屋根部を支持する構成であってもよい。
【0055】
上記実施形態では、屋根部2が略長方形である例を示したが、屋根部2の平面形状はこれに限定されない。上述の通り、屋根材は、押出発泡ポリスチレン等の板材からなるので形状の自由度が高い。例えば、屋根部2の形状が正方形や、三角形、多角形であってもよい。この他、屋根材が軽量であるため、多角形の屋根材であっても、支持部材をバランス良く配置することにより、少ない支持部材で屋根部2を支持可能である。したがって、屋外用構造物の立地条件や意匠性の自由度が高い。
【0056】
本実施形態では、キャップ32はステンレスからなる例を示したが、キャップの材質はこれに限定されず、例えば、アルミニウム等の金属やASA樹脂(Acrylonitrile-Styrene-Acrylate樹脂)等の樹脂であってもよい。
【0057】
上記実施形態では、屋根枠カバー62が長尺な板状である例を示したが、屋根枠カバー62の形状はこれに限定されない。
図4に上記実施形態の変形例の屋根枠カバー620の断面図を示す。例えば、
図4に示すように、屋根枠カバー620が雨樋621と一体に形成されていてもよい。枠本体61に屋根枠カバー620が係合されて、屋根部2の端部に雨樋621が設けられる構成としてしてもよい。屋根枠カバー620及び雨樋621は、ASA樹脂(Acrylonitrile-Styrene-Acrylate樹脂)からなる成型部材である。
【0058】
[第二実施形態]
本発明の第二実施形態に係る屋外用構造物1Aについて説明する。
図5は本実施形態に係る屋外用構造物1Aの斜視図である。
図6は屋外用構造物1Aの屋根部2
Aの側面図である。
図5及び
図6に示すように、本実施形態に係る屋外用構造物1Aは、屋根部2Aと、支柱3A(支持部材)とを備える。
図5に示すように、屋外用構造物1Aは、4本の支柱3Aで屋根部2Aが支持される構成を有する。
【0059】
図7に示すように、屋根材4Aは、芯材41Aと、芯材41Aの両面に配置された薄板42A、42Aとが積層されて構成されている。
【0060】
芯材41Aは、押出発泡ポリスチレンからなる板材である。具体的には、ポリスチレン又はポリスチレンの共重合体に発泡剤等を添加して溶融させた原料を押し出し発泡成形して形成された厚さ3cmの板材である。
薄板42Aは、厚さ0.5mmのアルミニウム板からなる。芯材41Aの上下面にそれぞれ薄板42Aが接着剤で貼り付けられて屋根材4Aが形成されている。
【0061】
外装材45Aは、屋根材4Aの少なくとも下面に接着材により貼り付けられるシートである。外装材45Aは、屋根材4Aの表面の保護及び意匠性を高めるために設けられる。本実施形態では、外装材45Aは、木目模様が印刷されたシートで構成されており、屋根材4Aの上下面に貼り付けられている。この外装材45Aを屋根材4Aに張り付けると、屋根材4Aが木製の板屋根のような外観となる。なお、外装材45Aは、色、模様等を適宜選択して設けることができる。また、外装材45Aはシートに限らず、金属や樹脂製の建材や塗装、印刷等であってもよい。
【0062】
屋根部2Aは、屋根材4Aの周囲(縁端部)に枠体6Aが設けられている。
図7に示すように、枠体6Aは、枠本体61Aと、枠本体61Aの外周面を覆う屋根枠カバー62Aとを備える。枠本体61A及び屋根枠カバー62Aは、アルミニウム製の押し出し形材である。枠体6Aは、外装材45Aと同じ柄のシートが貼られたラッピング形材である。
【0063】
図8は、枠本体61Aの短手方向の断面図である。枠本体61Aは、略H字形の断面を有する長尺部材である。枠本体61Aは、上下方向に伸びる縦壁部616Aを境界として、屋根材4A側に配置される内側凹部611Aと、外方に配置される外側凹部612Aとを備える。
図7に示すように、枠本体61Aの一方の内側凹部611Aに屋根材4Aの外縁部43Aが内嵌される。
【0064】
縦壁部616Aには、外側凹部612A側に突出して形成される屋根側連結部63A(連結部)が形成されている。屋根側連結部63Aは、縦壁部616Aの一部を底部632Aとし、枠本体61Aの長手方向に延びる溝である。屋根側連結部63Aは、外側凹部612Aの上下方向略中央部に開口部631Aが形成されている。
【0065】
外側凹部612Aの上下端部には、枠本体61Aの長手方向に沿って係止部613A、614Aが形成されている。屋根枠カバー62Aは、長尺な略板状の部材であり、背面622Aの上部及び下部に係止爪623A、624Aが形成されている。屋根枠カバー62Aは、枠本体61Aの外側凹部612Aを覆うように配置されて枠本体61Aの係止部613A、614Aと、係止爪623A、624Aとがそれぞれ係合される。枠本体61Aは、屋根部2Aの長辺の両方に使用できる共通部品である。屋根部2Aの短辺においても同様の断面形状の枠本体を使用できる。
【0066】
枠体6Aは、屋根材4Aの側面にそれぞれ外嵌されている。枠体6と屋根材4の外嵌部分の隙間は、シール材(不図示)により塞がれて防水処理が施されている。シール材は、例えば、フィルムにアクリル系感圧型粘着剤が設けられた接着テープが用いられる。なお、
図7には、屋根材4Aのみが外装材45Aで被覆される構成を示すが、屋根材4A及び枠体6Aが外装材45Aで被覆される構成でもよい。また、シール材として、コーキング材を塗布してもよい。
【0067】
図9は屋外用構造物1Aの上部を示す分解斜視図である。
図10は、支柱3Aの上部を示す斜視図である。支柱3Aは、中空の角柱からなる本体部33Aと、本体部33Aの一側面に形成される係止部34Aとを備える。
図9及び
図10に示すように、係止部34Aは、後述する連結部材35A(支持部材側連結部)を固定する固定面341Aと、固定面341Aの左右両端から本体部33Aの外面と略面一に形成される一対の側壁部342A、342Aとを備える。係止部34Aは支柱3Aの上下方向に延設されている。係止部34Aは、連結部材35Aが固定されて、支柱カバー38Aで覆われる。支柱3Aは、例えば、アルミニウム形材からなる。
【0068】
連結部材35Aは、支柱3Aと屋根部2Aとを連結する部材である。
図9に示すように、連結部材35Aは、支柱側連結面351Aと、屋根側連結面352Aと、中間部353Aとを備える。支柱側連結面351Aと屋根側連結面352Aとの間に中間部353Aが形成されている。支柱側連結面351Aは係止部34Aの固定面331Aに沿って配置されて固定される面である。屋根側連結面352Aは、支柱側連結面351Aよりも上方に支柱側連結面351Aと略平行に延びる面である。支柱側連結面351Aには、ビス孔354A、354Aが形成されている。屋根側連結面352Aには、ボルト孔355A、355Aが形成されている。
【0069】
次に、屋外用構造物1Aの支持構造について説明する。
図11は、屋外用構造物1Aの支柱3Aと屋根部2Aとの連結部分を示す断面図である。
図10に示すように、連結部材35Aは、支柱側連結面351Aが係止部34Aの固定面341Aに当接されて、2本のビス356A、356Aがそれぞれビス孔354A、354Aに挿通されて固定面341Aに固定されている。支柱側連結面351Aの両端部は側壁部342A、342Aの内側に配置されている。
図10及び
図11に示すように、屋根側連結面352Aのボルト孔355A、355Aには、それぞれボルト357A、357Aが挿入され、屋根部2A側の面ではナット358Aがボルト357Aに取付けられている。支柱3Aの上端部の開口31AはASA樹脂(Acrylonitrile-Styrene-Acrylate樹脂)からなるキャップ32Aで塞がれている。
【0070】
連結部材35Aに取り付けられた2つのナット358Aがそれぞれ屋根側連結部63Aの溝内に配置された状態で、ボルト357Aが締められる。ボルト357Aとナット358Aとで屋根側連結面352Aと屋根側連結部63Aの開口部631Aとを挟持することにより、連結部材35Aが屋根側連結部63Aに固定されている。
【0071】
枠本体61Aは、支柱3Aのキャップ32A上に配置され、連結部材35Aを介して屋根部2Aが支柱3Aに固定されて支持されている。屋根側連結部63Aは枠本体61Aの長手方向に沿って形成されている。したがって、支柱3Aは、連結部材35Aに取り付けられた2つのナット358Aを屋根側連結部63Aの所望の位置に配置して固定することができる。また、複数の支柱3Aを一つの屋根側連結部63Aに固定することができる。
【0072】
次に、本実施形態の屋外用構造物1Aの施工方法を示す。
屋外用構造物1Aの屋根部2A及び支柱3Aは予め工場で作製されており、これらを施工現場で組み立てることにより屋外用構造物1Aが得られる。まず、地面に埋設または固定された複数の土台部(不図示)にそれぞれ4本の支柱3Aが固定されて立設される。
【0073】
支柱3Aの上端部の固定面331Aに連結部材35Aの支柱側連結面351Aを当接させて、ビス356A,356Aで固定する。屋根側連結面352Aのボルト孔355A、355Aにそれぞれボルト357A、357Aを挿入してナット358Aを取り付ける。その後、支柱3Aの上端部の開口31Aをキャップ32Aで塞ぐ。なお、連結部材35Aと、キャップ32Aとは、支柱3Aを立設する前に支柱3Aに取り付けてもよい。
【0074】
屋根材4Aの側面に枠本体61Aが固定された状態の屋根部2Aを4本の支柱3Aの上端部に配置する。このとき、枠本体61Aの長手方向の端部において、屋根側連結部63Aの溝内にナット358Aを挿入し、屋根部2Aを支柱3Aの側方から水平方向(
図9に示す矢印A方向)に移動する。屋根部2Aを支柱3Aに対する所望の位置に配置したら、連結部材35Aのボルト357Aを締めて、屋根部2Aを支柱3Aに固定する。
【0075】
次に、支柱3Aとの連結部分以外の枠本体61Aに屋根枠カバー62Aを係合させて固定する。次に、支柱3Aの係止部34Aを支柱カバー37Aで覆って、支柱カバー37Aの端部371Aを、支柱3Aの外周面の本体部33Aと係止部34Aとの間に形成された溝36Aに嵌合させる。支柱カバー37Aの上端部を上端カバー39Aで覆ってネジ391Aで支柱カバー37Aに固定し、屋外用構造物1Aが完成する。
【0076】
本実施形態に係る屋外用構造物1Aは、屋根側連結部63Aが屋根部2Aの外縁部の一辺に沿って延設されているため、連結部材35Aを、屋根側連結部63Aの任意の位置で係合できる。したがって、支柱3Aを取り付ける位置を屋根部2Aの外縁部の任意の位置に調節できる。また、限られたスペースを最大限覆う屋根を設ける際に、支柱3Aの設置場所に制約がある場合でも、支柱3Aの設置位置を容易に調整できる。
【0077】
本実施形態に係る屋外用構造物1Aによれば、屋根側連結部63Aが屋根部2Aの外縁部の一辺の全長に亘って設けられるため、支柱3Aで屋根部2Aを支持する位置の自由度が増す。また、連結部材35Aが屋根側連結部63Aに対してスライド可能に構成されるため、施工現場において、支柱3Aと屋根部2Aとの位置を調整する作業が容易となり、施工時の作業効率が向上する。特に、限られた間口に屋根を設ける場合に、施工現場での作業性が向上する。
【0078】
本実施形態に係る屋外用構造物1Aによれば、屋根部2Aと支柱3Aとを屋根部2Aの側面で連結させることができるので、屋根部の外縁よりも内側への支持部材の突出量を抑制できる。その結果、使用者の動線を広く確保することができる。
【0079】
本実施形態の屋外用構造物1Aによれば、二枚の薄板42A、42Aの間に発泡体で形成された芯材41Aが配置されて屋根材4Aが構成されているため、屋根部2Aを軽量化できる。また、従来の屋外用構造物で用いられている垂木や母屋等の屋根を構成する部品が不要となり、工場及び施工現場での製造効率が向上する。さらに、屋根材4Aの下面(天井)を平坦にすることができ、意匠性に優れた屋外用構造物1Aを提供できる。また、屋根部2Aの遮光性に優れる。
【0080】
本実施形態に係る屋外用構造物1Aによれば、芯材は押出発泡ポリスチレンからなるため、屋根材4Aの軽量化と、耐熱性、断熱性を向上させることができる。
【0081】
本実施形態に係る屋外用構造物1Aによれば、屋根材4Aを軽量化できるので、梁が不要となり、枠体6Aに直接支柱3Aを連結することにより屋根部2Aが支持可能となる。したがって、簡便な支持構造となり、屋外用構造物1Aの施工時の作業性を向上させることができる。また、従来の屋外用構造物に比べて、連結部分の構造が露出しないため、意匠性に優れた屋外用構造物を提供できる。
【0082】
本実施形態に係る屋外用構造物1Aによれば、発泡体で形成された芯材を軽量且つ耐久性に優れた薄板42Aで挟む構成を備えるので、屋根材4Aを軽量化でき、且つ、屋根材4Aの耐熱性、遮光性、及び耐久性を向上させることができる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
また、上述の各実施形態及び各変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0084】
第二実施形態及び変形例では、アルミニウム板からなる薄板を例示したが、薄板はアルミニウム板に限定されず、軽量且つ耐久性に優れた板材であればよい。例えば、繊維強化プラスチック板、鋼板のいずれか一つまたはいずれかの組み合わせからなる薄板でもよい。
【0085】
第二実施形態及び変形例では、芯材として、押出発泡ポリスチレンからなる板材を例示したが、芯材は発泡体で形成された軽量且つ屋根材として十分な強度を備えるものであればよく、例えば、発泡ポリエチレン、発泡スチロール等であってもよい。屋根材は、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡スチロール、樹脂、金属等で形成されたハニカム構造体で構成される芯材を薄板で挟んで構成されてもよい。
【0086】
上記実施形態では、外装材45Aが屋根材4Aの上下面に設けられる例を示したが、外装材45Aは、屋根材4Aの少なくとも下面に設けられていればよい。
【0087】
本実施形態では、キャップ32はASA樹脂(Acrylonitrile-Styrene-Acrylate樹脂)からなる例を示したが、キャップの材質はこれに限定されず、例えば、ステンレスやアルミニウム等の金属であってもよい。
【0088】
本実施形態では、アルミニウム板(薄板)と枠体とが別の部材で構成される例を挙げたが、2枚の薄板と長辺方向の枠体とを一体に形成して、2枚の薄板と長辺方向の枠体とで形成された空間に芯材を収容する構成であってもよい。