(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0028】
以下では、本発明に係る試料ホルダーが用いられる荷電粒子線装置として、試料に電子線を照射して試料の観察を行う走査電子顕微鏡(SEM)を例に挙げて説明するが、本発明に係る試料ホルダーが用いられる荷電粒子線装置は例えば電子線以外の荷電粒子線(イオン等)を照射して試料の観察や試料の加工を行う装置であってもよい。例えば、本発明
に係る試料ホルダーが用いられる荷電粒子線装置は、集束イオンビーム加工観察装置(Focused Ion Beam System、FIB装置)であってもよい。
【0029】
1. 第1実施形態
1.1. 試料ホルダー
まず、第1実施形態に係る試料ホルダーについて図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る試料ホルダー100が走査電子顕微鏡1に装着された状態を模式的に示す図である。
【0030】
試料ホルダー100は、走査電子顕微鏡用の試料ホルダーである。試料ホルダー100は、
図1に示すように、走査電子顕微鏡1のチャンバー(試料室)2内に設けられた試料ステージ4に装着される。試料ホルダー100は、試料ステージ4に対して着脱可能に構成されている。試料ステージ4は、試料ホルダー100を移動させたり、回転させたりすることができる。試料ステージ4は、さらに、試料ホルダー100を傾斜させることもできる。
【0031】
走査電子顕微鏡1では、試料ホルダー100が保持している試料Sに対してカラム6に収容された電子光学系から電子線EB(荷電粒子線の一例)を照射し、試料Sから放出された二次電子を検出器(図示せず)で検出して、SEM像を取得する。
【0032】
図2は、第1実施形態に係る試料ホルダー100を模式的に示す断面図である。
図3は、第1実施形態に係る試料ホルダー100を模式的に示す平面図である。なお、
図2は、
図3のII−II線断面図である。
図2および
図3では、試料ホルダー100が試料Sを保持している状態を図示している。
【0033】
試料ホルダー100は、
図2および
図3に示すように、基台10と、取付け台20と、第1電極30と、第2電極32と、第1ヒーター40と、第2ヒーター42と、試料固定ネジ(押圧部の一例)50と、を含む。なお、
図3では、便宜上、電極30,32、ヒーター40,42、および試料固定ネジ50以外の部材の図示を省略している。
【0034】
基台10は、例えば、導電性の材料で構成されている。基台10は、走査電子顕微鏡1に装着されたときに接地される。これにより、電子線EBの照射による基台10のチャージアップ(帯電)を防止することができる。
【0035】
取付け台20は、走査電子顕微鏡1の試料ステージ4に着脱可能に装着される。取付け台20は、基台10に絶縁部材12を介して接続されている。絶縁部材12は、取付け台20と基台10とを電気的に絶縁するとともに、熱的に絶縁する。
【0036】
第1電極30および第2電極32は、試料Sに電流を流すための電極である。第1電極30および第2電極32は、電源34およびスイッチ36に接続されている。スイッチ36によって、試料Sに流す電流のオン、オフを切り替えることができる。第1電極30および第2電極32によって試料Sに電流を流すことにより、試料Sを加熱(通電加熱)することができる。
【0037】
試料ホルダー100には、電子線EBの照射により第1電極30および第2電極32がチャージアップすることを防ぐために、第1電極30および第2電極32に溜まった電荷を逃がすための経路が設けられている。
【0038】
第1電極30および第2電極32は、試料Sを挟んで固定する。図示の例では、第1電極30および第2電極32は平板状であり、互いに対向する第1電極30の表面と第2電
極32の表面との間で試料Sが固定されている。試料ホルダー100では、試料Sは第1電極30および第2電極32のみと接している。すなわち、試料Sは、第1電極30および第2電極32のみで固定されている。
【0039】
第1電極30および第2電極32は、試料ホルダー100が試料ステージ4に装着されたときに、試料Sに照射される電子線EBを遮らないように配置されている。例えば、第1電極30および第2電極32は、
図3に示すように、第1方向Aにおいて、試料Sを挟むように設けられている。第1方向Aは、
図1に示すように、試料ホルダー100が走査電子顕微鏡1に装着された場合に、試料Sに照射される電子線の照射方向に対して交差する方向(図示の例では垂直)である。そのため、第1電極30および第2電極32は、試料Sに照射される電子線EBを遮らない。
【0040】
第1電極30および第2電極32の材質は、タングステンやタンタルなどの高融点金属であることが望ましい。これにより、試料Sを加熱する際に第1電極30および第2電極32が壊れることを防ぐことができる。
【0041】
第1ヒーター40および第2ヒーター42は、試料Sを加熱するためのヒーターである。第1ヒーター40および第2ヒーター42は、例えば、セラミックヒーターである。
【0042】
第1ヒーター40は、絶縁部材14を介して、基台10に固定されている。絶縁部材14は、第1ヒーター40と基台10とを電気的に絶縁するとともに、熱的に絶縁する。
【0043】
第1ヒーター40は、第1電極30に接続されている。すなわち、第1ヒーター40は、第1電極30を介して、試料Sを加熱する。第1ヒーター40は、試料Sに接していなくてもよい。第1ヒーター40と第1電極30とは、例えば、一体に構成されている。
【0044】
第2ヒーター42は、試料固定ネジ50に接続されており、基台10に固定されていない。そのため、試料ホルダー100では、試料固定ネジ50のねじ込みの程度に応じて、第2ヒーター42(および第2電極32)を移動させることができる。
【0045】
第2ヒーター42は、第2電極32に接続されている。すなわち、第2電極32を介して、試料Sを加熱する。第2ヒーター42は、試料Sに接していなくてもよい。第2ヒーター42と第2電極32とは、例えば、一体に構成されている。
【0046】
第1ヒーター40は、電源44aおよびスイッチ46aに接続されている。第2ヒーター42は、電源44bおよびスイッチ46bに接続されている。このように第1ヒーター40および第2ヒーター42は、それぞれ独立した電源およびスイッチに接続されている。すなわち、試料ホルダー100では、第1ヒーター40および第2ヒーター42は、独立して動作可能に構成されている。
【0047】
第1ヒーター40および第2ヒーター42は、ヒーター保護板48で覆われている。ヒーター保護板48は、ヒーター40,42を保護するとともに、ヒーター40,42から放出される熱電子が検出器で検出されることを防ぐために設けられている。ヒーター保護板48を設けることにより、ヒーター40,42から放出された熱電子に起因するSEM像のノイズを低減することができる。ヒーター保護板48の材質は、例えば、金属である。
【0048】
試料固定ネジ50は、試料Sを固定するためのネジである。試料固定ネジ50は、試料Sが第1電極30と第2電極32との間で固定されるように、第2電極32を第1電極30に向けて押圧する。
【0049】
具体的には、試料固定ネジ50は、基台10に形成された貫通孔の内面に形成された雌ネジ部16に螺合される雄ネジ部52を有しており、雄ネジ部52が雌ネジ部16にねじ込まれることにより、第2電極32(第2ヒーター42)を第1電極30に向けて押圧する。第1電極30は、基台10に固定された第1ヒーター40に固定されているため、試料固定ネジ50が第2電極32を第1電極30に向けて押圧することにより、試料Sは第1電極30と第2電極32との間に挟まれて固定される。
【0050】
また、試料固定ネジ50は、ねじ込みの程度に応じて、第2電極32を第1方向Aに移動させることができる。そのため、試料固定ネジ50によって、第1電極30と第2電極32との間の距離を調整できる。したがって、試料ホルダー100では、様々な大きさの試料Sを保持することができる。
【0051】
試料固定ネジ50は、図示の例では、第2ヒーター42に接続されている。そのため、試料固定ネジ50は、第2ヒーター42を介して第2電極32を押圧して、試料Sを固定する。
【0052】
試料固定ネジ50は、複数設けられている。図示の例では、試料固定ネジ50は、4つ設けられている。複数の試料固定ネジ50によって第2電極32を押圧することにより、試料Sをより確実に固定することができる。
【0053】
1.2. 試料ホルダーの動作
(1)試料の加熱
次に、試料ホルダー100が試料Sを加熱するときの動作について説明する。
図4〜
図7は、試料ホルダー100が試料Sを加熱するときの動作を説明するための図である。
【0054】
試料ホルダー100では、
図4に示すように、スイッチ36をONにすることにより、第1電極30および第2電極32によって試料Sに電流を流すことができる。これにより、試料Sを通電加熱することができる。
【0055】
また、試料ホルダー100では、
図5に示すように、スイッチ46aおよびスイッチ46bをONにすることにより、第1ヒーター40および第2ヒーター42を動作させることができる。これにより、試料Sを第1電極30側および第2電極32側の両方から加熱することができる。なお、このとき、スイッチ36をONにすることにより、第1ヒーター40および第2ヒーター42によって試料Sを加熱しつつ、第1電極30および第2電極32によって試料Sを通電加熱することができる。
【0056】
また、試料ホルダー100では、
図6に示すように、スイッチ46aをONとし、かつ、スイッチ46bをOFFとすることにより、第1ヒーター40を動作させつつ、第2ヒーター42を動作させないことができる。これにより、試料Sを第1電極30側からのみ加熱することができる。なお、このとき、スイッチ36をONにすることにより、第1ヒーター40によって試料Sを加熱しつつ、第1電極30および第2電極32によって試料Sを通電加熱することができる。
【0057】
また、試料ホルダー100では、
図7に示すように、スイッチ46aをOFFとし、かつ、スイッチ46bをONとすることにより、第2ヒーター42を動作させつつ、第1ヒーター40を動作させないことができる。これにより、試料Sを第2電極32側からのみ加熱することができる。なお、このとき、スイッチ36をONにすることにより、第2ヒーター42によって試料Sを加熱しつつ、第1電極30および第2電極32によって試料Sを通電加熱することができる。
【0058】
(2)試料の保持
次に、試料ホルダー100が試料Sを保持するときの動作について説明する。
【0059】
図8は、試料ホルダー100が独立した2つの板状部材S1,S2を接触させた状態で保持している様子を模式的に示す図である。
【0060】
試料ホルダー100では、
図8に示すように、試料が独立した2つの板状部材S1,S2からなる場合であっても、2つの板状部材S1,S2が接触した状態を保ちつつ、その接触界面S3を観察できるように板状部材S1,S2を保持することができる。そのため、試料ホルダー100を用いることにより、走査電子顕微鏡1において、例えば低融点金属同士の接合過程のその場観察を行うことができる。
【0061】
図9は、試料ホルダー100が球形の試料Sを保持している様子を模式的に示す図である。
【0062】
試料ホルダー100では、
図9に示すように、試料Sが球形であっても、試料Sを保持することができる。なお、試料ホルダー100では、試料Sの形状が球形の場合に限定されず、様々な形状を有する試料Sを保持することができる。
【0063】
図10は、試料ホルダー100が、試料台S4を保持している様子を模式的に示す図である。
【0064】
図10に示すように、試料ホルダー100では、試料台S4を保持することができる。具体的には、試料ホルダー100では、試料Sを保持する場合と同様に、試料固定ネジ50によって、試料台S4が第1電極30と第2電極32との間で固定されるように、第2電極32を第1電極30に向けて押圧することで試料台S4を保持することができる。
【0065】
試料ホルダー100では、試料台S4を保持することができるため、例えば、試料Sが微細であった場合(例えば試料Sが粉体であった場合)に、試料Sを試料台S4に載置することで、試料Sを走査電子顕微鏡1に導入することができる。試料台S4の材質は、耐熱性を有し、かつ、導電性を有する材料であることが望ましい。これにより、試料ホルダー100において、試料台S4に載置された試料Sを加熱することができる。
【0066】
試料ホルダー100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0067】
試料ホルダー100では、試料固定ネジ50が、試料Sが第1電極30と第2電極32との間で固定されるように、第2電極32を第1電極30に向けて押圧する。そのため、試料ホルダー100では、様々な形状の試料Sを保持することができる。さらに、試料ホルダー100では、第1電極30および第2電極32を試料Sに密着させることができるため、効率よく試料Sを通電加熱することができる。
【0068】
さらに、試料ホルダー100では、試料固定ネジ50のねじ込みの程度に応じて、第1電極30と第2電極32との間の距離を調整できるため、様々な大きさの試料Sを保持することができる。したがって、試料ホルダー100では、コネクタ接点や、ヒューズなど数センチ程度の大きさの試料を、確実に保持することができる。
【0069】
試料ホルダー100では、第1電極30に接続されている第1ヒーター40と、第2電極32に接続されている第2ヒーター42と、を含む。そのため、試料ホルダー100では、第1電極30および第2電極32による通電加熱に加えて、第1ヒーター40および
第2ヒーター42によっても試料Sを加熱することができる。また、試料ホルダー100では、第1ヒーター40は第1電極30を介して試料Sを加熱することができ、第2ヒーター42は第2電極32を介して試料Sを加熱することができる。
【0070】
試料ホルダー100では、第1ヒーター40と第2ヒーター42とは、独立して動作可能に構成されている。そのため、試料ホルダー100では、試料Sを第1ヒーター40および第2ヒーター42のいずれかで加熱することもできるし、試料Sを第1ヒーター40および第2ヒーター42の両方で加熱することもできる。したがって、試料ホルダー100では、試料Sを第1電極30側からのみ加熱することもできるし、試料Sを第2電極32側からのみ加熱することもできるし、試料Sを第1電極30側および第2電極32側の両方から加熱することもできる。
【0071】
試料ホルダー100では、試料固定ネジ50は、雄ネジ部52が基台10の雌ネジ部16にねじ込まれることにより、第2電極32を押圧する。そのため、試料ホルダー100では、試料固定ネジ50のねじ込みの程度に応じて、第2電極32を試料Sに押し当てる力を調整することができる。
【0072】
1.3. 試料ホルダーの変形例
次に、第1実施形態に係る試料ホルダーの変形例について、図面を参照しながら説明する。
図11は、第1実施形態の変形例に係る試料ホルダー200を模式的に示す断面図である。
【0073】
以下、第1実施形態の変形例に係る試料ホルダー200において、上述した試料ホルダー100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0074】
試料ホルダー200は、
図11に示すように、試料固定ネジ50が第2電極32を押圧する力を測定するためのセンサー210を含む。
【0075】
センサー210は、例えば、圧力センサーである。センサー210が、試料固定ネジ50が第2電極32を押圧する力を測定することにより、試料Sに加わる力の大きさの情報を得ることができる。
【0076】
試料ホルダー200によれば、センサー210を含むため、走査電子顕微鏡1において、試料Sに加わる圧力を把握したうえで、試料Sを加熱しつつ、試料Sのその場観察を行うことができる。そのため、試料Sに加わる圧力および温度をパラメーターとして、試料Sの状態の変化を観察することができる。また、例えば、試料ホルダー200では、試料Sに加わる力を確認しつつ、試料Sを第1電極30と第2電極32との間に挟むことができるため、試料Sを試料ホルダー100に固定する際に、試料Sが破損してしまう可能性を低減することができる。
【0077】
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係る試料ホルダーについて、図面を参照しながら説明する。
図12は、第2実施形態に係る試料ホルダー300を模式的に示す断面図である。
図13は、第2実施形態に係る試料ホルダー300を模式的に示す平面図である。なお、
図12は、
図13のXII−XII線断面図である。また、
図13では、便宜上、ヒーター40,42、および試料固定ネジ50以外の部材の図示を省略している。
【0078】
以下、第2実施形態に係る試料ホルダー300において、上述した試料ホルダー100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省
略する。
【0079】
上述した試料ホルダー100では、
図2および
図3に示すように、試料固定ネジ50によって第2電極32を第1電極30に向けて押圧することより、第1電極30と第2電極32とで試料Sを挟んで固定した。
【0080】
これに対して、試料ホルダー300では、
図12および
図13に示すように、試料固定ネジ50によって第2ヒーター42を第1ヒーター40に向けて押圧することにより、第1ヒーター40と第2ヒーター42とで試料Sを挟んで固定する。
【0081】
本実施形態では、第1ヒーター40および第2ヒーター42が試料Sを挟むため、第1ヒーター40および第2ヒーター42は試料Sに接している。図示の例では、互いに対向する第1ヒーター40の表面と第2ヒーター42の表面との間で試料Sが固定されている。
【0082】
試料ホルダー300では、試料固定ネジ50によって第2ヒーター42を第1ヒーター40に向けて押圧することができる。第1ヒーター40は、基台10に固定されているため、第2ヒーター42を第1ヒーター40に向けて押圧することにより、試料Sは第1ヒーター40と第2ヒーター42との間に挟まれて固定される。
【0083】
なお、試料ホルダー300は、試料Sに電流を流すための電極(第1電極30および第2電極32)を備えていなくてもよい。
【0084】
試料ホルダー300が試料Sを加熱するときの動作は、
図4に示す第1電極30および第2電極32を用いた通電加熱を行うことができない点を除いて、上述した試料ホルダー100と同様であり、その説明を省略する。また、試料ホルダー300が試料Sを保持するときの動作は、上述した試料ホルダー100と同様であり、その説明を省略する。
【0085】
試料ホルダー300によれば、試料固定ネジ50が、試料Sが第1ヒーター40と第2ヒーター42との間で固定されるように、第2ヒーター42を第1ヒーター40に向けて押圧する。そのため、試料ホルダー300では、上述した試料ホルダー100と同様に、試料Sを加熱することができ、かつ、様々な形状の試料Sを保持することができる。さらに、試料ホルダー300によれば、第1ヒーター40および第2ヒーター42を試料Sに密着させることができるため、効率よく試料Sを加熱することができる。
【0086】
なお、第2実施形態に係る試料ホルダーは、上述した第1実施形態に係る試料ホルダーの変形例(
図11参照)と同様に、試料固定ネジ50が第2ヒーター42を押圧する力を測定するためのセンサー210を含むことができる。
【0087】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係る試料ホルダーについて、図面を参照しながら説明する。
図14は、第3実施形態に係る試料ホルダー400を模式的に示す断面図である。
図15は、第3実施形態に係る試料ホルダー400を模式的に示す平面図である。なお、
図14は、
図15のXIV−XIV線断面図である。また、
図15では、便宜上、ヒーター440、電極支持部18a,18b、および試料固定ネジ50以外の部材の図示を省略している。
【0088】
以下、第3実施形態に係る試料ホルダー400において、上述した試料ホルダー100,200,300の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0089】
上述した試料ホルダー100では、
図2および
図3に示すように、第1ヒーター40は第1電極30に接続され、第2ヒーター42は第2電極32に接続されていた。すなわち、試料ホルダー100では、第1ヒーター40で発生した熱は第1電極30を介して試料Sに伝わり、第2ヒーター42で発生した熱は第2電極32を介して試料Sに伝わっていた。
【0090】
これに対して、試料ホルダー400では、
図14および
図15に示すように、試料Sを加熱するためのヒーター440は、試料Sの下方に設けられている。すなわち、ヒーター440は、走査電子顕微鏡1において電子線EBが照射される試料Sの面側とは反対側に、配置されている。ヒーター440は、試料Sに接していなくてもよい。
【0091】
ヒーター440は、絶縁部材414を介して、基台10に固定されている。絶縁部材414は、ヒーター440と基台10とを電気的に絶縁するとともに、熱的に絶縁する。ヒーター440は、電源444aおよびスイッチ446aに接続されている。
【0092】
本実施形態では、第1電極30は、電極支持部18aに接続されている。第1電極30は、例えば、電極支持部18aと一体に設けられている。電極支持部18aは、絶縁部材14を介して基台10に固定されている。
【0093】
また、第2電極32は、電極支持部18bに接続されている。第2電極32は、例えば、電極支持部18bと一体に設けられている。電極支持部18bは、試料固定ネジ50に接続されている。
【0094】
試料ホルダー400によれば、上述した試料ホルダー100と同様に、試料Sを加熱することができ、かつ、様々な形状の試料を保持することができる。
【0095】
なお、図示はしないが、試料ホルダー400は、ヒーター440を有さなくてもよい。すなわち、試料ホルダー400は、第1電極30および第2電極32による通電加熱のみが可能な試料ホルダーであってもよい。
【0096】
4. 第4実施形態
次に、第4実施形態に係る試料ホルダーについて、図面を参照しながら説明する。
図16は、第4実施形態に係る試料ホルダー500を模式的に示す平面図である。
図17および
図18は、第4実施形態に係る試料ホルダー500を模式的に示す断面図である。なお、
図17は、
図16のXVII−XVII線断面図であり、
図18は、
図16のXVIII−XVIII線断面図である。また、
図16では、便宜上、電極30,32、ヒーター40,42、電極支持部18a,18b、および試料固定ネジ50以外の部材の図示を省略している。
【0097】
以下、第4実施形態に係る試料ホルダー500において、上述した試料ホルダー100,200,300,400の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0098】
上述した試料ホルダー100では、
図2および
図3に示すように、第1電極30および第2電極32は、第1方向Aにおいて試料Sを挟み、第1ヒーター40は第1電極30に接続され、第2ヒーター42は第2電極32に接続されていた。すなわち、試料ホルダー100では、第1ヒーター40で発生した熱は、第1電極30を介して試料Sに伝わり、第2ヒーター42で発生した熱は、第2電極32を介して試料Sに伝わっていた。
【0099】
これに対して、試料ホルダー500では、
図16〜
図18に示すように、第1電極30
および第2電極32は、第1方向Aにおいて試料Sを挟み、第1ヒーター40および第2ヒーター42は、第1方向Aとは異なる第2方向Bにおいて、試料Sを挟んでいる。そのため、試料ホルダー400では、第1ヒーター40および第2ヒーター42で発生した熱を、電極30,32を介さずに、試料Sに伝えることができる。
【0100】
図16に示す例では、第1方向Aと第2方向Bとは、互いに垂直である。なお、第1方向Aと第2方向Bとがなす角度は垂直(90度)に限定されず、0度でなければよい。
【0101】
試料ホルダー500では、試料固定ネジ50によって第2電極32を第1電極30に向けて押圧することより、第1方向Aにおいて第1電極30と第2電極32とで試料Sを挟んで固定することができる。さらに、試料ホルダー500では、試料固定ネジ50によって第2ヒーター42を第1ヒーター40に向けて押圧することにより、第2方向Bにおいて第1ヒーター40と第2ヒーター42とで試料Sを挟んで固定することができる。したがって、試料ホルダー500では、より確実に試料Sを保持することができる。
【0102】
5. 第5実施形態
次に、第5実施形態に係る試料ホルダーについて、図面を参照しながら説明する。
図19は、第5実施形態に係る試料ホルダー600を模式的に示す平面図である。なお、
図19では、便宜上、電極30,32,630、ヒーター40,42,640、および試料固定ネジ50以外の部材の図示を省略している。
【0103】
以下、第5実施形態に係る試料ホルダー600において、上述した試料ホルダー100,200,300,400,500の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0104】
上述した試料ホルダー100では、
図2および
図3に示すように、試料Sに電流を流すための電極として、第1電極30および第2電極32を有していた。
【0105】
これに対して、試料ホルダー600では、
図19に示すように、試料Sに電流を流すための電極として、第1電極30、第2電極32、および第3電極630を有している。そのため、試料ホルダー600では、例えば2つの電極を有する場合と比べて、試料Sをより確実に通電加熱することができる。なお、第3電極630の構成は、上述した第1電極30の構成と同様であり、その説明を省略する。
【0106】
第1電極30、第2電極32、および第3電極630は、図示の例では、試料Sを囲むように配置される。これにより、例えば、独立した3つの部材S10,S12,S14を接触させた状態で保持することができる。
【0107】
試料ホルダー600は、さらに、第3電極630に接続された第3ヒーター640を備えている。そのため、試料ホルダー600では、例えば2つのヒーターを有する場合と比べて、試料Sをより偏り無く加熱することができる。なお、第3ヒーター640の構成は、上述した第1ヒーター40の構成と同様であり、その説明を省略する。
【0108】
なお、試料ホルダー600において、電極およびヒーターの数は特に限定されず、試料ホルダー600は、電極およびヒーターをそれぞれ4つ以上有していてもよい。
【0109】
試料ホルダー600によれば、上述した試料ホルダー100と同様に、試料Sを加熱することができ、かつ、様々な形状の試料を保持することができる。さらに、試料ホルダー600によれば、第3電極630を含むため、試料Sをより確実に通電加熱することができる。
【0110】
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
【0111】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。