(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ニューラルネットワークコントローラーは、前記複数の命令によって、前記1つ以上の潜在的な異常の寄与原因となる前記少なくとも1つの欠陥のあるサブシステムに応じて、前記1つ以上の潜在的な異常を分類するよう、前記複数の特徴ベクトルに基づいて、ニューラルネットワークモデルをトレーニングするよう、さらに設定されている請求項1に記載のシステム。
前記1つ以上の潜在的な異常の寄与原因となる前記少なくとも1つの欠陥のあるサブシステムに応じて、前記1つ以上の潜在的な異常を分類するよう、前記複数の特徴ベクトルに基づいて、ニューラルネットワークモデルをトレーニングする工程をさらに含む請求項5に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明、並びに、その様々な特徴および利点の詳細は、添付の図面に示され、以下の詳細な説明に詳細に述べられた非限定的な実施形態を参照して、より十分に説明される。ここで用いられる実施例は、本発明を実施可能とし、さらに、本分野における当業者が本発明を実施することを可能とするような本発明に対する理解を容易にするためのものにすぎない。したがって、実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解されるべきではない。
【0017】
本発明の方法およびシステムは、ここに記述される特定の実施形態に限定されない。さらに、本発明の方法およびシステムは、ここに記述されるその他のモジュールおよび方法とは独立および別々に実施可能である。各デバイス要素/モジュールおよび方法は、他の要素/モジュールおよび他の方法と組み合わせて用いることもできる。
【0018】
ホストシステムの人工知能(AI)ベース正常性管理のためのシステムおよび方法を実施するための手法が、
図1〜
図5Bを参照して、詳細に説明される。記述されるホストシステムのAIベース正常性管理のための方法およびシステムの様態は、任意の数の異なるシステム、使用環境、および/または設定において実施可能であるが、実施形態は、以下の例示的なシステムの文脈において記述される。
【0019】
ここで、ホストシステムは、複合システムであってもよい。複合システムは、膨大な数のコンポーネント/サブシステムを含み、そのため、複合システムにおける複数の欠陥(障害)の診断および/または予想は、困難な課題である。複合システムの例としては、車両システム、航空機システム、自動車システム、タービンエンジンシステム等が挙げられる。複数の異なるサブシステム欠陥は、同一の応答となり得るため、個々の欠陥のあるサブコンポーネントを選り分けることが非常に困難である。そのため、サブシステムレベルの欠陥のためのこのような複合システムのモニタリングは、様々な課題を提起している。様々な欠陥状態に対する複数のシステム応答を有する複合ホストシステムの例が、
図1A〜
図1Cを参照して説明される。
【0020】
図1A〜
図1Cは、例示的な実施形態に係る通常状況および異常状況の間の例示的な複合ホストシステム110の応答を示している。実施形態において、「通常状況(normal scenario)」または「通常状態(normal condition)」は、システム応答が予期されたとおりになっていると判別される状況を意味する。また、「異常応答(abnormal response)」または「異常状態(abnormal condition)」は、システム応答が予期された応答から逸脱している状況である。換言すれば、異常応答は、1つ以上のシステムコンポーネントまたはサブシステムにおける欠陥状態(faulty conditions)によって生成される。
【0021】
ホストシステム110は、コンポーネント112、114、116のような複数のコンポーネント/サブシステムを含む。また、ホストシステム110は、マルチ入力・マルチ出力システム(multi-input multi-output system)を含み、そのため、入力118、120、122のような複数の入力を受信し、さらに、出力124、126、128、130のような複数の出力を提供するよう構成されている。通常応答状況の間、ホストシステムの応答は、
図1Aに図示されているように、許容可能範囲/制限内に収まるようになっている。しかしながら、
図1Bおよび
図1Cに図示されている異常応答状況の間、ホストシステム110の応答は、特定の制限内に収まらない。ここで、ホストシステムの応答は、複数のシステムパラメーターに対応して生成される複数のユニークパターンを含み、さらに、ホストシステムの応答は、ホストシステムのシステムレベル性能を示すものである。
【0022】
異常応答状況の間、複数の異なるサブシステム欠陥は、同一の応答となり得るため、個々の欠陥のあるサブコンポーネントを選り分けることが非常に困難である。しかしながら、追加的なシステム性能は、任意の複数のシステム欠陥のために、応答全体における特定の「特異性(uniqueness)」を有するより多くの洞察(insights)を提供可能である。例えば、異常システム性能の
図1Bおよび
図1Cの応答の分析は、複数の異なるサブシステム欠陥の複数の特定の「ユニークシグネチャー(unique signatures)」または「ユニークパターン(unique patterns)」を示すことができる。例えば、
図1Bでは、システムコンポーネント116に欠陥があり、
図1Cでは、システムコンポーネント114に欠陥がある。よって、対応するシステム応答150および160は、各サブシステムにユニークな、異なるシグネチャーをそれぞれ示す。そのため、これらの異なるシグネチャーは、「ユニーク」シグネチャーと称される。これらの「ユニーク」シグネチャーの特定は、処理オーバーヘッド(processing overhead)による厳密なリアルタイム制限(hard real-time constraint)となり得る。リアルタイムでこれらのユニークシグネチャーの「特定(identification)」を実行することにより、リアルタイムでの複合ホストシステムの正常性管理を容易とする様々な実施形態がここに提供される。開示される実施形態は、各欠陥を検出するための複数の物理センサーに依存することなく、リアルタムでの上述のユニークシグネチャーの「特定」を容易にすることを留意されたし。
【0023】
ここに記述される様々な例示的な実施形態は、リアルタイムでホストシステムの正常性をモニタリングするための正常性管理システムを開示する。ホストシステムの正常性管理は、複数のサブシステムの複数のシステムレベル応答をモニタリングすることにより、システムの様々なサブシステム/コンポーネントの正常性ステータスを導出することを容易にすることができる。システムレベル応答全体に基づいて、例えば、特徴抽出方法を用いて、様々な区別可能な特徴が導出され得る。これらの特徴は、その後、判断決定フレームワーク(decision making frameworks)に送られ、システムの正常性が判断される。実施形態の1つにおいて、判断決定フレームワークは、ニューラルネットワーク(NN:Neural Networks)を用いて実施される。実施形態の1つにおいて、正常性管理システムは、ニューラルネットワークベースコントローラー(または、ニューラルネットワークコントローラー)を含む。ニューラルネットワークベースコントローラーは、複数のサブシステム欠陥による様々な異常性能状況および通常性能状況のシステム応答の複数のユニークパターンを認識/検出し、さらに、システムレベル欠陥を引き起こす欠陥のあるコンポーネントを特定するようトレーニングされている。ホストシステムの正常性管理システムの例示的な実施が、
図2を参照してさらに記述される。
【0024】
図2は、例示的な実施形態に係るホストシステム230の正常性をモニタリングするためのAIベース正常性管理システム210の実施を示している。ホストシステム230の例としては、これに限定されるものではないが、車両システム、航空機、自動車、タービンエンジン等が挙げられる。実施形態の1つにおいて、ホストシステム230は、複数のサブシステム(または、複数のサブコンポーネント)を含む。実施形態の1つにおいて、複数のサブシステム(または、複数のシステムコンポーネント)の1つ以上のサブシステムが欠陥を有し得、ホストシステム230全体の正常性に影響を与え得る。このような状況を回避するため、正常性管理システム210は、ホストシステム230からシステム応答240を受信し、さらに、ホストシステム230のリアルタイム診断および予想正常性管理を提供するよう構成されている。ここで、システム応答240は、ホストシステム230のシステムレベル性能を示すものである。
【0025】
正常性管理システム210は、プロセッサー212のような少なくとも1つのプロセッサーと、メモリー214のような少なくとも1つのメモリーと、ユーザーインターフェース216とを含む、または、これらと接続されている。プロセッサー212、メモリー214、およびユーザーインターフェース216は、システムバス218のようなシステムバスまたは同様の機構によって接続されている。
図2は、正常性管理システム210の例示的なコンポーネントを示しているが、他の実施においては、正常性管理システム210は、これにより少ないコンポーネント、追加的なコンポーネント、異なるコンポーネント、または
図2の示されたコンポーネントとは異なって配置されたコンポーネントを含んでいてもよい。
【0026】
プロセッサー212は、回路実施、特に、正常性管理システム210の演算および制御機能に関連する論理機能を含む。例えば、ニューラルネットワークコントローラー212は、これに限定されるものではないが、1つ以上のデジタル信号プロセッサー(DSPs)、1つ以上のマイクロプロセッサー、1つ以上の特殊用途コンピューターチップ、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASICs)、1つ以上のコンピューター、様々なアナログ−デジタルコンバーター、デジタル−アナログコンバーター、および/またはその他のサポート回路を含む。ニューラルネットワークコントローラーの例としては、これに限定されるものではないが、Raspberry Pi(登録商標)コントローラー、Arduino(登録商標)コントローラー等を含む。また、プロセッサー212は、メッセージおよび/またはデータ、または情報を暗号化(エンコード)する機能を含んでいてもよい。プロセッサー212は、特に、プロセッサー212の動作をサポートするよう構成されたクロック、演算論理ユニット(ALU)、および論理ゲートを含んでいてもよい。さらに、プロセッサー212は、メモリー214またはプロセッサー212がアクセス可能な他の媒体内に保存された1つ以上のソフトウェアプログラムを実行する機能を含んでいてもよい。
【0027】
メモリー214は、正常性管理システム210の機能を実施するために正常性管理システム210によって用いられる任意の数の情報およびデータを保存している。メモリー214は、例えば、揮発性メモリーおよび/または不揮発性メモリーを含む。揮発性メモリーの例としては、これに限定されるものではないが、揮発性ランダムアクセスメモリー(RAM)が挙げられる。不揮発性メモリーは、追加的または代替的に、電気的消去可能プログラム可能リードオンリーメモリー(EEPROM)、フラッシュメモリー、ハードドライブ等を含む。メモリー214は、正常性管理システム210が、様々な例示的な実施形態に係る様々な機能を実行可能とするための情報、データ、アプリケーション、命令等を保存するよう構成されていてもよい。非揮発性メモリーのいくつかの例としては、これに限定されるものではないが、ハードディスク、磁気テープ、光ディスク、プログラム可能リードオンリーメモリー、消去可能プログラム可能リードオンリーメモリー、電気的消去可能プログラム可能リードオンリーメモリー、フラッシュメモリー等が挙げられる。メモリー214は、システム200が、様々な例示的な実施形態に係る様々な機能を実行可能とするための情報、データ、アプリケーション、命令等を保存するよう構成されていてもよい。追加的または代替的に、メモリー214は、プロセッサー212によって実行されたときに、正常性管理システム210を様々な実施形態において記述されたような様態で動作を実行させる複数の命令を保存するよう構成されていてもよい。例えば、メモリー214は、システムレベル応答240に基づいて、異常状態を特定する特定モジュール220を含んでいてもよい。さらに、メモリー214は、システム応答内の観測可能な異常性(observable abnormality)に繋がり得る欠陥のあるコンポーネント/サブシステム(根本原因)を特定する検出モジュール222を含んでいてもよい。
【0028】
ユーザーインターフェース206は、リンガー(ringer:携帯電話等に内蔵されている音声を発生させるデバイス)、イヤホンやスピーカー、マイク、ディスプレイのような出力インターフェースと、入力インターフェースとを含む。入力インターフェースは、正常性管理システムにおける複数の欠陥状況をシミュレーションするためのユーザー入力の表示(indication of a user input)を受信するよう構成されている。入力インターフェースの例としては、これに限定されるものではないが、キーボード、マウス、ジョイスティック、キーパッド、タッチスクリーン、ソフトキー等が挙げられる。出力ユーザーインターフェースは、シミュレーションに基づいて、ユーザーに、音声、映像、機械的、またはその他の出力、および/またはフィードバックを提供する。出力インターフェースの例としては、これに限定されるものではないが、ディスプレイ、マイク、スピーカー、リンガー、振動素子等が挙げられる。例示的な実施形態の1つにおいて、ユーザーインターフェース216は、他のデバイスまたは要素の中でも特に、スピーカー、マイク、ディスプレイ、キーボード、タッチスクリーン等のうちの任意のもの、または全てを含んでいてもよい。ユーザーインターフェース216は、プロセッサー212と接続されている。なお、例えば、プロセッサー212は、ユーザーインターフェース216の1つ以上の要素の少なくともいくつかの機能を制御するよう構成されたユーザーインターフェース回路を含んでいてもよい。プロセッサー212および/またはプロセッサー212を含むユーザーインターフェース回路は、複数のコンピュータープログラム命令(例えば、プロセッサー212によってアクセス可能なメモリー214のようなメモリー等に保存されているソフトウェアおよび/またはファームウェア)を用いて、ユーザーインターフェース216の1つ以上の要素の1つ以上の機能を制御するよう構成されていてもよい。ユーザーインターフェース216は、システム動作、車両の動作、および/またはホストシステム230のような他のシステムの動作との間の通信を可能とする。
【0029】
例示的な実施形態の1つにおいて、メモリー214および正常性管理システム210(以下、システム210と称する)の他のコンポーネントと協働するプロセッサー212は、ホストシステム230の1つ以上の欠陥のあるサブシステムを特定するよう構成されている。実施形態の1つにおいて、ホストシステム230の欠陥のあるサブシステムは、ホストシステム230のシステムレベル性能/応答240をモニタリングすることにより、特定される。ホストシステム230の状態は、診断管理に基づいて判別される。システムレベル応答の診断管理は、正常性管理システム210のニューラルネットワークコントローラー(または、プロセッサー)212によって実行されてもよい。ここで、コントローラーは、人工知能コントローラーである。
【0030】
メモリー214およびシステム210の他のコンポーネントと協働するプロセッサー212は、システムレベル応答240に基づいて、任意の異常動作状態を検出するよう構成されている。さらに、プロセッサー212は、システム応答における観測可能な異常性に繋がり得る欠陥のあるコンポーネントまたはサブシステム(根本原因)を特定するよう構成されている。プロセッサー212によって実行される診断管理は、過去の性能知識(past performance knowledge)に適用される観測されたシステム状態および/または特定の期間に渡って構築された専門知識に基づく。実施形態の1つにおいて、メモリー214およびシステム210の他のコンポーネントと協働するプロセッサー212は、リアルタイムで生成されたホストシステムのシステムレベル性能/応答240に関連付けられた複数のユニークパターンをモニタリングするよう構成されている。実施形態の1つにおいて、複数のユニークパターンは、ホストシステム230の複数のシステムパラメーターのセットに関連付けられた複数の応答を含む。ここで、複数のシステムパラメーターは、1つ以上の入力パラメーター、制御パラメーター、フィードバックパラメーター、出力パラメーター等を含む。ここで、複数のシステムパラメーターのセットは、ホストシステムの複数のシステムパラメーターのサブセットのみを含み、さらに、開示されたシステムである本発明の様々な実施形態の重要な特徴(key feature)は、複数のシステムパラメーターのセットにのみ基づいて(さらに、複数のシステムパラメーターには基づかず)生成されたシステムレベル応答の判別によって、ホストシステム内の1つ以上の欠陥のあるサブシステム/潜在的な異常を判別可能であることに注目すべきである。したがって、開示のシステムは、計算的に効率のよい手法で、ホストシステムの正常性を効果的に管理することができる。
【0031】
実施形態の1つにおいて、メモリー214およびシステム210の他のコンポーネントと協働するプロセッサー212は、複数のユニークパターンと、複数のシステムパラメーターに対応する複数の所定のパターンとを比較し、ホストシステム内の1つ以上の潜在的な異常と、ホストシステム内の複数の潜在的な異常の寄与原因となる少なくとも1つの欠陥のあるサブシステムとを検出するよう構成されている。ここで、複数の所定のパターンは、ニューラルネットワークモデルをトレーニングすることにより事前設定される。
【0032】
実施形態の1つにおいて、メモリー214およびシステム210の他のコンポーネントと協働するプロセッサー212は、トレーニングデータを取得することにより、複数の所定のパターンを事前設定する。トレーニングデータは、複数のサブシステムの通常動作状態および複数の異常動作状態におけるシステムレベル性能を含んでいる。実施形態の1つにおいて、メモリー214およびシステム210の他のコンポーネントと協働するプロセッサー212は、トレーニングデータから、複数の特徴ベクトルを抽出するようさらに構成されている。実施形態の1つにおいて、複数の特徴ベクトルは、ホストシステム内の1つ以上の異常を示す複数の所定のパターンを表す。さらに、複数の所定のパターンは、異常または潜在的な異常に関連付けられた欠陥のあるサブシステムも示す。
【0033】
実施形態の1つにおいて、メモリー214およびシステム210の他のコンポーネントと協働するプロセッサー212は、複数の特徴ベクトルに基づいて、人工知能モデル(例えば、ニューラルネットワークモデル)をトレーニングし、1つ以上の潜在的な異常の寄与原因となる1つ以上の対応するサブシステムに応じて(サブシステムに従って)、1つ以上の異常を分類するよう構成されている。正常性管理システム210の様々なモジュールの詳細な機能モデルが、
図3を参照して、さらに図示および説明される。
【0034】
図3は、例示的な実施形態に係る人工知能ベース正常性管理システム300のブロック図を示している。人工知能ベース正常性管理システム300は、以下、システム300と称される。システム300は、正常性管理システム210(
図2)の1例である。実施形態の1つにおいて、システム300は、ホストシステムの複数のシステムレベル応答のモニタリングに基づいて、ホストシステムの複数のサブシステムの正常性ステータスを導出するよう構成されている。さらに、システム300は、特徴抽出方法を用いて、システムレベル応答全体から、複数の区別可能な特徴を導出するよう構成されている。さらに、システムは、上述の複数の特徴を、判断決定フレームワークに提供するよう構成されている。ここで、判断決定フレームワークは、従来のアルゴリズムベースアプローチでは対応困難であり、非常に重要な観測されていないケース(unseen cases)の診断に対して適用可能となるように、ホストシステムを学習し、さらに、モデルを一般化(generalize)するよう構成されたAIモデルを含んでいてもよい。実施形態の1つにおいて、判断決定フレームワークは、ニューラルネットワーク(NN)を用いて実施されていてもよい。機能ブロック
図300は、正常性管理システムの様々な機能モデルを示している。
【0035】
ブロック302において、通常状況および異常状況のシステム性能がシミュレーションされ、さらに、応答(例えば、
図2のシステム応答240)が取得および処理される。実施形態の1つにおいて、シミュレーションデータは、正常性管理システムのトレーニングに利用される。通常応答および異常応答の描写(pictorial depiction)は、既に
図1を参照して説明されている。実施形態の1つにおいて、データ取得は、異常応答の検出および特定を容易にする。ここで、「検出」は、多くの動作状態を処理するドメイン経験およびトレーニング(システム欠陥モードおよびその効果)に基づいて、ホストシステムの通常性能および異常性能を区別する能力を意味する。「特定」は、システム応答内のそのような観測可能な異常性に繋がり得る欠陥のあるコンポーネント(根本原因)を特定する能力を意味する。
【0036】
実施形態の1つにおいて、異常応答の検出および欠陥のあるサブシステムの特定は、様々なサブシステムの複数の欠陥モードをシミュレーションし、さらに、様々な通常状態および異常状態におけるシステム応答を生成することにより実行することができる。トレーニングデータは、正常性管理システムのトレーニングに用いられる。システム内の様々な欠陥の影響を学習するために、システムの複製(レプリカ)または参照システム(参照システム320のようなもの)が構築される。システムの複製または参照システムでは、それぞれ異なる欠陥状況を、システム応答の分析のために導入可能となっている。実施形態の1つにおいて、複数の欠陥シナリオを、欠陥モデル330のような欠陥モデルによって導入することができる。参照システム320および欠陥モデル330の双方のシステムレベル出力は、特定の時間スケール窓(specified window of time scale)内において、連続的に取得、および事前処理され、複数のユニーク信号が処理可能となるよう、データ内の複数の傾向(trends)が取り除かれる。
【0037】
ブロック304において、データからの複数の特徴(または、複数の特徴ベクトル)が、正常性管理システムのトレーニングに用いることができるように抽出される。実施形態の1つにおいて、様々な統計および信号処理機能がデータに対して適用され、複数の特徴が抽出される。これらの特徴ベクトルは、様々な欠陥状況用に分析され得る複数のユニークパターンまたはシグネチャーを表している。複数の特徴ベクトルは、ニューラルネットワークモデルへの入力として用いられ、さらに、ドメイン知識(domain knowledge)を利用することによって、関連付けられた根本原因に従って、複数の欠陥を分類するようトレーニングされる。広範囲にわたってトレーニングされ、一般化(generalization)が達成されると、ネットワークは、目的のハードウェア上に配備され、リアルタイムで複数の信号を受け付ける。例示的な実施形態の1つにおいて、特徴抽出モジュールは、特徴抽出のための複数のアルゴリズムを実行してもよい。このようなアルゴリズムの例としては、これに限定されるものではないが、二乗平均平方根(RMS: Root Mean Square)、短時間フーリエ変換(STFT: Short Time Fourier Transform)、平均、分散、高速フーリエ変換(FFT)、離散ウェーブレット変換(DWT)、離散時間フーリエ変換(DTFT)、スペクトル等が挙げられる。
【0038】
ブロック306において、複数の特徴ベクトルが、ニューラルネットワークのような人工知能ネットワークに入力される。人工知能ネットワークは、ドメイン知識を利用することによって、関連付けられた根本原因に応じて、複数の欠陥のある状況/欠陥を分類するようトレーニングされている。トレーニングされると、人工知能ネットワークは、未来の時系列を予測する動作中のシステムと共に、ハードウェア上に配備され得る。事前に設計された欠陥分類人工知能ネットワークが時間予測ニューラルネットワーク(time predictive neural network)に適用され、発生し得る異常だけでなく、欠陥に寄与し得るコンポーネントまたはサブシステム内の複数のコンポーネントが識別される。ここで、正常性管理システムは、ニューラルネットワークのような人工知能ネットワークの強度(strengths)を利用し、従来のアルゴリズムベースアプローチでは対処が困難であり、非常に重要な観測されていないケースの診断に対して適用可能となるように、ホストシステムが学習され、さらに、モデルが一般化される。
【0039】
ブロック340において、人工知能ネットワークによって実行される複数の欠陥状況/欠陥の分類の出力が、ユーザーインターフェース(例えば、正常性管理システムのUI216)において提供される。正常性管理システムのユーザーインターフェースを示す例示的なスクリーンショットが
図5Aおよび
図5Bを参照して、さらに説明される。
【0040】
図4は、例示的な実施形態に係るホストシステムの正常性管理のための例示的な方法のフローチャート400を示している。402において、ホストシステムの複数のシステムパラメーターに関連付けられた複数の応答を含む複数のユニークパターンが、モニタリングされる。複数のユニークパターンは、リアルタイムで生成されてもよい。複数のシステムパラメーターは、ホストシステムのシステムレベル性能を示す。実施形態の1つにおいて、システム(例えば、システム200/300)は、複数のユニークパターンをモニタリングする。
【0041】
404において、本方法は、複数のユニークパターンと、複数のシステムパラメーターに対応する複数の所定のパターンとを比較し、ホストシステム内の1つ以上の潜在的な異常と、複数のサブシステムの少なくとも1つの欠陥のあるサブシステムとを検出する工程を含む。実施形態の1つにおいて、複数の所定のパターンは、(
図3を参照して説明されたように)トレーニングデータによるニューラルネットワークベースコントローラーのトレーニングに基づいて、取得される。実施形態の1つにおいて、トレーニングデータは、ホストの様々な通常状態および複数の異常状態におけるシステムレベル応答に関連して取得される。取得されたデータは、正常性管理システム(特に、正常性管理システムのコントローラー)のトレーニングに用いられる。例示的な実施形態の1つにおいて、システム内の様々な欠陥の影響を学習するため、システムの複製が作成される。システムの複製では、複数の異なる欠陥状況を、システム応答の分析のために導入可能となっている。参照モデルおよび欠陥導入モデル(fault introduced model)の双方のシステムレベル出力は、特定の時間スケール窓内において連続的に取得、および事前処理され、複数のユニーク信号が処理可能となるよう、データ内の複数の傾向が取り除かれる。さらに、複数の特徴(または、複数の特徴ベクトル)が、取得されたデータから抽出される。実施形態の1つにおいて、統計および信号処理機能が、データに対して適用され、複数の特徴が抽出される。複数の特徴は、様々な欠陥状況のために分析される複数のシグネチャーを表す。複数の抽出された特徴ベクトルは、ニューラルネットワークへの複数の入力として用いられ、ニューラルネットワークは、ドメイン知識を利用することによって、関連付けられた根本原因に応じて、複数の欠陥を分類するようトレーニングされる。実施形態の1つにおいて、ニューラルネットワークは、様々な欠陥シグネチャーのパターン認識のためにトレーニングされる。トレーニングされたニューラルネットワークは、動作中のシステムと共に、ハードウェア上に配備され、ホストシステム内の複数の潜在的な異常と、ホストシステム内の1つ以上の潜在的な異常の寄与原因となる複数の欠陥のあるサブシステムを特定可能である。
【0042】
図5Aおよび
図5Bは、例示的な実施形態に係る複数の通常状況および複数の異常状況のそれぞれにおける正常性管理システムの例示的なスクリーンショットを示している。ここで、
図5Aおよび
図5Bに示されたスクリーンショットは、オンボードフライトシステムのようなホストシステムの欠陥モードシミュレーションのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)を示している。
【0043】
図5Aおよび
図5Bに示されているように、GUIは、シミュレーション設定、参照モデルからのフライト性能逸脱(flight performance deviations)、および全体のシステム正常性をそれぞれ表示するウインドウ502、504、506のような複数のウインドウを含んでいる。ウインドウ502は、様々なシミュレーションパラメーターを入力するためのインターフェースを提供する。
【0044】
通常状況の間、ウインドウ504は、逸脱が存在しない複数の平坦な応答を示す。また、全体のシステム正常性を示すウインドウ506は、「全てのシステムが正常です」のようなステータスを提供する。しかしながら、異常状況の間、
図5Bに示されているように、ウインドウ504は、逸脱を有する複数の応答を示す。また、全体のシステム正常性を示すウインドウ506は、特定のシステムコンポーネント/サブシステムの欠陥に関連するステータスを提供する。例えば、欠陥状況の場合、ダッシュボードは、ウインドウ506内の警告を点滅させることにより、根本原因について、ユーザー/パイロットに警告してもよい。警告は、様々な実施形態の範囲を限定することなく、任意の既知の技術/方法によって提供することができることは理解されるであろう。
【0045】
例示的な状況において、複数の制御アクチュエーターおよびセンサーは、フライトの間に欠陥が発生し得る複数の候補サブシステムとして選択されてもよい。一般的に、これらのサブシステムにおける欠陥は、マニホールド(連結管)等の内部の油圧油の漏れ/破損などの理由によるものであり、応答速度、減衰係数等のような複数の性能パラメーターの動的変化の原因となる。これらのパラメーターを、設計トレランス(design tolerance)を越えて変動させることにより、複数の欠陥が、正常性管理システム内においてシミュレーションされる。シミュレーションは、非リアルタイム環境において実行されるので、フライトのいくつかの特定の時間において複数の欠陥が発生するよう、プログラムされる。
【0046】
本発明の様々な実施形態によって、ホストシステムの正常性管理のための方法およびシステムが提供された。例えば、様々な実施形態は、システム全体のシステムレベル応答の制限されたセットのみを観測し、システムの非常に重要なサブコンポーネントの全ての欠陥動作の理解を提供するための方法を提供する。本方法は、既存のホストシステムのように、より多くのパラメーターを学習するために、複数の追加的なセンサーが必要となることを回避する。さらに、本方法は、動作中のシステムと協働して動作し、サブシステムレベルのコンポーネントに対する診断および予想を実行するオンボードシステムを作成することを目的とする。
【0047】
上記の記述は、本分野における当業者が本発明を実施および使用することを可能とするために、本発明を説明するものである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、本分野における当業者が想到し得るその他の変形例を含む。そのようなその他の変形例が特許請求の範囲の文言と変わらない同等の要素を有するか、特許請求の範囲の文言と実質的に変わらない同等の要素を含んでいるのであれば、そのようなその他の変形例は、特許請求の範囲の権利範囲内に含まれる。
【0048】
しかしながら、本発明による保護範囲は、メッセージを有するコンピューター可読手段に加え、プログラムにも及ぶことは理解されるであろう。そのようなコンピューター可読記憶媒体は、サーバー、携帯デバイス、または任意の適切なプログラム可能デバイス上でプログラムが実行されたとき、本発明の方法の1つ以上の工程を実施するプログラムコード手段(program-code means)を含む。ハードウェアデバイスは、例えば、サーバー、パーソナルコンピューター等、または、これらの組み合わせの任意の種類のコンピューターを含む任意の種類のプログラム可能なデバイスであってもよい。また、デバイスは、例えば、ハードウェア手段(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、ハードウェア手段およびソフトウェア手段の組み合わせ(例えば、ASICおよびFPGA)、少なくとも1つのマイクロプロセッサー、および、ソフトウェアモジュールが内部に保存されている少なくとも1つのメモリーのような手段を含む。よって、手段は、ハードウェア手段と、ソフトウェア手段の双方を含む。本発明の方法は、ハードウェアおよびソフトウェアにおいて実施可能である。また、デバイスは、ソフトウェア手段を含んでいてもよい。代替的に、本発明は、複数の異なるハードウェアデバイス、例えば、複数のCPUを用いて、実施されていてもよい。
【0049】
本発明は、ハードウェア要素と、ソフトウェア要素とを含むことができる。本発明は、ソフトウェアにおいて実施することができ、これに限定されるものではないが、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む。ここに説明された様々なモジュールによって実行される機能は、他のモジュールや他のモジュールの組み合わせにおいて実施されてもよい。説明の目的のため、コンピューター使用可能またはコンピューター可読媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって使用可能またはこれらに関連したプログラムを含み、保存し、通信し、伝播し、または伝送可能な任意の装置であってもよい。
【0050】
上記の記述が、様々な実施形態を参照して提供された。本発明の属する分野および技術における当業者であれば、記述された構造および動作方法における変形および変更が、本発明の原理、考え方、および範囲から有意に逸脱することなく、実行可能であることを理解できるであろう。