特許第6774773号(P6774773)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774773
(24)【登録日】2020年10月7日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】複合下枠
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/32 20060101AFI20201019BHJP
   E06B 1/18 20060101ALI20201019BHJP
   E06B 7/14 20060101ALI20201019BHJP
   E06B 3/62 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   E06B1/32
   E06B1/18 M
   E06B7/14
   E06B3/62 Z
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-73008(P2016-73008)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-180040(P2017-180040A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年9月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 富広
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 紀吉
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−107648(JP,A)
【文献】 特開2005−105566(JP,A)
【文献】 特開平10−030382(JP,A)
【文献】 特開2007−120245(JP,A)
【文献】 特開2010−043403(JP,A)
【文献】 特開2011−214312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00− 1/70
E06B 3/04− 3/46
E06B 3/54− 3/88
E06B 7/00− 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の下部に設けられ、金属部材と樹脂部材とを連結して構成された複合下枠であって、
前記金属部材は、ガラスパネルの下端部を支持するパネル支持溝を有し、
前記樹脂部材は、前記金属部材上であって前記パネル支持溝よりも屋内側を覆って配置され、
前記パネル支持溝の前記屋内側の面から前記金属部材の上面に連続して、外気の前記屋内側への通気を阻止する気密ラインが構成され、
前記金属部材の前記気密ライン上には、逆止弁が設けられ、
前記樹脂部材には、上下方向に貫通する第一結露水排水孔が設けられ、
前記金属部材には、上下方向に貫通し、前記第一結露水排水孔の直下に、該第一結露水排水孔に連通して第二結露水排水孔が設けられ、
前記第一結露水排水孔には、結露水を排水する空間部を有する上キャップが設けられ、
前記第二結露水排水孔には、前記逆止弁が設けられていることを特徴とする複合下枠。
【請求項2】
前記金属部材には、屋外と連通された水抜き孔が設けられ、
該水抜き孔は、前記逆止弁と見付け方向にずれた位置に配置されている請求項1に記載の複合下枠。
【請求項3】
前記樹脂部材の前記屋内側には、上方に向かって立ち上がる樹脂起立部が設けられている請求項1または2に記載の複合下枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の開口部に設けられる複合下枠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、構造物の開口部に設けられる建具の下枠として、例えば特許文献1に記載されたものが提案されている。この下枠は、アルミ下枠と樹脂下枠とからなる複合部材であって、アルミ下枠及び樹脂下枠に連通するように排水ガイドが設けられている。樹脂下枠を有するため断熱性が高いとともに、排水ガイドにより樹脂下枠に流下した結露水を、アルミ下枠の屋内側中空部を経由させて、屋外に排水する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−107648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の特許文献1に記載されたサッシでは、下枠のホロー内外の圧力差により、ホロー内に雨水が浸入することがある。下枠のホロー内に浸入した雨水の排水性を高めるためには、排水ガイドにサイズの大きい逆止弁を設ける必要があるが、逆止弁が大きくなるにともない逆止弁の周囲の隙間も大きくなってしまい、気密性が低くなってしまうという問題点がある。
特にビル等の中高層建築物では、屋内外で圧力差が生じるため、水を屋内側に引き込む可能性があり、高い気密性が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、断熱性を維持しつつ、気密性を向上させることができる複合下枠を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る複合下枠は、開口部の下部に設けられ、金属部材と樹脂部材とを連結して構成された複合下枠であって、前記金属部材は、ガラスパネルの下端部を支持するパネル支持溝を有し、前記樹脂部材は、前記金属部材上であって前記パネル支持溝よりも屋内側を覆って配置され、前記パネル支持溝の前記屋内側の面から前記金属部材の上面に連続して、外気の前記屋内側への通気を阻止する気密ラインが構成され、前記金属部材の前記気密ライン上には、逆止弁が設けられ、前記樹脂部材には、上下方向に貫通する第一結露水排水孔が設けられ、前記金属部材には、上下方向に貫通し、前記第一結露水排水孔の直下に、該第一結露水排水孔に連通して第二結露水排水孔が設けられ、前記第一結露水排水孔には、結露水を排水する空間部を有する上キャップが設けられ、前記第二結露水排水孔には、前記逆止弁が設けられていることを特徴とする。
【0007】
このように構成された複合下枠では、ガラスパネルの下端部を支持するパネル支持溝よりも屋内側では、金属部材を覆って樹脂部材が配置されているため、断熱性を確保することができる。
また、金属部材のパネル支持溝の屋内側の面から金属部材の上面に連続して外気の屋内側への通気を阻止する気密ラインが構成されているため、気密性を確保することができる。また、気密ラインには逆止弁が設けられているため、逆止弁から雨水が逆流することが抑制される。さらに、このように雨水が気密ラインよりも屋内側に入ってこないため、逆止弁は結露水を排水するのに適した大きさでよい。つまり、逆止弁を小型化でき、逆止弁の周りの隙間を小さく抑えることができるため、気密性を高めることができる。
また、このように構成された複合下枠では、樹脂部材には結露水を排水する結露排水孔が設けられているため、樹脂部材に溜まった結露水を結露排水孔から排出することができる。
【0010】
また、本発明に係る複合下枠は、前記金属部材には、屋外と連通された水抜き孔が設けられ、該水抜き孔は、前記逆止弁と見付け方向にずれた位置に配置されていてもよい。
【0011】
このように構成された複合下枠では、水抜き孔から雨水が浸入してきた場合でも、逆止弁は水抜き孔と見付け方向にずれた位置に配置されているため、雨水が逆止弁に直接当たることがない。よって、雨水の逆止弁からの逆流が抑制される。
【0014】
また、本発明に係る複合下枠は、前記樹脂部材の前記屋内側には、上方に向かって立ち上がる樹脂起立部が設けられていてもよい。
【0015】
このように構成された複合下枠では、樹脂部材の屋内側には上方に向かって立ち上がる樹脂起立部が設けられているため、樹脂部材上に溜まった結露水が屋内側に浸入することが抑制される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る複合下枠によれば、断熱性を維持しつつ、気密性を向上させることができる
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第一実施形態に係るFIX窓を屋内側から見た斜視図である。
図2図1をA−Aで切断した縦断面図である。
図3図2をB−Bで切断した水平断面図である。
図4図2のC部拡大図である。
図5】本発明の第一実施形態に係るFIX窓の下端部を屋内側から見た斜視図である。
図6】本発明の第一実施形態に係るFIX窓の下端部を屋外側から見た斜視図である。
図7図4をD−Dで切断した断面図である。
図8】本発明の第一実施形態に係るFIX窓の第一結露水排水孔に設けられる弁を(a)斜め上方から見た斜視図、(b)斜め下方から見た斜視図である。
図9】本発明の第一実施形態に係るFIX窓の第二結露水排水孔に設けられる弁を(a)斜め上方から見た斜視図、(b)斜め下方から見た斜視図である。
図10】本発明の第二実施形態に係る引違い窓を屋内側から見た正面図である。
図11】本発明の第二実施形態に係る引違い窓の縦断面図である。
図12】本発明の第二実施形態に係る引違い窓の断面図である。
図13図11のE部拡大図である。
図14】本発明の第二実施形態の変形例に係る引違い窓の縦断面図である。
図15】本発明の第二実施形態の変形例に係る引違い窓の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態による建築物の開口部に設けられる建具の一例として、FIX窓(嵌め殺し窓)を図1から図9に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係るFIX窓を屋内側から見た斜視図である。
図1に示すように、FIX窓100は、開口部Wに設けられ、四角形枠状に形成された枠体(複合枠体)1と、枠体1内に嵌め込まれた例えばペアガラス等の複層ガラス(ガラスパネル)2と、枠体1の左右にそれぞれ設けられた押縁5と、を備えている。
なお、以下の説明において、複層ガラス2の上下方向及び上下方向と交差して複層ガラス2に沿う方向を見付け方向と称する。見付け方向のうち複層ガラス2の中心に向かう方向を見付け方向の内側とし、反対方向を見付け方向の外側と称する。また、複層ガラス2の厚み方向を見込み方向と称する。
【0019】
枠体1は、水平方向に延在する上枠10及び下枠(複合下枠)20と、上枠10の両端部と下枠20の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する縦枠30と、を有している。
【0020】
図2は、図1をA−Aで切断した縦断面図である。
図2に示すように、上枠10は、屋外側に設けられ金属製の金属上枠10Aと、屋内側に設けられ樹脂製の樹脂上枠10Bと、を有している。金属上枠10Aと樹脂上枠10Bとは連結されている。
【0021】
下枠20は、屋外側に設けられ金属製の金属下枠(金属部材)20Aと、屋内側に設けられ樹脂製の樹脂下枠(樹脂部材)20Bと、を有している。金属下枠20Aと樹脂下枠20Bとは連結されている。
【0022】
図3は、図2をB−Bで切断した水平断面図である。
図3に示すように、縦枠30は、屋外側に設けられ金属製の金属縦枠30Aと、屋内側に設けられ樹脂製の樹脂縦枠30Bと、を有している。金属縦枠30Aと樹脂縦枠30Bとは連結されている。
【0023】
縦枠30には、押縁5が設けられている。押縁5は、複層ガラス2の屋内側を保持し金属製の金属押縁50Aと、金属押縁50Aの屋内側に設けられ樹脂製の樹脂押縁50Bと、を有している。金属押縁50Aと樹脂押縁50Bとは、一体として構成されている。
【0024】
図2及び図3に示すように、上枠10、下枠20及び縦枠30には、複層ガラス2から離間するように凹む断面視コ字状のガラス受け部40がそれぞれに設けられている。複層ガラス2の内外側面とガラス受け部40の両側部との間には、面クリアランス(空間部)40Sが設けられている。
【0025】
面クリアランス40Sには、スポンジ等の弾性材41及びシーリング材42が設けられている。シーリング材42は不定形または定形形状であり、例えばシリコーン、変成シリコーン、ウレタン、ブチル等を採用できる。
【0026】
押縁5が縦枠30から取り外された状態で、ガラス受け部40に複層ガラス2が嵌め込まれる。その後、縦枠30に押縁5が取り付けられ、弾性材41及びシーリング材42が設けられる。樹脂上枠10B、樹脂下枠20B及び樹脂押縁50Bの屋外側の端部10Z,20Z,50Zは、シーリング材42を支持している。
【0027】
次に、下枠20及び下枠20に設けられた弁(上キャップ60,下部弁70)の構成について詳細に説明する。
図4は、図2のC部拡大図である。
図4に示すように、金属下枠20Aは、樹脂下枠20Bを支持する上段部110と、上段部110から下方に延びる下段部120と、上段壁部と下段壁部とを連結する連結壁部130と、を有している。
【0028】
上段部110には、上方に向かって突出し、見付け方向に延在する側壁部111が設けられている。側壁部111は、見込み方向に離間して一対設けられている。側壁部111の間に、複層ガラス2の下端部2Zが配置されている。
【0029】
屋外側の側壁部111には、屋内側に向かって突出する弾性材係止片112が設けられている。この側壁部111の上端部には、屋内側に向かって突出するシーリング材支持壁部113が設けられている。
【0030】
屋内側の側壁部111には、屋外側に向かって突出する弾性材係止片114が設けられている。弾性材係止片114は、上下方向に離間して一対設けられている。
【0031】
上側の弾性材係止片114の端部から上方に向かって延びるシーリング材支持壁部115が設けられている。
【0032】
シーリング材支持壁部115の上端部には、屋内側に向かって折曲された係合片117が設けられている。また、屋内側の側壁部111には、屋内側に向かって突出する係合片118が設けられている。
【0033】
複層ガラス2の屋外側では、側壁部111の弾性材係止片112とシーリング材支持壁部113の下端部と複層ガラス2との間に、弾性材41が挟み込まれている。また、シーリング材支持壁部113と弾性材41と複層ガラス2との間に、シーリング材42が挟み込まれている。
【0034】
複層ガラス2の屋内側では、一対の弾性材係止片114と複層ガラス2との間に、弾性材41が挟み込まれている。また、シーリング材支持壁部115と弾性材41と複層ガラス2との間に、シーリング材42が挟み込まれている。また、金属下枠20Aのシーリング材支持壁部115を、後述する樹脂下枠20Bの係合壁部203が押圧している。
【0035】
本実施形態では、側壁部111及び上段部110における一対の側壁部111に挟まれた部分(底部)119が、ガラス受け部(パネル支持溝)40を構成している。
【0036】
下段部120は、上段部110の屋内側から屋外側に向かうにしたがって次第に下方に向かう第一傾斜壁部121と、第一傾斜壁部121の端部から屋外側に向かうにしたがって次第に下方に向かう第二傾斜壁部122と、を有している。第一傾斜壁部121は、第二傾斜壁部122よりも傾斜が急である。
【0037】
連結壁部130は、上段部110の底部119と第二傾斜壁部122とを連結している。連結壁部130は、上下方向に沿って配置されている。
【0038】
図5は、FIX窓100の下端部を屋内側から見た斜視図である。図5において、複層ガラス2の記載を省略している。
図4及び図5に示すように、上段部110の底部119において、連結壁部130よりも屋外側には、上下方向に貫通し、屋外と連通された雨水排水孔110Hが設けられている。雨水排水孔110Hは、底部119の見付け方向の両端部近傍に設けられている。
【0039】
図6は、FIX窓100の下端部を屋外側から見た斜視図である。
図4及び図6に示すように、連結壁部130の見付け方向の両端部において、下端部には、見込み方向に貫通し、屋外と連通された最終排水孔(水抜き孔)130Hが設けられている。
【0040】
図6に示すように、金属縦枠30Aの屋外側には、見付け方向の内側に向かって延びるフィン31が設けられている。フィン31は、上下方向に延びている。正面視において、フィン31は、連結壁部130に設けられた最終排水孔130Hに重なるように配置されている。
【0041】
図4及び図6に示すように、側壁部111の下端部111Zは、上段部110よりも下方にまで延びている。側壁部111の下端部111Zと第二傾斜壁部122との間には、排水空間部111Sが形成されている。
【0042】
図4に示すように、樹脂下枠20Bは、水平面に沿って形成された水平面部201と、水平面部201の屋外側から上下方向に交差するように設けられた立設された鉛直面部202と、鉛直面部202の上下両端部から、それぞれ屋外側に延びる係合壁部203と、を有している。各係合壁部203は、金属下枠20Aの係合片117,118を上下方向に挟持して係合している。
【0043】
図2に示すように、水平面部201の屋内側の端部には、上方に延びる上向き片(樹脂起立部)201Tが設けられている。上向き片201Tの上端には、屋内側に向かって延びる下枠屋内側面部206が設けられている。
【0044】
さらに、樹脂下枠20Bは、水平面部201の下面から下方に延びる支持壁部205を有している。支持壁部205は、見込み方向に離間して一対設けられている。
【0045】
屋内側の支持壁部205の下端部は、金属下枠20Aの上段部110の屋内側から上方に延びる上向き片(金属起立部)110Tに係合されている。屋外側の支持壁部205は、上段部110に支持されている。このようにして、樹脂下枠20Bは、金属下枠20Aに連結されている。
【0046】
図4に示すように、樹脂下枠20Bの水平面部201において、支持壁部205よりも屋外側には、上下方向に貫通する第一結露水排水孔(結露排水孔)201Hが設けられている。第一結露水排水孔201Hには、上キャップ60が設けられている。
【0047】
図7は、図4をD−Dで切断した断面図である。図8は、上キャップ60を(a)斜め上方から見た斜視図、(b)斜め下方から見た斜視図である。
図4図7及び図8に示すように、上キャップ60は、平面視矩形状に形成された上面部61と、上面部61の対向する二辺から下方に延びる立設壁部62と、を有している。
【0048】
立設壁部62は、樹脂下枠20Bの水平面部201に載置されている。これにより、上面部61と水平面部201との間には、立設壁部62の高さに相当する高さの空間部61Sが形成されている。
【0049】
さらに、上キャップ60は、上面部61の下面から下方に延び、水平面部201の第一結露水排水孔201Hの縁部に係合する係合脚部63と、上面部61の下面から下方に延びる誘導壁部64と、を有している。
【0050】
誘導壁部64は、下向きの三角形状をなしている。誘導壁部64には、斜め下方に傾斜する傾斜壁部65が形成されている。
【0051】
図4に示すように、金属下枠20Aの上段部110において、側壁部111よりも屋内側には、上下方向に貫通する第二結露水排水孔110Jが設けられている。第二結露水排水孔110Jは、金属下枠20Aの見付け方向の端部よりもわずかに内側に設けられている。
【0052】
第二結露水排水孔110Jは、第一結露水排水孔201Hの直下に、第一結露水排水孔201Hに連通して設けられている。第二結露水排水孔110Jは、第一結露水排水孔201Hと、樹脂下枠20Bの支持壁部205の高さに相当する高さ分離間して配置されている。第二結露水排水孔110Jには、下部弁(逆止弁)70が設けられている。
【0053】
図6に示すように、下部弁70は、金属下枠20Aの最終排水孔130Hと、見付け方向にずれた位置に配置されている。
【0054】
図9は、下部弁70を(a)斜め上方から見た斜視図、(b)斜め下方から見た斜視図である。
図4図7及び図9に示すように、下部弁70は、上段部110の上方に配置される上筒状体71を有している。上筒状体71は、平面視環状に形成された底部72と、底部72の縁から立設された外周壁部73と、底部72に形成された貫通孔72Hから下方に延びる内周壁部74と、を有している。
【0055】
さらに、下部弁70は、第二結露水排水孔110Jに配置される下筒状体75と、上筒状体71と下筒状体75とを連結する複数の連結体76と、を有している。
【0056】
下筒状体75の内周面には、径方向内側に向かって突出する突出壁部77が設けられている。突出壁部77の下端部には、径方向内側に向かうにしたがって次第に上方に向かう傾斜壁部78が形成されている。
【0057】
下筒状体75の下端部には、上方に向かって膨らむ形状であって、径方向に貫通する弁孔75Hが形成されている。弁孔75Hは、周方向に離間して3箇所に形成されている。
【0058】
連結体76は、上段部110に載置されている。これにより、上筒状体71の底部72と上段部110との間には、隙間71Sが形成されている。
【0059】
下筒状体75の内部には、弁本体80が設けられている。弁本体80は、平面視円形状に形成された中心板81と、中心板81の縁部から径方向外側に向かって突出する弁体82と、を有している。
【0060】
弁体82は、弁孔75Hの形状に対応して上方に向かって膨らむ形状をなしている。弁体82は、周方向に離間して3箇所に設けられている。
【0061】
通常時、弁本体80が下筒状体75の下位に配置されるとともに、弁体82は弁孔75H内に配置されている。そして、下筒状体75の内周面と中心板81の上面との間には空間部75Sが形成されている。
【0062】
一方、外部から上向きの圧力を受けると、弁本体80は上方に移動する。これにより、下筒状体75の内周面と中心板81の上面との間は、封止される。このように、弁本体80は、雨水等の逆流を防止する逆止弁として機能する。
【0063】
次に、縦枠30と押縁5との連結構造について説明する。
図3に示すように、金属縦枠30Aには、見込み方向の中間部に見付け方向に延びる中間面部340が設けられている。中間面部340の見付け方向の内側の端部には、屋外側に向かって突出する係合爪部341が設けられている。また中間面部340には、屋外側に向かって突出する係合突起342が設けられている。
【0064】
一方、金属押縁50Aの見付け方向の延びる基部510の見付け方向の端部には、屋外側に向かって延びる突起部511が設けられている。突起部511の先端部には、見付け方向の外側に向かうにしたがって次第に屋外側に向かう係合片部512が設けられている。
【0065】
突起部511の端部は、金属縦枠30Aの係合爪部341係合されている。係合片部512の先端部は、金属縦枠30Aの係合突起342と係合されている。このようにして、金属押縁50Aは金属縦枠30Aに連結されている。
【0066】
また、金属押縁50Aの基部510の見付け方向の外側の端部には、屋内側に向かって延びる係合片部513が設けられている。係合片部513の端部には、見付け方向の内側に向かって折曲された折曲片部514が設けられている。
【0067】
また、基部510の見付け方向の内側の端部には、屋内側に向かって延びる係合片部515が設けられている。係合片部515の端部には、見付け方向の外側に向かって折曲された折曲片部516が設けられている。
【0068】
また、基部510の見付け方向の内側の端部には、屋外側に向かって突出する突出片521が設けられている。突出片521の端部には、見付け方向に沿って延びる支持壁部522が設けられている。
【0069】
一方、樹脂押縁50Bの見込み方向の延びる外側面部570の屋外側の端部には、見付け方向の外側に向かって延びる係合爪部571が設けられている。係合爪部571は、金属押縁50Aの係合片部513及び折曲片部514に係合されている。
【0070】
樹脂押縁50Bの外側面部570と、外側面部570よりも内側に配置され見込み方向の延びる内側面部560とは、連結壁部583で連結されている。連結壁部583には、屋外側に向かって延びる係合片部584が設けられている。係合片部584の端部には、見付け方向の内側に向かって折曲された折曲片部585が設けられている。折曲片部585は、金属押縁50Aの折曲片部516と係合されている。
【0071】
このように、樹脂押縁50Bの係合爪部571と金属押縁50Aの係合片部513並びに折曲片部514との係合、及び樹脂押縁50Bの折曲片部585と金属押縁50Aの折曲片部516と係合により、樹脂押縁50Bと金属押縁50Aとは連結されている。
【0072】
次に、FIX窓100における外気の屋内側への通気を阻止する気密ラインA1及び断熱性が確保される断熱ラインA2について説明する。
図2に示すように、シーリング材支持壁部115の屋内側の面及び金属下枠20Aの上面に沿って、気密ラインA1が連続して構成されている。詳細には、シーリング材支持壁部115、上側の弾性材係止片114、屋内側の側壁部111、上段部110における側壁部111よりも屋内側の部分及び上向き片110Tに沿って、気密ラインA1が構成されている。この気密ラインA1上である金属下枠20Aの上段部110に、下部弁70が設けられている。
【0073】
また、樹脂下枠20Bの係合壁部203、鉛直面部202、水平面部201、上向き片201T及び下枠屋内側面部206に沿って、断熱ラインA2が構成されている。
【0074】
また、上枠10においては、金属上枠10Aの屋内側の面及び水平面に沿って、気密ラインA1が連続して構成されている。また、樹脂上枠10Bの水平面に沿って、断熱ラインA2が構成されている。
【0075】
また、図3に示すように、縦枠30及び押縁5においては、金属押縁50A及び金属縦枠30Aの屋内側の面並びに見込み方向に延びる面に沿って、気密ラインA1が連続して構成されている、また、樹脂押縁50Bの見付け方向の内側の面並びに屋内側の面及び樹脂縦枠30Bの見付け方向の内側の面に沿って、断熱ラインA2が構成されている。
【0076】
このように、気密ラインA1と断熱ラインA2とは別々に設けられるとともに、気密ラインA1及び断熱ラインA2は四周にわたって形成されている。気密ラインA1の屋内側には、気密ラインA1と断熱ラインA2とで囲まれた断熱空間が四周にわたって確保されている。
【0077】
次に、複層ガラス2の端部を保持する構造について説明する。
図4に示すように、下枠20では、樹脂下枠20Bの一対の係合壁部203が、金属下枠20Aの係合片117,118を上下方向から挟み込んでいる。この状態で、金属下枠20Aのシーリング材支持壁部115が、シーリング材42を介して複層ガラス2を押圧している。
このため、樹脂下枠20Bに熱による伸縮作用が生じても、係合壁部203が金属下枠20Aから外れたりずれたりしないため、樹脂下枠20Bの伸縮変位を抑制できる。
なお、上枠10も、同一の構成とされているため、説明を省略する。
【0078】
図3に示すように、縦枠30と押縁5では、上記のように、金属押縁50Aの基部510よりも屋内側で、金属押縁50Aと樹脂押縁50Bとが連結された状態で、基部510よりも屋外側に設けられた支持壁部522が、シーリング材42を介して複層ガラス2を押圧している。
このため、樹脂押縁50Bに熱による伸縮作用が生じても、樹脂押縁50Bの係合爪部571及び折曲片部585が金属押縁50Aから外れたりずれたりしないため、樹脂押縁50Bの伸縮変位を抑制できる。
【0079】
次に、上記のFIX窓100の金属下枠20Aのガラス受け部40内に入り込んだ雨水の排水、樹脂下枠20B上に溜まった結露水、及び金属下枠20A上に溜まった結露水の排水について説明する。
【0080】
図4において矢印Xで示すように、ガラス受け部40内に入り込んだ雨水は、金属下枠20Aの底部119の雨水排水孔110Hから下方に落下し、排水空間部111Sを通過して、屋外に排出される。この流路が、雨水の排出される雨水排水路Xである。
【0081】
一方、図4において矢印Yで示すように、樹脂下枠20B上に溜まった結露水は、上キャップ60の上面部61と樹脂下枠20Bの水平面部201との間に形成された空間部61Sから、落下する。上キャップ60の傾斜壁部65(図7参照)は斜め下方に傾斜して形成されているため、結露水は傾斜壁部65に沿って流れやすい。
【0082】
落下した結露水は、下部弁70の上筒状体71の内部を通過して、底部72の貫通孔72Hから下方に落下する。結露水は、下筒状体75の内周面と中心板81の上面との間に形成された空間部75Sから、下部弁70の下方に落下する。
【0083】
第二結露水排水孔110Jと最終排水孔130Hとの間は、連通路110Rとされている。結露水は、樹脂下枠20Bの第一傾斜壁部121に沿って、連通路110Rを屋外側に移動し、最終排水孔130H及び排水空間部111Sを通過して、屋外に排出される。この流路が、樹脂下枠20B上に溜まった結露水の排出される第一結露水排水路Yである。
【0084】
一方、図4において矢印Zで示すように、万が一、金属下枠20A上(樹脂下枠20Bの下方)に結露水が溜まった場合には、結露水は、下部弁70の上筒状体71の底部72と金属下枠20Aの上段部110との間に形成された隙間71Sから、内周壁部74の外周面と下筒状体75の内周面との間、及び下筒状体75の内周面と中心板81の上面との間に形成された空間部75Sから、下部弁70の下方に落下する。後の流れは、樹脂下枠20B上に溜まった結露水の流れと同様である。この流路は、金属下枠20A上に溜まった結露水が排出される第二結露水排水路Zである。
【0085】
このように、第一結露水排水路Y及び第二結露水排水路Zは、ガラス受け部40を経由せずに排水される。換言すると、雨水排水路Xと第一結露水排水路Y及び第二結露水排水路Zとは、独立して設けられている。
【0086】
また、図4に示す破線Pで示す線に沿って、外気の屋内側への通気を阻止及び雨水の屋内側への浸入を阻止する止水ラインが構成されている。下部弁70の逆止弁機能を有する弁本体80は止水ラインに配置されており、雨水が屋内側へ逆流することが防止される。
【0087】
このように構成されたFIX窓100では、複層ガラス2の下端部を支持するガラス受け部40よりも屋内側では、金属下枠20Aを覆って樹脂下枠20Bが配置されているため、断熱性を確保することができる。また、気密ラインA1の屋内側には、気密ラインA1と断熱ラインA2とで囲まれた断熱空間が確保されているため、断熱性を高めることができる。
【0088】
また、シーリング材支持壁部115の屋内側の面から金属下枠20Aの上面に連続して、外気の屋内側への通気を阻止する気密ラインA1が構成されているため、気密性を確保することができる。また、気密ラインA1には下部弁70が設けられているため、下部弁70から雨水が逆流することが抑制される。さらに、雨水が気密ラインA1よりも屋内側に入ってこないため、下部弁70は結露水を排水するのに適した大きさでよい。つまり、下部弁70を小型化でき、下部弁70の周囲の隙間を小さく抑えることができるため、気密性を高めることができる。
【0089】
また、金属下枠20Aの屋内側には上方に向かって立ち上がる上向き片110Tが設けられているため、金属下枠20A上に溜まった結露水が躯体側(屋内側)に浸入することが抑制される。
【0090】
また、最終排水孔130Hから雨水が浸入してきた場合でも、下部弁70は最終排水孔130Hと見付け方向にずれた位置に配置されているため、雨水が下部弁70に直接当たることがない。よって、雨水の下部弁70からの逆流が抑制される。
【0091】
また、樹脂下枠20Bの屋内側には上方に向かって立ち上がる上向き片201Tが設けられているため、樹脂下枠20B上に溜まった結露水が屋内側に浸入することが抑制される。
【0092】
また、ガラス受け部40内に浸入した雨水は、ガラス受け部40に設けられ、屋外と連通された雨水排水孔110Hから、排水空間部111Sを通過して屋外に排水される。また、樹脂下枠20B上に溜まった結露水は、樹脂下枠20Bに設けられた第一結露水排水孔201H、第二結露水排水孔110J、連通路110R及び金属下枠20Aに設けられ、屋外と連通された最終排水孔130Hから、排水空間部111Sを通過して排水される。万が一、金属下枠20A上に結露水が溜まった場合には、金属下枠20A上に溜まった結露水は、第二結露水排水孔110J、連通路110R及び最終排水孔130Hから、排水空間部111Sを通過して排水される。
このように、雨水排水路Xと第一結露水排水路Y及び第二結露水排水路Zとはそれぞれ独立して設けられているため、雨水の逆流を抑制しつつ雨水及び結露水を排水することができる。
【0093】
また、第一結露水排水孔201Hと第二結露水排水孔110Jとは上下方向に離間して配置されているため、雨水の逆流を防止することができる。さらに、第二結露水排水孔110Jには、逆止弁として機能する弁本体80が設けられている。よって、雨水の逆流を確実に防止することができる。
【0094】
また、金属縦枠30Aの屋外側に設けられ、見付け方向の内側に向かって延びるフィン31は、金属下枠20Aの見付け方向の端部に設けられた最終排水孔130Hと重なるように配置されている。よって、正面視において、フィン31で最終排水孔130Hが隠れて見えないため、外観を向上させることができる。
【0095】
なお、本発明に係る複合下枠は、上述した第一実施形態に係るFIX窓100に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能である。
以下に、本発明の他の実施形態や変形例について説明するが、上述した実施形態で説明した部品や部材等と同一または同様なものについては、同一の符号を用いて説明する。
【0096】
(第二実施形態)
例えば、図10は、本発明の第二実施形態に係る引違い窓を屋内側から見た正面図である。図11は、本発明の第二実施形態に係る引違い窓の縦断面図である。図12は、本発明の第二実施形態に係る引違い窓の断面図である。図13は、図11のE部拡大図である。なお、図10では枠体の図示を省略し、図11では内障子の図示を省略している。
図10から図13に示すように、引違い窓100Xでは、不図示の枠体内に、外障子20X及び内障子20Yが納められている。
【0097】
外障子20X及び内障子20Yは、それぞれ上框91と、下框92と、上框91の両端部と下框92の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する縦框93と、これら上框91、下框92及び一対の縦框93の内部に納められた複層ガラス2と、を有している。
【0098】
下枠20において、金属下枠20Aの屋外側には外障子20Xの下部に設けられた94を走行させる外側レール131が設けられている。金属下枠20Aの屋内側には、外側レール131より1段高い位置に内側レール132が設けられている。内側レール132は、内障子20Yの下部に設けた不図示の戸車を走行可能に支持している。
【0099】
外障子20Xにおいて、上框91は、屋外側に設けられ金属製の金属上框91Aと、屋内側に設けられ樹脂製の樹脂上框91Bと、を有している。金属上框91Aと樹脂上框91Bとは連結されている。
【0100】
同様に、下框92は、屋外側に設けられ金属製の金属下框92Aと、屋内側に設けられ樹脂製の樹脂下框92Bと、を有している。金属下框92Aと樹脂下框92Bとは連結されている。
【0101】
同様に、縦框93は、屋外側に設けられ金属製の金属縦框93Aと、屋内側に設けられ樹脂製の樹脂縦框93Bと、を有している。金属縦框93Aと樹脂縦框93Bとは連結されている。
【0102】
さらに、内障子20Yにおいても、上框91、下框92、左右の縦框93は、外障子20Xと同一の構成を備えており、同一の符号を用いて説明を省略する。
【0103】
複層ガラス2の四辺の側端部は断面略U字状のグレージングチャンネル43で全周に亘って連続して囲われている。
【0104】
グレージングチャンネル43は、複層ガラス2の端面に当接する基部43aと両側縁部にそれぞれ当接する立ち上がり部43bと、を有している。
【0105】
両立ち上がり部43bには、平面部45と、平面部45から複層ガラス2側の延びる2個のヒレ部44と、平面部45の先端部に設けられた先端ヒレ部46とが形成されている。先端ヒレ部46の他端部には、平面部24の反対側に突出する突部46aが形成されている。
【0106】
これらヒレ部44と先端ヒレ部46とで、屋内外における複層ガラス2の両側部とグレージングチャンネル43とを気密に封止している。
【0107】
金属上框91A、金属下框92A及び金属縦框93Aでは、グレージングチャンネル43を囲うように断面略コの字状のガラス受け部40が形成されている。
【0108】
金属下框92Aのガラス受け部40において、グレージングチャンネル43の基部43aに対向する受け部40aの屋外側と屋内側には、側部40bがそれぞれ上方に延びている。側部40bには、グレージングチャンネル43の平面部45に当接する肉厚の押圧部40cが形成されている。屋内側では、押圧部40cと先端ヒレ部46の突部46aとの間に、樹脂下框92Bの先側突部92cを嵌合している。これにより、屋内側の立ち上がり部43bは、ガラス受け部40の押圧部40cと先側突部92cとで複層ガラス2側に押圧されている。
このため、複層ガラス2の一端部を覆うグレージングチャンネル43の両立ち上がり部43bを、金属下框92Aのガラス受け部40で押圧支持する。しかもグレージングチャンネル43の基部43aとガラス受け部40の受け部40aとの間に空間が形成されている。
【0109】
このように、ガラス受け部40の屋内側の押圧部40cは、樹脂下框92Bの先側突部92cを介してグレージングチャンネル43の突部46aを押圧している。また、ガラス受け部40の屋内側の側部40bには、押圧部40cの近傍で枝分かれして略フック状に屈曲した係止受け部40dが形成されている。係止受け部40dは、樹脂下框92Bの先側突部92cから枝分かれした略L字状の係止部92dに係合されている。
【0110】
このため、樹脂下框92Bに熱による伸縮作用が生じても、先側突部92cと係止部92dが金属下框92Aから外れたりずれたりしないため、樹脂下框92Bの伸縮変位を抑制できる。
なお、上框91も、同一の構成とされているため、説明を省略する。
【0111】
また、内障子20Yの左右の縦框93でも、基本的に下框92と同様に複層ガラス2の端部を保持する構造である。
相違点として、内障子20Yにおける戸先側の縦框93では、金属縦框93Aのガラス受け部40に設けられた屋内側の側部40bには、グレージングチャンネル43の立ち上がり部43bを押圧するように略コの字状で先端が更に屈曲した押圧部40eが形成されている。樹脂縦框93Bにおける先側突部92cは、押圧部40eとグレージングチャンネル43の先端ヒレ部46の突部46aとの間に挟持されて係合し、立ち上がり部43bを押圧している。また、先側突部92cから枝分かれした係止部92dが押圧部40eの内部に係合している。
外障子20Xの戸先側の縦框93及び吊元側の縦框93も、同一の構成とされているため、説明を省略する。
【0112】
また、内障子20Yにおける召し合わせ側の縦框93では、金属縦框93Aのガラス受け部40に設けられた屋内側の側部40bには、一対の押圧部40f,40gが設けられている。一方の押圧部40fは、グレージングチャンネル43の立ち上がり部43bを押圧している。樹脂縦框93Bにおける先側突部92cは、先端が押圧部40fの先端と先端ヒレ部46の突部46aとの間に挟持されてグレージングチャンネル43の立ち上がり部43bを押圧している。
【0113】
下枠20及び下框92において、金属下框92Aの屋内側の面から金属下枠20Aの上面、金属下枠20Aの屋内側の面に連続して、気密ラインA3が構成されている。また、樹脂下框92Bの上面から屋内側の面、樹脂下枠20Bの上面に連続して断熱ラインA4が構成されている。金属下枠20Aの気密ラインA3上に配置される上段部110には、下部弁70が設けられている。
なお、図13に示すように、樹脂下框20Bの屋外側の端部に設けられたヒレ部204と樹脂下框92Bの下端部との間に、微小な隙間204Sが設けられていても、断熱性を確保する断熱ラインA4は構成されている。
【0114】
また、上枠10及び上框91においても、金属上框91Aの屋内側の面から金属上枠10Aの水平面、金属上枠10Aの屋内側の面に連続して、気密ラインA3が構成されている。また、樹脂上框91Bの屋内側の面から樹脂上枠10Bの水平面、樹脂上枠10Bの屋内側の面に連続して、断熱ラインA4が構成されている。
【0115】
また、縦枠30及び縦框93においても、金属縦框93Aの屋内側の面から金属縦枠30Aの屋内側の面に連続して、気密ラインA3が構成されている。また、樹脂縦框93Bの屋内側の面から樹脂縦枠30Bの屋内側の面に連続して、断熱ラインA4が構成されている。
【0116】
(第二実施形態の変形例)
次に、第二実施形態の変形例に係る引違い窓100Yについて、図14及び図15を用いて説明する。
図14は、本発明の第二実施形態の変形例に係る引違い窓の縦断面図である。図15は、本発明の第二実施形態の変形例に係る引違い窓の横断面図である。
本変形例に係る引違い窓100Yの基本構成は、第二実施形態に係る引違い窓100Xと同様である。図14及び図15に示すように、引違い窓100Yでは、下枠20の下方において、躯体Kとの間に、断熱材Lが設けられている。断熱材Lは、断熱ラインL4と連続するように配置されている。
【0117】
また、上枠10の上方において、躯体Kとの間に、断熱材Lが設けられている。断熱材Lは、見込み方向に分断されつつ間にシーリング材やバックアップ材の介在部材Mが配置されている。断熱材Lは、介在部材Mを介して連続しつつ、断熱ラインL4と連続するように配置されている。
【0118】
また、縦枠30の見付け方向の外側において、躯体Kとの間に、断熱材Lが設けられている。断熱材Lは、見込み方向に分断されつつ間にシーリング材やバックアップ材の介在部材Mが配置されている。断熱材Lは、介在部材Mを介して連続しつつ、断熱ラインL4と連続するように配置されている。
【0119】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0120】
例えば、樹脂下枠20Bにおける樹脂押縁50Bの直下に、不図示の上下方向の貫通孔が形成されていてもよい。あるいは、樹脂下枠20Bの端部と金属縦枠30Aとの間に不図示の隙間を形成してもよい。これらの貫通孔、隙間から結露水を排水させることができる。
【0121】
また、上記に示す実施形態では、建具の一例としてFIX窓、引違い窓を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られず、框ドア、辷り出し窓等他の建具について適用可能である。引違い窓、框ドア、辷り出し窓の場合には、枠体は、複層ガラス等のガラスパネルの端部が嵌め込まれた框に相当する。
【符号の説明】
【0122】
100…FIX窓
1…枠体(複合枠体)
2…複層ガラス(ガラスパネル)
5…押縁
10…上枠
10A…金属上枠
10B…樹脂上枠
20…下枠(複合下枠)
20A…金属下枠(金属部材)
20B…樹脂下枠(樹脂部材)
30…縦枠
31…フィン
40…ガラス受け部(パネル支持溝)
40S…面クリアランス
41…弾性材
42…シーリング材
50A…金属押縁
50B…樹脂押縁
60…上キャップ
70…下部弁(逆止弁)
75H…弁孔
80…弁本体
82…弁体
110H…雨水排水孔
110J…第二結露水排水孔
110R…連通路
110T…上向き片(金属起立部)
111S…排水空間部
115…シーリング材支持壁部
117,118…係合片
130H…最終排水孔
201H…第一結露水排水孔(結露排水孔)
203…係合壁部
201T…上向き片(樹脂起立部)
522…支持壁部
A1,A3…気密ライン
A2,A4…断熱ライン
W…開口部
X…雨水排水路
Y…第一結露水排水路
Z…第二結露水排水路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15