(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の内視鏡用対物光学系は、180°を超える広画角を有している。しかし、特許文献1に記載の内視鏡用対物光学系では、ペッツバール和が大きいことから、例えば消化管等の管腔を観察する場合、その観察方向によって周辺解像が異なる。また、内視鏡用対物光学系内で最も物体側に配置されているレンズ面への入射角度が大きいため、入射光量が低下する。また、特許文献2に記載の内視鏡用対物光学系では、内視鏡用対物光学系内で最も物体側に配置されているレンズの負のパワーを強くして画角を広くする必要上、内視鏡用対物光学系内の各レンズ面の曲率半径が小さくなって、コマ収差及び非点収差の補正が不十分となる。すなわち、特許文献1や特許文献2に記載の内視鏡用対物光学系では、広画角化を実現するため、少なくとも光学性能が犠牲となっている。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、良好な光学性能を有しつつも小型かつ広画角に設計された内視鏡用対物光学系及び内視鏡を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る内視鏡用対物光学系は、物体側から順に、負のパワーを持つ第一のレンズ群、正のパワーを持つ第二のレンズ群からなる。第一のレンズ群は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負レンズ、像側に凸面を向けた正レンズからなる。第二のレンズ群は、物体側から順に、像側に凸面を向けた正レンズ、負のレンズと正のレンズとを接合した接合レンズを少なくとも有する。本発明の一実施形態に係る内視鏡用対物光学系は、第一のレンズ群内で最も物体側に位置する負レンズの焦点距離をf
1(単位:mm)と定義し、該第一のレンズ群の焦点距離をf
F(単位:mm)と定義し、該第一のレンズ群内で最も物体側にある面の最大像高における有効径をED(単位:mm)と定義し、該第一のレンズ群及び第二のレンズ群の合成焦点距離をf(単位:mm)と定義した場合に、次の2つの条件
0.2<f
1/f
F<0.5
4.0<ED/f<5.0
を満たす。
【0011】
また、本発明の一実施形態に係る内視鏡用対物光学系は、第一のレンズ群と第二のレンズ群との間に絞りを有しており、第一のレンズ群内で最も絞り側に位置する正レンズの焦点距離をf
2(単位:mm)と定義した場合に、次の条件
0.5<|f
2/f
F|<2.0
を満たす構成としてもよい。
【0012】
また、本発明の一実施形態において、第一のレンズ群内の正レンズは、例えば物体側の面が平面である。
【0013】
また、本発明の一実施形態に係る内視鏡用対物光学系は、結像面における最大像高をy(単位:mm)と定義した場合に、次の条件
3.0<ED/y<4.0
を満たす構成としてもよい。
【0014】
また、本発明の一実施形態に係る内視鏡用対物光学系は、画角が180°を超える構成としてもよい。
【0015】
また、本発明の一実施形態に係る内視鏡用対物光学系は、第一のレンズ群及び第二のレンズ群に含まれる全てのレンズのレンズ面が球面であってもよい。
【0016】
また、本発明の一実施形態に係る内視鏡は、上記の内視鏡用対物光学系が先端に組み込まれた機器である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態によれば、良好な光学性能を有しつつも小型かつ広画角に設計された内視鏡用対物光学系及び内視鏡が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る内視鏡用対物光学系、及び内視鏡用対物光学系が組み込まれた電子スコープについて説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子スコープ1の外観を示す外観図である。
図1に示されるように、電子スコープ1は、可撓性を有するシース11aによって外装された挿入部可撓管11を備えている。挿入部可撓管11の先端部分(湾曲部14)は、挿入部可撓管11の基端に連結された手元操作部13からの遠隔操作(具体的には、湾曲操作ノブ13aの回転操作)に応じて湾曲する。湾曲機構は、一般的な内視鏡に組み込まれている周知の機構であり、湾曲操作ノブ13aの回転操作に連動した操作ワイヤの牽引によって湾曲部14を湾曲させる。湾曲部14の先端には、硬質性を有する樹脂製筐体によって外装された先端部12の基端が連結している。先端部12の方向が湾曲操作ノブ13aの回転操作による湾曲動作に応じて変わることにより、電子スコープ1による撮影領域が移動する。
【0021】
先端部12の樹脂製筐体の内部には、内視鏡用対物光学系100(
図1において破線で示されたブロック)が組み込まれている。内視鏡用対物光学系100は、撮影領域中の被写体の画像データを採取するため、被写体からの光を固体撮像素子(図示省略)の受光面上に結像させる。固体撮像素子としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが挙げられる。
【0022】
図2は、本発明の実施例1(詳しくは後述)に係る内視鏡用対物光学系100及びその後段に配置された光学部品の配置を示す断面図である。次においては、
図2を援用して、本発明の一実施形態に係る内視鏡用対物光学系100について詳細な説明を行う。
【0023】
内視鏡用対物光学系100は、
図2に示されるように、物体(被写体)側から順に、第一のレンズ群G1、絞りS、第二のレンズ群G2を少なくとも有している。第一のレンズ群G1、第二のレンズ群G2を構成する各光学レンズは、内視鏡用対物光学系100の光軸AXを中心として回転対称な形状を有している。第二のレンズ群G2の後段には、固体撮像素子用の色補正フィルタFが配置されている。色補正フィルタFは、固体撮像素子を保護するカバーガラス(不図示)に接着されている。
【0024】
上記において「少なくとも有している」としたのは、本発明の技術的思想の範囲において、別の光学素子を追加する構成例もあり得るからである。例えば、本発明に係る内視鏡用対物光学系に対して光学性能に実質的に寄与しない平行平板を追加する構成例や、本発明に係る内視鏡用対物光学系の構成及び効果を維持しつつ別の光学素子を付加する構成例が想定される。第一のレンズ群G1、第二のレンズ群G2の説明においても、同様の理由で「少なくとも有している」と表現している。
【0025】
第一のレンズ群G1は、絞りSよりも物体側に配置されたレンズ群である。第一のレンズ群G1は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負レンズL1、像側に凸面を向けた正レンズL2を少なくとも有している。第一のレンズ群G1は、内視鏡用対物光学系100の広画角化、すなわち広範囲に亘る被写体を取り込むため、全体として負のパワーを有している。
【0026】
広画角化のために負レンズL1のパワーを強くすると、第一のレンズ群G1と第二のレンズ群G2との非対称性が強くなるため、歪曲収差の補正が難しくなると共に、負の屈折面の曲率が大きくなるため、コマ収差や色収差等の諸収差が大きくなる。そこで、本実施形態では、絞りSの手前に正レンズL2を配置して負レンズL1による強い負のパワーを第一のレンズ群G1内で打ち消す構成を採用している。
【0027】
また、正レンズL2は、負レンズL1を広画角化することで生じやすくなる像面倒れによる観察視野周辺の解像度の低下や、歪曲収差の発生による観察視野周辺の解像度の低下を有効におさえるべく、物体側の面が平面であることが望ましい。
【0028】
第二のレンズ群G2は、絞りSよりも像側に配置されたレンズ群である。第二のレンズ群G2は、物体側から順に、正レンズL3、負レンズL4と正レンズL5とを接合した接合レンズCLを少なくとも有している。第二のレンズ群G2は、第一のレンズ群G1によって取り込まれた広範囲に亘る被写体を固体撮像素子の受光面上で結像させるため、全体として正のパワーを有している。
【0029】
正のパワーを持つ第二のレンズ群G2において、正レンズL3として、像側に凹面を向けたレンズを採用した場合、射出角度が大きくなってしまう。そのため、十分な射出瞳距離を確保することが難しい。この問題を避けるべく、本実施形態では、正レンズL3は、像側に凸面を向けて配置されている。
【0030】
また、第一のレンズ群G1の負のパワーを広画角化のために強めるほど第一のレンズ群G1内で発生する倍率色収差が大きくなる。第一のレンズ群G1内で発生した倍率色収差を効率良く補正するため、本実施形態では、軸外光線が最も高い位置を通る第二のレンズ群G2内に接合レンズCLを配置する構成を採用している。
【0031】
以下において、説明の便宜上、各光学部品の物体側の面、像側の面をそれぞれ、第一面、第二面と記す。また、絞りSは、光軸AXを中心とした所定の円形開口を有する板状部材、又は第一のレンズ群G1の絞りSに最も近いレンズ面(
図2の構成例においては、正レンズL2の第二面r4)であって光軸AXを中心とした所定の円形領域以外にコーティングされた遮光膜である。絞りSの厚みは、負レンズL1や正レンズL2等の各光学レンズの厚みと比べて非常に薄く、内視鏡用対物光学系100の光学性能を計算する上で無視しても差し支えない。そのため、本明細書においては、絞りSの厚みをゼロとみなして説明を進める。
【0032】
内視鏡用対物光学系100は、第一のレンズ群G1内で最も物体側に位置する負レンズL1の焦点距離をf
1(単位:mm)と定義し、第一のレンズ群G1の焦点距離をf
F(単位:mm)と定義し、第一のレンズ群G1内で最も物体側にある面(負レンズL1の第一面r1)の最大像高における有効径をED(単位:mm)と定義し、全系の(第一のレンズ群G1と第二のレンズ群G2の合成)焦点距離をf(単位:mm)と定義した場合に、次の2つの条件(1)及び(2)
0.2<f
1/f
F<0.5・・・(1)
4.0<ED/f<5.0・・・(2)
を満たす構成となっている。
【0033】
条件(1)は、第一のレンズ群G1内で最も物体側に位置する負レンズL1の焦点距離f
1と、第一のレンズ群G1の焦点距離f
Fとの比を規定する。条件(1)が満たされることにより、第一のレンズ群G1と第二のレンズ群G2とを組み合わせたときの画角を適正な大きさ(例えば180°を超える画角)にしつつ、最も物体側に位置する負レンズL1の有効径を抑えることができる。
【0034】
条件(1)において「f
1/f
F」が右辺の値(=0.5)以上となる場合、コマ収差等の諸収差を良好に補正することはできるが、負レンズL1の有効径EDが大きくなるため、内視鏡用対物光学系100が細径にならない。内視鏡用対物光学系100を電子スコープ1の先端部12に組み込む必要上、先端部12を細径に設計することができなかったり、先端部12に対する設計の自由度が大きく制約されてしまったりする。また、正レンズL2の倍率が大きくなりすぎるため、正レンズL2が偏心して(光軸AXに対して垂直方向にずれて)組み付けられた際の像面倒れを抑えることが難しい。
【0035】
条件(1)において「f
1/f
F」が左辺の値(=0.2)以下となる場合、負レンズL1の有効径EDを小さくすることによって内視鏡用対物光学系100の細径化することはできるが、負レンズL1のパワーが強くなりすぎるため、広画角化と収差(主にコマ収差と色収差)補正との両立が難しくなる。また、第二のレンズ群G2の倍率を高く設定せざるを得ないため、組立時の第一のレンズ群G1と第二のレンズ群G2との群間隔の誤差に伴う画角のばらつきを抑えることが難しい。
【0036】
条件(2)は、第一のレンズ群G1内で最も物体側にある面(負レンズL1の第一面r1)の最大像高における有効径EDと、全系の焦点距離fとの比を規定する。条件(2)が満たされることにより、内視鏡用対物光学系100を大型化(太径化かつ全長が長くなる)させず(言い換えると、内視鏡用対物光学系100を小型化させることができ)、負レンズL1を取り扱いが容易な形状にすることができる。
【0037】
ここで、負レンズL1の第一面r1は、電子スコープ1の先端部12の先端面上で外観として露出している。条件(2)が満たされる場合、負レンズL1は、第一面r1の径が小さいため、洗浄範囲が小さくかつ先端面上での第一面r1の突出量が小さい。そのため、負レンズL1は、先端部12の洗浄性の低下が抑えられており、かつ電子スコープ1の管理時に他の構造物等に第一面r1が衝突して破損するリスクも抑えられている、取り扱いが容易な形状となっている。
【0038】
条件(2)において「ED/f」が右辺の値(=5.0)以上となる場合、先端面上での第一面r1の突出量が大きくなる。そのため、先端部12の洗浄性が低下する(例えば、先端面を洗浄する際に汚れが取り難くなる)と共に、電子スコープ1の管理時に他の構造物等に第一面r1が衝突して破損するリスクが高くなる。なお、第一面r1の突出量は、第一面r1の光軸AX上での接平面と第一面r1の有効径の最周縁との、光軸AX方向の距離と定義される。
【0039】
条件(2)において「ED/f」が左辺の値(=4.0)以下となる場合、負レンズL1の有効径EDが小さくなることに伴い、先端面上での第一面r1の突出量も小さくなる。しかし、第一面r1において表面反射する光の量が増えて、光量損失が大きくなってしまう。また、内視鏡用対物光学系100の全長が長くなる。全長の長い内視鏡用対物光学系100を電子スコープ1の先端部12に組み込む必要上、先端部12の全長を短く抑えることが難しい。硬質性を有する先端部12の全長が長くなることにより、例えば体腔内に対する電子スコープ1の挿入性(挿入のし易さ)が低下したり、電子スコープ1の挿入時における患者の負担が大きくなったりしてしまう。
【0040】
このように、内視鏡用対物光学系100は、上記のレンズ配置(第一のレンズ群G1と第二のレンズ群G2)において条件(1)、(2)を同時に満たすことにより、良好な光学性能を有しつつも小型化かつ広画角化(例えば、管腔観察に適した、180°を超える広い画角)が達成されており、例えば、高精細な固体撮像素子との組み合わせに適したものとなっている。
【0041】
また、内視鏡用対物光学系100は、諸収差の補正に非球面レンズが必須ではないため、設計開発の負担が軽減すると共に加工が容易である。本発明の各実施例では、第一のレンズ群G1及び第二のレンズ群G2に含まれる全てのレンズのレンズ面が球面となっている。
【0042】
また、内視鏡用対物光学系100は、第一のレンズ群G1内で最も絞り側に位置する正レンズL2の焦点距離をf
2(単位:mm)と定義した場合に、次の条件(3)
0.5<|f
2/f
F|<2.0・・(3)
を満たす構成となっている。
【0043】
条件(3)は、第一のレンズ群G1内で最も絞り側に位置する正レンズL2の焦点距離f
2と、第一のレンズ群G1の焦点距離f
Fとの比を規定する。条件(3)が満たされることにより、広画角化した場合に懸念される観察視野周辺の光学性能の劣化がより一層好適に抑えられる。
【0044】
条件(3)において「|f
2/f
F|」が右辺の値(=2.0)以上となる場合、例えば管腔観察時に観察視野中心から観察視野周辺にかけて歪みの少ない画像が得られる。しかし、観察視野中心付近の倍率が低くなるため、例えば病変部を発見して観察視野中心に寄せた場合、当該病変部を高解像度で撮像することができない。
【0045】
条件(3)において「|f
2/f
F|」が左辺の値(=0.5)以下となる場合、例えば管腔観察時に観察視野周辺に近付くほど画像の歪みが大きくなり、観察視野周辺での物体側解像度が低くなってしまう。
【0046】
また、内視鏡用対物光学系100は、結像面における最大像高をy(単位:mm)と定義した場合に、次の条件(4)
3.0<ED/y<4.0・・・(4)
を満たす構成となっている。
【0047】
条件(4)は、第一のレンズ群G1内で最も物体側にある面(負レンズL1の第一面r1)の最大像高における有効径EDと、結像面における最大像高yとの比を規定する。条件(4)が満たされることにより、内視鏡用対物光学系100を大型化させず(言い換えると、内視鏡用対物光学系100を小型化させることができ)、負レンズL1を取り扱いが容易な形状にすることができる。
【0048】
条件(4)において「ED/y」が右辺の値(=4.0)以上となる場合、電子スコープ1の先端部12の先端面上での第一面r1の突出量が小さくなる。しかし、第一面r1において表面反射する光の量が増えて、光量損失が大きくなってしまう。また、内視鏡用対物光学系100の全長が長くなる。全長の長い内視鏡用対物光学系100を電子スコープ1の先端部12に組み込む必要上、先端部12の全長を短く抑えることが難しい。硬質性を有する先端部12の全長が長くなることにより、例えば体腔内に対する電子スコープ1の挿入性が低下したり、電子スコープ1の挿入時における患者の負担が大きくなったりしてしまう。
【0049】
条件(4)において「ED/y」が左辺の値(=3.0)以下となる場合、先端面上での第一面r1の突出量が大きくなる。そのため、先端部12の洗浄性が低下すると共に、電子スコープ1の管理時に他の構造物等に第一面r1が衝突して破損するリスクが高くなる。
【0050】
次に、これまで説明した内視鏡用対物光学系100の具体的数値実施例を6例説明する。各数値実施例1〜6に係る内視鏡用対物光学系100は、
図1に示される電子スコープ1の先端部12に組み込まれている。
【実施例1】
【0051】
上述したように、本発明の実施例1に係る内視鏡用対物光学系100の構成は、
図2に示される通りである。
【0052】
本実施例1に係る内視鏡用対物光学系100(及びその後段に配置された光学部品)の具体的数値構成(設計値)は、表1に示される。表1の上欄(面データ)に示される面番号NOは、絞りSに対応する面番号5を除き、
図2中の面符号rn(nは自然数)に対応する。表1の上欄において、R(単位:mm)は光学部材の各面の曲率半径を、D(単位:mm)は光軸AX上の光学部材厚又は光学部材間隔を、N(d)はd線(波長588nm)の屈折率を、νdはd線のアッベ数を、それぞれ示す。表1の下欄(各種データ)には、本実施例1に係る内視鏡用対物光学系100の仕様(実効Fナンバ、全系の焦点距離(単位:mm)、光学倍率、半画角(単位:degree)、像高(単位:mm))を示す。
【0053】
【表1】
【0054】
本実施例1に係る内視鏡用対物光学系100に対して条件(1)〜(4)を適用したときに算出される値の一覧を示す。
【0055】
条件(1):f
1/f
F =0.35
条件(2):ED/f =4.17
条件(3):|f
2/f
F|=1.10
条件(4):ED/y =3.11
【0056】
図3のグラフA〜Dは、本実施例1に係る内視鏡用対物光学系100の各種収差図である。グラフAは、d線、g線(波長436nm)、C線(波長656nm)での球面収差及び軸上色収差を示す。グラフBは、d線、g線、C線での倍率色収差を示す。グラフA、B中、実線はd線での収差を、点線はg線での収差を、一点鎖線はC線での収差を、それぞれ示す。グラフCは、非点収差を示す。グラフC中、実線はサジタル成分を、点線はメリディオナル成分を、それぞれ示す。グラフDは、歪曲収差を示す。グラフA〜Cの縦軸は像高を、横軸は収差量を、それぞれ示す。グラフDの縦軸は像高を、横軸は歪曲率を、それぞれ示す。なお、本実施例1の図表についての説明は、以降の各実施例で提示される図表においても適用する。
【実施例2】
【0057】
図4は、本発明の実施例2に係る内視鏡用対物光学系100を含む各光学部品の配置を示す断面図である。
図5のグラフA〜Dは、本実施例2に係る内視鏡用対物光学系100の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差)図である。表2は、本実施例2に係る内視鏡用対物光学系100の具体的数値構成及び仕様を示す。
【0058】
【表2】
【0059】
本実施例2に係る内視鏡用対物光学系100に対して条件(1)〜(4)を適用したときに算出される値の一覧を示す。
【0060】
条件(1):f
1/f
F =0.37
条件(2):ED/f =4.07
条件(3):|f
2/f
F|=1.34
条件(4):ED/y =3.07
【実施例3】
【0061】
図6は、本発明の実施例3に係る内視鏡用対物光学系100を含む各光学部品の配置を示す断面図である。
図7のグラフA〜Dは、本実施例3に係る内視鏡用対物光学系100の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差)図である。表3は、本実施例3に係る内視鏡用対物光学系100の具体的数値構成及び仕様を示す。
【0062】
【表3】
【0063】
本実施例3に係る内視鏡用対物光学系100に対して条件(1)〜(4)を適用したときに算出される値の一覧を示す。
【0064】
条件(1):f
1/f
F =0.23
条件(2):ED/f =4.14
条件(3):|f
2/f
F|=0.67
条件(4):ED/y =3.07
【実施例4】
【0065】
図8は、本発明の実施例4に係る内視鏡用対物光学系100を含む各光学部品の配置を示す断面図である。
図9のグラフA〜Dは、本実施例4に係る内視鏡用対物光学系100の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差)図である。表4は、本実施例4に係る内視鏡用対物光学系100の具体的数値構成及び仕様を示す。
【0066】
【表4】
【0067】
本実施例4に係る内視鏡用対物光学系100に対して条件(1)〜(4)を適用したときに算出される値の一覧を示す。
【0068】
条件(1):f
1/f
F =0.37
条件(2):ED/f =4.46
条件(3):|f
2/f
F|=1.22
条件(4):ED/y =3.33
【実施例5】
【0069】
図10は、本発明の実施例5に係る内視鏡用対物光学系100を含む各光学部品の配置を示す断面図である。
図11のグラフA〜Dは、本実施例5に係る内視鏡用対物光学系100の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差)図である。表5は、本実施例5に係る内視鏡用対物光学系100の具体的数値構成及び仕様を示す。
【0070】
【表5】
【0071】
本実施例5に係る内視鏡用対物光学系100に対して条件(1)〜(4)を適用したときに算出される値の一覧を示す。
【0072】
条件(1):f
1/f
F =0.41
条件(2):ED/f =4.29
条件(3):|f
2/f
F|=1.45
条件(4):ED/y =3.25
【実施例6】
【0073】
図12は、本発明の実施例6に係る内視鏡用対物光学系100を含む各光学部品の配置を示す断面図である。
図13のグラフA〜Dは、本実施例6に係る内視鏡用対物光学系100の各種収差(球面収差、軸上色収差、倍率色収差、非点収差、歪曲収差)図である。表6は、本実施例6に係る内視鏡用対物光学系100の具体的数値構成及び仕様を示す。
【0074】
【表6】
【0075】
本実施例6に係る内視鏡用対物光学系100に対して条件(1)〜(4)を適用したときに算出される値の一覧を示す。
【0076】
条件(1):f
1/f
F =0.47
条件(2):ED/f =4.75
条件(3):|f
2/f
F|=1.83
条件(4):ED/y =3.45
【0077】
(比較検証)
本実施例1〜6に対する比較例として特許文献1の第1実施例を挙げる。比較例に係る内視鏡用対物光学系は、負のパワーを持つ前群(物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズからなる群)及び正のパワーを持つ後群(物体側から順に、像側に凸面を向けた平凸レンズ(正レンズ)、正レンズである両凸レンズと物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズとの接合レンズからなる群)を有しており、条件(1)〜(4)の何れも満たさない構成となっている。そのため、比較例に係る内視鏡用対物光学系は、広画角化が達成されているものの、十分な小型化が達成されていない。また、広画角化を達成するため、周辺解像、入射光量等に関する一部の光学特性が犠牲となっている。
【0078】
なお、参考として、比較例に係る内視鏡用対物光学系に対して条件(1)〜(4)を適用したときに算出される値の一覧を示す。
【0079】
条件(1):f
1/f
F =1.38
条件(2):ED/f =2.98
条件(3):|f
2/f
F|=4.75
条件(4):ED/y =2.31
【0080】
これに対し、本実施例1〜6の各実施例に係る内視鏡用対物光学系100は、負のパワーを持つ第一のレンズ群G1(物体側から順に、像側に凹面を向けた負レンズ、像側に凸面を向けた正レンズ、を少なくとも有するレンズ群)及び正のパワーを持つ第二のレンズ群G2(物体側から順に、像側に凸面を向けた正レンズ、負のレンズと正のレンズとを接合した接合レンズを少なくとも有するレンズ群)を有しており、条件(1)及び条件(2)を満たす構成となっている。そのため、各実施例に係る内視鏡用対物光学系100は、各表及び各種収差図に示されるように、良好な光学性能を有しつつも小型化かつ広画角化が達成された構成となっている。
【0081】
また、本実施例1〜6の各実施例に係る内視鏡用対物光学系100は、条件(3)及び条件(4)を更に満たす構成となっている。本実施例1〜6の各実施例では、条件(3)及び条件(4)を満たすことによる更なる効果が奏される。
【0082】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明した内容に限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。