(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態に係る端子保持構造および成形品につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
[実施形態]
図1から
図13を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、端子保持構造および成形品に関する。
図1は、実施形態に係る端子保持構造およびプロテクタの斜視図、
図2は、実施形態に係るアース端子の平面図、
図3は、実施形態に係るアース端子の側面図、
図4は、実施形態に係る端子保持構造およびプロテクタの平面図、
図5は、実施形態に係る端子保持構造の断面図、
図6は、実施形態に係る側壁部の断面図である。
図5には、
図4のV−V断面が示されている。
図6には、
図5のVI−VI断面が示されている。
図8には、
図7のVIII−VIII断面が示されている。
【0015】
図1に示す本実施形態のプロテクタ1は、成形品の一例であり、ワイヤハーネス20を保護する保護部材である。ワイヤハーネス20は、例えば、自動車等の車両に搭載され、車両の各装置間を接続する。ワイヤハーネス20は、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線Wを有する。ワイヤハーネス20は、車両を構成する構成部材の壁面等に沿って配索される。ワイヤハーネス20は、車両の車体に対して電気的に接続されるアース端子21を有する。アース端子21は、ワイヤハーネス20を構成する電線Wのうちのアース線W1に対して接続されている。
【0016】
アース端子21は、端子保持構造40によって仮固定される。本実施形態の端子保持構造40は、固定壁部14、アーム部15、および支持部18a,18bを有する。また、本実施形態のプロテクタ1は、端子保持構造40および保護部11を有している。以下に、端子保持構造40およびプロテクタ1について詳細に説明する。
【0017】
プロテクタ1は、ワイヤハーネス20を収容して保護する保護部11を有する。保護部11は、断面形状が略U字形状の収容空間12を形成している。ワイヤハーネス20は、この収容空間12に収容される。保護部11は、底壁部11aと、第一側壁部11bと、第二側壁部11cとを有する。底壁部11aおよび側壁部11b,11cは、絶縁性の合成樹脂によって一体に成形されている。第一側壁部11bは、底壁部11aの幅方向の一端につながっており、第二側壁部11cは、底壁部11aの他端につながっている。側壁部11b,11cは、底壁部11aと直交する方向に向けて突出しており、かつ底壁部11aを挟んで互いに対向している。保護部11は、ワイヤハーネス20に対して組み付けられる本体である。例えば、収容空間12にワイヤハーネス20が収容された状態で、保護部11に対して蓋部材が組み合わされる。蓋部材は、保護部11と共に筒を構成してワイヤハーネス20を保護する。蓋部材が組み合わされることにより、保護部11がワイヤハーネス20に対して組み付けられる。なお、ワイヤハーネス20に対する保護部11の組み付け方法は、蓋部材によるものには限定されない。
【0018】
プロテクタ1は、フランジ部13を有する。フランジ部13は、保護部11と一体に成形されている。フランジ部13と保護部11とは同じ材料によって一体に成形されていることが好ましい。ただし、フランジ部13の材料が保護部11の材料とは異なっていてもよい。フランジ部13は、後述するアーム部15が可撓性を有するような材料、典型的には絶縁性の合成樹脂により成形される。フランジ部13は、第一側壁部11bの外側面11dにつながっている。より詳しくは、フランジ部13は、外側面11dにおける底壁部11a側と反対側の端部につながっており、かつ第二側壁部11cとは反対側に向けて突出している。フランジ部13の固定壁部14は、アース端子21と共に固定対象部位3(
図12参照)に対して固定される。固定壁部14には、円形の貫通孔14aが設けられている。
【0019】
アース端子21は、本体22、加締め部23、および突出片24を有する。本体22、加締め部23、および突出片24は、導電性の金属材料で一体に形成されている。本実施形態のアース端子21は、銅等の金属板に対するプレス加工等によって形成されている。本体22は、平板状の構成部である。本体22には、円形の貫通孔22aが形成されている。加締め部23は、アース線W1に対して加締められる。本体22と加締め部23とは段差部25を介してつながっている。段差部25において、本体22と加締め部23との間にアース端子21の厚み方向の段差が形成されている。
【0020】
突出片24は、本体22から加締め部23側と反対側に向けて突出している。本体22と突出片24とは一体の平板状の構成部をなしている。アース端子21において、長手方向における加締め部23側を「基端側」と称し、突出片24側を「先端側」と称する。つまり、加締め部23は、アース端子21における基端部であり、突出片24は、アース端子21における先端部である。突出片24は、先端側へ向かうに従って幅が狭くなるテーパ形状に形成されている。突出片24の先端には、係止部24aが設けられている。係止部24aは、突出片24の先端を屈曲させて形成されている。より詳しくは、突出片24の先端は、アース端子21の裏面21b側に向けて折り曲げられている。ここで、アース端子21の裏面21bは、固定壁部14の壁面と対向する面である。アース端子21の表面21aは、裏面21bと反対側の面であり、アース端子21が固定対象部位3に対して固定される際にボルト2(
図12参照)が当接する面である。係止部24aは、アース端子21の長手方向に対して略直交する方向に延在している平板状の構成部である。
【0021】
プロテクタ1のフランジ部13は、アーム部15、支持部18a,18b、および側壁部19a,19bを有する。アーム部15は、固定壁部14と一体に成形されている。アーム部15は、可撓性を有するアーム本体16と、係止突起17とを有する。アーム本体16の基端は、固定壁部14につながっている。
図5に示すように、アーム本体16は、固定壁部14によって片持ち梁のごとく支持されている。アーム本体16は、固定壁部14の壁面14bに沿った方向に延出している。アーム本体16は、柱状または板状の構成部であり、可撓性を有するように断面形状や長さ等が定められている。
【0022】
図5に示すように、アーム本体16の厚さは、固定壁部14の厚さよりも薄い。この厚さの違いにより、アーム本体16の基端と固定壁部14の壁面14bとの間に段差14cが形成されている。段差14cの深さは、係止部24aの長さと同等または係止部24aの長さよりもわずかに深くされている。なお、壁面14bは、固定壁部14におけるアース端子21と対向する壁面である。
【0023】
図1および
図5に示すように、側壁部19a,19bは、固定壁部14の壁面14bから突出している。また、
図6に示すように、側壁部19a,19bは、アーム部15を挟んでアーム部15の幅方向において対向している。
図1に示すように、支持部18a,18bは、側壁部19a,19bから相手側の側壁部19a,19bへ向けて突出している。すなわち、側壁部19aにつながる支持部18aは、相手側の側壁部19bへ向けて突出している。一方、側壁部19bにつながる支持部18bは、相手側の側壁部19aへ向けて突出している。支持部18a,18bは、それぞれアース端子21を支持する支持面18dを有する。本実施形態の支持部18a,18bは、固定壁部14に対して同じ高さ位置に設けられている。すなわち、各支持面18dは、同一の面上に位置している。
【0024】
支持部18a,18bは、アーム部15との間にアース端子21がスライドしながら挿入される通路13aを形成している。より詳しくは、通路13aは、支持部18a,18b、側壁部19a,19b、およびアーム本体16によって囲まれている。通路13aは、貫通孔14aに向けて開口している。
図6に示すように、側壁部19a,19bは、通路13aの幅方向の中心線X1が貫通孔14aの中心C1を通るように配置されている。本実施形態では、アース端子21の突出片24が通路13aに挿入されることにより、貫通孔14aに対する貫通孔22aの位置決めがなされる。後述するように、突出片24が通路13aに挿入されてアーム部15に係止されると、アース端子21の貫通孔22aが固定壁部14の貫通孔14aと同心上あるいは略同心上に位置決めされる。
【0025】
図5に示すように、アーム部15の係止突起17は、アーム本体16から支持面18d側に向けて突出している。係止突起17は、アーム本体16の先端からわずかに基端側に寄った位置に設けられている。係止突起17は、アーム本体16の延出方向に沿った断面の断面形状が台形形状とされている。以下の説明では、特に記載しない場合、「延出方向」はアーム本体16の延出方向を示すものとする。係止突起17は、係止面17aおよび傾斜面17bを有する。係止面17aは、延出方向と直交あるいは略直交する面である。係止面17aは、係止突起17における延出方向の先端側の面である。傾斜面17bは、係止突起17における延出方向の基端側の面である。傾斜面17bは、延出方向の先端側へ向かうに従ってアーム本体16からの突出量が大きくなるように傾斜している。言い換えると、傾斜面17bは、延出方向の先端側へ向かうに従って支持面18dへ近づくように傾斜している。
【0026】
アース端子21は、
図1に示すように、貫通孔14a側から通路13aに挿入される。アース端子21は、突出片24を先頭にして、かつ裏面21bを固定壁部14の壁面14bと対向させる姿勢で通路13aに挿入される。
図7に示すように、支持部18a,18bの隙間は、延出方向の先端側へ向かうに従って狭くなっている。基端側の端部における支持部18a,18bの隙間の幅Wd1は、突出片24の先端の幅Wd2よりも広い。従って、
図8に示すように、アース端子21の係止部24aを段差14cに差し込むことができる。また、先端側の端部における支持部18a,18bの隙間の幅Wd3(
図7参照)は、突出片24を支持できるように定められている。少なくとも係止部24aが係止突起17に接触するとき(
図9参照)には、支持部18a,18bが突出片24の表面21aと対向して突出片24を支持する。
【0027】
図8に示すように、通路13aの高さH1は、係止部24aの長さL1よりも長い。通路13aの高さH1は、支持面18dからアーム本体16までの空間の高さである。係止部24aの長さL1は、アース端子21の表面21aから係止部24aの先端24bまでの長さである。また、支持面18dは、固定壁部14の壁面14bとの間に、アース端子21の板厚に応じた隙間を設けて配置されている。従って、作業者は、通路13aに容易にアース端子21を挿入することができる。
【0028】
アーム部15の係止突起17は、
図8に示すように、通路13aに挿入されるアース端子21の通過領域P1に突出している。通過領域P1は、アース端子21が裏面21bを固定壁部14の壁面14bに摺動させながら通路13aに挿入されるときのアース端子21の通過領域である。通過領域P1の高さは、係止部24aの長さL1に対応している。本実施形態において、通過領域P1への係止突起17の突出量は、通過領域P1の高さの1/4から1/3程度である。このように、係止突起17は、アース端子21が延出方向の先端側へ向けて押し込まれるときに、アース端子21の係止部24aに接触する位置まで突出している。
【0029】
図8に示す位置からアース端子21が更に延出方向の先端側へ向けて進むと、
図9に示すように、係止部24aがアーム部15の傾斜面17bに接触する。アース端子21を先端側へ向けて移動させる力F1により、アーム部15には、アーム本体16を撓ませる力F2が作用する。突出片24は、支持部18bの支持面18dによって支持されながらアーム本体16を撓み変形させる。なお、
図9には記載されていないが、支持部18aの支持面18dも同様に突出片24を支持する。突出片24の係止部24aは、アーム部15を撓み変形させながら、係止突起17を乗り越える。
【0030】
係止部24aが係止突起17を乗り越えると、
図10に示すように、係止突起17が係止部24aを係止する。係止突起17の係止面17aは、延出方向において係止部24aと対向する。係止面17aは、アース端子21が延出方向の基端側へ移動することを規制する。つまり、係止部24aに係止したアーム部15は、アース端子21の抜け止めとして機能する。支持部18a,18bは、アース端子21の突出片24をアーム部15側とは反対側から支持する。つまり、支持部18a,18bは、アース端子21がアーム部15から離れる方向へ浮き上がることを規制する。
【0031】
このように、アーム部15の係止突起17は、延出方向の基端側へ向かうアース端子21の動きを規制する。支持部18a,18bは、固定壁部14の壁面14bと直交する方向へのアース端子21の動きを規制する。また、側壁部19a,19bは、以下に
図11を参照して説明するように、延出方向の先端側へ向かうアース端子21の動きを規制する。
図11に示すように、側壁部19a,19bの間隔は、延出方向の先端側へ向かうに従って狭くなっている。従って、突出片24が通路13aの奥側へ向けて進むに従って、側壁部19a,19bと突出片24との隙間が小さくなる。側壁部19a,19bは、
図10および
図11に示すように係止突起17が係止部24aを係止した状態(以下、単に「係止状態」と称する。)において、突出片24との隙間がわずかとなるように形成されている。これにより、係止状態から突出片24が先端側へ向けて進もうとしても、側壁部19a,19bによってその動きが規制される。また、側壁部19a,19bは、幅方向へ向かう突出片24の動きを規制し、アース端子21の回り止めとして機能する。
【0032】
以上のように係止突起17が係止部24aを係止することで、アース端子21がプロテクタ1に仮固定される。プロテクタ1は、ワイヤハーネス20が収容空間12に収容され、かつアース端子21が仮固定された状態で、車両に対する組付け工程に送られる。
図12に示すように、プロテクタ1の固定壁部14は、アース端子21と共にボルト2によって固定対象部位3に対して固定される。ボルト2は、固定部材の一例である。固定対象部位3は、例えば、車両の車体である。固定対象部位3には、ボルト2に対応するネジ穴が設けられている。固定壁部14は、アース端子21と共に、固定対象部位3に対して共締めされる。なお、固定対象部位3には、貫通孔14aおよび貫通孔22aに挿通されるスタッドボルトが設けられていてもよい。この場合、スタッドボルトに対してナットが締め付けられることでアース端子21および固定壁部14が共締めされる。
【0033】
ここで、プロテクタ1が搬送されるときに、他の部品等がアース線W1に引っかかるなどによってアース端子21に対して抜け方向の力が作用する可能性がある。この場合、
図13を参照して説明するように、アース端子21の係止部24aが係止突起17に食い込む方向に力が作用する。
図13に示すように、アース端子21に対して基端側へ向かう力F3が掛かると、係止部24aが係止突起17の係止面17aを基端側へ向けて押圧する。この力F4は、アーム部15の延出方向に沿った力である。アーム部15は、延出方向に沿って圧縮する力F4に対しては、大きな抗力を発生することができる。アーム部15が力F4に対して発生可能な抗力の最大値は、アース端子21の挿入時にアーム部15を撓み変形させるために要する力よりも十分に大きい。よって、本実施形態の端子保持構造40は、保持性能の向上とアース端子を保持させる際の作業性の向上とを両立できる。
【0034】
また、力F4により、アーム部15がアース端子21と共に支持部18a,18b側へ向けて引き起こされた場合には、支持部18a,18bがこの動きを規制する。つまり、支持部18a,18b側へのアーム部15の撓み変形が規制される。この結果、係止部24aに対する係止突起17の係止が外れてしまうことが抑制される。
【0035】
このように、アーム部15は、突出片24が延出方向の先端側へ進む際には容易に撓み変形して突出片24の係止部24aに係止する。一方、係止部24aに係止突起17が係止した後は、係止状態が解消する方向へのアーム部15の撓み変形を支持部18a,18bが規制する。従って、本実施形態の端子保持構造40によれば、小さな力で容易にアース端子21をプロテクタ1に対して仮固定することが可能となる。また、端子保持構造40によれば、仮固定されたアース端子21が強固に保持されて、意図しないアース端子21の抜けやアース端子21の位置ずれが抑制される。
【0036】
なお、仮固定されたアース端子21を取り外したい場合には、アーム本体16の先端16aを小型ドライバなどの工具や治具によって押し下げるだけで、容易に係止状態を解消することが可能である。工具や治具等によってアーム本体16を支持部18a,18b側とは反対側に向けて撓み変形させると、係止突起17による係止が解除され、アース端子21が容易に引き出される。つまり、アース端子21は、いつでも簡単にプロテクタ1から取り外し可能である。本実施形態の端子保持構造40は、仮固定位置から取り外されて車体等に対して固定されるアース端子21、言い換えると固定壁部14とは別に車体等に対して固定されるアース端子21に適用されてもよい。従って、本実施形態の端子保持構造40は、種々のプロテクタ1とアース端子21との組み合わせに適用可能である。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る端子保持構造40は、固定壁部14、アーム部15、および支持部18a,18bを有する。固定壁部14は、アース端子21と共にボルト2等の固定部材によって固定対象部位3に対して固定される。可撓性のアーム部15は、基端が固定壁部14につながり、かつ固定壁部14の壁面14bに沿った方向に延出しており、アース端子21の先端部に設けられた係止部24aを係止する。支持部18a,18bは、アース端子21がアーム部15に沿ってスライドしながら挿入される通路13aをアーム部15と共に形成している。支持部18a,18bは、アーム部15が係止部24aを係止した状態でアース端子21をアーム部15側とは反対側から支持する。
【0038】
本実施形態の端子保持構造40では、アーム部15が可撓性を有している。このため、作業者は、アース端子21によってアーム部15を撓み変形させながらアース端子21をスライドさせ、アーム部15をアース端子21の係止部24aに係止させることができる。係止部24aに係止したアーム部15は、アース端子21が抜け出る方向の力に対して十分な大きさの抗力を発生してアース端子21を保持する。アーム部15は、撓み変形させる力に対しては比較的変形しやすい一方で、延出方向の力に対しては変形しにくい。よって、本実施形態の端子保持構造40は、保持性能の向上とアース端子21を保持させる際の作業性の向上とを両立させることができる。
【0039】
また、本実施形態の支持部18a,18bは、アーム部15側とは反対側からアース端子21を支持する。支持部18a,18bは、アース端子21が抜け出ようとした際にはアーム部15と共にアース端子21を挟み込んでアース端子21を支持し、アース端子21が抜け出てしまうことを抑制する。よって、支持部18a,18bは、アース端子21を保持する保持性能を向上させる。支持部18a,18bは、アース端子21における平板状の部分、典型的には突出片24を支持する。これにより、側壁部19a,19bの高さを低く抑えることができる。比較例として、アース端子21の加締め部23を支持部18a,18bや側壁部19a,19bによって保持する構成を想定する。この場合、加締め部23の高さにはバラツキが生じやすいため、側壁部19a,19bの高さを高くする必要がある。その結果、保持部分のガタが発生しやすくなってしまう。これに対して、アース端子21の平板状の部分は、寸法が安定している。従って、本実施形態の端子保持構造40では、側壁部19a,19bの高さを低くしてアース端子21と支持部18a,18bとの間のガタを十分に小さくすることが可能となる。
【0040】
また、アーム部15は、固定壁部14から、固定壁部14の壁面14bに沿った方向に延出している。本実施形態のアーム部15は、壁面14bに沿った方向に延出しているため、壁面14bから突出しているロックアーム等と比較して、他部品との干渉が生じにくい。よって、他部品との干渉によるアーム部15の損傷が発生しにくい。更に、本実施形態の端子保持構造40では、支持部18a,18bがアーム部15をガードしている。支持部18a,18bは、固定壁部14の厚み方向において、アーム部15と対向するように配置されている。よって、アーム部15と他部品との干渉が発生しにくい。
【0041】
本実施形態のアーム部15は、可撓性を有するアーム本体16と、アーム本体16から支持部18a,18b側に向けて突出しており、係止部24aを係止する係止突起17とを有する。係止突起17は、通路13aに挿入されるアース端子21の通過領域P1に突出している。よって、アース端子21が通路13aに挿入される際には、アース端子21が係止突起17に当接してアーム部15を撓み変形させる。また、係止突起17が係止部24aを係止した後は、係止突起17が係止部24aに当接してアース端子21の抜けを抑制することができる。
【0042】
本実施形態では、係止部24aがアーム部15側に向けて突出する突部であり、係止突起17は係止部24aの通過領域P1に突出している。つまり、アース端子21が通路13aに挿入されていく際に、係止部24aが係止突起17に当接してアーム部15を撓み変形させるように構成されている。また、係止突起17の傾斜面17bは、延出方向において係止部24aと対向するように設けられている。よって、係止部24aがスムーズに係止突起17を乗り越えることができる。
【0043】
本実施形態の端子保持構造40は、固定壁部14の壁面14bから突出し、アーム部15を挟んでアーム部15の幅方向において対向する一対の側壁部19a,19bを有する。支持部18a,18bは、側壁部19a,19bから相手側の側壁部19a,19bに向けて突出している。側壁部19a,19bと支持部18a,18bとが一体となっていることで、アース端子21が通路13aに挿入される際にアース端子21のガイドが適切になされる。
【0044】
本実施形態のプロテクタ1は、保護部11と、保護部11と一体に成形された固定壁部14と、アーム部15と、支持部18a,18bとを有している。保護部11は、成形品であるプロテクタ1において、ワイヤハーネス20に対して組み付けられる本体である。アーム部15と支持部18a,18bとを含む端子保持構造40を有するプロテクタ1は、保持性能の向上とアース端子21を保持させる際の作業性の向上とを両立させることができる。
【0045】
[実施形態の変形例]
実施形態の変形例について説明する。上記実施形態では支持部18a,18bと側壁部19a,19bとが一体であったが、これらは別に設けられてもよい。例えば、支持部18a,18bは、第一側壁部11bの外側面11dから突出していてもよい。また、上記実施形態では側壁部19a,19bの隙間の幅が延出方向の先端側へ向かうに従って狭くなるが、上記幅は延出方向に沿って一定であってもよい。側壁部19a,19bの隙間の幅は、固定されるアース端子21の形状に応じて適宜定められる。
【0046】
上記実施形態では、係止部24aが突出片24に設けられた突部であったが、係止部24aの形状はこれには限定されない。係止部24aは、例えば、突出片24に設けられた凹部や貫通孔等であってもよい。この場合、アーム部15の係止突起17が突出片24の凹部や貫通孔に入り込んで係止部24aを係止する。
【0047】
上記実施形態では、一対の側壁部19a,19bの両方に支持部18a,18bが設けられていた。これに代えて、側壁部19a、19bの何れか一方に支持部18aまたは支持部18bが設けられてもよい。例えば、一方の側壁部19aには支持部18aが設けられ、他方の側壁部19bには支持部18bが設けられなくてもよい。
【0048】
端子保持構造40の適用対象である成形品は、プロテクタ1には限定されない。端子保持構造40は、例えば、コネクタブロックやリレーボックス等の電気接続箱に適用されてもよい。端子保持構造40は、ワイヤハーネス20に対して組み付けられる様々な成形品や、ワイヤハーネス20を構成する様々な成形品に対して適用可能である。成形品の材料は、典型的には剛性樹脂であるが、これには限定されない。ワイヤハーネス20に対する成形品の組み付けは、例えば、電線Wに接続された端子を成形品に嵌合させることでなされてもよい。
【0049】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。