(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブラダーバッグ本体の前記空間成形部の外部の面側に設けられたソリッド部材をさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のブラダーバッグ。
前記取出ステップでは、引っ掛け棒で前記索状部材を引っ掛けて、前記複合材料から分離させる方向に前記索状部材を引っ張ることで、前記複合材料と前記ブラダーバッグ本体とを分離させてから、前記索状部材を前記空気導入口の方から引っ張ることを特徴とする請求項14に記載の複合材料の成形方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図18は、複合材料の構造体200の概略図である。
図19は、従来の複合材料の構造体210の断面概略図である。
図20は、従来の成形型220及び従来の複合材料の構造体210の成形方法における一状態の一例を示す断面概略図である。
図21は、従来のブラダーバッグ230及び従来の複合材料の構造体210の成形方法における一状態の別の一例を示す断面概略図である。
図19、
図20及び
図21は、複合材料の構造体200の一例である従来の複合材料の構造体210についての
図18におけるC−C断面図である。
【0005】
従来の複合材料の構造体210は、
図19、
図20及び
図21に示すように、複合材料の構造体210の内部の一部が内部方向に狭められて形成される第1狭隘部212a、第2狭隘部212b及び第3狭隘部212cと、各狭隘部に隣接して形成される第1空間部214a、第2空間部214b及び第3空間部214cと、を有している。具体的には、第1狭隘部212a、第2狭隘部212b及び第3狭隘部212cは、この順に、複合材料の構造体210の内部の奥側から入口側に向かって形成されている。第1空間部214a、第2空間部214b及び第3空間部214cは、この順に、複合材料の構造体210の内部の奥側から入口側に向かって形成されている。第1空間部214aは、第1狭隘部212aの奥側に形成され、第2空間部214bは、第1狭隘部212aと第2狭隘部212bとの間に形成され、第3空間部214cは、第2狭隘部212bと第3狭隘部212cとの間に形成されている。
図19に示すように、複合材料の構造体210を成形しているときは、複合材料の構造体210の外部から圧力がかかっている。そのため、複合材料の構造体210の内部の空間がつぶれないようにするため、複合材料の構造体210の内部から加圧することで、複合材料の構造体210の内部を成形することが必要である。
【0006】
従来の成形型220は、分割された金属等の成形型を組み合わせたものであり、複合材料の構造体210の内部に詰め込まれることで、複合材料の構造体210の内部の空間がつぶれないように成形する。従来の成形型220は、
図20に示すように、9個の成形型分体222a、成形型分体222b、成形型分体222c、成形型分体222d、成形型分体222e、成形型分体222f、成形型分体222g、成形型分体222h及び成形型分体222iを有する。第1空間部214aは、成形型分体222a、成形型分体222b及び成形型分体222cにより成形される。第1狭隘部212aは、成形型分体222bにより成形される。第2空間部214bは、成形型分体222d、成形型分体222e及び成形型分体222fにより成形される。第2狭隘部212bは、成形型分体222eにより成形される。第3空間部214cは、成形型分体222g、成形型分体222h及び成形型分体222iにより成形される。第3狭隘部212cは、成形型分体222hにより成形される。
【0007】
従来のブラダーバッグ230は、複合材料の構造体210の内部から圧力を加えることで複合材料の構造体210の内部を成形する。従来のブラダーバッグ230は、
図21に示すように、ブラダーバッグ本体232を有する。ブラダーバッグ本体232は、第1狭隘部212a、第2狭隘部212b及び第3狭隘部212cをそれぞれ成形する第1狭隘成形部236a、第2狭隘成形部236b及び第3狭隘成形部236cと、第1空間部214a、第2空間部214b及び第3空間部214cをそれぞれ成形する第1空間成形部237a、第2空間成形部237b及び第3空間成形部237cと、ブラダーバッグ本体232の内部に空気を導入する空気導入口238と、を有する。
【0008】
図20に示すように、従来の成形型220により複合材料の構造体210を成形する場合、従来の成形型220が9個の成形型分体に分離されているので、複合材料の構造体210の成形後に複合材料の構造体210の空間の入口側に配置された成形型分体については、容易に取り出すことが可能である。しかしながら、各狭隘部の大きさによっては、複数の成形型分体に分離可能な成形型220を用いても、空間の奥に配置される成形型分体222a及び成形型分体222cを取り出すことは困難である。また、従来の成形型220は、成形型分体を組み合わせたものであるため、複合材料の構造体210の内部に加える圧力が不十分であり、複合材料の構造体210の内部に均一に加圧することは困難である。また、複数の成形型分体を隙間なく組み立てるようにする必要があり、成形型220の製造コストがかかるという問題もある。
【0009】
図21に示すように、従来のブラダーバッグ230により複合材料の構造体210を成形する場合、複合材料の構造体210の内部に均一に加圧することが可能である。しかしながら、複合材料の構造体210の成形後に従来のブラダーバッグ230を取り出すときに、空間成形部が隣接する狭隘成形部に引っかかってしまうので、従来のブラダーバッグ230を取り出すことは困難である。
【0010】
以上により、
図20に示す従来の成形型220を用いる場合と、
図21に示す従来のブラダーバッグ230を用いる場合とのいずれの場合においても、複合材料の構造体210の成形後に従来の成形型220及び従来のブラダーバッグ230を完全に取り出すことが困難であるという問題があった。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複合材料の内部の加圧の均一性を損なうことなく、容易に取り出すことができる複合材料の内部を成形する成形型としてのブラダーバッグ及びブラダーバッグを容易に取り出すことができる複合材料の成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、ブラダーバッグは、複合材料の内部を成形する成形型としてのブラダーバッグであって、前記複合材料は、前記内部の一部が狭められて形成される狭隘部と、前記狭隘部に隣接して形成される空間部と、を有しており、前記複合材料の前記狭隘部を成形する狭隘成形部と、前記複合材料の前記空間部を成形する空間成形部と、空気を導入する空気導入口と、を備えるブラダーバッグ本体と、前記ブラダーバッグ本体の内部に設けられ、前記空気導入口から前記狭隘成形部を経て前記空間成形部の内面に接続されている索状部材と、を含むことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、複合材料の内部の加圧の均一性を損なうことはない。また、索状部材を引っ張ることで、複合材料の内部から容易に取り出すことができる。
【0014】
この構成において、前記ブラダーバッグ本体は、前記空間成形部に角部を有し、前記索状部材は、複数本設けられ、複数本の前記索状部材の少なくとも1本は、前記空間成形部の前記角部に接続されていることが好ましい。この構成によれば、ブラダーバッグの取り出しの際に複合材料の凹部に引っかかりやすいブラダーバッグ本体の角部を起点として、複合材料の内部からブラダーバッグ本体を分離することができるので、複合材料の内部からより容易に取り出すことができる。
【0015】
これらの構成において、前記ブラダーバッグ本体は、前記空間成形部を補強する補強部材を有し、前記索状部材は、複数本設けられ、複数本の前記索状部材の少なくとも1本は、前記空間成形部の前記補強部材に接続されていることが好ましい。この構成によれば、ブラダーバッグの取り出しのために索状部材を引っ張るときに、ブラダーバッグ本体の索状部材が接続されている部分を、索状部材による張力から好適に保護することができる。
【0016】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、ブラダーバッグは、複合材料の内部を成形する成形型としてのブラダーバッグであって、前記複合材料は、前記内部の一部が狭められて形成される狭隘部と、前記狭隘部に隣接して形成される空間部と、を有しており、前記複合材料の前記狭隘部を成形する狭隘成形部と、前記複合材料の前記空間部を成形する空間成形部と、空気を導入する空気導入口と、を備えるブラダーバッグ本体と、前記ブラダーバッグ本体の外部の面の少なくとも一部に沿って
巻き付けられることによって設けられる脱気回路と、を含み、前記脱気回路は、前記複合材料を形成する際に前記ブラダーバッグ本体と前記複合材料との間に配置され、内部の空気が排出されることで、前記ブラダーバッグ本体と前記複合材料とを接近させ、内部に空気が導入されることで、前記ブラダーバッグ本体と前記複合材料とを分離させることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、脱気回路の内部の空気が排出されることで、ブラダーバッグ本体と複合材料の内部を接近させるので、複合材料の内部の加圧の均一性をより損なうことはない。また、脱気回路の内部に空気が導入されることで、複合材料の内部から容易に取り出すことができる。
【0018】
脱気回路を含む構成において、前記ブラダーバッグ本体と前記脱気回路との間を接続する紐をさらに含むことが好ましい。この構成によれば、脱気回路の内部に空気が導入されると、紐に張力が発生し、複合材料の内部から脱気回路を分離することができるので、複合材料の内部からより容易に取り出すことができる。
【0019】
脱気回路及び紐を含む構成において、前記ブラダーバッグ本体は、前記空間成形部に角部を有し、前記紐は、前記空間成形部の前記角部に接続されていることが好ましい。この構成によれば、ブラダーバッグの取り出しの際に複合材料の凹部に引っかかりやすいブラダーバッグ本体の角部を起点として、複合材料の内部から脱気回路を分離することができるので、複合材料の内部からより容易に取り出すことができる。
【0020】
これらの構成において、前記ブラダーバッグ本体の前記空間成形部に設けられた磁石をさらに含み、前記磁石は、前記複合材料の外部から前記磁石と異なる磁極の別の磁石が近づけられることで、前記ブラダーバッグ本体と前記複合材料とを接近させ、前記複合材料の外部から前記磁石と同じ磁極の別の磁石が近づけられることで、前記ブラダーバッグ本体と前記複合材料とを分離させることが好ましい。この構成によれば、磁石の引力によりブラダーバッグ本体と複合材料の内部とを接近させるので、複合材料の内部の加圧の均一性をより損なうことはない。また、磁石の斥力により、複合材料の内部からより容易に取り出すことができる。
【0021】
これらの構成において、前記ブラダーバッグ本体の前記空間成形部の外部の面側に設けられたソリッド部材をさらに含むことが好ましい。この構成によれば、複合材料の内部の面からブラダーバッグ本体を好適に保護することができる。
【0022】
これらの構成において、前記ブラダーバッグ本体の前記空間成形部の前記内部の面側に設けられ、前記複合材料の前記内部の物理量を測定するセンサと、をさらに含むことが好ましい。この構成によれば、ブラダーバッグの内部における複合材料の成形条件を測定することができる。また、この構成において、前記空気導入口から前記センサに接続されている配線と、をさらに含んでいてもよく、あるいは、前記センサは、無線で情報通信可能であってもよい。
【0023】
これらの構成において、前記ブラダーバッグ本体は、前記狭隘成形部が接続及び分離することが可能であることが好ましい。この構成によれば、容易にブラダーバッグを複合材料の内部に配置することができ、複合材料の内部からより容易に取り出すことができる。
【0024】
狭隘成形部が接続及び分離することが可能である構成において、前記狭隘成形部で分離された前記空間成形部は、前記複合材料と一体となることが好ましい。この構成によれば、ブラダーバッグ本体の一部を複合材料と一体として、例えば、航空機、自動車及び船舶等の燃料タンク等に好適に再利用することができる。
【0025】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、複合材料の成形方法は、複合材料の成形方法であって、前記複合材料は、内部の一部が狭められて形成される狭隘部と、前記狭隘部に隣接して形成される空間部と、を有しており、前記複合材料の前記狭隘部を成形する狭隘成形部と、前記複合材料の前記空間部を成形する空間成形部と、空気を導入する空気導入口と、を備えるブラダーバッグ本体と、前記ブラダーバッグ本体の内部に設けられ、前記空気導入口から前記狭隘成形部を経て前記空間成形部の内面に接続されている索状部材と、を含む成形型としてのブラダーバッグを前記複合材料の前記内部に配置する配置ステップと、前記配置ステップで配置された前記ブラダーバッグの
前記ブラダーバッグ本体の前記空気導入口から前記空気を導入することで、前記複合材料の前記内部を加圧しながら、前記複合材料を成形する成形ステップと、前記成形ステップの後、前記索状部材を前記空気導入口の方から引っ張ることで、前記複合材料の内部から前記ブラダーバッグを取り出す取出ステップと、を含むことを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、複合材料の内部の加圧の均一性を損なうことはない。また、索状部材を引っ張ることで、複合材料の内部から容易にブラダーバッグを取り出すことができる。
【0027】
この構成において、前記取出ステップでは、引っ掛け棒で前記索状部材を引っ掛けて、前記複合材料から分離させる方向に前記索状部材を引っ張ることで、前記複合材料と前記ブラダーバッグ本体とを分離させてから、前記索状部材を前記空気導入口の方から引っ張ることが好ましい。この構成によれば、索状部材を引っ張ることで、複合材料の内部からより容易にブラダーバッグを取り出すことができる。
【0028】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、複合材料の成形方法は、複合材料の成形方法であって、前記複合材料は、内部の一部が狭められて形成される狭隘部と、前記狭隘部に隣接して形成される空間部と、を有しており、前記複合材料の前記狭隘部を成形する狭隘成形部と、前記複合材料の前記空間部を成形する空間成形部と、空気を導入する空気導入口と、を備えるブラダーバッグ本体と、前記ブラダーバッグ本体の外部の面の少なくとも一部に沿って
巻き付けられることによって設けられる脱気回路と、を含む成形型としてのブラダーバッグを前記複合材料の前記内部に配置する配置ステップと、前記配置ステップで配置された前記ブラダーバッグの
前記ブラダーバッグ本体の前記空気導入口から前記空気を導入することで、前記複合材料の前記内部を加圧し、かつ、前記ブラダーバッグ本体と前記複合材料との間に配置される前記脱気回路の内部の空気を排出することで、前記ブラダーバッグ本体と前記複合材料とを接近させながら、前記複合材料を成形する成形ステップと、前記成形ステップの後、前記脱気回路の内部に空気を導入することで、前記ブラダーバッグ本体と前記複合材料とを分離させながら、前記複合材料の内部から前記ブラダーバッグを取り出す取出ステップと、を含むことを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、脱気回路の内部の空気が排出されることで、ブラダーバッグ本体と複合材料の内部を接近させるので、複合材料の内部の加圧の均一性をより損なうことはない。また、脱気回路の内部に空気が導入されることで、複合材料の内部から容易にブラダーバッグを取り出すことができる。
【0030】
これらの構成において、前記ブラダーバッグは、前記ブラダーバッグ本体の前記空間成形部に設けられた磁石をさらに含み、前記配置ステップでは、前記複合材料の外部から前記磁石と異なる磁極の別の磁石を近づけることで、前記ブラダーバッグ本体と前記複合材料とを接近させ、前記取出ステップでは、前記複合材料の外部から前記磁石と同じ磁極の別の磁石を近づけることで、前記ブラダーバッグ本体と前記複合材料とを分離させることが好ましい。この構成によれば、磁石の引力によりブラダーバッグ本体と複合材料の内部とを接近させるので、複合材料の内部の加圧の均一性を損なうことはない。また、磁石の斥力により、複合材料の内部からより容易にブラダーバッグを取り出すことができる。
【0031】
これらの構成において、前記ブラダーバッグは、前記ブラダーバッグ本体の前記空間成形部の外部の面側に設けられたソリッド部材をさらに含み、前記取出ステップでは、前記ブラダーバッグ本体と、前記ソリッド部材とが同時に取り出されることが好ましい。この構成によれば、複合材料の内部の面からブラダーバッグ本体を好適に保護することができる。
【0032】
これらの構成において、前記ブラダーバッグ本体は、前記狭隘成形部が接続及び分離することが可能であり、前記取
出ステップでは、前記ブラダーバッグ本体が前記狭隘成形部で分離されて、前記ブラダーバッグ本体の一部が前記複合材料の内部の空間に残されることが好ましい。この構成によれば、ブラダーバッグ本体の一部を複合材料と一体として、例えば、航空機、自動車及び船舶等の燃料タンク等に好適に再利用することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、複合材料の内部の加圧の均一性を損なうことなく、容易に取り出すことができる複合材料の内部を成形する成形型としてのブラダーバッグ及びブラダーバッグを容易に取り出すことができる複合材料の成形方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0036】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るブラダーバッグ20及び複合材料10の成形方法における一状態を示す概略断面図である。複合材料10は、
図1に示すように、複合材料10の内部の空間の入口側から奥側に向かって、複合材料10の内部の一部が内部方向に狭められて形成される第1狭隘部12a、第2狭隘部12b及び第3狭隘部12cと、各狭隘部に隣接して形成される第1空間部14a、第2空間部14b及び第3空間部14cと、を有している。複合材料10は、
図1に示すように、内部の空間全体を覆っている外郭部16と、外郭部16の内面から内側に突出して内部の空間を狭めて第1狭隘部12a、第2狭隘部12b及び第3狭隘部12cをそれぞれ形成する第1内側突出部18a、第2内側突出部18b及び第3内側突出部18cと、を有する。
【0037】
第1狭隘部12a、第2狭隘部12b及び第3狭隘部12cは、この順に、複合材料10の内部の奥側から入口側に向かって形成されている。すなわち、第1内側突出部18a、第2内側突出部18b及び第3内側突出部18cは、この順に、複合材料10の内部の奥側から入口側に向かって形成されている。第1空間部14a、第2空間部14b及び第3空間部14cは、この順に、複合材料10の内部の奥側から入口側に向かって形成されている。
【0038】
第1空間部14aは、第1狭隘部12aの奥側に形成されている、すなわち外郭部16の内側における第1内側突出部18aの奥側に形成されている。第2空間部14bは、第1狭隘部12aと第2狭隘部12bとの間に形成されている、すなわち外郭部16の内側における第1内側突出部18aと第2内側突出部18bとの間に形成されている。第3空間部14cは、第2狭隘部12bと第3狭隘部12cとの間に形成されている、すなわち外郭部16の内側における第2内側突出部18bと第3内側突出部18cとの間に形成されている。
【0039】
第1狭隘部12aは、第1空間部14aと第2空間部14bとを連通している。第2狭隘部12bは、第2空間部14bと第3空間部14cとを連通している。第3狭隘部12cは、複合材料10の内部の空間の入口を形成している。
【0040】
外郭部16は、内部の空間の入口側から奥側に向かって、テーパ状に幅が狭くなっている。外郭部16の内部に形成される第1空間部14a、第2空間部14b及び第3空間部14cは、いずれも、内部の空間の入口側から奥側に向かって、テーパ状に幅が狭くなっている。第1空間部14a、第2空間部14b及び第3空間部14cについては、入口側にある第3空間部14cの幅が最も広く、入口側から2番目にある第2空間部14bの幅が次に広く、その奥側にある第1空間部14aの幅が最も狭くなっている。
【0041】
複合材料10は、航空機、自動車及び船舶等に用いられる材料が例示される。複合材料10は、複合材料10を強化する強化繊維と、強化繊維に含浸された樹脂と、を含む材料が例示される。強化繊維は、5μm以上7μm以下の範囲内の基本繊維を数100本から数1000本程度束ねたものが例示される。強化繊維を構成する基本繊維は、炭素繊維が例示される。強化繊維を構成する基本繊維は、これに限定されず、その他のプラスチック繊維、ガラス繊維又は金属繊維でもよい。強化繊維に含浸される樹脂は、熱硬化性樹脂が好ましいが、熱可塑性樹脂でもよい。熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂が例示される。熱可塑性樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、及びポリフェニレンサルファイド(PPS)等が例示される。ただし、強化繊維に含浸される樹脂は、これに限定されず、その他の樹脂でもよい。
【0042】
ブラダーバッグ20は、複合材料10の内部から圧力を加えることで、複合材料10の内部を成形する。ブラダーバッグ20は、
図1に示すように、ブラダーバッグ本体22と、索状部材としてのワイヤ24と、を含む。ブラダーバッグ本体22は、袋状であり、複合材料10を成形するときに加えられる熱に耐性があり、変形が可能であり、内部に空気が導入されることで膨張し、内部から空気が排出されることで収縮する性質を有する。ブラダーバッグ本体22は、シリコンゴムに例示される軟性の耐熱材料で形成されている。ワイヤ24は、複合材料10の成形の際に加えられる熱に耐性があり、湾曲が可能であり、引っ張られることで切断しない性質を有する。ワイヤ24は、周知の金属製のワイヤが例示される。
【0043】
ブラダーバッグ本体22は、第1狭隘部12a、第2狭隘部12b及び第3狭隘部12cをそれぞれ内部から成形する第1狭隘成形部26a、第2狭隘成形部26b及び第3狭隘成形部26cと、第1空間部14a、第2空間部14b及び第3空間部14cをそれぞれ内部から成形する第1空間成形部27a、第2空間成形部27b及び第3空間成形部27cと、ブラダーバッグ本体22の内部に空気を導入する空気導入口28と、を有する。
【0044】
第1狭隘成形部26a、第2狭隘成形部26b及び第3狭隘成形部26cは、この順に、空気導入口28に対して奥側から入口側に向かって形成されている。第1空間成形部27a、第2空間成形部27b及び第3空間成形部27cは、この順に、空気導入口28に対して奥側から入口側に向かって形成されている。
【0045】
第1空間成形部27aは、第1狭隘成形部26aの奥側に形成されている。第2空間成形部27bは、第1狭隘成形部26aと第2狭隘成形部26bとの間に形成されている。第3空間成形部27cは、第2狭隘成形部26bと第3狭隘成形部26cとの間に形成されている。
【0046】
第1狭隘成形部26aは、第1空間成形部27aと第2空間成形部27bとを連通している。第2狭隘成形部26bは、第2空間成形部27bと第3空間成形部27cとを連通している。第3狭隘成形部26cは、空気導入口28を形成している。
【0047】
第1空間成形部27a、第2空間成形部27b及び第3空間成形部27cは、いずれも、空気導入口28に対して入口側から奥側に向かって、テーパ状に幅が狭くなっている。第1空間成形部27a、第2空間成形部27b及び第3空間成形部27cについては、入口側にある第3空間成形部27cの幅が最も広く、入口側から2番目にある第2空間成形部27bの幅が次に広く、その奥側にある第1空間成形部27aの幅が最も狭くなっている。
【0048】
複合材料10は、第1空間部14a、第2空間部14b及び第3空間部14cの内面のそれぞれに、周囲に対して角状に凹んでいる領域である凹部を有する。それに応じて、ブラダーバッグ本体22は、第1空間成形部27a、第2空間成形部27b及び第3空間成形部27cのそれぞれに、複合材料10の凹部に対応する領域に、周囲に対して角状に突き出ている角部を有する。詳細には、ブラダーバッグ本体22は、第1空間成形部27aの奥側に、角部29aと、角部29bとを有し、第1空間成形部27aの入口側に、角部29cと、角部29dとを有する。また、ブラダーバッグ本体22は、第2空間成形部27bの入口側に、角部29eと、角部29fとを有する。また、ブラダーバッグ本体22は、第3空間成形部27cの入口側に、角部29gと、角部29hとを有する。
【0049】
ワイヤ24は、ブラダーバッグ本体22の内部に設けられ、空気導入口28から、第1狭隘成形部26a、第2狭隘成形部26b及び第3狭隘成形部26cの少なくとも1つを経て、第1空間成形部27a、第2空間成形部27b及び第3空間成形部27cの少なくとも1つの内面に接続されている。ワイヤ24とブラダーバッグ本体22の内部との接続部分は、複合材料10の成形の際に加えられる熱に耐性があり、引っ張られることで破断しない性質を有する。ワイヤ24とブラダーバッグ本体22の内部との接続部分は、耐熱性の接着剤が例示される。
【0050】
ワイヤ24は、複数本設けられていることが好ましく、少なくとも1本は、角部29aから角部29hに例示される角部に接続されていることが好ましい。具体的には、ワイヤ24は、
図1に示すように、8本設けられている場合が例示される。ワイヤ24の1本は、第1空間成形部27aの角部29aに接続されており、ワイヤ24の別の1本は、第1空間成形部27aの角部29bに接続されており、ワイヤ24の別の1本は、第1空間成形部27aの角部29cに接続されており、ワイヤ24の別の1本は、第1空間成形部27aの角部29dに接続されている。また、ワイヤ24の別の1本は、第2空間成形部27bの角部29eに接続されており、ワイヤ24の別の1本は、第2空間成形部27bの角部29fに接続されており、ワイヤ24の別の1本は、第3空間成形部27cの角部29gに接続されており、ワイヤ24の別の1本は、第3空間成形部27cの角部29hに接続されている。
【0051】
ブラダーバッグ20は、以上のような構成を有するので、複合材料10の内部の加圧の均一性を損なうことはない。また、ブラダーバッグ20は、索状部材としてのワイヤ24を引っ張ることで、複合材料10の内部から容易に取り出すことができる。
【0052】
また、ブラダーバッグ20は、索状部材としてのワイヤ24の少なくとも1本が、空間成形部の角部に接続されている。そのため、ブラダーバッグ20は、ブラダーバッグ20の取り出しの際に複合材料10の凹部に引っかかりやすいブラダーバッグ本体22の角部を起点として、複合材料10の内部からブラダーバッグ本体22を分離することができるので、複合材料10の内部からより容易に取り出すことができる。
【0053】
図2は、第1の実施形態に係る複合材料10の成形方法を示すフローチャートである。
図1及び
図2を用いて、第1の実施形態に係る複合材料10の成形方法を説明する。複合材料10の成形方法は、
図2に示すように、配置ステップ(ステップS12)と、成形ステップ(ステップS14)と、取出ステップ(ステップS16)と、を含む。
【0054】
まず、成形前の複合材料10の内部に、ブラダーバッグ20を配置する(ステップS12)。具体的には、まず、成形前の複合材料10の空間の入口側から、ブラダーバッグ本体22を、第1空間成形部27aを成形前の複合材料10の空間の奥側に向けて、挿入する。そして、成形前の複合材料10の第1狭隘部12a、第2狭隘部12b及び第3狭隘部12cの内面に、それぞれブラダーバッグ本体22の第1狭隘成形部26a、第2狭隘成形部26b及び第3狭隘成形部26cの外面を対向させる。また、成形前の複合材料10の第1空間部14a、第2空間部14b及び第3空間部14cの内面に、それぞれブラダーバッグ本体22の第1空間成形部27a、第2空間成形部27b及び第3空間成形部27cの外面を対向させる。また、成形前の複合材料10の空間の入口の内面とブラダーバッグ本体22の空気導入口28の外面とを対向させる。
【0055】
次に、ステップS12で配置されたブラダーバッグ20のブラダーバッグ本体22の空気導入口28から空気を導入することで、ブラダーバッグ本体22を空気で膨張させる。空気で膨張させたブラダーバッグ本体22は、
図1に示すように、第1狭隘成形部26a、第2狭隘成形部26b及び第3狭隘成形部26cの外面がそれぞれ成形前の複合材料10の第1狭隘部12a、第2狭隘部12b及び第3狭隘部12cの内面と接近し、第1空間成形部27a、第2空間成形部27b及び第3空間成形部27cの外面がそれぞれ成形前の複合材料10の第1空間部14a、第2空間部14b及び第3空間部14cの内面と接近する。そして、空気で膨張させたブラダーバッグ本体22は、導入された空気の圧力に基づいて、複合材料10の内面に接触し、複合材料10の内部を加圧する。詳細には、空気で膨張させたブラダーバッグ本体22は、第1狭隘成形部26a、第2狭隘成形部26b及び第3狭隘成形部26cの外面がそれぞれ成形前の複合材料10の第1狭隘部12a、第2狭隘部12b及び第3狭隘部12cの内面を加圧し、第1空間成形部27a、第2空間成形部27b及び第3空間成形部27cの外面がそれぞれ成形前の複合材料10の第1空間部14a、第2空間部14b及び第3空間部14cの内面を加圧する。同時に、複合材料10の外側から、外郭部16の外面を加圧する。さらに、空気で膨張させたブラダーバッグ本体22が複合材料10の内部を加圧し、かつ、複合材料の外側からも加圧している状態で、複合材料10を加熱することで、複合材料10を成形する(ステップS14)。
【0056】
次に、ステップS14の後、空気で膨張させたブラダーバッグ本体22の内部の空気を適度に排出することで、ブラダーバッグ本体22を適度に収縮させる。ブラダーバッグ本体22が適度に収縮した状態で、ワイヤ24を空気導入口28の方から引っ張ることで、複合材料10の内部からブラダーバッグ本体22を分離する。複合材料10の内部からブラダーバッグ本体22が分離した後、さらにブラダーバッグ本体22の内部の空気を排出しつつ、ブラダーバッグ本体22を空気導入口28の方から引き抜くことで、複合材料10の内部からブラダーバッグ20を取り出す(ステップS16)。
【0057】
第1の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、以上のような構成を有するので、複合材料10の内部の加圧の均一性を損なうことはない。また、第1の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、索状部材としてのワイヤ24を引っ張ることで、複合材料10の内部から容易にブラダーバッグ20を取り出すことができる。
【0058】
図3は、第1の実施形態に係る複合材料10の成形方法に用いるワイヤ引っ掛け棒30の概略構成図である。
図4は、第1の実施形態に係る複合材料10の成形方法における一状態を示す概略構成図である。ワイヤ引っ掛け棒30は、索状部材としてのワイヤ24を引っ掛ける引っ掛け棒であり、
図3に示すように、ワイヤ24を引っ掛けるC字状のワイヤ引っ掛け部32と、ワイヤ引っ掛け部32に先端が接続された所定の長さの棒部34と、を有する。ワイヤ引っ掛け部32は、C字状の両側でワイヤ24を引っ掛けることができる。棒部34は、複合材料10の内部よりも長く、ワイヤ引っ掛け部32を複合材料10の奥側まで導入することを可能にし、ワイヤ引っ掛け部32に引っ掛けられたワイヤ24を空気導入口28の外から引っ張ることを可能にする。
【0059】
ステップS16では、ワイヤ引っ掛け棒30のワイヤ引っ掛け部32でワイヤ24を引っ掛けて、引っ掛けたワイヤ24を、複合材料10の内部からブラダーバッグ本体22を分離させる方向に引っ張ることで、複合材料10の内部からブラダーバッグ本体22を分離させてから、ワイヤ24を空気導入口28の方から引っ張ることが好ましい。この場合、索状部材としてのワイヤ24を引っ張ることで、複合材料10の内部からより容易にブラダーバッグ20を取り出すことができる。
【0060】
さらに、ワイヤ24の少なくとも1本が角部に接続されていることがより好ましい。詳細には、例えば、
図4に示すように、ワイヤ24の1本が角部29cに接続されている場合、このワイヤ24を、角部29cの突き出ている方向とは反対側の方向に、すなわち
図4における右下向きの矢印の方向に引っ張ることで、角部29cの付近において、複合材料10の内部からブラダーバッグ本体22を分離させることができる。そのため、その後に、複合材料10の内部の入口側の方向に、すなわち
図4における左向きの矢印の方向に、ブラダーバッグ本体22を引き抜くときに、ブラダーバッグ本体22の角部29cが複合材料10の凹部に引っかからないようにすることができる。そして、複合材料10の内部からブラダーバッグ本体22を分離させた状態で、ワイヤ24を空気導入口28の方から引っ張ることで、ブラダーバッグ本体22を複合材料10の内部の入口側から容易に引き抜くことができる。そのため、複合材料10の内部からより容易にブラダーバッグ20を取り出すことができる。
【0061】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係るブラダーバッグ40を示す概略断面図である。ブラダーバッグ40は、複合材料10と同様の材料で形成された複合材料の内部から圧力を加えることで、この複合材料の内部を成形する。ブラダーバッグ40が成形する複合材料は、狭隘部及び空間部を2つずつ有する点で、狭隘部及び空間部を3つずつ有する複合材料10と異なるが、その他の点については複合材料10と同様である。ブラダーバッグ40は、
図5に示すように、ブラダーバッグ本体42と、索状部材としてのワイヤ44と、を含む。ブラダーバッグ本体42は、後述するように形状が異なる点を除き、ブラダーバッグ本体22と同様の性質を有し、同様の材料が用いられる。ワイヤ44は、接続されている箇所が異なる点を除き、ワイヤ24と同様の性質を有し、同様の材料が用いられる。
【0062】
ブラダーバッグ本体42は、複合材料の第1狭隘部及び第2狭隘部をそれぞれ内部から成形する第1狭隘成形部46a及び第2狭隘成形部46bと、複合材料の第1空間部及び第2空間部をそれぞれ内部から成形する第1空間成形部47a及び第2空間成形部47bと、ブラダーバッグ本体42の内部に空気を導入する空気導入口48と、を有する。
【0063】
第1狭隘成形部46a及び第2狭隘成形部46bは、この順に、ブラダーバッグ本体42の空気導入口48に対して奥側から入口側に向かって形成されている。第1空間成形部47a及び第2空間成形部47bは、この順に、ブラダーバッグ本体42の空気導入口48に対して奥側から入口側に向かって形成されている。第1空間成形部47aは、第1狭隘成形部46aの奥側に形成され、第2空間成形部47bは、第1狭隘成形部46aと第2狭隘成形部46bとの間に形成されている。第1狭隘成形部46aは、第1空間成形部47aと第2空間成形部47bとを連通している。第2狭隘成形部46bは、空気導入口48を形成している。第1空間成形部47a及び第2空間成形部47bは、いずれも、長方体の形状を有している。第1空間成形部47a及び第2空間成形部47bは、幅が同じである。なお、第1空間成形部47a及び第2空間成形部47bは、上記の形状に限定されず、第1狭隘成形部46a及び第2狭隘成形部46bに対して内部方向に広がって形成されていればどのような形状であっても良い。
【0064】
ブラダーバッグ本体42は、第1空間成形部47aの奥側に、第1空間成形部47aを補強する補強部材としてのガラスクロス43を有する。ブラダーバッグ本体42は、第1空間成形部47aの奥側に、ガラスクロス43によって補強された部分である補強部分49aを有する。第1空間成形部47aが長方体である場合、ガラスクロス43は、長方形となる奥側の面の対角を結ぶように2本交差させて設けられる。そして、交差する2本のガラスクロス43の交点部分が、補強部分49aとなっている。つまり、補強部分49aは、長方形となる奥側の面の中央に設けられている。
【0065】
ブラダーバッグ本体42は、第1空間成形部47a及び第2空間成形部47bのそれぞれに、複合材料の第1空間部及び第2空間部の内面のそれぞれに有している凹部に対応する領域に、周囲に対して角状に突き出ている角部を有する。詳細には、ブラダーバッグ本体42は、第1空間成形部47aの入口側に、角部49bと、角部49cと、角部49dと、角部49eと、を有する。
【0066】
ワイヤ44は、ブラダーバッグ本体42の内部に設けられ、空気導入口48から、第1狭隘成形部46a及び第2狭隘成形部46bの少なくとも1つを経て、第1空間成形部47a及び第2空間成形部47bの少なくとも1つの内面に接続されている。ワイヤ44とブラダーバッグ本体42の内部との接続部分は、ワイヤ24とブラダーバッグ本体22の内部との接続部分と同様の性質を有し、同様の材料が用いられる。ワイヤ44は、複数本設けられていることが好ましく、少なくとも1本は、補強部材としてのガラスクロス43又は補強部分49aに例示される補強部分に接続されていることが好ましい。また、ワイヤ44は、少なくとも1本は、角部49bから角部49eに例示される角部に接続されていることが好ましい。具体的には、ワイヤ44は、
図5に示すように、5本設けられている場合が例示される。ワイヤ44の1本は、第1空間成形部47aの奥側の補強部分49aに接続されている。また、ワイヤ44の別の1本は、第1空間成形部47aの角部49bに接続されており、ワイヤ44の別の1本は、第1空間成形部47aの角部49cに接続されており、ワイヤ44の別の1本は、第1空間成形部47aの角部49dに接続されており、ワイヤ44の別の1本は、第1空間成形部47aの角部49eに接続されている。
【0067】
ブラダーバッグ40は、以上のような構成を有するので、複合材料の内部の加圧の均一性を損なうことはない。また、ブラダーバッグ40は、索状部材としてのワイヤ44を引っ張ることで、複合材料の内部から容易に取り出すことができる。
【0068】
また、ブラダーバッグ40は、索状部材としてのワイヤ44の少なくとも1本が、空間成形部の角部に接続されている。そのため、ブラダーバッグ40は、ブラダーバッグ40の取り出しの際に複合材料の凹部に引っかかりやすいブラダーバッグ本体42の角部を起点として、複合材料の内部からブラダーバッグ本体42を分離することができるので、複合材料の内部からより容易に取り出すことができる。
【0069】
また、ブラダーバッグ40は、第1空間成形部47aの奥側に、第1空間成形部47aを補強する補強部材としてのガラスクロス43を有し、索状部材としてのワイヤ44の少なくとも1本が、ガラスクロス43によって補強された部分である補強部分49aに接続されている。そのため、ブラダーバッグ40は、ブラダーバッグ40の取り出しのために索状部材としてのワイヤ44を引っ張るときに、ブラダーバッグ本体42のワイヤ44が接続されている部分を、ワイヤ44による張力から好適に保護することができる。
【0070】
ブラダーバッグ40を用いた複合材料10の成形方法は、ブラダーバッグ40を用いる点を除き、第1の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様であるので、その詳細な説明を省略する。ブラダーバッグ40を用いた複合材料10の成形方法は、上記構成のブラダーバッグ40を用いるので、ブラダーバッグ40の取り出しのために索状部材としてのワイヤ44を引っ張るときに、ブラダーバッグ本体42のワイヤ44が接続されている部分を、ワイヤ44による張力から好適に保護することができる。
【0071】
[第3の実施形態]
図6は、第3の実施形態に係るブラダーバッグ50及び複合材料10の成形方法における一状態を示す概略断面図である。
図7は、第3の実施形態に係るブラダーバッグ50及び複合材料10の成形方法における一状態を示す概略断面図である。ブラダーバッグ50は、複合材料10の内部から圧力を加えることで、複合材料10の内部を成形する。ブラダーバッグ50は、ブラダーバッグ20において、ワイヤ24を脱気回路52に変更したものである。第3の実施形態の説明では、第1の実施形態と同様の構成に第1の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0072】
ブラダーバッグ50は、
図6及び
図7に示すように、ブラダーバッグ本体22と、脱気回路52と、を含む。脱気回路52は、ブラダーバッグ本体22の外部の面の少なくとも一部に沿って設けられている。脱気回路52は、ブラダーバッグ本体22の外部の面の少なくとも一部に沿って巻き付けられた帯状の面の布が例示される。脱気回路52は、この例に限定されず、ブラダーバッグ本体22の外部の面の全周に設けられており、ブラダーバッグ本体22と脱気回路52とが二重になっているような状態であってもよい。脱気回路52は、内部に空気を導入し、内部から空気を排出する脱気回路出入口54を有する。脱気回路52は、複合材料10を形成する際に、ブラダーバッグ本体22と複合材料10との間に配置される。この際、脱気回路出入口54は、ブラダーバッグ本体22の空気導入口28と、複合材料10の内部の空間の入口との間に配置される。脱気回路52は、
図6に示すように、脱気回路出入口54から内部の空気が排出されることで、ブラダーバッグ本体22と複合材料10とを接近させる。脱気回路52は、
図7に示すように、脱気回路出入口54から内部に空気が導入されることで、ブラダーバッグ本体22と複合材料10とを分離させる。
【0073】
なお、脱気回路52の外側に、複合材料10の成形中に複合材料10から発生するガスを排出するためのガス排出回路をさらに設けてもよい。このガス排出回路は、脱気回路52の外側に張り付けられたガラスクロスが例示される。
【0074】
ブラダーバッグ50は、以上のような構成を有するので、脱気回路52の内部の空気が排出されることで、ブラダーバッグ本体22と複合材料10の内部を接近させるので、複合材料10の内部の加圧の均一性をより損なうことはない。また、脱気回路52の内部に空気が導入されることで、複合材料10の内部から容易に取り出すことができる。
【0075】
ブラダーバッグ50は、ブラダーバッグ本体22と脱気回路52とが同時に複合材料10の内部から取り出される場合と、ブラダーバッグ本体22と脱気回路52とが分離して複合材料10の内部から取り出される場合と、がある。ブラダーバッグ50は、ブラダーバッグ本体22と脱気回路52とが同時に複合材料10の内部から取り出される場合には、当然に、複合材料10の内部から容易に取り出すことができる。また、ブラダーバッグ50は、ブラダーバッグ本体22と脱気回路52とが分離して複合材料10の内部から取り出される場合、まず、ブラダーバッグ本体22が容易に取り出され、次に、脱気回路52が取り出される。ブラダーバッグ本体22と分離した脱気回路52は、脱気回路出入口54側に引っ張ることで、容易に取り出すことができる。そのため、ブラダーバッグ50は、ブラダーバッグ本体22と脱気回路52とが分離して複合材料10の内部から取り出される場合にも、複合材料10の内部から容易に取り出すことができる。
【0076】
第3の実施形態に係る複合材料10の成形方法を説明する。第3の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、第1の実施形態と同様に、配置ステップ(ステップS12)と、成形ステップ(ステップS14)と、取出ステップ(ステップS16)と、を含む。
【0077】
第3の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS12は、第1の実施形態において、成形前の複合材料10の内部に配置するブラダーバッグ20をブラダーバッグ50に変更したものである。第3の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS12では、第1の実施形態と同様に、ブラダーバッグ本体22を挿入し、ブラダーバッグ本体22の各成形部を配置することに加えて、脱気回路52をブラダーバッグ本体22と複合材料10との間に配置する。
【0078】
第3の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS14は、第1の実施形態において、さらに脱気回路52の内部の空気を脱気回路出入口54から排出することを追加したものである。第3の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS14では、第1の実施形態と同様に、ステップS12で配置されたブラダーバッグ本体22の空気導入口28から空気を導入することで、ブラダーバッグ本体22を空気で膨張させる。第3の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS14では、これに加えて、
図6に示すように、脱気回路52の内部の空気を脱気回路出入口54から排出することで、ブラダーバッグ本体22と複合材料10とを接近させる。すなわち、ブラダーバッグ本体22と複合材料10との間の隙間を、脱気回路52による最小限度まで低減する。そして、第3の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS14では、第1の実施形態と同様に、空気で膨張させたブラダーバッグ本体22は、導入された空気の圧力に基づいて、複合材料10の内面に接触し、複合材料10の内部を加圧し、さらに、空気で膨張させたブラダーバッグ本体22が複合材料10の内部を加圧している状態で、複合材料10を加熱することで、複合材料10を成形する。
【0079】
第3の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS16は、第1の実施形態において、複合材料10の内部からブラダーバッグ本体22を分離する際に、ワイヤ24を空気導入口28の方から引っ張ることを、脱気回路52の内部に脱気回路出入口54から空気を導入することに変更したものである。第3の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS16では、第1の実施形態と同様に、空気で膨張させたブラダーバッグ本体22の内部の空気を排出することで、ブラダーバッグ本体22を収縮させる。第3の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS16では、これに加えて、
図7に示すように、脱気回路52の内部に脱気回路出入口54から空気を導入することで、ブラダーバッグ本体22と複合材料10との間の隙間を広げることにより、ブラダーバッグ本体22と複合材料10とを分離させる。そして、第3の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS16では、第1の実施形態と同様に、複合材料10の内部からブラダーバッグ本体22が分離した後、ブラダーバッグ本体22を空気導入口28の方から引き抜くことで、複合材料10の内部からブラダーバッグ50を取り出す。
【0080】
第3の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、以上のような構成を有するので、脱気回路52の内部の空気が排出されることで、ブラダーバッグ本体22と複合材料10の内部を接近させるので、複合材料10の内部の加圧の均一性をより損なうことはない。また、脱気回路52の内部に空気が導入されることで、ブラダーバッグ本体22と複合材料10との間の隙間が広がることにより、複合材料10の内部から容易にブラダーバッグ50を取り出すことができる。
【0081】
[第4の実施形態]
図8は、第4の実施形態に係るブラダーバッグ60の一部及び複合材料10の成形方法における一状態を示す概略断面図である。
図9は、
図8の領域Aの拡大図であり、第4の実施形態に係るブラダーバッグ60の一部の詳細及び複合材料10の成形方法における一状態を示す概略断面図である。
図10は、
図8の領域Aの拡大図であり、第4の実施形態に係る複合材料10の成形方法における一状態を示す概略断面図である。
図8の領域Aは、複合材料10の内部の空間の入口側から奥側の領域の一部であり、ブラダーバッグ60の奥側の一部と、複合材料10の奥側の一部と、が含まれている。ブラダーバッグ60は、複合材料10の内部から圧力を加えることで、複合材料10の内部を成形する。ブラダーバッグ60は、ブラダーバッグ50において、ブラダーバッグ本体22と脱気回路52との間を接続する紐62が追加して設けられたものである。第4の実施形態の説明では、第3の実施形態と同様の構成に第3の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0082】
ブラダーバッグ60は、
図8、
図9及び
図10に示すように、ブラダーバッグ本体22と、脱気回路52と、ブラダーバッグ本体22と脱気回路52との間を接続する紐62と、を含む。紐62は、複合材料10の成形の際に加えられる熱に耐性があり、引っ張られることで切断しない性質を有する。紐62は、
図9及び
図10に示すように、第1空間成形部27aの角部29aに接続されている。なお、紐62は、他の空間成形部に設けられてもよく、他の空間成形部の角部に設けられてもよい。
【0083】
ブラダーバッグ60は、以上のような構成を有するので、脱気回路52の内部に空気が導入されると、紐62に張力が発生し、複合材料10の内部から脱気回路52を分離することができるので、紐62によりブラダーバッグ本体22と脱気回路52とが同時に複合材料10の内部から取り出されるため、複合材料10の内部からより容易に取り出すことができる。
【0084】
ブラダーバッグ60は、紐62がブラダーバッグ本体22における第1空間成形部27aの角部29aに接続されている。そのため、ブラダーバッグ60は、取り出しの際に複合材料10の凹部に引っかかりやすいブラダーバッグ本体22の角部29aを起点として、複合材料10の内部から脱気回路52を分離することができるので、複合材料10の内部からより容易に取り出すことができる。紐62がその他の角部に設けられている場合も同様である。
【0085】
第4の実施形態に係る複合材料10の成形方法を説明する。第4の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、第3の実施形態と同様に、配置ステップ(ステップS12)と、成形ステップ(ステップS14)と、取出ステップ(ステップS16)と、を含む。第4の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS12及びステップS14は、第3の実施形態において、ブラダーバッグ50をブラダーバッグ60に変更したものである。
【0086】
第4の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS16は、第3の実施形態において、ブラダーバッグ本体22と複合材料10とを分離させるときに、紐62に発生する張力により、脱気回路52がブラダーバッグ本体22の側に引っ張られることで、複合材料10の内部から脱気回路52を分離することを追加したものである。
【0087】
第4の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、以上のような構成を有するので、紐62によりブラダーバッグ本体22と脱気回路52とを同時に複合材料10の内部から取り出すことができるため、複合材料10の内部からより容易にブラダーバッグ60を取り出すことができる。
【0088】
第4の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、さらに、ブラダーバッグ60の紐62がブラダーバッグ本体22における第1空間成形部27aの角部29aに接続されているため、好ましい。そのため、第4の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、ブラダーバッグ60を取り出しの際に複合材料10の凹部に引っかかりやすいブラダーバッグ本体22の角部29aを起点として、複合材料10の内部から脱気回路52を分離することができるので、複合材料10の内部からより容易にブラダーバッグ60を取り出すことができる。
【0089】
[第5の実施形態]
図11は、第5の実施形態に係るブラダーバッグ70及び複合材料10の成形方法における一状態を示す概略断面図である。
図12は、第5の実施形態に係るブラダーバッグ70及び複合材料10の成形方法における一状態を示す概略断面図である。
図11及び
図12は、いずれも、上述の領域Aに相当する領域の拡大図である。ブラダーバッグ70は、複合材料10の内部から圧力を加えることで、複合材料10の内部を成形する。ブラダーバッグ70は、ブラダーバッグ20において、ブラダーバッグ本体22の第1空間成形部27aに磁石72が追加して設けられたものである。なお、
図11及び
図12では、ワイヤ24が省略されている。第5の実施形態の説明では、第1の実施形態と同様の構成に第1の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0090】
ブラダーバッグ70は、
図11及び
図12に示すように、ブラダーバッグ本体22の第1空間成形部27aに設けられた磁石72をさらに含む。磁石72は、複合材料10の成形の際に加えられる熱に耐性があり、熱により磁極が変化しない性質を有する。磁石72は、
図11に示すように、複合材料10の外部から磁石72と異なる磁極の別の磁石74が近づけられることで、磁石72と磁石74との間に働く引力により、ブラダーバッグ本体22と複合材料10とを接近させる。磁石72は、
図12に示すように、複合材料10の外部から磁石72と同じ磁極の別の磁石76が近づけられることで、磁石72と磁石76との間に働く斥力により、ブラダーバッグ本体22と複合材料10とを分離させる。なお、磁石74と磁石76とをいずれも同じ電磁石として、電磁石に巻いたコイルの電流の向きを変えることで、磁極を入れ替えて、ブラダーバッグ本体22と複合材料10とを接近させたり分離させたりしてもよい。
【0091】
ブラダーバッグ70は、以上のような構成を有するので、磁石72と磁石74との間に働く引力により、ブラダーバッグ本体22と複合材料10の内部とを接近させるので、複合材料の内部の加圧の均一性をより損なうことはない。また、ブラダーバッグ70は、磁石72と磁石76との間に働く斥力により、複合材料10の内部からより容易に取り出すことができる。
【0092】
ブラダーバッグ70は、磁石72が、
図11に示すように、ブラダーバッグ本体22の第1空間成形部27aの角部29aに接する位置に設けられている。そのため、ブラダーバッグ70は、取り出しの際に複合材料10の凹部に引っかかりやすいブラダーバッグ本体22の角部29aを起点として、複合材料10の内部からブラダーバッグ本体22を分離することができるので、複合材料10の内部からより容易に取り出すことができる。なお、磁石72は、他の空間成形部に設けられてもよく、他の空間成形部の角部に設けられてもよく、これらの場合も同様である。
【0093】
第5の実施形態に係る複合材料10の成形方法を説明する。第5の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、第1の実施形態と同様に、配置ステップ(ステップS12)と、成形ステップ(ステップS14)と、取出ステップ(ステップS16)と、を含む。第5の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS12は、第1の実施形態において、ブラダーバッグ20をブラダーバッグ70に変更したものである。
【0094】
第5の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS14は、第1の実施形態において、複合材料10の外部から磁石72と異なる磁極の別の磁石74を近づけることで、磁石72と磁石74との間に働く引力により、ブラダーバッグ本体22と複合材料10とを接近させることを追加したものである。
【0095】
第5の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS16は、第1の実施形態において、複合材料10の外部から磁石72と同じ磁極の別の磁石76を近づけることで、磁石72と磁石76との間に働く斥力により、ブラダーバッグ本体22と複合材料10とを分離させることを追加したものである。
【0096】
第5の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、以上のような構成を有するので、磁石72と磁石74との間に働く引力により、ブラダーバッグ本体22と複合材料10の内部とを接近させるので、複合材料の内部の加圧の均一性をより損なうことはない。また、第5の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、磁石72と磁石76との間に働く斥力により、複合材料10の内部からより容易にブラダーバッグ70を取り出すことができる。
【0097】
第5の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、さらに、ブラダーバッグ70の磁石72がブラダーバッグ本体22の第1空間成形部27aの角部29aに接する位置に設けられているため、好ましい。そのため、第5の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、ブラダーバッグ70を取り出しの際に複合材料10の凹部に引っかかりやすいブラダーバッグ本体22の角部29aを起点として、複合材料10の内部からブラダーバッグ本体22を分離することができるので、複合材料10の内部からより容易にブラダーバッグ70を取り出すことができる。
【0098】
なお、磁石72は、ブラダーバッグ20の他に、ブラダーバッグ40、ブラダーバッグ50及びブラダーバッグ60のそれぞれにおいて、追加して設けられてもよい。これらの場合にも、第1の実施形態に係るブラダーバッグ20に磁石72が追加して設けられた場合と同様の作用効果を奏する。
【0099】
また、ブラダーバッグ40、ブラダーバッグ50及びブラダーバッグ60のそれぞれにおいて、磁石72が追加して設けられたブラダーバッグを用いて、第5の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様の複合材料10の成形方法を実施してもよい。これらの場合にも、ブラダーバッグ70を用いる第5の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様の作用効果を奏する。
【0100】
[第6の実施形態]
図13は、第6の実施形態に係るブラダーバッグ80及び複合材料10の成形方法における一状態を示す断面図である。
図14は、
図13の領域Bの拡大図であり、第6の実施形態に係るブラダーバッグ80の一部の詳細及び複合材料10の成形方法における一状態を示す断面図である。
図13の領域Bは、複合材料10の内部の空間の入口側付近の領域の一部であり、ブラダーバッグ80の入口側付近の第3空間成形部27cの角部29hを含む領域の一部と、複合材料10の入口側付近のうち、角部29hと対向する領域の一部と、が含まれている。ブラダーバッグ80は、複合材料10の内部から圧力を加えることで、複合材料10の内部を成形する。ブラダーバッグ80は、ブラダーバッグ20において、ブラダーバッグ本体22の外部の面側に第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84が追加して設けられたものである。なお、
図13及び
図14では、ワイヤ24が省略されている。第6の実施形態の説明では、第1の実施形態と同様の構成に第1の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0101】
ブラダーバッグ80は、
図13に示すように、ブラダーバッグ本体22の外部の面側に設けられた第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84をさらに含む。第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84は、複合材料10の成形の際に加えられる熱に耐性があるという性質を有する。第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84は、ゴム状の部材、粘土及び水溶性の石膏が例示される。
【0102】
第1ソリッド部材82aは、ブラダーバッグ本体22の第3空間成形部27cの外部の面側の角部29hに相当する箇所に設けられている。第2ソリッド部材82bは、ブラダーバッグ本体22の第3空間成形部27cの外部の面側の角部29gに相当する箇所に設けられている。第3ソリッド部材84は、ブラダーバッグ本体22の第3空間成形部27cから第2狭隘成形部26bにかけての突状の領域の外部の面側の箇所である突条部86に設けられている。
【0103】
第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84は、いずれもブラダーバッグ本体22の外部の面側に接着して設けられている。例えば、第1ソリッド部材82aは、
図14に示すように、ブラダーバッグ本体22の外部の面側の角部29hに相当する箇所に接着して設けられている。第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84と、ブラダーバッグ本体22との接着部材は、複合材料10の成形の際に加えられる熱に耐性があり、引っ張られることで破断しない性質を有する。この接着部材は、耐熱性の接着剤が例示される。
【0104】
第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84は、いずれも、複合材料10の内部と対向する側は、複合材料10の内部の比較的鋭利な面に対応する形状に形成され、ブラダーバッグ本体22の外面と対向し接着する側は、ブラダーバッグ本体22の素材に対して自然な形状であり、なだらかな面状、すなわち不連続となる箇所がなく滑らかな面状に形成されている。具体的には、第1ソリッド部材82aは、角部29hに対向する複合材料10の凹部の形状に対応した凸状の立体形状と、ブラダーバッグ本体22の角部29hを含む箇所に対応した滑らかな面と、を有する。第2ソリッド部材82bは、角部29gに対向する複合材料10の凹部の形状に対応した凸状の立体形状と、ブラダーバッグ本体22の角部29gを含む箇所に対応した滑らかな面と、を有する。第3ソリッド部材84は、突条部86に対向する複合材料10の凸状の形状に対応した凹状の立体形状と、ブラダーバッグ本体22の突条部86を含む箇所に対応した滑らかな面と、を有する。
【0105】
ブラダーバッグ80は、以上のような構成を有するので、第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84により、複合材料10の内部の面からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。また、ブラダーバッグ80は、第1ソリッド部材82aにより、角部29hに接続されているワイヤ24による張力からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができ、第2ソリッド部材82bにより、角部29gに接続されているワイヤ24による張力からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。
【0106】
また、ブラダーバッグ80は、第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84がブラダーバッグ本体22の外部の面側に設けられるので、第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84をブラダーバッグ本体22の外部の面の所定の位置に精度よく配置することができる。そのため、ブラダーバッグ80は、ブラダーバッグ本体22の所定の位置をより確実に、好適に保護することができる。
【0107】
ブラダーバッグ80は、第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84に限定されず、その他の箇所にソリッド部材が追加して設けられてもよい。例えば、ブラダーバッグ80は、複合材料10の内部の面において、突起、突状または面が不連続となっている箇所に対応する箇所にソリッド部材が設けられてもよい。この場合、ブラダーバッグ80は、設けられたソリッド部材により、複合材料10の内部の面における突起、突状及び面が不連続となっている箇所からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。
【0108】
第6の実施形態に係る複合材料10の成形方法を説明する。第6の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、第1の実施形態と同様に、配置ステップ(ステップS12)と、成形ステップ(ステップS14)と、取出ステップ(ステップS16)と、を含む。第6の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS12、ステップS14及びステップS16は、第1の実施形態において、ブラダーバッグ20をブラダーバッグ80に変更したものである。第6の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS16では、ブラダーバッグ本体22と、第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84とが、同時に取り出される。
【0109】
第6の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、以上のような構成を有するので、第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84により、複合材料10の内部の面からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。また、第6の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、第1ソリッド部材82aにより、角部29hに接続されているワイヤ24による張力からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができ、第2ソリッド部材82bにより、角部29gに接続されているワイヤ24による張力からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。
【0110】
また、第6の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84をブラダーバッグ本体22の外部の面側に設けるので、第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84をブラダーバッグ本体22の外部の面の所定の位置に精度よく配置することができる。そのため、第6の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、ブラダーバッグ本体22の所定の位置をより確実に、好適に保護することができる。
【0111】
第6の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、例えば、ブラダーバッグ80に、複合材料10の内部の面において、突起、突状または面が不連続となっている箇所に対応する箇所にソリッド部材が設けられていてもよい。この場合、第6の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、設けられたソリッド部材により、複合材料10の内部の面における突起、突状及び面が不連続となっている箇所からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。
【0112】
なお、第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84を含むソリッド部材は、ブラダーバッグ20の他に、ブラダーバッグ40、ブラダーバッグ50、ブラダーバッグ60及びブラダーバッグ70のそれぞれにおいて、追加して設けられてもよい。ブラダーバッグ60及びブラダーバッグ70のそれぞれにおいて、ソリッド部材が追加して設けられる場合には、ソリッド部材は、脱気回路52の内側に設けられてもよいし、外側に設けられてもよい。これらの場合にも、ブラダーバッグ20にソリッド部材が追加して設けられた場合と同様に、第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84を含むソリッド部材により、複合材料10の内部の面からブラダーバッグ本体22またはブラダーバッグ本体42を好適に保護することができる。
【0113】
また、これらのソリッド部材がブラダーバッグ40に追加して設けられた場合において、ソリッド部材とワイヤ44が設けられている箇所が同じ場合には、ブラダーバッグ20にソリッド部材が追加して設けられた場合と同様に、ソリッド部材により、ワイヤ44による張力からブラダーバッグ本体42を好適に保護することができる。また、これらのソリッド部材がブラダーバッグ60に追加して設けられた場合において、ソリッド部材と紐62が設けられている箇所が同じ場合には、ソリッド部材により、紐62による張力からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。
【0114】
また、ブラダーバッグ40、ブラダーバッグ50、ブラダーバッグ60及びブラダーバッグ70のそれぞれにおいて、第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84を含むソリッド部材が追加して設けられたブラダーバッグを用いて、第6の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様の複合材料10の成形方法を実施してもよい。これらの場合にも、ブラダーバッグ80を用いる第6の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様に、第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84を含むソリッド部材により、複合材料10の内部の面からブラダーバッグ本体22またはブラダーバッグ本体42を好適に保護することができる。
【0115】
また、ワイヤ44が設けられている箇所と同じ場所にこれらのソリッド部材が追加して設けられたブラダーバッグ40を用いて、第6の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様の複合材料10の成形方法を実施してもよい。この場合には、ブラダーバッグ20にソリッド部材が追加して設けられた場合と同様に、ソリッド部材により、ワイヤ44による張力からブラダーバッグ本体42を好適に保護することができる。また、紐62が設けられている箇所と同じ場所にこれらのソリッド部材が追加して設けられたブラダーバッグ60を用いて、第6の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様の複合材料10の成形方法を実施してもよい。この場合には、ソリッド部材により、紐62による張力からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。
【0116】
[第7の実施形態]
図15は、第7の実施形態に係るブラダーバッグ90及び複合材料10の成形方法における一状態を示す断面図である。ブラダーバッグ90は、複合材料10の内部から圧力を加えることで、複合材料10の内部を成形する。ブラダーバッグ90は、ブラダーバッグ20において、ブラダーバッグ本体22の外部の面側に第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94が追加して設けられたものである。なお、
図15では、ワイヤ24が省略されている。第7の実施形態の説明では、第1の実施形態と同様の構成に第1の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0117】
ブラダーバッグ90は、
図15に示すように、ブラダーバッグ本体22の外部の面側に設けられた第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94をさらに含む。第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94は、いずれも、第6の実施形態に係る第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84と同様の性質を有し、同様の材料が用いられる。
【0118】
第1ソリッド部材92aは、第1ソリッド部材82aと同様の箇所に設けられており、第1ソリッド部材82aと同様の形状を有する。第2ソリッド部材92bは、第2ソリッド部材82bと同様の箇所に設けられており、第2ソリッド部材82bと同様の形状を有する。第3ソリッド部材94は、第3ソリッド部材84と同様の箇所に設けられており、第3ソリッド部材84と同様の形状を有する。
【0119】
第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94は、複合材料10の内面に固着して設けられる。第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94は、ブラダーバッグ本体22の外部の面側には接触している状態となる。第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94は、用いられている材料の性質を利用して複合材料10の内面に固着されてもよいし、接着部材を用いて接着されてもよい。この接着部材は、複合材料10の成形の際に加えられる熱に耐性があるという性質を有する。この接着部材は、耐熱性の接着剤が例示される。
【0120】
ブラダーバッグ90は、以上のような構成を有するので、第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94により、複合材料10の内部の面からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。また、ブラダーバッグ90は、第1ソリッド部材92aによりブラダーバッグ本体22の角部29hの付近をより凹凸が緩やかな面状にするため、角部29hに接続されているワイヤ24による張力からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。また、ブラダーバッグ90は、第2ソリッド部材92bによりブラダーバッグ本体22の角部29gの付近をより凹凸が緩やかな面状にするため、角部29gに接続されているワイヤ24による張力からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。
【0121】
また、ブラダーバッグ90は、第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94が複合材料10の内部の面側に設けられているので、第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94を複合材料10の内部の面の所定の位置に精度よく配置することができる。そのため、ブラダーバッグ90は、複合材料10の内部の面からより確実に、ブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。
【0122】
ブラダーバッグ90は、第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94に限定されず、その他の箇所にソリッド部材が追加して設けられてもよい。例えば、ブラダーバッグ90は、複合材料10の内部の面において、突起、突状または面が不連続となっている箇所に対応する箇所にソリッド部材が設けられてもよい。この場合、ブラダーバッグ90は、設けられたこれらのソリッド部材により、複合材料10の内部の面における突起、突状及び面が不連続となっている箇所からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。
【0123】
第7の実施形態に係る複合材料10の成形方法を説明する。第7の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、第1の実施形態と同様に、配置ステップ(ステップS12)と、成形ステップ(ステップS14)と、取出ステップ(ステップS16)と、を含む。第7の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS12、ステップS14及びステップS16は、第1の実施形態において、ブラダーバッグ20をブラダーバッグ90に変更したものである。
【0124】
第7の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS12では、まず、複合材料10の内部の所定の位置に、第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94を配置し、固着させる。第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94の固着は、用いられている材料の性質を利用して行われてもよいし、接着部材を用いて接着してもよい。第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94の固着の後、ブラダーバッグ本体22を含む、ブラダーバッグ90における第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94以外の部分、すなわちブラダーバッグ20に相当する部分を複合材料10の内部の入口側から挿入して、複合材料10の内部に配置する。
【0125】
第7の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS16では、まず、ブラダーバッグ本体22を含む、ブラダーバッグ90における第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94以外の部分、すなわちブラダーバッグ20に相当する部分を複合材料10の内部の入口側から取り出す。その後、第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94を除去する。第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94の除去は、第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94を物理的に取り出してもよいし、第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94を溶媒に溶解させて除去してもよい。第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94を溶媒に溶解させて除去する方法としては、第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94に水溶性の石膏が用いられ、水で水溶性の石膏を溶かして除去することが例示される。
【0126】
第7の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、以上のような構成を有するので、第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94により、複合材料10の内部の面からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。また、第7の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、第1ソリッド部材92aによりブラダーバッグ本体22の角部29hの付近がより凹凸が緩やかな面状になるため、角部29hに接続されているワイヤ24による張力からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。また、第7の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、第2ソリッド部材92bによりブラダーバッグ本体22の角部29gの付近がより凹凸が緩やかな面状になるため、角部29gに接続されているワイヤ24による張力からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。
【0127】
また、第7の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94を複合材料10の内部の面側に設けるので、第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94を複合材料10の内部の面の所定の位置に精度よく配置することができる。そのため、第7の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、複合材料10の内部の面からより確実にブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。
【0128】
第7の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、例えば、ブラダーバッグ90に、複合材料10の内部の面において、突起、突状または面が不連続となっている箇所に対応する箇所にソリッド部材が設けられていてもよい。この場合、第7の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、設けられたソリッド部材により、複合材料10の内部の面における突起、突状及び面が不連続となっている箇所からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。
【0129】
なお、第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94を含むソリッド部材は、ブラダーバッグ20の他に、ブラダーバッグ40、ブラダーバッグ50、ブラダーバッグ60及びブラダーバッグ70のそれぞれにおいて、追加して設けられてもよい。ブラダーバッグ60及びブラダーバッグ70のそれぞれにおいて、これらのソリッド部材が追加して設けられる場合には、ソリッド部材は、脱気回路52の外側に設けられる。これらの場合にも、ブラダーバッグ20にこれらのソリッド部材が追加して設けられた場合と同様に、第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94を含むソリッド部材により、複合材料10の内部の面からより確実に、ブラダーバッグ本体22またはブラダーバッグ本体42を好適に保護することができる。
【0130】
また、これらのソリッド部材がブラダーバッグ40に追加して設けられた場合において、ソリッド部材とワイヤ44が設けられている箇所が同じ場合には、ブラダーバッグ20にソリッド部材が追加して設けられた場合と同様に、ソリッド部材によりワイヤ44の付近をより凹凸が緩やかな面状にするため、ワイヤ44による張力からブラダーバッグ本体42を好適に保護することができる。また、これらのソリッド部材がブラダーバッグ60に追加して設けられた場合において、ソリッド部材と紐62が設けられている箇所が同じ場合には、ソリッド部材により紐62の付近をより凹凸が緩やかな面状にするため、紐62による張力からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。
【0131】
また、ブラダーバッグ40、ブラダーバッグ50、ブラダーバッグ60及びブラダーバッグ70のそれぞれにおいて、第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94を含むソリッド部材が追加して設けられたブラダーバッグを用いて、第7の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様の複合材料10の成形方法を実施してもよい。これらの場合にも、ブラダーバッグ90を用いる第7の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様に、第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94を含むソリッド部材により、複合材料10の内部の面からブラダーバッグ本体22またはブラダーバッグ本体42を好適に保護することができる。
【0132】
また、ワイヤ44が設けられている箇所と同じ場所にこれらのソリッド部材が追加して設けられたブラダーバッグ40を用いて、第7の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様の複合材料10の成形方法を実施してもよい。この場合には、ブラダーバッグ20にソリッド部材が追加して設けられた場合と同様に、ソリッド部材によりワイヤ44の付近をより凹凸が緩やかな面状にするため、ワイヤ44による張力からブラダーバッグ本体42を好適に保護することができる。また、紐62が設けられている箇所と同じ場所にこれらのソリッド部材が追加して設けられたブラダーバッグ60を用いて、第7の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様の複合材料10の成形方法を実施してもよい。この場合には、ソリッド部材により紐62の付近をより凹凸が緩やかな面状にするため、紐62による張力からブラダーバッグ本体22を好適に保護することができる。
【0133】
また、第6の実施形態で設けられた第1ソリッド部材82a、第2ソリッド部材82b及び第3ソリッド部材84を含むブラダーバッグ本体22またはブラダーバッグ本体42の外部の面側に接着して設けられている第1群のソリッド部材と、第7の実施形態で設けられた第1ソリッド部材92a、第2ソリッド部材92b及び第3ソリッド部材94を含む複合材料10の内部の面側に固着して設けられている第2群のソリッド部材と、が併用されてもよい。この場合には、ブラダーバッグ本体22またはブラダーバッグ本体42の外部の面側におけるソリッド部材の位置精度を上げたい箇所には第1群のソリッド部材を用い、複合材料10の内部の面側におけるソリッド部材の位置精度を上げたい箇所には第2群のソリッド部材を用いることが好ましい。
【0134】
[第8の実施形態]
図16は、第8の実施形態に係るブラダーバッグ100及び複合材料10の成形方法における一状態を示す断面図である。ブラダーバッグ100は、複合材料10の内部から圧力を加えることで、複合材料10の内部を成形する。ブラダーバッグ100は、ブラダーバッグ20において、ブラダーバッグ本体22の内部の面側にセンサ102a、センサ102b、センサ102c、センサ102d、センサ102e、センサ102f、センサ102g、センサ102h、センサ102i、センサ102j、センサ102k及びセンサ102lと、空気導入口28からセンサ102aからセンサ102lにそれぞれ接続されている配線104と、が追加して設けられたものである。なお、
図16では、ワイヤ24が省略されている。また、
図16では、配線104の半分が省略されている。第8の実施形態の説明では、第1の実施形態と同様の構成に第1の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0135】
ブラダーバッグ100は、
図16に示すように、ブラダーバッグ本体22の内部の面側に設けられた複数のセンサであるセンサ102aからセンサ102lと、空気導入口28から複数のセンサであるセンサ102aからセンサ102lにそれぞれ接続されている配線104と、を含む。センサ102aからセンサ102lは、いずれも、複合材料10の内部の物理量を測定する。センサ102aからセンサ102lが測定する物理量には、温度及び空気圧が例示される。すなわち、センサ102aからセンサ102lは、温度センサ及び空気圧センサが例示される。配線104は、電気および情報の伝達が可能であり、複合材料10の成形の際に加えられる熱に耐性があるという性質を有する。配線104は、例えば、金属製の導線が例示される。なお、本実施形態では、有線で情報通信可能なセンサ102aからセンサ102l及び配線104が用いられているが、これに限定されることなく、これらのセンサ102aからセンサ102l及び配線104に代えて、無線で情報通信可能なセンサが用いられても良い。
【0136】
ブラダーバッグ100は、複数のセンサ102aからセンサ102lを、ブラダーバッグ本体22の内部に分散して有している。詳細には、ブラダーバッグ100は、
図16に示すように、第1空間成形部27aの奥側にセンサ102a及びセンサ102bを有し、第1空間成形部27aの入口側にセンサ102c及びセンサ102dを有し、第2空間成形部27bの奥側にセンサ102e及びセンサ102fを有し、第2空間成形部27bの入口側にセンサ102g及びセンサ102hを有し、第3空間成形部27cの奥側にセンサ102i及びセンサ102jを有し、第3空間成形部27cの入口側にセンサ102k及びセンサ102lを有する。センサ102a及びセンサ102bは、それぞれ、第1空間成形部27aの奥側における物理量を測定する。センサ102c及びセンサ102dは、それぞれ、第1空間成形部27aの入口側における物理量を測定する。センサ102e及びセンサ102fは、それぞれ、第2空間成形部27bの奥側における物理量を測定する。センサ102g及びセンサ102hは、それぞれ、第2空間成形部27bの入口側における物理量を測定する。センサ102i及びセンサ102jは、それぞれ、第3空間成形部27cの奥側における物理量を測定する。センサ102k及びセンサ102lは、それぞれ、第3空間成形部27cの入口側における物理量を測定する。
【0137】
センサ102aからセンサ102lで測定された物理量に関する情報は、センサ102aからセンサ102lがそれぞれ接続されている配線104を介して、センサ102aからセンサ102lを制御する制御部に取り込まれる。制御部は、センサ102aからセンサ102lで測定された物理量に関する情報に基づいて、ブラダーバッグ本体22に導入する空気の圧力を制御したり、複合材料10を加熱する温度を制御したりすることができる。
【0138】
ブラダーバッグ100は、以上のような構成を有するので、ブラダーバッグ100の内部における複合材料10の成形条件を測定し、制御することができる。ブラダーバッグ100は、複数のセンサ102aからセンサ102lがブラダーバッグ本体22の内部に分散して設けられているので、ブラダーバッグ100の内部における複合材料10の成形条件を精度よく測定し、制御することができる。
【0139】
なお、ブラダーバッグ100は、センサ102aからセンサ102lが任意の場所に設けられてもよい。ブラダーバッグ100は、センサ102aからセンサ102lが、複合材料10を品質保証する上で必要な場所に設けられることが好ましい。この場合、ブラダーバッグ100は、成形される複合材料10の品質を好適に保証することができる。
【0140】
また、ブラダーバッグ100は、配線104がワイヤ24と一部または全部を同化して設けられてもよい。この場合、ブラダーバッグ100は、ブラダーバッグ本体22の内部の構成が簡易化する。すなわち、ブラダーバッグ100は、センサ102aからセンサ102lが設けられても、ブラダーバッグ本体22の内部の構成が複雑化しない。この場合、ブラダーバッグ100は、扱いやすくなるとともに、ブラダーバッグ100の1つあたりにかかる費用を低減することができる。
【0141】
第8の実施形態に係る複合材料10の成形方法を説明する。第8の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、第1の実施形態と同様に、配置ステップ(ステップS12)と、成形ステップ(ステップS14)と、取出ステップ(ステップS16)と、を含む。第8の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS12、ステップS14及びステップS16は、第1の実施形態において、ブラダーバッグ20をブラダーバッグ100に変更したものである。
【0142】
第8の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS14では、さらに、空気で膨張させたブラダーバッグ本体22が複合材料10の内部を加圧している状態で、複合材料10を加熱しているときに、センサ102aからセンサ102lにより、ブラダーバッグ本体22の内部の空気圧と、温度と、を測定する。制御部は、各配線104を介して、センサ102aからセンサ102lで測定された空気圧及び温度の情報を取り込み、これらの空気圧及び温度の情報に基づいて、ブラダーバッグ本体22に導入する空気の圧力を制御したり、複合材料10を加熱する温度を制御したりすることで、複合材料の成形条件を制御する。
【0143】
第8の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、以上のような構成を有するので、ブラダーバッグ100の内部における複合材料10の成形条件を測定し、制御することができる。ブラダーバッグ100は、複数のセンサ102aからセンサ102lがブラダーバッグ本体22の内部に分散して設けられているので、ブラダーバッグ100の内部における複合材料10の成形条件を精度よく測定し、制御することができる。
【0144】
また、第8の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、ブラダーバッグ100のセンサ102aからセンサ102lが任意の場所に設けられてもよい。第8の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、ブラダーバッグ100のセンサ102aからセンサ102lが、複合材料10を品質保証する上で必要な場所に設けられることが好ましい。この場合、第8の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、成形される複合材料10の品質を好適に保証することができる。
【0145】
また、第8の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、ブラダーバッグ100の配線104がワイヤ24と一部または全部を同化して設けられてもよい。この場合、第8の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、ブラダーバッグ100のブラダーバッグ本体22の内部の構成が簡易化する、すなわち、ブラダーバッグ100にセンサ102aからセンサ102lが設けられてもブラダーバッグ本体22の内部の構成が複雑化しないので、ブラダーバッグ100が扱いやすくなるとともに、ブラダーバッグ100の1つあたりにかかる費用を低減することができる。
【0146】
なお、センサ102aからセンサ102l及び配線104は、ブラダーバッグ20の他に、ブラダーバッグ40、ブラダーバッグ50、ブラダーバッグ60、ブラダーバッグ70、ブラダーバッグ80及びブラダーバッグ90のそれぞれにおいて、追加して設けられてもよい。これらの場合にも、ブラダーバッグ20にセンサ102aからセンサ102l及び配線104が追加して設けられたブラダーバッグ100の場合と同様に、ブラダーバッグの内部における複合材料10の成形条件を精度よく測定し、制御することができる。
【0147】
また、ブラダーバッグ40、ブラダーバッグ50、ブラダーバッグ60、ブラダーバッグ70、ブラダーバッグ80及びブラダーバッグ90のそれぞれにおいてセンサ102aからセンサ102l及び配線104が追加して設けられた場合も、ブラダーバッグ100の場合と同様に、センサ102aからセンサ102lが任意の場所に設けられてもよく、センサ102aからセンサ102lが、複合材料10を品質保証する上で必要な場所に設けられることが好ましい。この場合、これらのブラダーバッグは、成形される複合材料10の品質を好適に保証することができる。
【0148】
また、ブラダーバッグ40においてセンサ102aからセンサ102l及び配線104が追加して設けられた場合、ブラダーバッグ100の場合と同様に、配線104がワイヤ44と一部または全部を同化して設けられてもよい。この場合、このブラダーバッグは、ブラダーバッグ本体42の内部の構成が簡易化する。すなわち、このブラダーバッグは、センサ102aからセンサ102lが設けられても、ブラダーバッグ本体42の内部の構成が複雑化しない。この場合、このブラダーバッグは、扱いやすくなるとともに、このブラダーバッグの1つあたりにかかる費用を低減することができる。
【0149】
また、ブラダーバッグ40、ブラダーバッグ50、ブラダーバッグ60、ブラダーバッグ70、ブラダーバッグ80及びブラダーバッグ90のそれぞれにおいてセンサ102aからセンサ102l及び配線104が追加して設けられたブラダーバッグを用いて、第8の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様の複合材料10の成形方法を実施してもよい。これらの場合にも、ブラダーバッグ100を用いる第8の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様に、ブラダーバッグの内部における複合材料10の成形条件を精度よく測定し、制御することができる。また、第8の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様のこれらの複合材料10の成形方法は、これらのセンサ102aからセンサ102l及び配線104が任意の場所に設けられてもよく、センサ102aからセンサ102lが、複合材料10を品質保証する上で必要な場所に設けられることが好ましい。この場合、これらのブラダーバッグは、成形される複合材料10の品質を好適に保証することができる。
【0150】
また、ブラダーバッグ40においてセンサ102aからセンサ102l及び配線104が追加して設けられ、配線104がワイヤ44と一部または全部を同化して設けられたブラダーバッグを用いて、第8の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様の複合材料10の成形方法を実施してもよい。この場合、この複合材料10の成形方法は、このブラダーバッグのブラダーバッグ本体42の内部の構成が簡易化するので、すなわち、このブラダーバッグのブラダーバッグ本体42の内部の構成がセンサ102aからセンサ102lが設けられても複雑化しないので、このブラダーバッグが扱いやすくなるとともに、このブラダーバッグの1つあたりにかかる費用を低減することができる。
【0151】
[第9の実施形態]
図17は、第9の実施形態に係るブラダーバッグ110及び複合材料10の成形方法における一状態を示す断面図である。ブラダーバッグ110は、複合材料10の内部から圧力を加えることで、複合材料10の内部を成形する。ブラダーバッグ110は、ブラダーバッグ20において、ブラダーバッグ本体22の第1狭隘成形部26a及び第2狭隘成形部26bのそれぞれを接続及び分離することを可能にする第1接続部114a及び第2接続部114bが追加して設けられたものである。なお、
図17では、ワイヤ24が省略されている。第9の実施形態の説明では、第1の実施形態と同様の構成に第1の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0152】
ブラダーバッグ110に含まれるブラダーバッグ本体22は、
図17に示すように、第1狭隘成形部26aに、第1狭隘成形部26aが機械的に接続及び分離することを可能にする第1接続部114aを有し、第2狭隘成形部26bに、第2狭隘成形部26bが機械的に接続及び分離することを可能にする第2接続部114bを有する。ブラダーバッグ本体22は、第1接続部114a及び第2接続部114bで分離されることで、第1ブラダーバッグ分体112aと、第2ブラダーバッグ分体112bと、第3ブラダーバッグ分体112cと、に分離される。
【0153】
第1ブラダーバッグ分体112aは、第1接続部114aの一方と、第1狭隘成形部26aを含む第1狭隘成形部26aより奥側の部分、すなわち、第1狭隘成形部26aと、第1空間成形部27aと、第1空間成形部27aに接続されたワイヤ24と、を含む。第2ブラダーバッグ分体112bは、第1接続部114aの他方と、第2接続部114bの一方と、第1狭隘成形部26aより入口側であり、第2狭隘成形部26bを含む第2狭隘成形部26bより奥側の部分、すなわち、第2狭隘成形部26bと、第2空間成形部27bと、第2空間成形部27bに接続されたワイヤ24と、を含む。第3ブラダーバッグ分体112cは、第2接続部114bの他方と、第2狭隘成形部26bより入口側であり、第3狭隘成形部26cを含む第3狭隘成形部26cより奥側の部分、すなわち、第3狭隘成形部26cと、第3空間成形部27cと、第3空間成形部27cに接続されたワイヤ24と、を含む。第1ブラダーバッグ分体112a、第2ブラダーバッグ分体112b及び第3ブラダーバッグ分体112cは、いずれも、空間成形部を1つのみ有している。
【0154】
第1接続部114a及び第2接続部114bは、ブラダーバッグ本体22の内部に空気が導入されても接続が外れることなく、複合材料10の成形の際に加えられる熱に耐性があるという性質を有する。第1接続部114a及び第2接続部114bは、金属製の接続部及び耐熱性のプラスチック製の接続部が例示される。
【0155】
また、第1接続部114a及び第2接続部114bは、圧力弁を有することが好ましい。第1接続部114aに設けられた圧力弁は、第1ブラダーバッグ分体112aの内部の空気圧と第2ブラダーバッグ分体112bの内部の空気圧との間で差圧を設けることができる。第2接続部114bに設けられた圧力弁は、第2ブラダーバッグ分体112bの内部の空気圧と第3ブラダーバッグ分体112cの内部の空気圧との間で差圧を設けることができる。すなわち、この場合には、ブラダーバッグ110は、第1ブラダーバッグ分体112a、第2ブラダーバッグ分体112b及び第3ブラダーバッグ分体112cの各内部の空気の圧力を異なる値に設定することができる。これらの圧力弁には、ワイヤ24が丁度通過する貫通孔が、ワイヤ24の本数に応じて設けられている。
【0156】
ブラダーバッグ110は、以上のような構成を有するので、ブラダーバッグ本体22の奥側のブラダーバッグ分体から順に、複合材料10の内部に配置することができるため、容易に複合材料10の内部に配置することができる。また、ブラダーバッグ110は、ブラダーバッグ本体22の入口側のブラダーバッグ分体から順に、複合材料10の内部から取り出すことができるため、複合材料10の内部からより容易に取り出すことができる。ブラダーバッグ110は、ブラダーバッグ分体ごとにワイヤ24を識別可能とするのが好ましく、この場合には、より容易にブラダーバッグ本体22の入口側のブラダーバッグ分体から順に、複合材料10の内部から取り出すことができる。
【0157】
第9の実施形態に係る複合材料10の成形方法を説明する。第9の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、第1の実施形態と同様に、配置ステップ(ステップS12)と、成形ステップ(ステップS14)と、取出ステップ(ステップS16)と、を含む。第9の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS12、ステップS14及びステップS16は、第1の実施形態において、ブラダーバッグ20をブラダーバッグ110に変更したものである。
【0158】
第9の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS12では、まず、第1ブラダーバッグ分体112a、第2ブラダーバッグ分体112b及び第3ブラダーバッグ分体112cを、それぞれ分離された状態とする。次に、第1ブラダーバッグ分体112aを複合材料10の第1空間部14a及び第1狭隘部12aに配置する。そして、第2ブラダーバッグ分体112bを複合材料10の第2空間部14b及び第2狭隘部12bに配置してから、第1ブラダーバッグ分体112aと第2ブラダーバッグ分体112bとを第1接続部114aで接続する。その後に、第3ブラダーバッグ分体112cを複合材料10の第3空間部14c及び第3狭隘部12cに配置してから、第2ブラダーバッグ分体112bと第3ブラダーバッグ分体112cとを第2接続部114bで接続する。
【0159】
第9の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS14では、第1接続部114a及び第2接続部114bが圧力弁を有する場合には、第1ブラダーバッグ分体112a、第2ブラダーバッグ分体112b及び第3ブラダーバッグ分体112cの各内部の空気の圧力を異なる値に設定することができる。
【0160】
第9の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS16では、まず、第2ブラダーバッグ分体112bと第3ブラダーバッグ分体112cとを第2接続部114bで分離してから、第3ブラダーバッグ分体112cを複合材料10の第3空間部14c及び第3狭隘部12cから取り出す。次に、第1ブラダーバッグ分体112aと第2ブラダーバッグ分体112bとを第1接続部114aで分離してから、第2ブラダーバッグ分体112bを複合材料10の第2空間部14b及び第2狭隘部12bから取り出す。そして、第1ブラダーバッグ分体112aを複合材料10の第1空間部14a及び第1狭隘部12aから取り出す。
【0161】
第9の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、以上のような構成を有するので、ブラダーバッグ110を、ブラダーバッグ本体22の奥側のブラダーバッグ分体から順に、複合材料10の内部に配置することができるため、容易にブラダーバッグを複合材料10の内部に配置することができる。また、第9の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、ブラダーバッグ110を、ブラダーバッグ本体22の入口側のブラダーバッグ分体から順に、複合材料10の内部から取り出すことができるため、複合材料10の内部からより容易に取り出すことができる。第9の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、ブラダーバッグ110がブラダーバッグ分体ごとにワイヤ24を識別可能とされているのが好ましく、この場合には、より容易にブラダーバッグ本体22の入口側のブラダーバッグ分体から順に、複合材料10の内部からブラダーバッグ110を取り出すことができる。
【0162】
また、第9の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、第1接続部114a及び第2接続部114bは、圧力弁を有することが好ましい。この場合、第9の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、第1接続部114aに設けられた圧力弁により、第1ブラダーバッグ分体112aの内部の空気圧と第2ブラダーバッグ分体112bの内部の空気圧との間で差圧を設けることができる。また、第9の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、第2接続部114bに設けられた圧力弁により、第2ブラダーバッグ分体112bの内部の空気圧と第3ブラダーバッグ分体112cの内部の空気圧との間で差圧を設けることができる。すなわち、この場合には、第9の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、第1ブラダーバッグ分体112a、第2ブラダーバッグ分体112b及び第3ブラダーバッグ分体112cの各内部の空気の圧力を異なる値に設定することができる。これにより、第9の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、複合材料10の成形に係る加圧条件の自由度を向上させることができる。
【0163】
なお、ブラダーバッグ20の他に、ブラダーバッグ40、ブラダーバッグ50、ブラダーバッグ60、ブラダーバッグ70、ブラダーバッグ80、ブラダーバッグ90及びブラダーバッグ100のそれぞれにおいて、ブラダーバッグ本体22またはブラダーバッグ本体42を機械的に接続及び分離することを可能にする第1接続部114a及び第2接続部114bが追加して設けられてもよい。これらの場合にも、ブラダーバッグ20に第1接続部114a及び第2接続部114bが追加して設けられたブラダーバッグ110の場合と同様に、容易に複合材料10の内部に配置することができ、複合材料10の内部からより容易に取り出すことができる。
【0164】
また、ブラダーバッグ40において第1接続部114a及び第2接続部114bが追加して設けられる場合には、ブラダーバッグ110と同様に、ブラダーバッグ分体ごとにワイヤ44を識別可能とするのが好ましく、この場合には、より容易にブラダーバッグ本体42の入口側のブラダーバッグ分体から順に、複合材料10の内部から取り出すことができる。また、ブラダーバッグ100において第1接続部114a及び第2接続部114bが追加して設けられる場合には、ブラダーバッグ110と同様に、ブラダーバッグ分体ごとに配線104を識別可能とするのが好ましく、この場合には、より容易にブラダーバッグ本体22の入口側のブラダーバッグ分体から順に、複合材料10の内部から取り出すことができる。
【0165】
また、ブラダーバッグ40、ブラダーバッグ50、ブラダーバッグ60、ブラダーバッグ70、ブラダーバッグ80、ブラダーバッグ90及びブラダーバッグ100のそれぞれにおいて第1接続部114a及び第2接続部114bが追加して設けられた場合も、ブラダーバッグ110の場合と同様に、第1接続部114a及び第2接続部114bが圧力弁を有することが好ましい。この場合も、ブラダーバッグ110の場合と同様に、第1接続部114aに設けられた圧力弁により、第1ブラダーバッグ分体112aの内部の空気圧と第2ブラダーバッグ分体112bの内部の空気圧との間で差圧を設けることができ、第2接続部114bに設けられた圧力弁により、第2ブラダーバッグ分体112bの内部の空気圧と第3ブラダーバッグ分体112cの内部の空気圧との間で差圧を設けることができる。すなわち、この場合にも、ブラダーバッグ110と同様に、第1ブラダーバッグ分体112a、第2ブラダーバッグ分体112b及び第3ブラダーバッグ分体112cの各内部の空気の圧力を異なる値に設定することができる。
【0166】
また、ブラダーバッグ40において第1接続部114a及び第2接続部114bが追加して設けられる場合には、ブラダーバッグ110と同様に、これらの圧力弁には、ワイヤ44が丁度通過する貫通孔が、ワイヤ44の本数に応じて設けられている。また、ブラダーバッグ100において第1接続部114a及び第2接続部114bが追加して設けられる場合には、ブラダーバッグ110と同様に、これらの圧力弁には、配線104が丁度通過する貫通孔が、配線104の本数に応じて設けられている。
【0167】
また、ブラダーバッグ40、ブラダーバッグ50、ブラダーバッグ60、ブラダーバッグ70、ブラダーバッグ80、ブラダーバッグ90及びブラダーバッグ100のそれぞれにおいて第1接続部114a及び第2接続部114bが追加して設けられたブラダーバッグを用いて、第9の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様の複合材料10の成形方法を実施してもよい。これらの場合にも、ブラダーバッグ110を用いる第9の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様に、容易にブラダーバッグを複合材料10の内部に配置することができ、複合材料10の内部からより容易にブラダーバッグを取り出すことができる。
【0168】
また、ブラダーバッグ40において第1接続部114a及び第2接続部114bが追加して設けられたブラダーバッグが用いられる場合には、この複合材料10の成形方法は、ブラダーバッグ110が用いられる場合と同様に、ブラダーバッグ分体ごとにワイヤ44を識別可能とされているのが好ましく、この場合には、より容易にブラダーバッグ本体42の入口側のブラダーバッグ分体から順に、複合材料10の内部から取り出すことができる。また、ブラダーバッグ100において第1接続部114a及び第2接続部114bが追加して設けられたブラダーバッグが用いられる場合には、この複合材料10の成形方法は、ブラダーバッグ110が用いられる場合と同様に、ブラダーバッグ分体ごとに配線104を識別可能とされているのが好ましく、この場合には、より容易にブラダーバッグ本体22の入口側のブラダーバッグ分体から順に、複合材料10の内部から取り出すことができる。
【0169】
また、ブラダーバッグ40、ブラダーバッグ50、ブラダーバッグ60、ブラダーバッグ70、ブラダーバッグ80、ブラダーバッグ90及びブラダーバッグ100のそれぞれにおいて第1接続部114a及び第2接続部114bが追加して設けられたブラダーバッグを用いて、第9の実施形態に係る複合材料10の成形方法と同様の複合材料10の成形方法を実施する場合において、第1接続部114a及び第2接続部114bが圧力弁を有することが好ましい。この場合、これらの複合材料10の成形方法は、第1接続部114aに設けられた圧力弁により、第1ブラダーバッグ分体112aの内部の空気圧と第2ブラダーバッグ分体112bの内部の空気圧との間で差圧を設けることができる。また、これらの複合材料10の成形方法は、第2接続部114bに設けられた圧力弁により、第2ブラダーバッグ分体112bの内部の空気圧と第3ブラダーバッグ分体112cの内部の空気圧との間で差圧を設けることができる。すなわち、この場合には、これらの複合材料10の成形方法は、第1ブラダーバッグ分体112a、第2ブラダーバッグ分体112b及び第3ブラダーバッグ分体112cの各内部の空気の圧力を異なる値に設定することができる。これにより、これらの複合材料10の成形方法は、複合材料10の成形に係る加圧条件の自由度を向上させることができる。
【0170】
[第10の実施形態]
第10の実施形態に係るブラダーバッグは、第9の実施形態に係るブラダーバッグの変形例である。第10の実施形態に係るブラダーバッグは、第9の実施形態に係るブラダーバッグにおいて、第9の実施形態に係るブラダーバッグの複数のブラダーバッグ分体のうち、複合材料10の内部の空間の奥側から配置される順に1つ又は複数が、複合材料10の内部の空間に残されるように構成されたものである。第10の実施形態の説明では、第9の実施形態と同様の構成に第9の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0171】
第10の実施形態に係るブラダーバッグにおいて、複合材料10の内部の空間に残されるように構成されたブラダーバッグ分体は
、ステップS16で取り出されることなく、複合材料10の内部の空間に残される。この複合材料10の内部の空間に残されたブラダーバッグ分体は、複合材料10と一体となることが可能な材料で構成されている。複合材料10と一体となったブラダーバッグ分体は、例えば、航空機、自動車及び船舶等の燃料タンクに用いられる。
【0172】
第10の実施形態に係るブラダーバッグは、複合材料10と一体となるように構成されたブラダーバッグ分体に接続されていたワイヤ24、ワイヤ44、脱気回路52、紐62、磁石72、各ソリッド部材、各センサ及び配線104が除去されている。あるいは、第10の実施形態に係るブラダーバッグは、複合材料10と一体となるように構成されたブラダーバッグ分体に接続されていたワイヤ24、ワイヤ44、脱気回路52、紐62、磁石72、各ソリッド部材、各センサ及び配線104が、複合材料10と一体となるように構成されているブラダーバッグ分体のうち最も入口側にあるブラダーバッグ分体と隣接するブラダーバッグ分体を取り出す際に、取り出されるように構成されている。
【0173】
第10の実施形態に係るブラダーバッグは、以上のような構成を有するので、複合材料10の設計の都合上、複合材料10が極端に狭い空間を有するために、配置したブラダーバッグ本体を取り出すことが極めて困難となる場合において、その極端に狭い空間に配置したブラダーバッグ分体を取り出さずに、ブラダーバッグ本体の一部であるブラダーバッグ分体を好適に再利用することができる。
【0174】
第10の実施形態に係る複合材料10の成形方法を説明する。第10の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、第9の実施形態と同様に、配置ステップ(ステップS12)と、成形ステップ(ステップS14)と、取出ステップ(ステップS16)と、を含む。第10の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS12、ステップS14及びステップS16は、第9の実施形態において、ブラダーバッグ110を、第10の実施形態に係るブラダーバッグに変更したものである。
【0175】
第10の実施形態に係る複合材料10の成形方法におけるステップS16は、複合材料10の内部の入口側から順に、複合材料10の内部の空間に残されるように構成されたブラダーバッグ分体を除く全てのブラダーバッグ分体を取り出す。最後に取り出すブラダーバッグ分体を取り出すときに、複合材料10と一体となるように構成されたブラダーバッグ分体に接続されていたワイヤ24、ワイヤ44、脱気回路52、紐62、磁石72、各ソリッド部材、各センサ及び配線104をあわせて取り出す。
【0176】
第10の実施形態に係る複合材料10の成形方法は、以上のような構成を有するので、複合材料10の設計の都合上、複合材料10が極端に狭い空間を有するために、配置したブラダーバッグ本体を取り出すことが極めて困難となる場合において、その極端に狭い空間に配置したブラダーバッグ分体を取り出さずに、ブラダーバッグ本体の一部であるブラダーバッグ分体を好適に再利用することができる。