特許第6774877号(P6774877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774877
(24)【登録日】2020年10月7日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】自動注射装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20201019BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20201019BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   A61M5/315 550Z
   A61M5/315 500
   A61M5/315 510
   A61M5/20 510
   A61M5/24
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-551707(P2016-551707)
(86)(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公表番号】特表2017-508514(P2017-508514A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】EP2015051889
(87)【国際公開番号】WO2015121080
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2016年10月11日
【審判番号】不服2019-3959(P2019-3959/J1)
【審判請求日】2019年3月26日
(31)【優先権主張番号】1450171-2
(32)【優先日】2014年2月14日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】318014474
【氏名又は名称】エス・ハー・エル・メディカル・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SHL MEDICAL AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベンデック,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンバティスタ,ルシオ
(72)【発明者】
【氏名】ライオサ,ジョン
【合議体】
【審判長】 千壽 哲郎
【審判官】 林 茂樹
【審判官】 井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第2012/125133(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0102971(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M5/315
A61M5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるドーズ量の医薬品を扱うための薬剤送達装置であって、前記薬剤送達装置は、ハウジング(10、12)を備え、ハウジング(10、12)は、医薬品容器(20)を有する容器ホルダー(38)を収容するように配置され、医薬品容器(20)は、医薬品送達部材(134)を備え、前記薬剤送達装置はさらに、
前記ハウジングに相互作用的に接続される動力部(74)を備え、前記動力部(74)は、付勢要素(82)と、予め設定された医薬品の用量を前記医薬品送達部材(134)を通して排出するために、発動されると、近位方向に直線的に移動するように配置され、かつ前記医薬品容器(20)に作用するプランジャロッド(76)とを備え、前記薬剤送達装置はさらに、
前記動力部および前記容器ホルダーに対して接続される保持部材(56)とを備え、
前記プランジャロッドは、少なくとも1つの第1の案内係止要素を備え、前記第1の案内係止要素は、医薬品の排出中に前記プランジャロッド(76)が移動することができる直線距離を制限するために、前記保持部材上の少なくとも1つの第2の案内係止要素に相互作用するように構成され、前記距離は、ドーズ量に対応し、
前記少なくとも1つの第1の案内係止要素は、近位に向けられた抑え表面(81)を有する長手方向に延びる溝(80)であり、
前記少なくとも1つの長手方向に延びる溝(80)は、前記プランジャロッド(76)の近位端から遠位方向に前記プランジャロッド(76)の長さよりも短い長さだけ延び、前記抑え表面(81)で終端することにより、送達されるべき前記必要とされるドーズ量に応じて異なる長さを有することを特徴とする、薬剤送達装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2の案内係止要素は、抑え表面を有する遠位に向けられた抑え突出部(67)を有する径方向内向きに位置付けられる抑え突出部(66)である、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項3】
前記保持部材(56)は、その周の周りに配置される環状棚部(60)を有するリング形状の本体(58)と、を備え、前記リング形状の本体から突出する少なくとも2つの遠位に向けられた部材(62)と、前記2つの遠位に向けられた部材(62)間に配置される棚部(64)とを備える、請求項1または請求項2に記載の薬剤送達装置。
【請求項4】
前記環状棚部(60)は、前記保持部材(56)を前記容器ホルダーに接続するために、前記容器ホルダーの遠位に向けられた舌部(48)上の内向きに傾いた舌部(52)と相互作用するように構成される、請求項3に記載の薬剤送達装置。
【請求項5】
前記保持部材(56)の前記棚部(64)は、前記保持部材を前記動力部に接続するために、前記プランジャロッドの周辺の溝(78)に配置され、かつ収まる形である、請求項3または請求項4に記載の薬剤送達装置。
【請求項6】
前記動力部は、前記プランジャロッドを部分的に取り囲むアクチュエータ(88)と、前記アクチュエータ(88)上に同軸方向にかつ摺動可能に配置されるアクチュエータスリーブ(112)と、前記アクチュエータスリーブおよび前記ハウジングの間に配置される圧縮ばね(124)と、前記アクチュエータに接続される押しボタン(106)と、をさらに備える請求項5に記載の薬剤送達装置。
【請求項7】
前記アクチュエータは、拡大された直径を有するバンドの形をした部分(94)および前記保持部材の前記棚部(64)とともに前記プランジャロッドの前記周辺の溝(78)に収まる環状の内向きに向けられた棚部(96)に逢着する傾いた遷移表面(92)を有する可撓性の舌部(100)と、その外側の表面から径方向外側に向けられた少なくとも1つの抑え棚部(102)と、前記押しボタン(106)のための取付ポスト(104)とを備える、請求項6に記載の薬剤送達装置。
【請求項8】
前記アクチュエータスリーブ(112)は、その外側の表面上で棚部(116)で終端する円錐状の部分(114)を有する前方端部と、第1の環状リング(118)と、第2の環状リング(120)と、前記抑え棚部(102)を収容するように構成される2つの対向して配置される切欠き部(122)とを備える、請求項7に記載の薬剤送達装置。
【請求項9】
前記ハウジングに対して摺動可能に配置され、かつ前記アクチュエータスリーブの前記環状棚部(116)を通過する可撓性の舌部(36)を通して前記動力部(74)に動作可能に接続される、医薬品送達部材カバー(22)をさらに備える、請求項8に記載の薬剤送達装置。
【請求項10】
前記容器ホルダー(38)は、前記医薬品送達部材カバー(22)の内部かつ同軸方向に配置される、請求項9に記載の薬剤送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
提示される発明は医薬品送達装置に関し、ある大きさの医薬品容器を収容するように配置され、医薬品の用量を排出するための医薬品容器に操作可能に作用する動力パックを設けられた医薬品送達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
いくつかの機能を備えるいくつかの医薬品送達装置が特許されおよび/または市場に出回っている。特定の医薬品装置は、しばしばあるドーズ量を有するある処方された医薬品容器を扱うように設計される。
【0003】
多くの場合、装置が使用されたとき、全体の体積は空にされる、すなわち具体的には、医薬品送達部材を通しての医薬品の送達のうちに、管状の医薬品容器内部に配置されるストッパが、近位端位置へと移動する。このことは、医薬品容器が、患者の治療のために処方された医薬品のある体積を含むよう設計されることを意味する。多くの場合、しかしながら、処方された体積または用量は、患者および医薬品によって治癒されるべき病気の状態に応じて著しく異なり得る。たとえば、小児は、成人よりもかなり少ない用量の量を要する。
【0004】
そしてこの状況を取り扱うために通常2つの方法がある。医薬品送達装置が、ある容器サイズを扱うように設計される場合は、容器は、患者の要件に係る医薬品の異なる体積で充填されなければならない。このことは、ストッパが容器の内部の異なる場所に位置付けられるだろうことを示唆する。このことが成立するために、医薬品を送達しているときに、ストッパに作用する駆動機構が、ストッパの異なる開始位置を扱うことができるように装置は変形されなければならない。
【0005】
代替的に、何らかの用量の設定機構を有することで、異なる用量の送達を扱うことができ、ユーザまたは医師は、送達されるべき特定の用量を設定ことができる。この種類の用量の設定機能を示す複数の装置がある。この解決策の欠点は、用量の設定機能が、相互作用するように設計されるいくつかの追加的な部品を必要とすることであり、装置を製造のためにより複雑かつより高価にする。
【0006】
異なる用量のサイズを扱うためのさらなる方法は、医薬品送達装置を特定の医薬品容器サイズ扱うように設計することである。このことは、特定の設計が各用量のサイズに対して生成されることを意味する。この後者のオプションは、しかしながら非常に費用がかさみ多くの薬に対して正当化されない。この理由から、この後者の解決策は、まったく開発されていない。
【0007】
このため、医薬品送達装置を用いて送達されるべき異なるドーズ量の医薬品を扱うこの技術分野は、向上の余地がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の簡単な説明
提示される出願では、「遠位部分/端部」という用語が使用されるときには、これは、装置の部分/端部、またはその部材の部分(複数可)/端部(複数可)ということを意味し、装置使用の下では、患者の医薬品送達部位から最も遠く位置する。対応して、「近位部分/端部」という用語が使用されるときに、これは装置の部分/端部、またはその部材の部分(複数可)/端部(複数可)ということを意味し、装置使用の下では、患者の医薬品送達部位から最も近く位置する。
【0009】
提示される発明の目的は、医薬品送達装置が異なる患者に送達されるべき異なる医薬品体積を扱うときに従来技術の欠点を治癒することである。
【0010】
この目的は、独立特許請求項の特徴に医薬品送達装置で得られる。発明の好ましい実施形態は、従属特許請求項の主題を形成する。
【0011】
医薬品送達装置は、好ましくは医薬品の用量が送達されるべきときに、ユーザによって握られることができるハウジングを備えてもよい。ハウジングは、適している方法で互いに相互接続可能である、いくつかのハウジング部分を備えてもよい。ハウジングは、医薬品送達部材を備える医薬品容器を有する容器ホルダーを収容するように配置される。医薬品送達部材は、シリンジといった容器の一体部分であってもよく、または、カートリッジに接続することができる別個の注射針のように、容器に取り付け可能に配置されてもよい。
【0012】
ハウジングは、以下に説明されるように、1つの態様では、医薬品容器のあるサイズを収容するように配置されてもよい。装置は好ましくは、ハウジングに相互作用的に接続されかつ付勢要素およびプランジャロッドを備える動力部とともに配置される。付勢要素は、発動されたときに力を印加することができる、いずれの適した要素であってもよい。このため付勢要素は、いくつか挙げると、圧縮ばね、ねじりばね、ガスばね、弾性要素といった、異なる種類のばねであってもよい。印加される力は好ましくは直線的であってもよい。
【0013】
付勢要素は、プランジャロッドに配置され、作用するように設計される。プランジャロッドは、次いで、発動されたときに、付勢要素からの直線力によって近位方向に直線移動するように設計され、配置される。プランジャロッドの直線移動は、そしてそれが、医薬品送達部材を通して医薬品の用量を排出するために医薬品容器に作用することを引き起こすだろう。
【0014】
装置は、上記動力部および上記容器ホルダーに接続される保持部材をさらに備える。
1つの有利な機能によれば、医薬品の排出中にプランジャロッドが移動することができる直線距離を制限するために、プランジャロッドは、上記保持部材上の少なくとも1つの第2の案内係止要素と相互作用するように構成される少なくとも1つの第1の案内係止要素を備え、距離はドーズ量に対応する。この解決策の利点は、プランジャロッドが移動することができる直線距離を選択することによって、ある総体積を有する医薬品容器に作用するときに、体積が決定されることができ、かつまた変更されることができるということである。
【0015】
1つの実施可能な解決策によれば、少なくとも1つの第1の案内係止要素は、近位に向けられた抑え表面を有する長手方向に延びる溝であり、少なくとも1つの第2の案内係止要素は、抑え表面を有する遠位に向けられた抑え突出部を有する、径方向内向きに位置付けられる抑え突出部である。抑え表面は、そして必要とされるドーズ量を送達するために、異なるドーズ量とは異なって位置付けられてもよい。
【0016】
1つの実施可能な解決策によれば、上記プランジャロッド上の少なくとも1つの近位に向けられた抑え表面は、上記プランジャロッド上に配置される少なくとも1つの長手方向に延びる溝の側表面に備えられてもよい。これは、送達されるべきドーズ量を変更するために溝の長さを変更する可能性を提供する。このため、異なる溝長さを有するプランジャロッドを使用することは、異なるドーズ量を送達する医薬品送達装置を組み立てるときに簡単なタスクである。医薬品容器を含む医薬品送達装置の残りの部分は、変更されないままである。
【0017】
さらなる態様によれば、上記少なくとも1つの遠位に向けられた抑え突出部は、上記少なくとも1つの長手方向に延びる溝に配置される。遠位に向けられた抑え突出部はそして用量の送達中に溝に摺動してもよく、溝の端部位置、すなわち抑え表面が逢着する場所で止まり、これにより用量の送達シーケンスが終了されるだろう。
【0018】
容器ホルダーは上記ハウジングに対して摺動可能に配置され、このためそれは、発動のときに、上記医薬品送達部材の穿通が実行されるように上記動力部に動作可能に接続されるので、容器ホルダーが、保持部材に接続されることは、有利である。このため、注射シーケンスといった送達シーケンスをさらに提供するために、医薬品送達装置はまた発動されたときに穿通シーケンス提供する。
【0019】
医薬品送達装置の機能をさらに強化するために、それは、たとえば注射などの送達完了後の注射針といった、送達後の医薬品送達部材のシールド位置にそれが動くことができるように動力部に動作可能に接続される、上記ハウジングに対して摺動可能に配置される医薬品送達部材カバーを備えてもよい。この機能は、装置が使用された後に、事故で針が刺さるリスクを小さくする。さらに安全の態様を向上させるために、それは上記医薬品送達部材カバーをシールド位置にロックすることができる医薬品送達部材カバーロック機構を備えてもよい。
【0020】
さらなる態様によれば、保持部材は、その周の周りに配置される環状棚部を有するリングの形をした本体と、リングの形をした本体から突出する少なくとも2つの遠位に向けられた部材と、2つの遠位に向けられた部材間に配置される棚部とを備える。環状棚部は、保持部材を容器ホルダーに接続するために、内向きに容器ホルダーの遠位に向けられた舌部上の傾いた舌部と相互作用するように構成される。さらに、保持部材を動力部に接続するために保持部材の棚部はプランジャロッドの周辺の溝内に収まる形にされ配置される。
【0021】
他の態様によれば、動力部は、プランジャロッドを部分的に取り囲むアクチュエータと、アクチュエータ上に同軸方向にかつ摺動可能に配置されるアクチュエータスリーブと、アクチュエータスリーブとハウジングとの間に配置される圧縮ばねと、またアクチュエータに接続される押しボタンとをさらに備え、アクチュエータは、拡大された直径を有するバンドの形をした部分に逢着する傾いた遷移表面を有する可撓性の舌部と、保持部材の棚部とともにプランジャロッドの周辺の溝に収まる、環状に内向きに向けられた棚部と、その外側の表面から径方向外側に向けられた少なくとも1つの抑え棚部と、押しボタンための取付ポストとを備えており、アクチュエータスリーブは、その外側の表面上で棚部で終端する円錐状の部分を有する前方端部と、第1の環状リングと、第2の環状リングと、抑え棚部を収容するように構成される2つの対向して配置される切欠き部とを備える。
【0022】
さらに他の態様によれば、医薬品送達部材カバーは、アクチュエータスリーブの環状棚部を通過する、可撓性の舌部を通して上記動力部に動作可能に接続される。
【0023】
さらなる態様によれば、容器ホルダーは医薬品送達部材カバーの内部かつ同軸方向に配置される。
【0024】
提示される発明のこれらのおよび他の態様ならびに利点は、以下の発明の詳細な説明および添付図面から明らかになるだろう。
図面の簡単な説明
以下に詳細に説明される発明の説明では、添付図面への参照が行われるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】発明の医薬品送達装置に係る斜視図である。
図2図1の装置の分解図である。
図3図1の装置に備えられる部品の詳細図である。
図4図1の装置に備えられる部品の詳細図である。
図5図1の装置に備えられる部品の詳細図である。
図6図1の装置に備えられる部品の詳細図である。
図7図1の装置に備えられる部品の詳細図である。
図8】異なる機能位置における、図1の装置の断面図である。
図9】異なる機能位置における、図1の装置の断面図である。
図10】異なる機能位置における、図1の装置の断面図である。
図11】異なる機能位置における、図1の装置の断面図である。
図12】異なる機能位置における、図1の装置の断面図である。
図13】異なる機能位置における、図1の装置の断面図である。
図14】異なる機能位置における、図1の装置の断面図である。
図15】異なる機能位置における、図1の装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
図面に示される実施形態は、ハウジング、より具体的には図1の一般的に管状の近位ハウジング部分10と、一般的に管状の遠位ハウジング部分12とを備える。ハウジング部分は、ハウジング部分を互いに接続するための取付要素とともに配置される。示される実施形態では取付要素は、図2の、遠位ハウジング部分12の近位領域の外側の表面上の周辺の畝部16と相互接続する、近位ハウジング部分10の遠位領域の内面上の、周辺の溝14を備える。しかしながら、いくつか例を挙げるとスレッド、バヨネットコネクタ、スナップインコネクタといった他の種類の取付要素もまた使用されてもよい。
【0027】
近位ハウジング部分10は、図2の医薬品容器20を見るための、開口部または窓部18とともに配置され、幾分狭い近位端を有する。医薬品容器は、一般的に管状であり、好ましくはガラスまたはクリアプラスチックといった透過性の材料から作られる。図5のストッパ21は医薬品容器本体内部に移動可能に配置される。図2図3の近位ハウジング部分10の内側に、医薬品送達部材カバー22は、摺動可能に配置される。医薬品送達部材カバー22は、ある直径を有する第1の近位部分24と近位部分のものより大きい直径を有する第2の遠位部分26とを設けられた一般的には管状であり、これらの部分は、図3の中間円錐状の部分28によって接合される。2つの細長い開口部または窓部30は、医薬品送達部材カバー22の対向する側上に、また医薬品容器20を見るために、医薬品送達部材カバー22に沿って配置される。図3の円錐状の部分28の内面上に、遠位に向けられた棚部32が配置される。図3の医薬品送達部材カバー22の遠位端で、2つの開口部34は、互いに対向して配置され、各開口部は幾分内向きに突出している、可撓性の、舌部36とともに配置される。
【0028】
さらに、図3および図5の容器ホルダー38は、一般的に管状の本体の形態で、医薬品送達部材カバー22の内部かつ同軸方向に配置される。容器ホルダー38の近位部分は、より小さな直径の首部分40とともに配置される。首部分40に隣接して、切欠き部42は、横方向に向けられたガイド表面44および近位に向けられた抑え表面45を形成するために、いずれかの側に形成される。これらのガイド表面44は、医薬品送達部材カバー22の窓部30の側表面46と協働し、容器ホルダー38に対する医薬品送達部材カバー22の長手方向の移動を認めながら、回転ロックを2つの部品間に作成する。容器ホルダー38の遠位端は、2つの遠位に向けられた舌部48とともに配置され、各舌部48は開口部50および各開口部50の遠位エッジ上の内向きに傾いた舌部52とともに配置される。容器ホルダー38はさらに、容器ホルダーの内側の壁と容器ホルダー38内部に配置されるべき医薬品容器20との間の空間を得るために、その内面上に図2の径方向に向けられたフランジ54とともに配置される。
【0029】
図2および図6の動力部74は、ハウジングに相互作用的に接続される、上記動力部は、付勢要素82と、発動すると直線的に近位方向に移動するように配置され、上記医薬品送達部材134を通して医薬品の用量を排出するために上記医薬品容器20に作用するプランジャロッド76とを備える。
【0030】
さらに、図4a、図4bおよび図5の動力部と容器ホルダーとに接続される保持部材56が設けられる。
【0031】
プランジャロッド76は、医薬品の排出中にプランジャロッドが移動することができる直線距離を制限するために、上記保持部材上の少なくとも1つの第2の案内係止要素と相互作用するように構成される少なくとも1つの第1の案内係止要素を備え、距離はドーズ量に対応する。
【0032】
少なくとも1つの第1の案内係止要素は、近位に向けられた抑え表面81を有する長手方向に延びる溝80であり、少なくとも1つの第2の案内係止要素は、図4bの抑え表面を有する遠位に向けられた抑え突出部67を有する図4aの径方向内向きに位置付けられる抑え突出部66であり、これらの機能は以下に説明されるだろう。
【0033】
長手方向に延びる溝80は、プランジャロッドの外側の表面上に配置され、プランジャロッドの近位端から遠位方向にある長さXを延び、近位に向けられた抑え表面81で終端する。保持部材56の抑え表面を有する遠位に向けられた抑え突出部67を有する抑え棚部66は、これらの溝80に収まるように設計され、配置される。
【0034】
図4aおよび図4bの実施形態に示されるように、保持部材56はさらに、その周の周りに配置される環状棚部60を有するリングの形をした本体58と、リングの形をした本体58から突出して、2つの遠位に向けられた部材62の対/組を形成する4つの遠位に向けられた部材62とを備え、各対は、円セグメントの形をした棚部64によって相互接続される。保持部材56は、医薬品容器を固定位置に保持するために容器ホルダー38と協働することを意図される。図5に示されるように、医薬品容器20が容器ホルダー38の遠位端からそれを挿入することによって容器ホルダー38の内部に配置されるとき、医薬品容器20の近位に向けられたショルダー68は、容器ホルダー38の幾分傾いた環状支持表面70に対して静置される。保持部材56は、そして環状棚部60が傾いた舌部52を通過し、保持部材56を遠位方向にロックするように、保持部材56の遠位端内へと押され、図4aの保持部材の近位表面72は、医薬品容器20の遠位に向けられた端部表面73に対して静置される。医薬品容器20は今や、支持表面70と近位表面72との間の長手方向の方向Lでしっかり保持される。
【0035】
さらに、プランジャロッド76は、使用されるべき医薬品容器本体の内側の直径よりも幾分か小さい外側の直径を有する管として形成される。プランジャロッド76は、ある幅を有する周辺の溝78を有するように配置され、保持部材56の棚部64は、溝78内に配置され収まる形とされる。
【0036】
動力部はさらに、図6および図7の主に管状の形状を有し、かつ部分的にプランジャロッドを取り囲むアクチュエータ88と、アクチュエータ88上に同軸方向かつ摺動可能に配置されるアクチュエータスリーブ112と、アクチュエータスリーブとハウジングとの間に配置される圧縮ばね124と、アクチュエータに接続される押しボタン106とを備える。
【0037】
1つの実施形態によれば、プランジャロッド76の内部に、図8のプランジャロッド76の近位端壁84とアクチュエータ88の近位に向けられた端部壁86との間に螺旋状の圧縮ばね82が配置され、このことは、以下に詳細に説明される。ばね82の内側にばねガイド90が、配置される。
【0038】
図7の、いくつかの長手方向に向けられた切欠き部98は、可撓性の舌部100を形成するために、アクチュエータ88の近位部分に配置される。その近位端において、各可撓性の舌部100は傾いた遷移表面92を備え、これは拡大された直径を有するバンドの形をした部分94と、図8に見られるように保持部材の棚部64とともにプランジャロッドの周辺の溝78に内に収まる環状の内向きに向けられた棚部96とをもたらす。アクチュエータ88はさらに、2つの抑え棚部102を設けられ、これらは、両側上の外側の表面から径方向外側に向けられる。アクチュエータ88の遠位端は、図6の押しボタン106ための、取付ポスト104とともにに配置される。押しボタン106は、図6および図8の近位に向けられた舌部108とともに配置され、そこでは舌部は、図1の遠位ハウジング部分12の内向きに配置される棚部110と相互作用する。
【0039】
アクチュエータ88の同軸方向に外側に、図6および図8のアクチュエータスリーブ112が、摺動可能に配置され、また一般的に管状の形態である。それは、その外側の表面上の棚部116で終端する円錐状の部分114を有する前方端部を備える。棚部116からある距離で、第1の環状リング118は、外側の表面上に配置される。第2の環状リング120はまた、棚部116からさらなる距離で配置される。アクチュエータスリーブ112の遠位端は一般的に長方形の形状の2つの対向して配置される切欠き部122とともに配置され、そこでは幅はアクチュエータ88の抑え棚部102の幅に対応する。医薬品送達部材カバーロック機構内に備えられる図8の長手方向に延びるリブ123は、アクチュエータスリーブ112の内面上に配置され、その機能は、以下に説明されるだろう。圧縮ばね124は、以下で医薬品送達部材カバーばねとも称され、図8に示されるようにアクチュエータ88を取り囲む。
【0040】
近位ハウジング部分10の近位端で、図2および図9の針保護キャップグラバー126は、一般的に管状の形状を有して配置される。それは、医薬品送達部材カバー22の近位部分内に挿入され、そこで摩擦によって保持される。キャップグラバー126の内側に、図9の金属リング12が、近位端に向かって幾分内向きに向けられ鋭くとがった舌部130を有して配置され、図5の医薬品送達部材シース132内に把持することを、意図して設計され、医薬品容器20の注射針134といった医薬品送達部材134を取り囲み保護している。
【0041】
装置は、以下のように機能するように設計される。装置が、意図されるユーザにそれを送達する前に準備されるときに、装置の近位部分は、医薬品容器20を有して組み立てられる。医薬品容器はこのため、その遠位端から容器ホルダー38内に配置され、容器ホルダー38は好ましくは、医薬品容器20の近位に向けられたショルダー68が医薬品容器の支持表面70に接するまで医薬品容器が容器ホルダー内に摺動するように保持される。容器ホルダー38は次いで、そのガイド表面44が、医薬品送達部材カバー22の切欠き部30の側表面46に接する医薬品送達部材カバー22内に配置される。そして、このアセンブリは、近位ハウジング部分10内に遠位方向から配置される。
【0042】
動力部74は、近位部分から別々に組み立てられる。圧縮ばね82は、アクチュエータ88の舌部100の内向きに向けられた棚部96が、図8のプランジャロッド76の溝78内に位置するまで、プランジャロッド76が、アクチュエータ88内に遠位方向に押される点で、張力をかけられる。プランジャロッド76を有するアクチュエータ88は、そしてアクチュエータスリーブ112内に遠位方向に押され、このことは舌部100が外側に移動することを防止する。さらに、保持部材56の棚部64はまた、図8に示されるように溝78内に配置される。組み立てられた部品は、そして遠位ハウジング部分12内に近位方向から押される。そして押しボタン106は、アクチュエータ88の取付ポスト104に接続される。
【0043】
動力部74は今や、上述のようにその組み立てられた部品を有する近位ハウジング部分の遠位端に接続される。これは保持部材56の環状棚部60が容器ホルダーの内向きに向けられた舌部52を通過することを引き起こし、医薬品容器は今や、しっかりとロックされる。さらに、医薬品送達部材カバー22の可撓性の舌部36は、アクチュエータスリーブ112の環状棚部116を通過し、図8の2つの部品をともにロックする。最後に、近位ハウジング部分10上の溝14は、図8の遠位ハウジング部分12の畝部16と係合し、2つのハウジング部分をともにロックするだろう。医薬品送達部材保護キャップグラバー126は、装置の近位端内に挿入される。装置は、今や使用する準備ができている。
【0044】
たとえば注射などの送達が実行されるべきとき、医薬品送達部材保護キャップグラバー126は、装置の近位端から離れて近位方向に引っ張られる。これは鋭くとがった舌部130がゴム医薬品送達部材シース132内に押され、それを医薬品送達部材134から除去することを引き起こす。装置の近位端は、そして送達部位に対して押されることができ、医薬品送達部材カバー22の幾分突出している近位端は、アクチュエータスリーブ112の第2の環状リング120と遠位ハウジング部分12の内部に固定された支持表面との間で働く医薬品送達部材カバーばね124の力に反して、図10aのようにハウジング内に押される。医薬品送達部材カバー22の遠位に向けられた端部表面は、アクチュエータスリーブ112の第1の環状リング118と接し、医薬品送達部材カバー22の遠位方向内の移動は、アクチュエータスリーブ112が遠位方向に移動することを引き起こし、バンドの形をした部分94の一部は、図10bに示されるようにアクチュエータスリーブ112の円錐状の部分114の外側に配置されるだろう。
【0045】
たとえば注射などの穿通および送達が発動するとき、ユーザは、単に図11aの押しボタン106を押すにすぎない。押しボタン106の近位に向けられた舌部108はそして内面の棚部110に対して働き、ボタンの初期抵抗を作成し、そしてこれは、ボタンが遠位ハウジング部分内部に移動されながら舌部108が内向きに曲がるときに克服される。これはアクチュエータ88が近位方向に移動されることを引き起こし、バンドの形をした部分94は、完全に図11bのアクチュエータスリーブ112から外へ移動される。アクチュエータ88の舌部100の弾力のある特性は、棚部96がプランジャロッド76の溝78から移動することを引き起こし、そしてそれは、ばね82が原因で自由に移動する。
【0046】
圧縮ばね82の力は、プランジャロッド76に医薬品容器20のストッパ21上を押させる。しかしストッパ21と容器壁との間の摩擦と、医薬品容器内の液体の非圧縮性および医薬品送達部材134を通る非常に小さな流路とが原因で、力は医薬品容器20を前に向かって容器ホルダー38および保持部材56とともに押し、これにより図12aのたとえば針といった医薬品送達部材134は患者の皮膚を穿孔するだろう。さらに、アクチュエータの舌部100が外側に曲げられるので、アクチュエータスリーブ112は、図12bに示されるように、バンドの形をした部分94によって長手方向の位置に保持される。
棚部96が今やプランジャロッド76の外側の表面に接するために、舌部100は内向きに曲がることができない。
【0047】
穿通は、容器ホルダー38の切欠き部42の近位に向けられた抑え表面45が医薬品送達部材カバー22の内面上の棚部32に当接するときに止まり、容器ホルダー38と医薬品容器20と保持部材56との移動が停止する。圧縮ばね82からの力は、今やプランジャロッド76を動かし、これにより医薬品容器20の内部の近位方向のストッパ21および液体医薬品は、患者内に送達される。
【0048】
プランジャロッド76の移動はまた、保持部材56の遠位に向けられた抑え突出部67をプランジャロッド76の溝80内に摺動させることを引き起こす。送達はそして遠位に向けられた抑え突出部67の抑え表面が溝80の近位に向けられた抑え表面81に到達するときに停止し、図13および図14のプランジャロッド76の移動を有効に停止させる。図13aに示されるように、プランジャロッドは、ストッパ21が医薬品容器本体の近位端に到達する前に良好に停止する。このため説明された長さXは、患者内に送達されるべき医薬品の意図される量に応じて変更されてもよいということが理解される。装置はこのため、送達されるべき医薬品の体積を変更するために溝の異なる長さを有する異なるプランジャロッドを使用することができる。残りの部品はそして、体積を変更するために変更または変形されなくてもよい。
【0049】
プランジャロッド76がこの距離を動かされたときに、その遠位端はアクチュエータの棚部96を通過しており、舌部100は、今や図15の内向きに自由に移動することができる。これはまたアクチュエータスリーブ112を解放し、医薬品送達部材カバーばね124が、アクチュエータスリーブ112に作用しているので、それは、近位方向に促される。装置が送達部位から除去されるとき、医薬品送達部材カバーばね124の力は、アクチュエータスリーブ112を押す。このため、医薬品送達部材カバー22はそれに近位方向で接続され、医薬品送達部材カバー22は、装置の近位端外に押され、医薬品送達部材134を囲む。アクチュエータスリーブ112の移動は、アクチュエータ88のバンドの形をした部分94が、図15のアクチュエータスリーブ112の内面上のリブ123を通過することを引き起こす。リブ123がアクチュエータ88のバンドの形をした部分94の前方端部に当接するだろうために、これらのリブ123は、医薬品送達部材カバー22を装置内に押し戻すためのいずれの試みをも防ぐ。医薬品送達部材カバー22は、このためロックされ、意図せずに針が刺さることを防止する。
【0050】
これは、上述しかつ図面に示した実施例が単に本発明の非限定的な例であり、それは特許請求の範囲内で多くの方法で変形することができるとみなされるべきであることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15