(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記出力電圧振幅瞬時値検出手段は、前記ローパスフィルタから出力されるα相瞬時交流電圧と、前記α相瞬時交流電圧と同じ大きさで、位相が90度遅れたβ相瞬時交流電圧との二乗和の平方根の値を算出する二乗和平方根算出手段をさらに備え、前記二乗和平方根算出手段により算出された前記二乗和の平方根の値を、前記系統連系用電力変換装置からの出力電圧の振幅の瞬時値とすることを特徴とする請求項4に記載の自立運転機能を有する系統連系用電力変換装置。
前記出力電圧振幅瞬時値検出手段の一部又は全てが、アナログ回路で構成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5の少なくともいずれか一項に記載の自立運転機能を有する系統連系用電力変換装置。
前記起動制御手段は、装置の起動直後に、自立運転制御を行い、この自立運転制御時に、前記系統連系用電力変換装置からの出力電圧の振幅を、前記振幅調整手段により、前記系統連系運転前振幅に合わせることを特徴とする請求項1乃至請求項11の少なくともいずれか一項に記載の自立運転機能を有する系統連系用電力変換装置。
前記振幅調整手段は、前記系統連系用電力変換装置からの出力電圧の振幅を、自立運転時に前記系統連系用電力変換装置から出力される自立系統電圧の振幅、又は0から、段階的に増加させて、前記系統連系運転前振幅に合わせることを特徴とする請求項1乃至請求項12の少なくともいずれか一項に記載の自立運転機能を有する系統連系用電力変換装置。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施形態による系統連系用電力変換装置について、図面を参照して説明する。本実施形態では、請求項における系統連系用電力変換装置が、蓄電ハイブリッド発電システムである場合の例について、説明する。
図1は、本実施形態による蓄電ハイブリッド発電システム1の構成を示す。
【0029】
蓄電ハイブリッド発電システム1は、いわゆるパワーコンディショナを、分散型電源である太陽電池2a、及び太陽電池2aから出力された電力を貯蔵する電力貯蔵装置2bと組み合わせたものであり、太陽電池2aを商用電力系統3に連系させることが可能である。この蓄電ハイブリッド発電システム1は、停電時において、特定負荷装置R
loadに交流電力を供給するための自立運転機能を備える。蓄電ハイブリッド発電システム1は、太陽電池2aで発電された直流電力を最適な出力電力に変換するためのDC/DCコンバータ4aと、自然エネルギーを最大限に活用するために、電力貯蔵装置2bに対して指示電力の通りに充放電できる双方向DC/DCコンバータ4bと、これらのDC/DCコンバータ4a,4bからの直流出力電力(すなわち、太陽電池2aと電力貯蔵装置2bの少なくとも一方から入力された電力に基づく直流電力)を交流電力に変換するDC/ACインバータ5(以下、「インバータ5」と略す)を備えている。また、蓄電ハイブリッド発電システム1は、直流バス電圧平滑化用の電解コンデンサC
dc、LCフィルタ6、制御回路7、系統連系用リレーS
u、S
w(請求項における「系統連系用スイッチ」、及び「一対のスイッチ」)、及び自立系統用リレーS
stdも備えている。
【0030】
DC/DCコンバータ4aは、太陽電池2aの最大電力点追従制御(以下、MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御という)を行い、太陽電池からの出力電力が最大(最適)になるように、太陽電池からの入力電圧を調整する。つまり、DC/DCコンバータ4aは、太陽電池からの入力電圧を所定の電圧まで昇降圧して、直流出力電圧(直流バス電圧V
dc)をある一定の範囲内で上下させる。双方向DC/DCコンバータ4bは、自然エネルギーを最大限に活用するための電力貯蔵装置2bに指示電力の通りに充放電電力制御を行う。つまり、双方向DC/DCコンバータ4bは、太陽電池2aから供給された電力のうちの余剰電力の量や、買電電力量などの情報に基づき、電力貯蔵装置2bに対して充放電電力制御を行う。その後、蓄電ハイブリッド発電システム1は、インバータ5を用いて、DC/DCコンバータ4aと双方向DC/DCコンバータ4bからの直流出力電力を、交流電力に変換する。なお、蓄電ハイブリッド発電システム1では、自立運転制御時には、DC/DCコンバータ4aが、常に最大電力点追従制御を行って、太陽電池からの出力(発電)電力が常に最大になるようにし、電力貯蔵装置2bが、双方向DC/DCコンバータ4bを介して、直流バス電圧V
dcの一定制御を行う。
【0031】
インバータ5は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)から構成されるスイッチング素子SW1〜SW4を備えており、これらのスイッチング素子は、蓄電ハイブリッド発電システムの制御回路7から送られるPWM(Pulse Width Modulation)信号でスイッチングされる。
【0032】
LCフィルタ6は、各電源ラインに直列に接続された2つのリアクトルL
fと、電源ライン間に接続されたコンデンサC
fとから構成され、インバータ5から出力される交流電圧から、高調波成分(主に、PWM信号のキャリア周波数)を除去する。LCフィルタ6におけるコンデンサC
fが、請求項における「前記インバータと前記商用電力系統との間に接続されたコンデンサ」に相当する。
【0033】
制御回路7は、いわゆるマイコンを用いて構成されており、商用電圧振幅検出回路11、振幅調整回路12、起動制御回路13、PLL(Phase Locked Loop)回路(同期回路)14、位相角調整回路15、断線溶着検知回路16、装置出力電圧振幅検出回路17、出力電圧振幅瞬時値検出回路18等の回路を含んでいる。これらの回路11〜18は、マイコンが有する基本的な機能ブロックを用いて作成した回路である。商用電圧振幅検出回路11、振幅調整回路12、起動制御回路13、位相角調整回路15、断線溶着検知回路16、装置出力電圧振幅検出回路17、出力電圧振幅瞬時値検出回路18は、それぞれ、請求項における商用電圧振幅検出手段、振幅調整手段、起動制御手段、位相角調整手段、断線溶着検知手段、装置出力電圧振幅検出手段、出力電圧振幅瞬時値検出手段に相当する。また、
図4(a)(b)の説明で詳述するが、PLL回路14は、自立系統電圧の位相角検出用のPLL回路14aと、商用系統電圧の位相角検出用のPLL回路14b(請求項における商用電圧位相角検出手段)と、を含んでいる。
【0034】
商用電圧振幅検出回路11は、商用系統電圧e
uwの振幅を検出する。振幅調整回路12は、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を、本来の自立運転時に蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される自立系統電圧e
sdの振幅(後述する自立系統電圧e
sdの最大値(振幅)の指令値E
*cst(
図3参照)に相当する大きさの振幅)から段階的に増加させて、商用電圧振幅検出回路11で検出された商用系統電圧e
uwの振幅と所定の振幅差ΔEを有する系統連系運転前振幅に合わせる。なお、本実施形態では、上記の振幅差ΔEを10Vに設定した。起動制御回路13は、蓄電ハイブリッド発電システム1の装置の起動後に、振幅調整回路12によって、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を、上記の系統連系運転前振幅(商用系統電圧e
uwの振幅よりも10V小さい振幅)に合わせた後、断線溶着検知回路16による系統連系用リレーS
u、S
wの断線と溶着の検知を行ってから、蓄電ハイブリッド発電システム1を商用電力系統3に接続し、スムーズに系統連系運転制御に移行する(系統連系運転を開始する)ように制御する。
【0035】
PLL回路14は、基準となる入力信号に同期した信号を出力するための回路であり、主に、商用系統電圧e
uwの位相角θ
uwに同期した電圧信号を生成するために用いられる。このPLL回路14は、後述する商用系統電圧e
uwの位相角θ
uwや、装置起動時における蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の位相角の検出にも、用いられる。位相角調整回路15は、蓄電ハイブリッド発電システム1の起動時に、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の位相角を、PLL回路14によって検出された商用系統電圧e
uwの位相角に合わせる。断線溶着検知回路16は、系統連系用リレーS
u及びS
wの断線と溶着を検知する回路である。断線溶着検知回路16は、系統連系用リレーS
u、S
wを連系状態に切り替えた状態における、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅に基づいて、系統連系用リレーS
u、S
wの断線を検知し、系統連系用リレーS
u、S
wを解列状態に切り替えた状態における、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅に基づいて、系統連系用リレーS
u、S
wの溶着を検知する。この断線溶着検知回路16が行う検知処理については、後で詳述する。装置出力電圧振幅検出回路17は、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の実効値に基づいて、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を検出する。出力電圧振幅瞬時値検出回路18は、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅の瞬時値を検出する。
【0036】
系統連系用リレーS
u及びS
w(請求項における系統連系用スイッチ)は、蓄電ハイブリッド発電システム1の商用電力系統3への連系状態と解列状態とを切り替えるためのスイッチである。
【0037】
図1中のi
invと、i
spとは、それぞれ、インバータ5の出力電流と、蓄電ハイブリッド発電システム1から商用電力系統3への逆潮流電流を示す。また、R
loadは、自立運転時に蓄電ハイブリッド発電システム1から電力が供給される特定負荷装置(以下、自立負荷という)を示す。
【0038】
図2は、蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7によるインバータ5の制御の概略を示すブロック図である。
図2には、系統連系運転制御部と、自立運転制御部が示されている。蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7は、スイッチS
Gridが0の位置で系統連系運転制御を行い、スイッチS
Gridが1の位置で自立運転制御を行う。また、系統連系運転時において、有効成分および無効成分の出力電流制御を行い、自立運転時において、交流出力電圧の一定制御を行う。
【0039】
また、
図2に示すように、系統連系運転制御部は、有効成分生成部21、無効成分生成部22、インバータ出力電流制御部23、及びPWM制御部24を含む。有効成分生成部21は、有効成分の出力電流指令値I
*Pと、PLL回路14から出力された商用系統電圧e
uwの位相角θ
uwの正弦値sin(θ
uw)とを乗算して、有効成分の電流指令値の瞬時値を生成する。無効成分生成部22は、無効成分の出力電流指令値I
*qと、PLL回路14から出力された商用系統電圧e
uwの位相角θ
uwの余弦値cos(θ
uw)とを乗算して、無効成分の電流指令値の瞬時値を生成する。なお、
図2においてPLL回路14に入力される自立系統周波数f
sdは、従来のPLL回路に必要である基本波周波数に相当する。また、商用系統周波数f
uwは、PLL回路14から求める。つまり、実際の商用系統周波数と自立系統周波数は異なっても、PLL回路14を用いることにより、正しい商用系統周波数f
uwを検出することができる。
【0040】
有効成分生成部21からの出力値と無効成分生成部22からの出力値とは、加え合わせ点SP1で加算されて、インバータ5の出力電流指令値i
*invとなる。この出力電流指令値i
*invと、インバータ5からのフィードバック値としての出力電流i
invとは、インバータ出力電流制御部23に送られる。インバータ出力電流制御部23は、インバータ5からの出力電流i
invの値が、出力電流指令値i
*invに追従するように、フィードバック制御を行い、系統連系運転時のデューティ比d
aを算出する。このデューティ比d
aは、PWM制御部24に入力される。PWM制御部24は、入力されたデューティ比d
aに基づいて、このデューティ比d
aに対応するパルス幅のPWM信号を生成する。これらのPWM信号に基づいて、インバータ5の各スイッチSW1,SW2,SW3,SW4(
図1参照)のオン・オフが制御される。
【0041】
また、
図2において、スイッチS
Gridが1の位置で、自立運転制御を行う。自立運転制御部は、交流出力電圧制御部25、交流出力電流制御部26、及びPWM制御部24で構成されている。
【0042】
交流出力電圧制御部25には、自立系統電圧指令値e
*sdと、フィードバック値としての自立系統電圧e
sdとが入力され、交流出力電圧を一定にするための交流出力電流指令値i
*invを算出する。その後、この交流出力電流指令値i
*invと、フィードバック値としての出力電流i
invとが、交流出力電流制御部26に入力され、交流出力電流制御部26は、これらに基づいて、自立運転時のデューティ比d
bを算出する。
【0043】
PWM制御部24は、交流出力電流制御部26で算出されたデューティ比d
bに基づいて、このデューティ比d
bに対応するパルス幅のPWM信号を生成する。これらのPWM信号に基づいて、インバータ5の各スイッチSW1,SW2,SW3,SW4のオン・オフが制御される。これにより、自立運転時に、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される自立系統電圧e
sdが、ほぼ、自立系統電圧指令値e
*sdに維持される。なお、
図2におけるEnableとDisableは、制御回路7からPWM制御部24に送られるPWM信号の出力の許可信号と禁止信号である。
【0044】
本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1は、装置の起動時における、インバータ5の出力側のコンデンサC
fへの突入電流を抑制するために、系統連系運転に移行する前に、自立運転制御を行う。そして、この自立運転制御時に、振幅調整回路12によって、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を、上記の系統連系運転前振幅(商用系統電圧e
uwの振幅E
uw.max−振幅差ΔE)に合わせると共に、位相角調整回路15によって、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の位相角を、商用系統電圧e
uwの位相角θ
uwに合わせてから、上記
図2に示される系統連系運転制御に移行するという起動制御方法を採用している。
【0045】
図3は、装置の起動時の自立運転制御時に、制御回路7(主に、振幅調整回路12と位相角調整回路15)によって行われる、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧e
sd)の振幅と位相角の調整制御ブロックである。蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7は、スイッチS
sdが1の位置のときには、自立系統電圧e
sdの最大値E
sd.max(振幅)と位相角とを、本来の自立系統電圧e
sdの最大値の指令値E
*cstと位相角θ
sdとに合わせる制御を行う。本明細書において、上記の「本来の自立系統電圧e
sd」とは、停電時において、
図1に示す特定負荷装置R
loadに交流電力を供給するための自立運転(本来の自立運転)を行っている時の自立系統電圧e
sdを意味する。また、制御回路7は、スイッチS
sdが0の位置のときには、自立系統電圧e
sdの振幅(最大値)E
sd.maxと位相角とを、上記の系統連系運転前振幅(商用系統電圧e
uwの振幅(最大値)E
uw.max−振幅差ΔE)と商用系統電圧e
uwの位相角θ
uwとに合わせる制御を行う。
【0046】
図3において、E
uw.maxが、商用系統電圧e
uwの最大値(振幅)、E
sd.maxが、自立系統電圧e
sdの最大値(振幅)、E
*sd.max(k−1)が、k次のサンプリング周期の一つ前の自立系統電圧の最大値の指令値、θ
sdが、本来の(通常の自立運転時における)自立系統電圧e
sdの位相角、θ
uwが商用系統電圧e
uwの位相角である。なお、(k)はk次サンプリング周期の値、すなわち現在値の意味である。(k-1)は現在値から一つ前のサンプリングした値である。また、本実施形態のサンプリング周期はスイッチング周波数の逆数である。
【0047】
蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7(主に、振幅調整回路12)は、スイッチS
sdが1の位置のときには、加え合わせ点SP2において、本来の自立系統電圧e
sdの最大値の指令値E
*cstから、その時点における自立系統電圧e
sdの最大値E
sd.maxを減算して、これらの値の差分値を求める。比例制御部27は、上記の差分値に対して、比例ゲインK
pを乗算して、加え合わせ点SP3に出力する。ここで、比例ゲインK
pには、1よりも遥かに少ない正の値(例えば、0.01)が用いられる。この比例制御部27からの出力値は、加え合わせ点SP3において、一つ前の自立系統電圧の最大値の指令値E
*sd.max(k−1)と加算されて、現在の自立系統電圧の最大値の指令値E
*sd.max(k)として、乗算器28に送られる。乗算器28は、加え合わせ点SP3から送られた値と、
図4(a)のPLL回路14aで求めた自立系統電圧e
sdの位相角θ
sdに対応する正弦値sin(θ
sd)とを乗算して、自立系統電圧指令値e
*sdを算出する。
【0048】
上記のように、比例ゲインK
pとして、1よりも遥かに少ない正の値(例えば、0.01)を採用したことにより、一つ前の自立系統電圧の最大値の指令値E
*sd.max(k−1)を段階的に増加させていくことで、自立系統電圧e
sdの最大値(振幅)E
sd.maxを、本来の自立系統電圧e
sdの最大値の指令値E
*cstに追従させることができる。
【0049】
蓄電ハイブリッド発電システム1の起動直後の自立運転時には、上記の自立系統電圧e
sdの最大値E
sd.maxの初期値、及び一つ前の自立系統電圧の最大値の指令値E
*sd.max(k−1)の初期値は、0に設定される。このように、E
sd.maxとE
*sd.max(k−1)の初期値を0に設定した上で、上記のように、自立系統電圧の最大値(振幅)E
sd.maxを、本来の自立系統電圧e
sdの振幅の指令値E
*cstに徐々に合わせる方法を採用したことにより、装置の起動時に、ソフトスタートの効果を得ることができる。また、自立負荷に電力供給する際に、負荷急変により自立系統電圧の振幅値を逸脱しないように、自立系統電圧指令値e
*sdの振幅値を調整できる効果があると考える。
【0050】
蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7は、装置の起動直後の自立運転時に、上記のように、自立系統電圧e
sdの最大値(振幅)E
sd.maxと位相角とを、本来の自立系統電圧e
sdの最大値の指令値E
*cstと位相角θ
sdとに合わせた後、スイッチS
sdを0の位置に切り替えて、自立系統電圧e
sdの最大値(振幅)E
sd.maxと位相角とを、上記の系統連系運転前振幅(商用系統電圧e
uwの最大値(振幅)E
uw.max−ΔE)と商用系統電圧e
uwの位相角θ
uwとに合わせる。すなわち、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を、商用系統電圧e
uwの振幅E
uw.maxと所定の振幅差ΔEを有する系統連系運転前振幅に合わせると共に、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の位相角を、商用系統電圧e
uwの位相角θ
uwに合わせる。
【0051】
次に、上記の蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を、系統連系運転前振幅(E
uw.max−ΔE)に合わせる処理について、詳述する。蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7(主に、振幅調整回路12)は、スイッチS
sdが0の位置のときには、加え合わせ点SP2において、上記の系統連系運転前振幅(E
uw.max−ΔE)から、その時点における自立系統電圧e
sdの最大値E
sd.maxを減算して、これらの値の差分値を求める。比例制御部27は、上記の差分値に対して、比例ゲインK
pを乗算して、加え合わせ点SP3に出力する。ここで、上記のスイッチS
sdが1の位置の時と同様に、比例ゲインK
pには、1よりも遥かに少ない正の値(例えば、0.01)が用いられる。
【0052】
この比例制御部27からの出力値は、加え合わせ点SP3において、一つ前の自立系統電圧の最大値の指令値E
*sd.max(k−1)と加算されて、現在の自立系統電圧の最大値の指令値E
*sd.max(k)として、乗算器28に送られる。乗算器28は、加え合わせ点SP3から送られた現在の自立系統電圧の最大値の指令値E
*sd.max(k)と、商用系統電圧e
uwの位相角θ
uwの正弦値sin(θ
uw)とを乗算して、自立系統電圧指令値e
*sdを算出する。上記のように、比例ゲインK
pとして、1よりも遥かに少ない正の値を採用したことにより、一つ前の自立系統電圧の最大値の指令値E
*sd.max(k−1)を段階的に増加させていくことで、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の最大値(振幅)E
sd.maxを、商用系統電圧の振幅E
uw.maxと振幅差ΔEを有する系統連系運転前振幅(E
uw.max−ΔE)に徐々に追従させることができる。
【0053】
スイッチS
sdが、1の位置から0の位置に切り替えられた直後には、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の最大値(振幅)E
sd.max、及び一つ前の自立系統電圧の最大値の指令値E
*sd.max(k−1)は、本来の自立系統電圧e
sdの最大値の指令値E
*cstと略同じ値になっている。
【0054】
上記のように、スイッチS
sdが、1の位置から0の位置に切り替えられた後に、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される電圧の最大値(振幅)E
sd.maxを、系統連系運転前振幅(E
uw.max−ΔE)に徐々に合わせる方法を採用したことにより、装置の起動時に、スイッチS
sdが、1の位置から0の位置に切り替えられた後にも、ソフトスタートの効果を得ることができる。
【0055】
上記の自立系統電圧e
sdの最大値(振幅)E
sd.maxの算出式は、スイッチS
sdが0の位置のときには、下記の式(1)、及び式(2)であり、スイッチS
sdが1の位置のときには、下記の式(3)、及び式(4)である。また、商用系統電圧e
uwの最大値(振幅)E
uw.maxの算出式は、下記の式(5)である。これらの式において、T
uwは、商用系統電圧e
uwの周期である。また、f
uwは、商用系統電圧e
uwの周波数である。T
sdは、本来の自立系統電圧e
sdの周期である。また、f
sdは、本来の自立系統電圧e
sdの周波数である。
【数1】
【0056】
また、上記
図3に示される制御で用いられる、本来の自立系統電圧e
sdの位相角θ
sdと、商用系統電圧e
uwの位相角θ
uwには、それぞれ、
図4(a)に示される自立系統電圧用のPLL回路14aと商用系統電圧用のPLL回路14bで求めた値が用いられる。
図4(a)において、f
sdは、上記の本来の自立系統電圧e
sdの周波数を示す。
【0057】
ここで、
図4(b)を参照して、上記自立系統電圧用のPLL回路14aと商用系統電圧用のPLL回路14bの制御ブロックについて、説明する。PLL回路14aとPLL回路14bとは、入力電圧e
inの種類は異なるが、同様な制御を行うので、
図4(b)の説明では、これらのPLL回路14a、14bをまとめて、PLL回路14として説明する。
図4(b)において、入力電圧e
inは、商用系統電圧e
uw、又は本来の自立系統電圧e
sdを示す。図中のE
in.maxとθ
oは、入力電圧e
inが商用系統電圧e
uwのときには、E
uw.maxとθ
uwとを示し、入力電圧e
inが本来の自立系統電圧e
sdのときには、E
sd.maxとθ
sdとを示す。
【0058】
PLL回路14は、除算器31、乗算器32、ループコントローラ(ループフィルタ)33、積分器34、帰還信号生成器35、及び周波数算出器36を備えている。除算器31は、PLL回路14への入力電圧e
inと、制御回路7が求めた入力電圧e
inの最大値(振幅)E
in.maxとに基づいて、入力電圧e
inの位相角θ
inの正弦値sin(θ
in)を算出する。この正弦値sin(θ
in)は、乗算器32において、帰還信号生成器35から出力された帰還信号電圧値cos(θ
o)と乗算されて、ループコントローラ33に入力される。ループコントローラ33は、入力値に基づいて、入力電圧e
inと帰還信号電圧との角周波数の差に比例した調整値を出力する。加え合わせ点SP4では、(スイッチS
sdが1の位置の時の)本来の自立系統電圧e
sdの角周波数ω
sd(=2πf
sd)から、上記の調整値が減算されて、調整後の角周波数ω
oが求められる。積分器34は、上記の調整後の角周波数ω
oを積分し、入力電圧e
inの位相角θ
0を算出する。なお、PLL回路14からの出力周波数f
0は、周波数算出器36を用いて、角周波数ω
oから算出する。
【0059】
上記のようなPLL回路14を用いることにより、起動時の自立運転制御時に、自立系統電圧e
sdの振幅E
sd.maxが、初期値の0のときでも、本来の自立系統電圧e
sdの角周波数ω
sdに基づいて、本来の自立系統電圧e
sdの周波数f
sdに応じた位相角θ
0を求めることができる。また、上記のように、基本周波数を、商用系統電圧e
uwの周波数f
uwとは異なる、本来の自立系統電圧e
sdの周波数f
sdに設定していても、系統連系運転時には、ループコントローラ33の働きにより、問題なく、商用系統電圧e
uwの位相角θ
uwを求めることができる。
【0060】
仮に、本来の自立系統電圧e
sdの周波数f
sdが、50Hzに設定され、商用系統電圧e
uwの周波数f
uwが、60Hzの場合であっても、上記のPLL回路14で商用系統電圧e
uwの位相角θ
uwを求めることにより、起動時に、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される電圧の位相角を、商用系統電圧e
uwの位相角θ
uwに維持することができる。
【0061】
起動時に、上記
図3に示される制御方法で、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅と位相を調整するようにしたことにより、本来の自立系統電圧e
sdの最大値の指令値E
*cstと商用系統電圧e
uwの最大値(振幅)E
uw.maxとが異なる場合や、本来の自立系統電圧e
sdの位相角θ
sdと商用系統電圧e
uwの位相角θ
uwとが異なる場合でも、蓄電ハイブリッド発電システム1をスムーズに起動させることができる。ここで、「スムーズに起動させることができる」とは、起動時に、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の最大値 (振幅)E
sd.maxが急増するのを避けることができることを意味する。
【0062】
例えば、商用系統電圧e
uwの実効値と周波数が、200Vと60Hzであって、通常の自立運転時における(本来の)自立系統電圧e
sdの実効値と周波数が、100Vと50Hzの場合であっても、上記
図3に示される制御方法で、装置の起動時の自立運転制御を行ってから、蓄電ハイブリッド発電システム1を商用電力系統3に接続して、系統連系運転を開始するように制御することにより、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の最大値(振幅)を急増させることなく、蓄電ハイブリッド発電システム1をスムーズに商用電力系統3に連系することができる。
【0063】
次に、
図5のフローチャートを参照して、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1の起動時の制御の流れについて、説明する。本蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7(主に、起動制御回路13)は、商用電力系統3と連系する前に、まず、スイッチS
Gridを1の位置、スイッチS
sdを1の位置、系統連系用リレーS
u、S
wをオフ、自立系統用リレーS
stdをオフに切り替えて、自立運転制御を行う(S1)。なお、請求項における「自立運転制御」とは、上記のように、起動時に、自立系統用リレーS
stdをオフにした状態で、
図2に示される自立運転制御部によって行われる制御を意味する。自立運転制御の開始から所定時間が経過して(S2でYES)、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の最大値(振幅)が、本来の自立系統電圧e
sdの最大値の指令値E
*cstにまで達すると、制御回路7は、商用電力系統3と連系するように設定されている場合は(S3でYES)、スイッチS
sdを0の位置に切り替えて、
図3に示される制御処理を行うことにより、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧e
sd)の振幅、位相及び周波数を、商用系統電圧e
uwの振幅、位相及び周波数に合わせる(S4)。ただし、上記のように、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅については、商用系統電圧e
uwの振幅E
uw.max自体ではなく、商用系統電圧の振幅E
uw.maxと振幅差ΔEを有する系統連系運転前振幅(E
uw.max−ΔE)に合わせる。
【0064】
次に、蓄電ハイブリッド発電システム1の制御回路7(主に、起動制御回路13と断線溶着検知回路16)は、
図6に示すような、系統連系用リレーS
u、S
wのオン・オフの切り替えと、PWM制御部24に出力するEnable信号とDisable信号との切り替えを行って、系統連系用リレーS
u、S
wの断線と溶着とを検知する(
図5のS5)。
【0065】
具体的には、
図6において、(1)の期間には、制御回路7は、系統連系用リレーS
u、S
wを、いずれも、オフにした状態で、系統連系用リレーS
u、S
wの両方が溶着しているか否かを検知する。また、(2)の期間には、制御回路7は、系統連系用リレーS
uのみをオンに切り替えて、系統連系用リレーS
wをオフにしたままの状態で、系統連系用リレーS
wが溶着しているか否かを検知する。また、(2)の期間の終了から所定期間T
dlyが経過すると、制御回路7は、(3)の期間において、系統連系用リレーS
uをオフに、系統連系用リレーS
wをオンにして、系統連系用リレーS
uが溶着しているか否かを検知する。そして、(3)の期間の終了から所定期間T
dlyが経過すると、制御回路7は、(4)の期間において、系統連系用リレーS
u、S
wのいずれかが断線しているか否かを検知する。なお、上記S4において、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を、商用系統電圧e
uwの振幅E
uw.max自体ではなく、商用系統電圧の振幅E
uw.maxと振幅差ΔEを有する系統連系運転前振幅(E
uw.max−ΔE)に合わせた理由は、この振幅差ΔEを、上記(2)〜(4)の期間の断線溶着検知処理に利用するためである。
【0066】
次に、上記の系統連系用リレーS
u、S
wの溶着・断線の具体的な検知方法について、説明する。まず、
図6中の(1)の期間に行われる溶着判定の方法について説明する。
図6中の(1)の期間に入ると、制御回路7(の断線溶着検知回路16)は、系統連系用リレーS
u、S
wの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続させていない状態)で、PLL回路14bにより求めた商用系統電圧e
uwの周波数f
uwを用いて、商用電圧振幅検出回路11により、上記の式(2)及び(5)に基づき、商用系統電圧e
uwの最大値(振幅)E
uw.maxを算出(検出)すると共に、上記の商用系統電圧e
uwの周波数f
uwを用いて、装置出力電圧振幅検出回路17により、上記の式(2)及び(1)に基づき、その時点における自立系統電圧e
sdの最大値(振幅)E
sd.max、すなわち、その時点における蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の最大値(振幅)を算出(検出)する。そして、制御回路7(の断線溶着検知回路16)は、下記の式(6)に基づいて、商用系統電圧e
uwの最大値(振幅)E
uw.maxと、自立系統電圧e
sd(蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧)の最大値(振幅)E
sd.maxとの差の絶対値Δxを算出して、上記の差の絶対値Δxに基づいて、系統連系用リレーS
u、S
wの両方が溶着しているか否かを判定する。
【0067】
具体的には、断線溶着検知回路16は、下記の式(7)に示すように、上記の差の絶対値Δxが、閾値a・ΔE(ただし、aは、比例定数)未満であれば、系統連系用リレーS
u、S
wの両方が溶着していると判定し、上記の差の絶対値Δxが、閾値a・ΔE以上であれば、系統連系用リレーS
u、S
wの少なくとも一方が溶着していないと判定する。この判定において、断線溶着検知回路16が、系統連系用リレーS
u、S
wの両方が溶着していると判定した場合は、制御回路7は、蓄電ハイブリッド発電システム1の運転を停止する。なお、
図6に示すように、上記の(1)の期間における溶着判定処理時には、制御回路7からPWM制御部24にDisable信号が送られて、PWM制御部24からのPWM信号の出力が禁止される。このように、(1)の期間における溶着判定処理において、PWM信号の出力を禁止するようにした理由は、下記の式(6)〜(8)を用いて、系統連系用リレーS
u、S
wの両方が溶着しているか否かを判定する場合には、PWM信号の出力を禁止した方が、より正確な判定ができるからである。なお、下記の式(7)で用いられる比例定数aは、下記の式(8)に示すように、0から1までの間の値に設定される。
|E
uw.max−E
sd.max|=Δx・・・(6)
Δx<a・ΔE・・・(7)
0<a<1・・・(8)
【0068】
次に、
図6中の(2)及び(3)の期間における溶着判定の方法について説明する。これらの期間における溶着判定には、出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出された、自立系統電圧e
sd(蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧)の最大値(振幅)の瞬時値である、瞬時自立系統電圧最大値E
maxが、用いられる。なお、出力電圧振幅瞬時値検出回路18への入力電圧である自立系統電圧e
sd(
図7参照)は、本来の自立運転を行っている時の自立系統電圧e
sd(スイッチS
sdが1の位置のときの自立系統電圧e
sdに相当)ではなく、商用電力系統への連系直前の(上記
図5中のS4の調整処理の終了後の)自立系統電圧e
sdである。
【0069】
図7を参照して、上記の出力電圧振幅瞬時値検出回路18の制御ブロックについて説明する。出力電圧振幅瞬時値検出回路18は、LPF(Low Pass Filter)41と、APF(All Pass Filter)42と、二乗和平方根算出器43とを備えている。LPF41は、入力された自立系統電圧e
sd(蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧)からのノイズ除去用のディジタル・ローパスフィルタである。このLPF41の遮断周波数f
cは、商用系統電圧e
uwの周波数(商用系統周波数)f
uwに設定されている。このように、遮断周波数f
cを、商用系統周波数f
uwに設定した理由は、片方の系統連系用リレーが溶着している場合には、もう片方の系統連系用リレーがオンした瞬間に、商用系統電圧e
uwと自立系統電圧e
sdは等しくなるが、この場合に、仮に商用系統電圧e
uwの総合歪率が高くても、遮断周波数f
cを商用系統周波数f
uwに設定しておけば、自立系統電圧e
sd(=商用系統電圧e
uw)から基本周波数成分以上の高調波成分(ノイズ)を除去することができるので、瞬時自立系統電圧最大値E
maxを正確に求めることができるからである。
【0070】
上記のLPF41からの出力値である交流電圧は、α相の瞬時交流電圧e
αとして、二乗和平方根算出器43とAPF42に入力される。APF42は、交流入力信号の位相角度を調整するためのフィルタであり、LPF41から入力されたα相の瞬時交流電圧e
αについて、その電圧の大きさを保持し、位相を(π/2)(=90°)遅延させて、β相の瞬時交流電圧e
βとして出力する。つまり、ここでは、APF42は、α相の瞬時交流電圧e
αからβ相の瞬時交流電圧e
βを求めるために、用いられている。二乗和平方根算出器43は、LPF41から入力されたα相の瞬時交流電圧e
αと、APF42から入力されたβ相の瞬時交流電圧e
βとの二乗和の平方根の値(√(e
α2+e
β2))を計算して、この計算結果を、瞬時自立系統電圧最大値E
maxとして出力する。LPF41と二乗和平方根算出器43とは、それぞれ、請求項におけるローパスフィルタと二乗和平方根算出手段とに相当する。
【0071】
図6中の(2)及び(3)の期間における溶着判定では、断線溶着検知回路16は、上記
図5中のS4の調整処理の終了後に、系統連系用リレーS
u、S
wの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続していない状態)で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、過去複数回分の瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgと、系統連系用リレーS
u、S
wのうちの片方だけをオンにした状態(商用電力系統3に接続した状態)で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、直近の瞬時自立系統電圧最大値E
maxとの差の絶対値に基づいて、溶着の判定を行う。
【0072】
具体的には、断線溶着検知回路16は、下記の式(9)及び(10)に基づいて、系統連系用リレーS
u、S
wの両方をオフにした状態で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、(c−b+1)回分の瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgと、
図6中の(2)及び(3)の期間において、系統連系用リレーS
u、S
wのうちの片方だけをオンにした状態で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、直近の瞬時自立系統電圧最大値E
maxとの差の絶対値Δyを算出する。そして、断線溶着検知回路16は、下記の式(11)に示すように、上記の差の絶対値Δyが、閾値a・ΔE(ただし、aは、比例定数)以上である時に、系統連系用リレーS
u、S
wのうち、商用電力系統3に接続させていない方のリレーが溶着していると検知する。
【0073】
より詳細に言うと、
図6中の(2)の期間における溶着判定では、断線溶着検知回路16は、上記の差の絶対値Δyが、閾値a・ΔE以上である時に、系統連系用リレーS
u、S
wのうち、オンにしていない方のリレーS
wが、溶着していると検知する。また、
図6中の(3)の期間における溶着判定では、断線溶着検知回路16は、上記の差の絶対値Δyが、閾値a・ΔE以上である時に、系統連系用リレーS
u、S
wのうち、オンにしていない方のリレーS
uが、溶着していると検知する。上記(2)及び(3)の期間における溶着判定において、断線溶着検知回路16が、系統連系用リレーS
u、S
wのうち、オンにしていない方のリレーが溶着していると判定した場合は、制御回路7は、蓄電ハイブリッド発電システム1の運転を停止する。
【0074】
図6中の(4)の期間における断線判定では、断線溶着検知回路16は、上記
図5中のS4の調整処理の終了後に、系統連系用リレーS
u、S
wの両方をオフにした状態(解列状態)で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、過去複数回分の瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgと、系統連系用リレーS
u、S
wの両方をオンにした状態(連系状態)で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、直近の瞬時自立系統電圧最大値E
maxとの差の絶対値に基づいて、溶着の判定を行う。
【0075】
具体的には、断線溶着検知回路16は、下記の式(9)及び(10)に基づいて、系統連系用リレーS
u、S
wの両方をオフにした状態で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、(c−b+1)回分の瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgと、
図6中の(4)の期間において、系統連系用リレーS
u、S
wの両方をオンにした状態で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、直近の瞬時自立系統電圧最大値E
maxとの差の絶対値Δyを算出する。そして、断線溶着検知回路16は、下記の式(12)に示すように、上記の差の絶対値Δyが、閾値a・ΔE(ただし、aは、比例定数)未満である時に、系統連系用リレーS
u、S
wのうち、少なくともいずれかが断線していると検知する。
【0076】
断線溶着検知回路16が上記の系統連系用リレーS
u、S
wの断線を検知した場合には(
図5のS5でNO)、制御回路7は、蓄電ハイブリッド発電システム1の運転を停止する(
図5のS6)。なお、下記の式(9)において、kは、k次(k回目)のサンプリング周期を示し、E
max(k−n)は、k次(k回目)のサンプリング周期のn回前のサンプリング周期における瞬時自立系統電圧最大値E
maxを示す。また、本実施形態では、式(9)におけるbを、インバータ5のスイッチング周波数の0.5倍の値に設定し、cを、インバータ5のスイッチング周波数に設定した。従って、式(9)により算出される(c−b+1)回分の瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgは、k次(k回目)のサンプリング周期の値を現在値とした場合における、0.5秒前から1秒前までの0.5秒間の瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値に相当する。
【数2】
【0077】
図5のS5の検知処理で、系統連系用リレーS
u、S
wの溶着又は断線を検知しなかった場合は(S5でYES)、制御回路7(主に、起動制御回路13)は、スイッチS
Gridを0の位置に、系統連系用リレーS
u、S
wをオンにして、自立運転から系統連系運転に切り替え(S7)、
図2の上部に示される系統連系運転時の制御を行う。
【0078】
上記S3の判定で、商用電力系統3と連系しないように設定されている場合は(S3でNO)、制御回路7は、自立系統用リレーS
stdをオンに切り替えて(S8)、自立運転を開始する。
【0079】
上記
図6中の(2)〜(4)の断線・溶着の検知処理をまとめると、制御回路7(の断線溶着検知回路16)は、系統連系用リレーS
u、S
wを解列状態にして出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、所定回数分の瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgと、系統連系用リレーS
u、S
wを連系状態にして出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した直近の瞬時自立系統電圧最大値E
maxとの差の絶対値Δyが、閾値a・ΔE未満であるときに、系統連系用リレーS
u、S
wが断線していると検知し、系統連系用リレーS
u、S
wの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続していない状態)で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、所定回数分の瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgと、系統連系用リレーS
u、S
wのうちの片方だけをオンにした(商用電力系統3に接続させた)状態で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、直近の瞬時自立系統電圧最大値E
maxとの差の絶対値Δyが、閾値a・ΔE以上であるときに、オンにしていない(商用電力系統3に接続させていない)方のリレーが溶着していると検知する。
【0080】
言い換えると、断線溶着検知回路16は、系統連系用リレーS
u、S
wを解列状態から連系状態に切り替えた時における、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅の瞬時値の変化量に基づいて、系統連系用リレーS
u、S
wの断線を検知し、系統連系用リレーS
u、S
wの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続していない状態)状態から、系統連系用リレーS
u、S
wのうちの片方だけをオンにした(商用電力系統3に接続させた)状態に切り替えた時における、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅の瞬時値の変化量に基づいて、系統連系用リレーS
u、S
wのうち、オンにしていない(商用電力系統3に接続させていない)方のリレーの溶着を検知する。
【0081】
ここで、系統連系用リレーの溶着を検知する技術は、上記特許文献3にも記載されているが、特許文献3に記載された技術では、LCフィルタ回路のコンデンサに流れる電流と商用系統電圧との位相差に基づいて、系統連系用リレーが溶着しているか否かを検出するので、商用系統電圧の歪み率が高い場合には、系統連系用リレーの溶着を正確に判定することが難しい。つまり、特許文献3に記載された溶着判定方法を採用した電力変換装置は、商用系統電圧の歪み率が高い場所に設置された場合には、系統連系用リレーの溶着検知において、誤検知する可能性が高い。
【0082】
上記の特許文献3に記載された技術と異なり、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1では、
図6中の(2)〜(4)の断線・溶着の検知処理において、入力された自立系統電圧e
sdから商用系統周波数f
uw以上の高調波成分を除去するように設定されたLPF41を備える出力電圧振幅瞬時値検出回路18によって、瞬時自立系統電圧最大値E
maxを検知するようにした。これにより、商用系統電圧が歪んでも、瞬時自立系統電圧最大値E
maxを正確に検知することができるので、出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出される瞬時自立系統電圧最大値E
maxの変化量に基づいて、系統連系用リレーS
u、S
wのうちの片方のリレーの溶着や、系統連系用リレーS
u、S
wのうちの少なくともいずれかの断線を、正確に検知することができる。
【0083】
上記の本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1の起動時の制御方法には、5つの特徴がある。1つ目の特徴は、商用電力系統3と連系する前に、自立運転制御を行うことである。起動直後に、商用電力系統3と連系すると、起動時において、いきなり商用系統電圧e
uwがコンデンサC
fに印加されて、コンデンサC
fへの印加電圧が急増するので、コンデンサC
fに突入電流が流れるおそれがある。これに対して、商用電力系統3と連系する前に、上記
図3に示されるように、スイッチS
sdを1の位置にセットして、ソフトスタートで自立運転制御を行うと、コンデンサC
fへの印加電圧が徐々に増加するので、商用電力系統3と連系する際に、コンデンサC
fに突入電流が流れるおそれをなくすことができる。
【0084】
2つ目の特徴は、蓄電ハイブリッド発電システム1を商用電力系統3と連系する前に、
図3に示されるスイッチS
sdを0の位置にセットして、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅(自立系統電圧e
sdの振幅)を、徐々に、商用系統電圧e
uwの振幅E
uw.maxと振幅差ΔEを有する系統連系運転前振幅に合わせるフィードバック制御を行うことである。3つ目の特徴は、系統連系運転制御に移行する前に、系統連系用リレーS
u、S
wの不良の確認(断線状態と溶着状態の検知)を行うことである。4つ目の特徴は、商用系統電圧が歪んでも、系統連系用リレーS
u、S
wの溶着や断線を正確に検出することができるということである。
【0085】
5つ目の特徴は、スムーズに自立運転制御から系統連系運転制御に切り替わることである。ここで、スムーズに切り替わる理由は、(1)本蓄電ハイブリッド発電システム1が、上記2つ目の特徴により、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される電圧の振幅(自立系統電圧e
sdの振幅)を、商用系統電圧の振幅E
uw.maxに近い系統連系運転前振幅に合わせてから、系統連系運転制御に移行するからという理由と、(2)本蓄電ハイブリッド発電システム1が、3つ目と4つ目の特徴により、系統連系用リレーS
u、S
wに不良(断線状態と溶着状態)がないことの正確な確認を行ってから、系統連系運転を開始するからという理由による。
【0086】
本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、上記のような起動時の制御方法を採用することにより、従来のような突入電流防止回路を設けることなく、装置の起動時における、インバータ5と商用電力系統3との間に設けられたコンデンサC
fへの突入電流を、抑制することができる。また、商用電力系統3と連系する前に、系統連系用リレーS
u、S
wの断線状態と溶着状態を、確実に検知することができる。
【0087】
上記の起動時の制御方法の効果を確認するために、系統連系用リレーS
uを溶着させた上で、交流模擬電源を用いて、蓄電ハイブリッド発電システム1の起動時の実験検証を行った。なお、この起動時の実験は、上記の起動時の制御方法を採用した場合における、コンデンサC
fへの突入電流の抑制効果と、系統連系用リレーS
u、S
wの溶着の確認効果とを、一度に確認するためのものである。
【0088】
図8は、実験上のパラメータの設定値を示す。
図8中のT
dは、デッドタイム(インバータ5の各スイッチング素子SW1〜SW4における上アームと下アーム(例えば、スイッチング素子SW1とスイッチング素子SW3)を両方ともオフにする時間)を示す。また、
図8中のスイッチング周波数は、インバータ5の各スイッチング素子SW1〜SW4のスイッチング周波数を示し、THD
vは、商用系統電圧に見立てた交流模擬電源電圧e
uwの総合歪み率である。
【0089】
この実験では、
図7に示す出力電圧振幅瞬時値検出回路18による瞬時自立系統電圧最大値E
maxの検出方法が、商用系統電圧e
uwが歪んだ場合でも、有効であることを確認するために、
図8に示す商用系統電圧(実際には、交流模擬電源電圧)e
uwの総合歪み率THD
vを、25.6%に設定して、片方の系統連系用リレーS
uの溶着検知の実験検証を行った。
図9は、片方の系統連系用リレーS
uを溶着させた状態で、この実験(
図6中の(3)の溶着検知の実験)を行った時の、蓄電ハイブリッド発電システム1から出力される電圧(自立系統電圧)e
sd、商用系統電圧e
uw、及び逆潮流電流(蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電流)i
spの波形を示す。
図9において、自立系統電圧e
sdを、一点鎖線で示し、商用系統電圧e
uwを、実線で示している。また、
図9において、逆潮流電流i
spを、破線で示している。
図9中のグラフの右の方の部分(系統連系用リレーS
uをオフにし、系統連系用リレーS
wをオンにした後の部分)では、自立系統電圧e
sdの波形と商用系統電圧e
uwの波形は、ほぼ重なっている。なお、
図9において、縦軸は、電圧(V)と電流(A)を示し、横軸は、時間t(秒)を示す。この実験において、系統連系用リレーS
uをオフにし、系統連系用リレーS
wをオンにした瞬間に、上記の式(9)〜(11)に示す検出方法により、系統連系用リレーS
uの溶着を検知することができた。
【0090】
この実験では、
図9に示されるように、系統連系用リレーS
uをオフにし、系統連系用リレーS
wをオンにした瞬間に、逆潮流電流i
spが、スパイク状の突入電流となった。ここで、逆潮流電流i
spにスパイク状の突入電流が発生した理由は、上記の(スイッチS
sdが0の位置のときにおける)自立系統電圧e
sdと商用系統電圧e
uwとの振幅差ΔE(10V)を設けため、系統連系用リレーS
uをオフにし、系統連系用リレーS
wをオンにした瞬間に、コンデンサC
fに、上記の振幅差ΔEに起因する電流が流れてしまい、その結果、瞬時突入電流が流れてしまうからである。ただし、振幅差ΔEは、上記のように小さい値(10V)に設定しているため、
図9に示されるように、発生する瞬時突入電流は、24Aまでの値である。このレベルの瞬時突入電流が発生しても、インバータ5のスイッチング素子SW1〜SW4の最大許容電流を超えないので、インバータ5を含む蓄電ハイブリッド発電システム1全体が、正常に動作する。
【0091】
上記の実験の結果、
図7に示す出力電圧振幅瞬時値検出回路18で検出した瞬時自立系統電圧最大値E
maxを用いて、上記の式(9)〜(11)で検出することにより、商用系統電圧e
uwが歪んだ場合でも、系統連系用リレーS
uの溶着を正確に検知することができることを確認することができた。また、本蓄電ハイブリッド発電システム1では、
図3に示される制御方法で、起動時に蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅と位相を調整するので、通常の起動時において、系統連系運転に切り替える時(系統連系用リレーS
u、S
wをオンにする瞬間)にも、上記の実験において系統連系用リレーS
u、S
wを切り替えた瞬間と同様に、コンデンサC
fに流れる電流を、振幅差ΔEに起因する電流のみに抑えることができる。従って、上記の実験では、本蓄電ハイブリッド発電システム1が、通常の起動時において、系統連系運転に切り替える時(系統連系用リレーS
u、S
wをオンにする瞬間)にも、コンデンサC
fへの突入電流を抑制することができることを確認することができた。
【0092】
上記のように、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、装置の起動後に、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を、所定の値から段階的に増加させて、商用系統電圧e
uwの振幅E
uw.maxと所定の振幅差ΔEを有する系統連系運転前振幅(E
uw.max−ΔE)に合わせてから、蓄電ハイブリッド発電システム1を商用電力系統3に接続して、系統連系運転を開始するようにした。これにより、この装置を商用電力系統3に接続した時に、インバータ5と商用電力系統3との間に設けられたコンデンサC
fに印加される電圧の増加分を、上記の振幅差ΔEにすることができるので、装置の起動時に、インバータ5と商用電力系統3との間に設けられたコンデンサC
fに印加される電圧が、0Vから商用系統電圧e
uwに急増することを防ぐことができる。従って、上記の振幅差ΔEを、商用系統電圧e
uwと比較して十分に小さな値(本実施形態では、10V)に設定することにより、突入電流防止回路を設けることなく、装置の起動時における、インバータ5と商用電力系統3との間に設けられたコンデンサC
fへの突入電流を抑制することができる。
【0093】
しかも、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、装置の起動後に、系統連系用リレーS
u、S
wの断線と溶着の検知を行ってから、蓄電ハイブリッド発電システム1を商用電力系統3に接続して、系統連系運転を開始するようにした。これにより、系統連系運転を開始する前に、系統連系用リレーS
u、S
wの不良(断線と溶着)の有無を確認することができる。
【0094】
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、断線溶着検知回路16は、系統連系用リレーS
u、S
wを解列状態から連系状態に切り替えた時における、出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した出力電圧の振幅の瞬時値の変化量に基づいて、系統連系用リレーS
u、S
wの断線を検知し、系統連系用リレーS
u、S
wの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続していない状態)から、系統連系用リレーS
u、S
wのうちの片方だけをオンにした(商用電力系統3に接続させた)状態に切り替えた時における、出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した出力電圧の振幅の瞬時値の変化量に基づいて、系統連系用リレーS
u、S
wのうち、オンにしていない(商用電力系統3に接続させていない)方のリレーの溶着を検知する。これにより、上記特許文献3に記載された技術のように、LCフィルタ回路のコンデンサに流れる電流と商用系統電圧との位相差に基づいて、系統連系用リレーの不良(溶着状態)を検出する場合と比べて、商用系統電圧e
uwが歪んだ場合でも、系統連系用リレーS
u、S
wの不良(断線と溶着)を誤検知する確率を減らすことができる。
【0095】
さらにまた、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、断線溶着検知回路16は、系統連系用リレーS
u、S
wを解列状態にして出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、所定回数分の瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgと、系統連系用リレーS
u、S
wを連系状態にして出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した直近の瞬時自立系統電圧最大値E
maxとの差の絶対値Δyが、閾値a・ΔE未満であるときに、系統連系用リレーS
u、S
wが断線していると検知し、系統連系用リレーS
u、S
wの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続していない状態)で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、所定回数分の瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgと、系統連系用リレーS
u、S
wのうちの片方だけをオンにした(商用電力系統3に接続させた)状態で出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、直近の瞬時自立系統電圧最大値E
maxとの差の絶対値Δyが、閾値a・ΔE以上であるときに、オンにしていない(商用電力系統3に接続させていない)方のリレーが溶着していると検知する。このように、系統連系用リレーS
u、S
wの断線と溶着の検知に、所定回数分の瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgを用いるようにしたことにより、瞬時自立系統電圧最大値E
maxのみを用いて系統連系用リレーS
u、S
wの断線と溶着の検知をする場合と比べて、系統連系用リレーS
u、S
wの不良(断線と溶着)を誤検知する確率をさらに減らすことができる。
【0096】
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、入力された自立系統電圧e
sd(蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧)の基本周波数成分以上の高調波成分(ノイズ)を除去するためのLPF41の遮断周波数f
cを、商用系統周波数f
uwに設定するようにした。これにより、出力電圧振幅瞬時値検出回路18が、入力された自立系統電圧e
sdから商用系統周波数f
uw以上の高調波成分を除去することができるので、商用系統電圧e
uwが歪んでも、瞬時自立系統電圧最大値E
maxを正確に検出することができる。従って、出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出される瞬時自立系統電圧最大値E
maxの変化量に基づいて、系統連系用リレーS
u、S
wのうちの片方のリレーの溶着や、系統連系用リレーS
u、S
wのうちの少なくともいずれかの断線を、正確に検知することができる。
【0097】
さらにまた、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、出力電圧振幅瞬時値検出回路18は、LPF41から出力されるα相瞬時交流電圧と、α相瞬時交流電圧と同じ大きさで、位相が90度(π/2)遅れたβ相瞬時交流電圧との二乗和の平方根の値を算出する二乗和平方根算出器43をさらに備え、二乗和平方根算出器43により算出された二乗和の平方根の値を、瞬時自立系統電圧最大値E
max(蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅の瞬時値)とするようにした。これにより、瞬時自立系統電圧最大値E
maxをさらに正確に検出することができるので、瞬時自立系統電圧最大値E
maxの変化量に基づいて、系統連系用リレーS
u、S
wのうちの片方のリレーの溶着や、系統連系用リレーS
u、S
wのうちの少なくともいずれかの断線を、より正確に検知することができる。
【0098】
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、断線溶着検知回路16が、系統連系用リレーS
u、S
wの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続させていない状態)で、商用電圧振幅検出回路11により検出された商用系統電圧e
uwの振幅E
uw.maxと、装置出力電圧振幅検出回路17により検出された自立系統電圧e
sd(蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧)の振幅E
sd.maxとの振幅差(差の絶対値Δx)を求めて、この振幅差に基づいて、系統連系用リレーS
u、S
wの両方が溶着しているか否かを検知するようにした。これにより、上記特許文献3に記載された技術のように、LCフィルタ回路のコンデンサに流れる電流と商用系統電圧との位相差に基づいて、系統連系用リレーの不良(溶着状態)を検出する場合と比べて、商用系統電圧e
uwが歪んだ場合でも、系統連系用リレーS
u、S
wの不良(断線と溶着)を誤検知する確率を減らすことができる。
【0099】
また、本実施形態の蓄電ハイブリッド発電システム1によれば、制御回路7(の起動制御回路13)が、装置の起動後に、位相角調整回路15によって、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(スイッチS
sdが0の時の自立系統電圧e
sd)の位相角を、商用系統電圧e
uwの位相角θ
uwに合わせてから、蓄電ハイブリッド発電システム1を商用電力系統3に接続して、系統連系運転を開始するように制御する。これにより、上記の蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(スイッチS
sdが0の時の自立系統電圧e
sd)について、上記の商用系統電圧e
uwの振幅E
uw.maxに合わせた振幅調整をするだけではなく、位相角度も、商用系統電圧e
uwの位相角θ
uwに合わせて調整してから、蓄電ハイブリッド発電システム1を商用電力系統3に接続して、系統連系運転を開始することができる。従って、蓄電ハイブリッド発電システム1が商用電力系統3と連系する際に、インバータ5と商用電力系統3との間に設けられたコンデンサC
fに印加される電圧の変動をさらに抑えることができるので、コンデンサC
fへの突入電流をさらに抑制することができる。
【0100】
変形例:
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。次に、本発明の変形例について説明する。
【0101】
変形例1:
上記の実施形態では、
図3に示される蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧e
sd)の振幅の調整制御において、スイッチS
sdを1の位置にセットして、自立系統電圧e
sdの最大値(振幅)E
sd.maxを、自立系統電圧e
sdの最大値の指令値E
*cstに合わせてから、スイッチS
sdを0の位置に切り替えて、自立系統電圧e
sdの最大値(振幅)E
sd.maxを、系統連系運転前振幅(E
uw.max−ΔE)に合わせるようにした。けれども、
図5に示される起動時の制御において、S1の自立運転処理を行わず、
図10に示されるように、装置の起動直後に、スイッチS
sdを0の位置にセットして、自立系統電圧e
sdの最大値(振幅)E
sd.maxを、0から徐々に増加させて、上記の系統連系運転前振幅(E
uw.max−ΔE)に合わせるようにしてもよい(
図10のS11)。この場合、
図3に示される振幅の調整制御において、スイッチS
sdを0の位置にセットした時に、自立系統電圧e
sdの最大値(振幅)E
sd.max、及び一つ前の自立系統電圧の最大値の指令値E
*sd.max(k−1)の初期値は、0にセットされる。
【0102】
上記
図10に示される制御を行った場合も、
図5に示される制御を行った場合と同様に、装置の起動時にソフトスタートの効果を得ることができる。
【0103】
なお、
図10におけるS12、S13、及びS14のステップは、それぞれ、
図5におけるS5、S6、及びS7のステップに相当する。
【0104】
変形例2:
上記の実施形態では、系統連系用リレーS
u、S
wの断線と溶着を検知するために、制御回路7は、装置の起動後に、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧(自立系統電圧e
sd)の振幅E
sd.maxと、商用電圧振幅検出回路11で検出された商用系統電圧e
uwの振幅E
uw.maxとの振幅差が、所定の値(ΔE=10V)になるように、蓄電ハイブリッド発電システム1からの出力電圧の振幅を調整したが、制御回路(振幅調整回路)は、装置の起動後に、上記の振幅差が、所定範囲内の値(例えば、5Vから15Vまでの範囲内の値)になるように、蓄電ハイブリッド発電システムからの出力電圧の振幅を調整してもよい。この構成においても、LCフィルタを構成するコンデンサへの突入電流を抑制することができる。
【0105】
変形例3:
上記の実施形態では、請求項における「コンデンサ」が、LCフィルタ6を構成するコンデンサC
fである場合の例を示したが、請求項における「コンデンサ」は、これに限られず、インバータと商用電力系統との間に接続されたコンデンサ(インバータの出力側のコンデンサ)であればよい。
【0106】
変形例4:
上記の実施形態では、本発明の系統連系用電力変換装置が、太陽光発電用の蓄電ハイブリッド発電システム1である場合の例について説明した。けれども、本発明の適用対象となる自立運転機能を有する系統連系用電力変換装置は、これに限られず、風力発電装置等の多種多様な分散型電源用のDC/DCコンバータと、電力貯蔵装置用の双方向DC/DCコンバータとを備えた、他の種類の蓄電ハイブリッド発電システムにも適用することができる。また、本発明の適用対象となる自立運転機能を有する系統連系用電力変換装置は、必ずしも、分散型電源及び電力貯蔵装置を備えたものに限られず、外付けの分散型電源及び電力貯蔵装置と接続して、蓄電ハイブリッド発電システムを構成するものであってもよい。
【0107】
変形例5:
上記の実施形態では、式(9)及び(10)に示すように、瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgと直近の瞬時自立系統電圧最大値E
maxとの差の絶対値Δyに基づいて、
図6中の(2)〜(4)の期間における溶着と断線の判定を行ったが、下記の式(14)に示すように、瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgと直近の自立系統電圧の最大値E
sd.maxとの差の絶対値Δyに基づいて、
図6中の(2)〜(4)の期間における溶着と断線の判定を行ってもよい。但し、この場合、系統連系用リレーの断線・溶着を判定するまでの時間は、最短で、自立系統電圧e
sdの波形の半周期(半サイクル)の期間である。
【0108】
より詳細に言うと、この変形例5では、断線溶着検知回路16は、系統連系用リレーS
u、S
wを解列状態にした状態で、出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、所定回数分の瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgと、系統連系用リレーS
u、S
wを連系状態にした状態で、装置出力電圧振幅検出回路17により検出した(直近の)出力電圧の振幅E
sd.maxとの差の絶対値Δyが、所定の閾値未満であるときに、系統連系用リレーS
u、S
wが断線していると検知し、系統連系用リレーS
u、S
wの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続していない状態)で、出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した、所定回数分の瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgと、系統連系用リレーS
u、S
wのうちの片方だけをオンにした(商用電力系統3に接続させた)状態で、装置出力電圧振幅検出回路17により検出した(直近の)出力電圧の振幅E
sd.maxとの差の絶対値Δyが、所定の閾値以上であるときに、オンにしていない(商用電力系統3に接続させていない)方のリレーが溶着していると検知する。
【数3】
【0109】
変形例6:
上記の実施形態では、式(9)に示す瞬時自立系統電圧最大値E
maxの平均値E
avgを用いて、
図6中の(2)〜(4)の期間における溶着と断線の判定を行ったが、下記の式(15)に示すように、自立系統電圧の最大値E
sd.maxの平均値E
avgを用いて、
図6中の(2)〜(4)の期間における溶着と断線の判定を行ってもよい。式(15)により算出される平均値E
avgは、z次(z回目)のサンプリング周期のdサイクル前からeサイクル前までの間の自立系統電圧の最大値E
sd.maxの平均値である。従って、例えば、商用系統周波数が50 Hzの場合、e=100、d=50に設定すると、E
avgは、z次(z回目)のサンプリング周期(半サイクル)の値を現在値とした場合における、0.5秒前から1秒前までの0.5秒間の自立系統電圧の最大値E
sd.maxの平均値に相当する。そして、
図6中の(2)〜(4)の期間における溶着と断線の判定は、式(15)により求めた平均値E
avgを、上記の式(10)に代入して、自立系統電圧の最大値E
sd.maxの平均値E
avgと直近の瞬時自立系統電圧最大値E
maxとの差の絶対値Δyに基づいて行ってもよいし、式(15)により求めた平均値E
avgを、上記の式(14)に代入して、自立系統電圧の最大値E
sd.maxの平均値E
avgと直近の自立系統電圧の最大値E
sd.maxとの差の絶対値Δyに基づいて行ってもよい。なお、zは、式(3)を用いて、装置出力電圧振幅検出回路17により、自立系統電圧e
sdの波形の半周期(半サイクル)毎に算出された、自立系統電圧e
sdの最大値E
sd.maxのサンプリング値である。
【0110】
より詳細に言うと、この変形例6では、断線溶着検知回路16は、以下のいずれかの断線・溶着の判定方法を用いる。一つ目の判定方法では、断線溶着検知回路16は、系統連系用リレーS
u、S
wを解列状態にした状態で、装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、所定回数分の出力電圧の振幅E
sd.maxの平均値E
avgと、系統連系用リレーS
u、S
wを連系状態にした状態で、出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した出力電圧の振幅の瞬時値E
maxとの差の絶対値Δyが、所定の閾値未満であるときに、系統連系用リレーS
u、S
wが断線していると検知し、系統連系用リレーS
u、S
wの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続していない状態)で、装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、所定回数分の出力電圧の振幅E
sd.maxの平均値E
avgと、系統連系用リレーS
u、S
wのうちの片方だけをオンにした(商用電力系統3に接続させた)状態で、出力電圧振幅瞬時値検出回路18により検出した出力電圧の振幅の瞬時値E
maxとの差の絶対値Δyが、所定の閾値以上であるときに、オンにしていない(商用電力系統3に接続させていない)方のリレーが溶着していると検知する。
【0111】
また、二つ目の判定方法では、断線溶着検知回路16は、系統連系用リレーS
u、S
wを解列状態にした状態で、装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、所定回数分の出力電圧の振幅E
sd.maxの平均値E
avgと、系統連系用リレーS
u、S
wを連系状態にした状態で、装置出力電圧振幅検出回路17により検出した(直近の)出力電圧の振幅E
sd.maxとの差の絶対値Δyが、所定の閾値未満であるときに、系統連系用リレーS
u、S
wが断線していると検知し、系統連系用リレーS
u、S
wの両方をオフにした状態(商用電力系統3に接続していない状態)で、装置出力電圧振幅検出回路17により検出した、所定回数分の出力電圧の振幅E
sd.maxの平均値E
avgと、系統連系用リレーS
u、S
wのうちの片方だけをオンにした(商用電力系統3に接続させた)状態で、装置出力電圧振幅検出回路17により検出した(直近の)出力電圧の振幅E
sd.maxとの差の絶対値Δyが、所定の閾値以上であるときに、オンにしていない(商用電力系統3に接続させていない)方のリレーが溶着していると検知する。
【数4】
【0112】
変形例7:
上記の実施形態では,
図7に示す出力電圧振幅瞬時値検出回路18におけるディジタル・ローパスフィルタ(LPF41)の遮断周波数f
cを、商用系統周波数f
uwに設定したが、LPF41の遮断周波数f
cを、スイッチングノイズ除去の面も考慮した値に設定してもよい。例えば、遮断周波数f
cを、スイッチング周波数の10分の1以下の値に設定してもよい。
【0113】
変形例8:
上記の実施形態では、
図7に示す出力電圧振幅瞬時値検出回路18における全ての回路をディジタル回路で構成して、ディジタルフィルタ(LPF41及びAPF42)からの出力値と、マイコンの割り込み処理のプログラムの演算結果(二乗和平方根算出器43による計算結果)から、瞬時自立系統電圧最大値E
maxを求めたが、出力電圧振幅瞬時値検出回路18を構成するディジタル回路(LPF41、APF42、及びピーク値検出回路(本実施形態の二乗和平方根算出器43))の一部又は全てをアナログ回路で置き換えて、アナログ回路の出力から瞬時自立系統電圧最大値E
maxを求めてもよい。
【0114】
変形例9:
上記の実施形態では、制御回路7が、いわゆるマイコンを用いて構成されている場合の例を示したが、制御回路7は、これに限られず、例えば、システムLSIであってもよい。