(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
[チオール化合物]
本発明のチオール化合物は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格とともにメルカプト基を有しており、前記式(1)で表される。
【0028】
前記式(1)において、環Z
1で表される多環式アレーン環としては、縮合多環式アレーン環(縮合多環式炭化水素環)、環集合アレーン環(環集合芳香族炭化水素環)などが含まれる。縮合多環式アレーン環としては、例えば、縮合二環式アレーン(例えば、ナフタレンなどの縮合二環式C
10−16アレーン)環、縮合三環式アレーン(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)環などの縮合二乃至四環式アレーン環などが挙げられる。好ましい縮合多環式アレーン環としては、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、特に、ナフタレン環が好ましい。
【0029】
環集合アレーン環としては、ビアレーン環、例えば、ビフェニル環、ビナフチル環、フェニルナフタレン環(1−フェニルナフタレン環、2−フェニルナフタレン環など)などのビC
6−12アレーン環、テルアレーン環、例えば、テルフェニレン環などのテルC
6−12アレーン環などが例示できる。好ましい環集合アレーン環としては、ビC
6−10アレーン環、特にビフェニル環などが挙げられる。
【0030】
なお、2つの環Z
1は同一の又は異なる多環式アレーン環であってもよい。
【0031】
前記式(1)において、アルキレン基R
1には、直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基が含まれ、直鎖状アルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などのC
2−6アルキレン基(好ましくは直鎖状C
2−4アルキレン基、さらに好ましくは直鎖状C
2−3アルキレン基、特にエチレン基)が例示でき、分岐鎖状アルキレン基としては、例えば、プロピレン基、1,2−ブタンジイル基、1,3−ブタンジイル基などの分岐鎖状C
3−6アルキレン基(好ましくは分岐鎖状C
3−4アルキレン基、特にプロピレン基)などが挙げられる。R
1は、直鎖状又は分岐鎖状C
2−6アルキレン基(例えば、直鎖状又は分岐鎖状C
2−4アルキレン基)、特にエチレン基、プロピレン基である場合が多い。なお、mが2以上の整数である場合、アルキレン基R
1の種類は、同一又は異なっていてもよい。また、アルキレン基R
1の種類は、同一の又は異なる環Z
1において、同一又は異なっていてもよい。
【0032】
オキシアルキレン基(OR
1)の繰り返し数mは、0又は1以上の整数、特に、0〜20の整数(例えば、0〜15の整数)程度の範囲から選択でき、例えば、0〜10(例えば、1〜8)の整数、好ましくは0〜5(例えば、1〜5)の整数、さらに好ましくは0〜4(例えば、1〜4)の整数、特に0〜3(例えば、1〜3)程度の整数であってもよく、通常、0〜2の整数(例えば、0又は1)であってもよい。
【0033】
アルキレン基R
2には、R
1と同様の直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基に加えて、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基などの直鎖状又は分岐鎖状C
1−10アルキレン基が含まれる。好ましいアルキレン基R
2は、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、トリメチレン基、プロピレン基、イソプロピリデン基、テトラメチレン基などの直鎖状又は分岐鎖状C
1−5アルキレン基(例えば、C
2−5アルキレン基)であり、通常、直鎖状又は分岐鎖状C
2−4アルキレン基である場合が多い。これらのうち、多環式アリール骨格を有するにも拘わらず、着色が抑制され、透明性も向上できる点から、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基などのC
1−4アルキリデン基が好ましく、C
1−2アルキリデン基(特にエチリデン基)が特に好ましい。
【0034】
メルカプト基は、一級、二級又は三級メルカプト基のいずれであってもよく、通常、一級又は二級メルカプト基である場合が多い。一級メルカプト基を有する化合物(一級チオール化合物)は、通常、反応性が高く接着性を向上させるのに有用である。二級及び三級メルカプト基を有する化合物(二級及び三級チオール化合物)は、硬化性組成物の保存安定性の観点からは有利である。本発明の化合物において、二級メルカプト基を有する二級チオール化合物は、意外にも、反応性及び接着性が高いだけでなく、硬化性組成物の保存安定性を損なうこともない。
【0035】
前記式(1)において、基[HS−R
2−C(=O)−(OR
1)
m−O−](単に「メルカプト基を有する置換基」という場合がある)の置換数nは、それぞれ独立して1以上の整数(例えば、1〜3の整数)、好ましくは1又は2、特に1であってもよい。なお、置換数nは、それぞれの環Z
1において、同一又は異なっていてもよい。
【0036】
なお、メルカプト基を有する置換基は、環Z
1の適当な位置に置換でき、例えば、環Z
1がナフタレン環である場合には、ナフチル基の5〜8−位である場合が多く、例えば、フルオレンの9−位に対してナフタレン環の1−位又は2−位が置換し(1−ナフチル又は2−ナフチルの関係で置換し)、この置換位置に対して、1,5−位、2,6−位などの関係(特にnが1である場合、2,6−位の関係)で置換している場合が多い。また、nが2以上である場合、置換位置は、特に限定されない。また、環集合アレーン環Z
1において、メルカプト基を有する置換基の置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレンの9−位に結合したアレーン環及び/又はこのアレーン環に隣接するアレーン環に置換していてもよい。例えば、ビフェニル環Z
1の3−位又は4−位がフルオレンの9−位に結合していてもよく、ビフェニル環Z
1の3−位がフルオレンの9−位に結合しているとき、メルカプト基を有する置換基の置換位置は、2−位,4〜6−位,2’〜6’−位のいずれであってもよく、通常、4−位,5−位,6−位,3’−位,4’−位、好ましくは4−位,6−位,4’−位(特に、6−位)に置換していてもよい。
【0037】
前記式(1)において、置換基R
4としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C
1−10アルキル基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C
1−6アルキル基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C
1−4アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC
5−10シクロアルキル基など)、アリール基[フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル(トリル)基、ジメチルフェニル(キシリル)基など)、ビフェニル基、ナフチル基などのC
6−12アリール基]、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC
6−10アリール−C
1−4アルキル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C
1−10アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロへキシルオキシ基などのC
5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基などのC
6−10アリールオキシ基など)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC
6−10アリール−C
1−4アルキルオキシ基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基などのC
1−10アルキルチオ基など)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロへキシルチオ基などのC
5−10シクロアルキルチオ基など)、アリールチオ基(例えば、チオフェノキシ基などのC
6−10アリールチオ基など)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基などのC
6−10アリール−C
1−4アルキルチオ基など)、アシル基(例えば、アセチル基などのC
1−6アシル基など)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC
1−4アルコキシ−カルボニル基など)、ニトロ基、シアノ基、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジC
1−4アルキルアミノ基など)、ジアルキルカルボニルアミノ基(例えば、ジアセチルアミノ基などのジC
1−4アルキル−カルボニルアミノ基など)などが例示できる。
【0038】
これらの置換基R
4のうち、代表的には、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などが挙げられる。好ましい置換基R
4としては、アルコキシ基、アルキル基など、特にメチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C
1−4アルキル基が挙げられる。なお、置換基R
4がアリール基であるとき、置換基R
4は、環Z
1とともに、前記環集合アレーン環を形成してもよい。置換基R
4の種類は、同一の又は異なる環Z
1において、同一又は異なっていてもよい。
【0039】
置換数pの数は、環Z
1の種類などに応じて適宜選択でき、例えば、0〜8程度の整数であってもよく、0〜4の整数、好ましくは0〜3(例えば、0〜2)の整数、特に0又は1であってもよい。特に、pが1である場合、環Z
1がナフタレン環又はビフェニル環、置換基R
4がメチル基であってもよい。
【0040】
置換基R
5として、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC
1−4アルコキシ−カルボニル基など)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC
1−6アルキル基)、アリール基(フェニル基などのC
6−10アリール基)などが挙げられる。
【0041】
これらの置換基R
5のうち、代表的には、アルキル基、カルボキシル基又はC
1−2アルコキシ−カルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子など、特にメチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C
1−4アルキル基が好ましい。置換数kは0〜4(例えば、0〜3)の整数、好ましくは0〜2の整数(例えば、0又は1)、特に0である。なお、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよく、kが2以上である場合、置換基R
5の種類は互いに同一又は異なっていてもよく、フルオレン環の2つのベンゼン環に置換する置換基R
5の種類は同一又は異なっていてもよい。また、置換基R
5の置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2−位乃至7−位(2−位、3−位及び/又は7−位など)であってもよい。
【0042】
前記式(1)において、環Z
1が縮合多環式アレーン環、mが0であり、nが1である化合物には、9,9−ビス[(メルカプトアルキルカルボニルオキシ)]アリール]フルオレン類、特に、9,9−ビス[メルカプトC
2−6アシルオキシ)]縮合多環式C
10−12アリール)フルオレンなどが含まれる。このような化合物としては、例えば、(a)9,9−ビス[6−(2−メルカプトアセチルオキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−メルカプトプロピオニルオキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−メルカプトブチリルオキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(3−メルカプトブチリルオキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(4−メルカプトブチリルオキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−メルカプトイソブチリルオキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[6−(メルカプトC
2−6アシルオキシ)−2−ナフチル]フルオレン;(b)これらの化合物(a)において、メルカプトC
2−6アシルオキシ基が1−ナフチル基の5位に置換した9,9−ビス[5−(メルカプトC
2−6アシルオキシ)−1−ナフチル]フルオレンなどが例示できる。
【0043】
前記式(1)において、環Z
1が縮合多環式アレーン環、mが1であり、nが1である化合物には、9,9−ビス[[(メルカプトアルキルカルボニルオキシ)アルコキシ]アリール]フルオレン類、特に、9,9−ビス[(メルカプトC
2−6アシルオキシC
2−4アルコキシ)縮合多環式C
10−12アリール]フルオレンなどが含まれる。このような化合物としては、例えば、(c)9,9−ビス[6−[2−(2−メルカプトアセチルオキシ)エトキシ]−2−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス[6−[2−(2−メルカプトプロピオニルオキシ)エトキシ]−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−[2−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エトキシ]−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−[2−(2−メルカプトブチリルオキシ)エトキシ]−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−[2−(3−メルカプトブチリルオキシ)エトキシ]−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−[2−(4−メルカプトブチリルオキシ)エトキシ]−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−[2−(2−メルカプトイソブチリルオキシ)エトキシ]−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[6−[2−(メルカプトC
2−6アシルオキシ)エトキシ]−2−ナフチル]フルオレン;(d)これらの化合物(c)において、メルカプトC
2−6アシルオキシ基が1−ナフチル基の5位に置換した9,9−ビス[5−[2−(メルカプトC
2−6アシルオキシ)エトキシ]−1−ナフチル)フルオレン;(e)これらの化合物(c)(d)のエトキシ基がプロポキシ基などのアルコキシ基に置き換わった化合物、例えば、9,9−ビス[(メルカプトC
2−6アシルオキシ)C
3−6アルコキシナフチル]フルオレンが例示でき、このような化合物(e)としては、例えば、9,9−ビス[6−[2−(2−メルカプトプロピオニルオキシ)プロポキシ]−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−[3−(2−メルカプトプロピオニルオキシ)プロポキシ]−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−[3−(2−メルカプトプロピオニルオキシ)プロポキシ]−1−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−[3−(2−メルカプトイソブチリルオキシ)プロポキシ]−1−ナフチル]フルオレンなどが例示できる。
【0044】
前記式(1)において、環Z
1が環集合アレーン環、mが0又は1であり、nが1である化合物としては、(f)9,9−ビス(C
6−12アリール−(メルカプトC
2−6アシルオキシ)C
6−12アリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3−フェニル−4−(2−メルカプトプロピオニルオキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−フェニル−4−(3−メルカプトブチリルオキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニル−3−(2−メルカプトブチリルオキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニル−3−(3−メルカプトブチリルオキシ)フェニル)フルオレンなど;(g)9,9−ビス(C
6−12アリール−(メルカプトC
2−6アシルオキシ)エトキシC
6−12アリール]フルオレン、例えば、9,9−ビス[3−フェニル−4−(2−(2−メルカプトプロピオニルオキシ)エトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−フェニル−4−(2−(3−メルカプトブチリルオキシ)エトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−フェニル−3−(2−(2−メルカプトプロピオニルオキシ)エトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−フェニル−3−(2−(3−メルカプトブチリルオキシ)エトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−フェニル−3−(2−(2−メルカプトイソブチリルオキシ)エトキシ)フェニル]フルオレンなど;(h)これらの化合物(g)のエトキシ基がプロポキシ基などのアルコキシ基に置き換わった化合物、例えば、9,9−ビス[C
6−12アリール−(メルカプトC
2−6アシルオキシ)C
3−6アルコキシC
6−12アリール]フルオレンが例示でき、このような化合物(g)としては、例えば、9,9−ビス[3−フェニル−4−(2−(2−メルカプトプロピオニルオキシ)プロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−フェニル−4−(2−(3−メルカプトブチリルオキシ)プロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−フェニル−3−(2−(2−メルカプトプロピオニルオキシ)プロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−フェニル−3−(2−(3−メルカプトブチリルオキシ)プロポキシ)フェニル]フルオレンなどが例示できる。
【0045】
前記式(1)において、nが2以上である化合物としては、例えば、9,9−ビス[(ポリ)(メルカプトアシルオキシアルコキシ)アレーン]フルオレン類、例えば、9,9−ビス[[6,8−ジ(2−(2−メルカプトプロピオニルオキシ)エトキシ)]−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[[4,6−ジ(2−(3−メルカプトブチリルオキシ)エトキシ)]−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[[5,7−ジ(2−(3−メルカプトブチリルオキシ)エトキシ)]−1−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス(ジ又はトリ(メルカプトC
2−6アシルオキシC
2−4アルコキシ)C
10−12アリール)フルオレンなどが例示できる。
【0046】
前記式(1)において、mが2以上の化合物としては、前記mが0又は1の化合物に対応し、オキシアルキレン基(特にオキシC
2−4アルキレン基)の繰り返し数mが2〜10の化合物などが挙げられる。
【0047】
前記式(1)において、k=0、p=0、n=1の具体的な化合物を表1に例示する。なお、表1中、Aの置換位置は、環Z
1に対する「メルカプト基を含む置換基」Aの置換位置を示す。
【0049】
これらのうち、光学特性などに優れる点から、9,9−ビス[6−[2−(2−メルカプトアセチルオキシ)エトキシ]−2−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス[6−[2−(2−メルカプトプロピオニルオキシ)エトキシ]−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[6−[2−(メルカプトC
2−3アシルオキシ)エトキシ]−2−ナフチル]フルオレンが特に好ましい。
【0050】
[チオール化合物の製造方法]
前記式(1)で表されるチオール化合物は、下記式(2)で表される化合物(9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有するヒドロキシ化合物)と、下記式(3)で表される化合物(メルカプトアルカンカルボン酸又はその反応性誘導体)との反応(エステル化反応)により調製できる。
【0052】
(式中、X
1はハロゲン原子又は基−OR
3(R
3は水素原子又はC
1−4アルキル基)を示し、環Z
1、R
1、R
2、R
4、R
5、m、n、p、kは前記に同じ)。
【0053】
式(2)で表されるヒドロキシ含有フルオレン化合物は、前記式(1)で表される化合物に対応しており、式(1)においてメルカプトアルキルカルボニル基(−C(=O)−R
2−SH)が水素原子に置換した化合物が例示できる。
【0054】
なお、式(2)で表されるヒドロキシ含有フルオレン化合物は、市販品を使用してもよく、慣用の方法(例えば、9−フルオレノン類と、環Z
1に基[H−(OR
1)
m−]が置換したヒドロキシル基含有アレーン環化合物(例えば、ナフトール、2−ナフトキシエタノールなどのアリールオキシアルカノール類など)とを酸触媒の存在下で反応させる方法、フルオレン類の9−位にヒドロキシアリール基が置換したフルオレン化合物[例えば、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンなど]と、基OR
1に対応するアルキレンオキシド、アルキレンカーボネート及びハロアルカノールから選択された少なくとも1種とを反応させる方法)で合成してもよい。
【0055】
式(3)で表される化合物において、X
1で表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示できる。R
3で表されるアルキル基としては、低級アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C
1−4アルキル基などが例示できる。
【0056】
式(3)で表される化合物としては、例えば、メルカプトアルカンカルボン酸(チオグリコール酸(メルカプト酢酸)、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、4−メルカプト酪酸、3−メルカプト酪酸、2−メルカプト酪酸、3−メルカプトイソ酪酸、2−メルカプトイソ酪酸、5−メルカプト吉草酸、4−メルカプト吉草酸、3−メルカプト吉草酸、3−メルカプトイソ吉草酸などのメルカプトC
2−10アルカンカルボン酸など)、これらの反応性誘導体(例えば、酸ハライド(酸クロライドなど)、若しくは低級アルキルエステル(C
1−2アルキルエステルなど))などが例示できる。これらの化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0057】
式(3)で表される化合物としては、通常、メルカプト直鎖状又は分岐鎖状C
2−6アルカンカルボン酸、好ましくはメルカプト直鎖状又は分岐鎖状C
3−5アルカンカルボン酸(例えば、メルカプトC
3−4アルカンカルボン酸)を用いる場合が多い。また、一級チオール化合物、二級チオール化合物及び三級チオール化合物のいずれも使用できるが、通常、一級チオール化合物又は二級チオール化合物を用いる場合が多い。
【0058】
反応において、式(2)で表される化合物のヒドロキシル基1モルに対して、式(3)で表される化合物の割合は、0.5〜5モル(例えば、0.7〜3モル)、好ましくは1〜2.5モル程度であってもよい。反応は触媒の非存在下で行ってもよく、反応には、必要により触媒(エステル化触媒、例えば、塩酸、硫酸、トルエンスルホン酸、強酸性イオン交換樹脂などの酸触媒など)を使用してもよい。反応は、必要により溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応に不活性な溶媒、例えば、炭化水素類(ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、トルエンなどの芳香族炭化水素類)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエチレンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのジアルキルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミドなど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、セロソルブアセテート類、カルビトールアセテート類、カーボネート類(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。溶媒としては、芳香族炭化水素類を用いる場合が多い。
【0059】
反応は、50℃〜溶媒の還流温度で行うことができる。反応終了後、慣用の方法、例えば、濃縮、抽出、貧溶媒中での析出などの方法で反応混合物から目的化合物を分離精製することにより、前記式(1)で表されるチオール化合物を調製できる。このチオール化合物は、通常、室温で固体であり、反応系から固体の粉粒体の形態で分離される場合が多い。
【0060】
[チオール化合物の用途]
本発明のチオール化合物は、活性なメルカプト基を有するとともに、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有しているため、高い屈折率を有するともに耐熱性が極めて高い。例えば、特許文献1及び2に記載のチオール化合物の屈折率(25℃、589nm)が1.62程度であるのに対して、本発明のチオール化合物の屈折率は1.65程度と高い。しかも、特許文献1及び2に記載のチオール化合物が室温で粘稠であるのに対して、本発明のチオール化合物は、常温(15〜25℃)で固体(例えば、粉粒体)であるとともに、通常、無色透明である。
【0061】
そのため、本発明のチオール化合物は、活性なメルカプト基を利用して、種々の用途、例えば、樹脂原料(例えば、ポリイソシアネートとの反応により生成するウレタン系樹脂、エピクロルヒドリンとの反応により生成するエポキシ樹脂などの原料、特に光学用途の樹脂原料)、エン/チオール反応を利用した硬化性組成物の成分などとして利用できる。
【0062】
硬化性組成物は、前記チオール化合物と、多官能性化合物とを含んでいる。前記多官能性化合物は、多官能のエチレン性不飽和結合を有する化合物(多官能エチレン性不飽和化合物)であってもよく、多官能オリゴマー又は樹脂であってもよい。
【0063】
[多官能エチレン性不飽和化合物]
多官能エチレン性不飽和化合物としては、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレートなどのアリル基を有する化合物も使用できるが、複数の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート類を使用する場合が多い。多官能(メタ)アクリレート類としては、ジ(メタ)アクリレート類[例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのC
2−10アルカンジオールジ(メタ)アクリレート類;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどの橋架け環式(メタ)アクリレート類など]、3以上の(メタ)アクリロイル基を有するポリ(メタ)アクリレート類[例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパンなどのアルカンポリオールのC
2−4アルキレンオキサイド付加体のトリ(メタ)アクリレート類;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートなどのトリアジン環を有するトリ(メタ)アクリレート類など]が例示できる。
【0064】
多官能エチレン性不飽和化合物は、ビスアリール骨格を有する化合物であってもよい。このような化合物としては、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA、F、Sなどのビスフェノール類)又はそのC
2−4アルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート類[例えば、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンなど];9,9−ビスアリールフルオレン化合物[例えば、下記式(4)で表される化合物]などが例示できる。
【0066】
(式中、環Z
2は、単環式又は多環式アレーン環;X
2はアリル基又は(メタ)アクリロイル基;R
1、m、n、R
4、R
5、p、kは前記に同じ)。
【0067】
環Z
2の単環式アレーン環としては、ベンゼン環などが例示できる。好ましい環Z
2は、前記好ましい多環式アレーン環Z
1に加えて、ベンゼン環である。X
2はアリル基又は(メタ)アクリロイル基であってもよく、好ましいX
2は(メタ)アクリロイル基である。なお、好ましいR
1、n、R
4、R
5、p及びkも前記と同様である。オキシアルキレン基(OR
1)の繰り返し数mは、用途に応じて調整でき、耐熱性を要求される用途では、mは2以下であってもよく、好ましくは0又は1、さらに好ましくは1であってもよく、柔軟性を要求される用途では、mは3以上であってもよく、例えば3〜15、好ましくは4〜10、さらに好ましくは4〜8(特に4〜5)程度であってもよい。
【0068】
mが1以上である代表的な9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する多官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、下記の化合物が例示できる。
【0069】
(a)9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシアルコキシフェニル)フルオレン類、例えば、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシC
2−4アルコキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(アルキル−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシフェニル)フルオレン、例えば、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC
1−4アルキル−(メタ)アクリロイルオキシC
2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど(前記式(4)において、環Z
2がベンゼン環、m=1,n=1である化合物)。
【0070】
(b)9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシアルコキシナフチル)フルオレン類、例えば、9,9−ビス[6−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシC
2−4アルコキシナフチル)フルオレンなど(前記式(4)において、環Z
2がナフタレン環、m=1,n=1である化合物)。
【0071】
(c)9,9−ビス(アリール−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシフェニル)フルオレン類、例えば、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC
6−10アリール−(メタ)アクリロイルオキシC
2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど(前記式(4)において、環Z
2がビフェニル環、m=1,n=1である化合物)。
【0072】
(d)9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン類、例えば、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシジアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシジC
2−4アルコキシフェニル)フルオレン}など;これらの化合物のフェニル基がナフチル基、ビフェニルキに置換した化合物など(前記式(4)において、mが2〜10である化合物)。
【0073】
これらのうち、ビスフェノール類又はそのC
2−4アルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート類、前記式(4)で表される化合物が好ましい。ビスフェノール類又はそのC
2−4アルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート類を用いると、屈折率を維持しつつ、透明性を向上できる。前記式(4)で表される化合物は、用途に応じて、オキシアルキレン基(OR
1)の繰り返し数mを調整でき、耐熱性を要求される用途では、X
2が(メタ)アクリロイル基であり、Z
2がベンゼン環であり、nが1であり、かつmが0又は1(特に1)である化合物が好ましく、柔軟性を要求される用途では、X
2が(メタ)アクリロイル基であり、Z
2がベンゼン環であり、nが1であり、かつmが3〜8(特に4〜5)である化合物が好ましい。
【0074】
[多官能オリゴマー又は樹脂]
多官能性化合物には、多官能オリゴマー、例えば、多価カルボン酸とポリオールと(メタ)アクリル酸及び/又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応により生成するポリエステル(メタ)アクリレート類;複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物(ビスフェノールA、F、Sなどのビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、前記式(4)において、X
2がグリシジル基である9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂などのエポキシ樹脂)に(メタ)アクリル酸が開環付加したエポキシ(メタ)アクリレート類;ポリイソシアネートとポリオールとの反応により生成し、かつ末端イソシアネート基を有するオリゴマーにヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを反応させたポリウレタン(メタ)アクリレート類なども含まれる。
【0075】
代表的な9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂としては、例えば、下記の化合物が例示できる。
【0076】
(e)9,9−ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン類、例えば、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(アルキル−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、例えば、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC
1−4アルキル−グリシジルオキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(ポリグリシジルオキシフェニル)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3,5−ジグリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジグリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4−ジグリシジルオキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジ又はトリグリシジルオキシフェニル)フルオレンなど(前記式(4)において、環Z
2がベンゼン環、X
2がグリシジル基、m=0,n=1〜3である化合物)。
【0077】
(f)9,9−ビス(グリシジルオキシナフチル)フルオレン類、例えば、9,9−ビス(6−グリシジルオキシ−2−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(5−グリシジルオキシ−1−ナフチル)フルオレンなど(前記式(4)において、環Z
2がナフタレン環、X
2がグリシジル基、m=0,n=1である化合物)。
【0078】
(g)9,9−ビス(アリール−グリシジルオキシフェニル)フルオレン類、例えば、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC
6−10アリール−グリシジルオキシフェニル)フルオレンなど(前記式(4)において、環Z
2がビフェニル環、X
2がグリシジル基、m=0,n=1である化合物)。
【0079】
(h)9,9−ビス(グリシジルオキシアルコキシフェニル)フルオレン、例えば、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシプロポキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(グリシジルオキシC
2−4アルコキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(アルキル−グリシジルオキシアルコキシフェニル)フルオレン、例えば、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシプロポキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC
1−4アルキル−グリシジルオキシC
2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど(前記式(4)において、環Z
2がベンゼン環、X
2がグリシジル基、m=1,n=1〜3である化合物)。
【0080】
(i)9,9−ビス(グリシジルオキシアルコキシナフチル)フルオレン類、例えば、9,9−ビス[6−(2−グリシジルオキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−グリシジルオキシプロポキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス(グリシジルオキシC
2−4アルコキシナフチル)フルオレンなど(前記式(4)において、環Z
2がナフタレン環、X
2がグリシジル基、m=1,n=1である化合物)。
【0081】
(j)9,9−ビス(アリール−グリシジルオキシアルコキシフェニル)フルオレン、例えば、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC
6−10アリール−グリシジルオキシC
2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど(前記式(4)において、環Z
2がビフェニル環、X
2がグリシジル基、m=1,n=1である化合物)。
【0082】
(k)9,9−ビス(グリシジルオキシジアルコキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−グリシジルオキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス(グリシジルオキシジC
2−4アルコキシフェニル)フルオレン}などの9,9−ビス(グリシジルオキシポリアルコキシフェニル)フルオレン類(前記式(4)において、X
2がグリシジル基、m=2〜10、n=1である化合物)など。
【0083】
さらに、多官能性化合物(特に、多官能オリゴマー)は、リソグラフィ技術を利用して所定のパターンをアルカリ現像により形成するため、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂(又はアルカリ可溶性オリゴマー)であってもよい。このようなアルカリ可溶性樹脂は、例えば、カルボキシル基含有ポリエステル系樹脂、カルボキシル基含有ウレタン系樹脂、カルボキシル基含有エポキシ樹脂などであってもよい。
【0084】
カルボキシル基含有ポリエステル系樹脂は、ジオール成分(エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの直鎖状又は分岐鎖状C
2−10アルカンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加体など)と、ジカルボン酸成分(アジピン酸などのアルカンジカルボン酸、無水フタル酸などのアルケンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのシクロアルカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸など)とのエステル化反応において、3以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸又はその酸無水物(無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物など)を用いるとともに、生成したポリエステル樹脂(又はオリゴマー)の反応性基に対して反応可能な官能基を有する(メタ)アクリル系単量体を反応させることにより調製できる。例えば、生成したポリエステル樹脂(又はオリゴマー)のヒドロキシル基に対して(メタ)アクリル酸を反応させる方法、カルボキシル基に対してヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及び/又はグリシジル(メタ)アクリレートを反応させる方法により、1分子中に複数の(メタ)アクリロイル基を有する多官能オリゴマーとしての多官能エチレン性不飽和化合物を調製してもよい。
【0085】
カルボキシル基含有ウレタン系樹脂は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート成分(前記ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC
2−10アルキル(メタ)アクリレートなど)と、ジオール成分(ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールなど)と、ポリイソシアネート成分との反応において、ジオール成分として、ジヒドロキシカルボン酸(ジメチロールプロピオン酸など)、及び/又は前記3以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸又はその酸無水物を用いてカルボキシル基を導入したポリエステルジオールを用いることにより調製できる。ポリイソシアネート成分としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、これらの変性体(アロファネート、ビュレット、トリイソシアヌレート変性体など)などが例示できる。ジオール成分としては、前記ポリエステル樹脂の項で例示の直鎖状又は分岐鎖状C
2−10アルカンジオールなどを併用してもよい。
【0086】
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂及びウレタン樹脂の重量平均分子量は、例えば、ポリスチレン換算で0.1×10
4〜10×10
4、好ましくは0.3×10
4〜5×10
4(例えば、0.5×10
4〜1×10
4)程度であってもよい。
【0087】
カルボキシル基含有エポキシ樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との開環付加反応により生成したヒドロキシル基含有生成物(エポキシ(メタ)アクリレート)と、酸無水物(無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物など)との反応により調製できる。このようなカルボキシル基含有エポキシ樹脂は、1分子中に複数の(メタ)アクリロイル基を有しており、多官能オリゴマーとしての多官能エチレン性不飽和化合物を形成する。
【0088】
カルボキシル基含有エポキシ樹脂(カルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート)の重量平均分子量は、例えば、ポリスチレン換算で0.3×10
4〜2×10
4、好ましくは0.5×10
4〜1×10
4程度であってもよい。
【0089】
このようなアルカリ可溶性樹脂のうち、1分子中に複数の(メタ)アクリロイル基を有するカルボキシル基含有多官能オリゴマー(ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂)、特にカルボキシル基含有エポキシ樹脂を用いる場合が多い。
【0090】
アルカリ可溶性樹脂の酸価は15〜200KOHmg/g(例えば、30〜150KOHmg/g、好ましくは50〜120KOHmg/g)程度であってもよい。
【0091】
これらの多官能オリゴマー又は樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0092】
[単官能不飽和化合物]
硬化性組成物は、必要であれば、さらに、分子中に1つのエチレン性不飽和結合を有する単官能不飽和化合物(単官能エチレン性不飽和化合物)を含んでいてもよい。単官能不飽和化合物を配合すると、硬化性組成物の粘度を低減でき、取扱性を向上できる。
【0093】
単官能不飽和化合物としては、スチレン系単量体、N−ビニルピロリドン、ビニルエーテル類、(メタ)アクリロイル基を有する化合物[(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどのC
1−24アルキル(メタ)アクリレート類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレートなどのフルオロC
1−10アルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート類;ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの橋架け環式(メタ)アクリレート類;ベンジル(メタ)アクリレートなどのアラルキル(メタ)アクリレート類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC
2−10アルキル(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのアリールオキシアルキル(メタ)アクリレート類;メトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;グリシジル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなど]、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和多価カルボン酸又はその酸無水物、これらのハーフエステルなどのカルボキシル基含有化合物、(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェートなどのリン酸基含有化合物などが例示できる。単官能不飽和化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0094】
これらの単官能不飽和化合物のうち、光学特性や耐熱性を損なうことなく、取扱性を向上できる点から、アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート類が好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのフェノキシC
1−4アルキル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0095】
本発明の硬化性組成物は、前記多官能性化合物及び単官不飽和化合物のうち、エチレン性不飽和結合を有する化合物(多官能エチレン性不飽和化合物及び単官能エチレン性不飽和化合物を含むエチレン性不飽和化合物)を含むのが好ましく、少なくとも多官能エチレン性不飽和化合物を含むのが特に好ましい。
【0096】
多官能性化合物(特に、多官能エチレン性不飽和化合物)と単官能不飽和化合物との重量割合は、前者/後者=30/70〜100/0(例えば、40/60〜95/5)、好ましくは50/50〜100/0(例えば、60/40〜90/10)程度であり、70/30〜100/0(例えば、75/25〜80/20)程度であってもよい。多官能性化合物(特に、多官能エチレン性不飽和化合物)と単官能エチレン性不飽和化合物とのモル比は、前者/後者=90/10〜10/90、好ましくは70/30〜30/70、さらに好ましくは60/40〜40/60程度であってもよい。
【0097】
エチレン性不飽和化合物(特に、複数のエチレン性不飽和結合を有する多官能エチレン性不飽和化合物)に対するチオール化合物(特に、複数のメルカプト基を有するポリチオール化合物)の割合は、エチレン性不飽和結合1モルに対してメルカプト基のモル数0.1〜1.5(例えば、0.15〜1.3)程度の範囲から選択でき、通常、0.25〜1.25(例えば、0.3〜1.2)、好ましくは0.4〜1.1(例えば、0.4〜1)、さらに好ましくは0.45〜1(例えば、0.5〜0.9)程度であってもよい。また、エチレン性不飽和化合物に対するチオール化合物の割合は、エチレン性不飽和結合(特に、単官能エチレン性不飽和化合物と多官能エチレン性不飽和化合物とを組み合わせる場合、合計のエチレン性不飽和結合)1モルに対してメルカプト基のモル数0.5〜1.5、好ましくは0.8〜1.2、さらに好ましくは0.9〜1.1程度であってもよい。
【0098】
[重合開始剤及び増感剤]
硬化性組成物は、重合開始剤、例えば、熱重合開始剤(熱ラジカル発生剤)、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)を含んでいてもよい。好ましい重合開始剤は光重合開始剤である。
【0099】
熱重合開始剤としては、ジアルキルパーオキサイド類(ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなど)、ジアシルパーオキサイド類[ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなど]、過酸エステル類[t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの過カルボン酸アルキルエステルなど]、ケトンパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシケタール類などの有機過酸化物;アゾニトリル化合物[2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)など]、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物、アゾアルカン化合物、オキシム骨格を有するアゾ化合物などのアゾ化合物などが含まれる。熱重合開始剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0100】
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類など);アセトフェノン類(アセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−フェニル−2−ヒドロキシ−アセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなど);プロピオフェノン類(p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなど);ブチリルフェノン類[1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オンなど];アミノアセトフェノン類[2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジエチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルフェニル)プロパン−1−オン、1−(4−ブチルフェニル)−2−ジメチルアミノ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−ジメチルアミノフェニル)−ブタン−1−オンなど];ベンゾフェノン類(ベンゾフェノン、N,N’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジルなどのN,N’−ジアルキルアミノベンゾフェノンなど);ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなど);チオキサンテン類(チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテンなど);アントラキノン類(2−エチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノンなど);(チオ)キサントン類(チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなど);アクリジン類(1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタンなど);トリアジン類(2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジンなど);スルフィド類(ベンジルジフェニルサルファイドなど);アシルフォスフィンオキシド類(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなど);チタノセン系光重合開始剤;オキシムエステル類などが例示できる。これらの光重合開始剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0101】
なお、光重合開始剤は、市販品、例えば、商品名「イルガキュア」「ダロキュア」(BASFジャパン(株)製)、商品名「OMNIRAD」(IGM社製)、商品名「サイラキュア」(ユニオンカーバイド社製)などとして入手できる。
【0102】
重合開始剤の割合は、エチレン性不飽和化合物(多官能エチレン性不飽和化合物及び単官能エチレン性不飽和化合物)及びチオール化合物の総量100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部程度の範囲から選択でき、例えば、0.5〜8重量部(例えば、1〜8重量部)、好ましくは1〜7重量部(例えば、2〜5重量部)程度であってもよい。
【0103】
光重合開始剤は、光増感剤と組み合わせてもよい。光増感剤としては、慣用の成分、例えば、第3級アミン類[例えば、トリアルキルアミン、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミンなど)、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸アミルなどのジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどのビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンなど]、トリフェニルホスフィンなどのフォスフィン類、N,N−ジメチルトルイジンなどのトルイジン類、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどのアントラセン類などが挙げられる。光増感剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0104】
光増感剤の使用量は、前記光重合開始剤100重量部に対して、例えば、0.1〜150重量部(例えば、1〜100重量部)、好ましくは5〜75重量部(例えば、10〜50重量部)程度であってもよい。
【0105】
[樹脂]
硬化性組成物は、必要により樹脂、例えば、水不溶性樹脂(アクリル系樹脂など)、水溶性樹脂(ポリビニルアルコール、セルロースエーテル類など)などを含んでいてもよく、リソグラフィ技術を利用して所定のパターンをアルカリ現像により形成するため、アルカリ可溶性樹脂を含んでいてもよい。アルカリ可溶性樹脂は、例えば、カルボキシル基含有アクリル系樹脂、カルボキシル基含有ポリエステル系樹脂、カルボキシル基含有ウレタン系樹脂、カルボキシル基含有エポキシ樹脂などであってもよい。
【0106】
カルボキシル基含有アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸などの前記例示の不飽和多価カルボン酸又はその酸無水物と、共重合性単量体との共重合体で構成でき、共重合性単量体としては、例えば、前記例示の単官能不飽和化合物[例えば、メチル(メタ)アクリレートなどのC
1−24アルキル(メタ)アクリレート類;シクロアルキル(メタ)アクリレート類;橋架け環式(メタ)アクリレート類;ヒドロキシC
2−10アルキル(メタ)アクリレート類;フェノキシアルキル(メタ)アクリレート類;グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドなど]、ビニル芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど)、脂肪酸ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)などが例示できる。共重合性単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0107】
カルボキシル基含有ポリエステル系樹脂は、前記多官能エチレン性不飽和化合物としてのカルボキシル基含有ポリエステル系樹脂の調製において、生成したポリエステル樹脂(又はオリゴマー)の反応性基に対して反応可能な官能基を有する(メタ)アクリル系単量体を反応させることなく、ジオール成分とジカルボン酸成分とのエステル化反応において、3以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸又はその酸無水物を用いることにより調製できる。
【0108】
カルボキシル基含有ウレタン系樹脂は、前記多官能エチレン性不飽和化合物としてのカルボキシル基含有ウレタン系樹脂の調製において、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート成分を用いることなく、ジオール成分と、ポリイソシアネート成分との反応において、ジオール成分として、ジヒドロキシカルボン酸、及び/又はカルボキシル基を導入したポリエステルジオールを用いることにより調製できる。
【0109】
カルボキシル基含有アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂及びウレタン樹脂の重量平均分子量は、例えば、ポリスチレン換算で0.1×10
4〜10×10
4、好ましくは0.3×10
4〜5×10
4(例えば、0.5×10
4〜1×10
4)程度であってもよい。
【0110】
このようなアルカリ可溶性樹脂の酸価は、例えば、20〜200KOHmg/g(例えば、30〜150KOHmg/g、好ましくは50〜120KOHmg/g)程度であってもよい。
【0111】
樹脂の使用量は、エチレン性不飽和化合物(多官能エチレン性不飽和化合物及び単官能エチレン性不飽和化合物)及びチオール化合物の総量100重量部に対して、例えば、1〜250重量部(例えば、5〜220重量部)、通常、10〜200重量部(例えば、25〜100重量部)程度であってもよい。
【0112】
[溶媒]
硬化性組成物は、さらに、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、例えば、アルコール類(エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルキルアルコール類など)、炭化水素類(ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、クロロホルムなど)、エーテル類(ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチルなど)、ケトン類(アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど)、カルビトール類(メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトールなど)、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類(プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテルなど)、グリコールエーテルエステル類(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(メチルセロソルブアセテート)、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテートなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)などの有機溶媒が挙げられる。溶媒は、単独で又は混合溶媒として使用できる。
【0113】
なお、本発明の組成物は、必要であれば、種々の添加剤、例えば、熱重合禁止剤(ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテルなど)、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、滑剤、安定剤(抗酸化剤、熱安定剤、耐光安定剤など)、可塑剤、界面活性剤、溶解促進剤、着色剤、充填剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、レベリング剤、分散剤、分散助剤などを含んでいてもよい。添加剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0114】
溶媒を含む硬化性組成物の固形分(又は不揮発分)濃度は、例えば、0.5〜50重量%、好ましくは、2〜40重量%(例えば、5〜30重量%)程度であってもよい。
【0115】
本発明の硬化性組成物は、慣用の方法、例えば、各成分を混合し、必要によりフィルタでろ過することにより調製できる。
【0116】
本発明の硬化性組成物は、活性エネルギー(熱エネルギー及び/又は光エネルギー)を付与することによりエン/チオール反応により容易に硬化する。そのため、本発明の硬化性組成物は、活性エネルギーとして、を利用して硬化物を形成するのに有用である。例えば、硬化性組成物を基材又は基板に塗布し、必要により乾燥した後、加熱又は活性光線を露光することにより硬化膜を形成できる。また、硬化性組成物の塗布又は付着工程と、露光硬化工程とを繰り返すことにより、所定の形態の硬化物(例えば、三次元的な形状の硬化物)を形成することもできる。
【0117】
基材又は基板は、用途に応じて選択でき、木材などの多孔質体、アルミニウム、銅、シリコンなどの金属、ガラス、石英などのセラミックス、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどのプラスチック、銅張り積層板などであってもよい。塗布方法は特に制限されず、例えば、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷法、キャスト法、バーコーティング法、カーテンコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、ディッピング法などであってもよい。
【0118】
硬化性組成物では、塗布した後、必要により乾燥(例えば、40〜150℃程度で乾燥)して溶媒を除去し、感光層を形成できる。感光層の厚みは、用途によって異なるが、0.01〜10μm、好ましくは0.05〜8μm(特に0.1〜5μm)程度であってもよい。
【0119】
加熱により塗膜を硬化させる場合、加熱温度は、例えば、60〜200℃(例えば、80〜180℃)、好ましくは100〜150℃程度であってもよい。
【0120】
露光による塗膜の硬化は、全面露光により又はフォトマスクなどを利用して選択的に露光するパターン露光により、潜像を形成してもよい。露光には、活性光線、例えば、放射線(ガンマー線、X線、電子線など)、紫外線、可視光線などが利用でき、通常、紫外線である場合が多い。紫外線露光において、照射光量(照射エネルギー)は、塗膜の厚みにより異なるが、例えば、50〜10000mJ/cm
2(例えば、75〜2000mJ/cm
2)、好ましくは100〜1000mJ/cm
2(例えば、100〜500mJ/cm
2)程度であってもよい。なお、本発明の硬化性組成物は酸素による重合阻害が少ない。そのため、本発明の硬化性組成物は空気中で露光しても塗膜が効率よく硬化し、三次元構造を有する硬化膜(又は硬化物)を形成する。
【0121】
必要により露光後に、例えば、60〜200℃、好ましくは100〜150℃程度の温度で加熱処理(アフターキュア又はポストベークなど)してもよい。
【0122】
生成した潜像パターンを現像することにより、顕像化された塗膜パターン(特に薄膜パターン)を形成できる。現像剤としては、水、アルカリ水溶液(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液など)、親水性又は水溶性溶媒(例えば、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、前記環状エーテル類、セロソルブ類、セロソルブアセテート類など)や、これらの混合液などが使用できる。現像は、浸漬、洗い流し、噴射又はスプレー現像などを利用して行うことができる。
【実施例】
【0123】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、用いた原料の略号及び詳細を以下に示す。また、以下の実施例及び比較例において各種特性は次のようにして測定した。
【0124】
[原料]
BNEF:9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、大阪ガスケミカル(株)製
BPEF:9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、大阪ガスケミカル(株)製
BNEFA:9,9−ビス[6−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、大阪ガスケミカル(株)製
BPEFA:9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、大阪ガスケミカル(株)製
BPEF−9EOA:9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン1モルに対して、平均値で合計9モルのエチレンオキシドが付加した付加体のジアクリレート
FA−324A:ビスフェノールA 1モルに対して、平均値で合計4モルのエチレンオキシドが付加した付加体のジアクリレート、日立化成(株)製
PO−A:フェノキシエチルアクリレート、共栄社化学(株)製「ライトアクリレートPO−A」
光重合開始剤:BASFジャパン(株)製「イルガキュア184」。
【0125】
[APHA(ハーゼン色数)]
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で濃度50重量%の試料溶液を調製し、色差濁度計(日本電色工業(株)製「COH−300A」)を用い、APHAを測定した。
【0126】
[ヘイズ]
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で濃度50重量%の試料溶液を調製し、色差濁度計(日本電色工業(株)製「COH−300A」)を用い、ヘイズ(%)を測定した。
【0127】
[加熱減量]
熱重量・示差熱同時測定器TG−DTA(SII(株)製「TG/DTA6200」)を用い、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で昇温し、重量が5%減少する温度を測定した。
【0128】
[屈折率]
多波長アッベ屈折計((株)アタゴ製、DR−M2<循環式恒温水槽60−C3使用>)を用い、温度25℃に保持し、589nmでの屈折率を測定した。
【0129】
[ガラス転移温度Tg(℃)]
得られたサンプルをDSC測定用アルミパンに約10mg秤量し、紫外線照射機(H015−L31:アイグラフィックス(株)製)を用いて2,000mJ/cm
2照射して硬化物を作製し、窒素雰囲気下、DSC(DSC6220:SII(株)製)を10℃/分で昇温し、30〜300℃の範囲でのガラス転移温度の測定を行った。
【0130】
[カール]
得られた塗布膜を5cm角にカットして、平坦面に頂部を接触させて置き、平坦面からの4隅の高さ(平坦面からの浮きの高さ)を測定し、平均した値をカールの指標とした。
【0131】
[透過率(%)]
(株)島津製作所製「UV−3600」を用い、試料(硬化膜)の透過率を波長400nmで測定した。
【0132】
(実施例1)
(1)9,9−ビス[6−[2−(2−メルカプトプロピオニルオキシ)エトキシ]−2−ナフチル]フルオレンの合成
【0133】
【化6】
【0134】
BNEF 108.75g(201.90mmol)、2−メルカプトプロピオン酸(東京化成(株)製)49.29g(464.39mmol)、p−トルエンスルホン酸・1水和物(純正化学(株)製)1.63g(8.57mmol)、トルエン(純正化学(株)製)174.0gを500mL容ナスフラスコに仕込み、Dean−Stark装置および冷却管を装着した。内容物を撹拌しながら内温110℃で加熱した。反応開始から5時間後に放冷し、10重量%炭酸水素ナトリウム水溶液400mLで、反応液を中和した。さらに反応液をイオン交換水にて3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム(純正化学(株)製)にて脱水・乾燥し、トルエンを留去することにより、高速液体クロマトグラフィーによる純度96.5%の目的化合物(チオール化合物A)136.28g(収率90.8%)を得た。得られたチオール化合物Aは、室温で無色透明の固体であった。屈折率(25℃、589nm)を測定したところ、1.65と高屈折率であった。
【0135】
1H−NMR(CDCl
3−300MHz):δ(ppm)=7.82(d,2H,J=7.5Hz)、7.07−7.63(m,18H)、4.27−4.55(m,8H)、3.53−3.58(m,2H)、2.18(d,2H,J=8.4Hz)、1.53(d,6H,J=6.9Hz)
【0136】
(2)光重合性組成物の調製
上記合成工程(1)で得られたチオール化合物A 58g(81.13mmol)と、BPEFA 42g(76.84mmol)と、光重合開始剤3gと、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)42gとを混合して光重合性組成物を調製した。
【0137】
(3)硬化膜の調製
この光硬化性組成物(コーティング剤)を剥離基材に塗布し、厚み約100μmの塗膜を形成した後、紫外線照射機(H015−L31:アイグラフィックス(株)製)を用いて500mJ/cm
2で照射し、硬化膜を作製し、各種物性を測定した。
【0138】
(実施例2)
チオール化合物A5.93g(8.29mmol)と、BPEFA3.09g(5.66mmol)と、PO−A1.07g(5.57mmol)と、光重合開始剤0.30gと、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)4.26gとを混合して光重合性組成物を調製し、実施例1と同様の方法で硬化膜を作製して各種物性を測定した。
【0139】
(実施例3)
チオール化合物A4.38g(6.13mmol)と、BPEF−9EOA5.71g(6.05mmol)と、光重合開始剤0.30gと、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)5.71gとを混合して光重合性組成物を調製し、実施例1と同様の方法で硬化膜を作製して各種物性を測定した。
【0140】
(実施例4)
チオール化合物A5.83g(8.16mmol)と、FA−324A4.18g(8.16mmol)と、光重合開始剤0.31gと、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)4.19gとを混合して光重合性組成物を調製し、実施例1と同様の方法で硬化膜を作製して各種物性を測定した。
【0141】
(比較例1)
(1)9,9−ビス[4−[2−(2−メルカプトプロピオニルオキシ)エトキシ]フェニル]フルオレンの合成
【0142】
【化7】
【0143】
BPEF104.4g(238.08mmol)、2−メルカプトプロピオン酸(東京化成(株)製)58.12g(547.58mmol)、p−トルエンスルホン酸・1水和物(純正化学(株)製)1.90g(9.99mmol)、トルエン(純正化学(株)製)77.2gをフラスコに仕込む以外、合成例1と同様にして、高速液体クロマトグラフィーによる純度が93.8%の目的化合物(チオール化合物B)135.53g(収率92.6%)を得た。得られたチオール化合物Bは、室温で透明粘稠液体であった。屈折率(25℃、589nm)を測定したところ、1.62であった。
【0144】
1H−NMR(CDCl
3−300MHz):δ(ppm)=7.74(d,2H,J=7.5Hz)、6,73−7.25(m,14H)、4.11−4.45(m,8H)、3.45−3.55(m,2H)、2.14(d,2H,=8.4Hz)、1.49(d,6H,J=6.9Hz)
【0145】
(2),(3)光重合性組成物及び硬化膜の調製
上記合成工程(1)で得られたチオール化合物B 53g(86.21mmol)と、BPEFA 47g(85.99mmol)と、光重合開始剤(「イルガキュア184」)3gと、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)47gとを混合して光重合性組成物を調製する以外、実施例1と同様にして、硬化膜を作製した。
【0146】
実施例1で得られたチオールA、比較例1で得られたチオールB、BNEFA及びBPEFAについて、諸特性を評価した結果を表2に示す。さらに、実施例1〜3及び比較例1で得られた硬化膜を評価した結果を表3に示す。
【0147】
【表2】
【0148】
【表3】
【0149】
表2の結果から明らかなように、チオールAとチオールBとは、外観性状(APHA及びヘイズ)に大きな違いはなかった。また、チオールAは、チオールBと比べると、屈折率が高く、加熱減量も8℃向上した。
【0150】
類似の組成を有する実施例1と比較例1とを対比すると、表2及び3から実施例1のチオール化合物Aは、屈折率が高いだけでなく、単量体での5%重量減少温度が比較例1のチオール化合物Bとさほど変わらないにも拘わらず、硬化膜では、ガラス転移温度が約25℃も高い。また、実施例1のチオール化合物Aは、APHA=8,ヘイズ=1.8と透明性が高く、硬化膜の透過率も86%と透明性が高く、カールの評価も0.0mmであり、カールすることもなかった。そのため、実施例1のチオール化合物Aは光学部材の樹脂原料として適している。さらに、実施例1のチオール化合物Aは無色透明の固体(粉粒体)として得ることができるため、取扱性を大きく改善できる。
【0151】
実施例1と実施例2〜4とを対比すると、実施例2の光重合性組成物は、実施例1の光重合性組成物よりも粘度が低く、取扱性を向上できた。実施例3の硬化膜は、実施例1の硬化膜と比較すると、柔軟性に優れており、フレキシブルディスプレイ用途などの柔軟性を要求される光学フィルム用途に適している。実施例4では、汎用のビスフェノールAアクリレート樹脂と組み合わせることにより、屈折率を大幅に下げることなく、透過率を向上できた。